特許拒絶査定不服審判
2024-005914
表示ドライバ及び半導体装置
- 審判番号
- 2024-005914
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-142099
- 請求日
- 2024年04月08日
- 審決日
- 2025年09月12日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ラピスセミコンダクタ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人レクスト国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 濱野 隆
- 審判官 道祖土 新吾
- 審判官 柳 重幸
- 分類
- P18 .121-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第50条の2、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-142099「表示ドライバ及び半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年11月22日出願公開、特開2022-174190〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年11月21日に出願した特願2017-223602号の一部を令和4年9月7日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年12月 8日 :手続補正書の提出
令和5年 5月29日付け:拒絶理由通知書
(特許法50条の2の通知を伴う。)
同年10月 4日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月20日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(令和6年 1月 9日 :原査定の謄本の送達)
同年 4月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年4月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年4月8日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年4月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和4年12月8日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項1】
第1~第N(Nは2以上の整数)のデータラインを有する表示デバイスを駆動する表示ドライバであって、
映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1~第Nの画素データ片を受け、前記第1~第Nの画素データ片をクロック信号のエッジのタイミングで出力するデータ取込部と、
前記データ取込部から出力された前記第1~第Nの画素データ片を第1~第Nの階調電圧に変換する階調電圧生成部と、
前記第1~第Nの階調電圧を増幅して得た第1~第Nの駆動電圧を前記第1~第Nのデータラインに供給する第1~第Nのアンプと、
前記第1~第Nのアンプ各々の動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成して前記第1~第Nのアンプに供給するバイアス電圧生成部と、を含み、
前記バイアス電圧生成部は、
前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第1の電圧値を表す第1の情報と、前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第2の電圧値を表す第2の情報と、を記憶するレジスタを含み、
前記クロック信号の前記エッジの時点から第1の期間の経過時点までの間は、前記第1の情報で表される前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を生成し、前記第1の期間の経過時点で前記バイアス電圧の電圧値を前記第2の情報で表される前記第2の電圧値に切り替えることを特徴とする表示ドライバ。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】
第1~第N(Nは2以上の整数)のデータラインを有する表示デバイスを駆動する表示ドライバであって、
映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1~第Nの画素データ片を受け、前記第1~第Nの画素データ片をクロック信号のエッジのタイミングで出力するデータ取込部と、
前記データ取込部から出力された前記第1~第Nの画素データ片を第1~第Nの階調電圧に変換する階調電圧生成部と、
前記第1~第Nの階調電圧を増幅して得た第1~第Nの駆動電圧を前記第1~第Nのデータラインに供給する第1~第Nのアンプと、
前記第1~第Nのアンプ各々の動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成して前記第1~第Nのアンプに供給するバイアス電圧生成部と、を含み、
前記第1~第Nのアンプは、夫々が複数の前記アンプからなる第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群に群分けされており、
前記バイアス電圧生成部は、
前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第1の電圧値を表す第1の情報と、前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第2の電圧値を表す第2の情報と、を記憶するレジスタと、
前記第1~第Kのアンプ群に夫々対応して設けられており、夫々が前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号を個別に受け、前記バイアス電圧制御信号によって示される前記第1の情報又は前記第2の情報に基づいて生成した前記バイアス電圧を、前記第1~第Kのアンプ群のうちの対応するアンプ群に供給する第1~第Kのサブバイアス回路と、
所定の一定電流からなる基準電流を生成し、生成した前記基準電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に送出する電流源と、を含み、
前記第1~第Kのサブバイアス回路の各々は、
前記基準電流を受け、前記基準電流に基づいて基準バイアス電圧を生成し、前記バイアス電圧制御信号が前記第1の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第1の情報に基づく調整を施すことにより前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る一方、前記バイアス電圧制御信号が前記第2の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第2の情報に基づく調整を施すことにより前記第2の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る電圧調整部を含み、前記クロック信号の前記エッジの時点から第1の期間の経過時点までの間は、前記第1の情報で表される前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を生成し、前記第1の期間の経過時点で前記バイアス電圧の電圧値を前記第2の情報で表される前記第2の電圧値に切り替えることを特徴とする表示ドライバ。」
2 補正の目的
本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「第1~第Nのアンプ」について、「前記第1~第Nのアンプは、夫々が複数の前記アンプからなる第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群に群分けされ」るものであることに限定するとともに、同じく本件補正前の請求項1に記載された「バイアス電圧生成部」について、「前記第1~第Kのアンプ群に夫々対応して設けられており、夫々が前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号を個別に受け、前記バイアス電圧制御信号によって示される前記第1の情報又は前記第2の情報に基づいて生成した前記バイアス電圧を、前記第1~第Kのアンプ群のうちの対応するアンプ群に供給する第1~第Kのサブバイアス回路と、所定の一定電流からなる基準電流を生成し、生成した前記基準電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に送出する電流源と、を含み、前記第1~第Kのサブバイアス回路の各々は、前記基準電流を受け、前記基準電流に基づいて基準バイアス電圧を生成し、前記バイアス電圧制御信号が前記第1の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第1の情報に基づく調整を施すことにより前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る一方、前記バイアス電圧制御信号が前記第2の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第2の情報に基づく調整を施すことにより前記第2の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る電圧調整部を含[む]」ものであることを限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Fまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】~【図3】に部材名等を記入したものを掲載する。
<本件補正発明の分説>
(構成X) 第1~第N(Nは2以上の整数)のデータラインを有する表示デバイスを駆動する表示ドライバであって、
(構成A) 映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1~第Nの画素データ片を受け、前記第1~第Nの画素データ片をクロック信号のエッジのタイミングで出力するデータ取込部と、
(構成B) 前記データ取込部から出力された前記第1~第Nの画素データ片を第1~第Nの階調電圧に変換する階調電圧生成部と、
(構成C) 前記第1~第Nの階調電圧を増幅して得た第1~第Nの駆動電圧を前記第1~第Nのデータラインに供給する第1~第Nのアンプと、
(構成D0) 前記第1~第Nのアンプ各々の動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成して前記第1~第Nのアンプに供給するバイアス電圧生成部と、を含み、
(構成D2) 前記第1~第Nのアンプは、夫々が複数の前記アンプからなる第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群に群分けされており、
(構成D1) 前記バイアス電圧生成部は、前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第1の電圧値を表す第1の情報と、前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第2の電圧値を表す第2の情報と、を記憶するレジスタと、
(構成D3) 前記第1~第Kのアンプ群に夫々対応して設けられており、夫々が前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号を個別に受け、前記バイアス電圧制御信号によって示される前記第1の情報又は前記第2の情報に基づいて生成した前記バイアス電圧を、前記第1~第Kのアンプ群のうちの対応するアンプ群に供給する第1~第Kのサブバイアス回路と、
(構成E1) 所定の一定電流からなる基準電流を生成し、生成した前記基準電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に送出する電流源と、を含み、
(構成E2) 前記第1~第Kのサブバイアス回路の各々は、
前記基準電流を受け、前記基準電流に基づいて基準バイアス電圧を生成し、前記バイアス電圧制御信号が前記第1の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第1の情報に基づく調整を施すことにより前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る一方、前記バイアス電圧制御信号が前記第2の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第2の情報に基づく調整を施すことにより前記第2の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る電圧調整部を含み、
(構成F) 前記クロック信号の前記エッジの時点から第1の期間の経過時点までの間は、前記第1の情報で表される前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を生成し、前記第1の期間の経過時点で前記バイアス電圧の電圧値を前記第2の情報で表される前記第2の電圧値に切り替えることを特徴とする
(構成X) 表示ドライバ。
<参考図>
【図1】
[図:0001429535000001.jpg]
【図2】
[図:0001429535000002.jpg]
【図3】
[図:0001429535000003.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じて表示デバイスを駆動する表示ドライバ及び当該表示ドライバを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示デバイスとしての例えば液晶表示パネル又は有機ELパネルを駆動する表示ドライバには、映像信号によって表される輝度レベルに対応した階調電圧を増幅して、表示デバイスのソースラインに供給する複数の出力アンプが含まれている。
【0003】
また、近年の表示デバイスの大画面化、高精細化に伴い、出力アンプに対して、出力電圧の立ち上がり又は立ち下がり時間の短縮化、いわゆる高スルーレート化が望まれている。ところで、出力アンプは、例えばオペアンプからなり、自身の差動段に流す電流を増やすことによりスルーレートを高くすることができるが、その分だけ電力消費量が増加するという問題が生じる。
【0004】
