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特許異議申立

2023-701280

熱伝導及び電気絶縁のための装置

審判番号
2023-701280
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-556230
登録番号
7287900
請求日
2023年12月05日
審決日
2024年11月26日
公報発行日
2025年03月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ナイトライド ソリューションズ インコーポレイテッド
  • 【権利者代理人】加藤 和詳
  • 【異議申立人】小澤 麻理
審判長/審判官
  • 審判長 河本 充雄
  • 審判官 中野 浩昌
  • 審判官 松永 稔
分類
P1652.113-YAA(H01L) / P1652.121-YAA(H01L) / P1652.536-YAA(H01L) / P1652.537-YAA(H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7287900号発明「熱伝導及び電気絶縁のための装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7287900号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔18~40〕について訂正することを認める。 特許第7287900号の請求項18~34、37~39に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許7287900号の請求項1~40に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2018年(平成30年)4月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年4月13日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和5年5月29日にその特許権の設定登録がされ、同年6月6日に特許掲載公報が発行され、その後、同年12月5日に、特許異議申立人 小澤麻理(以下「申立人」という。)により本件特許のうちの請求項18~34、37~39に係る特許についての特許異議の申立てがされ、当審が令和6年2月14日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、同年5月20日に意見書を提出するとともに訂正の請求を行い、同年8月1日に訂正請求書を対象とする手続補正書(方式)を提出し、当審は、同年8月7日付けで申立人に期間を指定して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、申立人は、指定期間内に意見書の提出をしなかったものである。 第2 訂正の請求について 1 訂正の内容 特許権者が令和6年5月20日に提出し、同年8月1日提出の手続補正書(方式)により補正された訂正請求書(以下「訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求は、「特許第7287900号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項18~40について訂正することを求める。」ことを訂正の趣旨とするものであり、本件訂正の内容は以下のとおりである。(訂正箇所を示すため、当審が下線を付した。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項18に「前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の酸素を含む酸素ドープAlN層」と記載されているものを、「前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の酸素を含み、かつ、水素で更にドープされた酸素ドープAlN層」に訂正する。(請求項18の記載を引用する請求項19~25、33~40も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項26に「前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の窒素を含む窒素ドープAl2O3層」と記載されているものを、「前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の窒素を含み、かつ、水素で更にドープされた窒素ドープAl2O3層」に訂正する。(請求項26の記載を引用する請求項27~40も同様に訂正する。) 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1による訂正は、酸素ドープAlN層について、「水素で更にドープされた」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無について 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、以下の記載がある。(下線は、強調のため当審が付した。) 「【0014】(中略) 一実施形態では、第1の誘電体層が酸窒化アルミニウム(AlON)、アルミニウムオキシヒドロナイトライド(AlHON)、アルミニウムオキシカルボナイトライド(AlCON)、SiGeON、GaON、SiON、およびGeONからなる群から選択される材料を含む。」 「【0035】 いくつかの実施形態では、堆積された誘電体層が多くの他の化合物の中でも、水素、炭素などのドーピング元素の添加によってさらに強化され、とりわけ、アルミニウムオキシヒドロナイトライド(AlHON)またはアルミニウムオキシカルボナイトライド(AlCON)をもたらすことができる。」 「【0037】 本明細書で使用されるように、酸窒化物、窒素ドープ酸化物、または酸素ドープ窒化物堆積誘電体層は、金属酸窒化物と呼ばれる。実施例および開示された実施形態は特定の金属酸窒化物、AlONを参照して記載されているが、他の金属酸窒化物組成物が使用されてもよい。これは、水素または炭素などの追加のドーパント、および追加の金属/半金属の使用を含むことができる。」 そうすると、訂正事項1による訂正は、本件明細書等の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否について 訂正事項1による訂正は、上記アのとおり、酸素ドープAlN層について、「水素で更にドープされた」ことを限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 独立特許要件について (ア)独立特許要件の課されない請求項及び課される請求項 上記第1で述べたように、本件特許異議の申立ては、本件特許のうち請求項18~34、37~39に係る特許に対してなされているので、訂正事項1により訂正される請求項18~25、33~40のうち、請求項18~25、33、34、37~39については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 一方、訂正事項1により訂正される上記請求項のうち、請求項35、36、40に係る特許に対しては本件特許異議の申立ての対象となっていない。そして、訂正事項1による訂正は、上記アで述べたように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、請求項35、36、40は、請求項18を直接又は間接的に引用するものであるから、請求項18と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がされたといえる。 