特許拒絶査定不服審判
2024-000528
感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法
- 審判番号
- 2024-000528
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-522585
- 請求日
- 2024年01月12日
- 審決日
- 2024年09月09日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社レゾナック
- 【請求人代理人】弁理士法人大谷特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 神谷 健一
- 審判官 廣田 健介
- 審判官 橿本 英吾
- 分類
- P18 .113-Z (G03F) / P18 .121-Z (G03F) / P18 .575-Z (G03F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-522585「感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月 3日国際公開、WO2020/240848〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続等の経緯
特願2021-522585号(以下「本件出願」という。)は、2019年(令和元年)5月31日を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 4年12月14日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 2月20日 :手続補正書、意見書の提出
令和 5年 5月17日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 8月 4日 :手続補正書、意見書の提出
令和 5年10月18日付け:補正の却下の決定(令和5年8月4日にした手続補正を却下)
令和 5年10月18日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 6年 1月12日 :審判請求書の提出
令和 6年 1月12日 :手続補正書の提出
第2 令和6年1月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年1月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正前の請求項1に係る発明
本件補正前の、令和5年2月20日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(B)光重合開始剤及び(F)無機充填材を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物が、(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基及び脂環式骨格を有する光重合性化合物を含み、前記(A1)成分が下記一般式(A-1)で表される、感光性樹脂組成物。
【化1】
[図:0001416284000001.jpg]
(一般式(A-1)中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、上記脂環式骨格中のどこに置換していてもよい。RA2は炭素数1~12のアルキル基を表す。RA3は、エチレン性不飽和基を有する有機基、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する有機基又はグリシジル基であり、少なくとも1つのRA3はエチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する有機基である。m1は0~6の整数、m2は0~3の整数である。nは0~10である。)」
(2)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「 【請求項1】
(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(B)光重合開始剤、(D)エラストマ及び(F)無機充填材を含有する多層プリント配線板用感光性樹脂組成物であって、
前記(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物が、(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基及び脂環式骨格を有する光重合性化合物を含み、前記(A1)成分が下記一般式(A-1)で表される、多層プリント配線板用感光性樹脂組成物。
【化1】
[図:0001416284000002.jpg]
(一般式(A-1)中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、上記脂環式骨格中のどこに置換していてもよい。RA2は炭素数1~12のアルキル基を表す。RA3は、エチレン性不飽和基を有する有機基、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する有機基又はグリシジル基であり、少なくとも1つのRA3はエチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する有機基である。m1は0~6の整数、m2は0~3の整数である。nは0~10である。)」