そこで、表示ドライバ内に出力アンプと同様な電気特性を有するダミーアンプを設け、当該ダミーアンプを動作させた際の出力レベルの遷移期間の間だけ出力アンプの差動段に流す電流を増加して高スルーレート化を図る技術が提案された(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-27127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した技術を採用した場合には、表示ドライバ内にダミーアンプを設けなければならないので、その分だけドライバのサイズが大きくなる。
【0007】
また、このダミーアンプ自体が出力アンプと同様な電力を消費するので、低省電力化の妨げになる。更に、製造バラツキに伴い、ダミーアンプから出力された電圧の遷移期間と、出力アンプから出力された電圧の遷移期間とに誤差が生じた場合には、上記したようなスルーレートの切換を正しい時点で行うことができなくなる。これにより、確実に、電力消費量を低減させ且つ表示デバイスを高速に駆動することが困難になる。
【0008】
そこで、本発明は、装置規模の増加を抑えて、低消費電力で且つ高速に表示デバイスを駆動することが可能な表示ドライバ及び半導体装置を提供することを目的とする。
…(中略)…
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る表示ドライバでは、クロック信号のエッジのタイミングで供給される階調電圧を増幅して駆動電圧を生成するアンプの動作電流を、クロック信号のエッジの時点から第1の期間の経過時点までの間は、この経過時点以降よりも高くする。
【0012】
これにより、高速応答が要求される駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり区間中はアンプのスルーレートを高くすることが可能となるので、駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり時間の短縮を図ることができる。一方、第1の期間の経過時点以降の電圧値が一定となる区間では、アンプの動作電流を低くすることが可能となるので、低消費電力化を図ることができる。
【0013】
よって、階調電圧を増幅するアンプと共にこのアンプと同様な特性のダミーアンプを設け、当該ダミーアンプを動作させることで駆動電圧の遷移期間を検出する装置に比べて、小規模な構成で、確実に低消費電力且つ高速に表示デバイスを駆動することが可能となる。」
「 【0095】
図6は、図3に示す制御信号生成部SGが生成するバイアス電圧制御信号PWRCの一例と、アンプAP1~APrのうちのAP1の内部に流れる動作電流の推移と、を表すタイムチャートである。」
「【図6】
[図:0001429535000004.jpg]
」
「 【0096】
ここで、切換タイミングレジスタCRGには、図6に示すようにクロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点から、高スルーレート期間Tst(以下、高SR期間Tstとも称する)経過した時点を切換タイミングとして表す切換タイミング情報TGが記憶されているものとする。尚、高SR期間Tstは、例えばアンプAPに入力された階調電圧が最低輝度を表す状態から最高輝度を表す状態に遷移した際に、駆動電圧Gが最低輝度を表す電圧値から、最高輝度を表す電圧値に遷移するまでに掛かる時間に、所定のマージン期間を加えた期間である。
【0097】
図6において、制御信号生成部SGは、先ず、クロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点Tuから、切換タイミング情報TGにて示される高SR期間Tstに亘り、以下のバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これをサブバイアス回路SB1に供給する。すなわち、制御信号生成部SGは、バイアス電圧情報Bs1にて示される電圧値、つまり各アンプを高スルーレート化する電圧値を有するバイアス電圧をサブバイアス回路SB1側で生成させる為のバイアス電圧制御信号PWRCを生成する。例えば、制御信号生成部SGは、3つのトランジスタQ3~Q5を全てオン状態に設定することを表す、信号レベルLVaを有するバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これをサブバイアス回路SB1に供給する。
【0098】
かかるバイアス電圧制御信号PWRCに応じて、サブバイアス回路SB1の電圧調整部VCNは、合成電流It(I3+3・Ic)をノードL3に送出することにより、基準バイアス電圧VQの電圧値を調整する。サブバイアス回路SB1は、電圧値の調整が施された基準バイアス電圧VQに基づき、バイアス電圧情報Bs1にて示されている電圧値に対応した電圧値を有するバイアス電圧VBH1~3、VBL1~3を生成し、アンプAP1~APrに供給する。
【0099】
そして、当該高SR期間Tstが経過した時点Td以降、次のクロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点までの間に亘り、制御信号生成部SGは、以下のバイアス電圧制御信号PWRCを生成する。すなわち、制御信号生成部SGは、バイアス電圧情報Bs2にて示されている電圧値、つまり各アンプを低消費電力化させる電圧値を有するバイアス電圧をサブバイアス回路SB1側で生成させる為のバイアス電圧制御信号PWRCを生成する。
【0100】
例えば、制御信号生成部SGは、3つのトランジスタQ3~Q5を全てオフ状態に設定することを表す、信号レベルLVbを有するバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これをサブバイアス回路SB1に供給する。
【0101】
かかるバイアス電圧制御信号PWRCによると、サブバイアス回路SB1の電圧調整部VCNは、電流I3によって生成された基準バイアス電圧VQに対して電圧値を変更する調整は行わない。よって、この際、サブバイアス回路SB1は、電流I3のみによって生成された基準バイアス電圧VQに基づき、バイアス電圧情報Bs2にて示されている電圧値に対応した電圧値を有するバイアス電圧VBH1~3、VBL1~3を生成し、アンプAP1~APrに供給する。
【0102】
上記動作によれば、図6に示すように、クロック信号CLKの立ち上がり時点Tuから高SR期間Tstの間に、各アンプAPの差動段DFP、及びカレントミラー段CMRに流れる動作電流は、高SR期間Tstの経過時点以降に流れる動作電流に比べて大きい。
【0103】
これにより、高速応答が要求される駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり区間中は、アンプAPのスルーレートが高くなるので、アンプAPから出力される駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり時間も短くなる。
【0104】
一方、高SR期間Tstが経過した時点Tdから次のクロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点までの間に、アンプAPの差動段DFP及びカレントミラー段CMRに流れる動作電流は、図6に示すように高SR期間Tst内で流れた動作電流よりも小さい。
【0105】
これにより、高速応答が要求されない駆動電圧の電圧値一定区間中は、アンプAPで消費される電力が少なくなる。
【0106】
よって、出力アンプ部133によれば、アンプAP1~APnの他にダミーアンプを設け、このダミーアンプを動作させることで駆動電圧の遷移期間を検出する装置に比べて、小規模な構成で、確実に低消費電力且つ高速に表示デバイス20を駆動することが可能となる。
【0107】
また、図3に示す構成によれば、電圧遷移時バイアス設定レジスタRG1及び出力一定時設定レジスタRG2に、所望とするバイアス電圧の電圧値を示す情報(Bs1、Bs2)を記憶しておけば、サブバイアス回路SB内でその電圧値を有するバイアス電圧(VBH1~3、VBL1~3)が生成される。
【0108】
よって、アンプAP1~APnに対する製品出荷前のバイアス電圧の調整が容易に為されると共に、製品出荷後でも、適宜、当該バイアス電圧の電圧値を変更することにより、省電力モード、及び高速(通常)モードに夫々対応することが可能となる。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2004-29316号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 【0001】、【0002】、【図4】
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアクティブマトリックス方式の液晶表示装置およびその駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクティブマトリックス方式の液晶表示装置の液晶表示モジュールは、図4に示すように、液晶パネル(LCDパネル)1と、半導体集積回路装置(以下、ICという)からなる制御回路(以下、コントローラという)2と、ICからなる複数個の走査側駆動回路(以下、走査側ドライバという)3およびデータ側駆動回路(以下、データ側ドライバという)4とを具備している。液晶パネル1は、詳細を図示しないが、透明な画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)を配置した半導体基板と、面全体に1つの透明な電極を形成した対向基板と、これら2枚の基板を対向させて間に液晶を封入した構造からなり、対向基板電極に所定の電圧(以下、コモン電圧Vcomという)を供給するとともに、スイッチング機能を持つTFTを制御することにより各画素電極に所定の電圧を印加し、各画素電極と対向基板電極との間の電位差により液晶の透過率を変化させて画像を表示するものである。ここで、画像を中間調表示(階調表示)するために各画素電極には所定の電圧として可変の電圧(以下、階調電圧という)が印加される。半導体基板上には、各画素電極へ印加する階調電圧を送るデータ線と、TFTのスイッチング制御信号(走査信号)を送る走査線とが配線されている。」
「【図4】
[図:0001429535000005.jpg]
」
(イ) 【0005】~【0014】、【図5】~【図9】
「【0005】
データ側ドライバ4により各画素電極を駆動するとき、液晶固有の特性から対向基板電極の電位に対して交流駆動する必要がある。代表的な交流駆動方法として、データ側ドライバ4からの階調電圧を1走査線を駆動する期間(以下、1水平期間という)ごとにコモン電圧Vcomに対して正電圧と負電圧を、1走査線単位で切り換えるライン反転駆動法や、1画素電極単位で切り換えるドット反転駆動法がある。ライン反転駆動法は、データ側ドライバ4からの階調電圧を、例えば、+5V以下の低電圧に設定し、コモン電圧Vcomを1水平期間ごとに変化させることにより極性反転して交流駆動する方法である。これに対して、ドット反転駆動法は、コモン電圧Vcomを一定電圧に固定し、データ側ドライバ4からの階調電圧としてコモン電圧Vcomに対して、極性が正の電圧(以下、正極性階調電圧という)と、極性が負の電圧(以下、負極性階調電圧という)をそれぞれ対称となるように設定して、正極性階調電圧と負極性階調電圧を1水平期間ごとに交互に供給する方法である。例えば、64階調表示の場合、正極性階調電圧VP1~VP64としてVcom<VP64<…<VP1、および負極性階調電圧VN1~VN64としてVcom>VN64>…>VN1で、正極性階調電圧VP1~VP64と負極性階調電圧VN1~VN64とがコモン電圧Vcomに対してそれぞれ対称に設定される。そして、正極性階調電圧VP1~VP64のうちのひとつの階調電圧VPxと、負極性階調電圧VN1~VN64のうちのひとつの階調電圧VNxとが1水平期間ごとに交互に供給される。
【0006】
以下に、データ側ドライバ4の従来例について、ドット反転駆動法を用いたデータ側ドライバ100を図5に示して説明する。データ側ドライバ100は、384本のデータ線に対応して、画像データとしてn(nは2以上の整数)ビット、例えば、n=6ビットのデータ信号DATAを供給することにより、2のn乗=64階調の正極性および負極性階調電圧VP1~VP64、VN1~VN64のうちデータ信号DATAの論理に対応した1つの階調電圧VPx、VNxを384本の各データ線に奇数線と偶数線とで極性が互い違いとなるようにして1水平期間ごとに交互に出力するもので、データ線384本に対応してnビットのデータ信号DATAをシリアル/パラレル変換し、さらに階調電圧VPx、VNxにデジタル/アナログ変換して出力する前段回路部10と、データ線384本に対応して前段回路部10の出力が接続される384個のボルテージホロワ接続の演算増幅器20と、演算増幅器20の出力が接続される出力スイッチ回路部30と、各演算増幅器20にバイアス電流を供給するバイアス回路部40とを備えている。」
「【図5】
[図:0001429535000006.jpg]
」
「【0007】
前段回路部10は、図6に示すように、主回路として、シフトレジスタ11、データレジスタ12、データラッチ13、レベルシフタ14およびDAコンバータ15を有している。シフトレジスタ11は、例えば、64ビット双方向性でシフト方向切換え信号R/Lにより、例えば、右シフト・スタートパルス入出力STHRが選択され、1水平期間ごとに、クロック信号CLKのエッジでスタートパルスSTHRの“H”レベルを読込み、データ取込み用の制御信号C1、C2、…、C64を順次生成し、データレジスタ12に供給する。データレジスタ12は、1水平期間ごとに、シフトレジスタ11の制御信号C1、C2、…、C64に基づき、6ビット×6ドット(RGB×2)の36ビット幅で供給されるデータ線384本に対応する1走査線分のデータ信号DATAを取込む。データラッチ13は、1水平期間ごとに、データレジスタ12に取込まれた1走査線分のデータ信号DATAをストローブ信号STBの立ち上がりに同期して保持するとともにレベルシフタ14に一括供給する。レベルシフタ14は、1水平期間ごとに、データラッチ13からのデータ信号DATAを電圧レベルを高めてDAコンバータ15に供給する。DAコンバータ15は、データ線384本に対応して、1水平期間ごとに、データ線の奇数線と偶数線とで極性が互い違いとなるようにして、階調電圧VPx、VNxを各演算増幅器20に供給する。」
「【図6】
[図:0001429535000007.jpg]
」
「【0008】
各演算増幅器20は、図7に示すように、差動段21と出力段22とを有し、差動段21は、演算増幅器20内にバイアス電流を流すために、バイアス回路部40の後述するPチャネルMOSトランジスタQ25にミラー接続されるPチャネルMOSトランジスタQ1とNチャネルMOSトランジスタQ27にミラー接続されるNチャネルMOSトランジスタQ2とを含み、出力段22は、立ち上がり波形と立ち下がり波形を出力するためのPチャネルMOSトランジスタQ3とNチャネルMOSトランジスタQ4とを含んでいる。各演算増幅器20は、1水平期間ごとに、供給された階調電圧VPx、VNxを駆動能力を高めて、データ線の奇数線と偶数線とで極性が互い違いとなるようにして、出力スイッチ回路部30に供給する。」
「【図7】
