特許拒絶査定不服審判
2021-007599
光学メトロロジの性能を測定するための方法、基板、及び装置
- 審判番号
- 2021-007599
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-554618
- 請求日
- 2021年06月10日
- 審決日
- 2022年08月01日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】大貫 敏史
- 【請求人代理人】江口 昭彦
- 【請求人代理人】内藤 和彦
- 審判長/審判官
- 審判長 山村 浩
- 審判官 松川 直樹
- 審判官 加々美 一恵
- 分類
- P18 .113-Z (G03F) / P18 .121-Z (G03F) / P18 .537-Z (G03F) / P18 .575-Z (G03F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-554618号「光学メトロロジの性能を測定するための方法、基板、及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月8日国際公開、WO2018/202414号、令和2年6月25日国内公表、特表2020-518845号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年4月17日(パリ条約による優先権主張 2017年5月4日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和2年11月25日付け:拒絶理由通知書
令和3年 1月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 2月26日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和3年 6月10日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和3年6月10日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、請求項16が、本件補正前に
「コンポーネントからの放射による照明のための製品試験基板であって、
前記製品試験基板は、エッチングされたデバイスパターンを含まず、照明された場合に非ゼロ感度を生じ、前記非ゼロ感度は、前記放射の特性の変化に対する前記製品試験基板の光学応答特性の変化を表し、
前記放射の前記特性に対する前記光学応答特性の前記製品試験基板のスイング曲線は、異なる前記特性で異なる勾配を提供する、製品試験基板。」
であったのを、
「コンポーネントからの放射による照明のための製品試験基板であって、
前記製品試験基板は、エッチングされたデバイスパターンを含まず、照明された場合に非ゼロ感度を生じ、前記非ゼロ感度は、前記放射の特性の変化に対する前記製品試験基板の光学応答特性の変化を表し、
前記放射の前記特性に対する前記光学応答特性の前記製品試験基板のスイング曲線は、異なる前記特性で異なる勾配を提供し、
前記スイング曲線は、対象の1つ以上の前記特性において比較的大きい急峻な勾配を有する、製品試験基板。」
に補正する内容を含むものである(下線は補正箇所として請求人が付したものである。)。
2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項16に記載された「製品試験基板のスイング曲線」が「対象の1つ以上の前記特性において比較的大きい急峻な勾配を有」することを限定するものであって、本件補正前の請求項16に記載された発明と本件補正後の請求項16に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とすることを含むものである。
そこで、本件補正後の請求項16に記載される発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、項を改めて検討する。
3 独立特許要件の判断
当審は、本件補正後の請求項16の記載は明確でないから、当該請求項16の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、よって、本件補正は独立特許要件を満たさないものと判断する。
(1)明確性要件違反の検討
ア 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載に加え、本願の明細書及び図面の記載を考慮し、出願当時における当業者の技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきものである。より具体的に言えば、請求項の記載がそれ自体で明確であると認められる場合には、明細書又は図面中に請求項の用語についての定義又は説明があるかどうかを検討し、その定義又は説明によって、かえって請求項の記載が不明確にならないかを判断し、他方、請求項の記載がそれ自体で明確でない場合は、明細書又は図面中に請求項の用語についての定義又は説明があるかどうかを検討し、その定義又は説明を出願時の技術常識をもって考慮して請求項中の用語を解釈することによって、請求項の記載が明確といえるかどうかを判断し、以上の結果、請求項の記載から特許を受けようとする発明が明確に把握できるか否かによって判断するのが相当である。
そして、当審は、以下のとおり、本件補正後の請求項16の「製品試験基板のスイング曲線」は「対象の1つ以上の前記特性において比較的大きい急峻な勾配を有する」との記載(以下「本件記載」という。)は明確とはいえないと判断する。
イ まず、本件補正後の請求項16の記載に基づき、本件記載が明確といえるか否かについて検討する。
本件記載中の「比較的」、「大きい」及び「急峻」の字義は、それぞれ、「一般的基準とくらべて考えてみると」、「量が多い。程度がはなはだしい。」及び「非常にけわしいこと」(いずれも広辞苑第六版)であるから、これらの語は、いずれも程度を表す表現であって、それを満たすか否かの基準を何ら特定するものではない。そして、本件補正後の請求項16のその他の記載をみても、「比較的」、「大きい」及び「急峻」を満たすか否かの基準を理解し得る手がかりは見当たらない。
そうすると、「製品試験基板のスイング曲線」の「勾配」のうちどの程度のものであれば、「比較的大きい急峻な」ものに該当するのかは、「比較的大きい急峻な」という記載自体から客観的に定まるものではなく、「前記スイング曲線」を観察等する者が、各自の基準に基づいてこれに当たるか否かを主観的に判断するほかはないものといえる。つまり、「比較的大きい急峻な」「勾配」を有する「製品試験基板のスイング曲線」の範囲は、その判断者いかんによって変わり得るものであって、客観的に定まるものではないと言わざるを得ない。
したがって、本件記載は、本件補正後の請求項16の記載に基づいたとしても、それ自体で明確であるとはいえない。
ウ そこで、本件補正後の本願の明細書及び図面(以下「本願明細書等」という。なお、本願明細書等は、出願当初より補正されていない。)の記載を参照する。
(ア)本願明細書等には、「製品試験基板のスイング曲線」の「勾配」に関して、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
「【0085】