したがって、請求項35、36、40については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件が課される。 (イ)独立特許要件についての判断 下記第7の1(1)アで述べるように、本件訂正後の請求項18に係る発明には新規性又は進歩性欠如との取消理由がないから、請求項18に係る発明の特定事項を包含する本件訂正後の請求項35、36、40に係る発明は、新規性又は進歩性欠如との理由により特許を受けることができないものではないことが明らかである。また、本件訂正後の請求項35、36、40に係る特許については、その他の特許を受けることができない理由もない。 したがって、本件訂正後の請求項35、36、40に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。 (ウ)小括 よって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に適合する。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項2による訂正は、窒素ドープAl2O3層について、「水素で更にドープされた」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件明細書等には、以下の記載がある。(下線は、強調のため当審が付した。) 「【0014】(中略) 一実施形態では、第1の誘電体層が酸窒化アルミニウム(AlON)、アルミニウムオキシヒドロナイトライド(AlHON)、アルミニウムオキシカルボナイトライド(AlCON)、SiGeON、GaON、SiON、およびGeONからなる群から選択される材料を含む。」 「【0035】 いくつかの実施形態では、堆積された誘電体層が多くの他の化合物の中でも、水素、炭素などのドーピング元素の添加によってさらに強化され、とりわけ、アルミニウムオキシヒドロナイトライド(AlHON)またはアルミニウムオキシカルボナイトライド(AlCON)をもたらすことができる。」 「【0037】 本明細書で使用されるように、酸窒化物、窒素ドープ酸化物、または酸素ドープ窒化物堆積誘電体層は、金属酸窒化物と呼ばれる。実施例および開示された実施形態は特定の金属酸窒化物、AlONを参照して記載されているが、他の金属酸窒化物組成物が使用されてもよい。これは、水素または炭素などの追加のドーパント、および追加の金属/半金属の使用を含むことができる。」 そうすると、訂正事項2による訂正は、本件明細書等の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否について 訂正事項2による訂正は、上記アのとおり、窒素ドープAl2O3層について、「水素で更にドープされた」ことを限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 独立特許要件について (ア)独立特許要件の課されない請求項及び課される請求項 上記第1で述べたように、本件特許異議の申立ては、本件特許のうち請求項18~34、37~39に係る特許に対してなされているので、訂正事項2により訂正される請求項26~40のうち、請求項26~34、37~39については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 一方、訂正事項2により訂正される上記請求項のうち、請求項35、36、40に係る特許に対しては本件特許異議の申立ての対象となっていない。そして、訂正事項2による訂正は、上記アで述べたように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、請求項35、36、40は、請求項26を直接又は間接的に引用するものであるから、請求項26と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がされたといえる。 したがって、請求項35、36、40については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件が課される。 (イ)独立特許要件についての判断 下記第7の1(2)ア及び同(3)アで述べるように、本件訂正後の請求項26に係る発明には新規性又は進歩性欠如との取消理由がないから、請求項26に係る発明の特定事項を包含する本件訂正後の請求項35、36、40に係る発明は、新規性又は進歩性欠如との理由により特許を受けることができないものではないことが明らかである。また、本件訂正後の請求項35、36、40に係る特許については、その他の特許を受けることができない理由もない。 したがって、本件訂正後の請求項35、36、40に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。 (ウ)小括 よって、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に適合する。 3 まとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定、並びに、同法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔18~40〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正の請求により訂正された請求項18~40の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明18」~「本件発明40」という。)は、その特許請求の範囲の請求項18~40に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項18】 第1の面および第2の面を有する基板と、前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の酸素を含み、かつ、水素で更にドープされた酸素ドープAlN層と、を含む絶縁金属基板(IMS)。 【請求項19】 前記AlN層は、前記基板のテクスチャード表面の上に配置される、請求項18に記載のIMS。 【請求項20】 前記AlN層は、複数の凹部を含む、請求項18または請求項19に記載のIMS。 【請求項21】 前記基板と前記AlN層との間に金属層をさらに含む、請求項18~請求項20のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項22】 前記AlN層は、前記基板の端部および/または第2の面を覆う、請求項18~請求項21のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項23】 前記基板の第2の面の上に第2のAlN層をさらに含む、請求項18~請求項22のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項24】 前記AlN層が、50nm~500μmの範囲の厚さを有する、請求項18~請求項23のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項25】 前記AlN層は、1W/mk以上の熱伝導率および50v/μmを超える電気スタンドオフ電圧を有する、請求項18~請求項24のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項26】 第1の面および第2の面を有する基板と、前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の窒素を含み、かつ、水素で更にドープされた窒素ドープAl2O3層と、を含む絶縁金属基板(IMS)。 【請求項27】 前記Al2O3層は、前記基板のテクスチャード表面の上に配置される、請求項26に記載のIMS。 【請求項28】 前記Al2O3層は、複数の凹部を含む、請求項26または請求項27に記載のIMS。 