(当合議体注:一般式における、RA1、RA2、RA3、m1、m2、nの定義については、以下、記載を省略することがある。)
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の、「感光性樹脂組成物」について「多層プリント配線板用」と限定するとともに、当該「感光性樹脂組成物」が含有する成分について「(D)エラストマ」を含有することを限定する補正事項を含むものである。そして、本件補正前の請求項1に係る発明と、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後発明が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
ここで、本件補正後発明は、上記1(2)に記載したとおりのものであり、再度の摘記は省略する。
3 独立特許要件についての判断
(1)引用文献6の記載
原査定の拒絶の理由において引用された引用文献6(特開2000-321765号公報)は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。
なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、活性エネルギー光線の照射後に、未露光部は希アルカリで容易に除去される一方、露光部を熱処理することにより、優れた耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、銅メッキとの密着性、可とう性および電気特性が得られ、ビルドアップ方式多層プリント配線板、ソルダーレジスト、フレキシブルプリント配線板等に使用することができ、とくにビルドアップ方式多層プリント基板に好適である感光性樹脂組成物に関する。」
イ 「【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、耐クラック性、銅との密着性、指触乾燥性、耐熱性、解像性、可撓性、現像性、耐水性、電気的特性、その他の要求される特性に優れ、高い生産性・低コスト化が可能で、作業環境中への溶剤揮散の少ない、とくにアルカリ現像型のビルドアップ方式多層プリント基板に好適に用いられる感光性樹脂組成物を提供することにある。」
ウ 「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の結果、上述の従来の課題を解決することができた。すなわち本発明は、(A)ノボラック型エポキシ化合物および/またはグリコール系エポキシ化合物、不飽和一塩基酸および飽和一塩基酸を反応させ、さらに飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)光重合開始剤、および(D)重合性不飽和化合物および/または溶剤を含んでなる感光性樹脂組成物を提供するものである。」
エ 「【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明における感光性樹脂(A)は、エポキシ化合物と不飽和一塩基酸および飽和一塩基酸とを反応させ、さらに飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる。
【0009】エポキシ化合物は、ノボラック型エポキシ化合物、グリコール系エポキシ化合物、あるいはこれらの組み合わせから選択される。・・・中略・・・ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物またはジシクロペンタジエン-フェノール重付加型エポキシ化合物あるいはそれらの組み合わせからなるエポキシ化合物が挙げられる。
・・・中略・・・
【0011】不飽和一塩基酸とは、1個のカルボキシル基と1個以上の重合性不飽和結合を有する一塩基酸であり、具体例としては、アクリル酸またはメタクリル酸を好適に使用することができ、とくに高い活性エネルギー光硬化性を得るためには、アクリル酸が好ましい。
・・・中略・・・
【0014】また、前記飽和または不飽和多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラハイドロ無水フタル酸、ヘキサハイドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラハイドロ無水フタル酸、メチルテトラハイドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の2塩基酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物が挙げられ、とくに電食性に優れるテトラハイドロ無水フタル酸、ヘキサハイドロ無水フタル酸の使用が好ましい。
・・・中略・・・
【0019】次に、光重合開始剤(C)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインおよびその誘導体、ベンジルジメチルケタール等のベンジルケタールおよびその誘導体、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフィル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のアセトフェノンおよびその誘導体、2-メチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン等のアントラキノンおよびその誘導体、チオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-クロロチオキサン等のチオキサントンおよびその誘導体、ベンゾフェノン、N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノンおよびその誘導体が挙げられ、これら光重合開始剤(C)の1種もしくは2種以上を併用してもよい。
