特許拒絶査定不服審判
2025-013088
決済装置及びそのプログラム、決済方法
- 審判番号
- 2025-013088
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-145289
- 請求日
- 2025年08月20日
- 審決日
- 2026年05月14日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝テック株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 篠塚 隆
- 審判官 田中 秀樹
- 審判官 梅本 章子
- 分類
- P18 .121-Z (G07G) / P18 .575-Z (G07G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-145289「決済装置及びそのプログラム、決済方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 3月17日出願公開、特開2023- 38518〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年9月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 7年 2月 5日付け:拒絶理由通知書
令和 7年 4月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和 7年 5月 9日付け:拒絶査定
令和 7年 8月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年8月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年8月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
売場において客が操作する可搬型の端末で入力された商品の販売に係るデータを記録し、かつ、前記可搬型の端末に対して前記客により事前に当該客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が登録されていた場合に当該サービス特定情報が追加されるデータファイルを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記データファイルに、前記可搬型の端末に対して前記客により事前に登録されていたことで前記データファイルに追加される、当該客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が含まれているか否かを確認する確認手段と、
前記データファイルに前記サービス特定情報が含まれていないことを条件に、前記サービス特定情報を当該客が有しているか否かを確認するための告知を行い、有しているか否かの指示入力を待ち受ける告知手段と、
前記告知に対してサービス特定情報を有している旨の指示入力を受けた場合、当該サービス特定情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により入力を受け付けた前記サービス特定情報で特定される前記サービスを前記客に供与するための処理を行う供与手段と、
前記告知に対してサービス特定情報を有していない旨の指示入力を受けた場合、又は、前記受付手段により前記サービス特定情報の入力を受け付けた後に、前記取得手段により取得した前記データファイルのデータを基に決済処理を実行する決済手段と、
を具備する決済装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和7年4月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
売場において客が操作する可搬型の端末で入力された商品の販売に係るデータを記録したデータファイルを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記データファイルに、前記可搬型の端末に対して前記客により事前に登録される、当該客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が含まれているか否かを確認する確認手段と、
前記データファイルに前記サービス特定情報が含まれていないことを条件に、前記サービス特定情報を当該客が有しているか否かを確認するための告知を行い、有しているか否かの指示入力を待ち受ける告知手段と、
前記告知に対してサービス特定情報を有している旨の指示入力を受けた場合、当該サービス特定情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により入力を受け付けた前記サービス特定情報で特定される前記サービスを前記客に供与するための処理を行う供与手段と、
前記告知に対してサービス特定情報を有していない旨の指示入力を受けた場合、又は、前記受付手段により前記サービス特定情報の入力を受け付けた後に、前記取得手段により取得した前記データファイルのデータを基に決済処理を実行する決済手段と、
を具備する決済装置。」
(3)補正の目的本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「データファイル」の内容について、「前記可搬型の端末に対して前記客により事前に当該客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が登録されていた場合に当該サービス特定情報が追加される」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
2 補正の適否
本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2020-109694号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審にて付した。以下同様。)。
「【0009】
