審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2024-004559

ライトフィールドディスプレイにおける発光素子のための構造

審判番号
2024-004559
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-509957
請求日
2024年03月14日
審決日
2025年06月25日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】グーグル エルエルシー
  • 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 濱野 隆
  • 審判官 南川 泰裕
分類
P18 .575-Z (G09F) / P18 .121-Z (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-509957号「ライトフィールドディスプレイにおける発光素子のための構造」拒絶査定不服審判事件〔令和元年10月31日国際公開、WO2019/209961、令和3年12月23日国内公表、特表2021-536036号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(平成31年)4月24日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2018年4月25日、2019年4月23日、いずれも米国。以下、2018年(平成30年)4月25日を「優先日」という。)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和2年12月16日 :翻訳文の提出 令和4年 6月15日 :手続補正書の提出 令和5年 3月 6日付け:拒絶理由通知書 同年 9月12日 :意見書、手続補正書の提出 同年11月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月14日 :原査定の謄本の送達) 令和6年 3月14日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年 4月23日付け:前置報告書 同年 7月 8日 :上申書の提出 第2 令和6年3月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年3月14日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年3月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、審判請求書の請求の理由にも記載のとおり、本件補正後の請求項5は、本件補正前(令和5年9月12日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の請求項17に対応する。 本件補正前の特許請求の範囲の請求項17の記載及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項5の記載は、それぞれ以下の(1)及び(2)に示すとおり。なお、下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「 【請求項17】 ライトフィールドディスプレイであって、 画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含み、前記複数の副画素は、 単一の連続した半導体基板上に直接形成されており、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列と、 前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子とを含み、 前記ライトフィールドディスプレイは、複数の電子回路を含むバックプレーンを備え、前記複数の電子回路のそれぞれは、前記複数の副画素のうちの1つに電気的に接続され、かつ前記1つの副画素の複数の発光素子を駆動するように構成されている、ライトフィールドディスプレイ。」 (2) 本件補正後 「 【請求項5】 ライトフィールドディスプレイであって、 画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含み、前記複数の副画素の各々は、 単一の連続した半導体基板上に直接形成されており、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列と、 前記複数の発光素子の配列から放出される前記第1の色の光、前記第2の色の光、または前記第3の色の光のうち前記選択された1つを同じ方向に向けるように設けられている光誘導光学素子とを含み、 前記ライトフィールドディスプレイは、複数の電子回路を含むバックプレーンを備え、前記複数の電子回路のそれぞれは、前記複数の副画素のうちの1つに電気的に接続され、かつ前記1つの副画素の複数の発光素子を駆動するように構成されており、 前記複数の副画素の各々の前記光誘導光学素子は、前記複数の副画素の各々から放出される前記第1の色の光、前記第2の色の光、または前記第3の色の光を互いに異なる方向に向けるように設けられている、ライトフィールドディスプレイ。」 2 本件補正についての当審の判断 (1) 本件補正の目的について ア 本件補正後の請求項5についてする補正の内容 本件補正後の請求項5についてする補正は、それぞれ次の(ア)から(ウ)に示す補正事項Aから補正事項Cまでから構成される。 (ア) 補正事項A 次の条件を備える主体を、「前記複数の副画素」から「前記複数の副画素の各々」に補正することにより、「前記複数の副画素」について限定すること。 「 単一の連続した半導体基板上に直接形成されており、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列と、 前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子とを含み、」 (イ) 補正事項B 「光誘導光学素子」についての次のaに示す補正前の記載を後記bに示す補正後の記載に補正すること。 a 本件補正前の記載 「前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている」 b 本件補正後の記載 「前記複数の発光素子の配列から放出される前記第1の色の光、前記第2の色の光、または前記第3の色の光のうち前記選択された1つを同じ方向に向けるように設けられている」 (ウ) 補正事項C 「前記複数の副画素の各々の前記光誘導光学素子」について、「前記複数の副画素の各々から放出される前記第1の色の光、前記第2の色の光、または前記第3の色の光を互いに異なる方向に向けるように設けられている」ことを限定すること。 イ 補正の目的要件の充足性についての当審の判断 (ア) 特許請求の範囲の減縮に該当しないことについて a 前記補正事項A及びCは特許請求の範囲の減縮であると認められる。 b(a) その一方で、前記補正事項Bについて検討すると、当該補正によって、「光誘導光学素子」が「前記複数の発光素子の配列と協働[する]」ものであるという限定が削除された。 (b) その結果、本件補正後の請求項5に係る発明は、「光誘導光学素子」が「前記複数の発光素子の配列と協働[する]」ことなく特定の方向に光を向けるものも含むこととなった。 (c) したがって、本件補正後の請求項5についてする補正は、特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的とするものには該当しない。 (イ) そのほかの目的にも該当しないことについて a 本件補正後の請求項5についてする前記補正事項Bが、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)のいずれを目的とするものにも該当しないことは明らかである。 b(a) 請求人は、請求項5についての補正の目的要件の充足性について何ら説明していないところ、本件補正前の請求項17の「第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列」という記載を踏まえると、請求人の補正事項Bについての意図は、「光誘導光学素子」が「前記複数の発光素子の配列と協働」することは、「第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち」の「1つ」を「複数の発光素子の配列」から「選択された1つ」を「同じ方向に向けること」を意味すると考えて、前記補正事項Bは、その点を明確化したことにある、すなわち明瞭でない記載の釈明を目的としたとも考えられ得る。 (b) しかしながら、本件補正前の請求項17の「前記複数の発光素子の配列と協働」することについて、その記載が不明瞭であるとの拒絶の理由が通知されてはおらず、補正事項Bについての補正は、「拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。」という特許法17条の2第5項4号括弧書きの要件を充足しないから、同号を目的としたものには該当しない。 (c) さらには、後記(2)ア(イ)において検討するとおり、補正事項Bについての補正は、不明瞭な記載とする補正であるから、この意味においても「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものとはいえない。 (ウ) 目的要件についての判断のまとめ 前記(ア)及び(イ)の検討のとおりであるから、本件補正後の請求項5についてする補正は、特許法17条の2第5項各号に列挙するいずれをも目的とするものに該当せず、同項の規定に適合しない。 (2) 独立特許要件の判断 前記(1)において検討したとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであるが、その点はひとまず措くとして、本件補正が仮に特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項5に記載された事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。 ア 本件補正発明 (ア) 本件補正発明の認定 本件補正発明は、次に再掲する本件補正後の請求項5に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 「 【請求項5】 ライトフィールドディスプレイであって、 画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含み、前記複数の副画素の各々は、 単一の連続した半導体基板上に直接形成されており、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列と、 前記複数の発光素子の配列から放出される前記第1の色の光、前記第2の色の光、または前記第3の色の光のうち前記選択された1つを同じ方向に向けるように設けられている光誘導光学素子とを含み、 前記ライトフィールドディスプレイは、複数の電子回路を含むバックプレーンを備え、前記複数の電子回路のそれぞれは、前記複数の副画素のうちの1つに電気的に接続され、かつ前記1つの副画素の複数の発光素子を駆動するように構成されており、 前記複数の副画素の各々の前記光誘導光学素子は、前記複数の副画素の各々から放出される前記第1の色の光、前記第2の色の光、または前記第3の色の光を互いに異なる方向に向けるように設けられている、ライトフィールドディスプレイ。」 (イ) 明確性要件違反についての検討 a(a) 本件補正後の請求項5には、次の記載がある。 「 画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含み、前記複数の副画素の各々は、 単一の連続した半導体基板上に直接形成されており、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列と、 前記複数の発光素子の配列から放出される前記第1の色の光、前記第2の色の光、または前記第3の色の光のうち前記選択された1つを同じ方向に向けるように設けられている光誘導光学素子とを含み、」 (b) 「前記選択された1つを同じ方向に向ける」との記載は、「前記」との記載があるから、当該記載よりも前の記載を参照すると、その前の段落に記載された「第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つ」の意味であると解されるところ、これが何と同じ方向であるのか、比較の対象が示されていないから、不明である。 また、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌しても、第1の色の光、第2の色の光及び第3の色の光のいずれも、その方向は一義的に定まるわけではないから、いずれかの色を選択したとしても、当該選択された色の光について何かと方向を比較することはできない。 以上のとおりであるから、前記(a)に摘記した記載の意味を明確に把握することはできない。 b(a) 本件補正後の請求項5には、次の記載がある。 「前記複数の副画素の各々の前記光誘導光学素子は、前記複数の副画素の各々から放出される前記第1の色の光、前記第2の色の光、または前記第3の色の光を互いに異なる方向に向けるように設けられている、」 (b) 日本語としての記載上、当該記載は、「前記複数の副画素の各々から放出される前記第1の色の光」と「前記第2の色の光」と「前記第3の色の光」を、「互いに異なる方向に向けるように設けられている」との意味にしか解されないところ、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌しても、第1の色の光、第2の色の光及び第3の色の光のいずれも、その方向が一義的に定まるわけではないから、前記記載の意味を明確に把握することはできない。 c 前記a及びbに検討のとおり、請求項5の記載は、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌してもその意味を明確に把握することはできず、前記記載が明確であることを裏付ける技術常識も見当たらないから、請求項5の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明であるといわざるを得ない。 したがって、本件補正発明は明確でない。 