[図:0001429535000008.jpg]
」
「【0009】
出力スイッチ回路部30は、各演算増幅器20の出力端に接続された384個のCMOSトランスファゲート31を有し、ストローブ信号STBがPチャネルゲートとインバータ32を介してNチャネルゲートとに供給され、ストローブ信号STBの立ち上がりに同期して各トランスファゲート31がオフ制御され各演算増幅器20の出力端がハイインピーダンスとなり、ストローブ信号STBの立ち下がりに同期して、各トランスファゲート31はオン制御され、各演算増幅器20の出力端が各データ線に接続される。
【0010】
バイアス回路部40は、図8に示すように、バイアス電流源41とバイアス電圧取出し回路42とを備えている。バイアス電流源41は、相異なるオン抵抗R1、R2(R1>R2)を有する並列接続のバイアス電流源用PチャネルMOSトランジスタQ21、Q22と、インバータ43とを有している。MOSトランジスタQ21、Q22は、ソースを高電圧側端子VDDに接続し、ドレインをバイアス電圧取出し回路42に接続している。MOSトランジスタQ21のゲートとインバータ43を介したMOSトランジスタQ22のゲートには、バイアス切り換え信号BICが供給される。」
「【図8】
[図:0001429535000009.jpg]
」
「【0011】
バイアス電圧取出し回路42は、バイアス電流源41と低電圧側端子VSS間に接続されたNチャネルMOSトランジスタQ23と、MOSトランジスタQ23にミラー接続されたNチャネルMOSトランジスタQ24と、高電圧側端子VDDと低電圧側端子VSS間にMOSトランジスタQ24とで直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQ25と、MOSトランジスタQ25にミラー接続されたPチャネルMOSトランジスタQ26と、高電圧側端子VDDと低電圧側端子VSS間にMOSトランジスタQ26とで直列接続されたNチャネルMOSトランジスタQ27とを有している。MOSトランジスタQ23は、ドレインをMOSトランジスタQ21、Q22のドレインに接続し、ソースを低電圧側端子VSSに接続し、ドレインとゲートとを短絡させてダイオード接続している。MOSトランジスタQ24は、ドレインをMOSトランジスタQ25のドレインに接続し、ソースを低電圧側端子VSSに接続し、ゲートをMOSトランジスタQ23のゲートに接続している。MOSトランジスタQ25は、ソースを高電圧側端子VDDに接続し、ドレインとゲートとを短絡させPバイアスとして演算増幅器20のPチャネルMOSトランジスタQ1にミラー接続している。MOSトランジスタQ26は、ソースを高電圧側端子VDDに接続し、ドレインをMOSトランジスタQ27のドレインに接続し、ゲートをMOSトランジスタQ25のゲートに接続している。MOSトランジスタQ27は、ソースを低電圧側端子VSSに接続し、ドレインとゲートとを短絡させNバイアスとして演算増幅器20のNチャネルMOSトランジスタQ2にミラー接続している。
【0012】
次に上記のバイアス回路部40の動作を説明する。バイアス電流源41に“L”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給されるとMOSトランジスタQ21がオン制御されバイアス電流源41の抵抗はMOSトランジスタQ21のオン抵抗R1(>R2)となり、バイアス電流源41にはオン抵抗R1に対応した電流がオン抵抗R2に対応した場合より小さい電流で流れ、バイアス電圧取出し回路42からはオン抵抗R2に対応した場合よりPバイアス端子により小さい(VDDにより近い)バイアス電圧が供給され、Nバイアス端子により小さい(VSSにより近い)バイアス電圧が供給される。これにより、バイアス回路部40は低バイアスに設定される。バイアス電流源41に“H”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給されるとMOSトランジスタQ22がオン制御されバイアス電流源41の抵抗はMOSトランジスタQ22のオン抵抗R2(<R1)となり、バイアス電流源41にはオン抵抗R2に対応した電流がオン抵抗R1に対応した場合より大きい電流で流れ、バイアス電圧取出し回路42からはオン抵抗R1に対応した場合よりPバイアス端子に、より大きい(VDDからより遠い)バイアス電圧が供給され、Nバイアス端子に、より大きい(VSSからより遠い)バイアス電圧が供給される。これにより、バイアス回路部40は高バイアスに設定される。
【0013】
次にデータ側ドライバ100を液晶パネルに接続したときの動作を図9を参照して説明する。前段回路部10に384本の各データ線に対応するnビットのデータ信号DATAがシリアルに取り込まれ、内部で、パラレルに変換され、ストローブ信号STBが時刻t1に立ち上がると、この立ち上がりに同期して各データ線に対応する階調電圧VPx、VNxにアナログ変換され、各演算増幅器20に供給される。このとき、ストローブ信号STBの立ち上がりに同期して出力スイッチ回路部30の各トランスファゲート31はオフ制御され、時刻t2のストローブ信号STBの立ち下がりまで各トランスファゲート31はオフ制御された状態で各演算増幅器20の出力がハイインピーダンスとなっている。また、このとき、バイアス回路部40にストローブ信号STBの立ち上がりに同期した“H”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給され、演算増幅器20のバイアス電流がバイアス回路部40で高バイアスに設定される。そして、ストローブ信号STBが立ち下がると、これに同期して出力スイッチ回路部30の各トランスファゲート31はオン制御され、バイアス電流が高バイアスに設定された演算増幅器20で各階調電圧VPx、VNxの駆動能力を上げて出力S1、S2、…、S384として液晶パネルの対応する各データ線に供給される。そして、ストローブ信号STBの立ち下がりから所定期間、例えば、ストローブ信号STBのパルス幅分経過後に、バイアス回路部40に“L”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給され、演算増幅器20のバイアス電流がバイアス回路部40で低バイアスに設定される。」
「【図9】
[図:0001429535000010.jpg]
」
「【0014】
以上のように、ドット反転駆動により、負極性階調電圧VNxから正極性階調電圧VPxへの立ち上がり波形と正極性階調電圧VPxから負極性階調電圧VNxへの立ち下がり波形の電圧が交互に各データ線に出力されるとき、一定期間、演算増幅器20のバイアス電流がバイアス回路部40で高バイアスに設定され、演算増幅器20から各データ線に高駆動電流が流れることにより、この立ち上がり波形および立ち下がり波形の傾きを急峻にして液晶パネルへの書き込みが正常に行なわれるようにしている。尚、この立ち上がり波形および立ち下がり波形の立ち上がりおよび立ち下がり時間は、液晶パネルの負荷が一定とした場合、演算増幅器20のスルーレートにより決定され、正極性階調電圧VPxと負極性階調電圧VNxとの前後の電圧差が大きくなるほど長くなり、その電圧差が最大となるとき最長となるため、このスルーレートはこの最長時間を考慮して決定されている。また、この立ち上がり波形および立ち下がり波形は、バイアス電流が一定の場合、液晶パネルが大型化して各データ線の負荷が大きくなるに従い、または、演算増幅器に含まれるMOSトランジスタのバイアス電流が小さくなるに従い、緩やかな傾きとなり、逆に液晶パネルの負荷が小さくなるに従い、または、演算増幅器に含まれるMOSトランジスタのバイアス電流が大きくなるに従い急な傾きとなる。従って、液晶パネルへの書き込みが正常に行なわれ、かつ、バイアス電流による消費電流が小さくなる適正な立ち上がり波形および立ち下がり波形の傾きとなるように、液晶パネルの負荷の大きさに応じて演算増幅器20のバイアス電流が高バイアスのときのバイアス回路部40を設計して設定される。」
イ 引用文献1の記載から認定できる事項
前記ア(イ)で摘記した段落【0008】の「各演算増幅器20は、1水平期間ごとに、供給された階調電圧VPx、VNxを駆動能力を高めて…(中略)…出力スイッチ回路部30に供給する」との記載、段落【0009】の「出力スイッチ回路部30は、各演算増幅器20の出力端に接続された384個のCMOSトランスファゲート31を有し…(中略)…各トランスファゲート31はオン制御され、各演算増幅器20の出力端が各データ線に接続される。」との記載や、段落【0013】の「バイアス電流が高バイアスに設定された演算増幅器20で各階調電圧VPx、VNxの駆動能力を上げて出力S1、S2、…、S384として液晶パネルの対応する各データ線に供給される」との記載、及び【図7】からみて、以下の技術事項が認定できる(以下「認定事項1」という。)
[認定事項1]
「演算増幅器20は、階調電圧VPx、VNxを増幅して得た出力電圧Voutを各データ線に供給すること。」
ウ 引用発明の認定
前記アにおいて摘記した事項及び前記イにおいて認定した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所等を括弧内に示した。
<引用発明>
「透明な画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)を配置した半導体基板と、面全体に1つの透明な電極を形成した対向基板と、これら2枚の基板を対向させて間に液晶を封入した構造からなり、半導体基板上には、各画素電極へ印加する階調電圧を送るデータ線と、TFTのスイッチング制御信号(走査信号)を送る走査線とが配線されている液晶パネル1を具備する、液晶表示モジュールの各画素電極を駆動するデータ側ドライバであって、(【0002】、【0005】)
ドット反転駆動法を用いたデータ側ドライバは、データ線384本に対応してnビットのデータ信号DATAをシリアル/パラレル変換し、さらに階調電圧VPx、VNxにデジタル/アナログ変換して出力する前段回路部10と、データ線384本に対応して前段回路部10の出力が接続される384個のボルテージホロワ接続の演算増幅器20と、演算増幅器20の出力が接続される出力スイッチ回路部30と、各演算増幅器20にバイアス電流を供給するバイアス回路部40とを備えており、(【0006】)
前段回路部10は、データレジスタ12、データラッチ13、レベルシフタ14およびDAコンバータ15を有しており、データレジスタ12は、1水平期間ごとに、データ線384本に対応する1走査線分のデータ信号DATAを取込み、データラッチ13は、1水平期間ごとに、データレジスタ12に取込まれた1走査線分のデータ信号DATAをストローブ信号STBの立ち上がりに同期して保持するとともにレベルシフタ14に一括供給し、レベルシフタ14は、1水平期間ごとに、データラッチ13からのデータ信号DATAを電圧レベルを高めてDAコンバータ15に供給し、DAコンバータ15は、データ線384本に対応して、1水平期間ごとに、データ線の奇数線と偶数線とで極性が互い違いとなるようにして、階調電圧VPx、VNxを各演算増幅器20に供給し、(【0007】)
各演算増幅器20は、差動段21と出力段22とを有し、差動段21は、演算増幅器20内にバイアス電流を流すために、バイアス回路部40のPチャネルMOSトランジスタQ25にミラー接続されるPチャネルMOSトランジスタQ1とNチャネルMOSトランジスタQ27にミラー接続されるNチャネルMOSトランジスタQ2とを含み、(【0008】)
バイアス回路部40は、バイアス電流源41とバイアス電圧取出し回路42とを備えており、(【0010】)
バイアス電流源41に“L”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給されると、バイアス電圧取出し回路42からはPバイアス端子により小さい(VDDにより近い)バイアス電圧が供給され、Nバイアス端子により小さい(VSSにより近い)バイアス電圧が供給され、これにより、バイアス回路部40は低バイアスに設定され、バイアス電流源41に“H”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給されると、バイアス電圧取出し回路42からはPバイアス端子に、より大きい(VDDからより遠い)バイアス電圧が供給され、Nバイアス端子に、より大きい(VSSからより遠い)バイアス電圧が供給され、これにより、バイアス回路部40は高バイアスに設定され、(【0012】)
前段回路部10に384本の各データ線に対応するnビットのデータ信号DATAがシリアルに取り込まれ、内部で、パラレルに変換され、ストローブ信号STBが時刻t1に立ち上がると、この立ち上がりに同期して各データ線に対応する階調電圧VPx、VNxにアナログ変換され、各演算増幅器20に供給され、このとき、バイアス回路部40にストローブ信号STBの立ち上がりに同期した“H”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給され、演算増幅器20のバイアス電流がバイアス回路部40で高バイアスに設定され、ストローブ信号STBが立ち下がると、これに同期して出力スイッチ回路部30の各トランスファゲート31はオン制御され、バイアス電流が高バイアスに設定された演算増幅器20で各階調電圧VPx、VNxの駆動能力を上げて出力S1、S2、…、S384として液晶パネルの対応する各データ線に供給され、ストローブ信号STBの立ち下がりから所定期間、例えば、ストローブ信号STBのパルス幅分経過後に、バイアス回路部40に“L”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給され、演算増幅器20のバイアス電流がバイアス回路部40で低バイアスに設定され、(【0013】)
演算増幅器20は、階調電圧VPx、VNxを増幅して得た出力電圧Voutを各データ線に供給し、(認定事項1)
ドット反転駆動により、負極性階調電圧VNxから正極性階調電圧VPxへの立ち上がり波形と正極性階調電圧VPxから負極性階調電圧VNxへの立ち下がり波形の電圧が交互に各データ線に出力されるとき、一定期間、演算増幅器20のバイアス電流がバイアス回路部40で高バイアスに設定され、演算増幅器20から各データ線に高駆動電流が流れることにより、この立ち上がり波形および立ち下がり波形の傾きを急峻にして液晶パネルへの書き込みが正常に行なわれるようにしており、この立ち上がり波形および立ち下がり波形の立ち上がりおよび立ち下がり時間は、液晶パネルの負荷が一定とした場合、演算増幅器20のスルーレートにより決定され、正極性階調電圧VPxと負極性階調電圧VNxとの前後の電圧差が大きくなるほど長くなり、その電圧差が最大となるとき最長となるため、このスルーレートはこの最長時間を考慮して決定されている、(【0014】)
データ側ドライバ。」
(3) 引用文献2、4、5の記載事項及び技術事項等の認定
ア 引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項の認定