図1は、本実施形態におけるチェックアウトシステム10の斜視図である。チェックアウトシステム10は、少なくとも1台の商品登録装置11と、少なくとも1台の決済装置12とを含む。図1においては、2台の商品登録装置11と4台の決済装置12とを含んだチェックアウトシステム10を示している。チェックアウトシステム10が、商品登録装置11および決済装置12をそれぞれ何台含むかは任意であり、商品登録装置11と決済装置12との台数の比も任意である。商品登録装置11および決済装置12は、スーパーマーケットなどの店舗のチェックアウトコーナーに設置される。
【0010】
商品登録装置11は、チェッカと呼ばれる役割を担った、上記店舗の従業員21が、その操作者となる。決済装置12は、上記の店舗で販売する商品を購入する買物客22が、その操作者となる。ただし決済装置12は、従業員により操作される場合もある。」
「【0028】
決済装置12は、CPU12a、ROM12b、RAM12c、補助記憶ユニット12d、自動釣銭機12e、スキャナ12f、タッチパネル12g、プリンタ12h、カードリーダライタ12i、通信ユニット12jおよび伝送システム12kを含む。」
「【0043】
上記の如く構成された商品登録装置11と決済装置12とを含むチェックアウトシステム10は、図3に示すデータテーブル31、32、33および34を、商品登録装置11および決済装置12のRAM11c、12cにそれぞれ形成する。
【0044】
データテーブル31は、会員に関する情報として、会員フラグ、会員番号および累積ポイントを格納する領域である。会員フラグは、デフォルトが“0”であり、会員による商取引のとき“1”にセットされる。会員番号は、各会員を個々に識別するために会員毎に割り当てられた固有の番号である。会員番号は、各会員がそれぞれ所有する会員カードに記述されている。カードリーダライタ11i、12iによって会員カードから読み取られた会員番号が、データテーブル31に格納される。」
「【0046】
このようなデータテーブル31は、会員テーブルと称される。以下、商品登録装置11のものを会員テーブル31aで表わし、決済装置12のものを会員テーブル31bで表わす。」
「【0048】
前述したデータベースサーバには、各商品の商品コードに関連付けて、商品名、通常単価、会員単価等の商品情報を設定するための商品データベースがある。商品登録装置11または決済装置12において、商品コードが取得されると、CPU11a、12aは、その商品コードでデータベースサーバに商品情報を問い合わせる。この問合せを受けたデータベースサーバは、商品データベースにアクセスして、商品データベースから当該商品コードに関連付けられた商品情報を読出し、LAN13を介して商品登録装置11または決済装置12に通知する。商品登録装置11または決済装置12のCPU11a、12aは、データベースサーバから通知された商品情報をデータテーブル32に格納する。
【0049】
このようなデータテーブル32は、登録商品テーブルと称される。以下、商品登録装置11のものを登録商品テーブル32aで表わし、決済装置12のものを登録商品テーブル32bで表わす。」
「【0055】
はじめに、商品登録装置11の動作について説明する。
商品登録装置11が、買上商品の登録処理を行うモードで起動されると、CPU11aは、図4の流れ図に示す手順の処理を開始する。先ずCPU11aは、データテーブル31a~34aをクリアする(Act1)。次いでCPU11aは、タッチパネル11gの画面の一部にカード問合せ画面SC1(図6を参照)を表示させて、会員カードの入力を受け付ける(Act2:カード受付手段)。」
「【0058】
そこでカード問合せ画面SC1を確認した従業員21は、買上商品の登録を申し出た買物客22に対して、会員カードの有無を問い合わせる。そして、買物客22が会員カードを提示した場合、従業員21は、ボタンB1にタッチするとともにその会員カードのデータをカードリーダライタ11iによって読み取らせる。これに対し、買物客22が会員カードを提示しなかった場合には、従業員21は、ボタンB2にタッチする。
【0059】
カード問合せ画面SC1を表示させた後、CPU11aは、ボタンB1またはB2のいずれかがタッチされるのを待ち受ける(Act3)。ボタンB1がタッチされたことを検知した場合、CPU11aは、会員による商取引であると判定する(Act3にてYES)。この場合、CPU11aは、会員テーブル31aの会員フラグを“1”にセットする(Act4)。またCPU11aは、会員番号と累積ポイントとを会員テーブル31aに登録する(Act5)。会員番号は、カードリーダライタ11iによって会員カードから読み取られた情報である。累積ポイントは、その会員番号に関連付けられて会員データベースに保存されている情報である。なお、Act4とAct5との処理手順は、実施形態に限定されるものではない。前後が逆であってもよい。」
「【0064】
カード問合せ画面SC1から登録画面SC2に切り替わったことを確認した従業員21は、例えばスキャナ11fや商品ボタンを操作して、買物客22が買い上げる商品の商品コードを順次入力する。そして、全ての買上商品の商品コードを入力し終えると、従業員21は、小計ボタンにタッチする。」
「【0070】
Act14およびAct15の待ち受け状態において、小計ボタンがタッチされたならば(Act15にてYES)、CPU11aは、図5中のAct16の処理へと進む。すなわちCPU11aは、この時点における会員テーブル31a、登録商品テーブル32aおよび合計テーブル33aの内容に基づいて決済情報を生成する(Act16:生成手段)。そしてCPU11aは、タッチパネル11gの画面の一部に転送先選択画面SC3(図8を参照)を表示させる(Act17)。
【0071】
決済情報は、登録商品の商品名、通常単価、会員単価、販売個数および販売金額のリストと、買上商品の合計個数および合計金額と、会員フラグ、会員番号および累積ポイントとを含む。したがって、会員による商取引であった場合、決済情報は、会員カードの入力を受け付けたことを示す状態“1”の会員フラグを含む。また決済情報は、その会員カードの入力を受け付けたことによって取得された会員番号および累積ポイントも含む。一方、非会員による商取引であった場合には、決済情報は、会員カードの入力を受け付けなかったことを示す状態“0”の会員フラグを含む。」
「【0085】
そこで次に、決済装置12の動作について説明する。
