特許異議申立
2023-701322
遊技機
- 審判番号
- 2023-701322
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-177061
- 登録番号
- 7351608
- 請求日
- 2023年12月14日
- 審決日
- 2025年04月22日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 俊久
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 審判官 太田 恒明
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F) / P1651.112-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第29条第1項第2号、特許法第120条の5第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7351608号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7351608号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7351608号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7351608号(以下「本件特許」という。)は、平成30年9月21日に特許出願され(特願2018-177061号)、令和5年9月19日にその特許権の設定登録がされ、同月27日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対して、同年12月14日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は令和6年7月3日付けで取消理由を通知し、特許権者は同年8月29日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、当審は同年9月24日付けで訂正拒絶理由を通知し、特許権者は同年10月22日に意見書を提出した。
その後、当審は同年12月9日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者は令和7年1月31日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。これに対して、当審は同年2月10日付けで申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からはその指定期間内に何らの応答もなかった。
なお、令和7年1月31日に訂正の請求がされたことにより、令和6年8月29日にされた訂正の請求は、取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
令和7年1月31日付けの訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「遊技を行う遊技機において、」とあるのを、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な遊技を行う遊技機において、」
に訂正する。
(2)訂正事項2
上記訂正事項1の「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な遊技を行う遊技機において、」の後に
「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、」を加える。
(3)訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項1の「表示領域を有する表示手段と、」の後に
「前記表示手段の表示態様を変更する変更制御を行う変更制御手段と、」を加える。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に
「前記遊技情報画像は、前記第2演出において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像が表示される場合であっても、視認可能に表示される」とあるのを、
「前記遊技情報画像は、前記第2演出において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像が表示される場合であっても、視認可能に表示され、」に訂正する。
(5)訂正事項5
上記訂正事項4の「前記遊技情報画像は、前記第2演出において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像が表示される場合であっても、視認可能に表示され、」の後に
「前記事前決定手段は、特定表示結果の導出を許容する特定決定結果及び特典の付与を伴う特別表示結果の導出を許容する特別決定結果のうち前記特定決定結果を単独で決定する単独決定結果を決定する場合と、前記特定決定結果及び前記特別決定結果の双方を同時に決定する同時決定結果を決定する場合とがあり、」を加える。
(6)訂正事項6
上記訂正事項5の「前記事前決定手段は、特定表示結果の導出を許容する特定決定結果及び特典の付与を伴う特別表示結果の導出を許容する特別決定結果のうち前記特定決定結果を単独で決定する単独決定結果を決定する場合と、前記特定決定結果及び前記特別決定結果の双方を同時に決定する同時決定結果を決定する場合とがあり、」の後に
「前記変更制御には、前記事前決定手段の決定結果に基づいて行われる通常変更制御と、特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御とが含まれ、」を加える。
(7)訂正事項7
上記訂正事項6の「前記変更制御には、前記事前決定手段の決定結果に基づいて行われる通常変更制御と、特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御とが含まれ、」の後に
「前記同時決定結果を決定した場合に前記単独決定結果を決定した場合よりも高い割合で前記通常変更制御を行うことで、前記通常変更制御が行われ前記特定表示結果が導出されたときに、前記通常変更制御が行われず前記特定表示結果が導出されたときよりも前記特別決定結果が同時に決定されている可能性が高くなるようになっており、」を加える。
(8)訂正事項8
上記訂正事項7の「前記同時決定結果を決定した場合に前記単独決定結果を決定した場合よりも高い割合で前記通常変更制御を行うことで、前記通常変更制御が行われ前記特定表示結果が導出されたときに、前記通常変更制御が行われず前記特定表示結果が導出されたときよりも前記特別決定結果が同時に決定されている可能性が高くなるようになっており、」の後に
「前記通常変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における第1タイミングで当該通常変更制御の実行前の前記表示手段の表示態様から特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該通常変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御であり、」を加える。
(9)訂正事項9
上記訂正事項8の「前記通常変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における第1タイミングで当該通常変更制御の実行前の前記表示手段の表示態様から特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該通常変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御であり、」の後に
「前記特定変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における前記第1タイミングとは異なる第2タイミングで、前記特定演出の実行によって変更された前記表示手段の表示態様から前記特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該特定変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御である」を加える。
(10)訂正事項10
本件特許の願書に添付した明細書の段落0008に
「遊技を行う遊技機において、
表示領域を有する表示手段と、
前記表示手段の表示領域が第1領域と第2領域に区分された通常状態と、前記通常状態から移行する状態であって、前記表示手段の表示領域が前記第1領域と前記第2領域に区分されていない有利状態と、に制御可能な状態制御手段と、
第1演出と第2演出とを含む演出を実行する演出手段とを備え、
前記第1演出は、前記通常状態において前記第1領域に画像を表示する演出であり、
前記第2演出は、前記通常状態において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出であり、
前記通常状態には、前記通常状態における所定タイミングに到達してから前記通常状態から前記有利状態に移行する特定タイミングに到達するまでの特定期間と、当該所定タイミングに到達前の非特定期間とが含まれ、
前記演出手段は、前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第1演出を実行可能であるとともに、前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第2演出を実行可能であり、
