特許拒絶査定不服審判
2024-009399
会計装置
- 審判番号
- 2024-009399
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-088366
- 請求日
- 2024年06月05日
- 審決日
- 2025年05月19日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝テック株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 梅本 章子
- 審判官 村松 貴士
- 分類
- P18 .121-WZ (G07G) / P18 .575-WZ (G07G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 88366「会計装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年11月25日出願公開、特開2021-182342〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年5月20日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和5年11月21日付け:拒絶理由通知
令和6年 2月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 2月28日付け:拒絶査定(原査定)
令和6年 6月 5日 :審判請求書の提出
令和6年10月28日付け:拒絶理由通知
令和6年12月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年 1月17日付け:拒絶理由通知(最後)(当審拒絶理由)
令和7年 3月17日 :意見書、手続補正書の提出
第2 令和7年3月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年3月17日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
第1の方向に向けられた第1表示部と、
前記第1の方向とは異なる第2の方向に向けられた第2表示部と、
顧客の操作により会計処理を実行する第1モードの場合に、第1スキャナを制御して会計金額を有する会計情報を取得し、店員の操作により会計処理を実行し顧客が金銭を投入する第2モード及び店員の操作により会計処理を実行し店員が金銭を投入する第3モードの場合に、第2スキャナを制御して前記会計情報を取得する読取制御部と、
前記第1モードの場合に、前記第1表示部にはエラーが発生したことを通知する通知画面を表示させ、前記第2表示部にはエラーから復旧させる情報が示される復旧画面を表示させ、前記第2モード及び前記第3モードの場合に、前記第2表示部に前記復旧画面を表示させる制御部と、
を備える会計装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和6年12月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
第1の方向に向けられた第1表示部と、
前記第1の方向とは異なる第2の方向に向けられた第2表示部と、
顧客の操作により会計処理を実行する第1モードの場合に、第1スキャナを制御して会計情報を取得し、店員の操作により会計処理を実行する第2モードの場合に、第2スキャナを制御して会計情報を取得する読取制御部と、
前記第1モードの場合に、前記第1表示部にはエラーが発生したことを通知する通知画面を表示させ、前記第2表示部にはエラーから復旧させる情報が示される復旧画面を表示させ、前記第2モードの場合に、前記第2表示部に前記復旧画面を表示させる制御部と、
を備える会計装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「読取制御部」及び「制御部」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1、引用発明
(ア)当審拒絶理由で引用された引用文献である、特開2018-109932号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。
a 「【0022】
登録装置20は、購入対象の商品を登録する登録処理を実行する。商品の登録は、例えば、スキャナを用いて、商品に付されているバーコードを読み取るか、商品登録画面に表示されたプリセットボタン等を操作することにより行われる。また、登録装置20は、登録された商品に関する情報(以下、登録データという)を生成し、記憶する。
【0023】
登録データは、当該登録データを識別するための登録データ識別情報、登録日時、登録された各商品の商品識別情報、登録された各商品の商品名、販売価格、値引き情報、購入対象の商品の品数を示す取引点数(購入点数)、購入対象の商品の総額(合計金額)を含む。また、登録データは、当該登録データを生成した登録装置20(すなわち、当該登録データに係る商品を登録した登録装置20)を識別するための登録装置識別情報を更に含むものであってもよい。
【0024】
登録データは、精算装置30において精算処理に用いられる。精算処理とは、登録された商品の代金を、現金、電子マネー(プリペイドカードのチャージ残高を含む)、クレジットカードなどを選択的に用いて支払い、決済する処理である。」