【請求項29】 前記Al2O3層は、前記基板の端部および/または第2の面を覆う、請求項26~請求項28のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項30】 前記基板の第2の面の上に第2のAl2O3層をさらに含む、請求項26~請求項29のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項31】 前記Al2O3層が、50nm~500μmの範囲の厚さを有する、請求項26~請求項30のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項32】 前記Al2O3層は、1W/mk以上の熱伝導率および50v/μmを超える電気スタンドオフ電圧を有する、請求項26~請求項31のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項33】 前記基板が、金属、金属合金、複合材料、およびポリマーからなる群から選択される材料を含む、請求項18~請求項32のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項34】 前記基板は、二次元形状または三次元形状である、請求項18~請求項33のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項35】 前記基板がフィン状構造を含む、請求項18~請求項34のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項36】 前記基板は、プレストレスされている、請求項18~請求項35のいずれか1項に記載のIMS。 【請求項37】 請求項1~請求項36のいずれか1項に記載のIMS上に更に金属層を備えるIMSボード。 【請求項38】 請求項37に記載のIMSボード上に配置された電子デバイスまたは音響デバイスを備える、IMSシステム。 【請求項39】 前記電子デバイスが、発光ダイオード(LED)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、およびトランジスタのうちの1つを備える、請求項38に記載のIMSシステム。 【請求項40】 前記音響デバイスは、圧電トランスデューサを備える、請求項38に記載のIMSシステム。」 第4 特許異議申立書に記載された申立理由について 申立人は、証拠として甲第1号証~甲第6号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲6」という。)を提出し、以下の理由により、請求項18~34、37~39に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 1 申立理由1(新規性) 本件特許の請求項26、33、34に係る発明は、甲5に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3に該当し、特許を受けることができない。(以下「申立理由1」という。) 2 申立理由2(進歩性) 本件特許の請求項18、21~26、29~34、37~39に係る発明は、甲1~甲6に記載された発明に基づいて、その発明の技術分野に属する通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。(以下、甲1、甲5及び甲6を主引例とする進歩性の申立理由を、それぞれ「申立理由2(1)」、「申立理由2(2)」及び「申立理由2(3)」という。) 3 申立理由3(サポート要件) 本件特許の請求項26に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしていない。(以下「申立理由3」という。) 4 申立理由4(明確性) 本件特許の請求項19、20、27、28に係る発明は、明確でないから、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない。(以下「申立理由4」という。) 5 申立理由5(実施可能要件) 本件特許の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件特許の請求項19、20、26~28に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないから、特許法第36条第4項第1号の要件を満たしていない。(以下「申立理由5」という。) [証拠方法] 甲1:塩野晃宏、外7名、「反応性スパッタ法によるAlN薄膜の作製とLD用サブマウントへの応用」、社団法人電子情報通信学会、信学技報 CPM2006-118(2016-11)、31-35頁、2006年11月 甲2:吉田能英、「表面分析-XPS:X線光電子分光-」、日本画像学会、日本画像学会誌 第50巻 第5号、463-469頁、2011年9月 甲3:特開2006-339611号公報 甲4:特開2014-179415号公報 甲5:特開2003-118028号公報 甲6:特開2003-100636号公報 第5 取消理由通知に記載した取消理由について 訂正前の請求項18~34、37~39に係る特許に対して、当審が令和6年2月14日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 1 取消理由1(新規性) 本件特許の請求項18、24、25、33、34、37、38に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項18、24、25、33、34、37、38に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。(以下「取消理由1(1)」という。) 本件特許の請求項26、29~34に係る発明は、甲5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項26、29~34に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。(以下「取消理由1(2)」という。) 2 取消理由2(進歩性) 本件特許の請求項19、20に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、同請求項21~25、33、34、37~39に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同請求項19~25、33、34、37~39に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(以下「取消理由2(1)」という。) 本件特許の請求項27~34に係る発明は、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同請求項27~34に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(以下「取消理由2(2)」という。) 3 取消理由3(サポート要件) 本件特許の請求項26~34、37~39に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていないから、本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(以下「取消理由3」という。) 第6 甲号証の記載と甲号証に記載された発明等 1 甲1の記載と甲1発明 (1)甲1の記載 甲1には以下の記載がある。(下線は当審で付した。以下同様。) ア 「あらまし 熱伝導率に優れたLD用サブマウント基板の材料として、AlN/Cu構造を応用することを提案し、RF反応性スパッタ法による作製を試みた。その結果、抵抗率1010Ω・cm以上の値を有するAlN薄膜を窒素流量比25%以上で形成できることが分かった。また、RF電力500W(2.5W/cm2)で作製した試料が最も絶縁特性に優れることを見出した。しかしながら、膜中には多くの導通領域が存在し、絶縁特性を劣化させていることが分かった。