・・・中略・・・
【0025】この他、本発明の感光性樹脂組成物を液状レジストインキとして使用する場合には、さらに必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の無機充填剤、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、酸化チタン、カーボンブラック等の着色顔料、消泡剤、レベリング剤等の各種添加剤の他、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ピロガノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t-ブチルカテコール、フェノチアジン等の重合防止剤を使用してもよい。」
オ 「【0027】
【実施例】以下に実施例および比較例を示して、本発明を具体的に説明する。
・・・中略・・・
【0040】合成例13
エポキシ当量210、軟化点80℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「エポトートYDCN-704」[東都化成(株)社製]105部(0.50当量)と軟化点70℃のフェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-770」[大日本インキ化学工業(株)社製]38部(0.20当量)とエポキシ当量280、軟化点95℃のジシクロペンタジエン-フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンHP-7200H」[大日本インキ化学工業(株)社製]56部(0.20当量)とエポキシ当量150の1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル「デナコールEX-212」[ナガセ化成工業(株)社製]15部(0.10当量)(ノボラック型エポキシ化合物が93%、グリコール系エポキシ化合物が7%)、アクリル酸29部(0.4当量)、酢酸36部(0.6当量)をトルエン139部中で、触媒としてジメチルベンジルアミン0.5部、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.1部用い、反応させて得られたエポキシアクリレート278部と、テトラヒドロ無水フタル酸46部(0.3モル)とを反応させ、固形分酸価が52mgKOH/gの感光性樹脂を得た。
・・・中略・・・
【0051】実施例1
合成例1で得られた樹脂100部に対し、溶剤としてブチルセロソルブ20部、重合性不飽和化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート10部、光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン5部、充填材硫酸バリウム57部、硬化剤ジシアンジアミド2部および微粉シリカ5部、着色顔料(フタロシアニングリーン)1部を加え、3本ロールによって充分混練し、感光性樹脂組成物主剤(A-1)を作製した。
【0052】エポキシ当量99の1,3,5-トリグリシジルイソシアヌレート「TEPIC」[日産化学工業(株)社製]70部と、ブチルセロソルブアセテート30部を配合した硬化剤(B-1)を100部作製した。
【0053】次に、主剤(A-1)200部と硬化剤(B-1)23部を混合した後(以下、該混合物を「主剤(A-1)と硬化剤(B-2)の混合物」という)、この混合物を予め回路の形成された銅スルーホール・プリント配線板上に30~40μmの厚みになるようにスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃で20分乾燥させ、室温まで冷却し乾燥塗膜(1-a)を得た。この塗膜にパターンフィルムをセットし、オーク製作所製平行超高圧水銀灯露光装置を用いて60秒間露光し、次に液温30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレーで60秒間現像を行い、その後熱風乾燥器を用い150℃で30分間加熱処理してフォトビアホールパターンが形成されたプリント配線板を得た。
【0054】フォトビアホールの形成されたプリント配線板の層間電気絶縁塗膜を、水酸化カリウムでpH=13に調整した60~80℃のアルカリ性過マンガン酸カリウム溶液により表面粗化し、残留するアルカリを中和し、水洗後乾燥した。
【0055】表面粗化された層間絶縁塗膜を有するプリント配線板にセミアディティブ法によるパターン作成工程と同様に、コンディショナー処理、マイクロエッチング、酸洗、触媒化、アクセレータ処理を順次行い、無電解銅メッキを行い、0.3μm厚の薄い銅メッキを表面粗化した層間電気絶縁塗膜上に施した。
【0056】無電解銅メッキを施したプリント配線板を銅メッキ浴の入ったメッキ槽に置き陰極とし、プリント配線板の両側に陽極を置いて電流を流し、18μm厚の電解銅メッキを施し、水洗、乾燥を行い片面に銅メッキを施した供試体(1-b)を得た。