[0112] ここで、実際のパターニングプロセス(例えばデバイス製造業者によって実行される)は、基板上に様々な材料の層(スタックとも称される)を堆積する多様な処理技法を含み得る。これらのプロセス層は、パターニングプロセスのライフサイクル全体を通して様々なシステム及びステージにおいて放射と相互作用する。例えば、アライメントセンサ、レベルセンサ、露光投影システム(例えば露光放射)、オーバーレイやCD等の検査メトロロジ装置等からの放射は、基板が露光/測定される場合に基板上の様々な層と相互作用する可能性がある。
【0086】
[0113] 様々な屈折率、消衰係数、層の厚さ等に応じて、これらのシステムは入射放射に対する多様な応答を有し得る。図11に、多様なスペクトル応答の例が示されている。図11は、基板上に異なる組み合わせの材料を含む7つの異なるパターニングプロセスにより生成された基板の曲線を示しており、異なる波長の放射を用いてアライメントについて測定が行われている。各曲線は、7つの異なるパターニングプロセスのうち1つからの基板を表す。横軸は、基板上のマークを測定するため使用されるアライメント測定ビーム(500nmから900nm)の波長に対応し、縦軸は規格化1次回折強度に対応する。各曲線は、それぞれ異なるパターニングプロセスによる基板上の同一タイプのマークについて決定されている。これらの曲線はスイング曲線(swing curve)の例である。より一般的には、本明細書において言及されるスイング曲線は、光学応答特性(例えば強度、回折効率等)と、光学応答特性を生成するため使用される放射の特性(例えば波長、偏光、位相、入射角等)との関係を記述する。また、スイング曲線はグラフで表現する必要はなく、スイング曲線という用語は、単にデータで表現された関係を包含する。このため、スイング曲線は単にデータとして表現されるか、グラフで表現されるか、又はそれら双方とすることができる。
【0087】
[0114] 図11は、異なるパターニングプロセス間で様々な性質のスペクトルが存在し得ることを示している。特定のパターニングプロセスの基板では波長の小さい変化に対して強度が顕著に変化し得ること、及び、特定のパターニングプロセスの基板ではある波長範囲にわたって強度がかなり広い範囲の値を有し得ることがわかる。更に、この変動及び範囲は、異なるパターニングプロセスからの基板では大きく異なる可能性がある。また、曲線のいくつかでは、応答において実質的にピーク又は不連続点が存在し得るが、他の曲線ではこれらは存在しない。
【0088】
[0115] 更に、図12で示されているように、スペクトル応答曲線は、基板上の層の厚さの小さい変化に対して顕著に変化し得る。図11と同様、横軸は、基板上のマークを測定するため使用されるアライメント測定ビーム(500nmから900nm)の波長に対応し、縦軸は規格化1次回折強度に対応する。図12において、各曲線は同一のパターニングプロセスからの基板に対応するが、スタックの厚さが異なる。具体的には、各曲線に対応した基板は、スタックの厚さを公称スタックから1%刻みで+/-5%まで変動させている。図12で見られるように、この例では、これらの曲線は全体的な形状は同じであるが、値の範囲が異なったり、横軸に沿ってシフトしたりする可能性がある。従って、スタックの厚さが変化すると、応答に著しい変化が生じ得る。」
「【0092】
[0119] しかしながら、アライメントマークから回折される検出波長又は角度が変化すると、実質的に測定は未較正状態となる。例えば図14は、特定の遠赤外測定波長を提供するために使用される10の照明源の例示的な出力強度スペクトルを示す。これらの照明源のうち1つ以上をアライメントセンサで使用して、遠赤外アライメント測定ビームを提供することができる。縦軸は任意の単位で強度を示し、横軸は照明源によって出力された波長を示す。図14に示されているように、照明源は比較的広いスペクトル帯域幅を有する。従って、この照明スペクトルを、図11に示したような特定のパターニングプロセスの基板のスペクトル応答スイング曲線と組み合わせた場合、検出されるスペクトルは照明スペクトルとは異なるものとなり、プロセス誘起の(process induced)精度誤差が生じることが直感的にわかる。
【0093】
[0120] 従って、パターニングプロセスについて説明するため、例えばコンポーネント(例えばアライメントセンサ)の設計中に、及び/又は適用可能コンポーネントの性能試験のために、パターニングプロセスによって生成された基板を用いて試験を実行することができる。すなわち、プロセス誘起の精度誤差を測定できる。
【0094】
[0121] このために、製品開発ライフサイクル全体を通してプロセス基板は通常、パターニングプロセス内の基板の多様なインスタンスに対してロバストな解決策を設計する必要がある。しかしながら、これらの製品基板は高価で、時間がかかり、製造が複雑である可能性がある。また、測定対象の製品基板を取得する(例えば製品基板の中間物及び/又は最終物を収集、追跡、及び輸送する)物流上の複雑さ及びコストも存在し得る。更に、知的財産保護の問題がある。例えば、製品の製造業者以外によって試験が実行される場合、製品の製造業者は、知的財産を公表する(expose)ことを恐れて、また競合者に対する競争上の優位性を維持するために、製造された中間基板又は最終基板を共有することを嫌がる可能性があり、まして材料や層厚に関する詳細事項のような製品の作製法はなおさらである。従って、この試験は典型的にパターニングプロセス開発ライフサイクルの終了時に行われ得るが、これによってパターニングプロセス開発の時間及びコストが増大し、柔軟性が低下する。
【0095】
[0122] このため、一実施形態においては、コンポーネント(例えばメトロロジシステムやリソグラフィ装置の投影システム等)によって放射に露光された場合の製品基板の挙動を模倣するか又は再現する製品試験基板が提供される。従って一実施形態において、製品試験基板は、製品基板が有する課題のいくつかを識別することができる。これは、そのような課題を製品ライフサイクル中でより早く識別することによって、有用となり得る。これは、コンポーネント(例えばメトロロジシステム)のプロセス時(on-process)性能の改善にとって有用であり得る。
【0096】
[0123] 図11及び図12で見られるように、プロセス効果は多くの場合、スイング曲線の勾配と相関する。従って、勾配の大きいスイング曲線は特に問題となり得る。例えば図11で見られるように、適用可能な公称作用放射波長(working radiation wavelength)における大きい勾配は問題となり得る。その理由は、公称作用放射波長から波長の比較的小さい変動があると、例えば強度において著しい変化が生じるからである。これに加えてまたこの代わりに、図12で見られるように、精度誤差は、基板スタックの変化(例えば材料組成の変化や層厚の変化等、スタック内で設計との差を発生させるプロセス変動)に起因して変化し得る。基板スタックの変化は、例えば1つ以上の層の厚さの基板内変化、及び/又は、例えば1つ以上の層の厚さの基板間(すなわち基板ごとの)変化であり得る。更に、適用可能コンポーネントのインスタンス間(例えば異なるセンサシステム間)の光学収差の変化は、同一のプロセス基板上でコンポーネントごとの精度の差を引き起こす可能性がある。
【0097】