この導通領域は、フォトリソグラフィで用いるアルカリ性の現像液(TMAH)による膜の溶解に起因することが分かり、絶縁特性の向上にはAlN薄膜が溶解しない現像液を用いることが重要であることが明らかとなった。」(31頁「あらまし」の項) イ 「このような状況下において、LDを搭載するためのサブマウントへの注目が集まっている。サブマウントとは光デバイス用パッケージ内部の小型回路基板であり、LDを直接実装する基板として使用されている。サブマウント用基板には、LDから発生する熱を逃すために放熱特性の優れた材料が用いられている。従って、LDの発熱問題を解決する上でサブマウントの放熱特性が非常に重要となる[2][3]。 現在、主に使われているサブマウント基板材料は、窒化アルミニウム(AlN)である。これは高熱伝導性や高絶縁耐圧、低誘電率などの電気的特性を兼ね備えた高性能な材料である。しかし、前述したようなLDの高出力化に伴い、更に高い熱伝導率を持つ材料が求められている。そこで、本研究では、熱伝導率がAlNより高くかつ低コストである銅(Cu)基板上に、絶縁膜であるAlN薄膜をRFマグネトロンスパッタリング法で堆積させたAlN/Cu構造基板を提案した。このAlN/Cu構造サブマウント基板が実現されれば、これまでの約1.5倍の優れた放熱特性が期待でき、将来のLDの高出力化に対応できると考えられる。」(31頁右欄下から3行目~32頁左欄15行) ウ 「なお作製条件として、放電ガスとしてAr、反応ガスとしてN2を用い、全ガス流量を10sccm、反応圧力を0.5Pa、基板設定温度を300℃で一定として、窒素流量比:N2/(N2+Ar)を0~80%、RF電力を250~900W(1.4~4.9W/cm2)と変化させAlN薄膜を堆積した。なお、膜厚はスパッタ時間の制御によりすべての試料で0.5μmとした。基板にはCu及びSi(001)とガラスを用いた。また、AlN薄膜堆積前にプレスパッタをRF電力850W(4.7W/cm2)で10分間行った。」(32頁右欄15~22行) エ 「Si基板上に作製した試料の組成分析をXPSにより行った。図5に評価結果を示す。なお、膜中の組成を得るためにエッチングを300秒行った。 [図:0001420306000001.jpg] 図5 窒素流量比10,30%で作成した試料のXPSスペクトル この結果よりAl薄膜であると考えられる窒素流量比10%の試料では、膜中にあまり窒素の混入が見られないが、窒素流量比30%の試料では、膜中に多くの窒素が混入しており、AlN薄膜が形成されていることがわかる。また、それぞれの試料において酸素が検出されたが、これは製膜中におけるスパッタ装置内の残留酸素が原因と考えられる。」(33頁右欄4~12行) オ 「Cu基板上に作製した試料の膜厚方向の抵抗値を測定するために、図7のような抵抗値測定パターンをフォトリソグラフィにより作製した。電極材料としてはスパッタ堆積したTi/Au積層膜を用い、3インチ基板内に36個の電極パターンを作製した。表Iに測定結果を示す。なお、表中の歩留まりとは、抵抗 率1010Ω・cm以上が得られた電極数の全体に占める割合と定義した。」(33頁右欄23~29行) カ 「 [図:0001420306000002.jpg] 」(34頁左欄) (2)甲1発明 ア 上記(1)エの図5のXPSスペクトルは、Si基板上に作製した試料(AlN薄膜)についての組成分析の結果であり、同エに「それぞれの試料において酸素が検出されたが、これは製膜中におけるスパッタ装置内の残留酸素が原因と考えられる。」と記載されているから、その原因からみて、Cu基板上にAlN薄膜を作製した場合にも、組成分析により酸素が検出されるものといえる。 イ 上記(1)の記載及び上記アによれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。(括弧内は、根拠となる記載箇所を示す。) 「銅(Cu)基板上に、絶縁膜であるAlN薄膜を堆積させたAlN/Cu構造基板であって、(上記(1)イ) AlN薄膜は、 膜厚が0.5μmであり、(同ウ) XPSによる組成分析で酸素が検出される、(上記ア) AlN/Cu構造基板。」 2 甲2の記載 甲2には以下の記載がある。 「XPSにおける検出限界については、平均的には0.1atomic%程度と言われている。が、相対感度係数の値が原子軌道によって異なり、一番大きいものと一番小さいもので2桁程度違っているので、0.001%以下でも検出できた元素もある。」(466頁左欄31~34行) 3 甲5の記載と甲5発明 (1)甲5の記載 甲5には、以下の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は基材にコーティングする成膜装置およびコーティングされた基材(包装材、建築資材、機械、装置、記録媒体、玩具、スポーツ用品、医用材料、農業資材、生活雑貨)に関する。特にコーティングする薄膜に関する。」 「【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は、基材表面にAlNXOYで示される層、またはAlXNYで示される層の単層またはこれらの積層を形成(コーティング)することを特徴とする。AlNXOYで示される層、またはAlXNYで示される層の単層またはこれらの積層の膜厚は、25nm~500nmの範囲とする。」 「【0016】なお、本明細書中において、基材とは、特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス、紙、ゴム、木材等、いかなる組成の基材でもよい。また、基材の形状および基材の形状(注:原文のまま)も特に限定されず、平面を有するもの、曲面を有するもの、可曲性を有するもの、フィルム状のものであってもよい。また、包装材料や包装容器として用いるのであれば、フィルム状のプラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのプラスチックフィルムが好ましい。 【0017】本明細書で開示する発明の構成は、フィルムの片面または両面にAlNXOYで示される層、またはAlXNYで示される層の単層またはこれらの積層が形成されていることを特徴とするフィルムである。 【0018】上記フィルムにおいて、AlNXOYで示される層は透光性が高く、フレキシブルでありDLCに比べクラックが発生にくく、柔らかいフィルムに形成できる。例えば、ポリエチレンからなる食品包装用のごく薄い透明なフィルムにAlNXOYで示される層を形成して用いることができる。酸素や水分により劣化しやすい油脂を含む食品を包装物とする場合、酸素や水分のバリア性が向上するため、品質保証期間をのばすことができる。 【0019】上記フィルムにおいて、AlNXOYで示される層に含まれる窒素は、2.5atm%~47.5atm%含み、酸素は、2.5atm%~47.5atm%含むことを特徴としている。 【0020】また、上記フィルムにおいて、クラックが生じてAlNXOYで示される層の一部が剥がれてしまうことを防ぐために、さらに有機物からなる薄膜を形成してもよい。また、AlNXOYで示される層からなる単層を2層以上設けて、さらに該2層の間に有機物からなる薄膜(以下、応力緩和膜と呼ぶ)を設けてもよい。AlNXOYで示される層と応力緩和膜の積層によって、よりフレキシブルになり、曲げられたときのクラックを防ぐことができる。」 「【0052】(実施の形態2)図2(A)および図2(B)は、本発明の有機材料からなるフィルムの一例を簡略に示した図である。 【0053】また、一方の面にAlNXOYで示される層、またはAlXNYで示される層の単層またはこれらの積層を有する有機フィルムも本発明の一つであり、図2(A)では、AlNXOY膜202の単層が一方の面に設けられた有機フィルム201を示す図である。 【0054】また、双方の面にAlNXOYで示される層、またはAlXNYで示される層の単層またはこれらの積層を有する有機フィルムも本発明の一つであり、図2(B)では、単層のAlNXOY膜204a、204bが双方の面に設けられた有機フィルム203を示す図である。 