イ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項5の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしておらず、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3) 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記(1)において検討したとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反しているから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 また、本件補正が特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、前記(2)において検討したとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の分説 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項17に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項17(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。また、参考図1~3として、本願の【図1A】、【図6B】及び【図8B】を掲載する。 <本願発明> 構成X:ライトフィールドディスプレイであって、 構成A:画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含み、 構成B:前記複数の副画素は、単一の連続した半導体基板上に直接形成されており、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列と、 構成C:前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子とを含み、 構成D:前記ライトフィールドディスプレイは、複数の電子回路を含むバックプレーンを備え、前記複数の電子回路のそれぞれは、前記複数の副画素のうちの1つに電気的に接続され、かつ前記1つの副画素の複数の発光素子を駆動するように構成されている、 構成X:ライトフィールドディスプレイ。 <参考図1(【図1A】)> [図:0001429509000001.jpg] <参考図2(【図6B】)> [図:0001429509000002.jpg] <参考図3(【図8B】)> [図:0001429509000003.jpg] 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由のうち理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.中国特許出願公開第105929552号明細書(主たる引用文献) 引用文献2.特開2012-037715号公報 引用文献3.米国特許出願公開第2017/0358562号明細書(周知技術を示す文献) 3 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 (1) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された前記引用文献1(中国特許出願公開第105929552号明細書)には、次の記載がある。なお、括弧内に当合議体による日本語訳を示す。下線は当合議体が付したもので、後記(2)において引用発明の認定に直接用いる記載を示す。 ア [0022]~[0024]、図1 「 [図:0001429509000004.jpg] 」 ([0022] 図1に示すとおり、本発明は、3D表示装置を提供し、以下を含む:基板1、基板1上にアレイ状に配列された複数のマイクロ発光ダイオード2、前記複数のマイクロ発光ダイオード2上に設けられた誘電体層3、及び、前記誘電体層3上に設けられたマイクロレンズパッケージアレイ層4。) 「図1 [図:0001429509000005.jpg] 」 「 [図:0001429509000006.jpg] [図:0001429509000007.jpg] 」 ([0023] 具体的には、前記誘電体層3は、一定の厚さを有する透明媒質であり、マイクロレンズパッケージアレイ層4は、マイクロ発光ダイオード2から放射された光を分割して3D表示を実現することができる。 [0024] なお、マイクロレンズパッケージアレイ層4は、二つの機能を同時に有することに留意すべきであり、一つ目の機能は、マイクロ発光ダイオード2をパッケージして保護し、水蒸気がマイクロ発光ダイオード2の内部構造に損傷を与えるのを防ぎ、マイクロ発光ダイオード2の寿命を延ばすことであり、二つ目の機能は、3D表示を実現することであり、マイクロレンズパッケージアレイ層4によって、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2から放射された光を異なる空間方向に屈折させ、観察者の左目と右目に対応する二つの視点を形成することで、3D表示を実現する。さらに、視聴者の左目と右目は、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2によって表示される同一の立体シーンの異なる視差画像をそれぞれ受信し、視覚中枢の立体融合を通じて立体感を得る。) イ [0027]~[0029] 「 [図:0001429509000008.jpg] 」 ([0027] 特に、前記複数のマイクロ発光ダイオード2は、マイクロ転写法により得られるものであり、具体的な操作プロセスは以下のとおりである:まず、ネイティブ基板を用意し、ネイティブ基板上に複数のマイクロ発光ダイオード2を生成し、次に、複数のマイクロ発光ダイオード2をマイクロ転写ヘッドを介して基板1に転写する;前記ネイティブ基板はサファイア基板とする。好ましくは、複数のマイクロ発光ダイオード2は、いずれも窒化ガリウム(GaN)マイクロ発光ダイオード、窒化インジウムガリウム(InGaN)マイクロ発光ダイオード又はアルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)マイクロ発光ダイオードであり、前記基板1はガラス基板である。 [0028] 具体的には、複数のマイクロ発光ダイオード2は以下を含む:赤色マイクロ発光ダイオード、緑色マイクロ発光ダイオード及び青色マイクロ発光ダイオード。一つの赤色マイクロ発光ダイオード、一つの緑色マイクロ発光ダイオード及び一つの青色マイクロ発光ダイオードで一つの表示画素を構成する。 [0029] 特に、前記基板1と前記複数のマイクロ発光ダイオード2の間には、前記複数のマイクロ発光ダイオード2に電気的に接続された制御回路が設けられており、この制御回路は、複数のマイクロ発光ダイオード2に対応して配置された複数の薄膜トランジスタを含み、複数のマイクロ発光ダイオード2は、制御回路によって駆動され、発光して、画像を表示する。) (2) 引用発明の認定 前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「3D表示装置であって、([0022]) 基板1、基板1上にアレイ状に配置された複数のマイクロ発光ダイオード2、前記複数のマイクロ発光ダイオード2上に設けられた誘電体層3、及び、誘電体層3上に設けられたマイクロレンズパッケージアレイ層4を含み、([0022]) 複数のマイクロ発光ダイオード2は、一つの表示画素を構成する一つの赤色マイクロ発光ダイオード、一つの緑色マイクロ発光ダイオード及び一つの青色マイクロ発光ダイオードを含み、([0028]) 複数のマイクロ発光ダイオード2はマイクロ転写ヘッドを介して、ガラス基板である基板1に転写され、([0027]) マイクロレンズパッケージアレイ層4によって、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2から放射された光を異なる空間方向に屈折させ、観察者の左目と右目に対応する二つの視点を形成することで、3D表示を実現するものであり、視聴者の左目と右目は、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2によって表示される同一の立体シーンの異なる視差画像をそれぞれ受信し、視覚中枢の立体融合を通じて立体感を得るものであり、([0024]) 前記基板1と前記複数のマイクロ発光ダイオード2の間には、前記複数のマイクロ発光ダイオード2に電気的に接続された制御回路が設けられており、この制御回路は、複数のマイクロ発光ダイオード2に対応して配置された複数の薄膜トランジスタを含み、複数のマイクロ発光ダイオード2は、制御回路によって駆動され、発光して画像を表示する([0029]) 3D表示装置。」 4 周知技術及び技術常識の認定 (1) 引用文献3の記載事項及び周知技術1、2の認定 ア 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された前記引用文献3(米国特許出願公開第2017/0358562号明細書)には、次の記載がある。 (ア) 段落[0012] 「[0012] Embodiments generally relate to semiconductor devices. More particularly, embodiments relate to semiconductor devices having light emitting diodes (LEDs) with multi-color pixels, such as RGB color pixels. In one embodiment, the RGB LEDs are integrated with various IC chips to form low power, high brightness and high resolution color display systems used in, for example, wearable devices and head mount display devices, such as those employed in virtual reality (VR) or augmented reality (AR) applications. The LED display system may also be used in other applications.」 (実施形態は、一般的には半導体デバイスに関する。より具体的には、実施形態は、RGBカラー画素などの多色画素を有する発光ダイオード(LED)を備えた半導体デバイスに関する。一実施形態では、RGBのLEDは様々なICチップと統合され、例えば、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)アプリケーションのような例で用いられるウェアラブルデバイスやヘッドマウントディスプレイデバイスに用いられる、低消費電力、高輝度、高解像度のカラーディスプレイシステムを構成する。LEDディスプレイシステムは、他のアプリケーションにも使用することができる。) (イ) 段落[0014]、Fig.1A-D 「[0014] FIGS. 1A-D) show various views of different parts of a device. FIGS. 1A-B show top and cross-sectional views of devices 100 at the wafer level while FIG. 1C shows an LED device 120 and FIG. 1D shows front and backside views of a backplane device 140. Referring to FIGS. 1A-D, a wafer stack is shown. The wafer stack includes a first water(当合議体注:waferの誤記) 110 stacked on top of a second wafer 130. The first and second wafers include a plurality of first and second devices disposed thereon. For example, the first wafer includes a plurality of first devices and the second wafer includes a plurality of second devices. The devices of the first and second wafers, when stacked, are aligned.」 ([0014] 図1A~Dは、デバイスの異なる部分の様々な図を示している。図1A~Bは、ウェハレベルでのデバイス100の上面図と断面図を示しており、図1CはLEDデバイス120を示し、図1Dはバックプレーンデバイス140の正面図と背面図を示している。図1A~Dを参照すると、ウェハスタックが示されている。ウェハスタックは、第2ウェハ130の上に積層された第1ウェハ110を含む。第1ウェハと第2ウェハには、複数の第1デバイスと第2デバイスが配置されている。例えば、第1ウェハには複数の第1デバイスが含まれ、第2ウェハには複数の第2デバイスが含まれる。第1ウェハと第2ウェハのデバイスは、積層された際に位置合わせされる。) 「 [図:0001429509000009.jpg] 」 「 [図:0001429509000010.jpg] 」 「 [図:0001429509000011.jpg] 」 「 [図:0001429509000012.jpg] 」 (ウ) 段落[0015]~[0016] 「[0015] In one embodiment, the first wafer is an LED wafer with a plurality of LED devices 120. The LED devices are multi-color LED devices. A multi-color device, for example, includes multi-color LED pixels 122, such as red (R), green (G) and blue (B) configured in as color display, As shown, the top surface of the wafer includes the LEDs of the LED devices. For example, the surface of the LED wafer is the display side of the wafer. interconnections to terminals of the pixels of the LED devices are provided on the bottom surface of