決済装置12が起動されると、CPU12aは、図10の流れ図に示す手順の処理を開始する。先ずCPU12aは、タッチパネル12gの画面を待機画面とする(Act31)。待機画面は、決済処理を行う状況にないことを表すものであり、どのような情報を表すかは任意であって良い。例えば待機画面は、決済処理を行うことができないことを表すメッセージを表すものや、スクリーンセーバーとして広告などを表す任意の画像を表示するものとすることが想定される。タッチパネル12gの画面を待機画面とした後、CPU12aは、決済情報を受信するのを待ち受ける(Act32)。
【0086】
前述したように商品登録装置11のCPU11aは、図5のAct28の処理において、通信ユニット11jからLAN13へと決済情報を送信する。この決済情報は、宛先となっている決済装置12に設けられた通信ユニット12jにて受信される(受信手段)。
【0087】
決済情報を受信すると(Act32にてYES)、CPU12aは、その決済情報を、会員テーブル31b、登録商品テーブル32b、合計テーブル33bおよび支払いテーブル34bに展開する(Act33)。
【0088】
すなわち、決済情報に含まれる会員フラグが“0”の場合、CPU12aは、その会員フラグを会員テーブル31bに格納する。決済情報に含まれる会員フラグが“1”の場合、CPU12aは、その会員フラグとともに決済情報に含まれる会員番号と累積ポイントとを会員テーブル31bに格納する。
【0089】
CPU12aは、決済情報に含まれる登録商品の商品名、通常単価、会員単価、販売個数および販売金額のリストを、登録商品テーブル32bに格納する。またCPU12aは、決済情報に含まれる買上商品の合計個数および合計金額を、合計テーブル33bに格納する。さらにCPU12aは、決済情報に金券支払い情報が含まれる場合、その金券支払い情報を構成する支払い種別と支払い金額とを支払いテーブル34bに格納する。
【0090】
次にCPU12aは、会員テーブル31bに格納された会員フラグを調べる。すなわちCPU12aは、受信した決済情報が、商品登録装置11にて会員カードが提示され、会員の商取引として処理された情報であるか否かを判定する(Act34:判定手段)。会員フラグが“1”の場合、受信した決済情報は、会員の商取引として処理された情報である。この場合(Act34にてYES)、CPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部に第1の決済画面SC5(図11を参照)を表示させる(Act40:選択表示手段)。第1の決済画面SC5の詳細については、後述する。
【0091】
一方、会員フラグが“0”の場合、受信した決済情報は、非会員の商取引として処理された情報である。この場合(Act34にてNO)、CPU12aは、支払いテーブル34bに金券支払い情報が格納されているか否かを確認する(Act35)。支払いテーブル34bに金券支払い情報が格納されていない場合、商品登録装置11にて決済が行われていない。この場合(Act35にてNO)、CPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部にカード問合せ画面SC1を表示させて、会員カードの入力を受け付ける(Act36:確認表示手段)。なお、カード問合せ画面SC1は、商品登録装置11において、Act2の処理で表示されるカード問合せ画面SC1と同一である。このため、ここでの説明は省略する。
【0092】
カード問合せ画面SC1を確認した買物客22は、会員カードの有無を再度確認する。そして会員カードを所持していない場合、買物客22は、ボタンB2にタッチする。これに対し、買上商品の登録時には見つからなかった会員カードを探し出した場合には、買物客22は、ボタンB1にタッチするとともにその会員カードのデータをカードリーダライタ12iによって読み取らせる。
【0093】
カード問合せ画面SC1を表示させた後、CPU12aは、ボタンB1またはB2のいずれかがタッチされるのを待ち受ける(Act37)。そしてボタンB2がタッチされたことを検知した場合(Act37にてNO)、CPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部に第2の決済画面SC6(図12を参照)を表示させる(Act41:選択表示手段)。第2の決済画面SC6の詳細については、後述する。
【0094】
これに対し、ボタンB1がタッチされたことを検知した場合には(Act37にてYES)、CPU12aは、会員テーブル31bの会員フラグを“1”に書き換える。またCPU12aは、会員番号と累積ポイントとを会員テーブル31bに登録する(Act38)。会員番号は、カードリーダライタ12iによって会員カードから読み取られた情報である。累積ポイントは、その会員番号に関連付けられて会員データベースに保存されている情報である。
【0095】
次いでCPU12aは、登録商品テーブル32bに格納されたレコード毎に、金額のデータを、そのレコードの会員価格に個数を乗算した値に書き換える。また、合計テーブル33bの金額合計のデータを、登録商品テーブル32bに格納された全レコードの金額の合算値に書き換える(Act39:更新手段)。その後、CPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部に第1の決済画面SC5(図11を参照)を表示させる(Act40:選択表示手段)。」
「【0101】
第1の決済画面SC5または第2の決済画面SC6を表示させたCPU12aは、選択ボタンB41、B42またはB43がタッチされるのを待ち受ける(Act42)。選択ボタンB41、B42またはB43がタッチされると(Act42にてYES)、CPU12aは、そのタッチされた選択ボタンB41、B42またはB43に対応する支払い方法が選択されたとみなす。CPU12aは、その選択された支払い方法による決済処理を実行する(Act43:処理手段)。すなわち、選択ボタンB41がタッチされた場合には、CPU12aは、現金支払いに対する決済処理を実行する。選択ボタンB42がタッチされた場合には、CPU12aは、クレジット支払いに対する決済処理を実行する。選択ボタンB43がタッチされた場合には、CPU12aは、会員テーブル31bの累積ポイントを使用したポイント支払いに対する決済処理を実行する。
【0102】
これらの決済処理は、いずれも周知の処理なので、詳細な説明は省略する。因みに、会員フラグが“1”にセットされた会員取引であった場合、この決済処理において、例えば金額合計に応じてサービスポイントが算出される。このサービスポイントは、会員テーブル31bの会員番号とともにデータベースサーバに送信されて、会員データベースにて会員別に累積される。」