前記非特定期間の方が前記特定期間よりも前記第1演出の実行割合が高く、
前記特定期間の方が前記非特定期間よりも前記第2演出の実行割合が高く、
前記第2演出は、複数ゲームに亘って実行される演出であって該演出の演出結果により前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定報知演出であり、
前記特定報知演出が実行されているゲームにおいて、特別示唆演出を実行可能であり、
前記特定報知演出が実行されているゲームにおいて、前記特別示唆演出が実行されたときは該特別示唆演出が実行されなかったときよりも前記特定報知演出の演出結果として前記有利状態に制御される旨が報知され易く、
前記特別示唆演出は、前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出であり、
前記表示手段は、前記通常状態において、前記第2領域に遊技に関する情報を示す遊技情報画像を表示可能であり、
前記遊技情報画像は、前記第2演出において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像が表示される場合であっても、視認可能に表示される。
・・・」とあるのを、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な遊技を行う遊技機において、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
表示領域を有する表示手段と、
前記表示手段の表示態様を変更する変更制御を行う変更制御手段と、
前記表示手段の表示領域が第1領域と第2領域に区分された通常状態と、前記通常状態から移行する状態であって、前記表示手段の表示領域が前記第1領域と前記第2領域に区分されていない有利状態と、に制御可能な状態制御手段と、
第1演出と第2演出とを含む演出を実行する演出手段とを備え、
前記第1演出は、前記通常状態において前記第1領域に画像を表示する演出であり、
前記第2演出は、前記通常状態において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出であり、
前記通常状態には、前記通常状態における所定タイミングに到達してから前記通常状態から前記有利状態に移行する特定タイミングに到達するまでの特定期間と、当該所定タイミングに到達前の非特定期間とが含まれ、
前記演出手段は、前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第1演出を実行可能であるとともに、前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第2演出を実行可能であり、
前記非特定期間の方が前記特定期間よりも前記第1演出の実行割合が高く、
前記特定期間の方が前記非特定期間よりも前記第2演出の実行割合が高く、
前記第2演出は、複数ゲームに亘って実行される演出であって該演出の演出結果により前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定報知演出であり、
前記特定報知演出が実行されているゲームにおいて、特別示唆演出を実行可能であり、
前記特定報知演出が実行されているゲームにおいて、前記特別示唆演出が実行されたときは該特別示唆演出が実行されなかったときよりも前記特定報知演出の演出結果として前記有利状態に制御される旨が報知され易く、
前記特別示唆演出は、前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出であり、
前記表示手段は、前記通常状態において、前記第2領域に遊技に関する情報を示す遊技情報画像を表示可能であり、
前記遊技情報画像は、前記第2演出において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像が表示される場合であっても、視認可能に表示され、
前記事前決定手段は、特定表示結果の導出を許容する特定決定結果及び特典の付与を伴う特別表示結果の導出を許容する特別決定結果のうち前記特定決定結果を単独で決定する単独決定結果を決定する場合と、前記特定決定結果及び前記特別決定結果の双方を同時に決定する同時決定結果を決定する場合とがあり、
前記変更制御には、前記事前決定手段の決定結果に基づいて行われる通常変更制御と、特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御とが含まれ、
前記同時決定結果を決定した場合に前記単独決定結果を決定した場合よりも高い割合で前記通常変更制御を行うことで、前記通常変更制御が行われ前記特定表示結果が導出されたときに、前記通常変更制御が行われず前記特定表示結果が導出されたときよりも前記特別決定結果が同時に決定されている可能性が高くなるようになっており、
前記通常変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における第1タイミングで当該通常変更制御の実行前の前記表示手段の表示態様から特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該通常変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御であり、
前記特定変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における前記第1タイミングとは異なる第2タイミングで、前記特定演出の実行によって変更された前記表示手段の表示態様から前記特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該特定変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御である。
・・・」に訂正する。
2 訂正の適否の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」が「行う」「遊技」について「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な遊技」を備えることを限定するものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項1は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項1により限定された事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)における【0018】及び【0192】に記載された事項であるから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」を備えることを限定するものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項2は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項2により限定された事項は、本件明細書等における【0018】及び【0196】に記載された事項であるから、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「前記表示手段の表示態様を変更する変更制御を行う変更制御手段」を備えることを限定するものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項3は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項3により限定された事項は、本件明細書等における【0033】、【0034】及び【0192】に記載された事項であるから、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、以下の訂正事項5の訂正を行うことに対して、整合させるための訂正である。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項4は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項4は、本件明細書等に記載した事項又は記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であるから、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「前記事前決定手段は、特定表示結果の導出を許容する特定決定結果及び特典の付与を伴う特別表示結果の導出を許容する特別決定結果のうち前記特定決定結果を単独で決定する単独決定結果を決定する場合と、前記特定決定結果及び前記特別決定結果の双方を同時に決定する同時決定結果を決定する場合とがあ」ることを限定するものである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項5は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項5により限定された事項は、本件明細書等における【0019】及び【0027】に記載された事項であるから、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「前記変更制御には、前記事前決定手段の決定結果に基づいて行われる通常変更制御と、特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御とが含まれ」ることを限定するものである。