the first wafer. The interconnections may include through silicon via (TSV) contacts or metal pad-metal pad bonding. [0016] As for the second wafer, it is a backplane (BP) wafer with BP devices 140. The BP device incudes a top surface 140a and a bottom surface 140b. A BP device is a complementary metal oxide semiconductor (CMOS) backplane device with CMOS components, such as CMOS transistors. The BP device may include other CMOS devices. The CMOS transistors may be referred to as front-end-of-line CMOS components. The FEOL components are disposed on the top surface of the BP wafer. A backend-of-line (BEOL) dielectric is disposed on the CMOS components.」 ([0015] 一実施形態では、第1ウェハは、複数のLEDデバイス120を有するLEDウェハである。LEDデバイスは、多色LEDデバイスである。例えば、多色デバイスは、カラーディスプレイとして構成された赤(R)、緑(G)、青(B)などの多色LEDピクセル122を含む。図示のように、ウェハの上面には、LEDデバイスのLEDが含まれる。例えば、LEDウェハの表面は、ウェハの表示面である。LEDデバイスの画素の端子への相互接続は、第1ウェハの下面に設けられる。相互接続には、シリコン貫通ビア(TSV)コンタクト又は金属パッド間ボンディングが含まれ得る。 [0016] 第2のウェハは、BPデバイス140を備えたバックプレーン(BP)ウェハである。BPデバイスは、上面140aと下面140bを含む。BPデバイスは、CMOSトランジスタなどのCMOSコンポーネントを備えた相補型金属酸化膜半導体(CMOS)バックプレーンデバイスである。BPデバイスには、他のCMOSデバイスが含まれる場合がある。CMOSトランジスタは、フロントエンドオブライン(FEOL)CMOSコンポーネントと呼ばれることもある。FEOLコンポーネントは、BPウェハの上面に配置される。CMOSコンポーネント上には、バックエンドオブライン(BEOL)誘電体が配置される。) (エ) 段落[0021]、Fig.2 「[0021] FIG. 2 shows a simplified cross-sectional view of an embodiment, of a device 200. The device includes an LED device 220 bonded to a BP device 240. In one embodiment, a top surface of the LED device is bonded to a top surface of the BP device. Disposed on a bottom surface of the BP device is a RDL 260 on which a plurality of SoC chips 2701-n are bonded. The device may be part of or originally part of an LED wafer with a plurality of LED devices and BP wafer with plurality of BP devices. The wafer may be diced to singulate the devices into individual devices.」 ([0021] 図2は、デバイス200の一実施形態を示す簡略化した断面図である。このデバイスは、BPデバイス240に接合されたLEDデバイス220を含む。一実施形態では、LEDデバイスの上面がBPデバイスの上面に接合されている。BPデバイスの底面には、複数のSoCチップ2701-nが接合されたRDL260が配置されている。このデバイスは、複数のLEDデバイスを含むLEDウェハ及び複数のBPデバイスを含むBPウェハの一部又は元々の一部であってもよい。ウェハはダイシングされ、デバイスを個々のデバイスに分離することができる。) 「 [図:0001429509000013.jpg] 」 (オ) 段落[0022]~[0023] 「[0022] In one embodiment, an LED device includes an LED substrate (not shown). The LED substrate includes first and second major surfaces. The first major surface may be referred to as the LED surface and the second major surface may be referred to as bottom surface. The first surface includes an LED region in which LEDs 222 are formed. The first surface may include other non-LED regions. In one embodiment, the LED substrate serves as a carrier substrate for handing the LED device as well as serving as a surface for forming the LEDs. [0023] The substrate may be a bulk semiconductor substrate, such as a silicon (Si) substrate. The substrate, for example, may have a thickness of about 50-750 um. Other types of substrates, such as silicon carbide (SiC) or sapphire substrates may also be employed. Alternatively, the substrate may be a crystal-on-insulator (COI) substrate. A COI substrate includes a thin surface substrate and a bulk substrate separated by an insulator layer, such as buried oxide layer (BOX). In the case of a COI substrate, the bulk substrate which includes the second major surface is a silicon bulk substrate. As for the surface substrate which includes the first major surface, it may be silicon or other types of surface substrates. For example, the surface substrate may be a silicon carbide (SiC) or a sapphire substrate.」 ([0022] 一実施形態では、LEDデバイスはLED基板(図示せず。)を含む。LED基板は、第1及び第2の主表面を含む。第1の主表面はLED表面と称され、第2の主表面は底面と称される。第1の表面には、LED222が形成されるLED領域が含まれる。第1の表面には、非LED領域も含まれる場合がある。一実施形態では、LED基板は、LEDを形成するための表面としての機能するとともに、LEDデバイスを搬送するためのキャリア基板としても機能する。 [0023] 基板は、シリコン(Si)基板などのバルク半導体基板であってもよい。基板の厚さは、例えば約50~750μmである。炭化ケイ素(SiC)基板やサファイア基板などの他の種類の基板も使用可能である。あるいは、基板は、絶縁体上結晶(COI)基板であってもよい。COI基板は、薄い表面基板と、埋め込み酸化膜(BOX)などの絶縁層によって分離されたバルク基板とを含む。COI基板の場合、第2の主表面を含むバルク基板はシリコンバルク基板である。第1の主表面を含む表面基板は、シリコンであってもよく、他の種類の表面基板であってもよい。例えば、表面基板は、炭化ケイ素(SiC)基板やサファイア基板であってもよい。) イ 周知技術1、2の認定 前記アに摘記した引用文献3の記載事項に例示されているように、次の二つの技術事項は、いずれも周知技術であると認められる(以下、それぞれ「周知技術1」及び「周知技術2」という。)。 <周知技術1> 「発光ダイオード・ディスプレイシステムにおいて、半導体基板表面に発光ダイオードを形成すること。」 <周知技術2> 「発光ダイオード・ディスプレイシステムにおいて、バックプレーンを設けて電子回路を配置すること。」 (2) 引用文献7に記載された事項及び技術常識Aの認定 ア 引用文献7に記載された事項 当合議体が新たに引用する、優先日前に発行された次の文献(以下「引用文献7」という。)には、以下の記載がある。 <引用文献7> 小池崇文著「技術解説 ライトフィールドカメラ&ディスプレイ」映像情報メディア学会誌、2017年、71巻、1号、36~40頁 「6.ライトフィールドディスプレイ ライトフィールドを再生するのがライトフィールドディスプレイである.広義には,ライトフィールドディスプレイとは,離散化された光線群を再生するディスプレイであるが,狭義には4D Light Fieldを再生するディスプレイである. そのため,制御された光線群を再生していれば,ライトフィールドディスプレイと呼んで差し支えないが,あえて分類すると,大きく2つの方式があると言える.(後略)」(39ページ左欄13行~25行) イ 技術常識Aの認定 前記アに摘記した引用文献7の記載事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識A」という。) <技術常識A> 「ライトフィールドディスプレイとは、広義には、離散化された光線群を再生するディスプレイのことであり、制御された光線群を再生していれば、ライトフィールドディスプレイと呼んで差し支えないこと。」 5 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点(ライトフィールドディスプレイ) (ア) 構成Xは、「ライトフィールドディスプレイ」の発明であることを特定するものである。 (イ) 引用発明の「3D表示装置」は、「マイクロレンズパッケージアレイ層4によって、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2から放射された光を異なる空間方向に屈折させ、観察者の左目と右目に対応する二つの視点を形成することで、3D表示を実現するものであり、視聴者の左目と右目は、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2によって表示される同一の立体シーンの異なる視差画像をそれぞれ受信し、視覚中枢の立体融合を通じて立体感を得るものであり」、「視聴者の左目と右目」という異なる方向に光線を指向させるものであるから、それぞれの「マイクロ発光ダイオード2から放射された光」は「マイクロ発光ダイオード2」の発光色(赤色、緑色、青色)単位で放射方向が離散化された光線になっており、「複数の」「マイクロ発光ダイオード2から放射された光」は、各発光色の光線束として見ると、重ならない状態にあるから、離散化された光線群を形成しているといえる。そして、「マイクロレンズパッケージアレイ層4によって」、「異なる空間方向に屈折」するように光線群が制御されているから、引用発明の「3D表示装置」は、離散化された光線群を再生するディスプレイであって、制御された光線群を再生するものであるといえる。 (ウ) ここで、前記4(2)イにおいて認定したように、ライトフィールドディスプレイとは、広義には、離散化された光線群を再生するディスプレイのことであり、制御された光線群を再生していれば、ライトフィールドディスプレイと呼んで差し支えないものである(前記技術常識Aを参照)。 (エ) そうすると、引用発明の「3D表示装置」をライトフィールドディスプレイと呼んでも差し支えないから、引用発明の「3D表示装置」は、本願発明の「ライトフィールドディスプレイ」に相当するものである。 (オ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。 「ライトフィールドディスプレイ」の発明である点。 イ 構成Aの観点(画素) (ア) 構成Aは、「画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含[む]」ことである。 (イ) 引用発明において「複数のマイクロ発光ダイオード2は、一つの表示画素を構成する赤色マイクロ発光ダイオード、緑色マイクロ発光ダイオード、及び青色マイクロ発光ダイオードを含[む]」ものであるところ、引用発明の「赤色マイクロ発光ダイオード、緑色マイクロ発光ダイオード、及び青色マイクロ発光ダイオード」により「構成」された「一つの表示画素」は、本願発明における「副画素」に相当する。 (ウ) そして、左目と右目の視差の関係にある像を形成するためには、左目に対応する「一つの表示画素」(以下「左目副画素」という。)と、右目に対応する「一つの表示画素」(以下「右目副画素」という。)が、対の関係となることが必要であり、かかる対の関係にある「左目副画素」と「右目副画素」が、3D表示装置において画像を表示する「画素」を形成していると考えるべきである。 そうすると、引用発明の「左目副画素」と「右目副画素」の対は、本願発明における「複数の副画素を含[む]」「画素」に相当する。 (エ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。 「画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含[む]」点。 