審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2024-014313

制御システム及び制御方法

審判番号
2024-014313
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-192651
請求日
2024年09月06日
審決日
2026年03月02日
公報発行日
2026年05月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 【請求人代理人】種村 一幸
  • 【請求人代理人】仲石 晴樹
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 澤田 真治
  • 審判官 西田 秀彦
分類
P18 .113-Z (A01B) / P18 .121-Z (A01B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-192651「制御システム及び制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 2月 9日出願公開、特開2023- 21180〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年10月26日に出願された特願2017-207321(以下「原出願」という。)の一部を分割して、令和3年4月2日に新たな特許出願とした特願2021-63699の一部を分割して、令和4年12月1日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和 6年 1月23日付け:拒絶理由通知書 同年 3月26日 :意見書、手続補正書の提出 同年 6月 4日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 同月11日 :原査定の謄本の送達 同年 9月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項2に係る発明は、令和6年9月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項2】 予め設定された直線状経路を自動操舵又は手動操舵により走行する作業機の走行機体の制御システムであって、 前記走行機体が自動操舵されている状態で、前記直線状経路の終端よりも走行方向上流側における前記直線状経路上の指令位置に達すると、前記走行機体を減速させる減速制御を行い、 前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合には、前記走行機体が前記直線状経路の終端を通過するより前に前記走行機体を停止させる、 制御システム。」 第3 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、概略、以下のものを含むものである。 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・理由1又は理由2 ・請求項2 ・引用文献1 <引用文献等一覧> 1.特開2017-123829号公報 第4 引用文献1に記載された事項、引用発明 1 引用文献1に記載された事項 (1)記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、原出願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-123829号公報(平成29年7月20日公開)(以下「引用文献1」という。)には、「圃場作業車両」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付した。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、畦際領域で方向転換しながら圃場内を走行する走行機体と、前記圃場に対して作業を行う圃場作業装置と、自車位置を示す測位データを出力する測位ユニットとを備えた圃場作業車両に関する。」 「【0011】 上述したように、一度、非畦際領域と畦際領域との境界を車両挙動に基づいて決定すれば、それ以降の非畦際領域と畦際領域との境界を推定することが可能なので、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記畦際検知モジュールは、隣接する前回の作業走行経路における前記車両挙動から次回の前記走行機体の前記畦際領域への到達タイミングを推定する畦際推定部を有する。これにより、非畦際領域の走行中に畦際領域への接近状態を算定することができ、畦際領域への到達前または到達後に適切かつ必要な制御を行うことができる。 