特許拒絶査定不服審判
2024-007407
可撓性シャフトを有するリングホルダーを備える弁輪形成リングアセンブリ
- 審判番号
- 2024-007407
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-523389外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年05月01日
- 審決日
- 2025年08月05日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .113-Z (A61F) / P18 .121-Z (A61F) / P18 .562-Z (A61F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第184条の12第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-523389「可撓性シャフトを有するリングホルダーを備える弁輪形成リングアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月 7日国際公開、WO2020/092409、令和 4年 1月17日国内公表、特表2022-506186〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和 元年(2019年)10月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年11月 1日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 5年 9月15日付け:拒絶理由通知書
同年12月18日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 6年 2月29日付け:拒絶査定
同年 5月 1日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和 6年 5月 1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 6年 5月 1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
弁輪形成リングアセンブリであって、
心臓弁の弁輪に固定されるように構成されている弁輪形成リングと、
テンプレートおよびハンドル取り付けアセンブリを備えるリングホルダーであって、前記テンプレートは上側近位面と、下側遠位面と、形状適合接触している前記弁輪形成リングを受け入れるように構成されている周辺縁部とを備える、リングホルダーと、
ハンドルと、
を具備し、
前記ハンドル取り付けアセンブリは、可撓性シャフトと剛体ハンドルアダプタとを備え、前記可撓性シャフトは、前記テンプレートに固定されている遠位端と、前記剛体ハンドルアダプタに固定されている近位端、とを有し、前記剛体ハンドルアダプタは、前記ハンドルの剛体遠位部分に解放可能に固定可能である取り付け特徴部を有し、
前記可撓性シャフトは、前記心臓弁の前記弁輪上の前記弁輪形成リングのアクセスおよび位置決めを円滑にするように使用者が前記可撓性シャフトを塑性変形できるようにしながら、植え込み時に複数の異なる位置で前記弁輪形成リングアセンブリの形状を維持するのに十分な剛性を有しており、
前記テンプレートは、前記上側近位面から上方に突出する剛体グリップ、及び、前記上側近位面から上方に突出し、前記剛体グリップから離間した単一の切断ウェルをさらに備え、前記可撓性シャフトの前記遠位端は前記剛体グリップに取り付けられ、前記切断ウェルは前記弁輪形成リングを前記テンプレートに固定する、弁輪形成リングアセンブリ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和 5年12月18日にされた手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
弁輪形成リングアセンブリであって、
心臓弁の弁輪に固定されるように構成されている弁輪形成リングと、
テンプレートおよびハンドル取り付けアセンブリを備えるリングホルダーであって、前記テンプレートは上側近位面と、下側遠位面と、形状適合接触している前記弁輪形成リングを受け入れるように構成されている周辺縁部とを備える、リングホルダーと、
ハンドルと、
を具備し、
前記ハンドル取り付けアセンブリは、可撓性シャフトと剛体ハンドルアダプタとを備え、前記可撓性シャフトは、前記テンプレートに固定されている遠位端と、前記剛体ハンドルアダプタに固定されている近位端、とを有し、前記剛体ハンドルアダプタは、前記ハンドルの剛体遠位部分に解放可能に固定可能である取り付け特徴部を有し、
前記可撓性シャフトは、前記心臓弁の前記弁輪上の前記弁輪形成リングのアクセスおよび位置決めを円滑にするように使用者が前記可撓性シャフトを塑性変形できるようにしながら、植え込み時に複数の異なる位置で前記弁輪形成リングアセンブリの形状を維持するのに十分な剛性を有する、弁輪形成リングアセンブリ。」
2 補正の適否
本件補正が、本願の国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下「翻訳文等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かについて検討する。
本件補正は、「前記切断ウェルは前記弁輪形成リングを前記テンプレートに固定する」という記載を追加する補正を含むところ、翻訳文等には、切断ウェルが、縫合糸が吊り下げられ、切断器具が通され縫合糸を切断するように設けられることは記載されているが(段落0044、0046、0052参照。)、切断ウェルが弁輪形成リングをテンプレートに固定するという事項は翻訳文等のいずれの箇所にも記載されておらず、また、本願出願時における技術常識から自明な事項ともいえない。さらに、切断ウェルは、技術常識に照らせば、上記のとおり縫合糸を切断する機能を有するものであり、弁輪形成リングをテンプレートに固定する機能は、本来想定される切断ウェルの機能とは全く異なるものである。
したがって、本件補正は、翻訳文等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないから、この補正を含む本件補正は特許法第184条の12第2項において読み替えられた同法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
3 むすび
以上のとおり、本件補正は、同法第184条の12第2項において読み替えられた同法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~18に係る発明は、令和 5年12月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~18に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。