「【図6】
[図:0001437257000001.jpg]
」
(イ)【図6】並びに【0055】及び【0091】の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「「カード問合せ画面SC1」として、「会員カードは有りますか?」という表示と、「はい」ボタンB1及び「いいえ」ボタンB2とが表示されるという技術的事項。」
(ウ)上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「店舗のチェックアウトコーナーに設置され、従業員21が操作する少なくとも1台の商品登録装置11と、同じく上記チェックアウトコーナーに設置される少なくとも1台の決済装置12とを含むチェックアウトシステム10、における決済装置12であって(【0009】及び【0010】)、
商品登録装置11および決済装置12は、データテーブル31、32、33および34を、RAM11c及び12cにそれぞれ形成し(【0043】)、
ここで、会員テーブルと称されるデータテーブル31は、会員に関する情報として、会員フラグ、会員番号および累積ポイントを格納する領域であり、会員フラグは、デフォルトが“0”であり、会員による商取引のとき“1”にセットされ(【0044】及び【0046】)、
商品登録装置11において商品コードが取得されると、その商品コードを用いて、各商品の商品コードに関連付けて、商品名、通常単価、会員単価等の商品情報を設定するための商品データベースを備えたデータベースサーバに商品情報を問い合わせ、この問合せを受けたデータベースサーバは、商品データベースから当該商品コードに関連付けられた商品情報を読出し、商品登録装置11に通知し、商品登録装置11は、通知された商品情報を、登録商品テーブルと称されるデータテーブル32に格納し(【0048】及び【0049】)、
商品登録装置11が、買上商品の登録処理を行うモードで起動されると、タッチパネル11gの画面の一部にカード問合せ画面SC1を表示させ(【0055】)、
カード問合せ画面SC1を確認した従業員21が、買物客22に対して、会員カードの有無を問い合わせ、買物客22が会員カードを提示した場合、従業員21は、「会員カードは有りますか?」という表示に対する「はい」ボタンB1にタッチするとともにその会員カードのデータをカードリーダライタ11iによって読み取らせ(【0058】及び上記(イ))、
ここで、ボタンB1がタッチされたことを検知した場合、CPU11aは、会員による商取引であると判定し、会員テーブル31aの会員フラグを“1”にセットするとともに、会員カードから読み取られた会員番号を会員テーブル31aに登録し(【0059】)、
従業員21が、スキャナ11fや商品ボタンを操作して、買物客22が買い上げる商品の商品コードを順次入力しながら、全ての買上商品の商品コードを入力し終えて、小計ボタンにタッチすると(【0064】)、
CPU11aは、この時点における会員テーブル31a、登録商品テーブル32aおよび合計テーブル33aの内容に基づいて決済情報を生成し(【0070】)、
ここで、決済情報は、登録商品の商品名、通常単価、会員単価、販売個数および販売金額のリストと、買上商品の合計個数および合計金額と、会員フラグ、会員番号および累積ポイントとを含むものであって、非会員による商取引であった場合には、決済情報は、会員カードの入力を受け付けなかったことを示す状態“0”の会員フラグを含み(【0071】)、
決済装置12は、CPU12aを含み(【0028】)、
決済装置12が起動されると、CPU12aは、タッチパネル12gの画面を待機画面とした後、決済情報を受信するのを待ち受け(【0085】)、
商品登録装置11が決済情報を送信すると、この決済情報は、宛先となっている決済装置12にて受信され(【0086】)、
決済情報を受信すると、CPU12aは、その決済情報を、会員テーブル31b、登録商品テーブル32b、合計テーブル33bおよび支払いテーブル34bに展開し(【0087】)、
決済情報に含まれる会員フラグが“0”の場合、CPU12aは、その会員フラグを会員テーブル31bに格納し、決済情報に含まれる会員フラグが“1”の場合、CPU12aは、その会員フラグとともに決済情報に含まれる会員番号と累積ポイントとを会員テーブル31bに格納し(【0088】)、
CPU12aは、決済情報に含まれる登録商品の商品名、通常単価、会員単価、販売個数および販売金額のリストを、登録商品テーブル32bに格納するとともに、決済情報に含まれる買上商品の合計個数および合計金額を、合計テーブル33bに格納し(【0089】)、
次にCPU12aは、会員テーブル31bに格納された会員フラグを調べ(【0090】)、
会員フラグが“0”の場合、CPU12aは、支払いテーブル34bに金券支払い情報が格納されているか否かを確認し、支払いテーブル34bに金券支払い情報が格納されていない場合、CPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部に、「会員カードは有りますか?」という表示と、「はい」ボタン(B1)及び「いいえ」ボタン(B2)とが表示されるカード問合せ画面SC1を表示させて、会員カードの入力を受け付け(【0091】及び上記(イ))、
カード問合せ画面SC1を確認した買物客22が、会員カードの有無を再度確認して、買上商品の登録時には見つからなかった会員カードを探し出した場合には、買物客22は、「はい」ボタンB1にタッチするとともにその会員カードのデータをカードリーダライタ12iによって読み取らせ(【0092】)、
カード問合せ画面SC1を表示させた後、CPU12aは、「はい」ボタンB1または「いいえ」ボタンB2のいずれかがタッチされるのを待ち受け、「いいえ」ボタンB2がタッチされたことを検知した場合、CPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部に第2の決済画面SC6を表示させ(【0093】)、
これに対し、「はい」ボタンB1がタッチされたことを検知した場合には、CPU12aは、会員テーブル31bの会員フラグを“1”に書き換え、カードリーダライタ12iによって会員カードから読み取られた会員番号を会員テーブル31bに登録し(【0094】)、