【0012】 例えば、前記畦際推定部によって推定された到達タイミングの前に前記畦際領域への接近を報知する接近報知指令が出力されるならば、運転者は、畦際領域において行わなければならない操作や確認を、余裕をもって行うことができる。また、走行機体の畦際領域への不測の接近に伴う不都合を回避するため、前記畦際推定部によって推定された到達タイミングの前に前記走行機体を減速させる減速指令が出力されるような実施形態を採用することができる。さらには、記畦際推定部によって推定された到達タイミングから所定距離だけ走行した場合、走行機体を停止させる車両停止指令が出力されるような実施形態や前記畦際推定部によって推定された到達タイミングに応答して、走行機体を停止させる車両停止指令が出力されるような実施形態を採用することも可能である。」 「【発明を実施するための形態】 【0019】 本発明による圃場作業車両の具体的な実施形態を説明する前に、図1を用いて、その圃場作業車両に採用されている車両制御の基本原理を説明する。 図1では、圃場作業車両として、田植機、播種機、トラクタ、コンバインが想定されている。圃場作業装置として、田植機は植付け装置を備え、播種機は播種装置を備え、トラクタは耕耘装置を備え、コンバインは刈取装置を備える。これらの圃場作業装置は、それぞれの走行機体に作業位置と非作業位置との間で昇降可能に連結されている。 【0020】 この圃場作業車両(以下単に車両と略称する)は、図1では、平行となっている上側畦と下側畦に境界付けられた圃場を、180度の方向転換走行(Uターン走行)を挟んだ往復直線状走行を繰り返しながら走行する。上側畦の近傍には、上側の畦際領域が設定され、下側畦の近傍には、下側の畦際領域が設定されている。車両は、畦際領域で方向転換走行を行い、それ以外の圃場領域で直線状の作業走行を行う。 【0021】 車両は、自車位置を示す測位データを出力する測位ユニットを装備している。さらには、走行機体を人為操作に基づいて操舵する人為操舵部だけではなく、走行機体を自動操舵する自動操舵部も装備されている。なお、測位ユニットから出力される測位データは、アンテナの位置が基準となるが、ここでは、自車位置は、アンテナの位置ではなく、車両の適切な位置、例えば、圃場作業装置の対地作用点などとなるように補正処理が施されている。 【0022】 この圃場における圃場走行の一例を以下に示す。 まず、下側畦を乗り越えて圃場内に入り込んだ車両は、地点A1において、運転者の操作により、圃場作業装置を作業位置まで下降させ、直線状の作業走行(往路)を開始する。この圃場作業装置の下降は、作業開始を示す車両挙動として、地点A1の位置を示す測位データとともに記録される。直線状の作業走行を経て、車両が地点B1で方向転換領域に達すると、運転者の操作により、圃場作業装置を非作業位置まで上昇させ、180度の方向転換走行に移行する。この圃場作業装置の上昇は、作業停止を示す車両挙動として、地点B1の位置を示す測位データとともに記録される。 【0023】 畔際領域での方向転換走行が終了すれば、地点A2において、再び圃場作業装置を作業位置まで下降させ、直線状の作業走行(復路)を開始する。この圃場作業装置の下降も、作業開始を示す車両挙動として、地点A2の位置を示す測位データとともに記録される。なお、地点A2の位置は、作業幅(植付け幅や耕耘幅)に相当する往復作業走行間隔を考慮して、地点B1の位置から推定することができる。したがって、畦際領域での方向転換走行中に、車両が推定された地点A2に接近してくれば、その旨を運転者に報知して、圃場作業装置を作業位置まで下降させることを運転者に促すことができる。また、車両が推定された地点A2に到達した時に、自動的に圃場作業装置を作業位置まで下降させることも可能である。車両が再び直線状の作業走行(復路)を開始した位置が、最終的な地点A2として設定される。 【0024】 この直線状の作業走行(復路)の終点である地点B2、つまり車両が再び畔際領域に到達する地点も、地点A1の位置から推定することができる。したがって、車両が地点B2に接近してくれば、畦際領域に達する前に、圃場作業装置を非作業位置まで上昇させて、方向転換走行の準備を行うことを運転者に報知可能である。また、車両が推定された地点B2に到達した時に、自動的に圃場作業装置を非作業位置まで上昇させることも可能である。車両が畦際領域に到達すれば、自動的にまたは人為的に畦際領域内での方向転換走行に移行する。方向転換走行が終了すると、地点A3から再び直線状の作業走行(復路)を開始する。」 「【0029】 直線状の作業走行(復路)から畦際領域に入っても、何らかの理由で方向転換走行が行われない場合、車両が畦に乗り上げてしまう不都合が生じる。このような不都合を回避するために、直線状の作業走行(復路)の終点である地点B2、B3、B4・・・を推定し、記録しておくことが重要となる。