[0124] 従って、一実施形態において提供される製品試験基板では、製品試験基板の光学応答特性が、製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対して比較的高い非ゼロ感度を有する。すなわち、光学応答特性は入射放射の特性の変化に対して少なくとも非ゼロの変化を有する。一実施形態において、製品試験基板の光学応答特性は強度及び/又は回折効率である。例えば、回折1次放射の強度又は回折効率である。一実施形態において、入射放射の特性は、放射波長、放射の入射角、放射の偏光、及び/又は放射ビームの位相である。言い換えると、製品試験基板は、ある特定値の特性の放射(例えば、放射ビームの波長、放射ビームの偏光、放射ビームの位相、放射ビームの強度分布(すなわち角度又は空間強度分布)、基板上の放射ビームの入射角等)で照明された場合、その製品試験基板の放射特性に対する光学応答特性(強度等)を示すスイング曲線上のその特性の特定値において比較的大きい勾配を実現する。一実施形態では、製品試験基板のスイング曲線の少なくとも一部は非ゼロ勾配を有する。一実施形態では、製品試験基板のスイングの少なくとも一部は非線形である。
【0098】
[0125] 一実施形態において、製品試験基板は、コンポーネントによって製品試験基板上(及び製品基板上)に与えられた放射の1つ以上の公称特性(例えば波長)で比較的高い感度を有する。このため、例えば、アライメントセンサシステムは4つの公称波長で放射を与えるよう構成することができる(認められるように、アライメントセンサシステムは、これより少ないか又は多い数の波長を与えてもよい)。また、製品試験基板は、これらの波長のうち1つ以上でアライメントセンサシステムによって照明された場合、この1つ以上の波長において比較的高い感度を与えるように構成されている。むろん、複数のそのような高い感度が与えられる場合、それらが同じ値を有する必要はない。
【0099】
[0126] 一実施形態において、感度はスイング曲線の勾配と考えることができる。一実施形態において、感度は単位波長当たりの強度の%変化で表現することができ、一実施形態では、0.25%/nm以上、0.5%/nm以上、0.75%/nm以上、又は1%/nm以上の値を有する。典型的な値は0.25%/nm~1%/nmから選択できる。一実施形態において、感度は、0.25以上(例えば約14度以上)、0.5以上(例えば約25度以上)、0.75以上(例えば約36度以上)、又は1以上(例えば約45度以上)のスイング曲線勾配値とすることができる。一実施形態において、基板は角感度を有し得る。角度勾配は、単位角度(例えば単位は度)当たりの角度反射率変化(例えば単位は%)で表すことができる。一実施形態において、角度反射率は1%/度以上の値を有し、典型的な角度勾配は1%/度~6%/度の範囲から選択された値を有し得る。一実施形態において、感度は単位勾配当たりの誤差と考えることができる(例えば1%勾配当たりの1nm収差誤差)。この文脈における感度は、単位勾配当たり0~5nm誤差の範囲から選択できる。
【0100】
[0127] 一実施形態において、製品試験基板は、比較的容易に及び/又は迅速に製造することができる。一実施形態において、製品試験基板スタックにはデバイス構造が全く存在しない。このため、基板は機密情報を含まないという利点を有することができ、従って知的財産のリスクは生じない。一実施形態において、製品試験基板スタックは、1つだけもしくはそれ以上の平面層から、又はスタック上部のパターンの下方にある1つだけもしくはそれ以上の平面層から構成されている。
【0101】
[0128] 更に、上記のように、プロセス効果の根本原因の1つはプロセススイング曲線の大きい勾配から生じる。このため、製品試験基板は、対象の1つ以上の入射放射特性(例えば波長)でスイング曲線の大きい勾配を効果的に実現するよう生成することができる。一実施形態において、製品試験基板は、特定の条件セットで大きい勾配を実現するように、所望の用途向けにスイング曲線を調節するよう生成することができる。」
「【0107】
[0134] 図15Aは、製品試験基板の一実施形態のスタックの概略図である。製品試験基板はベース基板1500を含み、このベース基板1500の上に複数の層が積層されている。一実施形態では、特定の材料の1つ以上の層1510が提供されている。図15Aの例では3つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1510はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、層1510の各々は75~100nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは225~300nmである。
【0108】
[0135] 1つ以上の層1510の上に、1つ以上の層1510の材料とは異なる特定の材料の1つ以上の層1520が積層されている。図15Aの例では2つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1520はスピンオンガラスを含む。一実施形態において、層1520の各々は20~40nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは40~80nmである。
【0109】
[0136] 一実施形態において、1つ以上の層1520の上に積層された特定の材料の1つ以上の層1530が提供されている。図15Aの例では3つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1530はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、層1530の各々は75~100nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは225~300nmである。
【0110】
[0137] 一実施形態において、1つ以上の層1530の上に積層された特定の材料の1つ以上の層1540が提供されている。図15Aの例では1つの層が提供されているが、別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1540はスピンオンガラスを含む。一実施形態において、層1540の各々は20~40nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは20~40nmである。
【0111】
[0138] 一実施形態では、更に別の層は提供されず、従って平坦な上面が維持され得る。このような製品試験基板は、例えばレベルセンサシステムと共に使用され得る。一実施形態では、1つ以上の層1540の上に積層されたレジスト層1550を提供することができる。一実施形態において、層1550は、100~300nmの範囲内の厚さ又は5~35nmの範囲内の厚さである。一実施形態において、レジスト層1550は平坦な上面を有し得る。このような製品試験基板は、例えばレベルセンサシステム及び/又はリソグラフィ装置の投影システムと共に使用され得る。例えばアライメント測定システム向けのこの実施形態では、層1550に形成されたパターン1560が提供されている。この例では、層はレジスト層であるが、異なる材料であってもよい。一実施形態において、層1500~1540のうち1つ以上は、オーバーレイを測定できるようなパターンを含み得る。
【0112】
[0139] 図15Bは、入射放射波長(nm)の関数として図15Aの製品試験基板の回折効率(%)を示す例示的なグラフ(すなわち製品試験基板のスイング曲線)である。図15Bで見られるように、製品試験基板のスイング曲線は線形でなく、実質的に線形でもない。スイング曲線は非線形である。一実施形態において、スイング曲線には、1つ以上の急激な低下(約634nm及び約840nmに示すもの等)がある。
【0113】
