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特許異議申立

2023-701112

保持パッド及びその製造方法

審判番号
2023-701112
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-062568
登録番号
7269062
請求日
2023年10月18日
審決日
2024年07月16日
公報発行日
2024年10月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】富士紡ホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】田中 伸一郎
  • 【権利者代理人】須田 洋之
  • 【権利者代理人】山崎 一夫
  • 【権利者代理人】市川 さつき
  • 【権利者代理人】服部 博信
  • 【権利者代理人】松田 七重
  • 【権利者代理人】佐々木 康匡
  • 【異議申立人】芳野 理之
審判長/審判官
  • 審判長 刈間 宏信
  • 審判官 菊地 牧子
  • 審判官 鈴木 貴雄
分類
P1651.113-YAA(B24B) / P1651.121-YAA(B24B) / P1651.536-YAA(B24B) / P1651.537-YAA(B24B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7269062号発明「保持パッド及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7269062号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、10について訂正することを認める。 特許第7269062号の請求項1~10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7269062号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成31年3月28日に出願され、令和5年4月25日にその特許権の設定登録がされ、同年5月8日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許について、令和5年10月18日に特許異議申立人 芳野 理之(以下「申立人」という。)により特許異議の申立て(以下「申立」という。)がされ、当審は、令和6年2月7日付けで取消理由を通知し(取消理由を通知した取消理由通知書を以下単に「取消理由通知」という。)、同年3月13日~19日に特許権者富士紡ホールディングス株式会社(以下「特許権者」という。)の代理人と電話及び電子メールによる応対を行った。 そして、特許権者は、取消理由通知の指定期間内である令和6年4月12日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、令和6年5月1日に当該訂正の請求に係る訂正請求書の方式上の不備を補正する手続補正書(以下、この手続補正書により補正された訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。)を提出した。 なお、令和6年5月14日付けで申立人に対して訂正請求があった旨を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からの応答はなかった。 第2 本件訂正の適否について 1 請求項1~9に係る訂正 本件訂正のうち、請求項1~9に係る訂正は、以下のとおりである(なお、下線部は、訂正箇所について特許権者が付したものである。)。 (1)訂正事項1 請求項1に、「色差が50以下である」とあるのを、「色差が10.9以下である」に訂正する。 (2)訂正事項2 請求項1に、 「前記ポリウレタンシートが、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂、カーボンブラック、コハク酸誘導体、及びフッ素系撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない」と記載されているのを、 「前記ポリウレタンシートが、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂、カーボンブラック、コハク酸誘導体、及びフッ素系撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない(但し、前記ポリウレタンシートは、孔形成剤としてのポリオールを含むものを除く)」に訂正する。 (3)訂正事項3 請求項5に、 「ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸誘導体を0.1~5.0質量部の割合で含む」と記載されているのを、 「ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸誘導体を1.5~3.0質量部の割合で含む」に訂正する。 (4)訂正事項4 請求項6の、「請求項1~5のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法であって、」の後に、 「前記ポリウレタン樹脂を含む溶液が、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂、カ-ボンブラック、コハク酸誘導体、及びフッ素系撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない溶液であり(但し、前記ポリウレタン樹脂を含む溶液は、孔形成剤としてのポリオールを含むものを除く)、」との限定を追加する。 (5)訂正事項5 請求項6に、「色差が50以下である」とあるのを、「色差が10.9以下である」に訂正する。 (6)訂正事項6 請求項8に、 「ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸誘導体を0.1~5.0質量部の割合で添加する」と記載されているのを、 「ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸誘導体を1.5~3.0質量部の割合で添加する」に訂正する。 (7)一群の請求項についての説明 本件訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1~2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正前の請求項1~9に対応する本件訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 請求項10に係る訂正 訂正事項7 請求項10に、「前記色差が50以下である」とあるのを、「前記色差が10.9以下である」に訂正する。 3 訂正の適否 (1)訂正事項1、5、7 ア 訂正の目的について 訂正事項1、5、7は、本件訂正前の請求項1、6、10における「色差」の数値範囲を、本件訂正前の「50以下」との範囲から、「10.9以下」に限定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1、5、7は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件の願書に添付した明細書の段落【0057】における【表1】には、「実施例2」における色差が「10.9」である旨が記載されており、また、段落【0019】には色差が低い方が好ましい旨が記載されているから、色差を10.9以下とする訂正事項1、5、7は、本件の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1において、「ポリウレタンシート」から、「孔形成剤としてのポリオールを含むもの」を除くことにより、「ポリウレタンシート」を限定して特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、取消理由通知において引用された特開2014-30863号公報(甲第1号証)に記載された、「孔形成剤としてのポリオール」(甲第1号証の段落【0027】)を含む場合を、いわゆる「除くクレーム」として除くものであって、当該場合を除くことにより、本件明細書等から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3、6 ア 訂正の目的について 訂正事項3、6は、本件訂正前の請求項5、8におけるコハク酸誘導体の割合を、本件訂正前の「0.1~5.0質量部」との範囲から、「1.5~3.0質量部」に限定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3、6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件明細書等の段落【0021】には、「本発明の保持パッドは、ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸又はコハク酸誘導体を・・・さらにより好ましくは1.5~3.0質量部・・・の割合で含む溶液を凝固浴処理して得られるポリウレタンシートを含むことが好ましい。」と記載されているから、訂正事項3、6は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正事項4は、本件訂正前の請求項6における「ポリウレタン樹脂を含む溶液」について、「前記ポリウレタン樹脂を含む溶液が、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂、カ-ボンブラック、コハク酸誘導体、及びフッ素系撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない溶液であり(但し、前記ポリウレタン樹脂を含む溶液は、孔形成剤としてのポリオールを含むものを除く)」との限定を追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4のうち、「前記ポリウレタン樹脂を含む溶液が、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂、カ-ボンブラック、コハク酸誘導体、及びフッ素系撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない溶液であり」との事項については、本件明細書等の段落【0023】、【0052】、【0053】に記載されている事項である。 