測位ユニットによって自車位置が算定できるので、この自車位置と作業走行(復路)の終点(畦際領域への進入点)の位置とを常に比較することができる。これにより、車両が畦際領域への進入する手前及び車両が畦際領域への進入した後での車両減速、警告の報知、車両の停止などを実施することができる。」 「【0031】 次に、図面を用いて、本発明による圃場作業車両の具体的な実施形態の1つを説明する。図3は、圃場作業車両の一例である乗用型の田植機の側面図であり、図4は平面図である。この田植機は、走行機体Cと、圃場に対する作業を行う圃場作業装置とを備えている。ここでの圃場作業装置は、圃場に対する苗の植え付けが可能な苗植付装置Wである。なお、図4に示す矢印Fが走行機体Cの「前」、矢印Bが走行機体Cの「後」、矢印Lが走行機体Cの「左」、矢印Rが走行機体Cの「右」である。」 「【0039】 操舵ユニットUは、自動操舵モード及び人為操舵モードで動作可能である。人為操舵モードでは、運転者が操向ハンドル43を操作する操作力に、ステアリングモータ58による操向ハンドル43の操作に応じた補助力を付与してステアリング操作軸54を回動操作し、前車輪10の操向角度を変更する。一方、自動操舵モードでは、ステアリングモータ58を自動制御し、ステアリングモータ58の駆動力によりステアリング操作軸54を回動操作し、前車輪10の操向角度を変更する。この実施形態では、操向ハンドル43とステアリングモータ58とが、走行機体Cを人為操舵する人為操舵部の構成要素として機能する。また、走行機体Cを自動操舵する自動操舵の制御機能は、後で説明する制御装置8(図6参照)に構築され、制御装置8からの制御指令に基づいてステアリングモータ58が駆動する。なお、操向ハンドル43の操作変位が直接ステアリング操作軸54に伝達されるのではなく、操向ハンドル43の操作変位がセンサによって検出され、その検出値に基づいてステアリングモータ58が駆動される場合、いわゆるバイワイヤ方式が採用されている場合、人為操舵の制御機能も、制御装置8に構築される。 【0040】 走行機体Cには、測位ユニット61が備えられ、走行機体Cの自機位置は、測位ユニット61からの測位データから求められる。測位ユニット61には、GNSSモジュールとして構成されている衛星航法用モジュールと、ジャイロ加速度センサと磁気方位センサを組み込んだモジュールとして構成されている慣性航法用モジュールとが含まれている。衛星航法用モジュールには、GPS信号やGNSS信号を受信するための衛星用アンテナが接続されている。少なくともこの衛星用アンテナは、電波受信感度が良好となる箇所、この実施形態では連結フレーム31に取り付けられている。衛星航法用モジュールと慣性航法用モジュールとは別の場所に設けてもよい。 【0041】 図6には、この田植機に装備されている制御装置8が示されている。なお、図6では、制御装置8に構築されている機能部の内、主に操舵に関する機能部が示されている。この制御装置8は、図1と図2とを用いて説明された自動操舵と人為操舵に関する基本原理を採用している。制御装置8は、入力信号処理部8aを介して、測位ユニット61、車両状態検出センサ群9、接触検出器90、走行モード切替操作具65、操舵モード切替操作具66と接続している。また、制御装置8は、出力信号処理部8bを介して、報知デバイス7、車両走行機器群71、作業装置機器群72と接続している。なお、走行モード切替操作具65や操舵モード切替操作具66はスイッチやボタンで構成される。 【0042】 車両状態検出センサ群9は、走行機体Cの動作や姿勢、圃場作業装置としての苗植付装置Wの動作や姿勢を検出するために設けられた各種センサやスイッチからなる。接触検出器90は、それ自体はよく知られているので、図3や図4では図示されていないが、田植機と障害物との接触を検出する構造を有する。接触検出器90によって田植機と障害物との接触が検出されると、田植機は、緊急停止する。操舵モード切替操作具66は、自動操舵で走行する自動操舵モードと人為操舵で走行する人為操舵モードとのいずれかを選択するスイッチである。例えば、自動操舵で走行中に操舵モード切替操作具66を操作することで、人為操舵での走行に切り替えられ、人為操舵で走行中に操舵モード切替操作具66を操作することで、自動操舵での走行に切り替えられる。 【0043】 走行モード切替操作具65は、畦際領域と非畦際領域の境界を制御装置8に教えるためのティーチングスイッチであり、この実施の形態では、走行モード切替操作具65はAボタンとBボタンとを有する。運転者は、車両が方向転換走行から作業走行に移行する時にAボタンを押し、車両が作業走行から方向転換走行に移行する時にBボタンが押される。 