【0057】上記の主剤(A-1)と硬化剤(B-1)の混合物を、プリント基板上に30~40μmの厚みになるようにスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃で20分乾燥させた後、直径10μm、20μm、30μm、...、230μm、240μm、250μmのように10~250μmの範囲で10μmおきに拡大していく直径を有する孔部を備えたマスクを介して、オーク製作所製平行超高圧水銀灯露光装置で60秒間露光後、液温30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて60秒間現像を行い、熱風乾燥器を用い150℃で30分間加熱処理後、フォトビアホールを有する供試体(1-c)を得た。
【0058】また、別にこの主剤(A-1)と硬化剤(B-2)の混合物を予めJIS K5400に準じて表面を280番の研磨紙で研磨された厚み0.8mmの鋼板に30~40μmの厚みになるようにスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃で20分乾燥させた後、オーク製作所製平行超高圧水銀灯露光装置を用いて60秒間露光し、熱風乾燥器を用い150℃で30分間加熱処理して、可撓性試験用供試体(1-d)を得た。
【0059】その他、主剤(A-1)と硬化剤(B-2)の混合物を銅張基板に30~40μmの厚みになるようにスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃で20分乾燥させて得られた現像性供試体(1-e)、オーク製作所製平行超高圧水銀灯露光装置を用いて60秒間露光し、熱風乾燥器を用い150℃で30分間加熱処理して、できた塗膜を、供試体(1-b)を得た方法と同様、表面粗化、メッキを行い、耐水性供試体(1-f)を得た。
【0060】以下に示す評価試験方法に従って、指触乾燥性は(1-a)、銅箔のピール強度、半田耐熱性は供試体(1-b)、解像性は(1-c)、可撓性は(1-d)現像性は供試体(1-e)、および耐水性は(1-f)を用いて測定を行い、その結果を表1に示す。
【0061】[評価試験方法]
指触乾燥性:供試体(1-a)にポリエチレンフィルムを密着させ、指で押した時のフィルムとの密着性を観察。
○:綺麗に剥れる。
×:剥れない。
【0062】ピール強度:片面に銅メッキを施した供試体(1-b)を用い、JIS C6481に準じて、剥がした銅箔の先端をつかみ具でつかみ、引張り方向が銅箔面に垂直になる方向に引き剥がし、この時の最低値を銅箔のピール強度とした。
【0063】半田耐熱性:供試体(1-b)を用い、JIS C6481に準じて、銅箔のある面を下に向け、全面が半田に浸かるように浮かべ、260℃の半田浴に10秒間、3回浮かせ、取り出した後、銅箔面および層間絶縁層面の膨れまたは剥れ、クラックなどの異常が発生の有無を観察した。
【0064】
○:外観変化無し。
×:外観変化(絶縁層面の白化やクラック;銅箔面の剥離や膨れ)有り。
【0065】解像性:供試体(1-c)を用い、フォトビアホールをSEMで観察し、最も小さな径が現像されたビアホールの径を解像性とした。
【0066】可撓性試験:供試体(1-d)を用い、JIS K5400に準じてJISB7729 A法に規定するエリクセン試験機を用いて、試験片の裏面から剛球を押し出して、試験片を変形させた時に塗膜の割れおよび剥れを生じるまでの押し出し距離を測定した。
【0067】現像性:供試体(1-e)を30℃で1%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧2.0kgf/mm2の現像機を用い、現像後の塗膜の有無を観察した。
【0068】
◎:現像時間40秒後、目視で塗膜無し。
○:現像時間60秒後、目視で塗膜無し。
×:現像時間60秒後、目視で残膜有り。
【0069】耐水性:供試体(1-f)を100℃沸騰水中に24時間放置後の塗膜の膨れ、白化、剥離などの観察を行なった。
【0070】
○:外観変化無し。
×:外観変化(絶縁層面の白化やクラック;銅箔面の剥離や膨れ)有り。
・・・中略・・・
【0072】エポキシ当量210、軟化点80℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-680」[大日本インキ化学工業(株)社製]70部と、ブチルセロソルブアセテート30部を配合した硬化剤(B-2)を100部作製した。
・・・中略・・・
【0094】実施例13
合成例13で得られた樹脂100部に対し、溶剤としてブチルセロソルブ20部、重合性不飽和化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート10部、光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン5部、充填材硫酸バリウム57部、硬化剤ジシアンジアミド2部および微粉シリカ5部、着色顔料(フタロシアニングリーン)1部を加え、3本ロールによって充分混練し、感光性樹脂組成物主剤(A-13)を作製した。
【0095】次いで、主剤(A-13)200部と実施例1で用いた硬化剤(B-2)23部を混合した混合物を用い、実施例1と同様にして、供試体(13-a、13-b、13-c、13-d、13-e、13-f)を作製し、実施例1に示した評価試験方法に従って測定した結果を表1に示す。
・・・中略・・・
【0117】
【表1】
[図:0001416284000003.jpg]
【0118】
【表2】
[図:0001416284000004.jpg]
」
カ 「【0119】
