特許異議申立
2023-701113
LED照明装置
- 審判番号
- 2023-701113
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-039297
- 登録番号
- 7260146
- 請求日
- 2023年10月18日
- 審決日
- 2024年01月23日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】アイリスオーヤマ株式会社
- 【権利者代理人】吉田 稔
- 【権利者代理人】田中 達也
- 【権利者代理人】鈴木 泰光
- 【権利者代理人】臼井 尚
- 【権利者代理人】鈴木 伸太郎
- 【権利者代理人】小淵 景太
- 【権利者代理人】齊藤 智和
- 【異議申立人】坂井 弘人
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 覚
- 審判官 八木 誠
- 審判官 北中 忠
- 分類
- P1651.121-Y (F21K) / P1651.537-Y (F21K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7260146号発明「LED照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7260146号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7260146号の請求項1~3に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成31年3月5日に出願され、令和5年4月10日に特許権の設定登録がされ、同年4月18日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~3に係る特許に対し、同年10月18日に、特許異議申立人坂井弘人(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明3」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
長手方向に配列された複数のLEDと、
前記複数のLEDを覆う透光性を有するカバーと、を備えたLED照明装置であって、
それぞれの機能が異なる第1モジュールおよび第2モジュールを、前記カバーの長手方向端部に選択的に取付可能であり、
前記カバーは、互いの長さが異なる複数の前記カバーから選択されることを特徴とする、LED照明装置。
【請求項2】
前記第1モジュールおよび第2モジュールのそれぞれは、外部の給電部に取り付けるための共通の口金を有する、請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記第1モジュールおよび前記第2モジュールのそれぞれは、前記口金に係合することにより前記口金の位置決めに用いられるリブを有する、請求項2に記載のLED照明装置。」
第3 申立理由の概要
申立人は、甲第1号証~甲第7号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲7」という。)を提出して、以下の申立理由により請求項1~3に係る特許を取り消すべきである旨主張する。
1 証拠方法
甲1:特開2015-133311号公報
甲2:特開2014-110239号公報
甲3:特開2019-29341号公報
甲4:特開2019-33105号公報
甲5:特開2014-175275号公報
甲6:特開2016-197602号公報
甲7:国際公開第2010/018682号
2 特許異議申立理由
(1)特許異議申立理由1(進歩性)
本件発明1~3は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び周知技術(甲3~7)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(2)特許異議申立理由2(サポート要件)
本件発明3は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、請求項3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 甲号証の記載事項等
(1)甲1について
ア 記載事項
甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。
「【0025】
<照明装置>
照明装置150は、照明部156と、収容部157と、両端部に設けられている口金152,154と、接続端子153,155とを有する。照明部156と収容部157とは、図6に示すように、着脱可能に設けられている。なお、照明装置150全体の大きさ及び形状、口金152,154の形状等は、照明装置150が設置される国等の照明の規格に則って設けられてもよく、以下で説明する形状等に限られるものではない。
【0026】
照明部156は、構造体158と、透光性カバー151と、収容部157側の端部に設けられている雄ねじ構造159と、雄ねじ構造159の先端面に設けられている接続端子161とを有し、図6には不図示の光源を内部に収容している。構造体158は、例えば熱伝導率の高いマグネシウム合金等で形成される。透光性カバー151は、例えばアクリル樹脂等の樹脂材料で形成され、光源からの光を透過する。」
「【0030】
接続端子153,155は、照明装置150が照明器具本体130に取り付けられた時に、照明器具本体130の給電端子132,134に接続して電力の供給を受ける。あるいは、接続端子153,155の何れか一方のみが、給電端子132,134の何れか一方から電力の供給を受けてもよい。照明部156の内部に設けられている光源は、接続端子153,155から供給される電力により発光し、透光性カバー151を介して外部に光を照射する。また、収容部157に設けられている二次電池は、接続端子153,155から供給される電力を蓄える。
【0031】
<照明装置の構成>
図7は、本発明の一実施形態における照明装置150の構成例を示す断面概略図である。図7に示す様に、照明装置150の照明部156は、内部に複数のLED素子163が配列された基板164と、第一の無線通信器165と、第一の無線通信モジュール166と、電源モジュール167と、CPUモジュール172とを有する。また、収容部157は、第二の無線通信器168と、第二の無線通信モジュール169と、二次電池170とを有する。」
「【0039】
さらに、照明装置150は、収容部157が交換されてもよい。二次電池170が繰り返し充放電することで劣化した場合には、継続して使用可能なLED素子163を含む照明部156を残し、収容部157のみを交換することで、照明装置150として使用し続けることが可能になっている。
【0040】
この様に、本実施形態における照明装置150では、二次電池170がLED素子163を含む照明部156に着脱可能な収容部157に設けられることで、熱による二次電池170の劣化が低減される。また、二次電池170が劣化した場合には収容部157のみを交換できるため、LED素子163等を含む照明部156は継続して使用することが可能であり、ランニングコスト及び環境への負荷が低減されている。