【0044】 報知デバイス7には、ランプやブザーが含まれており、畦際領域への接近や自動操舵走行での目標走行経路からの外れなど、運転者に報知したい種々の情報を,制御装置8からの指令に基づいて視覚的または聴覚的に出力する。さらに、報知デバイス7にフラットパネルディスプレイなどが含まれておれば、文字情報を提供することも可能である。 【0045】 車両走行機器群71には、走行機体Cに搭載されている走行するための種々の動作機器や制御機器が含まれており、例えば、操舵ユニットUを構成するステアリングモータ58などの動作機器、エンジン回転数を調整する制御機器、クラッチやシフタなどのトランスミッション用動作機器、ブレーキ動作機器などである。作業走行機器群には、この実施形態では、圃場作業装置として搭載されている苗植付装置Wを昇降する昇降シリンダ20や苗植付装置Wの作業クラッチとして機能する植付クラッチなどの動作機器が含まれている。 【0046】 制御装置8には、畦際検知モジュール81、自動操舵部82、車両挙動記録部83、操舵モード管理部84、走行経路算定部85、走行距離算定部86、姿勢判定部87などが、実質的にはコンピュータプログラムで構築されている。 【0047】 畦際検知モジュール81は、最初の作業走行において設定された走行経路基準点である、畦際領域での走行から作業走行に移行する地点A1と、作業走行から畦際領域での方向転換走行に移行する地点B1と、測位ユニット61の測位データから得られる自車位置とに基づいて、走行機体Cが畦際領域に到達しているかどうかを検知する。図1と図2とを用いて説明したように、地点A1を苗植付装置(作業装置)Wの下降位置(作業位置)への下降により検知し、地点B1を苗植付装置Wの上昇位置(非作業位置)への上昇により検知し、それぞれ車両挙動として車両挙動記録部83に記録する。この地点A1と地点B1との間の走行経路(一般的には直線)が基準作業走行経路であり、自動操舵であっても、人為操舵であっても、この基準作業走行経路を往復作業走行間隔だけ順次平行移動させることで、次の作業走行経路が得られる。つまり、地点A1に対応する地点B2、A3、B4、A5・・・、及び地点B1に対応する地点A2、B3、B4、A4、B5・・・が推定される。この推定アルゴリズムは、畦際推定部810に構築されている。畦際領域の境界を示す地点の推定方法は、圃場の形状によって異なるので、圃場の形状毎に適切な推定アルゴリズムが選択できるような構成が好ましい。当該各地点と自車位置とを比較することにより、作業走行している走行機体Cが畦際領域に到達するまでの距離が検知され、制御装置8は、例えば、畦際領域に所定距離だけ接近した場合の接近報知や、畦際領域に到達した際の到達報知、走行機体Cの減速、走行機体Cの停止などの指令を出力することができる。」 「【0056】 制御装置8には、畦際領域への車両の到達に関する畦際検知モジュール81の判定結果に基づいて、種々の動作を実行させるための各種指令を出力するアルゴリズムが搭載可能である。以下にその一部を列挙する。 (1)記録された車両挙動が実行される予定の地点に到達しても、当該車両挙動が実行されない場合、車両の減速、エンジン停止などを行う。 (2)圃場での走行において、記録すべき各車両挙動が発生する位置や時間は、特定の範囲に限定することができる。このことから、特定範囲外での、車両挙動は記録対象外とすることで、記録精度が向上する。 (3)車両が畦際領域に入ったことが検知されると、自動操舵は禁止される。 (4)車両が畦際領域における操舵角、旋回半径などの操舵挙動が、方向転換走行のものと異なる場合、車両挙動記録部83への記録は停止される。例えば、旋回半径が大きい場合、方向転換走行ではなく、圃場からの離脱走行など、通常の作業走行でない走行とみなされる。 (5)特定の車両挙動の発生時に、当該車両挙動に不適切な車速が検出されている場合、車両を強制停止する。」 「 [図:0001434764000001.jpg] 」 (2)引用発明 上記(1)に摘記した記載事項より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(根拠となる段落等を併記した。)。 「畦際領域で方向転換しながら圃場内を走行する走行機体と、前記圃場に対して作業を行う圃場作業装置とを備えた圃場作業車両に装備されている制御装置8において(【0001】、【0031】、【0041】)、 圃場作業車両として田植機が想定され(【0019】)、 制御装置8は、入力信号処理部8aを介して、測位ユニット61、走行モード切替操作具65、操舵モード切替操作具66と接続しており(【0041】)、 圃場作業車両は、平行となっている上側畦と下側畦に境界付けられた圃場を、180度の方向転換走行(Uターン走行)を挟んだ往復直線状走行を繰り返しながら走行し、上側畦の近傍には、上側の畦際領域が設定され、下側畦の近傍には、下側の畦際領域が設定されており、車両は、畦際領域で方向転換走行を行い、それ以外の圃場領域で直線状の作業走行を行い(【0020】)、 