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項6は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項6により限定された事項は、本件明細書等における【0033】、【0034】及び【0192】に記載された事項であるから、訂正事項6に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「前記同時決定結果を決定した場合に前記単独決定結果を決定した場合よりも高い割合で前記通常変更制御を行うことで、前記通常変更制御が行われ前記特定表示結果が導出されたときに、前記通常変更制御が行われず前記特定表示結果が導出されたときよりも前記特別決定結果が同時に決定されている可能性が高くなるようになって」いることを限定するものである。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項7は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項7により限定された事項は、本件明細書等における【0027】、【0061】、【0107】、【0192】及び【図7】に記載された事項であるから、訂正事項7に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(8)訂正事項8について
ア 訂正の目的
訂正事項8は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「前記通常変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における第1タイミングで当該通常変更制御の実行前の前記表示手段の表示態様から特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該通常変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御であ」ることを限定するものである。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項8は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項8により限定された事項は、本件明細書等における【0059】及び【0060】に記載された事項であるから、訂正事項8に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(9)訂正事項9について
ア 訂正の目的
訂正事項9は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「前記特定変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における前記第1タイミングとは異なる第2タイミングで、前記特定演出の実行によって変更された前記表示手段の表示態様から前記特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該特定変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御である」ことを限定するものである。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項9は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項9により限定された事項は、本件明細書等における【0062】~【0064】、【0066】及び【0192】に記載された事項であるから、訂正事項9に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(10)訂正事項10について
ア 訂正の目的
訂正事項10は、訂正事項1~9に係る訂正により、本件特許明細書の【0008】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなることを是正することで、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項10は、訂正事項1~9に係る訂正により、本件特許明細書の【0008】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、訂正事項1と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項10は、訂正事項1~9に係る訂正により、本件特許明細書の【0008】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなることを是正するものであるから、訂正事項10に係る訂正は、訂正事項1~9と同様に、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(11)独立特許要件について
訂正前の全請求項が特許異議の申立ての対象とされており、本件訂正請求による訂正において、上記(1)~(9)のとおり特許請求の範囲の減縮が行われていても、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件訂正請求による訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。なお、符号A等は分説のため当審で付与した。以下、分説された本件訂正発明の発明特定事項を、符号に基づき「訂正発明特定事項Aβ」等という。
「Aβ 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な遊技を行う遊技機において、
R 導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
B 表示領域を有する表示手段と、
T 前記表示手段の表示態様を変更する変更制御を行う変更制御手段と、
C 前記表示手段の表示領域が第1領域と第2領域に区分された通常状態と、前記通常状態から移行する状態であって、前記表示手段の表示領域が前記第1領域と前記第2領域に区分されていない有利状態と、に制御可能な状態制御手段と、
D 第1演出と第2演出とを含む演出を実行する演出手段とを備え、
E 前記第1演出は、前記通常状態において前記第1領域に画像を表示する演出であり、
F 前記第2演出は、前記通常状態において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出であり、
G 前記通常状態には、前記通常状態における所定タイミングに到達してから前記通常状態から前記有利状態に移行する特定タイミングに到達するまでの特定期間と、当該所定タイミングに到達前の非特定期間とが含まれ、
H 前記演出手段は、前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第1演出を実行可能であるとともに、前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第2演出を実行可能であり、
I 前記非特定期間の方が前記特定期間よりも前記第1演出の実行割合が高く、
J 前記特定期間の方が前記非特定期間よりも前記第2演出の実行割合が高く、
K 前記第2演出は、複数ゲームに亘って実行される演出であって該演出の演出結果により前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定報知演出であり、
L 前記特定報知演出が実行されているゲームにおいて、特別示唆演出を実行可能であり、
M 前記特定報知演出が実行されているゲームにおいて、前記特別示唆演出が実行されたときは該特別示唆演出が実行されなかったときよりも前記特定報知演出の演出結果として前記有利状態に制御される旨が報知され易く、
N 前記特別示唆演出は、前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出であり、
O 前記表示手段は、前記通常状態において、前記第2領域に遊技に関する情報を示す遊技情報画像を表示可能であり、
P 前記遊技情報画像は、前記第2演出において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像が表示される場合であっても、視認可能に表示され、
Sβ 前記事前決定手段は、特定表示結果の導出を許容する特定決定結果及び特典の付与を伴う特別表示結果の導出を許容する特別決定結果のうち前記特定決定結果を単独で決定する単独決定結果を決定する場合と、前記特定決定結果及び前記特別決定結果の双方を同時に決定する同時決定結果を決定する場合とがあり、
U 前記変更制御には、前記事前決定手段の決定結果に基づいて行われる通常変更制御と、特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御とが含まれ、
Vβ 前記同時決定結果を決定した場合に前記単独決定結果を決定した場合よりも高い割合で前記通常変更制御を行うことで、前記通常変更制御が行われ前記特定表示結果が導出されたときに、前記通常変更制御が行われず前記特定表示結果が導出されたときよりも前記特別決定結果が同時に決定されている可能性が高くなるようになっており、