(ア) 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2013-162145号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号を増幅して出力信号を生成するアンプ、並びに、これを用いた負荷駆動装置、液晶表示装置、及び、テレビに関する。
…(中略)…
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、液晶表示パネル120の高精細化や大型化により、液晶画素121を駆動するソースアンプ111の省電力化と高速化の両立が求められている。しかしながら、ソースアンプ111を安定して高速に駆動するためには、ソースアンプ111の内部回路に大きなバイアス電流を流す必要があるので、ソースアンプ111の省電力化を実現することができず、延いては、液晶駆動装置110全体の消費電力を増大する結果を招いていた。
【0006】
本発明は、本願の発明者らにより見出された上記の問題点に鑑み、省電力化と高速化を両立することが可能なアンプ、並びに、これを用いた負荷駆動装置、液晶表示装置、及びテレビを提供することを目的とする。」
「【0028】
<第1実施形態>
図1は、液晶表示装置の第1実施形態を示すブロック図である。第1実施形態の液晶表示装置1は、液晶駆動装置10と、液晶表示パネル20と、を有する。」
「【図1】
[図:0001429535000011.jpg]
」
「【0029】
液晶駆動装置10は、映像ソース(不図示)から入力される映像信号S0に基づいて液晶表示パネル20を駆動するモノリシック半導体集積回路装置(いわゆるソースドライバIC)であり、ロジック部11と、オシレータ12と、レベルシフタ13と、階調電圧生成部14と、DAC[digital analog converter]15と、ソースアンプ16と、バイアス電流制御部17と、を含む。
【0030】
ロジック部11は、データラッチ111と、タイミングコントローラ112と、レジスタ13と、を含むデジタル信号処理装置(マイコンなど)である。ロジック部11は、オシレータ12から供給されるシステムクロック信号CLKを用いて動作する。なお、図1では明示されていないが、ロジック部11は、液晶駆動装置10の外部と信号授受を行うためのインタフェイス部(例えば2線式のI2Cインタフェイス部)も備えている。
【0031】
データラッチ111は、映像信号S0をnビットパラレルのデータ信号S1としてレベルシフタ13にラッチ出力する。
【0032】
タイミングコントローラ112は、データラッチ111の動作タイミングを制御する。また、タイミングコントローラ112は、バイアス電流制御部17の動作タイミングを制御するためのバイアス電流制御信号S2を生成する。また、タイミングコントローラ112は、ソースアンプ16に対するバイアス電流Irefの供給可否を制御するためのアンプイネーブル信号S3を生成する。
【0033】
レジスタ113は、バイアス電流Irefを可変制御するために必要となる設定データS4(後述する電流値Ia及びIbや期間T1及びT2をユーザが任意に調整するための設定データ)を格納する。なお、レジスタ113に格納された設定データS4は、バイアス電流制御部17によって読み出される。
【0034】
オシレータ12は、一定周波数のシステムクロック信号CLKを生成してロジック部11に供給する。
【0035】
レベルシフタ13は、データラッチ111からラッチ出力されるデータ信号S1をDAC14への入力に適した信号レベルにシフトさせる。
【0036】
階調電圧生成部14は、電源電圧の印加端と接地端との間に接続された抵抗ラダーを用いて、m階調(ただしm=2n)の離散的な階調電圧V1~Vmを生成する。
【0037】
DAC15は、デジタルのデータ信号S1からアナログの入力電圧Viを生成する。より具体的に述べると、DAC15は、データ信号S1のデジタル値(10進数表記で0~2n-1)に応じて階調電圧V1~Vmのいずれか一つを選択し、これを入力電圧Viとして出力する。
【0038】
ソースアンプ16は、入力電圧Viを増幅して液晶表示パネル20への出力電圧Voを生成する。なお、ソースアンプ16に対するバイアス電流Irefの供給可否は、アンプイネーブル信号S3に基づいて制御される。具体的に述べると、アンプイネーブル信号S3がイネーブル時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときには、ソースアンプ16に対するバイアス電流Irefの供給が許可される。逆に、アンプイネーブル信号S3がディセーブル時の論理レベル(例えばローレベル)であるときには、ソースアンプ16に対するバイアス電流Irefの供給が禁止される。
【0039】
バイアス電流制御部17は、タイミングコントローラ112から入力されるバイアス電流制御信号S3と、レジスタ113から読み出される設定データS4に基づいて、ソースアンプ16に流れるバイアス電流Irefを可変制御する。バイアス電流制御部17の構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。」
(イ) 引用文献2技術事項の認定
前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献2には次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
<引用文献2技術事項>
「表示装置のソースドライバにおいて、アンプに流れるバイアス電流を制御する場合に、アンプに流れるバイアス電流を可変制御するために必要となる電流値や期間をユーザが任意に調整するための設定データをレジスタに格納すること。」
イ 引用文献4に記載された事項及び引用文献4技術事項の認定
(ア) 引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2015-203831号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のソースアンプと、前記ソースアンプのそれぞれに入力レベルを供給する複数の階調レベル選択回路と、前記階調レベル選択回路に階調線によって階調レベルを供給する階調レベル生成回路と、前記複数のソースアンプのバイアス電流を調整するバイアス制御回路とを備え、
前記バイアス制御回路は、前記複数のソースアンプのバイアス電流を、当該ソースアンプに対応する階調レベル選択回路への前記階調レベル生成回路からの階調線の配線長に基づいて調整する、表示駆動回路。
【請求項2】
請求項1において、前記複数のソースアンプは、前記階調線の配線長に基づいて、複数のグループに分けられ、前記バイアス制御回路は、前記グループ毎に、ソースアンプのバイアス電流を調整する、表示駆動回路。
…(中略)…
【請求項4】
請求項1において、前記バイアス制御回路は、前記複数のソースアンプとの間でカレントミラーを構成し、前記複数のソースアンプは、前記カレントミラーの電流増幅率がそれぞれ調整されることができる、表示駆動回路。
【請求項5】
請求項4において、前記複数のソースアンプは、前記階調線の配線長に基づいて、複数のグループに分けられ、前記バイアス制御回路は、前記グループ毎に、前記カレントミラーの電流増幅率を設定可能なレジスタを有する、表示駆動回路。
【請求項6】
請求項2において、前記バイアス制御回路は、前記複数のソースアンプのバイアス電流を制御するバイアス供給回路を前記グループ毎に備え、前記ソースアンプのバイアス電流は前記グループ毎に調整されることができる、表示駆動回路。
【請求項7】
請求項6において、前記バイアス制御回路は、1個の基準電流源と、各グループに対応する前記バイアス供給回路とを含んで構成され、前記バイアス供給回路は、それぞれ前記基準電流源との間でカレントミラーを構成し、前記カレントミラーはグループ毎に電流増幅率を調整されることができる、表示駆動回路。」
「【0001】
本発明は、表示駆動回路及び表示ドライバIC(Integrated Circuit)に関し、特に高精細の表示パネルに接続される表示駆動回路及び表示ドライバICに好適に利用できるものである。
【0002】
表示パネルに接続されてそのソース電極を駆動する表示ドライバICは、表示パネルの高解像度、高精細化に伴い、ソース電極の負荷が増大し、合せてソース出力チャネル数が増加している。液晶表示(LCD:Liquid Crystal Display)パネルなどの表示パネルは、複数の走査電極(ゲート電極とも呼ばれる)と複数の信号電極(ソース電極とも呼ばれる)を備え、その交点に画素容量(液晶容量)を備える。表示の解像度は画素の数であり、ライン数(ゲート電極数)と1ライン当たりの画素数(ソース電極数に対応)の積によって規定される。表示ドライバICは、表示パネルの1辺に実装されるので、ライン数(ゲート電極数)の増加に伴って、遠端の画素容量までの配線長が長くなり配線抵抗が大きくなる。また、遠端と近端の画素容量では、配線抵抗の大きさの差が大きくなる。このような背景により、表示ドライバICでは、表示パネルの高解像度、高精細化に伴って、ソース電極の負荷が増大している。
【0003】
特許文献1には、このような表示ドライバICのソース電極駆動回路(ソースアンプ)に好適であり、駆動能力を維持したまま消費電力を削減することが可能な容量性負荷駆動回路が開示されている。ソース電極駆動回路において、駆動対象の容量性負荷までの距離(配置)に基づいて、スルーレートが調整される。
…(中略)…
【0006】
特許文献1においては、ソース電極駆動回路(ソースアンプ)から表示パネル上の負荷容量(画素容量)までの配線抵抗については考慮されているが、表示ドライバIC内部の配線抵抗については考慮されていない。表示ドライバICでは、表示パネルのソース電極に接続される端子が配置される辺に沿って、多数のソース電極駆動回路(ソースアンプ)が配置される。ソースアンプは、供給される複数の階調電圧から画像データに基づいて1つの階調電圧を選択または複数の階調電圧から中間的な階調電圧を生成して、接続されるソース電極を駆動するアナログ電圧を出力する。このとき、チップサイズの増加に伴い、階調電圧を各ソースアンプに供給する階調線等のチップ内配線は長配線化する。長配線化が進むと階調線、電源ラインが高抵抗化し、各々の供給回路から近端側と遠端側のソースアンプで、階調線レベル復帰時間や電源ドロップからの復帰時間に差が生じることがわかった。これに伴って、階調線の供給回路から近端側に配置されるソースアンプのスルーレートと、遠端側に配置されるソースアンプのスルーレートに差が発生し、表示パネルの輝度特性にばらつきを生じさせる恐れがあることがわかった。
【0007】
本発明の目的は、表示ドライバICのチップサイズが増大したときにも、全てのソースアンプのスルーレートが均等になるように調整し、表示パネルのライン内での輝度特性を揃えることである。
…(中略)…
【0010】
すなわち、本発明の一実施の形態は、複数のソースアンプと、それぞれに入力レベルを供給する複数の階調レベル選択回路と、階調レベル選択回路に階調線によって階調レベルを供給する階調レベル生成回路と、ソースアンプのバイアス電流を調整するバイアス制御回路とを備える表示駆動回路または表示ドライバICである。バイアス制御回路は、各ソースアンプのバイアス電流を、当該ソースアンプに対応する階調レベル選択回路への階調レベル生成回路からの階調線の配線長に基づいて調整する。階調線の配線抵抗に起因する階調線レベル復帰時間の差を相殺するように、各ソースアンプのバイアス電流が調整され、各ソースアンプのスルーレートは、全てのソースアンプで均等になるように調整される。」
「【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0015】
〔1〕<階調線の配線長に基づいてバイアス制御されるソースアンプ>
本願において開示される代表的な実施の形態は、複数のソースアンプ(4_1~4_n)と、前記ソースアンプのそれぞれに入力レベルを供給する複数の階調レベル選択回路(5_1~5_n)と、前記階調レベル選択回路に階調線によって階調レベルを供給する階調レベル生成回路(13)と、前記複数のソースアンプのバイアス電流を調整するバイアス制御回路(14)とを備える、表示駆動回路(1)であって、以下のように構成される。前記バイアス制御回路は、前記複数のソースアンプのバイアス電流を、当該ソースアンプに対応する階調レベル選択回路への前記階調レベル生成回路からの階調線の配線長に基づいて調整する。
【0016】
これにより、表示ドライバIC(1)のチップサイズが増大したときにも、全てのソースアンプ(4_1~4_n)のスルーレートが均等になるように調整し、表示パネル(2)のライン内での輝度特性を揃えることができる。階調レベル生成回路(13)から各ソースアンプまでの階調線の配線長( 配線抵抗)に起因する階調線レベル復帰時間の差を相殺するように、各ソースアンプのバイアス電流を制御することができ、全てのソースアンプのスルーレートが均等になるように調整することができるからである。
【0017】
〔2〕<ブロック毎にバイアス電流を調整>
項1において、前記複数のソースアンプは、前記階調線の配線長に基づいて、複数のグループ(L1~L4,R1~R4)に分けられ、前記バイアス制御回路は、前記グループ毎に、ソースアンプのバイアス電流を調整する。
【0018】
これにより、バイアス制御回路が簡略化され、ソースアンプのバイアスを制御するために追加される回路の規模や、追加される配線の面積を、抑えることができる。
…(中略)…
【0023】
〔5〕<ソースアンプのバイアス電流増幅率を調整するレジスタ>
項4において、前記複数のソースアンプは、前記階調線の配線長に基づいて、複数のグループ(L1~L4,R1~R4)に分けられ、前記バイアス制御回路は、前記グループ毎に、前記カレントミラーの電流増幅率を設定可能なレジスタ(21_L1~21_L4,21_R1~21_R4)を有する。
【0024】
これにより、項2と同様にバイアス制御回路が簡略化され、ソースアンプのバイアスを制御するために追加される回路の規模や、追加される配線の面積を、抑えることができ、各グループのソースアンプのバイアス電流は、レジスタに設定されるディジタル値によってブロック(グループ)毎に制御される。
【0025】
〔6〕<ブロック毎のバイアス制御回路>
項2において、前記バイアス制御回路は、前記複数のソースアンプのバイアス電流を制御するバイアス供給回路(31_L1~31_L4,31_R1~31_R4)を前記グループ毎に備え、前記ソースアンプのバイアス電流は前記グループ毎に調整されることができる。
【0026】
これにより、項2と比較してバイアス制御回路から複数のソースアンプへのバイアス制御配線の数は増えるが、ソースアンプ自体は従来と同様となり、本発明を実施するためのソースアンプの回路規模の増加を抑えることができる。
【0027】
〔7〕<ブロック毎のバイアス制御回路(基準電流源を共有)>
項6において、前記バイアス制御回路は、1個の基準電流源(30)と、各グループに対応する前記バイアス供給回路(31_L1~31_L4,31_R1~31_R4)とを含んで構成され、前記バイアス供給回路は、それぞれ前記基準電流源との間でカレントミラーを構成し、前記カレントミラーはグループ毎に電流増幅率を調整されることができる。