車両は、自車位置を示す測位データを出力する測位ユニットを装備しており(【0021】)、 車両は、圃場内の地点A1において、運転者の操作により、圃場作業装置を作業位置まで下降させ、直線状の作業走行(往路)を開始し、圃場作業装置の下降は、作業開始を示す車両挙動として、地点A1の位置を示す測位データとともに記録され、直線状の作業走行を経て、車両が地点B1で方向転換領域に達すると、運転者の操作により、圃場作業装置を非作業位置まで上昇させ、180度の方向転換走行に移行し、圃場作業装置の上昇は、作業停止を示す車両挙動として、地点B1の位置を示す測位データとともに記録され(【0022】)、 畔際領域での方向転換走行が終了すれば、地点A2において、再び圃場作業装置を作業位置まで下降させ、直線状の作業走行(復路)を開始し(【0023】)、 直線状の作業走行(復路)の終点である地点B2、つまり車両が再び畔際領域に到達する地点も、地点A1の位置から推定することができ、車両が地点B2に接近してくれば、畦際領域に達する前に、圃場作業装置を非作業位置まで上昇させて、方向転換走行の準備を行うことを運転者に報知可能であり、車両が畦際領域に到達すれば、自動的にまたは人為的に畦際領域内での方向転換走行に移行し、方向転換走行が終了すると、地点A3から再び直線状の作業走行(復路)を開始し(【0024】)、 車両が畦際領域への進入する手前及び車両が畦際領域への進入した後での車両減速、警告の報知、車両の停止などを実施することができ(【0029】)、 操舵ユニットUは、自動操舵モード及び人為操舵モードで動作可能であり、人為操舵モードでは、運転者が操向ハンドル43を操作する操作力に、ステアリングモータ58による操向ハンドル43の操作に応じた補助力を付与してステアリング操作軸54を回動操作し、前車輪10の操向角度を変更し、自動操舵モードでは、ステアリングモータ58を自動制御し、ステアリングモータ58の駆動力によりステアリング操作軸54を回動操作し、前車輪10の操向角度を変更し、制御装置8からの制御指令に基づいてステアリングモータ58が駆動され(【0039】)、 制御装置8は、圃場作業車両に装備され、入力信号処理部8aを介して、測位ユニット61、走行モード切替操作具65、操舵モード切替操作具66と接続しており(【0041】)、 操舵モード切替操作具66は、自動操舵で走行する自動操舵モードと人為操舵で走行する人為操舵モードとのいずれかを選択するスイッチであり(【0042】)、 制御装置8には、畦際検知モジュール81、自動操舵部82、車両挙動記録部83、操舵モード管理部84、走行経路算定部85などが、実質的にはコンピュータプログラムで構築されており(【0046】)、 畦際検知モジュール81は、最初の作業走行において設定された走行経路基準点である地点A1と、作業走行から畦際領域での方向転換走行に移行する地点B1との間の走行経路(一般的には直線)が基準作業走行経路であり、自動操舵であっても、人為操舵であっても、この基準作業走行経路を往復作業走行間隔だけ順次平行移動させることで、次の作業走行経路が得られ、地点A1に対応する地点B2、A3、B4、A5・・・、及び地点B1に対応する地点A2、B3、B4、A4、B5・・・が畔際推定部810に構築されたアルゴリズムで推定され、当該各地点と自車位置とを比較することにより、作業走行している走行機体Cが畦際領域に到達するまでの距離が検知され、畦際領域に所定距離だけ接近した場合の接近報知や、畦際領域に到達した際の到達報知、走行機体Cの減速、走行機体Cの停止などの指令を出力することができ(【0047】)、 制御装置8には、畦際領域への車両の到達に関する畦際検知モジュール81の判定結果に基づいて、種々の動作を実行させるための各種指令を出力するアルゴリズムが搭載可能であり、記録された車両挙動が実行される予定の地点に到達しても、当該車両挙動が実行されない場合、車両の減速、エンジン停止などを行い(【0056】)、 畦際検知モジュールは、隣接する前回の作業走行経路における前記車両挙動から次回の前記走行機体の前記畦際領域への到達タイミングを推定する畦際推定部を有し(【0011】)、 畦際推定部によって推定された到達タイミングの前に前記走行機体を減速させる減速指令が出力され、畦際推定部によって推定された到達タイミングに応答して、走行機体を停止させる車両停止指令が出力される(【0012】) 制御装置8(【0039】)。」 第5 対比 本願発明と引用発明を対比する。 1 引用発明の「自動操舵」、「人為操舵」、「走行する」「圃場作業車両」、「走行機体C」、「制御装置8」は、それぞれ本願発明の「自動操舵」、「手動操舵」、「走行する作業機」、「走行機体」、「制御システム」に相当する。 