【発明の効果】本発明によれば、耐クラック性、銅との密着性、指触乾燥性、耐熱性、解像性、可撓性、現像性、耐水性、電気的特性、その他の要求される特性に優れ、高い生産性・低コスト化が可能で、作業環境中への溶剤揮散の少ない、とくにアルカリ現像型のビルドアップ方式多層プリント基板に好適に用いられる感光性樹脂組成物が提供される。」
(2)引用文献6に記載された発明
上記(1)によれば、引用文献6の【0001】、【0040】、【0072】、【0094】、【0095】には、実施例13として、「主剤(A-13)200部と」「硬化剤(B-2)23部を混合した混合物」である「感光性樹脂組成物」の発明が記載されている。
ここで、当該「感光性樹脂組成物」の各成分について、以下の事項が理解される。
ア 主剤(A-13)
(ア)上記「主剤(A-13)」は、引用文献6の【0094】の記載より、「合成例13で得られた樹脂100部に対し、溶剤としてブチルセロソルブ20部、重合性不飽和化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート10部、光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン5部、充填材硫酸バリウム57部、硬化剤ジシアンジアミド2部および微粉シリカ5部、着色顔料(フタロシアニングリーン)1部を加え、3本ロールによって充分混練し、」「作製」されたものである。
(イ)ここで、上記(ア)の「合成例13で得られた樹脂」については、引用文献6の【0040】の記載より、「エポキシ当量210、軟化点80℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「エポトートYDCN-704」[東都化成(株)社製]105部(0.50当量)と軟化点70℃のフェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-770」[大日本インキ化学工業(株)社製]38部(0.20当量)とエポキシ当量280、軟化点95℃のジシクロペンタジエン-フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンHP-7200H」[大日本インキ化学工業(株)社製]56部(0.20当量)とエポキシ当量150の1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル「デナコールEX-212」[ナガセ化成工業(株)社製]15部(0.10当量)(ノボラック型エポキシ化合物が93%、グリコール系エポキシ化合物が7%)、アクリル酸29部(0.4当量)、酢酸36部(0.6当量)をトルエン139部中で、触媒としてジメチルベンジルアミン0.5部、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.1部用い、反応させて得られたエポキシアクリレート278部と、テトラヒドロ無水フタル酸46部(0.3モル)とを反応させ」て「得」られた「固形分酸価が52mgKOH/gの感光性樹脂」である。
(ウ)上記(ア)、(イ)を総合すると、上記「主剤(A-13)」は、
「エポキシ当量210、軟化点80℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「エポトートYDCN-704」[東都化成(株)社製]105部(0.50当量)と軟化点70℃のフェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-770」[大日本インキ化学工業(株)社製]38部(0.20当量)とエポキシ当量280、軟化点95℃のジシクロペンタジエン-フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンHP-7200H」[大日本インキ化学工業(株)社製]56部(0.20当量)とエポキシ当量150の1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル「デナコールEX-212」[ナガセ化成工業(株)社製]15部(0.10当量)(ノボラック型エポキシ化合物が93%、グリコール系エポキシ化合物が7%)、アクリル酸29部(0.4当量)、酢酸36部(0.6当量)をトルエン139部中で、触媒としてジメチルベンジルアミン0.5部、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.1部用い、反応させて得られたエポキシアクリレート278部と、テトラヒドロ無水フタル酸46部(0.3モル)とを反応させて得られた固形分酸価が52mgKOH/gの感光性樹脂100部に対し、溶剤としてブチルセロソルブ20部、重合性不飽和化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート10部、光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン5部、充填材硫酸バリウム57部、硬化剤ジシアンジアミド2部および微粉シリカ5部、着色顔料(フタロシアニングリーン)1部を加え、3本ロールによって充分混練し、作製された」
ものである。
イ 硬化剤(B-2)
上記「硬化剤(B-2)」は、引用文献6の【0072】の記載より、「エポキシ当量210、軟化点80℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-680」[大日本インキ化学工業(株)社製]70部と、ブチルセロソルブアセテート30部を配合し」て「100部作製」されたものである。