b 「【0096】
図13は、本実施形態において前面側と背面側に表示部305および操作部306をそれぞれ設けた精算装置30の外観例を示した図である。図示する例では、前面側を客側とし、背面側を店員側として精算装置30を使用している。
【0097】
図13(A)は、セミセルフモードとして動作しているときの例を示している。店員が、背面側に設けられた表示部305および操作部306や、スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行った後、客が決済部310を操作して精算処理を行っている。
【0098】
図13(B)は、フルセルフモードとして動作しているときの例を示している。図示する例では、客が、前面側に設けられた表示部305および操作部306や、スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行って決済部310を操作して精算処理を行っている。
【0099】
このように、精算装置30の前面側と背面側に表示部305および操作部306をそれぞれ設けることにより、店員が買上商品の登録を行って客が精算処理を行うセミセルフモードと、客が買上商品の登録を行って精算処理を行うフルセルフモードとして精算装置30を動作させることができる。」
c 「【0109】
また、精算装置30がセミセルフモードとして動作している場合、店員側で公共料金の支払い処理を行うときに、客側で別の商品を登録できるようにしてもよい。なお公共料金の支払い処理に限らず、店員側で予約販売、チケット発行、切手販売、タバコなど、通常商品とは異なり、決済方法が制限されている(現金のみ販売可)ために別会計になる可能性のあるものについて支払い処理を行っている場合においても、客側で別の商品を登録できるようにしてもよい。これにより、買上商品の登録処理に要する時間を大幅に短縮することができる。このとき、店員側で登録した商品と、顧客側で登録した商品とを区別して表示するようにしてもよい。これにより、客が誤登録や不正登録していたとしても気づきやすくできる。
【0110】
なお、公共料金等のように決済方法に制限がなくても、惣菜や中華まん、ドーナツ、コーヒーなど店員だけが取り出し可能な商品の場合においても、店員側でこれらの登録処理を行っているときに、客側で別の商品を登録できるようにしてもよい。この場合においても、買上商品の登録をオーバーラップでき、買上商品の登録処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0111】
また、スキャナ部304を店員側と客側に備え、店員側と客側の両方で買上商品の登録を行うことができるようにしてもよい。この場合においても、買上商品の登録をオーバーラップでき、買上商品の登録処理に要する時間を大幅に短縮することができる。」
d 「【0114】
また、精算装置30の前面と背面とに決済部310を設け、セミセルフモードとフルセルフモードの他に、店員が買上商品の登録と精算処理とを行う通常モードで精算装置30が動作するようにしてもよい。精算装置30は、通常モードで動作するときにおいても、セミセルフモードで動作するときと同様に、上述した処理を行うことができるようにしてもよい。
【0115】
また、1日のレジの集計(締め処理)を行うとき、セミセルフモードで動作する対面型の精算装置30を備えるPOSシステムでは、なるべく客側で多くの操作を行うようにして、客に迷惑にならないようにしたい、または客に、金種枚数情報などの店員が操作する画面をなるべく見せたくない、ということが想定される。一方で、決済部310(釣銭釣札機)側で操作する際必ず表示させておきたい項目(例えば、金種枚数の表示やその確認ボタン、最後の締め処理開始ボタンなど)もある。そこで、ある一連の処理の中でも一定のところまでは背面側(店員側)の表示部305に表示させ、それ以降のものは前面側(客側)に表示させる処理を行うことで、なるべく必要な処理を背面側(店員側)で行い、必要最小限の処理を前面側(客側)で行うことが可能となる。なお、前面側(客側)の表示部305に表示されている場合、背面側(店員側)の表示部305に同じ画面をミラーリングして表示していてもよい。
【0116】
同様の例として、決済部310(釣銭釣札機)のエラー処理やレシート用紙切れなどのエラー報知に対する顧客にあまり見せたくないエラー処理のガイダンス(例えば、○○へ連絡してくださいといった情報表示、紙幣や硬貨のつまり、特定金種が不足しているなどの情報)を背面側(店員側)の表示部305に表示させ、背面側(店員側)で必要な処理を行うまで、前面側(客側)の表示部305には単にエラー処理対応中です、などと表示されるようにしてもよい。さらに、不足紙幣・硬貨棒金の補充、過剰紙幣の取り出しの場合にも、エラー処理のガイダンスを背面側(店員側)の表示部305に表示させ、背面側(店員側)で必要な処理を行うまで、前面側(客側)の表示部305には単にエラー処理対応中です、などと表示されるようにしてもよい。」
e 「【図13】
[図:0001425463000001.jpg]
」
f 上記aには、「登録装置20」に関して「商品の登録は、商品に付されているバーコードを読み取ることにより行われ、登録された商品に関する登録データを生成し、登録データは、登録された各商品の商品識別情報、登録された各商品の商品名、販売価格、値引き情報、購入対象の商品の品数を示す取引点数(購入点数)、購入対象の商品の総額(合計金額)を含み、登録データは、精算処理に用いられ、精算処理とは、登録された商品の代金を、現金を用いて支払い、決済する処理である」ことが記載されており、図13の実施形態においても、商品の登録では同様の処理が行われるものと認められる。