次いでCPU12aは、登録商品テーブル32bに格納されたレコード毎に、金額のデータを、そのレコードの会員価格に個数を乗算した値に書き換え、合計テーブル33bの金額合計のデータを、登録商品テーブル32bに格納された全レコードの金額の合算値に書き換え、その後、CPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部に第1の決済画面SC5を表示させ(【0095】)、
第1の決済画面SC5または第2の決済画面SC6を表示させたCPU12aは、選択ボタンB41、B42またはB43がタッチされるのを待ち受け、選択ボタンB41、B42またはB43がタッチされると、CPU12aは、そのタッチされた選択ボタンB41、B42またはB43に対応する支払い方法が選択されたとみなし、CPU12aは、その選択された支払い方法による決済処理を実行し(【0101】)、
会員フラグが“1”にセットされた会員取引であった場合、この決済処理において、金額合計に応じてサービスポイントが算出され、会員データベースにて会員別に累積される(【0102】)
決済装置12。」
イ 引用文献2
(ア)同じく原査定に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2020-67974号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「【0009】
図1は、本実施形態に係るカート端末1の外観構成の一例を示す図である。カート端末1は、小売りの店舗に設置されて商品の運搬に用いられるカート(ショッピングカート)3に取り付けて用いられる。
【0010】
カート端末1は、例えばタブレット端末等の情報処理装置であり、タッチパネル構成の表示デバイスを備える(図2参照)。また、カート端末1の本体部11には、着脱可能な読取装置2が接続されている。」
「【0054】
次に、図8を参照して、カート端末1の動作について説明する。図8は、カート端末1が実行する商品登録処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
まず、ログイン処理部101は、読取装置2から会員コードが入力されるまで待機する(ステップS11;No)。読取装置2で読み取られた会員コードが入力されると(ステップS11;Yes)、ログイン処理部101は、入力された会員コードに対応するポイント情報をポイント管理ファイルF2から読み出す(ステップS12)。次いで、表示制御部107は、ログイン処理部101が読み出したポイント情報に含まれる累積ポイント数等をポイント表示領域G13に表示させる(ステップS13)。
【0056】
続いて、商品登録部102は、読取装置2から商品コードが入力されたか否かを判定する(ステップS14)。読取装置2から商品コードが入力されると(ステップS14;Yes)、商品登録部102は、入力された商品コードを商品登録ファイルF3に格納することで、購入候補となる商品を登録する(ステップS15)。次いで、購入金額算出部103は、登録された商品の購入金額を算出し(ステップS16)、ステップS25に移行する。なお、表示制御部107は、商品の登録が行われる毎に、当該商品の商品名や点数、購入金額等を商品表示領域G11や合計表示領域G12に表示させる。」
「【0074】
また、上記実施形態では、会員コードの読み取りを必須としたが、会員コードの読み取りを不要としてもよい。この場合、表示制御部107は、累積ポイント数の表示は行わずに、仮ポイント数及び仮特別ポイント数の表示を行うものとする。また、上記実施形態では、読取装置2を用いて会員コードを読み取る(入力する)形態としたが、これに限らないものとする。例えば、会員コードがICカード等の媒体に記憶される場合、ICカードリーダ等の装置を用いて会員コードを読み取る(入力する)形態としてもよい。また、商品コートの読み取りについても、コードシンボルに限定されるものではなく、例えば商品に付されたRFIDタグから商品コートを読み取る形態としてもよい。」
(イ)上記記載から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。
「小売りの店舗に設置されて商品の運搬に用いられるカート(ショッピングカート)3に取り付けて用いられるカート端末1であって(【0009】)、
カート端末1の本体部11には、着脱可能な読取装置2が接続されており(【0010】)、
まず、読取装置2で読み取られた会員コードが入力されると、入力された会員コードに対応するポイント情報をポイント管理ファイルF2から読み出し(【0055】)、
続いて、読取装置2から商品コードが入力されたか否かを判定し、読取装置2から商品コードが入力されると、入力された商品コードを商品登録ファイルF3に格納することで、購入候補となる商品を登録するが(【0056】)、
上記会員コードの読み取りは不要としてもよい(【0074】)、
カート端末1。」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)本件補正発明の「決済装置」について
引用発明の「決済装置12」は、「店舗のチェックアウトコーナーに設置され」る「決済装置」であることから、本件補正発明の「決済装置」に相当する。
(イ)本件補正発明の「取得手段」について
引用発明の「決済情報」は、「登録商品の商品名、通常単価、会員単価、販売個数および販売金額のリストと、買上商品の合計個数および合計金額と」「を含むもの」であることから、本件補正発明の「商品の販売に係るデータを記録し」たものに相当する。
そして、引用発明の「決済情報」には、上述のとおり「登録商品」の「商品名」や「販売金額」等の「登録商品」に関する情報が含まれるところ、ここでの「登録商品」とは、「商品登録装置11」において「従業員21が、スキャナ11fや商品ボタンを操作して、買物客22が買い上げる商品の商品コードを順次入力し」て得られた「商品」であることから、引用発明の「商品登録装置11」は、本件補正発明の「端末」に相当し、引用発明において「商品登録装置11」で入力された「商品」である「登録商品」は、本件補正発明の「端末で入力された商品」に相当する。
したがって、引用発明において「商品登録装置11」で入力された「商品」に関する「決済情報」は、本件補正発明の「端末で入力された商品の販売に係るデータを記録し」たものに相当する。ここで、引用発明における「決済情報」は、本件補正発明の「データファイル」と、「情報」である点で共通する。