【0028】
これにより、簡略なバイアス制御回路が提供される。各ブロック(グループ)に対応するバイアス供給回路の電流増幅率は、例えばブロック(グループ)毎に設けられたレジスタ(22_L1~22_L4,22_R1~22_R4)によって設定される。」
「【0065】
図4は、ソースアンプバイアス制御回路14の構成例を示す回路図である。ソースアンプバイアス制御回路14は、基準電流源30とバイアス供給回路31によって構成される。基準電流源30は電流源300とNチャネルMOSFET(MN0)によって構成され、バイアス供給回路31は、2個のNチャネルMOSFET、MN9とMN10と、2個のPチャネルMOSFET、MP9とMP10とによって構成される。MN0とMN9によってカレントミラーが構成され、MN9のサイズを可変とすることにより、流源300によって規定される電流値が、MN0とMN9のサイズ(相互コンダクタンス)の比にしたがって増幅されて、バイアス供給回路31に供給される。バイアス供給回路31もまた、MP9とMP10とによってカレントミラーが構成され、後述のソースアンプ4の差動段等に対して、バイアス線BIP1とBIN1によりPチャネル側とNチャネル側のバイアス電圧をそれぞれ供給する。」
「【図4】
[図:0001429535000012.jpg]
」
「【0066】
図5は、ソースアンプ4の構成例を示す回路図である。ソースアンプ4は、差動段と中間段と出力段からなる演算増幅器であり、出力Voutが差動入力の一方にフィードバックされて、ボルテージフォロワアンプが構成されている。差動段は、3個のPチャネルMOSFET、MP1~MP3と、3個のNチャネルMOSFET、MN1~MN3とによって構成される。MP1とMN1にはバイアス線BIP1とBIN1がそれぞれ接続され、ソースアンプバイアス制御回路14のMP9とNN10との間でカレントミラーを構成して、ソースアンプ4にバイアス電流を与えるテール電流源として機能する。一方の差動入力であるMP2とMN2のゲート端子にはVoutからのフィードバックが接続され、他方の差動入力であるMP3とMN3のゲート端子には、Vinが入力される。中間段は、4個のPチャネルMOSFET、MP4~MP7と、4個のNチャネルMOSFET、MN4~MN7とによって構成される。MP4とMP6とMN6とMN4で構成されるレールと、MP5とMP7とMN7とMN5で構成されるレールとの2本のレールが、同じ電流値の電流を流すように構成され、差動段への2つの入力VinとVoutの差に従って、差動段から入力される電流と、差動段に引き抜かれる電流とによって、差動電圧が生成され出力段へ出力される。MP6とMN6、MP7とMN7は、それぞれゲート端子への入力が図示を省略されているが、これらのゲート端子は例えば一定電圧に固定され、MP6とMN6、MP7とMN7がそれぞれ負荷抵抗として機能するように構成されている。出力段は、1個のPチャネルMOSFET、MP8と、1個のNチャネルMOSFET、MN8と、それぞれのドレイン端子とゲート端子の間に接続されたフィードバック容量CpとCnとによって構成される。中間段から入力される差動電圧を電流増幅して、Voutを出力する。」
「【図5】
[図:0001429535000013.jpg]
」
「【0078】
〔実施形態2〕
図8は、実施形態2及び実施形態3のソースアンプブロック40の構成例を示す回路図である。図7と同様に、ソースアンプブロック40の右側の4ブロック(領域)R1~R4のみが示され、ブロック(領域)R1の1個のソースアンプ4の差動段のみが示され、中間段と出力段、及び他のソースアンプは省略されている。図7のソースアンプブロック40ではバイアス線BIP1とBIN1がそれぞれすべてのソースアンプに共通に接続されるが、本実施形態2である図8のソースアンプブロック40では、それぞれのブロック(領域)R1~R4に対応して、それぞれ独立のバイアス線BIP11~BIP14とBIN11~BIN14が接続されている。個々のソースアンプ4は、図5に示されるソースアンプ4と同じ回路構成である。」
「【図8】
[図:0001429535000014.jpg]
」
「【0079】
図9は、実施形態2のソースアンプバイアス制御回路14の構成例を示す回路図である。図4に示されるソースアンプバイアス制御回路14とは異なり、1個の基準電流源30と各ブロック(領域)R1~R4にそれぞれ対応する、バイアス供給回路31_R1~31_R4とレジスタ22_R1~22_R4によって構成される。ブロック(領域)L1~L4に対応するバイアス供給回路31_L1~31_L4とレジスタ22_L1~22_L4は、図示が省略されている。各バイアス供給回路31_R1~31_R4は同じ回路で構成され、代表して31_R1のみが図示される。バイアス供給回路31_R1は、図4に示されるバイアス供給回路31のMN9に代えて、6個のNチャネルMOSFET、MN9aとMN9bとMN9cとMN9saとMN9sbとMN9scとが設けられている。MN9aとMN9bとMN9cのゲート端子には基準電流源30のMN0のドレイン端子とゲート端子からの配線が接続されて、MN0とのカレントミラーが構成され、MN9aとMN9bとMN9cは、それぞれのサイズWna/Lna、Wnb/Lnb、Wnc/Lncに応じて、MP9に流れる電流に比例する電流値の電流源として機能する。MN9saとMN9sbとMN9scは、それぞれMN9aとMN9bとMN9cに接続され、スイッチとして機能する。電流源として機能するMN9aとMN9bとMN9cのうちのどれが、MP9に接続されるかが、R1用レジスタ22_R1から供給される制御信号によって制御される。R1用レジスタ22_R1から供給される制御信号をbna、bnb、bncとし、それぞれがアサートされるとき値「1」をとり、ネゲートされるとき値「0」をとるとすると、BIP11によって規定されるソースアンプ4のバイアス電流は、基準電流源30のMN0に流れる電流に対して、以下の比例定数によって規定される。」
「【図9】
[図:0001429535000015.jpg]
」
「【0080】
bna×Wna/Lna+bnb×Wnb/Lnb+bnc×Wnc/Lnc
MP10とMN10に流れる電流もこれがミラーされているので、BIN11によって規定されるソースアンプ4のバイアス電流も同様である。ソースアンプ4のバイアス電流は、3ビットの制御値によって調整され、8階調から全てのスイッチがオフされる場合を除く残り7階調で制御される。
【0081】
ブロック(領域)R1~R4のそれぞれに対応して、レジスタ22_R1~22_R4とバイアス供給回路31_R1~31_R4と、バイアス線BIP11~BIP14とBIN11~BIN14が設けられているので、ブロック(領域)R1~R4のソースアンプ4のバイアス電流は、ブロック(領域)毎にそれぞれ独立に制御することができる。
【0082】
これにより、本実施形態2によっても、ソースアンプブロック40において、階調レベル生成回路13から近端側のブロック(領域)のソースアンプ4のバイアス電流を小さくし遠端側のバイアス電流を大きくすることによって、すべてのソースアンプ4_1~4_nでのスルーレートを概ね均等にするように調整することができる。したがって、表示駆動回路(表示ドライバIC)1の長手方向のサイズが増大したときにも、全てのソースアンプのスルーレートが均等になるように調整し、表示パネルのライン内での輝度特性を揃えることができる。
【0083】
図7を引用して説明した実施形態1では、全てのソースアンプ4_1~4_nにトランジスタを追加したが、本実施形態では、バイアス線の配線数は増えるものの、ソースアンプ4には素子を追加する必要はなく、全体として追加するトランジスタの数を少なく抑えることができる。
【0084】
なお、レジスタ22_R1~22_R4とレジスタ22_L1~22_L4(不図示)は、ソースアンプバイアス制御回路14内に設けられても良いし、他の回路ブロック、例えば制御部8に設けられてもよい。また、レジスタ22_R1~22_R4に格納される制御値を3ビットとして説明したのは一例に過ぎず、ビット数は任意に変更することができる。
【0085】
図11は、実施形態2のソースアンプブロック40の右側の各ブロック(領域)R1~R4の配置及びソースアンプバイアス制御回路14からのバイアス線BIN11~BIN14の配線の一例を模式的に示す説明図である。Pチャネル側のバイアス線BIP11~BIP14の配線は、図示されるバイアス線BIN11~BIN14の配線と同様であるが、図示は省略されている。ソースアンプブロック40の左側の各ブロック(領域)L1~L4についても図示される右側と同様であるが、図示は省略されている。抵抗R111~R114,R122~R124,R133~R134,R144は、バイアス線BIN11~BIN14の配線抵抗を模式的に示している。実際は分布定数であるが、集中定数の抵抗として示される。抵抗R111~R114の値は、ブロック(領域)R1の長手方向の幅に相当する配線長によって決まる同じ値となる。抵抗RR122~R124,R133~R134,R144の値も同様に、ブロック(領域)R2,R3,R4の長手方向の幅に相当する配線長によってそれぞれ決まる同じ値となる。BIN11~BIN14の配線抵抗は、それぞれ、R111のみ、R112+R122、R113+R123+R133、R114+R124+R134+R144となる。配線抵抗は、近端程小さく遠端ほど大きい。」
「【図11】
[図:0001429535000016.jpg]
」
「【0086】
図12は、図11に示されるレイアウト(配置・配線)におけるバイアス電流の分布を示すグラフである。横軸はソースアンプバイアス制御回路14からの距離であり、縦軸にはソースアンプ4のバイアス電流の値が、模式的に示される。バイアス電流が全てのソースアンプ4_1~4_nについて同じ値である場合には、階調レベル生成回路13に近いブロック(領域)R1から順に遠いブロック(領域)R4に向かって、ソースアンプ4のスルーレートは低下する。これを相殺して概ね均等のスルーレートにするために、バイアス電流は、近いブロック(領域)R1から順に遠いブロック(領域)R4に向かって大きくなるように設定される。」
「【図12】
[図:0001429535000017.jpg]
」
「【0087】
これにより、すべてのソースアンプ4_1~4_nでのスルーレートを概ね均等にするような方向で調整することができる。」
(イ) 引用文献4技術事項の認定
前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献4には、実施形態2として次の技術事項(以下「引用文献4技術事項」という。)が記載されているものと認められる(特に、段落【0078】、【0079】、【図8】、【図9】を参照)。
<引用文献4技術事項>
「階調線の供給回路から近端側に配置されるソースアンプのスルーレートと、遠端側に配置されるソースアンプのスルーレートの差による表示パネルの輝度特性のばらつきを防止し、ソースアンプのスルーレートを均一になるようにするために、複数のソースアンプを、階調線の配線長に基づいて複数のグループR1~R4に分け、ソースアンプバイアス制御回路14は、それぞれのグループ毎にバイアス電圧を供給するバイアス供給回路31_R1~31_R4を有し、ソースアンプバイアス制御回路14は、1個の基準電流源30と、各グループR1~R4に対応するバイアス供給回路31_R1~31_R4とを含んで構成され、基準電流源30は電流源300とMOSFETであるMN0から構成され、前記バイアス供給回路31_R1~31_R4のそれぞれは、基準電流源30に設けられたMN0とバイアス供給回路31_R1~31_R4のそれぞれに設けられたMOSFETであるMN9a~MN9cとによってカレントミラーを構成し、前記カレントミラーは、MN9a~MN9cのそれぞれに接続されたMN9sa~MN9scのそれぞれをスイッチとして機能させることで、グループごとにカレントミラーの電流増幅率を調整し、ソースアンプのグループごとのバイアス電流を調整すること。」
ウ 引用文献5に記載された事項及び技術常識1の認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2003-256057号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1つの電流源からn個のセルに定電流を供給する定電流供給回路に関する。
【0002】
【従来の技術】図2は、1つの出力端子を有する電流源に対して並列に配置された3個の同形状・同回路のセルに定電流を供給する従来の定電流供給回路を説明するための図である。電流源1の出力端子は、各電流供給先のセル26、27、28上を直線的に接続する配線によって、各セル26、27、28内に設けられたn-MOSトランジスタ20、22、24の入力端子に接続されている。また、各n-MOSトランジスタ20、22、24は各セル26、27、28の内部回路へ電流を供給するための電流供給用n-MOSトランジスタ21、23、25とカレントミラー回路を構成している。即ち、各n-MOSトランジスタ20、22、24に電流源1から供給される電流と同じ電流が、カレントミラー回路を構成する各電流供給用n-MOSトランジスタ21、23、25にも流れることになる。」
「【図2】
[図:0001429535000018.jpg]
」
「【0003】続いて、従来の定電流供給回路の動作について説明する。まず各セル26、27、28へ供給する電流Iのセル数分の電流3Iが電流源1から出力される。電流源1から出力された電流3Iは、各セル26、27、28のn-MOSトランジスタ20、22、24にIづつ分配供給される。各n-MOSトランジスタ20、22、24に定電流Iが流れると、各n-MOSトランジスタ20、22、24とカレントミラー回路を構成している電流供給用n-MOSトランジスタ21、23、25にもn-MOSトランジスタ20、22、24に流れる電流と同じ定電流Iが流れ、各セル26、27、28の内部回路に定電流Iが供給される。」
(イ) 技術常識1の認定
前記(ア)に摘記した引用文献5の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識1」という。)
<技術常識1>
「カレントミラー回路を含むn個のセルに定電流を供給する際に、1つの電流源から各セルに直接電流を供給してもよいこと。」
(4) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点
構成Xは、「第1~第N(Nは2以上の整数)のデータラインを有する表示デバイスを駆動する表示ドライバ」である。
a 引用発明の「データ側ドライバ」は、液晶パネル1の半導体基板上の各画素電極を駆動するものであり、当該半導体基板上には、各画素電極へ印加する階調電圧を送る「データ線」384本が配線されている。
b 引用発明の「データ側ドライバ」、「液晶パネル1」及び「データ線」は、それぞれ本件補正発明の「表示ドライバ」、「表示デバイス」及び「データライン」に相当する。
c よって、本件補正発明と引用発明は、「第1~第N(Nは2以上の整数)のデータラインを有する表示デバイスを駆動する表示ドライバ」の発明である点で一致する。