【0055】ここでの有機フィルムとは、具体的にはポリマーフィルムの単層または積層を指している。本発明に用いられる有機フィルムとしては、ポリビニルアルコール系フィルム、エチレンビニルアルコール系フィルム、セルロース系フィルム、ポリカーボネート系フィルムなどが挙げられる。 【0056】有機フィルムの一方の面または双方の面にAlNXOYで示される層、またはAlXNYで示される層の単層またはこれらの積層を設けることによって、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物の混入を効果的に防ぐ機能を備えたフィルムとすることができる。加えて、AlNXOYで示される層、またはAlXNYで示される層の単層またはこれらの積層は、発熱を拡散させる効果とともに、有機フィルムの変形や変質を保護する効果を有する。 【0057】ここで、膜厚100nmにおけるAlNXOY膜(X<Y)の透過率を図5に示す。AlNXOY膜は、図5に示したように、可視光領域で透過率80%~90%と透光性が非常に高い。 【0058】本発明において、AlNXOY膜は、スパッタ法を用い、例えば、窒化アルミニウム(AlN)ターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスと酸素ガスを混合した雰囲気下にて成膜する。アルゴンガスで代表される希ガスを用いた場合、膜中に希ガスを含む。AlNXOY膜(X<Y)は、膜中に窒素を数atm%以上、好ましくは2.5atm%~47.5atm%含む範囲であればよく、酸素を好ましくは2.5atm%~47.5atm%含む範囲であればよく、スパッタ条件(基板温度、導入ガスおよびその流量、成膜圧力など)を適宜調節することによって窒素濃度や酸素濃度を調節することができる。なお、シリコン基板上に形成して得られたAlNXOY膜のESCA(Electron Spectroscopy for Analysis)での分析データに基づく組成を図6に示す。また、アルミニウム(Al)ターゲットを用い、窒素ガス及び酸素ガスを含む雰囲気下にて成膜してもよい。」 「【0069】図2(C)は、本発明のカバー材の一例を簡略に示した図である。ここでは、凹部を有しているカバー材205を示したが特に形状は限定されない。また、一方の面にAlNXOY膜を形成した例を示したが、双方の面にAlNXOY膜を形成してもよい。」 「【図2】 [図:0001420306000003.jpg] 」 「【図6】 [図:0001420306000004.jpg] 」 (2)甲5発明 ア 甲5に記載された「フィルム」という用語は、甲5において、上記(1)の【0053】の「一方の面にAlNXOYで示される層・・・(中略)を有する有機フィルム」の記載のように、AlNXOY層を含めた「フィルム」を意味する場合と、同【0055】の「有機フィルムとは、具体的にはポリマーフィルムの単層または積層を指している。」の記載のように「フィルム」自体を意味する場合とが混在しており、両者を区別するため、以降「フィルム」自体を意味する場合の「フィルム」を、同【0016】の記載を勘案して、「フィルム状」の「基材」という。 イ 上記(1)の【図6】によれば、成膜されたAlNXOY膜(X<Y)の組成は、Alが約37atomic%、Oが約60atomic%、Nが約3atomic%であることが看取できる。 ウ 上記(1)の記載並びに上記ア及びイによれば、甲5には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。(括弧内は、根拠となる記載箇所を示す。) 「フィルム状の基材の一方の面又は双方の面にAlNXOY膜が設けられた有機フィルムであって、(上記(1)の【0053】、【0054】、【図2】(A)(B)、上記ア) フィルム状の基材は、ポリマーフィルムであり、(上記(1)の【0055】、上記ア) AlNXOY膜は、 膜厚100nmであり、(同【0057】) 組成は、Alが約37atomic%、Oが約60atomic%、Nが約3atomic%である(上記イ) 有機フィルム。」 4 甲6の記載と甲6発明 (1)甲6の記載 甲6には、以下の記載がある。 「【0180】以上の様にして、nチャネル型TFT201、pチャネル型TFT202、nチャネル型TFT203を有する駆動回路206と、nチャネル型TFTからなる画素TFT204、保持容量205とを有する画素部207を同一基板上に形成することができる。(図6)本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。」 「【0207】[実施例4]本実施例では、有機発光素子(OLED:Organic Light Emitting Device)を備えた発光表示装置を作製する例を図9に示す。」 「【0216】また、図10にOLED810を形成した段階でのアクティブマトリクス基板の断面図の一例を示す。図10中において図9と同一の箇所は同じ符号を用いた。」 「【0224】また、TFTの活性層とOLEDとの間に設ける絶縁膜807、808の他の材料としては、AlNXOYで示される層を用いてもよい。スパッタ法を用い、例えば、窒化アルミニウム(AlN)ターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスと酸素ガスを混合した雰囲気下にて成膜して得られるアルミニウムを含む窒化酸化物層(AlNXOYで示される層)は、窒素を2.5atm%~47.5atm%含む膜であり、水分や酸素をブロッキングすることができる効果に加え、熱伝導性が高く放熱効果を有し、さらには透光性が非常に高いという特徴を有している。加えて、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がTFTの活性層に入り込むのを防ぐことができる。」 「【0232】また、画素電極を陰極とし、EL層と陽極を積層して図9とは逆方向に発光する構成としてもよい。図11にその一例を示す。なお、上面図は同一であるので省略する。 【0233】図11に示した断面構造について以下に説明する。基板1000としては、ガラス基板や石英基板の他にも、半導体基板または金属基板も使用することができる。基板1000上に絶縁膜1010が設けられ、絶縁膜1010の上方には画素部1002、ゲート側駆動回路1003が形成されており、画素部1002は電流制御用TFT1011とそのドレインに電気的に接続された画素電極1012を含む複数の画素により形成される。また、ゲート側駆動回路1003はnチャネル型TFT1013とpチャネル型TFT1014とを組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。」 「【図9】(B) [図:0001420306000005.jpg] 」 「【図10】 [図:0001420306000006.jpg] 」 「【図11】 [図:0001420306000007.jpg] 」 (2)甲6発明 ア 上記(1)の記載より、甲6にはアクティブマトリクス基板(【0180】)について記載されているところ、【図11】に断面構造が記載されたアクティブマトリクス基板は、【図10】のアクティブマトリクス基板と同様に、絶縁膜1010の上方に、【0224】に記載された「TFTの活性層とOLEDとの間に設ける絶縁膜807、808」と同様の絶縁膜が形成されているといえる。 イ 【図11】を参照すると、基板1000には、絶縁膜1010が設けられた上面と、上面の反対側の下面を有することが見て取れる。 ウ 以上によれば、甲6には、【図11】のアクティブマトリクス基板について、次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されているといえる。 「上面と下面を有し、金属基板を使用することができる基板1000と、基板1000の上面に設けられた絶縁膜1010と、絶縁膜1010の上方のTFTの活性層とOLEDとの間に設けられ、窒素を2.5atm%~47.5atm%含むAlNXOYで示される層を含む、アクティブマトリクス基板。」 