してみれば、引用文献1には図13の実施形態の「精算装置30」に関して「商品の登録は、商品に付されているバーコードを読み取ることにより行われ、登録された商品に関する登録データを生成し、登録データは、登録された各商品の商品識別情報、登録された各商品の商品名、販売価格、値引き情報、購入対象の商品の品数を示す取引点数(購入点数)、購入対象の商品の総額(合計金額)を含み、登録データは、精算処理に用いられ、精算処理とは、登録された商品の代金を、現金を用いて支払い、決済する処理である」ことが記載されているといえる。
(イ)上記(ア)から、特に、図13の実施形態に注目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「前面側と背面側に表示部305および操作部306をそれぞれ設けた精算装置30であって、
前面側を客側とし、背面側を店員側として精算装置30を使用し、
商品の登録は、商品に付されているバーコードを読み取ることにより行われ、
登録された商品に関する登録データを生成し、
登録データは、登録された各商品の商品識別情報、登録された各商品の商品名、販売価格、値引き情報、購入対象の商品の品数を示す取引点数(購入点数)、購入対象の商品の総額(合計金額)を含み、
登録データは、精算処理に用いられ、
精算処理とは、登録された商品の代金を、現金を用いて支払い、決済する処理であり、
セミセルフモードとして動作しているとき、店員が、背面側に設けられた表示部305および操作部306や、スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行った後、客が決済部310を操作して精算処理を行い、
フルセルフモードとして動作しているとき、客が、前面側に設けられた表示部305および操作部306や、スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行って決済部310を操作して精算処理を行い、
精算装置30の前面と背面とに決済部310を設け、セミセルフモードとフルセルフモードの他に、店員が買上商品の登録と精算処理とを行う通常モードで精算装置30が動作するようにし、
通常モードで動作するときにおいても、セミセルフモードで動作するときと同様に処理を行い、
セミセルフモードで動作する対面型の精算装置30を備えるPOSシステムでは、ある一連の処理の中でも一定のところまでは背面側(店員側)の表示部305に表示させ、それ以降のものは前面側(客側)に表示させる処理を行うことで、なるべく必要な処理を背面側(店員側)で行い、必要最小限の処理を前面側(客側)で行い、顧客にあまり見せたくないエラー処理のガイダンスを背面側(店員側)の表示部305に表示させ、背面側(店員側)で必要な処理を行うまで、前面側(客側)の表示部305にはエラー処理対応中です、と表示される、
精算装置30。」
イ 引用文献2
(ア)同じく当審拒絶理由に引用された文献である、特開2019-133595号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「【0050】
(フルセルフモード)
フルセルフモードは、図6(A)に示すように、客側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードである。即ち、図6(B)に示すように、フルセルフモードの場合、客側が登録モードにも会計モードにもなる。つまり、POS端末20は、登録処理~精算処理の全体を通して見た場合、登録会計モードとして動作する。」
「【0127】
(エラー発生時に店員の操作を伴う表示)
次に、フルセルフモードにおいてエラーが発生した場合のPOS端末20の表示について説明する。エラーとは、例えば、釣銭機209のオフラインエラー、レシート発行時の釣銭機209のエラー、釣銭機209のニアフル・ニアエンドなどである。釣銭機209のオフラインエラーの原因には、例えば、釣銭機209の接続ケーブルが抜けている場合などが含まれる。レシート発行時の釣銭機209のエラーの原因には、例えば、印刷部213で印刷して発行するレシートの用紙が不足している場合などが含まれる。釣銭機209のニアフル・ニアエンドには、釣銭機内のお金がいっぱいになっている(ニアフル)、又は不足している(ニアエンド)場合などが含まれる。
【0128】
(釣銭機209のオフラインエラーの場合の表示)
まず、釣銭機209のオフラインエラーの場合の表示について説明する。フルセルフモードにおいて釣銭機209のオフラインエラーが発生すると、POS端末20は、客側表示部205及び店員側表示部210のいずれの表示もエラー画面に制御する。
図16は、釣銭機オフラインエラーに関する表示例を示す図である。図16(A)は、釣銭機オフラインエラーが発生したときに表示されるエラー画面の一例であり、エラーが発生したことにより店員を呼出していることを客に通知するための店員呼出画面(ここでは、「店員を呼出しています 少々お待ちください」)が表示される。
【0129】