(イ) 構成Aの観点
構成Aは、「映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1~第Nの画素データ片を受け、前記第1~第Nの画素データ片をクロック信号のエッジのタイミングで出力するデータ取込部」を含むことである。
a 引用発明の「前段回路部10」は「データレジスタ12」、「データラッチ13」を有し、「データレジスタ12」は、1水平期間ごとに、データ線384本に対応する1走査線分のデータ信号DATAを取込み、「データラッチ13」は、1水平期間ごとに、データレジスタ12に取込まれた1走査線分のデータ信号DATAをストローブ信号STBの立ち上がりに同期して保持するとともにレベルシフタ14に一括供給するものである。
b 引用発明の「各画素電極へ印加する階調電圧を送るデータ線」である「データ線384本に対応する1走査線分のデータ信号DATA」のそれぞれは、本件補正発明の「映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1~第Nの画素データ片」に相当する。
c 前記aで述べたように、引用発明の「データレジスタ12」及び「データラッチ13」は、全体として前記データ信号DATAを取込み、ストローブ信号STBの立ち上がりに同期して保持するとともにレベルシフタ14に一括供給するものであるから、本件補正発明の「データ取込部」に相当する。
d 引用発明の「ストローブ信号STB」と本件補正発明の「クロック信号」は、「タイミングを規定する信号」である点で共通するところ、引用発明の「ストローブ信号STBの立ち上がりに同期して」「レベルシフタ14に一括供給する」ことと、本件補正発明の「クロック信号のエッジのタイミングで出力する」ことは、「タイミングを規定する信号のエッジのタイミングで出力する」という点で共通する。
e よって、本件補正発明と引用発明は、「映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1~第Nの画素データ片を受け、前記第1~第Nの画素データ片を、タイミングを規定する信号のエッジのタイミングで出力するデータ取込部」を含む点で共通する。
f 上記a~eの検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、構成Aの観点について、次の(a)の点において一致し、以下の(b)の点において相違する。
(a) 構成Aの観点についての一致点
「映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1~第Nの画素データ片を受け、前記第1~第Nの画素データ片を、タイミングを規定する信号のエッジのタイミングで出力するデータ取込部」を含む点。
(b) 構成Aの観点についての相違点
データ取込部が第1~第Nの画素データ片を出力するタイミングを規定する信号が、本件補正発明においては、「クロック信号」であるのに対して、引用発明においては、ストローブ信号STBである点。
(ウ) 構成Bの観点
構成Bは、「前記データ取込部から出力された前記第1~第Nの画素データ片を第1~第Nの階調電圧に変換する階調電圧生成部」を含むことである。
a 引用発明の「前段回路部10」の「レベルシフタ14」及び「DAコンバータ15」は、レベルシフタ14において、データラッチ13からの1走査線分のデータ信号DATAの電圧レベルを高めてDAコンバータ15に供給し、DAコンバータ15において、階調電圧VPx、VNxを各演算増幅器20に供給するものであり、デジタル信号であるデータ信号DATAを、アナログ信号である階調電圧に変換しているから、本件補正発明の「階調電圧生成部」に相当する。
b よって、本件補正発明と引用発明は、「前記データ取込部から出力された前記第1~第Nの画素データ片を第1~第Nの階調電圧に変換する階調電圧生成部」を含む点で一致する。
(エ) 構成Cの観点
構成Cは、「前記第1~第Nの階調電圧を増幅して得た第1~第Nの駆動電圧を前記第1~第Nのデータラインに供給する第1~第Nのアンプ」を含むことである。
a 引用発明の「384個のボルテージホロワ接続の演算増幅器20」は、「データ線384本に対応して前段回路部10の出力が接続される」ものであるところ、「前段回路部10」の「DAコンバータ15」により変換された384個の階調電圧VPx、VNxを増幅するものである。
b そうすると、引用発明の「データ線384本に対応」した「384個のボルテージホロワ接続の演算増幅器20」は、「第1~第Nのデータラインに供給する第1~第Nのアンプ」に相当する。
c そして、引用発明の「384個のボルテージホロワ接続の演算増幅器20」は、「階調電圧VPx、VNxを増幅して得た出力電圧Voutを各データ線に供給」するものであることを踏まえると、引用発明の384個の階調電圧VPx、VNxを増幅して得た384個の「出力電圧Vout」は、本件補正発明の「前記第1~第Nのデータラインに供給」される「前記第1~第Nの階調電圧を増幅して得た第1~第Nの駆動電圧」に相当する。
d よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1~第Nの階調電圧を増幅して得た第1~第Nの駆動電圧を前記第1~第Nのデータラインに供給する第1~第Nのアンプ」を備える点で一致する。
(オ) 構成D0、D1の観点
構成D0は、「前記第1~第Nのアンプ各々の動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成して前記第1~第Nのアンプに供給するバイアス電圧生成部」を含むことであり、構成D1は、「バイアス電圧生成部」が「前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第1の電圧値を表す第1の情報と、前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第2の電圧値を表す第2の情報と、を記憶するレジスタ」を含むことである。
a 引用発明の「バイアス回路部40」は、“L”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給されると、バイアス電圧取出し回路42からはPバイアス端子及びNバイアス端子に、より小さいバイアス電圧が供給され、演算増幅器20のバイアス電流が低バイアスに設定され、“H”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給されると、バイアス電圧取出し回路42からはPバイアス端子及びNバイアス端子に、より大きいバイアス電圧が供給され、演算増幅器20のバイアス電流が高バイアスに設定されるものである。
b ここで、引用発明の「演算増幅器20のバイアス電流」は、本件補正発明の「アンプ」の「動作電流」に相当するところ、引用発明において「演算増幅器20のバイアス電流が高バイアスに設定される」ことは、本件補正発明において「前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する」ことに相当し、引用発明において「演算増幅器20のバイアス電流が低バイアスに設定され[る]」ことは、本件補正発明において「前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する」ことに相当する。
c また、引用発明の「バイアス電流」を設定する「バイアス電圧」は、本件補正発明の「動作電流の電流値」を「設定」する「バイアス電圧」に相当するところ、引用発明の「より大きいバイアス電圧」の値は、本件補正発明の「前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値」としての「第1の電圧値」に相当し、引用発明の「より小さいバイアス電圧」の値は、本件補正発明の「前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値」としての「第2の電圧値」に相当する。
d そして、引用発明における「“H”レベルのバイアス切り換え信号BIC」及び「“L”レベルのバイアス切り換え信号BIC」は、それぞれ本件補正発明の「第1の電圧値を表す第1の情報」及び「第2の電圧値を表す第2の情報」に相当する。
e さらに、引用発明の「バイアス回路部40」には「バイアス切り換え信号BIC」を供給する何らかの回路が接続されているものと認められる(以下便宜上、「BIC用回路」ということがある。さらに、「BIC用回路」と「バイアス回路部40」を合わせて「引用発明バイアス回路部」ということがある。)。
f 前記a~eを踏まえると、引用発明の「引用発明バイアス回路部」は、本件補正発明の「バイアス電圧生成部」と、「前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第1の電圧値を表す第1の情報と、前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第2の電圧値を表す第2の情報」を供給する回路である点において共通するということができる。
g 引用発明において、演算増幅器20は、差動段21と出力段22とを有し、差動段21は、演算増幅器20内にバイアス電流を流すために、バイアス回路部40のPチャネルMOSトランジスタQ25にミラー接続されるPチャネルMOSトランジスタQ1とNチャネルMOSトランジスタQ27にミラー接続されるNチャネルMOSトランジスタQ2とを含むものであるから、バイアス回路部40からのバイアス電圧が、差動段21の「PチャネルMOSトランジスタQ1」及び「NチャネルMOSトランジスタQ2」のゲートに供給されて、演算増幅器20内にバイアス電流を流していることが理解される(引用文献1の図7及び図8を参照)。
h そうすると、引用発明の「引用発明バイアス回路部」は、「演算増幅器20のバイアス電流」を設定する「バイアス電圧」を生成して「演算増幅器20」に供給する回路であるといえるから、本件補正発明の「前記第1~第Nのアンプ各々の動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成して前記第1~第Nのアンプに供給するバイアス電圧生成部」に相当する。
i よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1~第Nのアンプ各々の動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成して前記第1~第Nのアンプに供給するバイアス電圧生成部」を備える点で一致する。
j 一方で、本件補正発明の「バイアス電圧生成部」は、「第1の情報」と「第2の情報」とを記憶する「レジスタ」を含むことが特定されているが、引用発明の「バイアス切り換え信号BIC」については、これを記憶する「レジスタ」が存在するのか、不明である。
k 前記a~jの検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、構成D0及びD1の観点について、次の(a)の点において一致し、以下の(b)の点において相違する。
(a) 構成D0及びD1の観点についての一致点
「前記第1~第Nのアンプ各々の動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成して前記第1~第Nのアンプに供給するバイアス電圧生成部と、を含み」、前記バイアス電圧生成部が「前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第1の電圧値を表す第1の情報と、前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第2の電圧値を表す第2の情報と」を供給する回路を有する点。
(b) 構成D0及びD1の観点についての相違点
「第1の情報」と「第2の情報」について、
本件補正発明においては「レジスタ」がこれを記憶するのに対し、
引用発明においては、これら情報を記憶する「レジスタ」が存在するのか不明である点。
(カ) 構成D2、D3の観点
構成D2は、「前記第1~第Nのアンプは、夫々が複数の前記アンプからなる第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群に群分けされて[いる]」ことであり、構成D3は、バイアス電圧生成部が「前記第1~第Kのアンプ群に夫々対応して設けられており、夫々が前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号を個別に受け、前記バイアス電圧制御信号によって示される前記第1の情報又は前記第2の情報に基づいて生成した前記バイアス電圧を、前記第1~第Kのアンプ群のうちの対応するアンプ群に供給する第1~第Kのサブバイアス回路」を含むことである。
a 前記(オ)において説示したとおり、引用発明における「“H”レベルのバイアス切り換え信号BIC」及び「“L”レベルのバイアス切り換え信号BIC」は、それぞれ本件補正発明の「第1の電圧値を表す第1の情報」及び「第2の電圧値を表す第2の情報」に相当することを踏まえると、引用発明の「バイアス切り換え信号BIC」は、本件補正発明の「前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号」に相当するものと認められる。
b そして、前記(オ)で検討したように、引用発明の「バイアス回路部40」は、“L”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給されると、バイアス電圧取出し回路42からはPバイアス端子及びNバイアス端子に、より小さいバイアス電圧が供給され、演算増幅器20のバイアス電流が低バイアスに設定され、“H”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給されると、バイアス電圧取出し回路42からはPバイアス端子及びNバイアス端子に、より大きいバイアス電圧が供給され、演算増幅器20のバイアス電流が高バイアスに設定されるものであるから、引用発明の「バイアス回路部40」は、本件補正発明の「サブバイアス回路」と、「前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号」を「受け」、「前記バイアス電圧制御信号によって示される前記第1の情報又は前記第2の情報に基づいて生成した前記バイアス電圧を」、「アンプ群に供給する」「バイアス回路」である点において共通する。
c 一方で、引用発明の「演算増幅器20」は群分けされておらず、群ごとに「バイアス回路部40」は設けられていないから、引用発明の「バイアス回路部40」は、「前記第1~第Kのアンプ群に夫々対応して設けられ[る]」構成ではなく、1つの「バイアス回路部40」が全ての演算増幅器20に対応するものであって、また生成した前記バイアス電圧もまた、「前記第1~第Kのアンプ群のうちの対応するアンプ群に供給する第1~第Kのサブバイアス回路に送出」するものではなく、全ての演算増幅器20に送出されるものである。
