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特許異議申立

2023-701035

O/W型乳化組成物

審判番号
2023-701035
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-056117
登録番号
7246987
請求日
2023年09月28日
審決日
2024年04月26日
公報発行日
2024年08月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日本精化株式会社
  • 【異議申立人】宮嶋 文子
審判長/審判官
  • 審判長 瀬良 聡機
  • 審判官 野田 定文
  • 審判官 松元 麻紀子
分類
P1651.537-YAA(A61K) / P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.536-YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7246987号発明「O/W型乳化組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7246987号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、〔3、4〕について訂正することを認める。 特許第7246987号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7246987号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成31年3月25日の出願であって、令和5年3月17日にその特許権の設定登録がされ、同年同月28日に特許掲載公報が発行された。その後、全請求項に係る特許について、令和5年9月28日に、特許異議申立人 宮嶋 文子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審合議体は、同年12月12日付けで取消理由を通知した。これに対し、特許権者は、その指定期間内である令和6年2月1日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。そして、同年同月16日付けで訂正の請求があった旨の通知が申立人にされ、申立人は同年3月18日に意見書を提出した。 第2 訂正の適否についての判断 1 請求の趣旨及び訂正の内容 令和6年2月1日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、「特許第7246987号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める。」というものであり、その内容は以下の訂正事項1及び2のとおりである(下線は訂正による変更箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 本件訂正前の請求項1に、 「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分」 と記載されているのを、 「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」 と訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。 (2) 訂正事項2 本件訂正前の請求項3に、 「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分」 と記載されているのを、 「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」 と訂正する。 請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1及び2において、請求項2は、請求項1の記載を直接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1及び2に対応する本件訂正後の請求項1及び2は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 本件訂正前の請求項3及び4において、請求項4は、請求項3の記載を直接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項3及び4に対応する本件訂正後の請求項3及び4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 したがって、訂正事項1及び2による本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。 3 訂正の目的の適否 (1) 訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1に記載の「成分(B)」である「油性成分」について、「水溶性成分を含む両親媒性成分」を除外することによって、「成分(A)」や「水溶性成分」等との違いを明らかにし、結果として、「成分(B)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」の算出を明確化するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2も、訂正事項1と同様に、請求項3に記載の「成分(B)」である「油性成分」について、「水溶性成分を含む両親媒性成分」を除外することによって、「成分(A)」や「水溶性成分」等との違いを明らかにし、結果として、「成分(B)の含有量」の算出を明確化するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 4 新規事項の追加の有無 (1) 訂正事項1について 本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下「本件明細書等」という。)には、「成分(B1)及び(B2)」以外の「成分(B)」についての一般的な説明(摘記(A))、及び、「O/W型乳化組成物」の実施例の一部及び比較例(摘記(B))として、以下の記載がある(以下、下線は当審合議体が付与したものであり、「・・・」は記載の省略を表す。)。 摘記(A) 「【0017】 本発明の成分(B)には、上記で記載した成分(B1)、(B2)以外の油性成分を、本発明の効果を損ねない範囲で含有してもよい。例えば、使用感や保湿性を付与する目的で半固形油、固形油、高粘性油等の油剤;酸化安定性を向上させる目的でビタミンE類等の油溶性の酸化防止剤;機能性を高める目的で油溶性の紫外線吸収剤や油溶性の生理活性成分などを添加してもよい。」 摘記(B) 「【実施例】 【0050】 以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。 【0051】 表1~5の組成で本発明の成分(A)~(C)を含有するO/W型乳化組成物を、下記の調製方法にて作製した。得られたO/W型乳化組成物について、初期乳化性と乳化安定性を下記の方法で評価した。結果は表1~5に併記した。 <調製方法> 成分(A)と、 成分(A)100重量部に対して25重量部の成分(C)を混合し、界面活性剤溶液を調製した。別容器にて成分(B1)と成分(B2)を攪拌混合し油相の混合液を調製した。得られた油相の混合液を、界面活性剤溶液に徐々に添加しながら、均一なゲル状になるまで混合した。得られたゲルに残りの成分(C)を攪拌しながら添加し、均一なO/W型乳化組成物とした。これらの工程は全て室温で行った。 <初期乳化性> 得られたO/W型乳化組成物について、顕微鏡にて観察し、下記の評価基準で初期乳化性を評価した。 ○・・・均一に乳化されている △・・・大きい油滴がわずかに観察されるが、ほぼ均一に乳化されている ×・・・大きい油滴が多く観察され、均一に乳化されていない <乳化安定性> 得られたO/W乳化組成物について、25℃で4週間静置した後、顕微鏡にて観察して、下記の評価基準で乳化安定性を評価した。 ○・・・均一に乳化されている △・・・大きい油滴がわずかに観察されるが、ほぼ均一に乳化されている ×・・・大きい油滴が多く観察され、均一に乳化されていない 【0052】 表1~5のO/W型乳化組成物を化粧料に配合し、得られた化粧料の経時安定性を下記の方法で評価した。結果は表1~5に併記した。 <化粧料配合後の経時安定性> 下記処方で2種類の化粧料(化粧水、ヘアトリートメント)を作製した。得られた化粧料100重量部に対して5重量部のO/W型乳化組成物を添加し、25℃で4週間静置後の外観を観察し、下記の評価基準で経時安定性を評価した。 (化粧水処方) 1,3-ブチレングリコール5重量%、グリセリン5重量%、カルボキシビニルポリマー0.1重量%、フェノキシエタノール0.4重量%、水酸化カリウム0.04重量%、精製水残余 (ヘアトリートメント処方) ステアルトリモニウムクロリド3.5重量%、セテアリルアルコール4重量%、プロピレングリコール3重量%。エタノール1.2重量%、フェノキシエタノール0.3重量%、精製水残余 ○・・・初期から外観に変化なし △・・・初期から外観がやや変化した ×・・・初期から外観が大きく変化した 【0053】 【表1】 [図:0001413337000001.jpg] ・・・ 【0055】 【表3】 [図:0001413337000002.jpg] 【0056】 【表4】 [図:0001413337000003.jpg] 【0057】 【表5】 [図:0001413337000004.jpg] 【0058】 表1~5の結果より、本発明の成分(A)~(C)を本発明の配合比率内で含有するO/W型乳化組成物は、初期乳化性及び乳化安定性に優れることが分かった。また本発明のO/W型乳化組成物は、化粧料に配合して希釈された後も良好な安定性を示すことが分かった。一方、本発明の配合比率外である組成物、例えば成分(B)中の(B1)含有量の多い比較例1、2の組成物や、組成物中の成分(B)含有量が多い比較例3の組成物では、安定な乳化組成物は得られなかった。」 請求項1において、「成分(B1)」及び「成分(B2)」として並列記載されている各成分には、「水溶性成分を含む両親媒性成分」に該当するものはなく、「成分(B1)及び(B2)」以外の「成分(B)」について、水溶性成分や両親媒性成分に関する一般的な記載はなく(摘記(A))、具体的な「O/W型乳化組成物」の例示である実施例では(摘記(B))、使用している「(B)」の「その他」成分である「トコフェロール」は、「ビタミンE類等の油溶性の酸化防止剤」であって、「水溶性成分を含む両親媒性成分」に該当するものではない。 そうすると、「成分(B)」について、「水溶性成分を含む両親媒性成分」を除外するものに特定することは、本来「成分(B)」に該当しない成分を確認的に除外しているものにすぎないから、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。 したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (2) 訂正事項2について 本件明細書等には、「成分(B1)及び(B2)」の具体例の一般的な説明(摘記(C))として、以下の記載がある。 摘記(C) 「【0013】 本発明で使用される成分(B1)のうち、ダイマー酸エステルの具体例としては、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート等が挙げられる。これらのうち、より安定な乳化組成物を得る観点から、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)が好ましいものとして挙げられ、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルが最も好ましい。ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルはジカルボン酸とジオールとのエステル化物であるため、その反応比率により分子量の異なるものを得ることができるが、本発明ではいずれの分子量のものも使用できる。通常は重量平均分子量(Mw)が1千~100万、好ましくは2千~50万、より好ましくは3千~20万のものを使用するとよい。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算による数値を意味する。 脂肪酸ステロールエステルの具体例としては、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリルが挙げられる。これらのうち、より安定な乳化組成物を得る観点から、オレイン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリルがより好ましい。 N-アシルアミノ酸エステルの具体例としては、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)が挙げられる。これらのうち、より安定な乳化組成物を得る観点から、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)がより好ましい。 【0014】 本発明において成分(B1)は成分(B)中に20重量%以上、好ましくは40重量%以上配合するとよい。これよりも少ないと化粧料に配合した際に成分(B1)の優れた機能を付与する効果が低下してしまう。また成分(B1)は成分(B)中に80重量%以下、好ましくは75重量%以下で配合するとよい。これよりも多いと、安定な乳化組成物を得ることが困難となる。 【0015】 本発明で使用される成分(B2)の具体例としては、ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油等の植物油;トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)等のエステル油;コハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等の両親媒性エステル油;ジメチコン、シクロメチコン、フェニルジメチコン等のシリコーン油等が挙げられる。これらの油剤は単独で用いてもよいし、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。 【0016】 本発明では、成分(B)として成分(B1)のみでは安定な乳化組成物が得られないところ、成分(B1)と成分(B2)を組み合わせて配合することで、安定な乳化組成物を得ることが可能となる。本発明において成分(B2)は成分(B)中に20重量%以上、好ましくは25重量%以上、かつ、80重量%以下、好ましくは60重量%以下で配合するとよい。また、本発明の成分(B2)には、ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワランから選択される1種又は2種以上の炭化水素油を必須成分として含有することが好ましい。このような炭化水素油は成分(B2)中に30重量%以上、より好ましくは50重量%以上含有させるとよい。