また、POS端末20は、図16(A)に示す店員呼出画面が表示されている状態で、特定の操作(例えば、画面内の特定の位置へのタッチ操作または特定の回数のタッチ操作、店員コードの読取り、パスワードの入力など)を受け付けると、エラー内容や対処方法などが表示されるエラー内容画面を店員側表示部210に表示する。
【0130】
図16(B)は、エラー内容画面の一例である。図示する例ではエラーの原因を示す情報(ここでは、「釣銭機が接続されていません」)と確認ボタンBT50とが含まれるダイアログ画面DG50がエラー内容画面として表示されている。このダイアログ画面DG50が表示された場合、釣銭機209の接続ケーブルが抜けている可能性が高い。確認ボタンBT50は、店員がエラー内容を確認して対処(例えば、釣銭機209の接続ケーブルを挿入)した後に、エラーを解除しエラー発生前の表示画面に戻すための操作ボタンである。
【0131】
例えば、店員が表示されているエラー内容を確認して対処(例えば、釣銭機209の接続ケーブルを挿入)した後、確認ボタンBT50に対して操作すると、POS端末20は、エラーの原因が対処済みであることを確認した後、エラーを解除しエラー発生前の表示画面に戻す。なお、店員がエラー内容への対処をせずに確認ボタンBT50に対して操作すると、POS端末20は、ダイアログ画面DG50を継続して表示、又は一旦非表示にした後再び表示する。
【0132】
また、POS端末20は、店員側表示部210にエラー内容画面(ダイアログ画面DG50)を表示させているときは、客側表示部205に休止画面(図12(F)参照)、或いは「お待ちください」などが表示される待機画面などに制御してもよい。図16(C)は、待機画面の表示例を示す図である。」
「【図2】
[図:0001425463000002.jpg]
」
「【図12】
[図:0001425463000003.jpg]
」
「【図16】
[図:0001425463000004.jpg]
」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「前面側(客側)」は、本件補正発明の「第1の方向」に相当する。したがって、引用発明の「前面側(客側)の表示部305」は、本件補正発明の「第1の方向に向けられた第1表示部」に相当する。
(イ)装置の前面と背面は異なる方向であるから、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「背面側(店員側)」は、本件補正発明の「前記第1の方向とは異なる第2の方向」に相当する。したがって、引用発明の「背面側(店員側)の表示部305」は、本件補正発明の「前記第1の方向とは異なる第2の方向に向けられた第2表示部」に相当する。
(ウ)引用発明では「商品の登録は、商品に付されているバーコードを読み取ることにより行われ」、「登録された各商品の商品識別情報、登録された各商品の商品名、販売価格、値引き情報、購入対象の商品の品数を示す取引点数(購入点数)、購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成し」ている。
引用発明では「登録データは、精算処理に用いられ」ており、「精算処理とは、登録された商品の代金を、現金を用いて支払い、決済する処理であ」るから、引用発明の「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データ」は会計のための情報であり、引用発明の「登録データを生成」する処理は、商品の価格を合算することにより会計のためのデータを生成する処理であるといえる。
「会計処理」という用語は会計のための処理一般を意味するものであるから、引用発明の「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理は、本件補正発明の「会計処理」に相当する。
(エ)引用発明の「購入対象の商品の総額(合計金額)」、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データ」は、それぞれ、本件補正発明の「会計金額」、「会計金額を有する会計情報」に相当する。
引用発明では「買上商品の登録を行った後」「精算処理」を行い、「登録データは、精算処理に用いられ」ているから、上記(ウ)を踏まえると、引用発明では「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行」う処理に伴って、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理が行われることは明らかである。
そうすると、引用発明では「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行」い、「登録データを生成」しているから、引用発明の「精算装置30」は、「スキャナ部304」を制御する動作に起因して、結果的に「登録データ」を取得しているといえる。
したがって、引用発明の「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行」う際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」することは、本件補正発明の「スキャナを制御して会計金額を有する会計情報を取得」することに相当する。
(オ)引用発明の「現金を用いて支払」うことは、本件補正発明の「金銭を投入する」ことに相当する。引用発明では「精算処理とは、登録された商品の代金を、現金を用いて支払い、決済する処理であ」るから、引用発明の「精算処理」は、本件補正発明の「金銭を投入する」処理を含むものである。