ウ 構成Bの観点(副画素の配列) (ア) 構成Bは、「前記複数の副画素は、単一の連続した半導体基板上に直接形成されており、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列」を含むことである。 (イ) 引用発明において、引用発明における左目と右目の視差の関係にある像を形成する対となる「左目副画素」と「右目副画素」(「画素」に相当する。)に含まれる左目用と右目用の「赤色マイクロ発光ダイオード、緑色マイクロ発光ダイオード及び青色マイクロ発光ダイオード」は、それぞれ赤色の光、緑色の光、及び青色の光を生成可能であることは自明である。 (ウ) そうすると、引用発明における左目と右目の視差の関係にある像を形成する対となる「左目副画素」と「右目副画素」(「画素」に相当する。)に含まれる左目用と右目用の「赤色マイクロ発光ダイオード、緑色マイクロ発光ダイオード、及び青色マイクロ発光ダイオード」を含む「複数のマイクロ発光ダイオード2」の「アレイ配列」は、本願発明にいうところの「第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列」であるといえる。 (エ) したがって、本願発明と引用発明の構成Bの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。 a 構成Bの観点における一致点 「前記複数の副画素は、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列」を含む点。 b 構成Bの観点における相違点 本願発明においては、 「前記複数の副画素は、単一の連続した半導体基板上に直接形成されて[いる]」のに対して、 引用発明においては、 「赤色マイクロ発光ダイオード、緑色マイクロ発光ダイオード及び青色マイクロ発光ダイオードを含[む]」「複数のマイクロ発光ダイオード2はマイクロ転写ヘッドを介して、ガラス基板である基板1に転写されて[いる]」点。 エ 構成Cの観点(光誘導光学素子) (ア) 構成Cは、「前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子」を含むことである。 (イ) 引用発明における「マイクロレンズパッケージアレイ層4」は「基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2から放射された光を異なる空間方向に屈折させ、観察者の左目と右目に対応する二つの視点を形成することで、3D表示を実現するものであり、視聴者の左目と右目は、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2によって表示される同一の立体シーンの異なる視差画像をそれぞれ受信し、視覚中枢の立体融合を通じて立体感を得るもの」であるところ、「マイクロ発光ダイオード2から放射された光」が「屈折」する「空間方向」は、当該「アレイ配列」を構成する個々のマイクロ発光ダイオード2の位置と個々のマイクロレンズの位置関係に依存するものであるから、「マイクロレンズパッケージアレイ層4」は「複数のマイクロ発光ダイオード2」の「アレイ配列」と協働して、観察者の左目又は右目の方向に「光」を「屈折」させているといえる。 (ウ) そうすると、引用発明における「マイクロレンズパッケージアレイ層4」は、本願発明の「前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子」に相当する。 (エ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。 「前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子」を含む点。 オ 構成Dの観点(バックプレーン) (ア) 構成Dは、「前記ライトフィールドディスプレイは、複数の電子回路を含むバックプレーンを備え、前記複数の電子回路のそれぞれは、前記複数の副画素のうちの1つに電気的に接続され、かつ前記1つの副画素の複数の発光素子を駆動するように構成されてい[る]」ことである。 (イ) 引用発明における「制御回路」は、「複数のマイクロ発光ダイオード2に電気的に接続され」ており、また「複数のマイクロ発光ダイオード2に対応して配置された複数の薄膜トランジスタを含み、複数のマイクロ発光ダイオード2は、制御回路によって駆動され、発光して画像を表示する」ものであるから、引用発明における「一つの表示画素を構成する」単位としての「赤色マイクロ発光ダイオード、緑色マイクロ発光ダイオード及び青色マイクロ発光ダイオード」(本願発明における「副画素」に相当する。)に対応して、「制御回路」がそれぞれ電気的に接続されており、かつ、それぞれの「制御回路」は、一つの副画素の発光素子を駆動するように構成されているといえる。 (ウ) そうすると、引用発明における「制御回路」は、本願発明における「前記複数の副画素のうちの1つに電気的に接続され、かつ前記1つの副画素の複数の発光素子を駆動するように構成されている」「複数の電子回路」に相当する。 (エ) したがって、本願発明と引用発明の構成Dの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。 a 構成Dの観点における一致点 「前記ライトフィールドディスプレイは、複数の電子回路を備え、前記複数の電子回路のそれぞれは、前記複数の副画素のうちの1つに電気的に接続され、かつ前記1つの副画素の複数の発光素子を駆動するように構成されてい[る]」点。 b 構成Dの観点における相違点 本願発明においては、 「複数の電子回路」は「バックプレーン」に含まれているのに対して、 引用発明においては、 「制御回路」は「基板1と複数のマイクロ発光ダイオード2の間」に設けられている点。 (2) 一致点及び相違点の認定 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。 ア 一致点 「ライトフィールドディスプレイであって、 画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含み、前記複数の副画素は、 第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列と、 前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子とを含み、 前記ライトフィールドディスプレイは、複数の電子回路を備え、前記複数の電子回路のそれぞれは、前記複数の副画素のうちの1つに電気的に接続され、かつ前記1つの副画素の複数の発光素子を駆動するように構成されている、 ライトフィールドディスプレイ」の発明である点。 イ 相違点 (ア) 相違点1 本願発明においては、 「前記複数の副画素は、単一の連続した半導体基板上に直接形成されて[いる]」のに対して、 引用発明においては、 「赤色マイクロ発光ダイオード、緑色マイクロ発光ダイオード、及び青色マイクロ発光ダイオードを含[む]」「複数のマイクロ発光ダイオード2はマイクロ転写ヘッドを介して、ガラス基板である基板1に転写されて[いる]」点。 (イ) 相違点2 本願発明においては、 「複数の電子回路」は「バックプレーン」に含まれているのに対して、 引用発明においては、 「制御回路」は「基板1と複数のマイクロ発光ダイオード2の間」に設けられている点。 