炭化水素油を含有させることで、油性成分全体の極性が調節され、乳化組成物自体の安定性や化粧料配合時の経時安定性を向上させることができる。」 請求項3における「成分(B1)」の「ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、N-アシルアミノ酸エステル」について、本件明細書等の具体例の一般的な記載(摘記(C))には、「水溶性成分を含む両親媒性成分」に該当するものはなく、かつ、具体的な「O/W型乳化組成物」の例示である実施例でも(摘記(B))、使用している「(B1)」の各成分は、「水溶性成分を含む両親媒性成分」に該当するものではない。 また、請求項3における「成分(B2)」の「25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油」について、本件明細書等の具体例の一般的な記載(摘記(C))には、「炭化水素油」、「植物油」、「エステル油」、「両親媒性エステル油」及び「シリコーン油」が各種化合物名とともに例示されているところ、「炭化水素油」、「植物油」、「エステル油」及び「シリコーン油」は、除外される「水溶性成分を含む両親媒性成分」に該当しない成分であり、かつ、具体的な「O/W型乳化組成物」の例示である実施例でも(摘記(B))、使用している「(B2)」の各成分に、「水溶性成分を含む両親媒性成分」である「両親媒性エステル油」を使用したものはない。すなわち、具体的な組成物の例示で使用していない「両親媒性エステル油」が、明確性の点から「成分(B2)」を含む「成分(B)」から、確認的に除外されているものにすぎない。 さらに、「成分(B1)及び(B2)」以外の「成分(B)」について、水溶性の成分や両親媒性成分に関する一般的な記載はなく(摘記(A))、具体的な「O/W型乳化組成物」の例示である実施例では(摘記(B))、使用している「(B)」の「その他」成分である「トコフェロール」は、「ビタミンE類等の油溶性の酸化防止剤」であって、「水溶性成分を含む両親媒性成分」に該当するものではない。 そうすると、「成分(B)」について、「水溶性成分を含む両親媒性成分」を除外するものに特定し限定することは、実施例等の具体的実施態様に沿った成分に明確化しているのであるから、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。 したがって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 5 実質上特許請求の範囲の拡張・変更の有無 (1) 上記3(1)及び4(1)で検討したとおり、訂正事項1は、「成分(A)」や「水溶性成分」等との関係上、本来「成分(B)」に該当しない成分を「成分(B)」から確認的に除外するという明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、かつ、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (2) 上記3(2)及び4(2)で検討したとおり、訂正事項2は、「成分(A)」や「水溶性成分」等との関係上、「成分(B)」に該当するかどうか不明である「水溶性成分を含む両親媒性成分」について、「成分(B1)及び(B2)」を含む「成分(B)」から除外するという明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、かつ、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもない。 そして、「成分(B)」の該当範囲に一部不明確な点が形式的に存在したところ、本件訂正前の形式的に不明確であった部分に関して、訂正によって明確に除外されることを明らかにしたものにすぎないと理解でき、本件明細書等に記載の「成分(B)」に関する一般的な記載及び具体的な実施態様である実施例も考慮すると、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (3) 令和6年3月18日提出の意見書における申立人の主張について 申立人は上記意見書において、訂正事項2について、下記の仮想組成物等は、本件訂正前の請求項3に係る発明では範囲外であったものが、本件訂正後の請求項3に係る発明では範囲内となるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにあたる旨の主張をしている。 <仮想組成物> ラウリン酸ポリグリセリル-10 10重量% ダイマージリノールサンダイマージリノイル 10重量% コハク酸ビスエトキシジグリコール 42重量% スクワラン 20重量% 水 18重量% --------------------------- 合計 100重量% しかしながら、上述のとおり、訂正事項2は成分(B)から本来除かれていたものの不明確であった部分を明確にしたものであって、訂正前に、(B2)成分として両親媒成分が規定されていたわけでもないのであるから、仮想組成物をわざわざ想定して、含有量や重量比の算出と結びつけた上で、算出範囲に影響があるケースが考えられるとの趣旨の申立人の主張は、採用することができない。 したがって、訂正事項2により、「成分(B1)及び(B2)」を含む「成分(B)」から「水溶性成分を含む両親媒性成分」が除外されたとしても、「成分(B)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」の範囲が、実質的に拡張され、また、変更されたとまではいえない。 また、「成分(B)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」の算出にあたり、もともと、「両親媒性成分」である「成分(A)」が「成分(B)」を兼用するものではなかったといえるのであるから、同様の「溶解特性」を示す「両親媒性成分」全般についても、「油性成分」として算出しないことが妥当であり、当該仮想組成物が、本件訂正前の請求項3の「成分(B)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」の要件を満たすものとすることは妥当ともいえる。 さらに、当該仮想組成物は、各種成分の相溶を媒介する両親媒性成分を合計52重量%も含有し、水と両親媒性成分といった水溶性成分を合計70重量%も含有するから、界面がない単相(相溶)組成物であるのか乳化組成物であるのか不明であって、かつ、両親媒性成分を含めた油溶性成分を82重量%も含有するから、W/O型であるのかO/W型であるのかも不明であり、本件訂正後の請求項3に係る発明の前提である「O/W型乳化組成物」の要件を満たすのかどうかも不明である。 よって、申立人が述べた仮想組成物などは、本件訂正前の請求項3に係る発明の範囲外であるとも、本件訂正後の請求項3に係る発明の範囲内であるともいえないから、申立人の訂正事項2についての主張は採用できない。 また、上記意見書の訂正事項1についての主張も、同様の理由により採用できない。 (4) まとめ したがって、訂正事項1及び2による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 6 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、本件訂正後の請求項〔1、2〕、〔3、4〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~4に係る発明(以下、各請求項に係る発明を請求項の番号順に「本件発明1」等といい、「本件発明1~4」をまとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~4(以下、請求項の番号順に「本件請求項1」等という。)に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%であり、成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10であることを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上 (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水 【請求項2】 請求項1に記載のO/W型乳化組成物を配合した化粧料又は皮膚外用剤。 【請求項3】 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%であることを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法であって、以下の(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とするO/W型乳化組成物の製造方法。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水 (1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して 5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程 (2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、 均一に攪拌混合する工程 【請求項4】 工程(1)及び(2)を室温で行うことを特徴とする請求項3に記載のO/W型乳化組成物の製造方法。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 申立人が特許異議申立書に記載した申立理由の概要及び添付した証拠方法は、以下に示すとおりである。以下、下記(6)に示す甲号証を、それぞれ番号順に「甲1」等という。) (1) 申立理由1(特許法第36条第6項第2号:明確性要件) 訂正前の請求項1~4に係る発明は、「成分(B)」の意味が不明確であるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (2) 申立理由2(特許法第29条第1項第3号:新規性) (2-1) 申立理由2-1 訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2-2) 申立理由2-2 訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2-3) 申立理由2-3 訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2-4) 申立理由2-4 訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3) 申立理由3(特許法第29条第2項:進歩性) (3-1) 申立理由3-1 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1及び8~10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-2) 申立理由3-2 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2及び8~10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-3) 申立理由3-3 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3及び8~10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-4) 申立理由3-4 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4及び8~10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-5) 申立理由3-5 訂正前の請求項1及び3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1及び3に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-6) 申立理由3-6 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲6及び8~10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-7) 申立理由3-7 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲7及び8~10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-8) 申立理由3-8 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲8及び10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-9) 申立理由3-9 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲9及び10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-10) 申立理由3-10 訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲10、1~4、8及び9に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (4) 申立理由4(特許法第36条第4項第1号:実施可能要件) 訂正前の請求項1及び2に係る発明は、以下に示すアの点で、優れた安定性を示す「O/W型乳化組成物」を当業者が容易に製造できず、また、訂正前の請求項1~4に係る発明は、化合物の構造が大きく異なれば、当該化合物の特性も異なり得ることが出願時の技術常識であると認められ、以下に示すイの点で、発明の詳細な説明が、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (5) 申立理由5(特許法第36条第6項第1号:サポート要件) 訂正前の請求項1及び2に係る発明は、以下に示すアの点で、優れた安定性を示さない「O/W型乳化組成物」を含み、訂正前の請求項1~4に係る発明は、化合物の構造が大きく異なれば、当該化合物の特性も異なり得ることが出願時の技術常識であると認められ、以下に示すイの点で、発明の詳細な説明に記載していないものを含むから、訂正前の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 ア 転相乳化法により各成分を混合して製造したO/W型乳化組成物 イ 本件明細書等に記載の実施例1~21において、具体的に記載された「成分(B1)」及び「成分(B2)」の組合せ以外の「成分(B1)」及び「成分(B2)」に一般化すること (6) 甲号証等一覧 甲第1号証:国際公開第2011/013174号 甲第2号証:苔口由貴ら,フレグランス ジャーナル臨時増刊,“新規水溶性エステルの性質と応用”,2007,No.20,p.118-121 甲第3号証:苔口由貴ら,月刊ファインケミカル,“ハイアクオスターDCS-両親媒性エステルの開発と応用-”,2008,Vol.37,No.3,p.65-71 甲第4号証:特開2003-238332号公報 甲第5号証:特開2005-255525号公報 甲第6号証:特開2014-15425号公報 甲第7号証:特開2017-155034号公報 甲第8号証:特開2014-156456号公報 甲第9号証:特開2014-101313号公報 甲第10号証:特開2016-190797号公報 以下に示す甲号証は、材料の物性(粘度、HLB)、別称又は一般的用途を示す参考文献である。 