ウ 用途
引用文献6の【0001】の「本発明は、感光性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、・・・ビルドアップ方式多層プリント配線板・・・等に使用することができ、とくにビルドアップ方式多層プリント基板に好適である感光性樹脂組成物に関する」との記載や、【0117】【表1】において、実施例13は、【0053】~【0070】で説明される各特性評価項目において、いずれも優れた評価結果を有していることから、上記実施例13で用いた「感光性樹脂組成物」は、「ビルドアップ方式多層プリント配線板に使用」できることが理解される。
エ 上記ア~ウより、引用文献6には、次の「感光性樹脂組成物」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「主剤(A-13)200部と硬化剤(B-2)23部を混合した混合物である感光性樹脂組成物であって、
-上記主剤(A-13)は、エポキシ当量210、軟化点80℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「エポトートYDCN-704」[東都化成(株)社製]105部(0.50当量)と軟化点70℃のフェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-770」[大日本インキ化学工業(株)社製]38部(0.20当量)とエポキシ当量280、軟化点95℃のジシクロペンタジエン-フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンHP-7200H」[大日本インキ化学工業(株)社製]56部(0.20当量)とエポキシ当量150の1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル「デナコールEX-212」[ナガセ化成工業(株)社製]15部(0.10当量)(ノボラック型エポキシ化合物が93%、グリコール系エポキシ化合物が7%)、アクリル酸29部(0.4当量)、酢酸36部(0.6当量)をトルエン139部中で、触媒としてジメチルベンジルアミン0.5部、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.1部用い、反応させて得られたエポキシアクリレート278部と、テトラヒドロ無水フタル酸46部(0.3モル)とを反応させて得られた固形分酸価が52mgKOH/gの感光性樹脂100部に対し、溶剤としてブチルセロソルブ20部、重合性不飽和化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート10部、光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン5部、充填材硫酸バリウム57部、硬化剤ジシアンジアミド2部および微粉シリカ5部、着色顔料(フタロシアニングリーン)1部を加え、3本ロールによって充分混練し、作製されたものであり、
-上記硬化剤(B-2)は、エポキシ当量210、軟化点80℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN-680」[大日本インキ化学工業(株)社製]70部と、ブチルセロソルブアセテート30部を配合して100部作製されたものである、
ビルドアップ方式多層プリント配線板に使用される感光性樹脂組成物。」
(3)対比
本件補正後発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア (A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物
(ア)(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物
引用発明の「感光性樹脂組成物」は、「主剤(A-13)」の作製において用いられた「感光性樹脂」、「トリメチロールプロパントリアクリレート」を含有するものと解される。そして、いずれの化合物も「エチレン性不飽和基」を有するものであり、これが「光重合性」との性質を有することは技術的に明らかである。(当合議体注:上記「感光性樹脂」が「エチレン性不飽和基」を有することについては、下記(イ)で検討するとおりである。)
してみれば、引用発明の「感光性樹脂」、「トリメチロールプロパントリアクリレート」は、いずれも本件補正後発明の「(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物」に相当する。
(イ)(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基及び脂環式骨格を有する光重合性化合物、一般式(A-1)
「主剤(A-13)」の作製において用いられた「感光性樹脂」は、少なくとも、「エポキシ当量280、軟化点95℃のジシクロペンタジエン-フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンHP-7200H」[大日本インキ化学工業(株)社製]」と「アクリル酸」を「反応させて得られたエポキシアクリレート」と、「テトラヒドロ無水フタル酸」を反応させて得られた樹脂(以下「樹脂A」という。)を含むものである。