(カ)引用発明では「登録データは、精算処理に用いられ」ているから、引用発明で「フルセルフモードとして動作しているとき、客が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行って決済部310を操作して精算処理を行」う際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理が行われることは明らかである。
よって、上記(ウ)を踏まえると、引用発明の「客が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行って決済部310を操作して精算処理を行」う「フルセルフモード」は、本件補正発明の「顧客の操作により会計処理を実行する第1モード」に相当する。
したがって、上記(エ)を踏まえると、引用発明の「フルセルフモードとして動作しているとき、客が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行って決済部310を操作して精算処理を行」う際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」することと、本件補正発明の「顧客の操作により会計処理を実行する第1モードの場合に、第1スキャナを制御して会計金額を有する会計情報を取得」することとは、「顧客の操作により会計処理を実行する第1モードの場合に、スキャナを制御して会計金額を有する会計情報を取得」する点で共通する。
(キ)引用発明では「登録データは、精算処理に用いられ」ているから、引用発明で「セミセルフモードとして動作しているとき、店員が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行った後、客が決済部310を操作して精算処理を行」う際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理が行われることは明らかである。
よって、上記(ウ)、(オ)を踏まえると、引用発明の「店員が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行った後、客が決済部310を操作して精算処理を行」う「セミセルフモード」は、本件補正発明の「店員の操作により会計処理を実行し顧客が金銭を投入する第2モード」に相当する。
したがって、上記(エ)を踏まえると、引用発明の「セミセルフモードとして動作しているとき、店員が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行った後、客が決済部310を操作して精算処理を行」う際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」することと、本件補正発明の「店員の操作により会計処理を実行し顧客が金銭を投入する第2モード」「の場合に、第2スキャナを制御して前記会計情報を取得する」こととは、「店員の操作により会計処理を実行し顧客が金銭を投入する第2モード」「の場合に、スキャナを制御して前記会計情報を取得する」点で共通する。
(ク)引用発明では「通常モードで動作するときにおいても、セミセルフモードで動作するときと同様に処理を行」っているから、引用発明の「店員が買上商品の登録と精算処理とを行う通常モード」においても、「店員が」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行」う処理を実行しているといえる。
そして、引用発明では「登録データは、精算処理に用いられ」ているから、引用発明の「通常モード」で「店員が買上商品の登録と精算処理とを行う」際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理が行われることは明らかである。
よって、上記(ウ)、(オ)を踏まえると、引用発明の「店員が買上商品の登録と精算処理とを行う通常モード」は、本件補正発明の「店員の操作により会計処理を実行し店員が金銭を投入する第3モード」に相当する。
したがって、上記(エ)を踏まえると、「通常モード」で「店員が買上商品の登録と精算処理とを行う」際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」することと、本件補正発明の「店員の操作により会計処理を実行し店員が金銭を投入する第3モードの場合に、第2スキャナを制御して前記会計情報を取得する」こととは、「店員の操作により会計処理を実行し店員が金銭を投入する第3モードの場合に、スキャナを制御して前記会計情報を取得する」点で共通する。
(ケ)上記(カ)~(ク)で述べた、引用発明の「フルセルフモードとして動作しているとき、客が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行って決済部310を操作して精算処理を行」う際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理、「セミセルフモードとして動作しているとき、店員が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行った後、客が決済部310を操作して精算処理を行」う際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理、及び、「通常モード」で「店員が買上商品の登録と精算処理とを行う」際に、「商品に付されているバーコードを読み取」り、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理は、引用発明の「精算装置30」における何らかの手段で実現されることは明らかであり、その手段は、「読取制御部」と称することができるものである。