甲第11号証:信越シリコーン,“KF-96L-1.5CS”,[online],令和5年8月4日印刷,インターネット <URL:https://www.silicone.jp/guide/cosme/products/kf-96l-1-5cs/> 甲第12号証:化粧品成分オンライン,“ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)”,[online],令和5年8月4日印刷,インターネット <URL:https://cosmetic-ingredients.org/emollient/11140/> 甲第13号証:Chemical Papers, 2013, 67(12), p. 1560-1568 甲第14号証:Sasol,“EC-SAFETY DATA SHEET ISOFOL 24”,2019年1月7日更新, 2019年6月20日印刷 甲第15号証:中西紀元,FRAGRANCE JOURNAL,フレグランスジャーナル社,2002,Vol.6,p. 43-48 甲第16号証:J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn., 2010, Vol. 44, No. 1, p. 2-21 甲第17号証:化粧品・トイレタリー向け原料の製品カタログ,“高機能ポリグリセリン脂肪酸エステル 製品ラインナップ”,太陽化学株式会社,2018年12月,p.1-3 以下に示す資料は、申立人が令和6年3月18日に意見書とともに提出した資料であり、材料の物性(粘度)を示す参考資料である。 参考資料1:高級アルコール工業,“イソステアリン酸ヘキシルデシル|ICIS”,[online],2024年3月14日印刷,インターネット <https://www.kak.co.jp/product/vegetable_derived_esters/item_30> 参考資料2:Cosmetic-Info.jp,“エステロール#340”,[online],2024年3月14日印刷,インターネット <https://www.cosmetic-info.jp/mate/detail.php?id=109650> 2 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~4に係る特許に対して、当審合議体が令和5年12月12日に特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 取消理由(明確性) 請求項1~4に係る特許は、その特許請求の範囲の記載について、「水溶性の成分」であって、「油相」にも存在し得る成分、つまり両親媒性成分が、「油性成分(B)」に該当するのかどうか明確ではない点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 第5 当審合議体における判断 当審合議体は、上記取消理由で通知した理由及び申立人の申立て理由によっては、本件請求項1~4に係る特許は取り消されるべきものではないと判断する。 その理由は次のとおりである。また、以下の文献も参照した。 1 甲号証及び参考資料の記載事項 (1) 甲1の記載事項 摘記(1a) 「「[請求項1] 多価アルコールと脂肪酸とから成るエステル化合物を含む化粧料用油性基剤において、エステル化合物が、ジペンタエリスリトールと、炭素数5~16の脂肪酸より成る群から選ばれる1種以上とから成り、かつ該エステル化合物中のジペンタエリスリトール残基と炭素数5~16の脂肪酸残基とのモル比が、1.0:3.0~1.0:6.0であることを特徴とする化粧料用油性基剤。」 摘記(1b) 「[0037] [合成実施例1] 攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、ディーンスターク水分計及びコンデンサーを取り付けた3,000ミリリットルの4つ口フラスコに、ジペンタエリスリトール381.5グラム(1.5mol)、イソノナン酸(炭素数9)948グラム(6.0mol)、溶媒としてのトルエン150ミリリットル、触媒としてのパラトルエンスルホン酸4.0グラムを仕込んだ。次いで、窒素を20ミリリットル/minで流しながら200℃に加熱した。該温度で、生成水を溶媒と共沸させながら留去しつつ反応させた。生成水の留出が少なくなったところで温度を220℃に上げて更に反応を続け、生成水の留出が無くなったところで反応を停止した。ここまで、反応開始から約20時間であった。次いで、温度を180℃に下げた後に減圧(約20mmHg)にして、溶媒(トルエン)を完全に除去した。得られた反応生成物に対して、常法により脱色・脱臭の精製処理を施した。ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル(淡黄色粘性油状物)952.3グラム(酸価:0.65、水酸基価:125、けん化価:277.7)が得られた。 [0038] 反応に使用したジペンタエリスリトール及びイソノナン酸のモル当量比は1.0:4.0であった。 [0039] 得られたジペンタエリスリトール脂肪酸エステルに水酸化カリウム・エタノール溶液を加えて、加水分解した。次いで、得られた加水分解生成物をろ過して、不けん化物を分離した。次いで、ろ液からエタノールを除去し、ろ液を塩酸酸性にした後、けん化物をヘキサンで抽出した。これら不けん化物及びけん化物を、夫々、常法によりシリル化及びメチル化した後、ガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー株式会社製6890N)により分析して、同定及び定量した。その結果、得られたジペンタエリスリトール脂肪酸エステルは、ジペンタエリスリトールとイソノナン酸とから成り、かつジペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比が、1.0:4.0であることが分かった。 [0040] [合成実施例2] イソノナン酸の仕込み量を1422グラム(9.0mol)に変えた以外は、合成実施例1と同一にして実施した。ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル(淡黄色高粘性油状物)1392グラム(酸価:0.02、水酸基価:1.1、けん化価:303.5)が得られた。 [0041] 反応に使用したジペンタエリスリトール及びイソノナン酸のモル当量比は1.0:6.0であった。」 摘記(1c) 「[0064] 実施例及び比較例 実施例及び比較例で使用した物質は、特に記載のない限り下記の通りである。 [0065] スクワラン:高級アルコール工業株式会社製オリーブスクワラン (イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマー:高級アルコール工業株式会社製ハイルーセント ISDA(商標) ステアリン酸ポリグリセリル‐10:日光ケミカルズ株式会社製NIKKOL Decaglyn 1-SV(商標) ・・・ ベヘニルアルコール:高級アルコール工業株式会社製ベヘニルアルコール 65(商標) ・・・ セトステアリルアルコール:高級アルコール工業株式会社製セトステアリルアルコール(商標) ペンチレングリコール:高級アルコール工業株式会社製ジオール PD(商標) ・・・ ジプロピレングリコール(DPG):株式会社クラレ製DPG-RF(商標) ・・・ シア脂:高級アルコール工業株式会社製シアバターRF(商標) グリセリン:高級アルコール工業株式会社製トリオール VE(商標) (アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー:クラリアント社製Aristoflex AVC(商標) キサンタンガム:三晶株式会社製KELTROL T(商標) ・・・ [0067] <保存安定性> 実施例及び比較例の各化粧料(スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス及びリップスティック)を下記所定の方法により、夫々、3個ずつ調製した。次いで、25℃及び45℃の恒温槽内で、夫々、1個ずつ、いずれも1ヶ月間保存した。残りの1個を、夫々、恒温室内で-10℃、25℃、45℃の3つの温度で8時間ずつ保持して、1往復48時間かけて5往復させた。このようにして得たサンプルについて、外観の劣化(粒子の粗大化)の有無、着色着臭の有無、分離の有無について人間の五感により観察した。その結果、外観の劣化及び着色着臭については、いずれのサンプルについても変化が認められなかった。従って、評価は分離の有無のみについて判断した。評価結果は、各サンプルを目視確認し、全てのサンプルで分離がない場合を「G」で示し、一つの温度条件のサンプルに僅かにでも分離がある場合を「M」で示し、二つ以上の温度条件のサンプルに僅かにでも分離がある場合を「B」で示した。 ・・・ [0074] [実施例1及び2] スキンクリーム 表2に示した(A)及び(B)の各成分を、夫々別個に75~80℃において均一に溶解した。次いで、組成物(B)を組成物(A)に攪拌しながら加え、ホモミキサーにより乳化した。次いで、該混合物を攪拌しながら30℃まで冷却してスキンクリームを調製した。 [0075] [比較例1] スキンクリーム 合成実施例2のエステル化合物に代えて、合成比較例3のエステル化合物を使用したこと以外は、実施例1と同一にして実施した。 [0076] 実施例1、2及び比較例1の結果を表2に示した。表2及び、以下の表3~10に示した数値の単位は全て質量%である。 [0077] [表2] [図:0001413337000005.jpg] [0078] 実施例1及び2は、夫々、合成実施例2及び4のエステル化合物を使用してスキンクリームを製造したものである。エステル化合物の製造に使用した脂肪酸の種類に関係なく、いずれも良好な性状を示した。一方、比較例1は、実施例1において、合成実施例2のエステル化合物を、合成比較例3のエステル化合物、即ち、脂肪酸として炭素数18のイソステアリン酸を使用して得たエステル化合物に代えたものである。エステル化合物を構成する脂肪酸の炭素数が本発明の範囲を超えると、塗りやすさ及び油性感・保湿性が幾分低下し、かつ肌等へのなじみ良さ・付きの良さは悪いものとなった。」 (2) 甲2の記載事項 摘記(2a) 「新規水溶性エステルの性質と応用 ・・・ [図:0001413337000006.jpg] [図:0001413337000007.jpg] 」(118ページ~119ページ左欄11行) 摘記(2b) 「4.代表処方例 ・・・ [図:0001413337000008.jpg] 」(121ページ左欄15行~右欄) (3) 甲3の記載事項 摘記(3a) 「ハイアクオスターDCS-両親媒性エステルの開発と応用- ・・・ [図:0001413337000009.jpg] 」(65ページ) 摘記(3b) 「 [図:0001413337000010.jpg] ・・・」(70ページ) 摘記(3c) 「4. 代表処方例 これら,ハイアクオスターの特性を生かした処方例をいくつか示した(表3(1)~(5))。」(71ページ下から5行~3行) (4) 甲4の記載事項 摘記(4a) 「【請求項1】 硬化ヒマシ油のOH基の25~50%と結合する量のダイマー酸と反応させた、数平均分子量が2,000~8,000のオリゴマーを含有することを特徴とする化粧料。」 摘記(4b) 「【0008】 【発明の実施の形態】本発明に利用する硬化ヒマシ油とダイマー酸は公知の物質であって、ダイマー酸は炭素数18の不飽和脂肪酸(主にリノール酸、リノレン酸)を2量化して得られる、炭素数36のダイマー酸で、その純度は95%以上であり、少量のモノマー酸、トリマー酸を含有する。(Uniqema社製:「PRIPOL1009」)」 摘記(4c) 「【0014】以下に合成例を記載する。 【合成例1】撹拌機、温度計、還流装置、窒素ガス供給ノズルを備えたガラス製5Lの4つ口フラスコに、COOH基とOH基の比率(COOH基/OH基比)が0.5(硬化ヒマシ油:ダイマー酸=70.8:29.2)になるように硬化ヒマシ油1500g(1.44mol)、ダイマー酸618g(1.08mol)、トルエン180ml、パラトルエンスルホン酸6.9gを加え窒素気流下220℃に加熱し、酸価が2以下になるまで反応した。 ・・・ 【0019】・・・(以下重量%を%と省略記載する)」 摘記(4d) 「【0032】実施例5 ヘアワックス 成分1~9を75~80℃で加熱均一に溶解したものを、予め成分10~14を75~80℃で加熱して均一に溶解分散したものに加入、撹拌した後30℃まで冷却する。 [図:0001413337000011.jpg] 」 (5) 甲5の記載事項 摘記(5a) 「【請求項1】 1気圧37℃の条件に於いて、流動性を有する油脂成分10~60質量%を含有する乳化組成物であって、1)前記油性成分の内の0.1~20質量%が、ダイマー酸のエステルであり、2)前記油性成分の20~50質量%がメドウフォーム油及び/又はテトラオクタン酸ペンタエリトリットであることを特徴とする、化粧料。 【請求項2】 水中油乳化剤形であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。 ・・・ 【請求項4】 前記ダイマー酸のエステルが、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルであることを特徴とする、請求項1~3何れか1項に記載の化粧料。 【請求項5】 更に、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、請求項1~4何れか1項に記載の化粧料。」 (6) 甲6の記載事項 摘記(6a) 「【実施例】 【0041】 本発明について、以下に実施例を挙げて更に詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。 ・・・ 【0043】 評価(2):はり感 専門パネル10名が顔に試料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。 A*:パネル10名中9名以上がはり感があると回答した。 A:パネル10名中7名以上9名未満がはり感があると回答した。 B:パネル10名中5名以上7名未満がはり感があると回答した。 C:パネル10名中5名未満がはり感があると回答した。 ・・・ 【0060】 次に、さらなる安定性や使用性の向上に有効な他の成分について検討を行った。本発明者らは、下記表5及び6に示す配合組成よりなる油中水型乳化化粧料(クリーム)を、常法により製造した。そして、各試料を評価項目(2)~(6)について上記採点基準にて評価した。結果を表5及び6に示す。 