(新規性)本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献:米国特許出願公開第2009/0192604号明細書
3 引用文献
引用文献には、以下の事項が記載されている(下線及び和訳は当審で付した。また、「・・・」は省略を示す。)。
「[0002] ・・・In particular, the invention relates to devices ・・・for holding and delivering an annuloplasty device to the annulus during minimally invasive cardiac surgery.」
[0002] ・・・特に、本発明は・・・最小侵襲性心臓外科手術の間に弁輪形成装置を弁輪に対して保持し供給するための装置に関する。
「[0014] ・・・The sizer device and the holder device may comprise a flexible or malleable stem connected to a sizing or holding plate, and while partially retracted into the distal end of the elongate shaft, the stem of the sizer device or the holder device may be able to flex or bend.」
[0014] ・・・本発明の寸法測定装置及び保持装置は、寸法測定板又は保持板に接続された柔軟な又は可鍛性のステムを含んでもよく、細長いシャフトの遠位端内に部分的に収納される間、寸法測定装置又は保持装置のステムが曲がる又は屈曲することができる。
「[0030] ・・・FIG. 1 shows a device 100 including an elongate delivery device 110 and a holder device 120 in combination.」
[0030] ・・・図1は、細長い送達装置110と保持装置120とを組み合わせた装置100を示している。
「[0032] ・・・The holder device 120 is preferably shaped and sized to conform to the size and shape of the annuloplasty device 130 being held.」
[0032] ・・・保持装置120は、好ましくは、保持されている弁輪形成装置130の大きさ及び形状に適合するように形状及び寸法が決められている。
「[0041] The design of sizer device 340 could also be used for a holder device instead. Such a holder device (not shown) could include a malleable stem, like that shown in FIG. 3 and described above. An advantage of using a holder device with such a malleable stem portion is that a delivery device attached to the holder device could deliver the holder device to a surgical site through a transthoracic window.
[0042] FIG. 4 shows an embodiment of a sizer device 440, in accordance with the present invention. The sizer device 440 could be used with any suitable delivery device (including, but not limited to, delivery device 510, described below). The sizer device 440 includes a sizing plate 441, a malleable or shape memory or jointed stem 442 and a spherical end 443 on the stem 442.・・・
[0043] The stem 442 of sizing device 440 is preferably malleable or jointed to allow the sizing plate 441 to be moved or angled while attached to a delivery device (not shown), for example, in order to fit through a transthoracic window or surgical port during minimally invasive surgery. The spherical end 443 is provided for means to attach the sizer device 440 to a delivery device (not shown). As with the sizer device 340 in FIG. 3, the sizer device 440 may alternatively be a holder device having such features.
[0044] The sizer device 440 of FIG. 4 is preferably used with an elongate delivery device such as that shown in FIG. 5. The elongate delivery device 510 includes a proximal end 511 and a distal end 509. At the distal end 509, the delivery device 510 includes a grasping means 550 (which will be discussed in more detail below). The grasping means 550 preferably has the ability to engage or connect to the stem and/or the spherical end (both not visible in FIG. 5) of sizing device 440, although it is also contemplated that the grasping means 550 may engage or connect to other such similar features of other devices.