W 前記通常変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における第1タイミングで当該通常変更制御の実行前の前記表示手段の表示態様から特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該通常変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御であり、
X 前記特定変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における前記第1タイミングとは異なる第2タイミングで、前記特定演出の実行によって変更された前記表示手段の表示態様から前記特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該特定変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御である、
Q 遊技機。」
第4 特許異議の申立てについて
1 特許異議の申立ての概要
特許異議申立書に記載された特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明に甲第2号証及び甲第3号証記載の技術事項を適用することで当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(証拠方法)
甲第1号証:「パチスロ 鬼武者3(設定6) 百鬼モード→明智左馬介VSマーセラス→勝利」、YouTube[online][video]、2018年8月13日公開、インターネット<URL https://www.youtube.com/watch?v=ngkafvpMlIk>
甲第2号証:「別冊パチスロ必勝ガイド 2005年6月号増刊」、発行所 株式会社白夜書房、2005年6月1日発刊、表紙、裏表紙、p32,33
甲第3号証:「パチスロ必勝ガイドMAX 2005年4月号」、発行所 株式会社白夜書房、2005年4月1日発刊、表紙、裏表紙、p12,13
2 取消理由の概要
設定登録時の本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る特許に対して、当審が令和6年7月3日付けで特許権者に通知した取消理由、及び、当審が令和6年12月9日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
1.(進歩性)請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2.(新規性)請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(下記引用例参照)であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができない。そして、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第2号の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
・引用例
甲第1号証:「パチスロ 鬼武者3(設定6) 百鬼モード→明智左馬介VSマーセラス→勝利」、YouTube[online][video]、2018年8月13日公開、インターネット<URL https://www.youtube.com/watch?v=ngkafvpMlIk>
甲第2号証:「別冊パチスロ必勝ガイド 2005年6月号増刊」、発行所 株式会社白夜書房、2005年6月1日発刊、表紙、裏表紙、p32,33
甲第3号証:「パチスロ必勝ガイドMAX 2005年4月号」、発行所 株式会社白夜書房、2005年4月1日発刊、表紙、裏表紙、p12,13
第5 当審の判断
1 各甲号証の記載
(1)甲1
特許異議申立人が提出した甲第1号証(以下「甲1」という。)から、次の事項が見て取れる。なお、下線は当審で付した。以下同じ。
ここで、以下に示した「0:07」等は再生開始からの経過時間を示すものである。
ア 0:07
(ア)0:07の画像
[図:0001425720000001.jpg]
(イ)認定事項1-1
0:07において、左上に「YouTube」と表示され、動画像の下側に「パチスロ 鬼武者3(設定6) 百鬼モード→明智左馬介VSマーセラス→勝利」というタイトルが表示され、その3行下に「2018/08/13」と表示されていることが見て取れる。
したがって、甲1は平成30年(2018年)8月13日に公開されたものであり、また、甲1には、「鬼武者3」という機種のパチスロ機に係るYouTubeの動画が記録されていると認められる。
また、動画像では、「鬼武者3」という機種のパチスロ機において、液晶表示器と、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリールが表示され、液晶表示器はリールの周囲に表示領域を有することが見て取れる。
以上のことから、甲1には以下の事項(以下「認定事項1-1」という。)が記録されているといえる。
「「鬼武者3」という機種のパチスロ機において、
表示領域を有する液晶表示器、及び、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリールを有する、
「鬼武者3」という機種のパチスロ機。」
イ 45:24~45:39
(ア)45:24の画像
[図:0001425720000002.jpg]
(イ)45:39の画像
[図:0001425720000003.jpg]
(ウ)認定事項1-2
45:24において、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されており、上側領域には昼であるときにおける城下町の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されている。
45:24において、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示される。
また、45:24の状態を、「通常モード」ということにする。
45:39ごろから、液晶表示器の表示領域に「百鬼モード」と表示されるようになることから、百鬼モードに移行すると認められる。
また、45:39において、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されており、上側領域には夜であるときにおける城や城下町の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されている。
また、45:39において、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示される。
以上のことから、甲1には以下の事項(以下「認定事項1-2」という。)が記録されているといえる。
「通常モードにおいて、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されており、上側領域には昼であるときにおける城下町の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されており、
通常モードにおいて、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示され、
百鬼モードに移行すると、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されており、上側領域には夜であるときにおける城や城下町の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されており、
百鬼モードにおいて、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示されること。」
ウ 47:30~47:53
(ア)47:30の画像
[図:0001425720000004.jpg]
(イ)47:41の画像
[図:0001425720000005.jpg]
(ウ)47:42の画像(その1)
[図:0001425720000006.jpg]
(エ)47:42の画像(その2)
[図:0001425720000007.jpg]
(オ)47:44の画像
[図:0001425720000008.jpg]
(カ)47:53の画像
[図:0001425720000009.jpg]
(キ)認定事項1-3
47:30ごろ、「敵を倒せ!!」と表示され、バトル演出が開始される。このバトル演出は、開始から終了までリールの回転及び停止が複数回行われるものであることから、複数ゲームに亘って実行されるものである。バトル演出では液晶表示器の表示領域の上側領域と下側領域とに跨がって画像が表示される。
また、バトル演出において、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示される。
47:41ごろ、バトル演出において敵を倒す。
47:42ごろから、「鬼武者3」、「7」及び「V」という表示が液晶表示器の表示領域において上から下に移動するようになる。
47:44ごろ、リールにおいて「777」が一直線上に表示される。
47:53ごろ、液晶表示器の表示領域において「BIG BONUS」と表示される。
上記イを踏まえると、以上のことから、甲1には以下の事項(以下「認定事項1-3」という。)が記録されているといえる。
「百鬼モードにおいて、「敵を倒せ!!」と表示されると、複数ゲームに亘って実行されるバトル演出が開始され、バトル演出では液晶表示器の表示領域の上側領域と下側領域とに跨がって画像が表示され、
バトル演出において、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示され、