(コ)上記(カ)を踏まえると、引用発明の「フルセルフモードとして動作しているとき、客が、前面側に設けられた表示部305および操作部306や、スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行って決済部310を操作して精算処理を行」うことと、本件補正発明の「前記第1モードの場合に、前記第1表示部にはエラーが発生したことを通知する通知画面を表示させ、前記第2表示部にはエラーから復旧させる情報が示される復旧画面を表示させ」ることとは、「前記第1モードの場合に、処理を行わせ」る点で共通する。
(サ)引用発明の「エラー処理のガイダンス」は、本件補正発明の「エラーから復旧させる情報が示される復旧画面」に相当する。
したがって、上記(イ)、(キ)を踏まえると、引用発明の「セミセルフモードで動作する対面型の精算装置30を備えるPOSシステムでは、」「エラー処理のガイダンスを背面側(店員側)の表示部305に表示させ」ることは、本件補正発明の「前記第2モード」「の場合に、前記第2表示部に前記復旧画面を表示させる」ことに相当する。
(シ)上記(ク)を踏まえると、引用発明の「通常モードで動作するときにおいても、セミセルフモードで動作するときと同様に処理を行」うことと、本件補正発明の「前記第3モードの場合に、前記第2表示部に前記復旧画面を表示させる」ことは、「前記第3モードの場合に、処理を行わせる」点で共通する。
(ス)「セミセルフモードとフルセルフモードの他に、店員が買上商品の登録と精算処理とを行う通常モードで」「動作する」「精算装置30」が、それぞれのモードでの処理を制御する制御部を備えることは明らかである。
(セ)引用発明の「精算装置30」は、後述する相違点を除き、本件補正発明の「会計装置」に相当する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「第1の方向に向けられた第1表示部と、
前記第1の方向とは異なる第2の方向に向けられた第2表示部と、
顧客の操作により会計処理を実行する第1モードの場合に、スキャナを制御して会計金額を有する会計情報を取得し、店員の操作により会計処理を実行し顧客が金銭を投入する第2モード及び店員の操作により会計処理を実行し店員が金銭を投入する第3モードの場合に、スキャナを制御して前記会計情報を取得する読取制御部と、
前記第1モードの場合に、処理を行わせ、前記第2モードの場合に、前記第2表示部に前記復旧画面を表示させ、前記第3モードの場合に、処理を行わせる制御部と、
を備える会計装置。」
(相違点)
(相違点1)
本件補正発明では、「第1モードの場合に、第1スキャナを制御して会計金額を有する会計情報を取得し、」「第2モード及び」「第3モードの場合に、第2スキャナを制御して前記会計情報を取得」しているのに対し、引用発明では、「フルセルフモード」と、「セミセルフモード」及び「通常モード」とで異なるスキャナを制御しているかが不明である点。
(相違点2)
本件補正発明では「前記第1モードの場合に、前記第1表示部にはエラーが発生したことを通知する通知画面を表示させ、前記第2表示部にはエラーから復旧させる情報が示される復旧画面を表示させ」るのに対し、引用発明では、「フルセルフモード」でエラーが発生した場合に、どのような処理を行わせるかが不明である点。
(相違点3)
本件補正発明では「前記第3モードの場合に、前記第2表示部に前記復旧画面を表示させる」のに対し、引用発明では、「通常モード」でエラーが発生した場合に、どのような処理を行わせるかが不明である点。
(4)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
上記(2)ア(ア)cの段落【0111】には「スキャナ部304を店員側と客側に備え、店員側と客側の両方で買上商品の登録を行うことができるようにしてもよい。」との記載がある。引用発明においてスキャナ部304を店員側と客側に備えた場合、「客が」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行」う「フルセルフモード」では「客側」のスキャナ部を用いるのが自然であり、また、「店員が」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行」う「セミセルフモード」及び「店員が買上商品の登録」「を行う通常モード」では「店員側」のスキャナ部を用いるのが自然である。したがって、引用発明において「フルセルフモード」の場合に「客側」のスキャナ部を制御し、「セミセルフモード」及び「通常モード」の場合に「店員側」のスキャナ部を制御するように構成することは当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