また、引用発明では、「決済処理において、金額合計に応じてサービスポイントが算出され、会員データベースにて会員別に累積される」ところ、ここで「累積」の対象となる「サービスポイント」は、「会員データベース」に「格納」された「会員番号」によって特定されることは明らかであることから、引用発明の「会員番号」は、本件補正発明の「客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報」に相当する。
そして、引用発明において、「決済装置12」が「受信」する「決済情報」は、上述した「登録商品の商品名、通常単価、会員単価、販売個数および販売金額のリストと、買上商品の合計個数および合計金額」に加えて、「会員フラグ、会員番号および累積ポイントとを含むもの」であって、この「決済情報」に含まれる「会員番号」は、「商品登録装置11」において「会員カードのデータをカードリーダライタ11iによって読み取らせ」、「会員テーブル31aに登録」された「会員番号」であることから、引用発明における当該「会員番号」は、本件補正発明の「端末に対して」「事前に」「登録されていた」「客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報」に相当する。
さらに、引用発明における「決済情報」は、「会員テーブル31a、登録商品テーブル32aおよび合計テーブル33aの内容に基づいて」「生成」されたものであって、「会員フラグ、会員番号および累積ポイントとを含むもの」であることから、本件補正発明と同様に、「端末に対して」「事前に」「客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報」が「登録されていた場合」に、当該「サービス特定情報」が「追加される」情報であるといえる。
したがって、引用発明において「決済情報」を「受信する」「決済装置12」は、本件補正発明の「取得手段」に相当する構成を備えているといえ、引用発明の「決済装置12」が「受信する」「決済情報」は、本件補正発明の「データファイル」と、「端末で入力された商品の販売に係るデータを記録し」、「前記」の「端末に対して」「事前に」「客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が登録されていた場合に当該サービス特定情報が追加される」情報である点で共通する。
(ウ)本件補正発明の「確認手段」について
引用発明では、「決済装置12」が、「決済情報」に含まれる「会員フラグ」と、「会員フラグが“1”の場合」には「会員番号」と、を「会員テーブル31bに格納」した後、「会員テーブル31bに格納された会員フラグを調べ」るところ、ここで「会員フラグ」によって「決済情報」に「会員番号」が含まれているか否かが一意に確認できることから、引用発明の「決済装置12」は、本件補正発明の「当該客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が含まれているか否かを確認する確認手段」に相当する構成を備えているといえる。
なお、引用発明の「決済情報」と、本件補正発明の「データファイル」との共通点は、前記(イ)で示したとおりである。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記取得手段により取得した」情報に、「前記」「端末に対して」「事前に登録されていたことで」前記情報に「追加される」、「当該客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が含まれているか否かを確認する確認手段」を備えている点で共通する。
(エ)本件補正発明の「告知手段」について
引用発明では、「決済装置12」が、「会員テーブル31bに格納された会員フラグを調べ」、「会員フラグが“0”の場合」、「「会員カードは有りますか?」という表示と、「はい」ボタン(B1)及び「いいえ」ボタン(B2)とが表示されるカード問合せ画面SC1を表示させて、会員カードの入力を受け付け」るところ、ここで「会員フラグが“0”の場合」とは、「会員テーブル31b」に「会員番号」が「格納」されていない場合であって、本件補正発明の「前記サービス特定情報が含まれていない」場合に相当する。
そして、引用発明の「決済装置12」において表示される「カード問合せ画面SC1」における「会員カードは有りますか?」という「表示」は、本件補正発明の「前記サービス特定情報を当該客が有しているか否かを確認するための告知」に相当し、前記「カード問合せ画面SC1」において「「はい」ボタン(B1)及び「いいえ」ボタン(B2)」を「表示」することは、本件補正発明同様、「有しているか否かの指示入力を待ち受ける」ことに他ならない。
したがって、上記(イ)で示したように、引用発明の「決済情報」と、本件補正発明の「データファイル」とは、共に「情報」である点で共通し、後記相違点を除いて、本件補正発明の「告知手段」に関して、本件補正発明と引用発明とは一致する。
すなわち、引用発明の「決済装置12」は、本件補正発明の、「前記」情報に「前記サービス特定情報が含まれていないことを条件に、前記サービス特定情報を当該客が有しているか否かを確認するための告知を行い、有しているか否かの指示入力を待ち受ける告知手段」に対応する構成を備えているといえる。
(オ)本件補正発明の「受付手段」について
引用発明では、「決済装置12」が、「カード問合せ画面SC1を表示させて、会員カードの入力を受け付け」ること、また、「買上商品の登録時には見つからなかった会員カードを探し出した場合には、買物客22は、「はい」ボタンB1にタッチするとともにその会員カードのデータをカードリーダライタ12iによって読み取らせ」ることから、引用発明の「決済装置12」は、本件補正発明の「前記告知に対してサービス特定情報を有している旨の指示入力を受けた場合、当該サービス特定情報の入力を受け付ける受付手段」に相当する構成を備えているといえる。
(カ)本件補正発明の「供与手段」について
引用発明では、「決済装置12」が、「カード問合せ画面SC1」において「「はい」ボタンB1がタッチされたことを検知した場合」には、「会員テーブル31bの会員フラグを“1”に書き換え」、そして、「会員フラグが“1”にセットされた会員取引であった場合、この決済処理において、金額合計に応じてサービスポイントが算出され、会員データベースにて会員別に累積される」ところ、引用発明において「金額合計に応じてサービスポイントが算出され」、「会員別に累積」することは、本件補正発明の「前記サービスを前記客に供与するための処理」に相当する。