また、訂正事項4のうち、「(但し、前記ポリウレタン樹脂を含む溶液は、孔形成剤としてのポリオールを含むものを除く)」との事項については、上記(2)で述べた訂正事項2と同様に、取消理由通知において引用された甲第1号証に記載された、「孔形成剤としてのポリオール」を含む場合を、いわゆる「除くクレーム」として除くものであって、当該場合を除くことにより、本件明細書等から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項4は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 4 独立特許要件 本件特許の全請求項(請求項1~10)について申立がされているので、訂正事項1~7について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 5 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~9〕、10について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるところ、本件訂正により訂正された請求項1~10に係る発明(以下「本件発明1」などという。また、請求項1~10に係る発明を総合して「本件発明」という場合がある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された次の事項により特定されるものである。 「【請求項1】 複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを有する保持パッドであって、 前記ポリウレタンシートの一部を、平均一次粒子径1.0μmの酸化セリウムを10質量%含む、水と酸化セリウムの混合液スラリー中に45℃で24時間浸漬したときの前記ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差が10.9以下である、 前記ポリウレタンシートが、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂、カーボンブラック、コハク酸誘導体、及びフッ素系撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない(但し、前記ポリウレタンシートは、孔形成剤としてのポリオールを含むものを除く)、前記保持パッド。 【請求項2】 前記ポリウレタンシートを構成するポリウレタン樹脂が実質的にウレア結合を含まない、請求項1に記載の保持パッド。 【請求項3】 前記ポリウレタンシートが、ポリウレタン樹脂100質量部に対して1~50質量部の量のカーボンブラックを含む、請求項1または2に記載の保持パッド。 【請求項4】 前記ポリウレタンシートは、その保持面側にスキン層を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の保持パッド。 【請求項5】 ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸誘導体を1.5~3.0質量部の割合で含む溶液を凝固浴処理して得られるポリウレタンシートを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の保持パッド。 【請求項6】 ポリウレタン樹脂を含む溶液を調製する工程、 ポリウレタン樹脂を含む溶液を凝固液に浸漬してポリウレタン樹脂を凝固させ、ポリウレタンシートを得る工程、 を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法であって、 前記ポリウレタン樹脂を含む溶液が、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂、カーボンブラック、コハク酸誘導体、及びフッ素系撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない溶液であり(但し、前記ポリウレタン樹脂を含む溶液は、孔形成剤としてのポリオールを含むものを除く)、 前記ポリウレタンシートは、前記ポリウレタンシートの一部を平均一次粒子径1.0μmの酸化セリウムを10質量%含む、水と酸化セリウムの混合液スラリー中に45℃で24時間浸漬したときの浸漬部と非浸漬部の色差が10.9以下である、前記製造方法。 【請求項7】 前記ポリウレタン樹脂が実質的にウレア結合を含まない、請求項6に記載の製造方法。 【請求項8】 ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸誘導体を1.5~3.0質量部の割合で添加する工程を含む、請求項6又は7に記載の製造方法。 【請求項9】 前記ポリウレタン樹脂の100質量%に対し、フッ素系撥水剤を0.5~5.0質量%を添加する工程を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法。 【請求項10】 被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを含む保持パッドの製造方法であって、 前記ポリウレタンシートの一部を、平均一次粒子径1.0μmの酸化セリウムを10質量%含む、水と酸化セリウムの混合液スラリー中に45℃で24時間浸漬し、浸漬部と非浸漬部の色差を測定する工程、及び 前記色差が10.9以下である保持パッドを選別する工程、 を含み、 前記ポリウレタンシートが、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂、カーボンブラック、コハク酸誘導体、及びフッ素系撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない、前記保持パッドの製造方法。