[0140] 更に、図15Bで示されているように、スイング曲線は対象の1つ以上の波長で比較的大きい急峻な勾配を有する。このため、製品試験基板の光学応答特性は、対象の1つ以上の波長において製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対して比較的高い感度を有する。図15Bの場合、スイング曲線は、約634nm、780nm、及び840nmの対象波長において急峻な勾配を有する。一実施形態において、対象波長は、メトロロジシステム(アライメント測定システム等)によって生成される測定波長である。
【0114】
[0141] 図16Aは、製品試験基板の別の実施形態のスタックの概略図である。製品試験基板はベース基板1600を含み、このベース基板1600の上に複数の層が積層されている。一実施形態では、特定の材料の1つ以上の層1610が提供されている。図16Aの例では3つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1610はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、層1610の各々は75~100nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは225~300nmである。
【0115】
[0142] 1つ以上の層1610の上に、1つ以上の層1610の材料とは異なる特定の材料の1つ以上の層1620が積層されている。図16Aの例では1つの層が提供されているが、別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1620はスピンオンガラスを含む。一実施形態において、層1620の各々は20~40nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは20~40nmである。
【0116】
[0143] 一実施形態において、1つ以上の層1620の上に積層された特定の材料の1つ以上の層1630が提供されている。図16Aの例では3つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1630はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、層1630の各々は75~100nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは225~300nmである。
【0117】
[0144] 一実施形態では、更に別の層は提供されず、従って平坦な上面が維持され得る。このような製品試験基板は、例えばレベルセンサシステムと共に使用され得る。一実施形態では、1つ以上の層1630の上に積層されたレジスト層1640を提供することができる。一実施形態において、層1640は、100~300nmの範囲内の厚さ又は5~35nmの範囲内の厚さである。一実施形態において、レジスト層1640は平坦な上面を有し得る。このような製品試験基板は、例えばレベルセンサシステム及び/又はリソグラフィ装置の投影システムと共に使用され得る。例えばアライメント測定システム向けのこの実施形態では、層1640に形成されたパターン1650が提供されている。この例では、層はレジスト層であるが、異なる材料であってもよい。一実施形態において、層1600~1630のうち1つ以上は、オーバーレイを測定できるようなパターンを含み得る。
【0118】
[0145] 図16Bは、入射放射波長(nm)の関数として図16Aの製品試験基板の回折効率(%)を示す例示的なグラフ(すなわち製品試験基板のスイング曲線)である。図16Bで見られるように、製品試験基板のスイング曲線は線形でなく、実質的に線形でもない。スイング曲線は非線形である。一実施形態において、スイング曲線には、1つ以上の急激な低下(約600nm及び約795nmに示すもの等)がある。
【0119】
[0146] 更に、図16Bで示されているように、スイング曲線は対象の1つ以上の波長で比較的大きい急峻な勾配を有する。このため、製品試験基板の光学応答特性は、対象の1つ以上の波長において製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対して比較的高い感度を有する。図16Bの場合、スイング曲線は、約634nm、780nm、及び840nmの対象波長において急峻な勾配を有する。一実施形態において、対象波長は、メトロロジシステム(アライメント測定システム等)によって生成される測定波長である。図15Bと比較すると、図16Bのスイング曲線は、異なる対象波長で異なる勾配を提供することができ、このため特定の用途向けに固有の感度/勾配を提供することがわかる。例えば図16の例における製品試験基板は、図15の製品試験基板よりも、約780nmにおいて製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対する高い感度を有する。」
「【0132】
[0159] 上述のように、層の厚さ及び/又は材料は、対象の1つ以上の波長において所望の感度を有するスイング曲線を示すように選択される。例えばスイング曲線は、例えば赤色(620まで~680nm)及び近赤外(750まで~900nm)帯域幅内の対象の1つ以上の特定波長において、低い1次回折効率/強度(例えば30%以下、10%以下、又は1%以下)を有する急峻さ(例えば5~20%勾配)とすることができる。
【0133】
[0160] 一実施形態では、光学シミュレーションツールを用いて、所望のプロファイルのスイング曲線を有するカスタム放射フィールドを得るように、材料(例えば材料タイプ、屈折率等)、材料の厚さ等を選択することができる。」
「【0147】
[0174] 一実施形態において、放射の特性に対する光学応答特性の製品試験基板のスイング曲線は非線形部分を有する。一実施形態において、光学応答特性は回折効率及び/又は強度を含む。一実施形態において、特性は、放射波長、放射偏光、放射位相、及び/又は製品試験基板に対する放射の入射角を含む。一実施形態において、製品試験基板は、異なる材料による少なくとも2つの概ね平坦な層を含み、パターンを有する。一実施形態において、放射の特性は波長であり、ナノメートル単位の波長に対する百分率としての強度で表された製品試験基板のスイング曲線は、波長の対象の特定の値に対して0.25%/nm以上の勾配を有する。一実施形態において、製品試験基板は、放射の特性の対象の特定の第1の値に対する第1の非ゼロ感度と、放射の特性の対象の特定の第2の値に対する第2の非ゼロ感度と、を生じ、放射の特性の対象の第2の値は放射の特性の対象の第1の値とは異なる。一実施形態において、アクションは、デバイス製品基板のパターニングに使用されるパターニングプロセスを構成することを含む。一実施形態において、アクションは、コンポーネントのセッティングを変更すること又はコンポーネントを使用に適していないと指定することを含む。・・・
【0149】
[0176] 一実施形態において、方法は、1つ以上の物理特性を有するように製品試験基板を生成することを更に含む。一実施形態において、製品試験基板はエッチングされたデバイスパターンを含まない。一実施形態において、光学応答特性は回折効率及び/又は強度を含む。一実施形態において、特性は、放射波長、放射偏光、放射位相、及び/又は製品試験基板に対する放射の入射角を含む。一実施形態において、製品試験基板は、異なる材料による少なくとも2つの概ね平坦な層を含み、パターンを有する。一実施形態において、1つ以上の物理的特性は、製品試験基板が、放射の特性の対象の特定の第1の値に対する第1の非ゼロ感度と、放射の特性の対象の特定の第2の値に対する第2の非ゼロ感度と、を生じるようなものであり、放射の特性の対象の第2の値は放射の特性の対象の第1の値とは異なる。一実施形態において、放射の特性は波長であり、ナノメートル単位の波長に対する百分率としての強度で表された製品試験基板のスイング曲線は、波長の対象の特定の値に対して0.25%/nm以上の勾配を有する。・・・