6 判断 (1) 相違点1について 前記4(1)イにおいて認定したように、「発光ダイオード・ディスプレイシステムにおいて、半導体基板表面に発光ダイオードを形成すること」は周知技術であることを踏まえると(前記周知技術1を参照)、引用発明のマイクロ発光ダイオードを半導体基板上に直接形成することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎないものである。 したがって、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2) 相違点2について 前記4(1)イにおいて認定したように、「発光ダイオード・ディスプレイシステムにおいて、バックプレーンを設けて電子回路を配置すること」は周知技術であることを踏まえると(前記周知技術2を参照)、引用発明において、バックプレーンを設けて制御回路を配置することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎないものである。 したがって、引用発明において、前記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (3) 総合評価 前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1、2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 請求人の主張について (1) 請求人の主張内容 本願発明の進歩性の欠如の拒絶理由に対して、令和5年9月12日に提出された意見書において、請求人は、以下のア及びイに示す主張をしている。 ア 請求人の主張ア 請求項17に係る発明(本願発明)は、「画素を備え、前記画素は、複数の副画素を含み、前記複数の副画素は、単一の連続した半導体基板上に直接形成されており、第1の色の光、第2の色の光、または第3の色の光のうち選択された1つを生成可能である複数の発光素子の配列と、前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子とを含む」との構成を備えているのに対して、いずれの引用文献も前記構成を開示も示唆もしていない。 引用文献1の段落0023には、「マイクロレンズパッケージアレイ層4がマイクロLED2が放射する光を分光して3D表示を実現できる」と記載されており、引用文献1に記載されたマイクロレンズパッケージアレイ層4は、前記構成に特定されている「光誘導光学素子」に相当するものではない。 イ 請求人の主張イ 引用文献1の請求項7及び段落0029には、「前記基板1と前記複数のマイクロ発光ダイオード2との間に、前記複数のマイクロ発光ダイオード2と電気的に接続された制御回路が設けられている」構成のみが開示されており、引用文献1に記載の制御回路は、「バックプレーン」に相当するものではない。(なお、意見書において当該主張は請求項12に関するものとして記載されているが、請求項17に関しても共通するものと認めてここで検討する。) (2) 請求人の主張についての検討 ア 請求人の主張アについて 前記5(1)エにおいて検討したように、引用発明においては、「マイクロレンズパッケージアレイ層4によって、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2から放射された光を異なる空間方向に屈折させ、観察者の左目と右目に対応する二つの視点を形成することで、3D表示を実現するものであり、視聴者の左目と右目は、基板1の異なる位置に配置されたマイクロ発光ダイオード2によって表示される同一の立体シーンの異なる視差画像をそれぞれ受信し、視覚中枢の立体融合を通じて立体感を得るもの」であるから、引用発明における「マイクロレンズパッケージアレイ層4」は、本願発明における「前記複数の発光素子の配列と協働して、光を方向付けるように設けられている光誘導光学素子」に相当する。 したがって、請求人の主張アは採用できない。 イ 請求人の主張イについて 前記6(2)において検討したように、「発光ダイオード・ディスプレイシステムにおいて、バックプレーンを設けて電子回路を配置すること」は周知技術(周知技術2)であるから、引用発明においてバックプレーンを設けて制御回路を配置することは、当業者が容易になし得たものである。 したがって、請求人の主張イは採用できない。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-004559

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決181件(グーグル エルエルシー)
  • 2025-018289拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)分散型基地局におけるポイントツーポイント通信およびポイントツーマルチポイント通信…
    同じ当事者: グーグル エルエルシー
  • 2025-008124拒絶査定不服審判 / 2026-06-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)機械学習モデルを用いたイベントの自動生成
    同じ当事者: グーグル エルエルシー
  • 2025-003135拒絶査定不服審判 / 2026-05-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)滑りの影響を受けない視線追跡ユーザインターフェイス
    同じ当事者: グーグル エルエルシー
  • 2025-010230拒絶査定不服審判 / 2026-05-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)セルラーネットワークにおけるニューラルネットワークベースの送信フィードバック
    同じ当事者: グーグル エルエルシー
  • 2025-001390拒絶査定不服審判 / 2026-04-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)デバイス上の音声アシスタントの実装
    同じ当事者: グーグル エルエルシー
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)250件(121・G09F、575・G09F)
  • 2024-016555拒絶査定不服審判 / 2026-03-31 / 請求不成立加飾部材、樹脂成形品及び加飾付き表示装置
    共通の審決分類: 121・G09F、575・G09F
  • 2024-012076拒絶査定不服審判 / 2026-02-12 / 請求不成立表示装置
    共通の審決分類: 121・G09F、575・G09F
  • 2024-010408拒絶査定不服審判 / 2025-11-14 / 請求不成立ポリエステルフィルムとその用途
    共通の審決分類: 121・G09F、575・G09F
  • 2024-009362拒絶査定不服審判 / 2025-08-15 / 請求不成立フレキシブルカバープレート及びフレキシブル表示装置
    共通の審決分類: 121・G09F、575・G09F
  • 2024-002493拒絶査定不服審判 / 2025-05-07 / 請求不成立ディスプレイパネルおよびディスプレイ装置
    共通の審決分類: 121・G09F、575・G09F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存