引用文献2には、フルセルフモードにおいてオフラインエラーが発生すると、エラーが発生したことにより店員を呼出していることを客に通知するための店員呼出画面を客側表示部205及び店員側表示部210に表示し、特定の操作を受け付けるとエラー内容や対処方法などが表示されるエラー内容画面を店員側表示部210に表示する技術事項が記載されている。
引用発明と引用文献2に記載された技術事項とは、店員側及び客側の表示部を備える会計装置の会計処理のモードに関するものである点、及び、エラー発生時に店員側及び客側の表示部にそれぞれ異なる内容を表示することが可能である点において共通しているから、引用発明において、「フルセルフモード」の場合に、「前面側(客側)の表示部305」にエラーが発生したことにより店員を呼出していることを客に通知するための店員呼出画面を表示し、「背面側(店員側)の表示部305」にとエラー内容や対処方法などが表示されるエラー内容画面を表示することにより、「前記第1表示部にはエラーが発生したことを通知する通知画面を表示させ、前記第2表示部にはエラーから復旧させる情報が示される復旧画面を表示させ」る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
ウ 相違点3について
引用発明は「通常モードで動作するときにおいても、セミセルフモードで動作するときと同様に処理を行」うものであり、また、引用発明の「店員が買上商品の登録と精算処理とを行う通常モード」においても、エラーが発生した場合にエラー処理を行うのは店員であり、店員に対して「エラー処理のガイダンス」を提示する必要があると考えられるから、引用発明において、当該「通常モード」でエラーが発生した場合にも、「セミセルフモード」の場合と同様に「エラー処理のガイダンスを背面側(店員側)の表示部305に表示させ」るように構成することは当業者が容易になし得たことである。
エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
カ 請求人の主張について
請求人は、令和7年3月17日提出の意見書において、本願では、会計時に商品の登録は行わず、会計金額が算出済みである状態を想定しているのに対して、引用文献1及び2に記載されたセミセルフモードは、店員が商品の登録を行い顧客が会計の全てを操作するものであるから、引用文献1及び2には、店員の操作により会計処理を実行し顧客が金銭を投入する第2モードについて記載されていない旨主張している。
しかし、請求項1には、会計時に商品の登録は行わず、会計金額が算出済みであることは記載されていない。そして、上記(3)アで述べたように、引用発明の「店員が、」「スキャナ部304を用いて買上商品の登録を行った後、客が決済部310を操作して精算処理を行」う「セミセルフモード」では、店員が買上商品の登録を行った際に、「購入対象の商品の総額(合計金額)を含」む「登録データを生成」する処理が行われており、本件補正発明の「店員の操作により会計処理を実行し顧客が金銭を投入する第2モード」に相当するから、請求人の上記主張は採用できない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和7年3月17日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年12月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[補正の却下の決定の理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 当審拒絶理由の概要
令和7年1月17日付けで当審が通知した当審拒絶理由は、本願の請求項1-2に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、本願の請求項1-2に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、本願の請求項3、5に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術事項、及び、引用文献3に記載された周知技術に基づいて、本願の請求項4に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2、4に記載された技術事項、及び、引用文献3に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2018-109932号公報
引用文献2:特開2019-133595号公報
引用文献3:特開2017-107428号公報
引用文献4:特開2019-21105号公報
3 引用文献
当審拒絶理由で引用された引用文献1及び2の記載事項は、前記第2の[補正の却下の決定の理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[補正の却下の決定の理由]2で検討した本件補正発明から、会計情報が「会計金額を有する」限定事項、第2モードにおいて「顧客が金銭を投入する」限定事項、「店員の操作により会計処理を実行し店員が金銭を投入する第3モード」を有する限定事項、及び、「前記第3モードの場合に、前記第2表示部に前記復旧画面を表示させる」限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[補正の却下の決定の理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-009399