そして、引用発明では、「圃場作業車両は、平行となっている上側畦と下側畦に境界付けられた圃場を、180度の方向転換走行(Uターン走行)を挟んだ往復直線状走行を繰り返しながら走行し」ており、「畔際推定部810に構築されたアルゴリズムで推定され」た地点により走行経路を推定するものであるから、その推定された走行経路は、予め設定されているのは明らかであり、引用発明は「操舵ユニットUは、自動操舵モード及び人為操舵モードで動作可能であ」ることをふまえると、「作業走行経路」を自動操舵モード及び人為操舵モードで走行可能であるといえるから、引用発明の「最初の作業走行において設定された走行経路基準点である地点A1と、作業走行から畦際領域での方向転換走行に移行する地点B1との間の走行経路(一般的には直線)」である「基準作業走行経路」と「基準作業走行経路を往復作業走行間隔だけ順次平行移動させることで」「得られ」た「作業走行経路」は、本願発明の「予め設定された直線状経路」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明の「予め設定された直線状経路を自動操舵又は手動操舵により走行する作業機の走行機体の制御システムであ」ることに相当する構成を有する。 2 引用発明は、「畦際検知モジュール81は、」「自動操舵であっても、人為操舵であっても、」「基準作業走行経路を往復作業走行間隔だけ順次平行移動させることで、次の作業走行経路が得」られて「走行機体C」は「往復直線状走行を繰り返しながら走行し」ており、「畦際推定部によって推定された到達タイミングの前に前記走行機体を減速させる減速指令が出力され」、「推定された到達タイミングに応答して、走行機体を停止させる車両停止指令が出力され」ている。また、「到達タイミング」は、「隣接する前回の作業走行経路における前記車両挙動から次回の前記走行機体の前記畦際領域への到達タイミングを推定」していることから、「前記畦際領域への到達タイミング」とは、「作業走行経路」における「地点」「B2」、「B3」、「B4」、「B5」・・・に到達するタイミングであって、「前記走行機体を減速させる減速指令が出力され」るのは「推定された到達タイミングの前」であることから、「作業走行経路」における「地点」「B2」、「B3」、「B4」、「B5」よりも前の地点であることは明らかであり、当該地点で「減速指令が出力され」るのであるから当該地点は、本願発明の「前記直線状経路の終端よりも走行方向上流側における前記直線状経路上の指令位置」に相当する。 そうすると、引用発明の「走行機体C」は「自動操舵で」「推定された到達タイミングの前に前記走行機体を減速させる減速指令が出力され」ることは、本願発明の「前記走行機体が自動操舵されている状態で、前記直線状経路の終端よりも走行方向上流側における前記直線状経路上の指令位置に達すると、前記走行機体を減速させる減速制御を行」っていることに相当する。 よって、引用発明は、本願発明の「前記走行機体が自動操舵されている状態で、前記直線状経路の終端よりも走行方向上流側における前記直線状経路上の指令位置に達すると、前記走行機体を減速させる減速制御を行」うことに相当する構成を有する。 3 引用発明は、「畦際推定部によって推定された到達タイミングの前に前記走行機体を減速させる減速指令が出力され、畦際推定部によって推定された到達タイミングに応答して、走行機体を停止させる車両停止指令が出力される」ものであり、上記2のとおり、引用発明の「前記畦際領域への到達タイミング」とは、「作業走行経路」における「地点」「B2」、「B3」、「B4」、「B5」・・・に到達するタイミングであ」る。 そうすると、引用発明において、「走行機体を停止させる車両停止指令が出力される」のは、「推定された到達タイミング」であって、それは「作業走行経路」における「地点」「B2」、「B3」、「B4」、「B5」・・・に到達するタイミングであ」り、「走行機体を停止させる車両停止指令が出力される」タイミングは当該「地点」を通過するよりは前であるといえるから、引用発明の「畦際推定部によって推定された到達タイミングに応答して、走行機体を停止させる車両停止指令が出力される」ことは、本願発明の「前記走行機体が前記直線状経路の終端を通過するより前に前記走行機体を停止させる」ことに相当する。 そして、引用発明は、「車両が畦際領域への進入する手前及び車両が畦際領域への進入した後での車両減速、警告の報知、車両の停止などを実施することができ」るものであり、車両が減速した後に停止することは技術常識から明らかであって、引用発明は、「直線状の作業走行(復路)の終点である地点B2、つまり車両が再び畔際領域に到達する地点も、地点A1の位置から推定することができ、車両が地点B2に接近してくれば、畦際領域に達する前に、圃場作業装置を非作業位置まで上昇させて、方向転換走行の準備を行うことを運転者に報知可能であ」ることをふまえると、「運転者」による操作が必要な「前記畦際領域への到達タイミング」で「自動操舵」の状態、すなわち、「自動操舵で走行する自動操舵モード」のときに「操舵モード切替操作具66」で「人為操舵モード」を「選択」しない状態においては、「畦際推定部によって推定された到達タイミングに応答して、走行機体を停止させる車両停止指令が出力される」場合があることは明らかである。 