また、引用発明では、「カード問合せ画面SC1を表示させて、会員カードの入力を受け付け」ることから、引用発明において「累積」される「サービスポイント」は、本件補正発明と同様に「前記受付手段により入力を受け付けた前記サービス特定情報で特定される」ものであるといえる。
したがって、引用発明の「決済装置12」は、本件補正発明の「前記受付手段により入力を受け付けた前記サービス特定情報で特定される前記サービスを前記客に供与するための処理を行う供与手段」に相当する構成を備えているといえる。
(キ)本件補正発明の「決済手段」について
引用発明では、「決済装置12」が、「カード問合せ画面SC1を表示させた後」の処理として、「「いいえ」ボタンB2がタッチされたことを検知した場合」には「第2の決済画面SC6を表示させ」る一方、「「はい」ボタンB1がタッチされたことを検知した場合」には「カードリーダライタ12iによって会員カードから読み取られた会員番号を会員テーブル31bに登録し」て「第1の決済画面SC5を表示させ」るところ、引用発明において「「いいえ」ボタンB2がタッチされたことを検知した場合」は、本件補正発明の「前記告知に対してサービス特定情報を有していない旨の指示入力を受けた場合」に相当し、引用発明において「カードリーダライタ12iによって会員カードから読み取られた会員番号を会員テーブル31bに登録」することは、本件補正発明の「前記受付手段により前記サービス特定情報の入力を受け付け」ることに相当する。
そして、引用発明では、「決済装置12」が「第1の決済画面SC5または第2の決済画面SC6を表示させた」後、「決済処理を実行」することから、引用発明の「決済装置12」は、本件補正発明の「前記告知に対してサービス特定情報を有していない旨の指示入力を受けた場合、又は、前記受付手段により前記サービス特定情報の入力を受け付けた後に」、「決済処理を実行する決済手段」を備えているといえる。
ここで、引用発明では、「「いいえ」ボタンB2がタッチされたことを検知した場合」(上述のとおり、本件補正発明の「前記告知に対してサービス特定情報を有していない旨の指示入力を受けた場合」に相当)には、「「決済情報に含まれる買上商品の合計個数および合計金額を、合計テーブル33bに格納し」、その後、「決済処理を実行」することから、引用発明では本件補正発明と同様に、「前記告知に対してサービス特定情報を有していない旨の指示入力を受けた場合」に、「前記取得手段により取得した前記」情報の「データを基に決済処理を実行する」といえる。
さらに、引用発明では、「決済装置12」が、「カードリーダライタ12iによって会員カードから読み取られた会員番号を会員テーブル31bに登録」する場合(上述のとおり、本件補正発明の「前記受付手段により前記サービス特定情報の入力を受け付け」る場合に相当)には、「登録商品テーブル32bに格納されたレコード毎に、金額のデータを、そのレコードの会員価格に個数を乗算した値に書き換え、合計テーブル33bの金額合計のデータを、登録商品テーブル32bに格納された全レコードの金額の合算値に書き換え」、その後、「決済処理を実行」するところ、ここで「決済処理」が「実行」される「金額の合計値」は、「登録商品テーブル32bに格納されたレコード」に対して「書き換え」られたものであることから、引用発明における「決済装置12」は、本件補正発明と同様に、「前記取得手段により取得した」情報の「データを基に決済処理を実行する」といえる。
したがって、引用発明の「決済装置12」は、本件補正発明の「前記告知に対してサービス特定情報を有していない旨の指示入力を受けた場合、又は、前記受付手段により前記サービス特定情報の入力を受け付けた後に、前記取得手段により取得した前記」情報の「データを基に決済処理を実行する決済手段」に対応する構成を備えているといえる。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「端末で入力された商品の販売に係るデータを記録し、かつ、前記端末に対して事前に客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が登録されていた場合に当該サービス特定情報が追加される情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記情報に、前記端末に対して事前に登録されていたことで前記情報に追加される、当該客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が含まれているか否かを確認する確認手段と、
前記情報に前記サービス特定情報が含まれていないことを条件に、前記サービス特定情報を当該客が有しているか否かを確認するための告知を行い、有しているか否かの指示入力を待ち受ける告知手段と、
前記告知に対してサービス特定情報を有している旨の指示入力を受けた場合、当該サービス特定情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により入力を受け付けた前記サービス特定情報で特定される前記サービスを前記客に供与するための処理を行う供与手段と、
前記告知に対してサービス特定情報を有していない旨の指示入力を受けた場合、又は、前記受付手段により前記サービス特定情報の入力を受け付けた後に、前記取得手段により取得した前記情報のデータを基に決済処理を実行する決済手段と、
を具備する決済装置。」
<相違点1>
「商品の販売に係るデータ」が入力される「端末」が、本件補正発明では「売場において客が操作する可搬型」であるのに対し、引用発明では「店舗のチェックアウトコーナーに設置され、従業員21が操作する」ものである点。
<相違点2>
「客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報」の「登録」が、本件補正発明では「客により」行われるのに対し、引用発明では「従業員」により行われる点。
<相違点3>