ここで、上記「エポキシ当量280、軟化点95℃のジシクロペンタジエン-フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンHP-7200H」[大日本インキ化学工業(株)社製]」は、本件出願の明細書の[0022]、[0136]の記載より、以下の構造式(本件出願の明細書の「一般式(a1-1)」で表されるものである。
[図:0001416284000005.jpg]
そして、引用発明の上記樹脂Aは、本件出願の明細書の「合成例2」と同じ化合物(エピクロンHP-7200H、アクリル酸、テトラヒドロ無水フタル酸)を順次反応させて得られたものであって、「エピクロンHP-7200H」の構造式や反応形態からみて、本件補正後発明の「下記一般式(A-1)で表される
[図:0001416284000006.jpg]
」
との要件を満たす「(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基及び脂環式骨格を有する光重合性化合物」である。
してみれば、引用発明の「感光性樹脂」(「前記(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物」)は、上記樹脂Aを含むことから、本件補正後発明の「(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基及び脂環式骨格を有する光重合性化合物を含み、前記(A1)成分が下記一般式(A-1)で表される」との要件を満たすものである。
イ (B)光重合開始剤
引用発明の「2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン」は、「光重合開始剤として」用いられるものであり、本件補正後発明の「(B)光重合開始剤」に相当する。
ウ (F)無機充填材
引用発明の「充填材硫酸バリウム」、「微粉シリカ」は、いずれも「無機」化合物であり、引用文献6の【0025】の「本発明の感光性樹脂組成物を液状レジストインキとして使用する場合には、さらに必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の無機充填剤、・・・等の各種添加剤・・・を使用してもよい。」との記載より、本件補正後発明の「(F)無機充填材」に相当する。
エ 多層プリント配線板用感光性樹脂組成物
引用発明の「感光性樹脂組成物」は、「ビルドアップ方式多層プリント配線板に使用される」ものであるから、本件補正後発明の「多層プリント配線板用感光性樹脂組成物」に相当する。
さらに、本件補正後発明と引用発明の「多層プリント配線板用感光性樹脂組成物」は、上記ア~ウで検討したとおり「(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(B)光重合開始剤、」「及び(F)無機充填材を含有する」点で共通する。
(4)一致点及び相違点
ア 一致点
本件補正後発明と引用発明は、次の構成で一致する。
「(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(B)光重合開始剤及び(F)無機充填材を含有する多層プリント配線板用感光性樹脂組成物であって、
前記(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物が、(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基及び脂環式骨格を有する光重合性化合物を含み、前記(A1)成分が下記一般式(A-1)で表される、多層プリント配線板用感光性樹脂組成物。
【化1】
[図:0001416284000007.jpg]
(一般式(A-1)中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、上記脂環式骨格中のどこに置換していてもよい。RA2は炭素数1~12のアルキル基を表す。RA3は、エチレン性不飽和基を有する有機基、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する有機基又はグリシジル基であり、少なくとも1つのRA3はエチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する有機基である。m1は0~6の整数、m2は0~3の整数である。nは0~10である。)」
イ 相違点
本件補正後発明と引用発明は、以下の点で相違する、又は一応相違する。
(相違点1)
「多層プリント配線板用感光性樹脂組成物」が、本件補正後発明は、「(D)エラストマ」を含有するのに対して、引用発明は、そのような特定がされたものでない点。
(5)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
ア 引用文献6の【0006】を参照すると、引用文献6に記載された発明は、「耐クラック性、銅との密着性、指触乾燥性、耐熱性、解像性、可撓性、現像性、耐水性、電気的特性、その他の要求される特性に優れ、高い生産性・低コスト化が可能で、作業環境中への溶剤揮散の少ない、とくにアルカリ現像型のビルドアップ方式多層プリント基板に好適に用いられる感光性樹脂組成物を提供すること」という課題を解決しようとするものであって、引用発明は、上記課題解決を実現する「感光性樹脂組成物」の具体例として記載されたものと理解される。
ここで、引用発明は、「ビルドアップ方式多層プリント配線板に使用される」ものであるところ、引用文献6の【0053】~【0070】の記載等より、フォトビアホールパターンが形成される層間絶縁塗膜等に用いることを想定したものであることは明らかである。