【0151】
[0178] 一実施形態において、製品試験基板は、異なる材料による少なくとも2つの概ね平坦な層を含み、パターンを有する。一実施形態において、放射の特性に対する光学応答特性の製品試験基板のスイング曲線は非線形部分を有する。一実施形態において、光学応答特性は回折効率及び/又は強度を含む。一実施形態において、特性は、放射波長、放射偏光、及び/又は製品試験基板に対する放射の入射角を含む。一実施形態において、製品試験基板は、放射の特性の対象の特定の第1の値に対する第1の非ゼロ感度と、放射の特性の対象の特定の第2の値に対する第2の非ゼロ感度と、を生じ、放射の特性の対象の第2の値は放射の特性の対象の第1の値とは異なる。一実施形態において、放射の特性は波長であり、ナノメートル単位の波長に対する百分率としての強度で表された製品試験基板のスイング曲線は、波長の対象の特定の値に対して0.25%/nm以上の勾配を有する。」
図11~16は次のとおりである。
[図:0001392551000001.jpg]
[図:0001392551000002.jpg]
[図:0001392551000003.jpg]
[図:0001392551000004.jpg]
[図:0001392551000005.jpg]
[図:0001392551000006.jpg]
[図:0001392551000007.jpg]
[図:0001392551000008.jpg]
(イ)上記(ア)によれば、本願明細書等には、「製品試験基板のスイング曲線」及びその「勾配」に関して、次の技術的事項が記載されていると認められる。
a スイング曲線は、光学応答特性(例えば強度、回折効率等)と、光学応答特性を生成するため使用される放射の特性(例えば波長、偏光、位相、入射角等)との関係を記述するものであって、例えば、所定のパターニングプロセスによって生成された基板上のマークを測定する場合では、横軸が使用されるアライメント測定ビーム(500nmから900nm)の波長に対応し、縦軸が規格化1次回折強度に対応する曲線のグラフで表現される。(【0086】)
b 基板上の様々な材料の層は、その様々な屈折率、消衰係数、層の厚さ等に応じて、入射放射に対する多様な応答を有し得るため、異なるパターニングプロセスにより生成された基板のスイング曲線は、同一タイプのマークを測定する場合であっても、異なり得る。特定のパターニングプロセスの基板では、波長の小さい変化に対して強度が顕著に変化し得るし、また、特定のパターニングプロセスの基板では、ある波長範囲にわたって強度がかなり広い範囲を有し得る。(【0085】~【0088】・図11・図12)
c アライメントセンサによりアライメントマークの横方向位置を測定する場合では、照明源の照明スペクトルが比較的広いスペクトル帯域幅を有するときに、特定のパターニングプロセスの基板のスペクトル応答スイング曲線と組み合わせた結果、検出されるスペクトルが照明スペクトルとは異なるものとなり、プロセス誘起の精度誤差が生じる。プロセス誘起の精度誤差は、パターニングプロセスによって生成された基板を用いて試験を実行することにより測定できるが、製品基板を用いることには、それが高価であったり知的財産保護の問題があったりするので、製品基板の挙動を模倣するか又は再現する製品試験基板が提供される。製品試験基板は、比較的容易に及び/又は迅速に製造することができ、製品試験基板スタックにはデバイス構造が全く存在しないため、機密情報を含まないという利点を有する。(【0092】~【0095】・【0100】・図13・図14)
d プロセス効果は、多くの場合、スイング曲線の勾配と相関しており、勾配の大きいスイング曲線は特に問題となる。例えば、適用可能な公称作用放射波長における大きい勾配は、公称作用放射波長から波長の比較的小さい変動があると、強度において著しい変化が生じるため、問題となる。従って、製品試験基板の光学応答特性は、製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対して比較的高い非ゼロ感度を有するようにしており、言い換えると、製品試験基板は、ある特定値の特性の放射(例えば、放射ビームの波長・偏光・位相・強度分布・入射角等)で照明された場合、その製品試験基板の放射特性に対する光学応答特性(強度等)を示すスイング曲線上のその特性の特定値において比較的大きい勾配を実現する。製品試験基板は、コンポ-ネントによって製品試験基板上に与えられた放射の1つ以上の公称特性(例えば波長)で比較的高い感度を有してもよい。製品試験基板は、対象の1つ以上の入射放射特性(例えば波長)でスイング曲線の大きい勾配を効果的に実現するように生成できる。(【0096】~【0098】・【0101】)
e 感度はスイング曲線の勾配と考えることができる。例えば、感度は、単位波長当たりの強度の%変化で表現することができ、0.25%/nm以上、0.5%/nm以上、0.75%/nm以上、又は1%/nm以上の値を有し、典型的な値は0.25%/nm~1%/nmから選択できる。また、感度は、スイング曲線勾配値で表現することができ、0.25以上(例えば約14度以上)、0.5以上(例えば約25度以上)、0.75以上(例えば約36度以上)、又は1以上(例えば約45度以上)とすることができる。さらに、感度は、角度勾配(例えば、単位角度当たりの角度反射率変化)で表現することができ、角度反射率は1%/度以上の値を有し、典型的な角度勾配は1%/度~6%/度の範囲から選択された値を有し得る。(【0099】)
f 図15Aに係る製品試験基板は、ベース基板1500の上に、特定の材料の1つ以上の層1510、当該特定の材料とは異なる特定の材料の1つ以上の層1520、特定の材料の1つ以上の層1530、特定の材料の1つ以上の層1540、レジスト層1550がこの順に提供され、さらに、レジスト層1550にパターン1560が形成されているものであるところ、この場合のスイング曲線は、対象の1つ以上の波長で比較的大きい急峻な勾配を有している。スイング曲線は、約634nm、780nm、及び840nmの対象波長において急峻な勾配を有している。(【0107】~【0111】・【0113】・図15A・図15B)
g 図16Aに係る製品試験基板は、ベース基板1600の上に、特定の材料の1つ以上の層1610、当該特定の材料とは異なる特定の材料の1つ以上の層1620、特定の材料の1つ以上の層1630、レジスト層1640がこの順に提供され、さらにレジスト層1640にパターン1650が形成されているものであるところ、この場合のスイング曲線は、1つ以上の急激な低下(約600nm及び約795nmに示すもの等)があり、さらに、対象の1つ以上の波長で比較的大きい急激な勾配を有し、このため、製品試験基板の光学応答特性は、対象の1つ以上の波長において製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対して比較的高い感度を有している。当該スイング曲線は、約634nm、780nm、及び840nmの対象波長において急峻な勾配を有している。
図16Bのスイング曲線は、図15Bのスイング曲線と比較すると、異なる対象波長で異なる勾配を提供することができ、このため特定の用途向けに固有の感度/勾配を提供することがわかる。例えば図16Aに係る製品試験基板は、図15Aに係る製品試験基板よりも、約780nmにおいて製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対する高い感度を有している。(【0114】~【0119】・図16A・図16B)