【0061】 【表5】 [図:0001413337000012.jpg] 」 (7) 甲7の記載事項 摘記(7a) 「【実施例】 【0046】 以下、本発明につき実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。 【0047】 本発明の化粧用油剤の調製・評価1 表1の組成で成分(A)と成分(B)を混合し、本発明の化粧用油剤を調整した(実施例1~6)。比較として、成分(A)の代わりにカプリル酸/グリセリン/セバシン酸混合エステルを使用した油剤(比較例1)及び成分(B)のみ(比較例2~4)を使用し、これら油剤について皮膚に塗布したときの感触を専門パネラー5名で官能評価を行った。評価はジメチコン(10cSt)を基準に下記の4段階で行い、結果はパネラー5名の平均点で示した。得られた結果は表1に併記した。 ジメチコン(10cSt)と比較して 4点:より良い 3点:同じ 2点:やや良くない 1点:良くない 【0048】 【表1】 [図:0001413337000013.jpg] 【0049】 表1の結果より、成分(A)が含まれない比較例2~4はもちろん、成分(A)としてカプリル酸/グリセリン/セバシン酸混合エステルを使用した比較例1に比較して、本発明の実施例1~6の化粧用油剤はジメチコン(10cSt)により近い感触を示すことが分かった。 ・・・ 【0053】 本発明の化粧用油剤の調製・評価3 表3の組成で成分(A)、成分(B)及び成分(C)を混合し、本発明の化粧用油剤を調整した(実施例10~14)。比較として成分(A)と(C)のみ、又は、成分(B)と(C)のみを使用したした油剤(比較例6~7)を使用し、これら油剤について皮膚に塗布したときの感触を専門パネラー5名で官能評価を行った。評価は揮発性シリコーン油であるシクロペンタシロキサンを基準に下記の4段階で行い、結果はパネラー5名の平均点で示した。得られた結果は表3に併記した。 シクロペンタシロキサンと比較して 4点:より良い 3点:同じ 2点:やや良くない 1点:良くない 【0054】 【表3】 [図:0001413337000014.jpg] 【0055】 表3の結果より、本発明の成分(A)~(C)からなる化粧用油剤は揮発性シリコーン油であるシクロペンタシロキサンに近い感触を示すことが分かった。 ・・・ 【0064】 実施例20 スキンケアクリーム 下記処方のクリームを調製した。このクリームは、保湿感に優れ、皮膚を柔軟にしみずみずしくなめらかなうるおいのある肌を保つ等の効果が得られ、使用後の肌は、べたつかずさらさらし、これらの効果は長時間持続する。 成 分 配合量(重量%) ---------------------------- A部 実施例1の油剤 1.0 実施例12の油剤 3.0 スクワラン 10.0 ステアリン酸 1.0 イソステアリン酸フィトステリル (Plandool-ISS:日本精化) 1.0 マカデミアナッツ油 3.0 水添ナタネ油アルコール 2.0 オリーブ油脂肪酸セテアリル 1.0 オリーブ油脂肪酸ソルビタン 0.8 オレイン酸ポリグリセリル-10 1.0 B部 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1 水酸化K 0.07 (アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー 0.2 Tremoist-SL(日本精化) 1.0 精製水 10.0 加水分解ポリγ-グルタミン酸K 0.1 ポリグルタミン酸Na 0.1 オリゴペプチド-24 0.05 C部 グリセリン 9.0 プロパンジオール 10.0 PEG-8 5.0 メチルパラベン 0.1 フェノキシエタノール 0.3 精製水 合計で100となる量 ---------------------------- (調製方法) A部、C部をそれぞれ混合し、約70℃に加温し、均一に溶解、分散させた。B部を混合し、攪拌して粘性の液とした。C部をホモミキサーにて攪拌しながらA部を加えて乳化した。冷却し約50℃にて、B部を加え、攪拌して約40℃まで冷却した。」 (8) 甲8の記載事項 摘記(8a) 「【請求項1】 グリチルレチン酸を含む乳化物と、 アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、 I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤と、 を含有し、エタノールを含有しないか又はエタノールの含有量が1質量%以下である皮膚外用剤。」 摘記(8b) 「【実施例】 【0125】 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。 【0126】 ≪グリチルレチン酸乳化物の調製≫ βグリチルレチン酸(丸善製薬製)0.54g、高純度大豆レシチン(辻製油製;SLP-ホワイト)2.00g、N-ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素製;エルデュウSL-205)11.02g、オレイルアルコール1.84g、デシルテトラデカノール(高級アルコール工業製;リソノール 24SP)1.84g、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(味の素製;エルデュウPS-203)は3.67gを混合し、70℃にて撹拌しながら溶解し、これを油性組成物Aとした。 一方、イソステアリン酸ポリグリセリル-10(日光ケミカル製;Decaglyn 1-ISV、HLB=12)6.13gを、グリセリン(和光純薬工業製)48.00g及びミリQ水24.97gの混合液中に70℃にて溶解させたものを水性組成物Aとした。 上記により調製した水性組成物A及び油性組成物Aを、TKホモミキサー(プライムミックス製)で60℃にて、500rpmの回転数で15分間粗乳化した。この粗乳化物を、超高圧分散装置であるスターバーストミニ機(スギノマシン製)で、60℃に保ちながら、圧力200MPaで2回通過させて微細乳化物(水中油型のグリチルレチン酸乳化物)を調製した。」 (9) 甲9の記載事項 摘記(9a) 「【0059】 [試験例2:皮膚外用剤の経皮吸収作用試験] 製造した各皮膚外用剤(乳化剤添加)の経皮吸収作用試験を行った。 【0060】 <乳化剤の製造> 乳化剤(O/W型)は、表2-1に示す組成となるよう、表2-1に記載の各成分を混合乃至溶解させた後、湿式微粒化装置(アルティマイザーシステム)を用いて、各成分を分散させることにより製造した。 【表2-1】 [図:0001413337000015.jpg] 【0061】 <皮膚外用剤の製造> 各皮膚外用剤は、表2-2に示す組成となるよう、レスベラトロールと、多価アルコール(グリセリン及び1,3-ブチレングリコール)と、水とを混合乃至溶解させて水溶液を調製した。そして、前記水溶液に対して、表2-2に示す組成となるよう上記で製造した乳化剤を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化させて、皮膚外用剤(乳濁液状の皮膚外用剤)を製造した。 ここで、実施例2で用いたレスベラトロールは、実施例1で用いたレスベラトロール含有植物抽出物の微粉末(個数平均粒径(D90):1.66μm)と同様のものを使用した。また、比較例2で用いたレスベラトロールは、比較例1で用いたレスベラトロールの粉末(個数平均粒径(D90):8.95μm)と同様のものを使用した。 【0062】 <試験例2の試験方法> 経皮吸収作用試験は、製造した各皮膚外用剤を3次元皮膚モデル(Lab Cyte EPIMODEL24、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング製、皮膚モデル直径6.4mm)の上層に20μL滴下して3時間経過した後の3次元皮膚モデルの下部に位置するリン酸緩衝生理食塩水中のポリフェノール量を、Folin-Denis法により測定することにより行った。 前記Folin-Denis法によるポリフェノール量の測定は、以下のようにして行った。まず、被試験物質を遠心エバポレーター中で乾燥させ、100μLの精製水に溶解後、50μLを1.5mLマイクロチューブに測り取り、10質量%炭酸ナトリウム50μLを加えて3分間放置した。次に、Folin試薬50μLを加え、1時間室温で発色させた。そして、発色した前記被試験物質を遠心分離(13,000rpm、5分間)した後、上清100μLを96ウェルマイクロプレートに移し、吸光度(波長730nm)を測定した。得られた吸光度の値から、前記被試験物質1mL中に含まれるポリフェノール量(μg)を、検量線に基づき換算した。 なお、前記検量線は、11.1μg/mL、3.70μg/mL、1.24μg/mL、0.412μg/mLに調製した各リンゴンベリー抽出物(溶液)を使用した。結果を表2-2及び図2に示す。 【表2-2】 [図:0001413337000016.jpg] 【0063】 <試験例2の結果> 以上より、レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末(微粉砕処理あり)と乳化剤とを併用する皮膚外用剤は、レスベラトロールの粉末(微粉砕処理なし)と乳化剤とを併用する皮膚外用剤よりも、レスベラトロールの経皮吸収が格段に高まることが示唆された。」 (10) 甲10の記載事項 摘記(10a) 「【請求項1】 HLBが6~16のポリグリセリン脂肪酸エステルと、紫外線吸収剤を3~30質量%と、を含有する、水中油型乳化組成物。 ・・・ 【請求項8】 水中油型乳化組成物の製造方法であって、 HLBが6~16のポリグリセリン脂肪酸エステルと水相成分とを混合して液晶又はD相を形成させる液晶/D相化工程、 前記液晶又はD相に、紫外線吸収剤3~30質量%を含む油相成分を加えてゲルを形成させるゲル化工程、及び 前記ゲルに、水を加えてエマルションを形成させる乳化工程を含む、製造方法。」 摘記(10b) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、日焼け止め化粧料に関する。 ・・・ 【0003】 日焼け止め化粧料の剤型としては、乳化剤型、ゲル剤型、オイル剤型等種々のものがあるが、さっぱりした感触と保湿乳液に近い使用感が得られるため、紫外線吸収剤を配合したものでは水中油型乳化剤型がよく採用されている。 しかしながら、一般に紫外線吸収剤は極性が高いために乳化が困難な場合があり、これを高配合して日焼け止め化粧料の紫外線防御力を高めることは難しかった。・・・ 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、水中油型乳化組成物において、HLBが6~16のポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、紫外線吸収剤を高配合することができることを見出し、本発明を完成するに至った。」 摘記(10c) 「【0027】 <本発明の製造方法> 本発明の水中油型乳化組成物を製造する方法は特に限定されないが、液晶乳化法による製造方法、すなわち(1)液晶/D相化工程、(2)ゲル化工程、及び(3)乳化工程を順に含む製造方法により製造することが、微細なエマルションを形成できるため好ましい。その結果、経時的に安定な水中油型乳化組成物が得られる。 【0028】 液晶およびD相乳化法は、界面活性剤が形成する液晶またはD相中に分散相を分散保持させて、微細な乳化粒子を生成させる乳化方法である。ポリエチレングリコール系界面活性剤を用いた系で、この乳化法は植物油などの極性油の乳化が可能であることが知られている(参照:遠藤正行、鷺谷弘道、油化学、40, 2, 1991, 133-139)。 一般的に油の極性が高いと界面活性剤が油に溶解しやすくなるため、乳化安定性を高めるためには界面活性剤を多量に配合しなければならない。極性の指標としてI.O.B(Inorganic-Organic-Balance)が用いられている。スキンケア品に汎用される代表的な油剤である水添ポリイソブテンの0、エチルヘキサン酸セチルの0.13、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルの0.31と比較して、紫外線吸収剤のI.O.Bは、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルは0.35(特願2000-81895)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは0.68、t-ブチルメトキシベンゾイルメタンは0.47(参照:WO2011077674 A1)であり、紫外線吸収剤を含有する組成物において乳化安定性を保つことは困難であり、紫外線吸収剤の含有量が大きい場合はなおさら困難である。 本発明者らは、紫外線吸収剤を含有する水中油型乳化組成物の製造方法において、液晶乳化法により多段階工程を経て製造する手法を採用することにより、紫外線吸収剤を安定に高配合できることを見出した。 【0029】 以下に液晶乳化法による水中油型乳化組成物の製造方法を説明する。 まず、(1)液晶/D相化工程においては、HLBが6~16のポリグリセリン脂肪酸エステルと水相成分とを混合して液晶又はD相を形成させる。 ・・・ 【0031】 次に、(2)ゲル化工程においては、(1)液晶/D相化工程で得た液晶又はD相に、油相成分を加えて油相(O)が液晶(LC)またはD相(D)中に乳化されたO/LC(D)のゲルを形成させる。本工程では、通常、撹拌下で油相成分を加える。また、HLBが低いポリグリセリン脂肪酸エステルは固体であることから、その溶解温度以上でゲル形成することが好ましい。 油相成分は、紫外線吸収剤を含有する。また、油相成分は通常、油性成分を含有する。なお、紫外線吸収剤及び油性成分の説明は、本発明の水中油型乳化組成物での説明に準じる。 【0032】 次に、(3)乳化工程では、(2)ゲル化工程で得たO/LC(D)のゲルに、水相を加えてO/W型のエマルションに転移させる。添加する水相は、エマルション形成後の冷却工程を短略するために加熱する必要はないが、加熱しても構わない。エマルション形成後に室温程度まで冷却する。」 摘記(10d) 「【0035】 表1に示す処方に従って、液晶乳化法により水中油型乳化組成物を調製した。 すなわち、まず成分(I)を60℃で加熱混合した。偏光板を用いて直交ニコル下で液晶の形成確認を行った結果、実施例1~5では液晶相を形成したのに対し、比較例1では均一な液晶相の形成が確認されなかった。 次いで、成分(II)を80℃で加熱溶解させた。60℃に保ち、手撹拌しながら、油相を液晶相に徐々に添加し、O/LCのゲルを得た。比較例1のみ、分離した油相が確認され、ゲルを得ることはできなかった。 その後、60℃の成分(III)を添加してO/Wエマルションを形成させ、手撹拌しながら室温まで冷却した。 【0036】 【表1】 [図:0001413337000017.jpg] 」 (11) 甲11の記載事項 摘記(11a) 「 [図:0001413337000018.jpg] 」 (12) 甲12の記載事項 摘記(12a) 「 [図:0001413337000019.jpg] 」 (13) 甲13の記載事項(訳文にて示す。) 摘記(13a) 「オレイルアルコール(OA)は、カルボン酸抽出における溶媒又は希釈剤として、しばしば使用される。OAのデメリットは、25℃における28.32mPa sという相対的に高い粘度である。」