イ また、引用発明の「感光性樹脂組成物」は、その組成や引用文献6の【0001】の記載等より、活性エネルギー光線の照射により、「感光性樹脂」及び「重合性化合物」が重合により硬化し、この露光部が硬化膜となるものであることは技術上明らかである。
ウ 一方、半導体装置における絶縁層の形成等に用いる、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含む感光性樹脂組成物の技術分野において、硬化収縮に起因する接着性や可とう性低下の抑制や、解像性、耐熱性、耐クラック性の向上等、得られる硬化膜の性能向上等を目的として、感光性樹脂組成物に「エラストマ」を添加することは本件出願時に周知技術であったと認められる。(例えば、特開2018-138968号公報の【0068】~【0078】、特開平11-240930号公報の【0010】、特開2007-256943号公報の【0066】~【0078】、特開2011-95705号公報の【0094】~【0106】)
エ 上記アで検討したとおり、引用発明は、「ビルドアップ方式多層プリント配線板に使用される」ものであって、フォトビアホールパターンが形成される層間絶縁塗膜等に用いることを想定したものであり、引用文献6の【0006】等に記載されるとおり、耐クラック性、銅との密着性、耐熱性、解像性、可撓性、現像性等の特性を向上させるという課題を有するものである。
さらに、上記イで説示したとおり、引用発明の「感光性樹脂組成物」は、露光によって「感光性樹脂」及び「重合性化合物」が重合により硬化するものであるから、引用発明には、硬化収縮に起因する硬化膜の特性低下を抑制するという課題が内在するものと認められる。
オ してみれば、「ビルドアップ方式多層プリント配線板に使用される感光性樹脂組成物」の発明である引用発明において、耐クラック性、銅との密着性、耐熱性、解像性、可撓性、現像性等の特性向上や、「硬化収縮」に起因する硬化膜の特性低下の抑制を目的として、上記周知技術を適用して上記相違点1に係る構成に到ることは、当業者が容易になし得たことである。
(6)請求人の主張について
請求人は、令和6年1月12日提出の審判請求書において、本件補正後発明と引用文献6と対比した本件補正後発明の効果について、以下の点を主張している。
「本願発明の多層プリント配線板用感光性樹脂組成物が「(D)エラストマ」を含有するによって、「ビアの解像性、めっき銅との接着強度及び電気絶縁信頼性に優れるという効果、及び、硬化物内部の歪み(内部応力)に起因した、可とう性及びめっき銅との接着強度の低下を抑制する効果」(段落[0069]参照)が発現することは、エラストマを含有することについて何ら記載されていない引用文献6からは到底予測し得ない効果です。」(審判請求書第5頁第2~7行)
上記主張について検討する。
「多層プリント配線板用感光性樹脂組成物」が「(D)エラストマ」を含有することによる各種効果は、上記(5)ウで説示したとおり、本件出願時の上記周知技術より当業者に明らかなものであって、本件補正後発明が当業者が予測し得ない効果を奏するものとは認められない。
よって、審判請求書での上記主張は採用できない。
(7)小括
本件補正後発明は、引用文献6に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
3 補正の却下の決定のむすび
本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]に記載のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2」[理由]1(1)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、
-本願発明は、その出願前に日本国内及び外国において頒布された刊行物である、特開2000-321765号公報(引用文献6)に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない(理由1)、
-本願発明は、当業者がその出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である引用文献6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、同法29条2項の規定により特許を受けることができない(理由2)、
という理由を含むものである。
3 引用文献及び引用発明
引用文献6の記載及び引用発明は、前記「第2」[理由]3(1)及び(2)に記載したとおりである。
4 対比及び判断
本願発明は、前記「第2」[理由]3で検討した本件補正後発明から、「第2」[理由]2で述べた限定を省いたものに相当する。そして、上記第2[理由]3(4)イの相違点で示した全ての相違点(上記相違点1)は、本件補正による補正事項に係る限定に含まれる構成であるから、本願発明と引用発明との間に相違点はない。
また、本願発明の構成を全て具備し、さらに上記限定を有する、本件補正後発明は、前記「第2」[理由]3で述べたとおり、引用文献6に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうしてみると、本願発明は、引用文献6に記載された発明である、あるいは、引用文献6に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、あるいは、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-000528