h 製品試験基板の層の厚さ及び/又は材料は、対象の1つ以上の波長において所望の感度を有するスイング曲線を示すように選択され、例えば、スイング曲線は、赤色(620まで~680nm)及び近赤外(750まで~900nm)帯域幅内の対象の1つ以上の特定波長において、低い1次回折効率/強度(例えば30%以下、10%以下、又は1%以下)を有する急峻さ(例えば5~20%勾配)とすることができる。光学シミュレーションツールを用いて、所望のプロファイルのスイング曲線を有するカスタム放射フィールドを得るように、材料、材料の厚さ等を選択することができる。(【0132】・【0133】)
i 放射の特性が波長である場合に、ナノメートル単位の波長に対する百分率としての強度で表された製品試験基板のスイング曲線は、波長の対象の特定の値に対して0.25%/nm以上の勾配を有しており、また、製品試験基板は、放射の特性の対象の特定の第1の値に対する第1の非ゼロ感度と、放射の特性の対象の特定の第2の非ゼロ感度とを生じ、当該第2の値は、当該第1の値とは異なる。(【0147】・【0149】・【0151】)
(ウ)判断
a 上記(イ)a~cによれば、本件補正後の請求項16に記載された発明の技術的意義は、パターニングプロセスにより生成された基板には、当該パターニングプロセスに依存するプロセス誘起の精度誤差が存在するところ、当該精度誤差を測定するために、高価であったり知的財産保護の問題があったりする製品基板を用いるのではなく、そのスイング曲線を模倣するか又は再現し、かつ、デバイス構造を含まない製品試験基板を用いることにあると解される。そうすると、本件補正後の請求項16の本件記載、つまり、「製品試験基板のスイング曲線」が「対象の1つ以上の前記特性において比較的大きい急峻な勾配を有する」ことが意味する内容は、そのようなスイング曲線をもつ製品基板が実在することを前提に、製品試験基板において、そのようなスイング曲線が模倣又は再現されていることにあるものと解することができる。
しかしながら、製品基板に係るパターニングプロセスは本願明細書等において特に限定されておらず、多種多様なものが想定されることから、スイング曲線にも多種多様なものが想定されることになるのであり(実際、本願明細書等の図11もそうなっている。)、このことは、製品試験基板であっても、製品基板のスイング曲線を模倣又は再現したものである以上、同様である。このように、本件補正後の請求項16に特定された「製品試験基板」のスイング曲線は多種多様なあらゆるものを前提としており、本件記載により、そのうちの一部のみが特定されたことになる。しかるところ、本件記載はそれ自体明確であるとはいえない(上記イ)から、上記の「一部」が何であるのかも明確とはいえない。
よって、本件記載は、上記の技術的意義に基づいて検討したとしても、明確であるとはいえない。
b そして、本願明細書等に記載された具体的な例をみても、本件記載は明確であるとはいえない。
(a)すなわち、本願明細書等には、「急峻な勾配」の例として、図15Bの634nm・780nm・840nmにおける各勾配(【0113】)及び図16Bの634nm・780nm・840nmにおける各勾配(【0119】)が記載されている。加えて、これらの段落には、図15B及び図16Bが、「対象の1つ以上の波長で比較的大きい急峻な勾配を有する」ことも記載されており、また、(「急峻」ではなく)「急激な低下」の例として、図15Bの634nm・840nmにおける各勾配(【0112】)及び図16Bの約600nm・約795nmにおける各勾配(【0118】)も記載されている。そうすると、図15Bでは、634nm・840nmにおける各勾配が「急峻な勾配」かつ「急激な低下」であり、780nmにおける勾配が「急峻な勾配」であることになる。また、図16Bでは、634nm・780nm・840nmにおける各勾配が「急峻な勾配」であり、約600nm・約795nmにおける各勾配が「急激な低下」であることになる。この点、図15Bでいえば、634nm・840nmにおける各勾配が780nmにおける勾配よりも大きいことが見て取れることから、「急激な低下」の方が「急峻な勾配」よりもより大きな絶対値をもつ勾配を意味しているようにも解され、図16Bもその理解に沿う。
しかしながら、本願明細書等には、本件記載に係る「比較的大きい急峻な勾配」に、図15B及び図16Bのどの波長における勾配が該当するのかは記載されていないし、「比較的大きい急峻な勾配」と「急激な低下」又は「急峻な勾配」との関係も、これらの文言以上には、説明されていない。仮に、「比較的大きい急峻な勾配」の例として、図15Bの634nmにおける勾配(図15Bからは、その波長において最も勾配が大きいことが見て取れる。)が該当するとしても、例えば、840nmにおける勾配がこれに該当するか否か、さらに、どの程度の勾配がこれに該当するのかは不明である。
(b)また、本願明細書等には、スイング曲線の勾配の例として、単位波長当たりの強度の%変化では、0.25%/nm以上、0.5%/nm以上、0.75%/nm以上、又は1%/nm以上の値を有し、典型的な値は0.25%/nm~1%/nmから選択できるなどの記載がある(上記(イ)e・h・i)ものの、これらは単なる例示にすぎないし、どれが本件記載に該当し又はしないのかは、本願明細書等には記載されていない。
そして、その余の本願明細書等の記載をみても、本件記載の意味を明らかにする記載は見当たらない。
c よって、本件記載は、本願明細書等の記載を参照しても、明確であるとはいえない。
エ このように、本件補正後の請求項16のうち、本件記載、つまり、「製品試験基板のスイング曲線」は「対象の1つ以上の前記特性において比較的大きい急峻な勾配を有する」との記載は、それ自体明確とはいえず、当該請求項16の他の記載、技術的意義及び本願明細書等の記載を踏まえてもなお明確とはいえないことから、本件記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるというべきである。
したがって、本件補正後の請求項16の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)独立特許要件の判断の小括
以上のとおり、本件補正後の請求項16の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件補正後の請求項16に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 本件補正についてのむすび
上記3によれば、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年1月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし25に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項16に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1において、本件補正前の請求項16として記載したとおりであって、再掲すると次のとおりである。
「コンポーネントからの放射による照明のための製品試験基板であって、
前記製品試験基板は、エッチングされたデバイスパターンを含まず、照明された場合に非ゼロ感度を生じ、前記非ゼロ感度は、前記放射の特性の変化に対する前記製品試験基板の光学応答特性の変化を表し、