バトル演出において敵を倒すと、「鬼武者3」、「7」及び「V」という表示が液晶表示器の表示領域において上から下に移動するようになり、
その後、リールにおいて「777」が一直線上に表示され、液晶表示器の表示領域において「BIG BONUS」と表示されること。」
エ 47:56以降
(ア)47:56の画像
[図:0001425720000010.jpg]
(イ)認定事項1-4
47:56ごろから、液晶表示器の表示領域に、「BONUS」という文字とともに残りのボーナス回数を示す数字「3」等が表示され、「GAME」という文字とともに残りのゲーム回数を示す数字「30」等が表示されるようになることから、ビッグボーナスに移行すると認められる。
また、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されていない。
上記ウを踏まえると、以上のことから、甲1には以下の事項(以下「認定事項1-4」という。)が記録されているといえる。
「リールにおいて「777」が一直線上に表示されると、ビッグボーナスに移行し、
ビッグボーナスにおいて、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されていないこと。」
オ 2:41~2:45
(ア)2:41の画像
[図:0001425720000011.jpg]
(イ)2:42の画像
[図:0001425720000012.jpg]
(ウ)2:45の画像
[図:0001425720000013.jpg]
(エ)認定事項1-5
2:41ごろまでは、リールが停止しており、3枚のメダルがBETされた状態において、液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されている。
2:42ごろ、リールが回転を始めるとともに、液晶表示器の上側領域及び下側領域が白くなって上記画像が表示されなくなる。
2:45ごろからは、液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されている。
以上のことから、甲1には以下の事項(以下「認定事項1-5」という。)が記録されているといえる。
「リールが停止しており、3枚のメダルがBETされた状態において、液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されていることがあり、
その後、リールが回転を始めるとともに、液晶表示器の上側領域及び下側領域が白くなって上記画像が表示されなくなり、
その後、液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されているようになること。」
カ 4:36~5:08
(ア)4:36の画像
[図:0001425720000014.jpg]
(イ)4:40の画像
[図:0001425720000015.jpg]
(ウ)5:07の画像(その1)
[図:0001425720000016.jpg]
(エ)5:07の画像(その2)
[図:0001425720000017.jpg]
(オ)5:08の画像
[図:0001425720000018.jpg]
(カ)認定事項1-6
4:36ごろまでは、液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける城の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されている。
4:40ごろ、「敵を倒せ!!」と表示され、バトル演出が開始される。このバトル演出は、開始から終了までリールの回転及び停止が複数回行われるものであることから、複数ゲームに亘って実行されるものである。
5:07ごろ、リールが停止した状態で、敵に敗北することでバトル演出が終了する。
また、5:07ごろ、リールが停止した状態で、液晶表示器の上側領域が黒くなって上記画像が表示されなくなる。
5:08ごろからは、リールが回転を始めるとともに、液晶表示器の上側領域に昼であるときにおける城の画像が表示される。
以上のことから、甲1には以下の事項(以下「認定事項1-6」という。)が記録されているといえる。
「液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける城の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されていることがあり、
その後、「敵を倒せ!!」と表示され、複数ゲームに亘って実行されるバトル演出が開始され、
その後、リールが停止した状態で、敵に敗北することでバトル演出が終了し、
その後、リールが停止した状態で、液晶表示器の上側領域が黒くなって上記画像が表示されなくなり、
その後、リールが回転を始めるとともに、液晶表示器の上側領域に昼であるときにおける城の画像が表示されること。」
キ 甲1発明
以上のことから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記録されていると認められる。なお、訂正発明特定事項A等に概ね対応させたa等を含む符号を付した。
「a,b
「鬼武者3」という機種のパチスロ機において、
表示領域を有する液晶表示器、及び、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリールを有し(認定事項1-1)、
cア,dア,e,gア,hア,o
通常モードにおいて、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されており、上側領域には昼であるときにおける城下町の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されており、
通常モードにおいて、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示され、
百鬼モードに移行すると、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されており、上側領域には夜であるときにおける城や城下町の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されており、
百鬼モードにおいて、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示され(認定事項1-2)、
dイ,f,gイ,hイ,p
百鬼モードにおいて、「敵を倒せ!!」と表示されると、複数ゲームに亘って実行されるバトル演出が開始され、バトル演出では液晶表示器の表示領域の上側領域と下側領域とに跨がって画像が表示され、
バトル演出において、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示され、
バトル演出において敵を倒すと、「鬼武者3」、「7」及び「V」という表示が液晶表示器の表示領域において上から下に移動するようになり、
その後、リールにおいて「777」が一直線上に表示され、液晶表示器の表示領域において「BIG BONUS」と表示され(認定事項1-3)、
cイ
リールにおいて「777」が一直線上に表示されると、ビッグボーナスに移行し、
ビッグボーナスにおいて、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されておらず(認定事項1-4)、
tア,uア,w
リールが停止しており、3枚のメダルがBETされた状態において、液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されていることがあり、
その後、リールが回転を始めるとともに、液晶表示器の上側領域及び下側領域が白くなって上記画像が表示されなくなり、
その後、液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されているようになり(認定事項1-5)、
tイ,uイ,x
液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける城の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されていることがあり、
その後、「敵を倒せ!!」と表示され、複数ゲームに亘って実行されるバトル演出が開始され、
その後、リールが停止した状態で、敵に敗北することでバトル演出が終了し、
その後、リールが停止した状態で、液晶表示器の上側領域が黒くなって上記画像が表示されなくなり、
その後、リールが回転を始めるとともに、液晶表示器の上側領域に昼であるときにおける城の画像が表示される(認定事項1-6)、
q
「鬼武者3」という機種のパチスロ機(認定事項1-1)。」
(2)甲2
特許異議申立人が提出した甲第2号証(以下「甲2」という。)には、次の事項が記載されている。
ア p33
(ア)p33の左上部分
[図:0001425720000019.jpg]
(イ)認定事項2-1
上記(ア)によれば、甲2は「別冊パチスロ必勝ガイド」という名称の雑誌であり、p33の左上に「鬼武者3」と記載されている。
以上のことから、甲2には以下の事項(以下「認定事項2-1」という。)が記載されているといえる。
「「鬼武者3」という機種のパチスロ機。」
(ウ)認定事項2-2
甲2の「内部の状態で演出傾向が変化する」という囲み記事における「通常状態滞在中は発生頻度が低く地味な演出がメイン」の欄には、液晶表示器の表示領域の上側領域に昼であるときにおける城が表示された画像の図とともに「昼画面が多い」との文字が記載され、「演出発展時」とともに「●敗北や失敗が相次ぐ」と記載され、さらに、「特定役解除の抽選状態が「通常」の場合(ほぼ昼画面)は、演出の発生率そのものが低めとなり、発生した場合も単純な子役ナビなど地味なものが多くなる。連続演出へ発展しても、大半は失敗or逃走だ。」と記載されている。