・・・
[0046] The grasping means 550 is shown in an exploded view in FIG. 6, along with sizing device 440. Grasping means 550 is shown to comprise first 551 and second 552 housing segments for housing a socket 553 and other components.・・・
[0047] The socket 553 is comprised of multiple portions that allow the socket 553 to open to engage the spherical end 443 on sizing device 440 while extended from the housing formed by the housing segments 551, 552. When the socket 553 is retracted into the housing formed by segments 551 and 552, the socket 553 is pushed closed between the housing segments 551, 552. The socket 553 then preferably closes around the spherical end 443 of sizing device 440. When the socket 553 is fully retracted, the stem 442 of sizing device 440 is rigidly fixed perpendicular or normal to the longitudinal axis of elongate delivery device 510. When the socket 553 is partially extended, the spherical end 443 of sizing device 440 is still retained by the socket 53, but the stem 442 is able to flex freely to be parallel or perpendicular to the longitudinal axis of the elongate delivery device 510, or to any shape provided by shape memory or malleability of stem 442. When the socket 553 is fully extended, the spherical end 443 of sizing device 440 may be released from the socket 553, and the elongate delivery device 510 may be removed from the surgical field, allowing for better visualization of the device 440 placement prior to selecting a size.」
[0041] 寸法測定装置340の構成は、代替として、保持装置に適用することもできる。このような保持装置(図示せず)は、図3に示し前述したような可鍛性のステムを含むことができる。このような可鍛性のステム部を備えた保持装置を使用する利点は、保持装置に取り付けられた送達装置が保持装置を経胸腔ウィンドウを通じて手術部位に送達できることである。
[0042] 図4は、本発明による寸法測定装置440の一実施形態を示す。寸法測定装置440は、任意の適切な送達装置(限定されないが、以下で説明する、送達装置510を含む)と共に使用することができる。寸法測定装置440は、寸法測定板441、可鍛性又は形状記憶又は連結されたステム442と、このステム442上の球状端部443を含む。・・・
[0043] 寸法測定装置440のステム442は、送達装置(図示せず)に取り付けられている間に、例えば、低侵襲性手術中の経胸腔的ウィンドウ又は外科的ポートを通るのに適合させるために、好ましくは可鍛性であるか連結され、寸法測定板441が移動又は角度付けされることを可能にする。球形端部443は、寸法測定装置440を送達装置(図示せず)に接続するための手段が設けられている。図3の寸法測定器装置340と同様に、寸法測定装置440は、代替的に、このような特徴を有する保持装置とすることができる。
[0044] 図4の寸法測定装置440は、図5に示すような細長い送達装置とともに使用されることが好ましい。細長い送達装置510は、近位端511と遠位端509を有する。遠位端509において、送達装置510は、把持手段550(以下でより詳細に説明する)を有している。把持手段550は、寸法測定装置440のステム及び/又は球状端部(いずれも図5では見えない)に係合又は接続できることが好ましく、また、把持手段550は他の装置の他の同様の特徴部分に係合又は接続してもよいと考えられる。