前記放射の前記特性に対する前記光学応答特性の前記製品試験基板のスイング曲線は、異なる前記特性で異なる勾配を提供する、製品試験基板。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献(特開2008-294094号公報)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものであり、また、引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。
3 引用文献の記載
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2008-294094号公報(引用文献)には、下記の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるフォトリソグラフィー工程制御技術に適用して有効な技術に関する。」
イ 「【0046】
9.『スキャトロメータ(Scatterometer)』、『スキャトロメトリ(Scatterometry)』等というときは、『スペクトロソコーピック・リフレクトメータ(Spectroscopic Reflectrometer)』、『スペクトロソコーピック・エリプソメータ(Spectroscopic Ellipsometer)』等の複数の波長のまたはバンド幅を持った光を被測定体(主に膜体)に照射して、そこからの反射または回折光を偏光状態を含めて分析することで、被測定体の幾何学的なパラメータ(またはそれに関連するパラメータ)を非破壊的に取得する技術またはそれらの装置を示す(詳細は図15参照)。・・・
【0048】
図1から図8に基づいて、図1は本実施形態の半導体集積回路装置の製造方法の全体の流れを示す工程フロー図である。図2から図8はこれらの工程に対応するウエハ等の断面フロー図である。まず、第1のウエハに対する処理を説明する。まず、図2に示すように、第1のウエハ1の第1の主面(デバイス面)上のほぼ全面にゲート絶縁膜となるべき絶縁膜2を形成する。さらに、その上にゲート電極となるべき導電部材層3を形成する。次に反射防止膜4(たとえば有機系塗布膜)を形成する(ここまでを便宜上『下地被処理膜』という)。続いて、フォトレジスト膜5を塗布(フォトレジスト塗布工程S1)する。次に、図3に示すように、縮小投影露光装置を用いて、マスクM上の製品回路パターンC1および検査用ライン・アンド・スペース・パターンC2からC7(これらを含めて『マスク上の回路パターン』と言うが、ウエハによって、両パターンとも必ずしも必須ではない)をたとえば波長193nmのArFエキシマ・レーザの単色露光光8により投影光学系9(縮小投影露光装置の投影光学系)を介して、フォトレジスト膜5上に露光する(露光工程S2)。・・・
【0049】
続いて、図4に示すように、フォトレジスト膜5に対して現像処理を施すことにより、製品パターン5P(必ずしも必須ではない。いわゆる検査用のウエハを使用してもよい)および検査用ライン・アンド・スペース・パターン5g(必ずしも、検査専用でなくとも、製品パターンを利用してもよい)を形成する(現像工程S3)。ここで、スキャトロメータを用いて検査用フォトレジストパターン5gの立体形状計測(断面プロファイルすなわち断面の2次元的形状)を行う(立体形状計測工程S4)。すなわち、光源11からの所定のバンド幅(ブロードバンド光)を持った検査光をビームスプリッタ12で下方へ反射させ、対物光学系13と偏光系14を介して、ライン・アンド・スペース・パターン5g(1次元回折格子として作用する)を照射する。ここで、入射光は偏光系14により電場が紙面に垂直なTEモードと電場が紙面に平行で且つライン・アンド・スペース・パターン5gの各ラインと直行するTMモードに限定される(図15に示すように、スキャトトメトリ装置の方式は各種あり、ここで説明するものに限定するものではない)。ライン・アンド・スペース・パターン5gからの0次回折光は先ほどの光路を逆行してビームスプリッタ12を通過後、モノクロメータ15(一般に回折格子)により分光され、ミラー16を介して、アレー型検出器で検出される。ここで、前記各モードごとのスペクトラムが得られる。・・・
【0051】
ここで得られた各パラメータ(フォトレジスト膜断面プロファイルに関するパラメータ群)を図14で説明されるフォーカス値推定式に投入することにより、露光量(ドーズ量)と独立にフォーカス値(デフォーカス量、フォーカス設定値、フォーカス位置、フォーカスのオフセット量などとも言う)を推定することができる(フォーカス状態算出工程S5)。・・・
【0053】
その後、第2のウエハ(なお、第1のウエハが製品ウエハのときは、ここの現像より後の工程は、第2の上はと同様に処理される)は、第1のウエハと同様に図4に示すように、レジストの現像処理が行われる(現像工程S8)。ここで、第2のウエハが検査対象であるときは、先の第1のウエハと同様に立体形状計測処理(立体形状計測工程S4)が施されたのち、エッチング工程S9に進む。また、検査対象でない場合は直接エッチング工程S9に進み、図6および7に示すように、反射防止膜4とポリシリコン膜3のエッチングが行われる。不要な反射防止膜は、図8のようにその後、除去される。・・・
【0056】
次に本実施形態で利用するスキャトロメータについて、説明する。図15に現在利用可能な主なスキャトロメータを示す。本実施形態では使用の便宜上、ナノメトリックス社製の垂直入射型のATLASを用いた例について説明するが、本実施形態はそれに限定されることなく、他の装置を用いた方法にも適用できうることは言うまでもない。・・・
【0059】
・・・
【図15】本実施形態で利用するスキャトロメータの内、現在利用可能なものを示す一覧である。」
図15は次のとおりである。
【図15】
[図:0001392551000009.jpg]
ウ 「検査用のウエハ」(【0049】)がどのようなものかについてみると、同段落に「フォトレジスト膜5に対して現像処理を施すことにより、製品パターン5P(必ずしも必須ではない。いわゆる検査用のウエハを使用してもよい)および検査用ライン・アンド・スペース・パターン5g(必ずしも、検査専用でなくとも、製品パターンを利用してもよい)を形成する(現像工程S3)。・・・」と記載されていることから、当該「検査用のウエハ」は、「製品回路パターンC1」を省いた「マスクM」(【0048】)から形成されるとともに、「製品ウエハ」(【0053】)において「製品パターン5P」を含まないものであって、その余は「製品ウエハ」と同じ構成を有するものであると認められる。
エ 「スキャトロメータ」について、方式が分光反射測定で光学系が垂直入射のものや、方式が分光エリプソメトリで光学系が斜入射のものが適用できることが認められる(【0056】・【0059】の図15の説明・上記イの図15)。
(2)上記(1)によれば、引用文献には、「検査用のウエハ」について次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。なお、括弧内は、認定の根拠とした箇所を参考までに示してある。)。
「ウエハの第1の主面上に下地被処理膜を形成し、
続いて、フォトレジスト膜を塗布し(フォトレジスト塗布工程)、
次に、縮小投影露光装置を用いて、マスク上の検査用ライン・アンド・スペースパターンを単色露光光により投影光学系を介して、フォトレジスト膜上に露光し(露光工程)、(【0048】・上記(1)ウ)
続いて、前記フォトレジスト膜に対して現像処理を施すことにより、製品パターンを含まず、検査用ライン・アンド・スペース・パターンを形成した(現像工程)、(【0049】・上記(1)ウ)
検査用のウエハであって、