(1560ページ要約2~4行) (14) 甲14の記載事項(訳文にて示す。) 摘記(14a) 「商品名 ISOFOL24 INCI デシルテトラデカノール ・・・ セクション9:物理的及び化学的特徴 ・・・ 粘度(動的) ca.86mPas;20℃」(1~5ページ) (15) 甲15の記載事項 摘記(15a) 「2.ラウロイルサルコシンイソプロピル(LSIP)とは ・・・ [図:0001413337000020.jpg] 」(44ページ左欄17行~45ページ左欄) (16) 甲16の記載事項 摘記(16a) 「5.1.界面活性剤とHLB値と機能 ・・・一方,HLB値と機能面の応用例についてみると,HLB値1~3では異なる油性成分の混合に,HLB値4~6ではW/O型エマルションの乳化剤に,HLB値8~16ではO/W型エマルションに用いられる。また,HLB値,13~15領域の界面活性剤は一般に,洗浄剤に用いられる。HLB値13~18の領域では香料などの被油性基材の可溶化剤として利用される。HLB値は上記に示したトイレタリー製品群への応用にとどまらず,顔料の分散に応用されている31)。」(11ページ右欄下から12行~12ページ左欄5行) (17) 甲17の記載事項 摘記(17a) 「 [図:0001413337000021.jpg] 」(1ページ) (18) 参考資料1の記載事項 摘記(18a) 「イソステアリン酸ヘキシルデシル|ICIS ・・・ [図:0001413337000022.jpg] 」 (19) 参考資料2の記載事項 摘記(19a) 「エステロール#340 化粧品表示名称 イソステアリン酸ヘキシルデシル ・・・ ・淡黄色 液状油(約35mPa/s) わずかに特異臭」 2 取消理由についての判断 本件請求項1~4では、「油性成分(B)」から「水溶性成分を含む両親媒性成分」が除外されているから、「成分(A)」や「ペンチレングリコール」等の「水溶性」と「油溶性」の特性を有する「両親媒体性成分」は、「油性成分(B)」に該当しないものであって、「成分(B)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」の算出が明確にできるものであるから、本件請求項1~4の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 したがって、取消理由通知に記載した取消理由によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(申立理由2~5)について (1) 申立理由2-1及び申立理由3-1について ア 甲1に記載された発明 甲1には、多価アルコールと脂肪酸とから成るエステル化合物を含む化粧料用油性基剤について(摘記(1a))、当該エステル化合物として、合成実施例2のジペンタエリスリトール脂肪酸エステルの合成が例示され(摘記(1b))、当該合成実施例2のエステル化合物を用いた混合物を乳化したスキンクリームである実施例1が記載されており(摘記(1c))、表における数値の単位は全て質量%である。 そうすると、甲1には、実施例1として、以下に示す甲1発明A及び甲1発明Bが記載されているといえる。 <甲1発明A> ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル(合成実施例2のエステル化合物)2.00質量%、スクワラン(高級アルコール工業株式会社製オリーブスクワラン)8.00質量%、(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマー(高級アルコール工業株式会社製ハイルーセント ISDA)2.00質量%、ステアリン酸ポリグリセリル‐10(日光ケミカルズ株式会社製NIKKOL Decaglyn 1-SV)1.50質量%、ベヘニルアルコール(高級アルコール工業株式会社製ベヘニルアルコール 65)1.00質量%、セトステアリルアルコール(高級アルコール工業株式会社製セトステアリルアルコール)2.00質量%、ペンチレングリコール(高級アルコール工業株式会社製ジオール PD)3.00質量%、ジプロピレングリコール(DPG:株式会社クラレ製DPG-RF)3.00質量%、シア脂(高級アルコール工業株式会社製シアバターRF)2.00質量%、グリセリン(高級アルコール工業株式会社製トリオール VE)5.00質量%、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー(クラリアント社製Aristoflex AVC)0.25質量%、キサンタンガム(三晶株式会社製KELTROL T)0.10質量%、及び水70.15質量%を含有する乳化したスキンクリーム。 <甲1発明B> ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル(合成実施例2のエステル化合物)2.00質量%、スクワラン(高級アルコール工業株式会社製オリーブスクワラン)8.00質量%、(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマー(高級アルコール工業株式会社製ハイルーセント ISDA)2.00質量%、ステアリン酸ポリグリセリル‐10(日光ケミカルズ株式会社製NIKKOL Decaglyn 1-SV)1.50質量%、ベヘニルアルコール(高級アルコール工業株式会社製ベヘニルアルコール 65)1.00質量%、セトステアリルアルコール(高級アルコール工業株式会社製セトステアリルアルコール)2.00質量%、ペンチレングリコール(高級アルコール工業株式会社製ジオール PD)3.00質量%、ジプロピレングリコール(DPG:株式会社クラレ製DPG-RF)3.00質量%、シア脂(高級アルコール工業株式会社製シアバターRF)2.00質量%、グリセリン(高級アルコール工業株式会社製トリオール VE)5.00質量%、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー(クラリアント社製Aristoflex AVC)0.25質量%、キサンタンガム(三晶株式会社製KELTROL T)0.10質量%、及び水70.15質量%を含有する乳化したスキンクリームの製造方法において、前者の9成分と後者の4成分をそれぞれ均一に溶解し、後者の組成物を前者の組成物に撹拌しながら加え、ホモミキサーにより乳化する製造方法。 イ 本件発明と甲1に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲1発明Aとの対比 甲1発明Aの「(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマー(高級アルコール工業株式会社製ハイルーセント ISDA)」及び「スクワラン(高級アルコール工業株式会社製オリーブスクワラン)」は、それぞれ、本件発明1の「成分(B1)」である「(B1)・・・ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート・・・から選ばれる1種又は2種以上」及び「成分(B2)」である「(B2)・・・スクワラン・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当し、甲1発明Aの「質量%」は、本件発明1の「重量%」に同義である。そして、摘記(10d)及び摘記(17a)によると、「ステアリン酸ポリグリセリル‐10」のHLB値が12又は17.5である例が記載されていることから、甲1発明Aの「ステアリン酸ポリグリセリル‐10(日光ケミカルズ株式会社製NIKKOL Decaglyn 1-SV)」は、「HLBが12~18」程度の「ポリグリセリン脂肪酸エステル」であるものと認められる。 また、甲1発明Aの「ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル(合成実施例2のエステル化合物)」、「ベヘニルアルコール(高級アルコール工業株式会社製ベヘニルアルコール 65)」、「セトステアリルアルコール(高級アルコール工業株式会社製セトステアリルアルコール)」及び「シア脂(高級アルコール工業株式会社製シアバターRF)」は、いずれも、本件発明1の「油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」に相当するものである。 そして、甲1発明Aの「乳化したスキンクリーム」は、その水含有量からO/W型の乳化組成物と認められ、「スキンクリーム」は皮膚表面に適用するクリームであるから、「化粧料又は皮膚外用剤用」組成物といえる。 さらに、甲1発明Aにおいて、「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」の含有量は17重量%であり、「成分(B)中の(B1)の含有量」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」は、それぞれ、11.8重量%及び47重量%であり、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」は11.3であり、甲1発明Aの「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」については、本件発明1の数値範囲に含まれる。 そうすると、本件発明1と甲1発明Aとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上 (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点1A及び1Bで相違する。 相違点1A:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明1は「20~80重量%」であるのに対して、甲1発明Aは「11.8重量%」である点。 相違点1B:「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、本件発明1は「1~10」であるのに対して、甲1発明Aは「11.3」である点。 b 相違点についての検討 (a) 各材料の含有量の関係(含有量比を含む)について 本件明細書等の【0006】に「本発明の課題は、ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル及びN-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の油剤を高濃度に含有する、化粧料又は皮膚外用剤の原料として使用される安定性に優れたO/W型乳化組成物を提供することにある。」と記載されているとおり、「ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル及びN-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の油剤」である「成分(B1)」を高濃度に含有させても、「安定性に優れたO/W型乳化組成物」を提供することが本件発明の課題といえる。 そして、摘記(C)の【0014】及び【0016】の記載や、本件明細書等の「【0012】・・・また、成分(A)と(B)の配合比率としては、安定な乳化組成物を得る観点から、重量比で(B)/(A)=1~10、好ましくは、2~7とするとよい。」との記載によれば、本件発明の課題を解決するために、「成分(B)の含有量が10~70重量%」及び「成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%」であることを前提とし、特定の乳化剤である「成分(A)」を「成分(B)」に対して特定量使用し、かつ、「成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%」となるように配合することで、「安定な乳化組成物」を得られることが理解され、実際の具体的な「O/W型乳化組成物」の例示(摘記(B))では、実施例は乳化安定性に優れるが、単に成分(A)、成分(B)(成分(B1)、成分(B2)及びその他成分を含む)並びに成分(C)を含有するのみで、本件発明1の含有量の要件を満たさない比較例の乳化組成物は、安定性を欠くことが示されている。 そして、本件乳化組成物は各成分の含有量や成分比が有機的関係をもって、課題を解決しているのであるから、組成物における含有量の変更には、各成分の増加と減少を総合的に考慮した検討が必要である。 そうすると、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項といえる。 (b) 新規性について 相違点1A及び1Bは、含有量及び重量比の点で実質的に相違しているから、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。 (c) 進歩性について 上記(a)で述べたとおり、「成分(B)中の(B1)の含有量」に関する相違点1A及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」に関する相違点1Bは、少なくとも併せて検討すべき事項であるところ、甲1には、「成分(B)中の(B1)の含有量」について、「11.8重量%」から「20~80重量%」に増加させ、高濃度にする課題に関連した示唆や動機付けの記載はないし、さらに、「成分(B)中の(B1)の含有量」を高めた上で、HLB値が12~18の乳化剤である「成分(A)」の含有量も上げ、結果として、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」を、「11.3」から「1~10」に下げる動機付けの記載はない。 また、甲8~10には(摘記(8a)、(8b)、(9a)及び(10a)~(10d))、上記変更に関する記載も示唆もない。 そうすると、甲1発明Aにおいて、甲8~10を参照しても、相違点1A及び1Bに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、本件発明1は、甲1及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記(ア)b(c)と同様の理由により、甲1及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ) 本件発明3について a 本件発明3と甲1発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲1発明Bについても同様であるから、本件発明3と甲1発明Bとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水」である点で一致し、以下の相違点1C及び1Dで相違する。 相違点1C:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明3は「20~80重量%」であるのに対して、甲1発明Bは「11.8重量%」である点。 相違点1D:本件発明3は「(1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程と、(2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、均一に攪拌混合する工程」を含むのに対して、甲1発明Bは「前者の9成分と後者の4成分をそれぞれ均一に溶解し、後者の組成物を前者の組成物に撹拌しながら加え、ホモミキサーにより乳化する工程」を含む点。 