d 上記a~cの検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、構成D2、D3の観点について、次の(a)の点において一致し、以下の(b)の点において相違する。
(a) 構成D2、D3の観点についての一致点
「バイアス電圧生成部」が「前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号を」「受け、前記バイアス電圧制御信号によって示される前記第1の情報又は前記第2の情報に基づいて生成した前記バイアス電圧を、」「アンプ群に供給する」「バイアス回路」を含む点。
(b) 構成D2、D3の観点についての相違点
本件補正発明においては、
「前記第1~第Nのアンプは、夫々が複数の前記アンプからなる第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群に群分けされ」、
「バイアス回路」が
「前記第1~第Kのアンプ群に夫々対応して設けられて[いる]」「第1~第Kのサブバイアス回路」であり、「夫々」がバイアス電圧制御信号を「個別に」受けるものであり、それぞれのサブバイアス回路が生成した「前記バイアス電圧を、前記第1~第Kのアンプ群のうちの対応するアンプ群に供給する」ものであるのに対し、
引用発明においては、複数の演算増幅器20は群分けされておらず、「バイアス回路部40」は全ての演算増幅器20に対応して1つ設けられており、生成したバイアス電圧を全ての演算増幅器20に供給する点。
(キ) 構成E1、E2の観点
a 構成E1は、「バイアス電圧生成部」が「所定の一定電流からなる基準電流を生成し、生成した前記基準電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に送出する電流源」を含むこと、構成E2は「前記第1~第Kのサブバイアス回路」の各々が「前記基準電流を受け、前記基準電流に基づいて基準バイアス電圧を生成し、前記バイアス電圧制御信号が前記第1の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第1の情報に基づく調整を施すことにより前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る一方、前記バイアス電圧制御信号が前記第2の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第2の情報に基づく調整を施すことにより前記第2の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る電圧調整部」を含むことである。
b 引用発明は、そもそも複数のサブバイアス回路を持たないことから、上記構成E1のような「電流源」や、上記構成E2のような「電圧調整部」を有しないものである。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、構成E1、E2の観点について、以下のとおり相違する。
本件補正発明の「バイアス電圧生成部」が「所定の一定電流からなる基準電流を生成し、生成した前記基準電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に送出する電流源」を含み、「前記第1~第Kのサブバイアス回路」の各々が「前記基準電流を受け、前記基準電流に基づいて基準バイアス電圧を生成し、前記バイアス電圧制御信号が前記第1の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第1の情報に基づく調整を施すことにより前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る一方、前記バイアス電圧制御信号が前記第2の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第2の情報に基づく調整を施すことにより前記第2の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る電圧調整部」を含むのに対し、引用発明はこのような「電流源」や「電圧調整部」を有しない点。
(ク) 構成Fの観点
構成Fは、「サブバイアス回路」が「前記クロック信号の前記エッジの時点から第1の期間の経過時点までの間は、前記第1の情報で表される前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を生成し、前記第1の期間の経過時点で前記バイアス電圧の電圧値を前記第2の情報で表される前記第2の電圧値に切り替えること」である。
a 引用発明においては、バイアス回路部40にストローブ信号STBの立ち上がりに同期した“H”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給され、演算増幅器20のバイアス電流がバイアス回路部40で高バイアスに設定され、ストローブ信号STBの立ち下がりから所定期間、例えば、ストローブ信号STBのパルス幅分経過後に、バイアス回路部40に“L”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給され、演算増幅器20のバイアス電流がバイアス回路部40で低バイアスに設定されるものである(引用文献1の図9を参照)。
b 引用発明においては、ストローブ信号STBが立ち上がってから、ストローブ信号STBの立ち下がりから所定期間、例えば、ストローブ信号STBのパルス幅分経過するまでの期間に、“H”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給される期間が、本件補正発明の「第1の期間」に相当する。
そして、引用発明において、ストローブ信号STBの立ち下がりから所定期間、例えば、ストローブ信号STBのパルス幅分経過後に、バイアス回路部40に“L”レベルのバイアス切り換え信号BICが供給される期間が、本件補正発明の「第1の期間の経過時点」以降の期間に相当する。
c 引用発明の「バイアス電流」を「高バイアス」に設定する「バイアス電圧」は、本件補正発明の「前記第1の情報で表される前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧」に相当し、引用発明の「バイアス電流」を「低バイアス」に設定する「バイアス電圧」は、本件補正発明の「前記第2の情報で表される前記第2の電圧値」を有する「バイアス電圧」に相当する。
d 前記(イ)dで示したとおり、引用発明の「ストローブ信号STB」と本件補正発明の「クロック信号」は、「タイミングを規定する信号」である点で共通する。
e よって、本件補正発明と引用発明は、構成Fの観点について、次の(a)の点において一致し、以下の(b)の点において相違する。
(a) 構成Fの観点についての一致点
「バイアス電圧生成部」が「前記タイミングを規定する信号の前記エッジの時点から第1の期間の経過時点までの間は、前記第1の情報で表される前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を生成し、前記第1の期間の経過時点で前記バイアス電圧の電圧値を前記第2の情報で表される前記第2の電圧値に切り替えること」
(b) 構成Fの観点についての相違点
「前記タイミングを規定する信号」が、
本件補正発明においては、「クロック信号」であるのに対して、
引用発明においては、ストローブ信号STBである点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
第1~第N(Nは2以上の整数)のデータラインを有する表示デバイスを駆動する表示ドライバであって、
映像信号に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1~第Nの画素データ片を受け、前記第1~第Nの画素データ片を、タイミングを規定する信号のエッジのタイミングで出力するデータ取込部と、
前記データ取込部から出力された前記第1~第Nの画素データ片を第1~第Nの階調電圧に変換する階調電圧生成部と、
前記第1~第Nの階調電圧を増幅して得た第1~第Nの駆動電圧を前記第1~第Nのデータラインに供給する第1~第Nのアンプと、
前記第1~第Nのアンプ各々の動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成して前記第1~第Nのアンプに供給するバイアス電圧生成部と、を含み、
前記バイアス電圧生成部は、
前記動作電流の電流値を第1の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第1の電圧値を表す第1の情報と、前記動作電流の電流値を前記第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する前記バイアス電圧の電圧値として第2の電圧値を表す第2の情報とを供給する回路を有し、
前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号を受け、前記バイアス電圧制御信号によって示される前記第1の情報又は前記第2の情報に基づいて生成した前記バイアス電圧を、アンプ群に供給するバイアス回路を含み、
前記タイミングを規定する信号の前記エッジの時点から第1の期間の経過時点までの間は、前記第1の情報で表される前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を生成し、前記第1の期間の経過時点で前記バイアス電圧の電圧値を前記第2の情報で表される前記第2の電圧値に切り替える、
表示ドライバ、である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
「第1の情報」と「第2の情報」について、
本件補正発明においては「レジスタ」がこれを記憶するのに対し、
引用発明においては、これら情報を記憶する「レジスタ」が存在するのか不明である点。
b 相違点2
本件補正発明においては、
「前記第1~第Nのアンプは、夫々が複数の前記アンプからなる第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群に群分けされ」、
「バイアス回路」が
「前記第1~第Kのアンプ群に夫々対応して設けられて[いる]」「第1~第Kのサブバイアス回路」であり、「夫々」がバイアス電圧制御信号を「個別に」受けるものであり、それぞれのサブバイアス回路が生成した「前記バイアス電圧を、前記第1~第Kのアンプ群のうちの対応するアンプ群に供給する」ものであるのに対し、
引用発明においては、複数の演算増幅器20は群分けされておらず、「バイアス回路部40」は全ての演算増幅器20に対応して1つ設けられており、生成したバイアス電圧を全ての演算増幅器20に供給する点。
c 相違点3
本件補正発明の「バイアス電圧生成部」が「所定の一定電流からなる基準電流を生成し、生成した前記基準電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に送出する電流源」を含み、「前記第1~第Kのサブバイアス回路の各々は前記基準電流を受け、前記基準電流に基づいて基準バイアス電圧を生成し、前記バイアス電圧制御信号が前記第1の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第1の情報に基づく調整を施すことにより前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る一方、前記バイアス電圧制御信号が前記第2の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第2の情報に基づく調整を施すことにより前記第2の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る電圧調整部」を含むのに対し、引用発明はこのような「電流源」や「電圧調整部」を有しない点。
d 相違点4
データ取込部が第1~第Nの画素データ片を出力するタイミングや、第1の情報で表される第1の電圧値を有するバイアス電圧の生成に係る第1の期間を開始するタイミングを規定する信号が、本願発明においては、「クロック信号」であるのに対して、引用発明においては、ストローブ信号STBである点。
(5) 判断
ア 相違点1について
(ア) 前記(3)ア(イ)で検討したように、「表示装置のソースドライバにおいて、アンプに流れるバイアス電流を制御する場合に、バイアス電流を可変制御するために必要となる電流値や期間をユーザが任意に調整するための設定データをレジスタに格納すること」は、引用文献2技術事項のように、本願の出願前に既に公知となっていた技術である。
(イ) ここで、一般に電子回路において、回路を制御するための情報を記憶しておくためにレジスタを利用することは、文献を提示するまでもなく技術常識であると認められるところ、引用発明においても、「バイアス切り換え信号BIC」を入力情報として「バイアス回路部40」の動作を制御することから(段落【0012】を参照)、上記公知の技術を適用する契機はあるというべきである。
(ウ) してみれば、引用発明において、引用文献2技術事項を適用して、「“H”レベルのバイアス切り換え信号BIC」及び「“L”レベルのバイアス切り換え信号BIC」を記憶しておく「レジスタ」を設けることにより、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
イ 相違点2、3について
相違点2、3についてまとめて検討する。
(ア) 引用文献4技術事項について
前記(3)イ(イ)において認定したとおり、引用文献4には、次の引用文献4技術事項が記載されている。
<引用文献4技術事項>
「階調線の供給回路から近端側に配置されるソースアンプのスルーレートと、遠端側に配置されるソースアンプのスルーレートの差による表示パネルの輝度特性のばらつきを防止し、ソースアンプのスルーレートを均一になるようにするために、複数のソースアンプを、階調線の配線長に基づいて複数のグループR1~R4に分け、ソースアンプバイアス制御回路14は、それぞれのグループ毎にバイアス電圧を供給するバイアス供給回路31_R1~31_R4を有し、ソースアンプバイアス制御回路14は、1個の基準電流源30と、各グループR1~R4に対応するバイアス供給回路31_R1~31_R4とを含んで構成され、基準電流源30は電流源300とMOSFETであるMN0から構成され、前記バイアス供給回路31_R1~31_R4のそれぞれは、基準電流源30に設けられたMN0とバイアス供給回路31_R1~31_R4のそれぞれに設けられたMOSFETであるMN9a~MN9cとによってカレントミラーを構成し、前記カレントミラーは、MN9a~MN9cのそれぞれに接続されたMN9sa~MN9scのそれぞれをスイッチとして機能させることで、グループごとにカレントミラーの電流増幅率を調整し、ソースアンプのグループ毎のバイアス電流を調整すること。」
(イ) 引用発明に引用文献4技術事項を適用する動機について