スキャトロメータを用いて前記検査用フォトレジストパターンの立体形状計測を行い(立体形状計測工程)、(【0049】)
ここで得られた各パラメータをフォーカス値推定式に投入することにより、露光量と独立にフォーカス値を推定することができるものであって(フォーカス状態算出工程)、(【0051】)
スキャトロメータについて、方式が分光反射測定で光学系が垂直入射のものや、方式が分光エリプソメトリで光学系が斜入射のものが適用できる、(【0056】・上記(1)エ)
検査用のウエハ。」(【0049】)
(3)本願発明と引用発明との対比
ア 本願発明の「コンポーネントからの放射による照明のための製品試験基板であって、」との特定事項について
引用発明の「検査用のウエハ」は、本願発明の「製品試験基板」に相当する。
引用発明の「検査用のウエハ」は、「方式が分光反射測定で光学系が垂直入射のものや、方式が分光エリプソメトリで光学系が斜入射のものが適用できる」「スキャトロメータ」で計測されるものであるから、本願発明でいう「コンポーネントからの放射による照明のための」ものであるといえる。
よって、引用発明は、本願発明の上記特定事項を満たしている。
イ 本願発明の「前記製品試験基板は、エッチングされたデバイスパターンを含まず、照明された場合に非ゼロ感度を生じ、前記非ゼロ感度は、前記放射の特性の変化に対する前記製品試験基板の光学応答特性の変化を表し、前記放射の前記特性に対する前記光学応答特性の前記製品試験基板のスイング曲線は、異なる前記特性で異なる勾配を提供する、」との特定事項について
引用発明の「検査用ウエハ」が、本願発明でいう「エッチングされたデバイスパターンを含ま」ないのかは不明である。
引用発明の「検査用ウエハ」は、「ウエハの第1の主面上に下地被処理膜」及び「検査用ライン・アンド・スペースを形成した」「フォトレジスト膜」を形成したものであって、「スキャトロメータを用いて前記検査用フォトレジストパターンの立体形状計測を行」うとともに、「スキャトロメータについて、方式が分光反射測定で光学系が垂直入射のものや、方式が分光エリプソメトリで光学系が斜入射のものが適用できる」ものであるが、本願発明でいう「照明された場合に非ゼロ感度を生じ、前記非ゼロ感度は、前記放射の特性の変化に対する前記製品試験基板の光学応答特性の変化を表し、前記放射の前記特性に対する前記光学応答特性の前記製品試験基板のスイング曲線は、異なる前記特性で異なる勾配を提供する」のかは不明である。
ウ 本願発明の「製品試験基板」との特定事項について
引用発明は、本願発明の上記特定事項を満たしている。
(4)一致点及び相違点の認定
上記(3)によれば、本願発明と引用発明とは、
「コンポーネントからの放射による照明のための製品試験基板であって、
製品試験基板。」
である点で一致し、以下の点で一応相違する又は相違する。
[相違点1]
本願発明の「製品試験基板」は、「エッチングされたデバイスパターンを含ま」ないのに対し、引用発明の「検査用のウエハ」は、そうであるのか不明である点。
[相違点2]
本願発明の「製品試験基板」は、「照明された場合に非ゼロ感度を生じ、前記非ゼロ感度は、前記放射の特性の変化に対する前記製品試験基板の光学応答特性の変化を表し、前記放射の前記特性に対する前記光学応答特性の前記製品試験基板のスイング曲線は、異なる前記特性で異なる勾配を提供する」ものであるのに対し、引用発明の「検査用のウエハ」は、「ウエハの第1の主面上に下地被処理膜」及び「検査用ライン・アンド・スペースを形成した」「フォトレジスト膜」を形成したものであって、「スキャトロメータを用いて前記検査用フォトレジストパターンの立体形状計測を行」うとともに、「スキャトロメータについて、方式が分光反射測定で光学系が垂直入射のものや、方式が分光エリプソメトリで光学系が斜入射のものが適用できる」ものである点。
(5)相違点の判断
ア 相違点1について
引用発明の「検査用のウエハ」は、「製品パターンを含ま」ないものであるから、わざわざ「エッチング」をする必要がないことは自明である。
したがって、引用発明の「検査用のウエハ」は、本願発明でいう「エッチングされたデバイスパターンを含ま」ないものといえるから、相違点1は実質的ではないし、いずれにせよ、そのように構成することは、当業者にとって容易である。
イ 相違点2について
引用発明の「検査用のウエハ」(本願発明の「製品試験基板」に相当。)は、「ウエハの第1の主面上に下地被処理膜」及び「検査用ライン・アンド・スペースを形成した」「フォトレジスト膜」を形成したものであって、「スキャトロメータを用いて前記検査用フォトレジストパターンの立体形状計測を行」うとともに、「スキャトロメータについて、方式が分光反射測定で光学系が垂直入射のものや、方式が分光エリプソメトリで光学系が斜入射のものが適用できる」ものである。
しかるに、引用発明の「スキャトロメータ」が当然備える光源からの光につき、その波長や入射角度、強度ないし強度分布などといった放射の特性が変化すれば、このような「検査用のウエハ」の光学応答特性が変化することは自明であり、このことは、本願発明において、広帯域放射プロジェクタを備えた法線入射メトロロジ装置又は斜め入射メトロロジ装置が想定されており(本願明細書等の【0061】・【0089】・図6)、これらが引用発明の「スキャトロメータ」と同様のものと解されることからも首肯できる。よって、引用発明は、本願発明でいう「照明された場合に非ゼロ感度を生じ、前記非ゼロ感度は、前記放射の特性の変化に対する前記製品試験基板の光学応答特性の変化を表」すものといえる。そして、引用発明が本願発明でいう「前記放射の前記特性に対する前記光学応答特性の前記製品試験基板のスイング曲線は、異なる前記特性で異なる勾配を提供」することは、その現象に一般に線形性がないことからみて、むしろ自然であるといえる。
よって、相違点2は実質的ではないし、いずれにせよ、当業者が適宜なし得たことである。
ウ 本願発明の効果について
仮に相違点1又は相違点2が実質的であったとしても、本願発明の効果は、引用発明及び引用文献に記載された技術的事項に比して格別とはいえないものである。
エ 請求人の主張について
(ア)請求人は、引用文献には本件補正後の請求項16の「対象の1つ以上の前記特性においてスイング曲線が比較的大きい急峻な勾配を有する」という特定事項が記載されていない旨主張するが、上記第2のとおり、本件補正は却下されている。
(イ)請求人は、引用文献には本願発明の「異なる前記特性で異なる勾配を提供」するという特定事項が記載されていない旨主張するが、上記イで説示したとおりである。
さらにいえば、請求人は、上記特定事項の意味を、製品試験基板が異なる(例えば、図15Aに係るものと図16Aに係るもの)ときに、同一の特性(例えば、波長が約780nm)において、両製品試験基板のスイング曲線が異なる勾配を有することと解しているようにも考えられるところ、引用発明の「検査用のウエハ」であっても、「下地被処理膜」が異なる複数種類の「検査用のウエハ」を想定すれば、これらの「検査用のウエハ」が同一の特性において異なる勾配を有することは、本願明細書等の【0086】の「様々な屈折率、消衰係数、層の厚さ等に応じて、これらのシステムは入射放射に対する多様な応答を有し得る。」の記載に照らしても、自然なことであると言える。
(ウ)よって、請求人の主張は採用できない。
(6)小括
したがって、本願発明は、引用発明であるし、仮にそうでないとしても、引用発明及び引用文献に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものであり、また、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-007599