b 相違点についての検討 相違点1Cは、相違点1Aと同様の相違点であるところ、上記(ア)b(c)で述べたとおり、甲1発明Bにおいて、甲8~10を参照しても、相違点1Cに係る本件発明3の構成を採用する動機付けはないから、相違点1Dについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲1及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (エ) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備え、本件発明3を更に限定するものであるから、本件発明4は、上記(ウ)bと同様の理由により、甲1及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (2) 申立理由2-2及び申立理由3-2について ア 甲2に記載された発明 甲2には、新規水溶性エステルの性質と応用について記載があり(摘記(2a))、代表処方例として、「4-3.O/W型スキンクリーム」が示されているから、甲2には、以下に示す甲2発明A及び甲2発明Bが記載されているといえる。 <甲2発明A> 以下の組成を有するO/W型スキンクリーム。 [図:0001413337000023.jpg] <甲2発明B> 以下の組成を有するO/W型スキンクリームの製造方法。 [図:0001413337000024.jpg] イ 本件発明と甲2に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲2発明Aとの対比 甲2発明Aの「ハイルーセント ISDA」及び「オリーブスクワラン」は、それぞれ、本件発明1の「成分(B1)」である「(B1)・・・ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート・・・から選ばれる1種又は2種以上」及び「成分(B2)」である「(B2)・・・スクワラン・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当し、甲2発明Aの「wt%」は、本件発明1の「重量%」に同義である。そして、摘記(10d)及び摘記(17a)によると、「ステアリン酸ポリグリセリル-10」のHLB値が12又は17.5である例が記載されていることから、甲2発明Aの「Decaglyn 1-SV(ステアリン酸ポリグリセリル-10)」は、「HLBが12~18」程度の「ポリグリセリン脂肪酸エステル」であるものと認められる。 また、甲2発明Aの「イソステアリン酸ヘキシルデシル」、「セトステアリルアルコール」及び「ベヘニルアルコール 65」は、いずれも、本件発明1の「油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」に相当するものである。 そして、甲2発明Aの「スキンクリーム」は、皮膚表面に適用するクリームであるから、「化粧料又は皮膚外用剤用」組成物といえる。 さらに、甲2発明Aにおいて、「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」の含有量は15重量%であり、「成分(B)中の(B1)の含有量」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」は、それぞれ、13.3重量%及び53.3重量%であり、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」は10であり、甲2発明Aの「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」については、本件発明1の数値範囲に含まれる。 そうすると、本件発明1と甲2発明Aとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%であり、成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上 (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点2Aで相違する。 相違点2A:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明1は「20~80重量%」であるのに対して、甲2発明Aは「13.3重量%」である点。 b 相違点についての検討 (a) 新規性について 相違点2Aは、含有量の点で実質的に相違しているから、本件発明1は甲2に記載された発明ではない。 (b) 進歩性について 上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項であるところ、甲2には、「成分(B)中の(B1)の含有量」について、他成分の含有量をある程度保持した状態で、「13.3重量%」から「20~80重量%」に増加させ、高濃度にする課題に関連した示唆や動機付けの記載はない。 また、甲8~10には(摘記(8a)、(8b)、(9a)及び(10a)~(10d))、上記変更に関する記載も示唆もない。 そうすると、甲2発明Aにおいて、甲8~10を参照しても、相違点2Aに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、本件発明1は、甲2及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記(ア)b(b)と同様の理由により、甲2及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ) 本件発明3について a 本件発明3と甲2発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲2発明Bについても同様であり、さらに、甲2発明Bの「イソステアリン酸ヘキシルデシル」は、本件発明3の「(B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油」に相当する(摘記(18a)及び(19a))。 そうすると、本件発明3と甲2発明Bとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水」である点で一致し、以下の相違点2B及び2Cで相違する。 相違点2B:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明3は「20~80重量%」であるのに対して、甲2発明Bは「13.3重量%」である点。 相違点2C:本件発明3は「(1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程と、(2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、均一に攪拌混合する工程」を含むのに対して、甲2発明Bは各成分の混合工程が不明である点。 b 相違点についての検討 相違点2Bは、相違点2Aと同様の相違点であるところ、上記(ア)b(b)で述べたとおり、甲2発明Bにおいて、甲8~10を参照しても、相違点2B係る本件発明3の構成を採用する動機付けはないから、相違点2Cについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲2及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (エ) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備え、本件発明3を更に限定するものであるから、本件発明4は、上記(ウ)bと同様の理由により、甲2及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (3) 申立理由2-3及び申立理由3-3について 甲3には、「ハイアクオスターDCS-両親媒性エステルの開発と応用-」について記載があり(摘記(3a))、表3に、「ハイアクオスター処方例-その2」として、「(3)O/W型スキンクリーム」が示されているところ(摘記(3b)及び(3c))、当該組成は甲2の「4-3.O/W型スキンクリーム」と同一の組成であるから、甲3の当該具体的組成に基づいて認定される発明は、甲2発明A及び甲2発明Bと同一である。 そうすると、上記(2)で述べた理由により、本件発明1は甲3に記載された発明ではなく、本件発明1~4は、甲3及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (4) 申立理由2-4及び申立理由3-4について ア 甲4に記載された発明 甲4には、「硬化ヒマシ油のOH基の25~50%と結合する量のダイマー酸と反応させた、数平均分子量が2,000~8,000のオリゴマー」を含有する化粧料について記載があり(摘記(4a))、実施例5のヘアワックス(摘記(4d))として、「合成例1のオリゴマー」(摘記(4b)及び(4c))を用いた組成が示されているから、甲4には、以下に示す甲4発明A及び甲4発明Bが記載されているといえる。 <甲4発明A> 以下の成分1~14を有するヘアワックス。 [図:0001413337000025.jpg] ここで、「合成例1のオリゴマー」は、COOH基とOH基の比率(COOH基/OH基比)が0.5(硬化ヒマシ油:ダイマー酸=70.8:29.2)になるように硬化ヒマシ油1500g(1.44mol)、ダイマー酸618g(1.08mol)、トルエン180ml、パラトルエンスルホン酸6.9gを加え窒素気流下220℃に加熱し、酸価が2以下になるまで反応したオリゴマーであって、ダイマー酸は炭素数18の不飽和脂肪酸(主にリノール酸、リノレン酸)を2量化して得られる、炭素数36のダイマー酸で、その純度は95%以上であり、少量のモノマー酸、トリマー酸を含有する(Uniqema社製:「PRIPOL1009」)ものであり、「%」は「重量%」の略である。 <甲4発明B> 以下の成分1~9を75~80℃で加熱均一に溶解したものを、予め成分10~14を75~80℃で加熱して均一に溶解分散したものに加入、撹拌した後30℃まで冷却する工程を有するヘアワックスの製造方法。 [図:0001413337000026.jpg] ここで、「合成例1のオリゴマー」は、COOH基とOH基の比率(COOH基/OH基比)が0.5(硬化ヒマシ油:ダイマー酸=70.8:29.2)になるように硬化ヒマシ油1500g(1.44mol)、ダイマー酸618g(1.08mol)、トルエン180ml、パラトルエンスルホン酸6.9gを加え窒素気流下220℃に加熱し、酸価が2以下になるまで反応したオリゴマーであって、ダイマー酸は炭素数18の不飽和脂肪酸(主にリノール酸、リノレン酸)を2量化して得られる、炭素数36のダイマー酸で、その純度は95%以上であり、少量のモノマー酸、トリマー酸を含有する(Uniqema社製:「PRIPOL1009」)ものであり、「%」は「重量%」の略である。 イ 本件発明と甲4に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲4発明Aとの対比 甲4発明Aの「オリーブ油」は、本件発明1の「成分(B2)」である「(B2)・・・オリーブ油・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当する。そして、本件明細書等の【0010】によると、甲4発明Aの「モノイソステアリン酸デカグリセリル」及び「モノラウリン酸デカグリセリル」は、ともに「HLBが12~18」程度の「ポリグリセリン脂肪酸エステル」であるものと認められる。 また、甲4発明Aの「合成例1のオリゴマー」、「モクロウ」、「硬化ナタネ油アルコール」及び「ステアリン酸」は、いずれも、本件発明1の「油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」に相当するものである。 そして、甲4発明Aの「ヘアワックス」は、その水含有量からO/W型の乳化組成物と認められ、化粧料の1種であるから、「化粧料又は皮膚外用剤用」の組成物といえる。 さらに、甲4発明Aにおいて、「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」の含有量は31.5重量%であり、「成分(B)中の(B2)の含有量」は31.7重量%であり、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」は3.71であり、甲4発明Aの「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」については、本件発明1の数値範囲に含まれる。 そして、「成分(B)中の合成例1のオリゴマーの含有量」は15.9重量%である。 そうすると、本件発明1と甲4発明Aとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%であり、成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点4Aで相違する。 相違点4A:本件発明1は、成分(B)が「(B1)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上」を含有し、「成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%」であるのに対して、甲4発明Aは「COOH基とOH基の比率(COOH基/OH基比)が0.5(硬化ヒマシ油:ダイマー酸=70.8:29.2)になるように硬化ヒマシ油1500g(1.44mol)、ダイマー酸618g(1.08mol)、トルエン180ml、パラトルエンスルホン酸6.9gを加え窒素気流下220℃に加熱し、酸価が2以下になるまで反応したオリゴマーであって、ダイマー酸は炭素数18の不飽和脂肪酸(主にリノール酸、リノレン酸)を2量化して得られる、炭素数36のダイマー酸で、その純度は95%以上であり、少量のモノマー酸、トリマー酸を含有する(Uniqema社製:「PRIPOL1009」)もの」である「合成例1のオリゴマー」を含有し、「成分(B)中の合成例1のオリゴマーの含有量」は「15.9重量%」である点。 b 相違点についての検討 (a) 新規性について 相違点4Aは、成分(B1)及びその含有量の点で実質的に相違しているから、本件発明1は甲4に記載された発明ではない。 (b) 進歩性について 甲4発明Aの「合成例1のオリゴマー」は、「主にリノール酸、リノレン酸」を2量化して得られるダイマー酸を原料とするものであるから、本件発明1の「(B1)・・・ダイマージリノール酸水添ヒマシ油・・・から選ばれる1種又は2種以上」の原料である「ダイマージリノール酸」とは原料の化学構造が同一ではなく、結果として、化合物自体も同一とはいえない。 