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~10に係る特許に対して、当審が令和6年2月7日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)取消理由1(サポート要件)本件訂正前の請求項1~10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (2)取消理由2(進歩性)本件訂正前の請求項1~9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内または外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証~甲第5号証に例示される周知の技術的事項)に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <証拠方法> 以下の甲第1号証~甲第5号証は、申立人が証拠方法として提出したものである。 甲第1号証:特開2014-30863号公報 甲第2号証:特開2006-62059号公報 甲第3号証:特開2017-177314号公報 甲第4号証:特開2000-336545号公報 甲第5号証:再公表WO2015/046203号公報 (以下、甲第1号証~甲第5号証を、それぞれ「甲1」~「甲5」という。) 2 取消理由1(サポート要件)について (1)取消理由1の具体的な内容 本件訂正前の請求項1、6、10には、「ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差が50以下である」旨の数値範囲が記載されている一方で、発明の詳細な説明においては、本件発明の課題を解決するものとして記載されているのは、色差が5.5(実施例1)、10.9(実施例2)との2つの実施例において研磨枚数が1300枚であったことのみであるから、研磨枚数がどの程度であれば発明の課題を解決しているといえるのか、評価の基準を把握することができず、また、本件訂正前の請求項に記載された色差の全ての範囲において発明の課題を解決できると当業者が認識できる程度に記載されているとはいえない。 (2)判断 本件発明1~10について、取消理由1(サポート要件)について改めて検討した判断を以下に示す。 本件発明の課題は、特に段落【0004】、【0007】~【0009】の記載からみて、保持面の被研磨物周縁部に発生するスラリー凝集に起因する保持力の低下や、スクラッチや研磨ムラなどの欠点を抑制すること、及び、保持面の被研磨物周縁部に発生するスラリー凝集を抑制することで製品寿命を向上させることと理解できる。 そして、本件訂正により、請求項1、6、10における「色差」の数値範囲が「10.9以下」と限定されたところ、この「10.9」との色差の数値は、段落【0051】~【0061】において、スラリー凝集を抑制しているものとして示された実施例2における値である。更に、色差が5.5とより小さい実施例1においても、スラリー凝集が抑制された旨が記載されている。したがって、「色差が10.9以下」との数値範囲であれば、上述の発明の課題を解決することができると認識できる。 以上から、本件発明1、6、10は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものとはいえないから、請求項1、6、10に係る特許は、取消理由1(サポート要件)により取り消すことはできない。請求項1、6を引用する請求項2~5、7~9に係る特許についても同様である。 3 取消理由2(進歩性)について 本件発明1~9について、取消理由2(進歩性)について改めて検討した判断を以下に示す。 (1)甲1に記載されている事項 甲1には次の記載がある(下線部は当審で付与した。)。 「【0010】 しかしながら、特許文献1記載の保持材では、ウレタン樹脂と相溶性のないセルロース誘導体を孔形成剤として用いるため、セルロース誘導体の添加により保持材のエアの咬み込みは減っても、ポリウレタン樹脂組成物の溶液内での液分離や、成膜用基材への塗布工程において、塗布ムラを生じていた。この相溶性のないことによるこれらの欠点を是正するため、ポリウレタン樹脂組成物、成膜助剤や添加剤の調合を変えるが、それらの調合を変えた場合、必要なセルロース誘導体量を充分添加出来ず、エアの咬み込みを充分減らすことが出来なかった。 【0011】 特許文献2記載の保持材では、水分・スラリーの保持材内部への浸透を阻止するが、エアも阻止されるため、保持面と被研磨物の間にエア咬みを発生し、研磨ムラが生じ易くなる。 【0012】 本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、孔形成剤によるポリウレタン樹脂組成物の溶液内での液分離や、成膜用基材への塗布工程においての塗布ムラ等のない、柔軟性を有する、保持面におけるエアの咬み込みのない、保持材を課題としている。 【0013】 上記の課題を解決するための、第1の手段は、 湿式成膜法により製造されるポリウレタン樹脂を主体とする複合体シートの片面研磨用保持材において、前記複合体シートを作成する発泡用溶液に添加された、前記樹脂と相溶性の良い孔形成剤の融解により、その発泡用溶液中の溶剤と凝固液との置換により形成された被研磨物を保持する面の多孔が開孔し、エア収納孔を形成していることを特徴とする片面研磨用保持材を構成としたものである。 第2の解決手段は、 前記孔形成剤がポリオールであることを特徴とする請求項1に記載の片面研磨用保持材を構成としたものである。・・・」 「【0018】 本発明の片面研磨用保持材は、発泡層と緻密な発泡による表面部分を有するポリウレタン樹脂を主剤とする複合体シートが用いられる。 【0019】 この発泡層は、いわゆる湿式成膜法により作製することができる。すなわち、例えばポリウレタン樹脂を主剤とした凝固成分を水混和性の有機溶剤に溶解させた複合組成物(発泡用溶液)を成膜用基材に塗布し、次いで複合組成物を塗布した成膜用基材を水、または水とジメチルホルムアミド(DMF)混合溶液中に浸漬して凝固成分を凝固させることにより発泡層を作製することができる。」 