「端末で入力された商品の販売に係るデータを記録し」、かつ、「端末に対して」「事前に」「客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が登録されていた場合に当該サービス特定情報が追加される」情報が、本件補正発明では「データファイル」であるのに対し、引用発明では、複数の「テーブル」から構成される情報であって「データファイル」であることが特定されていない点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1及び相違点2について
引用発明のように、「店舗」において用いられ、買物客が買い上げる商品を入力する「商品登録装置」として、買物客が操作する可搬型の端末は、例えば引用文献2に「カート端末1」として記載されているように周知であることから、引用発明の「チェックアウトシステム」における「商品登録装置」として当該周知技術を適用して、相違点1及び相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点3について
まず、本件補正発明における「データファイル」について検討すると、一般的に「データファイル」とは、文書、画像、音声、数値等の「情報」をコンピュータ上で保存したり管理したりするための「ファイル」であると解され、一般的な形式(.txt, .xlsx, .csv等)からアプリケーション固有の形式まで様々なものが存在するところ、本件補正発明において「データファイル」の形式等は特定されていない。そこで、本願明細書を参酌すると、段落【0027】には、「取引ファイルは、買物支援端末2を介して入力された商品コードで識別される商品の商品販売データを記憶するためのデータファイルである。」という記載、すなわち、「データファイル」の用途を示す記載は存在するものの「データファイル」の形式等を特定する記載は存在せず、本願明細書を参酌しても、本件補正発明の「データファイル」に関してファイル形式等は特定されていない。
したがって、本件補正発明における「データファイル」には、一般的な形式のファイルが含まれるものと認定する。
そうすると、引用発明において「端末で入力された商品の販売に係るデータを記録し」かつ、「端末に対して」「事前に」「客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が登録されていた場合に当該サービス特定情報が追加される」情報を、一般的な形式の「ファイル」として構成し、相違点3に係る構成とすることは、当業者であれば適宜なし得ることにすぎない。
ウ 作用効果について
本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)請求人の主張について
ア 請求人の主張
請求人は、審判請求書において、進歩性に関して、概略以下の旨を主張している。
・「売り場において客が操作する可搬型の端末の技術分野において、該端末に対して事前に会員登録することが周知技術であったとしても」、「客により事前に登録した情報がデータファイルに追加されることを示唆するものではありません。」
・「したがって、たとえ端末に対して事前に会員登録することが周知技術であったとしても、商品登録装置が取得するデータファイルが、客により事前に登録した情報が追加されるデータファイルであること、また、そのデータファイルに客により事前に登録されていたことで追加される情報が有るか否かを確認するような技術思想までは、到底想起することは出来ません。」
イ 請求人の主張についての検討
請求人は、「端末に対して」「客により事前に登録した情報がデータファイルに追加されること」が周知技術として示唆されていないことをもって、引用発明及び周知技術に基づいて本件補正発明に想到することはできない旨を主張しているが、引用発明は、上記第2の2(3)ア(イ)に示したとおり、「端末に対して」「事前に登録した情報がデータファイルに追加されること」に対応する構成を備えているといえる。
そして、引用発明においては、前記情報が「客により」登録されたものでない点で本件補正発明と相違するものの、当該相違点(相違点2)については、上記第2の2(2)イに示したとおり、周知技術として示した引用文献2に記載されている。
したがって、引用発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、当該相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
すなわち、請求人の上記主張は、「端末に対して」「客により事前に登録した情報がデータファイルに追加されること」が、1つの引用発明又は1つの周知技術として示されていないことを単に主張しているにすぎず、本件補正発明が、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとする判断を左右するものではない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和7年8月20日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和7年4月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-8に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献Aに記載された発明及び引用文献B-Eに記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献A:特開2020-109694号公報(上記「引用文献1」と同じ)
引用文献B:特開2020-27584号公報
引用文献C:国際公開第2021/79764号
引用文献D:特開2020-177313号公報
引用文献E:特開2020-67974号公報(上記「引用文献2」と同じ)
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献A及びEの記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「データファイル」について、「前記可搬型の端末に対して前記客により事前に当該客に供与されるサービスを特定するためのサービス特定情報が登録されていた場合に当該サービス特定情報が追加される」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用文献Aに記載された発明及び引用文献Eに記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-013088