引用発明において、「BIC用回路」と「バイアス回路部40」を合わせた「引用発明バイアス回路部」は、「演算増幅器20のバイアス電流」を設定する「バイアス電圧」を生成して「演算増幅器20」に供給する回路であるといえるところ(前記(4)ア(オ)e及びhを参照)、引用文献1の【図5】に示された「バイアス回路部40」と「演算増幅器20」の配置からみて、引用発明においても、輝度特性のばらつきが生じないように、アンプのスルーレートを均一にすべき要請があることは明らかであるから、引用発明において、上記引用文献4技術事項を適用する動機があるといえる。
(ウ) 「アンプ群」の「群分け」と「サブバイアス回路」について
前記(イ)を踏まえると、引用発明において、引用文献4技術事項を適用することにより、「演算増幅器20」を複数のグループに分け、換言すれば「第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群に群分け」して、それぞれのアンプ群ごとに「バイアス回路部40」を設けることは、当業者が容易に想到できたものであり、アンプ群ごとに設けられた「バイアス回路部40」を「サブバイアス回路」と称することは、単なる称呼の問題にすぎない。
(エ) 「電流源」と「サブバイアス回路」の関係について
a 引用文献4技術事項では、1個の基準電流源30を流れる基準電流をそれぞれのバイアス供給回路31_R1~31_R4に反映させるにあたり、バイアス供給回路31_R1~31_R4の一部と、基準電流源30の一部を構成するMOSFETであるMN0とがカレントミラーとなるような構成を採用している。
b ここで、前記(3)ウ(イ)において技術常識1として認定したように「カレントミラー回路を含むn個のセルに定電流を供給する際に、1つの電流源から各セルに直接電流を供給してもよいこと」は技術常識であることを踏まえると、引用発明に引用文献4技術事項を適用して、基準電流を「バイアス回路部40」に反映させるにあたって、「バイアス回路部40」と基準電流源の一部を構成するMOSFETとでカレントミラー構成とするのか、あるいは「バイアス回路部40」にカレントミラー回路を設け、当該カレントミラー回路に直接電流源を接続する構成とするのかは、引用発明に引用文献4技術事項を具体的に適用する際の、課題を解決するための具体的手段における微差にすぎないというべきであって、当業者が適宜選択できた事項にすぎないものと認められる。
c そうすると、K個のサブバイアス回路のそれぞれにカレントミラー回路を設けて、基準電流源からK個のサブバイアス回路のそれぞれに基準電流を送出するように構成することは、前記bにおいて検討した事項を踏まえると、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。
(オ) 「基準バイアス電圧」の「生成」について
上記(エ)cにおいて述べた設計事項については、より具体的には、引用文献4技術事項のMN0に相当する部分を基準電流源からそれぞれの「バイアス回路部40」(サブバイアス回路)に移行させて、MN0とMN9a~MN9cから構成されるようなカレントミラー回路を「バイアス回路部40」(サブバイアス回路)内で構成することを意味するところ、その場合には、MN0におけるゲートソース電圧が、本件補正発明の「基準バイアス電圧」に相当することとなるから、「第1~第Kのサブバイアス回路の各々」が「前記基準電流を受け、前記基準電流に基づいて基準バイアス電圧を生成」するという構成が導かれる。
(カ) 「電流調整部」について
a 引用発明の「バイアス回路部40」に供給される「“H”レベルのバイアス切り換え信号BIC」及び「“L”レベルのバイアス切り換え信号BIC」は、それぞれ本件補正発明の「第1の電圧値を表す第1の情報」及び「第2の電圧値を表す第2の情報」に相当するものであるところ(前記(4)ア(オ)d参照)、「バイアス回路部40」が複数になった場合(K個のサブバイアス回路として構成された場合)にも同様に、この情報を用いることが自然であるといえる。
b ここで、引用文献4技術事項は、「MN0とバイアス供給回路に設けられたMOSFETであるMN9a~MN9cとによってカレントミラーを構成し、前記カレントミラーは、MN9a~MN9cのそれぞれに接続されたMN9sa~MN9scのそれぞれをスイッチとして機能させることで、グループごとにカレントミラーの電流増幅率を調整し、ソースアンプのグループ毎のバイアス電流を調整」するものであるから、引用発明に引用文献4技術事項を適用した際には、「バイアス切り換え信号BIC」は、引用文献4技術事項における「電流増幅率」を調整するために用いられることとなる。
c ここでいう「電流増幅率」は、MN0のゲートソース電圧(「基準バイアス電圧」に相当)で定まるMN0を流れる入力電流に対する、MP9を流れる出力電流としての増幅率を指すものと認められるから、「電流増幅率」を調整することは、「基準バイアス電圧」に「調整を施すことにより」「バイアス電圧を得る」ことを意味するものである。
d そして、その際には、既に存在するMN9a~MN9cのそれぞれに接続されたMN9sa~MN9scのスイッチを切り換えるために「バイアス切り換え信号BIC」を用いることもあり得るであろうし、「“H”レベル」及び「“L”レベル」に相当するバイアス電圧を形成するために、新たなMOSFETを準備し、「バイアス切り換え信号BIC」によって新たに設けたMOSFETをスイッチングする場合もあり得るものと認められるが、いずれにせよ、引用発明に引用文献4技術事項を適用した場合には、以下の(a)及び(b)に示すようなバイアス電圧の調整が行われることになり、本件補正発明の「電圧調整部」に相当する構成が導かれることになる。
(a) 高バイアス電圧調整
個々の「バイアス回路部40」(第1~第Kのサブバイアス回路の各々)は、「バイアス切り換え信号BIC」が「“H”レベルのバイアス切り換え信号BIC」を示す場合(「第1の情報を示す場合」に相当)には、MN0におけるゲートソース電圧(「基準バイアス電圧」に相当)で定まる電流に対する電流増幅率を調整することにより(「第1の情報に基づく調整を施すことにより」に相当)、「バイアス電流」を「高バイアス」に設定する「バイアス電圧」(「第1の電圧値を有する前記バイアス電圧」に相当)を得るようにバイアス電圧の調整を行うこと。
(b) 低バイアス電圧調整
個々の「バイアス回路部40」(第1~第Kのサブバイアス回路の各々)は、「バイアス切り換え信号BIC」が、「“L”レベルのバイアス切り換え信号BIC」を示す場合(「第2の情報を示す場合」に相当)には、MN0におけるゲートソース電圧(「基準バイアス電圧」に相当)で定まる電流に対する電流増幅率を調整することにより(「第2の情報に基づく調整を施すことにより」に相当)、「バイアス電流」を「低バイアス」に設定する「バイアス電圧」(「第2の電圧値を有する前記バイアス電圧」に相当)を得るようにバイアス電圧の調整を行うこと。
(キ) 相違点2、3の検討のまとめ
前記(ア)~(カ)で検討したことをまとめると、引用発明、引用文献4技術事項及び技術常識1に基づいて、前記相違点2及び相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到できたものと認められる。
そして、本願明細書の発明の詳細な説明をみても、アンプを複数のアンプ群に群分けすることや、基準電流をサブバイアス回路に送出することについての技術上の意義については何ら開示されておらず、そうすると、相違点2及び3に係る本件補正発明の構成が奏するものとしての作用効果については、引用発明に技術常識1を考慮しつつ引用文献4技術事項を適用した際に、当業者が予測する作用効果を超えたものを認めることができない。
ウ 相違点4について
表示ドライバのタイミングを規定する信号として、クロック信号やストローブ信号は、いずれも例を示すまでもなく周知であるから、引用発明において、ストローブ信号STBでなく、クロック信号により、データ側ドライバのタイミングを制御することは当業者が適宜になし得ることである。
よって、引用発明において、前記相違点4に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 総合評価
前記ア~ウにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~4に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献2技術事項、引用文献4技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~4を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術事項、引用文献4技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張1
a 請求人の主張1の内容
引用文献4のバイアス供給回路は、基準電流源30が生成した基準電流に対応した電圧をバイアス供給回路の各々に供給するという電圧伝送を行うにあたり、基準電流源30及びバイアス供給回路の各々間を接続する配線の長さによって、各バイアス供給回路が受ける電圧の大きさに差異が生じ、各アンプ群に対して均一な動作電流を設定できなくなる。しかし、本件補正発明では、単一の電流源が生成した基準電流をそのまま複数のサブバイアス回路の各々に送出するという電流伝送を行っているため、電流源と複数のサブバイアス回路の各々とを接続する配線の抵抗に差異があっても、これらサブバイアス回路の各々は一定の基準電流を受けることができるので、サブバイアス回路ごとに各アンプに対して均一な動作電流を設定することが可能になる。
b 請求人の主張1についての検討
請求人の主張1の内容、すなわち「単一の電流源が生成した基準電流をそのまま複数のサブバイアス回路の各々に送出するという電流伝送を行っているため、電流源と複数のサブバイアス回路の各々とを接続する配線の抵抗に差異があっても、これらサブバイアス回路の各々は一定の基準電流を受けることができるので、サブバイアス回路ごとに各アンプに対して均一な動作電流を設定することが可能になる」との作用効果は、本願明細書の発明の詳細な説明において記載されていないし、また示唆もされていない。このような作用効果の主張が明細書の記載に基づくものといえるためには、当該作用効果が本願明細書の記載から推論できるものである必要があるが、そのような場合には、前記イにおいて説示した事項を踏まえると、当該作用効果は引用発明、引用文献4技術事項及び技術常識1に基づいて推論、予測できるものといわざるを得ないこととなる。
したがって、請求人の主張1で主張される本件補正発明の作用効果は、明細書の記載に基づかないものであるか、又は、当業者が容易に予測し得るものであるかのいずれかであり、そのいずれであるにせよ、進歩性の根拠として採用できるものでない(同旨の裁判例として、東京高判平成13年12月11日(平成12年(行ケ)152号)、知財高判平成19年1月30日(平成18年(行ケ)10222号)がある。)。
(イ) 請求人の主張2
a 請求人の主張2の内容
本件補正発明のように電流転送を行う場合には、サブバイアス回路の各々内に、この基準電流を電圧に変換するための回路(例えば引用文献4の図9に示すトランジスタMN0)を設ける必要があるが、引用文献4の図9に示す基準電流源30に含まれるトランジスタMN0をバイアス回路の各々内に設けるという、あえて回路規模を増大させる変更を行うという発想にいたらない。
b 請求人の主張2についての検討
基準電流源30に含まれるMN0を引用発明バイアス回路部に設けることを当業者が容易に想到できることについては、前記イ(エ)及び(オ)で検討したとおりである。
したがって、請求人の主張2は採用することができない。
カ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術事項、引用文献4技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(5)カのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1(進歩性の欠如)
本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
<主たる引用文献>
引用文献1.特開2004-29316号公報
<その他の引用文献>
引用文献2.特開2013-162145号公報
引用文献3.特開2015-211266号公報(補正前請求項5、7-8に対して)
引用文献4.特開2015-203831号公報(補正前請求項9-10に対して)
3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア及びウにおいて示したとおりである。
引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項は、前記第2の3(3)ア(ア)及び(イ)において示したとおりである。
引用文献4に記載された事項及び引用文献4技術事項は、前記第2の3(3)イ(ア)及び(イ)において示したとおりである。
技術常識1は、前記第2の3(3)ウ(イ)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から「前記第1~第Nのアンプは、夫々が複数の前記アンプからなる第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群に群分けされ」るものであることの限定、及び「バイアス電圧生成部」について「前記第1~第Kのアンプ群に夫々対応して設けられており、夫々が前記第1の情報及び前記第2の情報を示すバイアス電圧制御信号を個別に受け、前記バイアス電圧制御信号によって示される前記第1の情報又は前記第2の情報に基づいて生成した前記バイアス電圧を、前記第1~第Kのアンプ群のうちの対応するアンプ群に供給する第1~第Kのサブバイアス回路と、所定の一定電流からなる基準電流を生成し、生成した前記基準電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に送出する電流源と、を含み、前記第1~第Kのサブバイアス回路の各々は、前記基準電流を受け、前記基準電流に基づいて基準バイアス電圧を生成し、前記バイアス電圧制御信号が前記第1の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第1の情報に基づく調整を施すことにより前記第1の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る一方、前記バイアス電圧制御信号が前記第2の情報を示す場合には前記基準バイアス電圧に前記第2の情報に基づく調整を施すことにより前記第2の電圧値を有する前記バイアス電圧を得る電圧調整部を含[む]」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(5)において説示したとおり、引用発明、引用文献2技術事項、引用文献4技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明、引用文献2技術事項、引用文献4技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-005914