「【0024】 さらに前記複合組成物には、保持面の孔径拡大のための添加剤として、ポリウレタンエラストマーと相溶性のある孔形成剤を添加する。 【0025】 孔形成剤としてはポリオールを用いることができる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。 また、その硬度については、目的とする保持材の圧縮変形量等を鑑み、適宜選択、調整する。」 「【実施例】 【0044】 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。 <実施例1> 【0045】 固形分濃度30%のポリエステル系ポリウレタンエラストマー溶液100質量部に、ジメチルホルムアミド60質量部、撥水剤0.5質量部、オクチルスルホコハク酸ナトリウム1.5質量部、カーボンブラックを20質量%含有するジメチルホルムアミド分散液15質量部およびポリエチレンアジペート2.3質量部を加え、ポリウレタンエラストマー塗布液(発泡用溶液)を得た。 【0046】 得られた塗布液を成膜用基材にロールコーターで1,000g/m2塗布した後、凝固浴の中に浸漬して凝固させ、温水で十分に脱溶媒した後、成膜用基材を剥離させ100℃、240秒間、熱風乾燥を行った。 【0047】 次に、複合体シートをベルトサンダ装置にて表面層の反対側の面から50μm研削し、厚さ550μmとした保持材を得た。さらにこの研削面に研磨装置の保持定盤に取り付けるための、平坦性の高いPETフィルム等の樹脂シートの両面に粘着剤を付けた両面テープを貼り付ける。この両面テープは研削加工により反対側面の発泡が開口した複合体シートの脆弱化を補い、研磨圧力による保持材の変形を防ぐ基材として作用する。」 (2)甲1の記載から理解できる事項 ア 甲1の段落【0013】、【0018】、【0019】の記載から、甲1に記載された片面研磨用保持材は、湿式成膜法により製造されるポリウレタン樹脂を主体とする複合体シートからなるものであって、被研磨物を保持するための保持面を有することが理解できる。 イ 甲1の段落【0045】には、実施例1として、固形分濃度30%のポリエステル系ポリウレタンエラストマー溶液100質量部に、撥水剤0.5質量部、オクチルスルホコハク酸ナトリウム1.5質量部、及び、カーボンブラックを20質量%含有するジメチルホルムアミド分散液15質量部を加えて複合体シートを得ることが記載されている。これらの量をポリウレタン樹脂100質量部に対する量に換算すると、撥水剤は1.7質量部(=0.5質量部÷0.3)、オクチルスルホコハク酸ナトリウムは5質量部(=1.5質量部÷0.3)、カーボンブラックは10質量部(=15質量部×0.2÷0.3)の量となる。 ウ 甲1の段落【0045】に記載された実施例1は、ポリビニル系化合物を含んでいないことが理解できる。 エ 甲1の段落【0013】、【0024】~【0025】、【0045】から、甲1の実施例1として記載された複合体シートは、孔形成剤としてのポリオールであるポリエチレンアジペートを含むことが理解できる。 (3)甲1発明 上記(1)~(2)から、甲1には以下に示す発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているということができる。 <甲1発明> 「湿式成膜法により製造される、被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタン樹脂を主体とする複合体シートを有する片面研磨用保持材であって、 前記複合体シートが、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、カーボンブラック、オクチルスルホコハク酸ナトリウム、及び撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まないものであって、 前記ポリエステル系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、カーボンブラックを10質量部、オクチルスルホコハク酸ナトリウムを5質量部、撥水剤を1.7質量部含み、 前記複合体シートは、孔形成剤としてのポリオールであるポリエチレンアジペートを含む、 前記片面研磨用保持材。」 (4)対比 甲1発明における「ポリウレタン樹脂を主体とする複合体シート」、「片面研磨用保持材」、「オクチルスルホコハク酸ナトリウム」は、それぞれ、本件発明1における「ポリウレタンシート」、「保持パッド」、「コハク酸誘導体」に相当する。 また、本件発明1における「複数の涙形状気泡を有し」との事項に関して、本件明細書等の段落【0015】には「従って、本発明の複数の涙形状気泡を有するポリウレタンシートは、湿式成膜法により形成されたポリウレタンシートと言い換えることができる。」と記載されている。してみると、甲1発明における複合体シートは湿式成膜法により製造されるものであるから、本件発明1と同様の涙形状気泡を有するといえる。 更に、甲1発明の「ポリエステル系ポリウレタン樹脂」と、本件発明1の「ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂」は、「ポリエステル系ポリウレタン樹脂」という限りで一致し、同様に、「撥水剤」と「フッ素系撥水剤」は、「撥水剤」という限りで一致する。 以上を踏まえて、本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下の一致点で一致し、相違点1~4で相違する。 (一致点) 「複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを有する保持パッドであって、 前記ポリウレタンシートが、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、カーボンブラック、コハク酸誘導体、及び撥水剤を含み、ポリビニル系化合物を含まない、前記保持パッド。」 (相違点1) 本件発明1のポリエステル系ポリウレタン樹脂は、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂であるのに対して、甲1発明のポリエステル系ポリウレタン樹脂は、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂であるか不明である点。 (相違点2) 本件発明1の撥水剤は、フッ素系のものであるのに対し、甲1発明の撥水剤は、フッ素系のものであるか不明である点。 (相違点3) 本件発明1は、「前記ポリウレタンシートの一部を、平均一次粒子径1.0μmの酸化セリウムを10質量%含む、水と酸化セリウムの混合液スラリー中に45℃で24時間浸漬したときの前記ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差が10.9以下である」のに対して、甲1発明においては当該色差が不明である点。 (相違点4) 本件発明1のポリウレタンシートは、孔形成剤としてのポリオールを含むものを除くものであるのに対して、甲1発明のポリウレタンシート(複合体シート)は、孔形成剤としてのポリオールであるポリエチレンアジペートを含むものである点。 (5)判断 事案に鑑み、相違点3及び4について検討する。 ア 相違点3について (ア)本件特許の明細書の段落【0019】における「例えば、保持パッドに整泡剤や成膜助剤として用いられる界面活性剤や疎水剤、親水剤、油分等の添加剤にはスラリーの凝集を促進させる場合があるため、その場合は添加量を減らす、又は変更することで色差を低くすることができる傾向にある。」との記載、段落【0022】における「親水性界面活性剤の添加量やコハク酸又はコハク酸誘導体の割合が上記範囲内であると、色差を50以内に制御しやすくなる。」との記載、段落【0026】における「撥水剤の添加量が上記範囲内であると、保持パッド内部へのスラリー吸収を抑えつつ、十分な成膜性及び保持面形成能を確保することが出来る。」との記載等から、本件発明1は、ポリウレタン樹脂に添加する各成分の添加量を適切な範囲に調整することで、色差を調整するものと認識できる。 (イ)そして、本件特許の明細書の段落【0051】~【0057】に記載された実施例1及び2は、ポリウレタン樹脂に添加する各成分の添加量を、以下に抜粋した【表1】に示された量とすることにより、色差の値を5.5(実施例1)及び10.9(実施例2)とするものと認識できる。 【表1】 [図:0001415289000001.jpg] (ウ)上記【表1】において示された実施例1及び2の各成分の添加量と、甲1発明における添加量とを比較すると、コハク酸誘導体(甲1発明のオクチルスルホコハク酸ナトリウム)の量が、実施例1及び2においては甲1発明の半分以下の量(実施例1及び2では2.3質量部、甲1発明では5質量部)であり、同様に、カーボンブラックについては2倍の量(実施例1及び2では20質量部、甲1発明では10質量部)であり、撥水剤については2倍程度(実施例1及び2では3.3質量部、甲1発明では1.7質量部)であるから、両者における各成分の添加量は相当程度異なると認められる。そして、本件発明1の「色差が10.9以下」という数値は、実施例1及び2の色差の数値であるから、上記の各成分を実施例1及び2と同程度に添加した結果として発現するものと解するほかない(上記(イ))。してみると、甲1発明において、本件発明1と同様に、「前記ポリウレタンシートの一部を、平均一次粒子径1.0μmの酸化セリウムを10質量%含む、水と酸化セリウムの混合液スラリー中に45℃で24時間浸漬したときの前記ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差が10.9以下」となる蓋然性が高いとはいえない。 (エ)更に、甲1発明において、各成分の添加量を本件特許の明細書における実施例1及び2と同程度の値に変更する動機があるとは認められない。 (オ)したがって、甲1発明において、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 イ 相違点4について 甲1の段落【0010】~【0012】の記載から、甲1に記載された技術は、孔形成剤によるポリウレタン樹脂組成物の溶液内での液分離や、成膜用基材への塗布工程においての塗布ムラ等のない、柔軟性を有する、保持面におけるエアの咬み込みのない片面研磨用保持材を得ることを課題としていることが理解できる。そして、当該課題を解決するために、段落【0013】、【0024】~【0025】、【0045】等には、ポリウレタン樹脂と相溶性の良い孔形成剤としてポリオールを添加する旨が記載されており、甲1の記載全体をみても、孔形成剤としてポリオール以外のものを使用する旨は記載されていない。 そうすると、甲1においては、ポリウレタン樹脂が孔形成剤としてのポリオールを含むことは、甲1に記載された課題を解決する上での必須の構成であると理解できるから、甲1に接した当業者が、甲1発明において、孔形成剤としてのポリオールを含むものを除くことを想起するとはいえない。 したがって、甲1発明において、相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものということはできない。 