以上のことから、甲2には以下の事項(以下「認定事項2-2」という。)が記載されているといえる。
「通常の場合に、連続演出へ発展可能であること。」
(エ)認定事項2-3
甲2の「内部の状態で演出傾向が変化する」という囲み記事における「高確以上の場合は発生頻度が高く派手な演出が発生しやすい」の欄には、液晶表示器の表示領域の上側領域に夕方であるときにおける城が表示された画像の図とともに「主に夕方・百鬼モード」との文字が記載され、「演出発展時」とともに「●連続演出に発展する」と記載され、さらに、「特定役を引き当てて抽選状態が「高確率」になると、それをプレイヤーに知らせるかのように演出の発生頻度が大幅にアップ。白系のナビも頻繁に出現するようになり、さらに連続演出へと発展する割合も高くなる。」と記載されている。
以上のことから、甲2には以下の事項(以下「認定事項2-3」という。)が記載されているといえる。
「百鬼モードの場合に、連続演出に発展可能であり、連続演出へと発展する割合が通常の場合よりも高くなること(認定事項2-3)。」
イ 甲2記載の技術事項
以上のことから、甲2には、以下の技術事項(以下「甲2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「「鬼武者3」という機種のパチスロ機において(認定事項2-1)、
通常の場合に、連続演出へ発展可能であり(認定事項2-2)、
百鬼モードの場合に、連続演出に発展可能であり、連続演出へと発展する割合が通常の場合よりも高くなること(認定事項2-3)。」
(3)甲3
特許異議申立人が提出した甲第3号証(以下「甲3」という。)には、次の事項が記載されている。
ア p13
(ア)p13の左上部分
[図:0001425720000020.jpg]
(イ)認定事項3-1
甲3は「パチスロ必勝ガイドMAX」という名称の雑誌であり、p13の左上に「鬼武者3」と記載されている。
以上のことから、甲3には以下の事項(以下「認定事項3-1」という。)が記載されているといえる。
「「鬼武者3」という機種のパチスロ機。」
(ウ)認定事項3-2
甲3の「衝撃のバトル・「敵を倒せ!!」」という囲み記事における「チェックポイント2 左馬介の必殺技に注目」の欄には、液晶表示器の表示領域の上側領域に「空牙刀」、「天双刃」又は「地轟斧」が表示される図とともに「必殺技は3種類あり どれも期待大!?」との文字が記載されている。ここで、「期待大」とは、必殺技の演出が実行されたときは必殺技の演出が実行されなかったときよりもバトル演出の演出結果としてビッグボーナスに制御される旨が報知され易いことであると認められる。
また、液晶表示器の表示領域の上側領域に「空牙刀」、「天双刃」又は「地轟斧」が表示される図によれば、必殺技の演出は、液晶表示器の表示領域の上側領域と下側領域とに跨がって画像が表示される演出である。
以上のことから、甲3には以下の事項(以下「認定事項3-2」という。)が記載されているといえる。
「バトル演出が実行されているゲームにおいて、必殺技の演出を実行可能であり、
バトル演出が実行されているゲームにおいて、必殺技の演出が実行されたときは必殺技の演出が実行されなかったときよりもバトル演出の演出結果としてビッグボーナスに制御される旨が報知され易く、
必殺技の演出は、液晶表示器の表示領域の上側領域と下側領域とに跨がって画像が表示される演出であること。」
イ 甲3記載の技術事項
以上のことから、甲3には、以下の技術事項(以下「甲3記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「「鬼武者3」という機種のパチスロ機において(認定事項3-1)、
バトル演出が実行されているゲームにおいて、必殺技の演出を実行可能であり、
バトル演出が実行されているゲームにおいて、必殺技の演出が実行されたときは必殺技の演出が実行されなかったときよりもバトル演出の演出結果としてビッグボーナスに制御される旨が報知され易く、
必殺技の演出は、液晶表示器の表示領域の上側領域と下側領域とに跨がって画像が表示される演出であること(認定事項3-2)。」
2 本件訂正発明と甲1発明との対比
(1)訂正発明特定事項Aβについて
甲1発明の「各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリール」、「「鬼武者3」という機種のパチスロ機」は、それぞれ、本件訂正発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部」、「遊技機」に相当する。
また、甲1発明の「「鬼武者3」という機種のパチスロ機」は、「各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリール」を備えるところ、技術常識を踏まえると、「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な遊技を行う」ものであると認められる。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Aβに相当する構成を含む。
(2)訂正発明特定事項Rについて
甲1発明の「各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリール」を備える「「鬼武者3」という機種のパチスロ機」が「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」を備えることは、技術常識から明らかである。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Rに相当する構成を有する。
(3)訂正発明特定事項Bについて
甲1発明の「表示領域を有する液晶表示器」は、本件訂正発明の「表示領域を有する表示手段」に相当する。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Bに相当する構成を有する。
(4)訂正発明特定事項Tについて
甲1発明は、「液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像が表示されて」いたところ、「その後、液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像が表示され」るようにする。そうすると、甲1発明は、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像」から「夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像」に変更するものであるといえる。
また、甲1発明は、「液晶表示器の上側領域に、夕方であるときにおける城の画像が表示されて」いたところ、「その後、」「液晶表示器の上側領域に昼であるときにおける城の画像が表示され」るようにする。そうすると、甲1発明は、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」から「昼であるときにおける城の画像」に変更するものであるといえる。
ここで、甲1発明における、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像」から「夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像」に変更すること、及び、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」から「昼であるときにおける城の画像」に変更することは、いずれも、本件訂正発明の「前記表示手段の表示態様を変更する変更制御を行う」ことに相当する。
また、甲1発明が、「「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像」から「夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像」に変更すること、及び、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」から「昼であるときにおける城の画像」に変更することを行う手段を備えることは、技術常識から明らかである。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Tに相当する構成を有する。
(5)訂正発明特定事項Cについて
甲1発明の「上側領域」、「下側領域」、「ビッグボーナス」は、それぞれ、本件訂正発明の「第1領域」、「第2領域」、「有利状態」に相当する。
また、甲1発明の「通常モード」及び「百鬼モード」は、いずれも、「ビッグボーナス」ではないから、本件訂正発明の「通常状態」に相当する。
また、甲1発明では、「通常モードにおいて、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されて」おり、かつ、「百鬼モードに移行すると、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されて」いるから、甲1発明は、「前記表示手段の表示領域が第1領域と第2領域に区分された通常状態」「に制御可能な状態制御手段」を備えるといえる。