【0041】
なお、第一の無線通信器165及び第一の無線通信モジュール166を収容部157に設け、第二の無線通信器168及び第二の無線通信モジュール169を照明部156に設けてもよい。
【0042】
また、図8に示すように、収容部157には、第二の無線通信器168、第二の無線通信モジュール169及び二次電池170に加えて、第一の無線通信器165、第一の無線通信モジュール166、電圧変換モジュール171、CPUモジュール172が設けられてもよい。第一の無線通信器165及び第二の無線通信器168は、照明部156に設けられるとLED素子163から照射される光を遮る可能性があるが、収容部157に設けられることで、LED素子163の光を遮ることが無い。
【0043】
さらに、図9に示すように、収容部157に、LED素子163からの光を反射する光反射部材174を設けてもよい。この場合には、照明部156及び収容部157のそれぞれの連結部分は、透光性の材料により形成される。照明装置150は、光反射部材174がLED素子163からの光を反射することで、より広範囲に光を照射することが可能になる。」
「【図6】
[図:0001406753000001.jpg]
」
「【図7】
[図:0001406753000002.jpg]
」
イ 認定事項
(ア)【0031】及び図7の記載によれば、基板164は、複数のLED素子163が長手方向に配列されたものであると認められる。
(イ)【0030】、【0031】、図6及び7の記載によれば、透光性カバー151は、複数のLED素子163を覆うものであると認められる。
(ウ)【0026】及び図6の記載によれば、収容部157は、照明部156の端部に着脱可能に設けられていることが認められる。
ウ 甲1発明
上記ア及びイを総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数のLED素子163が長手方向に配列された基板164と、複数のLED素子163を覆う透光性カバー151とを有する照明部156と、
収容部157と、を有する照明装置150であって、
収容部157は、照明部156の端部に着脱可能に設けられている、照明装置150。」
2 特許異議申立理由についての判断
(1)特許異議申立理由1(進歩性)
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「LED素子163」は、前者の「LED」に相当し、以下同様に、「透光性カバー151」は「透光性を有するカバー」に、「照明装置」は「LED照明装置」に、「着脱可能に設けられている」ことは「取付可能であ」ることに、それぞれ相当する。
b 上記aを踏まえると、後者の「複数のLED素子163が長手方向に配列された基板164と、複数のLED素子163を覆う透明性カバー151とを有する照明部156」「を有する照明装置150」は、前者の「長手方向に配列された複数のLEDと、前記複数のLEDを覆う透光性を有するカバーと、を備えたLED照明装置」に相当する。
c 後者の「収容部157」は、照明部156の端部に着脱可能に設けられているから、前者の「第1モジュールおよび第2モジュール」と、「モジュール」という点で共通し、後者の「照明部156の端部」は、前者の「前記カバーの長手方向端部」と、「照明部材の長手方向端部」という点で共通するから、上記aも踏まえると、後者の「収容部157は、照明部156の端部に着脱可能に設けられている」ことは、前者の「それぞれの機能が異なる第1モジュールおよび第2モジュールを、前記カバーの長手方向端部に選択的に取付可能であ」ることと、「モジュールを、照明部材の長手方向端部に取付可能である」という点で共通する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「長手方向に配列された複数のLEDと、
前記複数のLEDを覆う透光性を有するカバーと、を備えたLED照明装置であって、
モジュールを、照明部材の長手方向端部に取付可能である、LED照明装置。」
(相違点1)
モジュールについて、本件発明1では、「それぞれの機能が異なる第1モジュールおよび第2モジュールを、前記カバーの長手方向端部に選択的に」取付可能であるのに対し、甲1発明では、照明部156の端部に着脱可能に設けられている点。
(相違点2)
カバーについて、本件発明1では、「互いの長さが異なる複数の前記カバーから選択される」のに対し、甲1発明では、そのような特定はない点。
(イ)相違点についての判断
まず、相違点1について検討する。
甲1(特に、【0039】~【0043】等参照。)には、収容部157について、内部に収容する二次電池が劣化した場合、収容部157のみを交換することで、ランニングコストや環境への負荷を低減できることや、収容部157には、様々な機能を有する手段を収容可能であることは記載されているが、それぞれの異なる機能を有する収容部157を用意して、照明部156に選択的に取付可能とすることについては、記載も示唆も見いだせない。
そして、甲2~7にも、相違点1に係る本件発明1の構成について、記載も示唆も見いだせない。
したがって、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点2を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の全ての構成を含み、かつ、更なる限定を加えたものであるから、上記ア(イ)で説示したのと同様の理由により、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ まとめ
以上によれば、特許異議申立理由1は成り立たない。
2 特許異議申立理由2(サポート要件)
申立人は、特許異議申立書(15ページ参照)において、請求項3に記載された「口金の位置決め」には、長手方向を回転軸として回転方向に位置ずれすることを回避するための位置決めと、長手方向に沿った位置決めが含まれるところ、発明の詳細な説明には、前者の位置決め(【0083】参照)しか記載されていないから、本件発明3は、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。
しかしながら、以下に示す図6には、人感センサモジュール5のリブ5114に口金7の凹部712が長手方向において当接していることが看取され、【0083】の記載や、凹部712は口金7の長手方向の端部に設けられていること(以下に示す図8を参照。)も勘案すると、当業者であれば、図6、8等には、口金7はリブ5114によって長手方向でも位置決めされていることが記載されていると認識できると認められる。
よって、申立人の上記主張は、当を得たものとはいえず、採用できない。
以上によれば、特許異議申立理由2も成り立たない。
「【図6】
[図:0001406753000003.jpg]
」
【図8】の一部
[図:0001406753000004.jpg]
第5 むすび
以上によれば、申立人が示した特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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