第7 取消理由及び特許異議申立理由についての当審の判断 1 新規性、進歩性について (1)甲1を主引例とする取消理由1(1)、取消理由2(1)及び申立理由2(1)について ア 本件発明18について (ア)対比 本件発明18と上記第6の1(2)の甲1発明とを対比する。 a 甲1発明の「銅(Cu)基板」及び「AlN薄膜」は、それぞれ本件発明18の「基板」及び「AlN層」に対応する。 そして、甲1発明の「銅(Cu)基板」は、「AlN薄膜」を堆積する面と、その反対側の面とを有することが明らかであり、これら2つの面は、それぞれ本件発明18の「基板」の「第1の面」及び「第2の面」に相当する。そうすると、甲1発明の「銅(Cu)基板」は、本件発明18の「第1の面および第2の面を有する基板」に相当する。 b 本件発明18の「酸素ドープAlN層」について、本件明細書(【0032】)には、「堆積誘電体層が低酸素濃度を含む場合、堆積誘電体層は、酸素ドープ窒化アルミニウムと呼ぶことができる。」と記載されている。そうすると、甲1発明の「絶縁膜であるAlN薄膜」は、「XPSによる組成分析で酸素が検出される」、すなわち「低酸素濃度を含む」誘電体薄膜(層)である点で、本件発明18と同様の「酸素ドープAlN層」といえる。 ここで、上記aによれば、甲1発明の「AlN薄膜」は、銅(Cu)基板の第1の面上に堆積させたものである。 さらに、甲1発明の「AlN薄膜」で「XPSによる組成分析で酸素が検出される」ことは、XPSにおける検出限界については、平均的には0.1原子%程度であるという技術常識(必要なら甲2(上記第1の2)を参照。)に照らせば、甲1発明の「XPSによる組成分析で酸素が検出される」「AlN薄膜」は、0.1原子%程度の酸素を含むといえる。 そうすると、本件発明18の「酸素ドープAlN層」と甲1発明の「AlN薄膜」とは、「前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の酸素を含」む「酸素ドープAlN層」である点で共通する。 c 甲1発明の「AlN/Cu構造基板」は、「AlN薄膜」が「絶縁膜」であるから、本件発明18の「絶縁金属基板(IMS)」に相当する。 d 以上によれば、本件発明18と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点1を有する。 [一致点] 第1の面および第2の面を有する基板と、前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の酸素を含む酸素ドープAlN層と、を含む絶縁金属基板(IMS)。 [相違点1] 本件発明18では、酸素ドープAlN層は、水素で更にドープされているのに対し、甲1発明では、AlN薄膜が水素で更にドープされていることが特定されていない点。 (イ)判断 a 本件発明18と甲1発明とは、相違点1を有するから、本件発明18は甲1発明ではない。 b さらに、相違点1に係る本件発明18の構成は、甲2~甲6のいずれにも記載されていないから、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。 そして、本件発明18は、相違点1に係る構成により、本件明細書等の【0074】に記載された「AlONが堆積された誘電体層の電気絶縁を強化する」との作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明18は、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明19~25、33、34、37~39について 請求項19~25、33、34、37~39は、直接又は間接的に請求項18を引用しているから、本件発明19~25、33、34、37~39は、本件発明18と甲1発明との相違点1に係る構成を備えている。 したがって、本件発明19~25、33、34、37~39に係る発明は、上記ア(イ)で検討した理由と同様の理由により、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2)甲5を主引例とする取消理由1(2)、取消理由2(2)、申立理由1及び申立理由2(2)について ア 請求項26について (ア)対比 本件発明26と上記第6の3(2)ウの甲5発明とを対比する。 a 甲5発明の「フィルム状の基材」及び「AlNXOY膜」は、それぞれ本件発明26の「基板」及び「Al2O3層」に対応する。 そして、甲5発明の「フィルム状の基材」は、「AlNXOY膜」を設ける「一方の面」と、その反対側の他方の面とを有し、これら2つの面は、それぞれ本件発明の「基板」の「第1の面」及び「第2の面」に相当する。そうすると、甲5発明の「フィルム状の基材」は、本件発明26の「第1の面および第2の面を有する基板」に相当する。 b 本件発明26の「窒素ドープAl2O3層」について、本件明細書(【0032】)には、「堆積された誘電体層が高酸素濃度を含む場合、堆積された誘電体層は、窒素ドープAl2O3と呼ばれる。」と記載されている。そうすると、甲5発明の「AlNXOY膜」は、「Alが約37atomic%、Oが約60atomic%、Nが約3atomic%である」組成、すなわち「高酸素濃度を含む」誘電体薄膜(層)である点で、本件発明26と同様の「窒素ドープAl2O3層」といえる。 ここで、上記aによれば、甲5発明の「AlNXOY膜」は、フィルム状の基材の第1の面上に設けられたものである。 さらに、甲5発明の「AlNXOY膜」の組成で「Nが約3atomic%」であることは、本件発明26の「0.0001~15at%の窒素」に相当する。 そうすると、本件発明26の「窒素ドープAl2O3層」と甲5発明の「AlNXOY膜」とは、本件発明26の「上記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の窒素を含」む「窒素ドープAl2O3層」である点で共通する。 c 本件発明26の「絶縁金属基板(IMS)」は、請求項26を引用する請求項33に「前記基板が、金属、金属合金、複合材料、およびポリマーからなる群から選択される材料を含む、請求項18~請求項32のいずれか1項に記載のIMS。」と記載され、本件明細書【0029】にも「基板3は、・・・(中略)・・・ポリマーを含むこともできる。」と記載されているから、基板が「ポリマー」である場合も、本件発明26の「絶縁金属基板」に含まれる。 そうすると、甲5発明の「有機フィルム」は、「フィルム状の基材は、ポリマーフィルム」であり、絶縁膜である「AlNXOY膜」が設けられているから、本件発明26の「絶縁金属基板(IMS)」に相当する。 d 以上によれば、本件発明26と甲5発明とは、以下の一致点及び相違点2を有する。 [一致点] 第1の面および第2の面を有する基板と、前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の酸素を含む酸素ドープAlN層と、を含む絶縁金属基板(IMS)。 [相違点2] 本件発明26では、酸素ドープAlN層は、水素で更にドープされているのに対し、甲5発明では、AlN薄膜が水素で更にドープされていることが特定されていない点。 (イ)判断 a 本件発明26と甲5発明とは、相違点2を有するから、本件発明26は甲5発明ではない。 b さらに、相違点2に係る本件発明26の構成は、甲1~甲4、甲6のいずれにも記載されていないから、甲5発明及び甲1~甲4、甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。 