・・・
[0046] 把持手段550は、図6の分解図に、寸法測定装置440と共に示されている。把持手段550は、ソケット553及び他の構成要素を収容するための第1及び第2ハウジングセグメント551、552を含むように示されている。・・・
[0047] ハウジングセグメント551、552によって形成されたハウジングから延出されつつ、ソケット553は、寸法測定装置440の球状端部443と係合するように開くことができるよう、複数の部分から構成されている。ソケット553は、セグメント551及び552によって形成されたハウジング内に後退した場合、ハウジングセグメント551、552の間で押されて閉じられる。そして、ソケット553は、寸法測定装置440の球状端部443の周囲で閉じることが好ましい。ソケット553が完全に後退すると、寸法測定装置440のステム442は、細長い送達デバイス510の長手軸に直角又は垂直に強固に固定される。ソケット553が部分的に延ばされた場合に、寸法測定装置440の球状端部443は、ソケット53によって保持されたままだが、ステム442は細長い送達装置510の長手方向軸に対して並行又は直角に屈曲自在であり、あるいはステム442の形状記憶又は可鍛性により任意の形状にすることができる。ソケット553が完全に延ばされると、寸法測定装置440の球形端部443はソケット553から解放されてもよく、細長い送達装置510を手術野から取り外すことができ、サイズを選択する前に、装置440の位置の良好な可視化を可能にすることができる。
図1「
[図:0001430627000001.jpg]
」
図2「
[図:0001430627000002.jpg]
」
図4「
[図:0001430627000003.jpg]
」
図5「
[図:0001430627000004.jpg]
」
図6「
[図:0001430627000005.jpg]
」
[0014]、[0030]より、保持装置120は保持板とステムとを含むものであり、保持板は、図1、2を参照すると、細長い送達装置110側の近位面と、反対側の遠位面を有している。また、[0032]より、保持装置120の保持板は、保持される弁輪形成装置130の大きさ及び形状に適合するように形状及び寸法が決められている。
「寸法測定装置340の構成は、代替として、保持装置に適用することもできる」([0041])、「図3の寸法測定器装置340と同様に、寸法測定装置440は、代替的に、このような特徴を有する保持装置とすることができる」([0043])との記載から、引用文献には、寸法測定装置440の構成を保持装置120に適用したものが記載されている。したがって、[0014]、[0041]~[0043]から、可鍛性又は形状記憶のステム442と、このステム442上の球状端部443を含む保持装置120が記載されている。また、図1、2、4、6も参照すると、ステム442の遠位端は保持板に固定され、近位端は球状端部443に固定されていることは明らかである。
上記記載事項を総合すると、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「弁輪に対して保持し供給する弁輪形成装置130と、
保持板、可鍛性又は形状記憶のステム442、及びこのステム442上の球状端部443を有する保持装置120であって、保持板は、近位面と、遠位面と、保持される弁輪形成装置130の大きさ及び形状に適合するように形状及び寸法が決められている、保持装置120と、
球状端部443に係合又は接続できる把持手段550を遠位端509に有する細長い送達装置510と、
を具備し、
可鍛性又は形状記憶のステム442は、保持板に固定されている遠位端と、球状端部443に固定されている近位端とを有し、球状端部443は、細長い送達装置510に接続するための手段が設けられており、
可鍛性又は形状記憶のステム442は、屈曲自在であり、任意の形状にすることができ、低侵襲性手術中の経胸腔的ウィンドウ又は外科的ポートを通るのに適合させるために、保持板が移動又は角度付けされることを可能にし、保持装置120に取り付けられた細長い送達装置510が保持装置120を経胸腔ウィンドウを通じて手術部位に送達できる、弁輪形成装置130を弁輪に対して保持し供給するための装置100。」
4 対比、判断
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「弁輪に対して保持し供給する弁輪形成装置130」は、本願発明の「心臓弁の弁輪に固定されるように構成されている弁輪形成リング」に相当する。