よって、引用発明は、本願発明の「前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合には、前記走行機体が前記直線状経路の終端を通過するより前に前記走行機体を停止させる」ことに相当する構成を有する。 以上のとおり、本願発明と引用発明は一致し、相違点はない。 よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。 仮に、本願発明と引用発明に相違点があるとして、本願発明は、引用発明から当業者が容易に発明できたものである。 4 審判請求人の主張について (1)審判請求人の主張 請求人は、令和6年9月6日提出の審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」「(2.3)本願発明と引用発明との対比」において、以下のとおり主張する。 「また、本願発明2と引用文献1に記載された発明(引用発明)とを対比すると、両者は少なくとも以下の点で相違する。 <相違点2> 本願発明2は、減速制御による走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合には、走行機体が直線状経路の終端を通過するより前に走行機体を停止させる、という構成を有するところ、引用文献1には、これに相当する構成が記載も示唆もされていない点。 引用文献1には、車両が直線状の作業走行から畦際領域に進入する手前で車両を減速させること(〔請求項10〕、〔0029〕)が記載されている。 しかしながら、引用文献1には、減速制御による走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合には、走行機体が直線状経路の終端を通過するより前に走行機体を停止させる、という本願発明2の構成については、何ら記載がない。 それどころか、本願発明2は、減速制御による走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われるか否かに着目し、減速制御による走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合に、走行機体が直線状経路の終端を通過するより前に走行機体を停止させるものであって、単に走行機体を停止させるものではない。引用文献1には、そもそも減速制御による走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われるか否かを、何らかの動作の条件とすることすら記載がなく、このような引用文献1の記載に触れただけの当業者が、上記相違点2に係る本願発明2の構成を想到することは到底容易ではない。 ここで、拒絶査定においては、 「請求項2及び5に記載された『前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合には』との点は、『前記走行機体が前記直線状経路の終端を通過するより前に前記走行機体を停止させる』との制御を行う条件を記載したものにすぎず、引用文献1に記載された発明における上記制御も同様に、『前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合』に該当するのであるから、この点は引用文献1に記載された発明との明確な相違点とは認められない。」 との理由で、本願発明2について新規性、進歩性の拒絶理由が維持されている。すなわち、本願発明2では、「前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合」のように、何の操作もされない場合を条件として規定しているのみであって、結果的に、何の操作もされない引用文献1の構成も含んでいるものと認定されている。 しかし、「前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合」との条件を有する本願発明2は、「前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作」が行われているか否かを監視しているものと解釈するのが妥当であって、拒絶査定においては、このような解釈がなされていない点において、少なくとも本願発明2の誤った認定に基づく、誤った拒絶理由が示されていると思料する。 