また、仮に、両原料が実質的に同一で、甲4発明Aの「合成例1のオリゴマー」が本件発明1の「(B1)・・・ダイマージリノール酸水添ヒマシ油・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当するとしても、上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項であるところ、甲4には、他成分の含有量をある程度保持した状態で、「成分(B)中の「合成例1のオリゴマー」の含有量」について、「15.9重量%」から「20~80重量%」に増加させ、高濃度にする課題に関連した示唆や動機付けの記載はない。 また、甲8~10には(摘記(8a)、(8b)、(9a)及び(10a)~(10d))、上記変更に関する記載も示唆もない。 そうすると、甲4発明Aにおいて、甲8~10を参照しても、相違点4Aに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、本件発明1は、甲4及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記(ア)b(b)と同様の理由により、甲4及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ) 本件発明3について a 本件発明3と甲4発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲4発明Bについても同様であり、さらに、甲4発明Bの「合成例1のオリゴマー」は、本件発明3の「(B1)ダイマー酸エステル・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当するから、本件発明3と甲4発明Bとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水」である点で一致し、以下の相違点4B及び4Cで相違する。 相違点4B:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明3は「20~80重量%」であるのに対して、甲4発明Bは「15.9重量%」である点。 相違点4C:本件発明3は「(1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程と、(2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、均一に攪拌混合する工程」を含むのに対して、甲4発明Bは成分1~9を75~80℃で加熱均一に溶解したものを、予め成分10~14を75~80℃で加熱して均一に溶解分散したものに加入、撹拌した後30℃まで冷却する工程を有する点。 b 相違点についての検討 相違点4Bは、相違点4Aと同様の相違点であるところ、上記(ア)b(b)で述べたとおり、甲4発明Bにおいて、甲8~10を参照しても、相違点4B係る本件発明3の構成を採用する動機付けはないから、相違点4Cについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲4及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (エ) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備え、本件発明3を更に限定するものであるから、本件発明4は、上記(ウ)bと同様の理由により、甲4及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (5) 申立理由3-5について ア 甲5に記載された発明 摘記(5a)によると、甲5には、以下に示す甲5発明A及び甲5発明Bが記載されているといえる。 <甲5発明A> 1気圧37℃の条件に於いて、流動性を有する油脂成分10~60質量%を含有する乳化組成物であって、1)前記油性成分の内の0.1~20質量%が、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルであり、2)前記油性成分の20~50質量%がメドウフォーム油及び/又はテトラオクタン酸ペンタエリトリットであり、更に、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する水中油乳化剤形の化粧料。 <甲5発明B> 1気圧37℃の条件に於いて、流動性を有する油脂成分10~60質量%を含有する乳化組成物であって、1)前記油性成分の内の0.1~20質量%が、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルであり、2)前記油性成分の20~50質量%がメドウフォーム油及び/又はテトラオクタン酸ペンタエリトリットであり、更に、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する水中油乳化剤形の化粧料の製造方法。 イ 本件発明と甲5に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲5発明Aとの対比 甲5発明Aの「メドウフォーム油」及び「テトラオクタン酸ペンタエリトリット」は、いずれも本件発明1の「成分(B2)」である「(B2)・・・メドウフォーム油・・・テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当する。 そして、甲5発明Aの「水中油乳化剤形の化粧料」は、O/W型であるから、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」といえる。 そうすると、本件発明1と甲5発明Aとは、 「 以下の成分(B)及び(C)を含有する化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (B)以下の成分(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点5A及び5Bで相違する。 相違点5A:本件発明1は、成分(A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10であるのに対して、甲5発明Aは、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するものの含有量が不明である点。 相違点5B:本件発明1は、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%であり、(B)が、成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)であり、成分(B1)が、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上であるのに対して、甲5発明Aは、成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)の含有量、並びに、成分(B)中の(B1)の含有量、成分(B)中の(B2)の含有量が不明である点。 b 相違点についての検討 上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項であるが、まず、相違点5Aについて検討する。 甲5には、少なくとも「ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及びポリグリセリン脂肪酸エステル」を、「HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル」とし、「成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10」とする動機付けの記載も示唆もない。 そうすると、甲5発明Aにおいて、相違点5Aに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、相違点5Bについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明3について a 本件発明3と甲5発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲5発明Bについても同様であり、さらに、甲5発明Bの「ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル」は、本件発明3の「(B1)ダイマー酸エステル・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当するから、本件発明3と甲5発明Bとは、 「 以下の成分(B)及び(C)を含有する化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法。 (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水」である点で一致し、以下の相違点5C~5Eで相違する。 相違点5C:本件発明3は、成分(A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するのに対して、甲5発明Bは、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する点。 相違点5D:本件発明3は、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%であり、(B)が、成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)であるのに対して、甲5発明Bは、成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)の含有量、並びに、成分(B)中の(B1)の含有量が不明である点。 相違点5E:本件発明3は「(1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程と、(2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、均一に攪拌混合する工程」を含むのに対して、甲5発明Bは各成分の混合工程が不明である点。 b 相違点についての検討 上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、相違点5C及び5Dは併せて検討すべきところ、甲5発明Bにおいて、相違点5C及び5Dに係る本件発明3の構成を採用する動機付けはないから、相違点5Eについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (6) 申立理由3-6について ア 甲6に記載された発明 甲6には、顔に試料を塗布し、塗布時の使用感を評価している実施例3-4として(摘記(6a))、以下に示す甲6発明A及び甲6発明Bが記載されている。 <甲6発明A> N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)5質量%、デカメチルテトラシロキサン14質量%、スクワラン質量6%、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライト1.7質量%、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体0.5質量%、イオン交換水64.3質量%、グリセリン8質量%、及び塩化ナトリウム0.5質量%の配合組成よりなる、顔に塗布するための油中水型乳化化粧料(クリーム)。 <甲6発明B> N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)5質量%、デカメチルテトラシロキサン14質量%、スクワラン質量6%、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライト1.7質量%、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体0.5質量%、イオン交換水64.3質量%、グリセリン8質量%、及び塩化ナトリウム0.5質量%の配合組成よりなる、顔に塗布するための油中水型乳化化粧料(クリーム)の製造方法。 イ 本件発明と甲6に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲6発明Aとの対比 甲6発明Aの「N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)」、「スクワラン」及び「イオン交換水」は、それぞれ、本件発明1の「成分(B1)」である「(B1)・・・N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)・・・から選ばれる1種又は2種以上」、「成分(B2)」である「(B2)・・・スクワラン・・・から選ばれる1種又は2種以上」及び「(C)水」に相当し、甲6発明Aの「質量%」は、本件発明1の「重量%」に同義である。 また、甲6発明Aの「デカメチルテトラシロキサン」は、本件発明1の「油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」に相当するものである。 そして、甲6発明Aの「顔に塗布するための油中水型乳化化粧料(クリーム)」は、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」といえる。 さらに、甲6発明Aにおいて、「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」の含有量は25重量%であり、「成分(B)中の(B1)の含有量」は20重量%であり、「成分(B)中の(B2)の含有量」は24重量%であり、いずれも本件発明1の数値範囲に含まれる。 そうすると、本件発明1と甲6発明Aとは、 「以下の成分(B)及び(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上 (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点6Aで相違する。 相違点6A:本件発明1は、成分(A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10であるのに対して、甲6発明Aは、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライト1.7質量%、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体を0.5質量%含有している点。 b 相違点についての検討 上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項であることを踏まえて、相違点6Aについて検討する。 甲6には、少なくとも「ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライト及びポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体」を、「HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル」に変更する動機付けの記載も示唆もない。 また、甲8~10には(摘記(8a)、(8b)、(9a)及び(10a)~(10d))、上記変更に関する記載も示唆もない。 