また、甲1発明では、「ビッグボーナスにおいて、液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されていない」から、甲1発明は、「前記表示手段の表示領域が前記第1領域と前記第2領域に区分されていない有利状態」「に制御可能な状態制御手段」を備えるといえる。
また、甲1発明の上記「ビッグボーナス」は、「通常状態から移行する状態」であるといえる。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Cに相当する構成を有する。
(6)訂正発明特定事項D、E、Fについて
甲1発明の「百鬼モード」における「上側領域には夜であるときにおける城や城下町が表示されて」いる演出は、本件訂正発明の「前記通常状態において前記第1領域に画像を表示する演出」である「第1演出」に相当する。
また、甲1発明の「百鬼モード」における「バトル演出」は、「液晶表示器の表示領域の上側領域と下側領域とに跨がって画像が表示され」るから、本件訂正発明の「前記通常状態において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出」である「第2演出」に相当する。
また、甲1発明では、「上側領域には夜であるときにおける城や城下町が表示されて」いる演出及び「バトル演出」が続けて実行されるから、甲1発明は、「第1演出と第2演出とを含む演出を実行する演出手段」を備えるといえる。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項D、E、Fに相当する構成を有する。
(7)訂正発明特定事項Gについて
甲1発明では、「百鬼モードに移行」した後に、「リールにおいて「777」が一直線上に表示され、液晶表示器の表示領域において「BIG BONUS」と表示され」るから、甲1発明には、「百鬼モードに移行」するタイミング(本件訂正発明の「所定タイミング」に相当。)に到達してから「リールにおいて「777」が一直線上に表示され、液晶表示器の表示領域において「BIG BONUS」と表示され」るタイミング(本件訂正発明の「特定タイミング」に相当。)に到達するまでの期間(本件訂正発明の「特定期間」に相当。)があるといえる。
また、甲1発明には、「百鬼モードに移行」するタイミング(本件訂正発明の「所定タイミング」に相当。)に到達前の「通常モード」である期間(本件訂正発明の「非特定期間」に相当。)もあるといえる。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Gに相当する構成を有する。
(8)訂正発明特定事項Hについて
甲1発明では、「百鬼モードに移行」するタイミングに到達前の「通常モード」である期間(本件訂正発明の「非特定期間」に相当。)において、「液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されており、上側領域には昼であるときにおける城下町の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されており」、かつ、「百鬼モードに移行」するタイミングに到達してから「リールにおいて「777」が一直線上に表示され、液晶表示器の表示領域において「BIG BONUS」と表示され」るタイミングに到達するまでの期間(本件訂正発明の「特定期間」に相当。)において、「百鬼モードに移行」したときには「液晶表示器の表示領域は上側領域と下側領域に区分されており、上側領域には夜であるときにおける城や城下町の画像が表示されており、下側領域にはリールの脇に宝箱の画像及び扉の画像が表示されて」いる。そうすると、甲1発明は「前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第1演出を実行可能である」といえる。
また、甲1発明では、「百鬼モードに移行」するタイミングに到達してから「リールにおいて「777」が一直線上に表示され、液晶表示器の表示領域において「BIG BONUS」と表示され」るタイミングに到達するまでの期間(本件訂正発明の「特定期間」に相当。)において、「液晶表示器の表示領域の上側領域と下側領域とに跨がって画像が表示され」る「バトル演出」が「開始され」る。そうすると、甲1発明は「前記特定期間」「において」「前記第2演出を実行可能であ」るといえる。
よって、甲1発明は本件訂正発明と、「前記演出手段は、前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第1演出を実行可能であるとともに、前記特定期間」「において」「前記第2演出を実行可能であ」る点で、共通する。
(9)訂正発明特定事項Kについて
甲1発明の「バトル演出」は「複数ゲームに亘って実行される」ものであり、かつ、甲1発明では「バトル演出において敵を倒すと、「鬼武者3」、「7」及び「V」という表示が液晶表示器の表示領域において上から下に移動するようになり、その後、リールにおいて「777」が一直線上に表示され、液晶表示器の表示領域において「BIG BONUS」と表示され」るから、甲1発明は本件訂正発明と同様に、「第2演出は、複数ゲームに亘って実行される演出であって該演出の演出結果により前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定報知演出であ」るといえる。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Kに相当する構成を有する。
(10)訂正発明特定事項O、Pについて
甲1発明では、「通常モードにおいて、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示され」、かつ、「百鬼モードにおいて、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示され」るから、甲1発明は本件訂正発明と同様に、「前記表示手段は、前記通常状態において、前記第2領域に遊技に関する情報を示す遊技情報画像を表示可能であ」るといえる。
また、甲1発明では、「バトル演出において、下側領域には、左側の「貯留」という文字の上に2桁の数字が表示され、右側の「払出」という文字の上に2桁の数字が表示され」るから、甲1発明は本件訂正発明と同様に、「前記遊技情報画像は、前記第2演出において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像が表示される場合であっても、視認可能に表示される」といえる。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項O、Pに相当する構成を有する。
(11)訂正発明特定事項Uについて
上記(4)で述べたことから、甲1発明における、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像」から「夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像」に変更すること、及び、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」から「昼であるときにおける城の画像」に変更することは、いずれも、本件訂正発明の「前記変更制御」に相当する。
また、甲1発明の「複数ゲームに亘って実行されるバトル演出」は、本件訂正発明の「特定演出」に相当する。
ここで、甲1発明では、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」が表示されているときに、「複数ゲームに亘って実行されるバトル演出が開始され、その後、リールが停止した状態で、敵に敗北することでバトル演出が終了」してから、「昼であるときにおける城の画像」が表示されるから、甲1発明における、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」から「昼であるときにおける城の画像」に変更することは、本件訂正発明の「特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御」に相当する。
また、甲1発明における、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」から「昼であるときにおける城の画像」に変更することとは異なる、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像」から「夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像」に変更することは、本件訂正発明の「特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御」とは異なる、「通常変更制御」に相当する。
よって、本件訂正発明と甲1発明とは、「前記変更制御には、」「通常変更制御と、特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御とが含まれ」る点で共通する。
(12)訂正発明特定事項Wについて
上記(3)で述べたことから、甲1発明の「液晶表示器」は、本件訂正発明の「前記表示手段」に相当する。
また、上記(11)で述べたことから、甲1発明における、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像」から「夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像」に変更することは、本件訂正発明の「前記通常変更制御」に相当する。