ウ 甲2~甲5について 甲2、甲3は、上記相違点1に関して、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂が本件特許出願前に周知の材料であったことを開示するのに留まり、甲4、甲5は上記相違点2に関して、フッ素系撥水剤が、撥水剤として周知のものであることを開示するのに留まるものであるから、甲2~甲5は上記相違点3及び4に係る本件発明1の構成を開示又は示唆するものではない。 (6)小括 上記(5)で述べたとおり、甲1発明において、相違点3及び4に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たこととはいえないから、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲5に例示される周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。本件発明2~9についても、本件発明1を引用するものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明及び甲2~甲5に例示される周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、請求項1~9に係る特許は、取消理由2(進歩性)により取り消すことはできない。 なお、本件発明10については、取消理由2(進歩性)については通知しておらず、申立人も進歩性に係る申立理由を主張していない。 第5 取消理由通知において採用しなかった申立理由について 1 申立理由の概要 取消理由通知において採用しなかった申立理由として、申立人は、特許異議申立書において、以下の申立理由1~2を主張した。 (1)申立理由1(新規性、特許異議申立書17ページ~35ページ) 本件訂正前の請求項1~9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由2(実施可能要件、特許異議申立書35ページ~37ページ) 本件訂正前の請求項1~10に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 申立理由1(新規性)について 申立理由1(新規性)について検討すると、上記第4の3(4)で述べたとおり、本件発明1と甲1発明とは、相違点1~4で相違するから、本件発明1は甲1発明ではない。本件発明2~9についても、本件発明1を引用するものであるから、甲1発明ではない。 したがって、請求項1~9に係る特許は、申立理由1(新規性)によって取り消すことはできない。 3 申立理由2(実施可能要件)について (1)申立理由2の具体的な内容 本件訂正前の請求項1、6、10においては、「色差が50以下」である旨が特定されていたところ、発明の詳細な説明においては、色差が5.5及び10.9との実施例1及び2について記載されるのみであり、どのようにして、「50以下」との全ての範囲となるように色差を調整できるのかについて、当業者が実施できる程度に十分に記載されていない。 (2)本件発明1~9に係る実施可能要件についての判断 上記第4の3(5)アにおいて述べたとおり、本件特許の明細書の段落【0019】、【0022】の記載等から、本件発明1、6は、ポリウレタン樹脂に添加する各成分の添加量を適切な範囲に調整することで、色差を調整するものと認識できる。 そして、本件訂正により、請求項1、6における「色差」の数値範囲が「10.9以下」と限定されたところ、この「10.9」との色差の数値は、発明の詳細な説明に記載された実施例2における値であって、段落【0053】、【0057】の【表1】において、実施例2についてポリウレタン樹脂に添加する各成分の添加量が具体的に記載されている。また、段落【0052】及び同【表1】には、色差が5.5と更に小さくなる実施例1についても、各成分の添加量が具体的に記載されている。 これらの記載から、当業者であれば、「色差が10.9以下」となる保持パッドを製造するための具体的な配合量を把握することができるから、本件発明1~9を過度な試行錯誤を要することなく実施できるといえる。 (3)本件発明10に係る実施可能要件についての判断 本件発明10は、「前記ポリウレタンシートの一部を、平均一次粒子径1.0μmの酸化セリウムを10質量%含む、水と酸化セリウムの混合液スラリー中に45℃で24時間浸漬し、浸漬部と非浸漬部の色差を測定する工程」と、「前記色差が10.9以下である保持パッドを選別する工程」を含む製造方法であるから、被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを含むような保持パッドの色差を測定し、色差が10.9以下となる保持パッドを選別することによって保持パッドを製造するものである。 そして、色差を測定する工程については、発明の詳細な説明における段落【0018】において十分に開示されているから、本件発明10に係る製造方法は、過度の試行錯誤を要することなく実施できるといえる。 (4)小括 以上述べたとおり、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1~10を実施し得る程度に明確かつ十分に記載されているから、請求項1~10に係る特許は、申立理由2(実施可能要件)によって取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人が特許異議申立書に記載した申立理由によっては、本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701112

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