イ 引用発明の「近位面と、遠位面と、保持される弁輪形成装置130の大きさ及び形状に適合するように形状及び寸法が決められている」「保持板」は、図1、2より周辺に弁輪形成装置130を保持するものであり、形状及び寸法が決められているから、本願発明の「上側近位面と、下側遠位面と、形状適合接触している前記弁輪形成リングを受け入れるように構成されている周辺縁部とを備える」「テンプレート」に相当する。
ウ 引用発明の「細長い送達装置510」は、本願発明の「ハンドル」に相当する。また、引用発明の「把持手段550」は、細長い送達装置510の遠位端にあり、段落[0046]、[0047]より球状端部443と係合する際にそれ自体が変形するものではないから、本願発明の「ハンドルの剛体遠位部分」に相当する。
エ 引用発明の「可鍛性又は形状記憶のステム442」は、「屈曲自在であり、任意の形状にすることができ、低侵襲性手術中の経胸腔的ウィンドウ又は外科的ポートを通るのに適合させるために、保持板が移動又は角度付けされることを可能に」するから、塑性変形でき、任意の形状を維持するのに十分な剛性を有している。したがって、引用発明の「屈曲自在であり、任意の形状にすることができ、低侵襲性手術中の経胸腔的ウィンドウ又は外科的ポートを通るのに適合させるために、保持板が移動又は角度付けされることを可能にし、保持装置120に取り付けられた細長い送達装置510が保持装置120を経胸腔ウィンドウを通じて手術部位に送達できる」「可鍛性又は形状記憶のステム442」は、本願発明の「前記心臓弁の前記弁輪上の前記弁輪形成リングのアクセスおよび位置決めを円滑にするように使用者が前記可撓性シャフトを塑性変形できるようにしながら、植え込み時に複数の異なる位置で前記弁輪形成リングアセンブリの形状を維持するのに十分な剛性を有する」「可撓性シャフト」に相当する。
オ 引用発明の「球状端部443」は、細長い送達装置510に接続するためのものであり、段落[0046]、[0047]より把持手段550のソケット553と係合する際にそれ自体が変形するものではないから、本願発明の「剛体ハンドルアダプタ」に相当する。また、引用発明の「保持板に固定されている遠位端」、「球状端部443に固定されている近位端」は、本願発明の「前記テンプレートに固定されている遠位端」、「前記剛体ハンドルアダプタに固定されている近位端」にそれぞれ相当する。そして、引用発明の「可鍛性又は形状記憶のステム442」及び「球状端部443」は、本願発明の「可撓性シャフトと剛体ハンドルアダプタとを備え」る「ハンドル取り付けアセンブリ」に相当する。さらに、引用発明の「球状端部443」は、細長い送達装置510に接続するための手段が設けられており、段落[0046]より把持手段550がソケット553を含み、段落[0047]よりソケット553が球状端部443に係合することでステムが細長い送達デバイス510に固定され、また球形端部443はソケット553から解放されることができるから、本願発明の「前記ハンドルの剛体遠位部分に解放可能に固定可能である取り付け特徴部」に相当する。
カ 上記イ及びエより、引用発明の「保持板、可鍛性又は形状記憶のステム442、及びこのステム442上の球状端部443を有する保持装置120」は、本願発明の「テンプレートおよびハンドル取り付けアセンブリを備えるリングホルダー」に相当する。
キ 引用発明の「弁輪形成装置を弁輪に対して保持し供給するための装置100」は、弁輪形成装置130と、保持装置120と、細長い送達装置510とを具備するものであるから、本願発明の「弁輪形成リングアセンブリ」に相当する。
したがって、両者は、
「弁輪形成リングアセンブリであって、
心臓弁の弁輪に固定されるように構成されている弁輪形成リングと、
テンプレートおよびハンドル取り付けアセンブリを備えるリングホルダーであって、前記テンプレートは上側近位面と、下側遠位面と、形状適合接触している前記弁輪形成リングを受け入れるように構成されている周辺縁部とを備える、リングホルダーと、
ハンドルと、
を具備し、
前記ハンドル取り付けアセンブリは、可撓性シャフトと剛体ハンドルアダプタとを備え、前記可撓性シャフトは、前記テンプレートに固定されている遠位端と、前記剛体ハンドルアダプタに固定されている近位端、とを有し、前記剛体ハンドルアダプタは、前記ハンドルの剛体遠位部分に解放可能に固定可能である取り付け特徴部を有し、
前記可撓性シャフトは、前記心臓弁の前記弁輪上の前記弁輪形成リングのアクセスおよび位置決めを円滑にするように使用者が前記可撓性シャフトを塑性変形できるようにしながら、植え込み時に複数の異なる位置で前記弁輪形成リングアセンブリの形状を維持するのに十分な剛性を有する、弁輪形成リングアセンブリ。」
である点で一致し、相違しない。
よって、本願発明は、引用発明である。
仮に、本願発明と引用発明とに相違点があるとしても、その相違点は容易想到であり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。ゆえに、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-007407