そして、本件発明26は、相違点2に係る構成により、本件明細書等の【0074】に記載された「AlONが堆積された誘電体層の電気絶縁を強化する」との作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明26は、甲5発明及び甲1~甲4、甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明27~34、37~39について 請求項27~34、37~39は、直接又は間接的に請求項26を引用しているから、本件発明27~34、37~39は、本件発明26と甲5発明との相違点2に係る構成を備えている。 したがって、本件発明27~34、37~39に係る発明は、上記ア(イ)で検討した理由と同様の理由により、甲5発明ではなく、甲5発明及び甲1~甲4、甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)甲6を主引例とする申立理由2(3)について ア 請求項26について (ア)対比 本件発明26と上記第6の4(2)ウの甲6発明とを対比する。 a 甲6発明の「上面及び下面を有」する「基板1000」は、本件発明26の「第1の面および第2の面を有する基板」に相当する。 b 本件発明26の「前記基板の第1の面上に設けられた0.0001~15at%の窒素を含み、かつ、水素で更にドープされた窒素ドープAl2O3層」と甲6発明の「絶縁膜1010の上方のTFTの活性層とOLEDとの間に設けられ、窒素を2.5atm%~47.5atm%含むAlNXOYで示される層」とを対比すると、甲6発明のAlNXOYで示される層は、基板1000の上面に設けられた絶縁膜1010の上方に設けられたものであることから、両者は、「前記基板の第1の面」の上方「に設けられた」Al、N及びOからなる層である点で共通する。 c 本件発明26の「絶縁金属基板(IMS)」と甲6発明の「アクティブマトリクス基板」とは、「基板」である点で共通する。 d 以上によれば、本件発明26と甲6発明とは、以下の一致点及び相違点3~5を有する。 [一致点] 「第1の面および第2の面を有する基板と、前記基板の第1の面の上方に設けられたドープされた窒素ドープAl2O3層と、を含む基板。」 [相違点3] 本件発明26の窒素ドープAl2O3層は、基板の第1の面上に設けられているのに対し、甲6発明のAlNXOYで示される層は、基板1000の上面に設けられた絶縁膜1010の上方に設けられている点。 [相違点4] Al、N及びOからなる層について、本件発明26の窒素ドープAl2O3層は、0.0001~15at%の窒素を含み、かつ、水素で更にドープされたものであるのに対し、甲6発明のAlNXOYで示される層は、窒素を2.5atm%~47.5atm%含むものの、水素で更にドープされたものではない点。 [相違点5] 本件発明26は絶縁金属基板(IMS)であるのに対し、甲6発明はアクティブマトリクス基板である点。 (イ)判断 事案に鑑み、まず相違点4について検討すると、相違点4に係る本件発明26の構成は、甲1~甲5のいずれにも記載されていないから、甲6発明及び甲1~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。 そして、本件発明26は、相違点4に係る構成により、本件明細書等の【0074】に記載された「AlONが堆積された誘電体層の電気絶縁を強化する」との作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明26は、相違点3及び5について検討するまでもなく、甲6発明及び甲1~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明27~34、37~39について 請求項27~34、37~39は、直接又は間接的に請求項26を引用しているから、本件発明27~34、37~39は、本件発明26と甲6発明との相違点4に係る構成を備えている。 したがって、本件発明27~34、37~39に係る発明は、上記ア(イ)で検討した理由と同様の理由により、甲6発明及び甲1~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 サポート要件(取消理由3及び申立理由3)について (1)取消理由3及び申立理由3の概要 ア 取消理由3の概要 当審で通知した取消理由3は、本件明細書等の記載からみて、本件訂正前の本件発明26は、「アルミナ層は低い熱性能(1~30W/mK)を有する」(【0007】)こと、「アルミナの完全に緻密化された堆積誘電体層は、ほとんど不可能」であり、「ピンホールが生成されること」で「多孔性を有」することが「低い絶縁耐力(電気絶縁)に関する問題をもたらす」(【0008】)という「IMSのための堆積誘電体層としての」「アルミナの問題」(【0031】)を解決しようとする発明であるといえるが、当業者であっても、本件発明26により上記「アルミナの問題」を解決することができると認識することはできないから、本件発明26~34、37~39は、発明の詳細な説明に記載したものでないというものである。 イ 申立理由3(特許異議申立書65頁最終行~68頁4行)の概要 申立理由3は、「本件特許の請求項26に記載されている「0.0001~15at%の窒素を含む窒素ドープAl2O3層」を備えるIMSは、本件特許における発明の課題を解決できないといえる」(同67頁17~19行)から、「本件特許の請求項26の記載は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、本件特許の請求項26が発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになっており、本件特許の請求項26の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしていない」(同67頁23~27行)というものである。 (2)判断 取消理由3及び申立理由3をあわせて検討する。 本件明細書の【0074】に「AlONが堆積された誘電体層の電気絶縁を強化するために、追加のドーパント水素を使用して堆積されてもよい。」と記載されているとおり、本件発明26は、「0.0001~15at%の窒素を含み、かつ、水素で更にドープされた窒素ドープAl2O3層」という構成を有することにより、AlONが堆積された誘電体層の電気絶縁を強化するとの作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明26は、上記「アルミナの問題」を解決するための構成が特定されているから、請求項26の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合する。また、請求項26を引用する請求項27~34、37~39の記載についても、同様に特許法第36条第6項第1号に適合する。 よって、本件訂正により、取消理由3および申立理由3は解消した。 3 明確性(申立理由4)について (1)申立理由4の概要 ア 請求項19、27について(特許異議申立書68頁6~24行) 本件訂正前の請求項19、27についての申立理由4は、「本件特許の請求項19に係る発明においてAlN層が配置される「基板のテクスチャード表面」、および、本件特許の請求項27に係る発明においてAl2O3層が配置される「基板のテクスチャード表面」のそれぞれについて、本件特許明細書および図面には何ら記載がなく、「テクスチャード表面」とはどのような表面であるかが明確にされていない」(同68頁11~15行)から、「本件特許の請求項19に係る発明、および、本件特許の請求項27に係る発明のいずれもが、明確ではなく、本件特許の請求項19,27の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない」(同68頁19~21行)というものである。 イ 請求項20、28について(同68頁25行~69頁17行) 本件訂正前の請求項20、28についての申立理由4は、「本件特許の請求項20に係る発明においてAlN層が含む「複数の凹部」、および、本件特許の請求項28に係る発明においてAl2O3層が含む「複数の凹部」のそれぞれについて、例えば、形状、大きさ、深さなどの凹部に関する記載は、本件特許の明細書および図面には全くなく、どのような「凹部」であるかが明確にされていない」(同69頁4~8行)から、「本件特許の請求項20に係る発明、および、本件特許の請求項28に係る発明のいずれもが、明確ではなく、本件特許の請求項20,28の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない」(同69頁11~14行)というものである。 (2)判断 ア 請求項19、27について 本件明細書の【0051】の「図8Bに示すように、IMS 800Bは、より良好な熱抽出のためにテクスチャ加工された表面37を有するコア金属基板3上に堆積誘電体層7を含む。図示のように、堆積誘電体層7は、テクスチャ加工された表面上に配置される。」との記載によれば、請求項19、27に記載された「基板のテクスチャード表面」は、基板のテクスチャ加工された表面のことであることが明確である。 イ 請求項20、28について 請求項20、28に記載された「複数の凹部」について、「凹」とは、「物の表面が部分的にくぼんでいること。くぼみ。」(広辞苑第5版)を意味するから、前記「複数の凹部」は、請求項20の酸素ドープAlN層又は請求項28の窒素ドープAl2O3層の表面に複数の部分的なくぼみを意味するものであり、それぞれの形状、大きさ、深さが特定されていなくても明確である。 また、以下の【図6A】とともに、本件明細書の【0047】には、「図6Aに示すように、IMS 600Aは、基板3上にエッチングされた部分31を有する堆積誘電体層7を含む。」と記載されている。 「【図6A】 [図:0001420306000008.jpg] 」 これらの記載によれば、「複数の凹部」は、堆積誘電体層(請求項20の酸素ドープAlN層又は請求項28の窒素ドープAl2O3層)に形成された「エッチングされた部分」、すなわち、部分的なくぼみということができるから、この点からも、請求項20、28に記載された「複数の凹部」の記載は、明確であるといえる。 ウ 小括 上記ア、イのとおり、本件発明19、20、27、28は明確であるから、申立理由4は理由がない。 4 実施可能要件(申立理由5)について (1)申立理由5の概要 ア 請求項19、27について(異議申立書69頁19行~70頁19行) 本件訂正前の請求項19、27についての申立理由5は、「「(4-3)特許法第36条第6項第2号に基づく理由について」の「(ア)本件特許の請求項19、27について」で述べたように、本件特許の明細書には、「テクスチャード表面」の記載はなく、・・・(中略)・・・「テクスチャード表面」がどのような表面であって、「テクスチャード加工」がどのような加工であるか、が全く示されていない」(同69頁25行~同70頁6行)から、「本件特許の発明の詳細な説明では、当業者が、明細書及び図面に記載された発明の実施についての説明と出願時の技術常識とに基づいて、本件特許の請求項19,27のそれぞれに係る発明を実施しようとした場合に、どのように実施するかを理解できないため、特許法第36条第4項第1号の要件を満たしていない」(同70頁12~16行)というものである。 イ 請求項20、28について(同70頁20行~同71頁14行) 本件訂正前の請求項20、28についての申立理由5は、「「(4-3)特許法第36条第6項第2号に基づく理由について」の「(イ)本件特許の請求項20、28について」で述べたように、本件特許の明細書および図面には、「凹部」について、例えば、形状、大きさ、深さなどの凹部に関する情報が全く記載されていない」(同70頁26行~同71頁1行)から、「本件特許の発明の詳細な説明では、当業者が、明細書及び図面に記載された発明の実施についての説明と出願時の技術常識とに基づいて、本件特許の請求項20,28それぞれに係る発明を実施しようとした場合に、どのように実施するかを理解できないため、特許法第36条第4項第1号の要件を満たしていない」(同71頁7~11行)というものである。 ウ 請求項26について(同71頁15行~同72頁2行) 本件訂正前の請求項26についての申立理由5は、「「(4-3)特許法第36条第6項第1号に基づく理由について」の「(ア)本件特許の請求項26について」で述べたように、「0.0001~15at%の窒素を含む窒素ドープAl2O3層」を備える絶縁金属基板の特性について、本件特許の明細書には、何ら開示もされていないし、示唆もされていない。したがって、発明の詳細な説明において、本件特許発明26をどのように使用できるかについて、具体的に記載されていないため、特許法第36条第4項第1号の要件を満たしていない」(同71頁19~25行)というものである。 (2)判断 ア 請求項19、27について 上記3(2)アで述べたとおり、請求項19、27の「テクスチャード表面」は、基板のテクスチャ加工された表面のことであることが明確であり、例えば、本件明細書の【0051】に「より良好な熱抽出のためにテクスチャ加工された表面37」と記載されているように、基板の表面に、例えば良好な熱抽出のための加工を施すことは、当業者であれば、発明の詳細な説明に記載なくても実施が可能であるといえる。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明19、27の絶縁金属基板(IMS)を製造することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 イ 請求項20、28について 上記3(2)イで述べたとおり、請求項20、28の「凹部」は、請求項20の酸素ドープAlN層又は請求項28の窒素ドープAl2O3層をエッチングすることで形成することが可能であり、「凹部」の形状、大きさ、深さは、実施に当たり当業者が適宜に設定し得る事項である。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明20、28の絶縁金属基板(IMS)を製造することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 ウ 請求項26について 上記2(2)で述べたとおり、本件発明26は、「0.0001~15at%の窒素を含み、かつ、水素で更にドープされた窒素ドープAl2O3層」という構成を有することにより、AlONが堆積された誘電体層の電気絶縁を強化するとの作用効果を奏するものである。 また、本件明細書の【0029】に「絶縁金属基板(IMS)は、個々の電気装置、音響装置、および多部品システムのための支持体(またはマウント)として機能することができる。」と記載されているように、本件発明26は、個々の電気装置、音響装置、および多部品システムのための支持体(またはマウント)として使用されるものといえる。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明26の絶縁金属基板(IMS)を使用することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 エ 小括 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明19、20、26~28を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるから、申立理由5は、理由がない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、特許第7287900号の請求項18~34、37~39についての特許は、取消理由通知に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載された申立理由に記載した申立理由によっては取り消すことはできない。 また、他に特許第7287900号の請求項18~34、37~39についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701280

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