したがって、上記相違点2に係る構成を有する本願発明2は、当業者といえども引用文献1の記載から到底容易に想到し得るものではない。」 (2)審判請求人の主張の検討 上記審判請求人の主張について検討する。 請求項2には「前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合には、前記走行機体が前記直線状経路の終端を通過するより前に前記走行機体を停止させる」と特定されているのみであって、審判請求人が主張するように「前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作」が行われているか否かを監視していることは特定されていないことから、請求項2に記載された構成に基づく主張ではなく、また、請求項2に記載された構成において、必ずしもそのように限定して理解する特段の事情があるともいえない。 そうすると、上記3で検討したとおり、引用発明は、本願発明の「前記減速制御による前記走行機体の減速中に自動操舵解除操作が行われない場合には、前記走行機体が前記直線状経路の終端を通過するより前に前記走行機体を停止させる」ことに相当する構成を有しているといえる。 よって、上記審判請求人の主張によって上記3の判断を左右するものでなく採用できない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-014313

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決111件(ヤンマーパワーテクノロジー株式会社)
  • 2024-013752拒絶査定不服審判 / 2026-07-15 / 請求不成立ヒートポンプ
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 2025-008816拒絶査定不服審判 / 2026-07-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)自動走行システムおよび表示方法
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 2024-006959拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)領域調整システム
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 2025-000681拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)魚計数システム、魚計数方法及びプログラム
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 2024-009061拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 請求不成立作業車両
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)92件(113・A01B、121・A01B)
  • 2025-003704拒絶査定不服審判 / 2026-08-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)制御装置及び作業車両
    共通の審決分類: 113・A01B、121・A01B
  • 2024-006959拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)領域調整システム
    共通の審決分類: 113・A01B、121・A01B
  • 2025-000532拒絶査定不服審判 / 2026-06-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)遠隔制御装置、遠隔制御プログラム、遠隔制御方法、および、遠隔制御システム
    共通の審決分類: 113・A01B、121・A01B
  • 2024-011678拒絶査定不服審判 / 2025-08-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)表示方法、表示端末、及び表示プログラム
    共通の審決分類: 113・A01B、121・A01B
  • 2024-007665拒絶査定不服審判 / 2025-04-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)作業車両の自律走行方法および自律走行システム
    共通の審決分類: 113・A01B、121・A01B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存