ここで、甲1発明において、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像」から「夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像」に変更する間には、「リールが回転を始める」ときに「画像が表示されなくな」る。そうすると、甲1発明では、「液晶表示器」の表示態様(本件訂正発明の「前記表示手段の表示態様」に相当。)を、「リールが回転を始める」タイミング(本件訂正発明の「遊技における第1タイミング」に相当。)で「夕方であるときにおける波止場や蔵、松の木が上から見える海辺のような画像」(本件訂正発明の「前記表示手段の表示態様」に相当。)から「画像が表示されな」い態様(本件訂正発明の「特定表示態様」に相当。)に変更した後、当該「画像が表示されな」い態様から「夕方であるときにおける船着き場や小屋、山が横から見える川辺のような画像」(本件訂正発明の「当該通常変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様」に相当。)に変更するといえる。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Wに相当する構成を有する。
(13)訂正発明特定事項Xについて
上記(11)で述べたことから、甲1発明における、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」から「昼であるときにおける城の画像」に変更することは、本件訂正発明の「前記特定変更制御」に相当し、甲1発明の「バトル演出」は、本件訂正発明の「前記特定演出」に相当する。
ここで、甲1発明において、「液晶表示器の上側領域に」「表示されて」いる画像を「夕方であるときにおける城の画像」から「昼であるときにおける城の画像」に変更する間には、「リールが停止した状態」で「画像が表示されなくな」る。そうすると、甲1発明では、「液晶表示器」の表示態様(本件訂正発明の「前記表示手段の表示態様」に相当。)を、「リールが回転を始める」タイミングとは異なる「リールが停止した状態」であるタイミング(本件訂正発明の「遊技における前記第1タイミングとは異なる第2タイミング」に相当。)で、「バトル演出」の表示態様(本件訂正発明の「前記特定演出の実行によって変更された前記表示手段の表示態様」に相当。)から「画像が表示されな」い態様(本件訂正発明の「特定表示態様」に相当。)に変更した後、当該「画像が表示されな」い態様から「昼であるときにおける城の画像」(本件訂正発明の「当該特定変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様」に相当。)に変更するといえる。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Xに相当する構成を有する。
(14)訂正発明特定事項Qについて
甲1発明の「「鬼武者3」という機種のパチスロ機」は、本件訂正発明の「遊技機」に相当する。
よって、甲1発明は、訂正発明特定事項Qに相当する構成を有する。
(15)一致点・相違点
以上のことから、本件訂正発明と甲1発明とは、
「Aβ 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な遊技を行う遊技機において、
R 導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
B 表示領域を有する表示手段と、
T 前記表示手段の表示態様を変更する変更制御を行う変更制御手段と、
C 前記表示手段の表示領域が第1領域と第2領域に区分された通常状態と、前記通常状態から移行する状態であって、前記表示手段の表示領域が前記第1領域と前記第2領域に区分されていない有利状態と、に制御可能な状態制御手段と、
D 第1演出と第2演出とを含む演出を実行する演出手段とを備え、
E 前記第1演出は、前記通常状態において前記第1領域に画像を表示する演出であり、
F 前記第2演出は、前記通常状態において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出であり、
G 前記通常状態には、前記通常状態における所定タイミングに到達してから前記通常状態から前記有利状態に移行する特定タイミングに到達するまでの特定期間と、当該所定タイミングに到達前の非特定期間とが含まれ、
H’ 前記演出手段は、前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第1演出を実行可能であるとともに、前記特定期間において前記第2演出を実行可能であり、
K 前記第2演出は、複数ゲームに亘って実行される演出であって該演出の演出結果により前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定報知演出であり、
O 前記表示手段は、前記通常状態において、前記第2領域に遊技に関する情報を示す遊技情報画像を表示可能であり、
P 前記遊技情報画像は、前記第2演出において前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像が表示される場合であっても、視認可能に表示され、
U’ 前記変更制御には、通常変更制御と、特定演出が開始してから所定回の遊技の実行により当該特定演出が終了した後に行われる特定変更制御とが含まれ、
W 前記通常変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における第1タイミングで当該通常変更制御の実行前の前記表示手段の表示態様から特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該通常変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御であり、
X 前記特定変更制御は、前記表示手段の表示態様を、遊技における前記第1タイミングとは異なる第2タイミングで、前記特定演出の実行によって変更された前記表示手段の表示態様から前記特定表示態様に変更した後、当該特定表示態様から当該特定変更制御の実行後の前記表示手段の表示態様に変更する制御である、
Q 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1(訂正発明特定事項H、I、J)>
本件訂正発明では、
「前記演出手段は、」「前記特定期間と前記非特定期間のいずれにおいても前記第2演出を実行可能であり、
前記非特定期間の方が前記特定期間よりも前記第1演出の実行割合が高く、
前記特定期間の方が前記非特定期間よりも前記第2演出の実行割合が高」いのに対し、
甲1発明では、そのように構成されているか明らかでない点。
<相違点2(訂正発明特定事項L、M、N)>
本件訂正発明では、
「前記特定報知演出が実行されているゲームにおいて、特別示唆演出を実行可能であり、
前記特定報知演出が実行されているゲームにおいて、前記特別示唆演出が実行されたときは該特別示唆演出が実行されなかったときよりも前記特定報知演出の演出結果として前記有利状態に制御される旨が報知され易く、
前記特別示唆演出は、前記第1領域と前記第2領域とに跨って画像を表示する演出であ」るのに対し、
甲1発明では、そのように構成されているか明らかでない点。
<相違点3(訂正発明特定事項Sβ)>
本件訂正発明では、
「前記事前決定手段は、特定表示結果の導出を許容する特定決定結果及び特典の付与を伴う特別表示結果の導出を許容する特別決定結果のうち前記特定決定結果を単独で決定する単独決定結果を決定する場合と、前記特定決定結果及び前記特別決定結果の双方を同時に決定する同時決定結果を決定する場合とがあ」るのに対し、
甲1発明では、そのように構成されているか明らかでない点。
<相違点4(訂正発明特定事項U)>
本件訂正発明では、「通常変更制御」が「前記事前決定手段の決定結果に基づいて行われる」のに対し、
甲1発明では、そのように構成されているか明らかでない点。
<相違点5(訂正発明特定事項Vβ)>
本件訂正発明では、「前記同時決定結果を決定した場合に前記単独決定結果を決定した場合よりも高い割合で前記通常変更制御を行うことで、前記通常変更制御が行われ前記特定表示結果が導出されたときに、前記通常変更制御が行われず前記特定表示結果が導出されたときよりも前記特別決定結果が同時に決定されている可能性が高くなるようになって」いるのに対し、
甲1発明では、そのように構成されているか明らかでない点。
3 判断
事案に鑑み、相違点3及び相違点5から検討する。
相違点3に係る本件訂正発明の構成である「単独決定結果を決定する」こと及び「同時決定結果を決定する」ことは、文献を例示するまでもなく周知技術である。
しかしながら、甲1発明に上記周知技術を適用したとしても、相違点5に係る本件訂正発明の構成には至らない。
そして、相違点5に係る本件訂正発明の構成は、「前記通常変更制御が行われ前記特定表示結果が導出されたときに、前記通常変更制御が行われず前記特定表示結果が導出されたときよりも前記特別決定結果が同時に決定されている可能性が高」いことを示唆することができると認められる。
また、当審は令和7年2月10日付けで申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からはその指定期間内に何らの応答もなかった。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲1発明、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことができない。
また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-701322