そうすると、甲6発明Aにおいて、甲8~10を参照しても、相違点6Aに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、本件発明1は、甲6及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記(ア)bと同様の理由により、甲6及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ) 本件発明3について a 本件発明3と甲6発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲6発明Bについても同様であるから、本件発明3と甲6発明Bとは、 「以下の成分(B)及び(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法であって、以下の(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とするO/W型乳化組成物の製造方法。 (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水」である点で一致し、以下の相違点6B及び6Cで相違する。 相違点6B:本件発明3は、成分(A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有しているのに対して、甲6発明Bは、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライト及びポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体を含有している点。 相違点6C:本件発明3は「(1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程と、(2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、均一に攪拌混合する工程」を含むのに対して、甲6発明Bは各成分の混合工程が不明である点。 b 相違点についての検討 相違点6Bは、相違点6Aと同様の相違点であるところ、上記(ア)bで述べたとおり、甲6発明Bにおいて、甲8~10を参照しても、相違点6B係る本件発明3の構成を採用する動機付けはないから、相違点6Cについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲6及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (エ) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備え、本件発明3を更に限定するものであるから、本件発明4は、上記(ウ)bと同様の理由により、甲6及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (7) 申立理由3-7について ア 甲7に記載された発明 甲7には、実施例20の「スキンケアクリーム」が記載されており、当該スキンケアクリーム組成における「実施例1の油剤1.0重量%」と「実施例12の油剤3.0重量%」とは、それぞれ、「ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)0.01重量%、コハク酸ジエチルヘキシル0.99重量%」及び「ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)0.015重量%、フィトステロール0.015重量%、コハク酸ジエチルヘキシル1.17重量%、イソドデカン重量1.80%」であるから(摘記(7a))、甲7には、以下に示す甲7発明A及び甲7発明Bが記載されているといえる。 <甲7発明A> 下記処方のスキンケアクリーム。 成 分 配合量(重量%) ---------------------------- A部 ダイマージリノール酸 ジ(イソステアリル/フィトステリル) 0.01 コハク酸ジエチルヘキシル 0.99 (以上、実施例1の油剤) ダイマージリノール酸 ジ(イソステアリル/フィトステリル) 0.015 フィトステロール 0.015 コハク酸ジエチルヘキシル 1.17 イソドデカン 1.8 (以上、実施例12の油剤) スクワラン 10.0 ステアリン酸 1.0 イソステアリン酸フィトステリル (Plandool-ISS:日本精化) 1.0 マカデミアナッツ油 3.0 水添ナタネ油アルコール 2.0 オリーブ油脂肪酸セテアリル 1.0 オリーブ油脂肪酸ソルビタン 0.8 オレイン酸ポリグリセリル-10 1.0 B部 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1 水酸化K 0.07 (アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー 0.2 Tremoist-SL(日本精化) 1.0 精製水 10.0 加水分解ポリγ-グルタミン酸K 0.1 ポリグルタミン酸Na 0.1 オリゴペプチド-24 0.05 C部 グリセリン 9.0 プロパンジオール 10.0 PEG-8 5.0 メチルパラベン 0.1 フェノキシエタノール 0.3 精製水 合計で100となる量 ---------------------------- <甲7発明B> 下記処方のスキンケアクリームの製造法において、A部、C部をそれぞれ混合し、約70℃に加温し、均一に溶解、分散させる一方、別途B部を混合し、攪拌して粘性の液とし、C部をホモミキサーにて攪拌しながらA部を加えて乳化し、冷却し約50℃にて、B部を加え、攪拌して約40℃まで冷却する製造方法。 成 分 配合量(重量%) ---------------------------- A部 ダイマージリノール酸 ジ(イソステアリル/フィトステリル) 0.01 コハク酸ジエチルヘキシル 0.99 (以上、実施例1の油剤) ダイマージリノール酸 ジ(イソステアリル/フィトステリル) 0.015 フィトステロール 0.015 コハク酸ジエチルヘキシル 1.17 イソドデカン 1.8 (以上、実施例12の油剤) スクワラン 10.0 ステアリン酸 1.0 イソステアリン酸フィトステリル (Plandool-ISS:日本精化) 1.0 マカデミアナッツ油 3.0 水添ナタネ油アルコール 2.0 オリーブ油脂肪酸セテアリル 1.0 オリーブ油脂肪酸ソルビタン 0.8 オレイン酸ポリグリセリル-10 1.0 B部 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1 水酸化K 0.07 (アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー 0.2 Tremoist-SL(日本精化) 1.0 精製水 10.0 加水分解ポリγ-グルタミン酸K 0.1 ポリグルタミン酸Na 0.1 オリゴペプチド-24 0.05 C部 グリセリン 9.0 プロパンジオール 10.0 PEG-8 5.0 メチルパラベン 0.1 フェノキシエタノール 0.3 精製水 合計で100となる量 ---------------------------- イ 本件発明と甲7に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲7発明Aとの対比 甲7発明Aの「ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)」及び「イソステアリン酸フィトステリル(Plandool-ISS:日本精化)」は、ともに本件発明1の「成分(B1)」である「(B1)・・・ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)・・・イソステアリン酸フィトステリル・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当し、甲7発明Aの「コハク酸ジエチルヘキシル」、「イソドデカン」、「スクワラン」及び「マカデミアナッツ油」は、いずれも本件発明1の「成分(B2)」である「(B2)・・・イソドデカン・・・スクワラン・・・マカデミアナッツ油・・・コハク酸ジエチルヘキシル・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当する。そして、本件明細書等の【0010】によると、「オレイン酸ポリグリセリル-10」は、「HLBが12~18」程度の「ポリグリセリン脂肪酸エステル」であるものと認められる。 また、甲7発明Aの「フィトステロール」、「ステアリン酸」、「水添ナタネ油アルコール」、及び「オリーブ油脂肪酸セテアリル」は、いずれも、本件発明1の「油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」に相当するものである。 そして、甲7発明Aの乳化された「スキンケアクリーム」は、その水含有量からO/W型の乳化物と認められ、皮膚表面に適用するクリームであるから、「化粧料又は皮膚外用剤用」組成物といえる。 さらに、甲7発明Aにおいて、「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」の含有量は22重量%であり、「成分(B)中の(B1)の含有量」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」は、それぞれ、4.7重量%及び72.5重量%であり、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」は22であり、甲7発明Aの「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」については、本件発明1の数値範囲に含まれる。 そうすると、本件発明1と甲7発明Aとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%であり、成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上 (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点7A及び7Bで相違する。 相違点7A:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明1は「20~80重量%」であるのに対して、甲7発明Aは「4.7重量%」である点。 相違点7B:「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、本件発明1は「1~10」であるのに対して、甲7発明Aは「22」である点。 b 相違点についての検討 上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項であるが、まず、相違点7Aについて検討する。 甲7には、「成分(B)中の(B1)の含有量」について、「4.7重量%」から「20~80重量%」に増加させ、「成分(B1)」を高濃度にする課題に関連した示唆や動機付けの記載はない。 また、甲8~10には(摘記(8a)、(8b)、(9a)及び(10a)~(10d))、上記変更に関する記載も示唆もない。 そうすると、甲7発明Aにおいて、甲8~10を参照しても、相違点7Aに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、相違点7Bについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲7及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記(ア)bと同様の理由により、甲7及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ) 本件発明3について a 本件発明3と甲7発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲7発明Bについても同様であるから、本件発明3と甲7発明Bとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水」である点で一致し、以下の相違点7C及び7Dで相違する。 相違点7C:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明3は「20~80重量%」であるのに対して、甲7発明Bは「4.7重量%」である点。 相違点7D:本件発明3は「(1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程と、(2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、均一に攪拌混合する工程」を含むのに対して、甲7発明Bは「A部、B部、C部をそれぞれ混合し、C部をホモミキサーにて攪拌しながらA部を加えて乳化し、冷却し、B部を加え、攪拌して冷却する工程」を含む点。 b 相違点についての検討 相違点7Cは、相違点7Aと同様の相違点であるところ、上記(ア)bで述べたとおり、甲7発明Bにおいて、甲8~10を参照しても、相違点7C係る本件発明3の構成を採用する動機付けはないから、相違点7Dについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲7及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (エ) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備え、本件発明3を更に限定するものであるから、本件発明4は、上記(ウ)bと同様の理由により、甲7及び8~10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (8) 申立理由3-8について ア 甲8に記載された発明 甲8には、皮膚外用剤に関し(摘記(8a))、水中油型のグリチルレチン酸乳化物の調製例が記載されているから(摘記(8b))、以下に示す甲8発明A及び甲8発明Bが記載されているといえる。 <甲8発明A> 以下に示す油性組成物Aと水性組成物Aから調製した、皮膚外用の水中油型のグリチルレチン酸乳化物。 油性組成物A:βグリチルレチン酸(丸善製薬製)0.54g、高純度大豆レシチン(辻製油製;SLP-ホワイト)2.00g、N-ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素製;エルデュウSL-205)11.02g、オレイルアルコール1.84g、デシルテトラデカノール(高級アルコール工業製;リソノール 24SP)1.84g、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(味の素製;エルデュウPS-203)3.67g 水性組成物A:イソステアリン酸ポリグリセリル-10(日光ケミカル製;Decaglyn 1-ISV、HLB=12)6.13g、グリセリン(和光純薬工業製)48.00g、ミリQ水24.97g <甲8発明B> 以下に示す油性組成物Aと水性組成物Aを、ホモミキサーで、500rpmの回転数で15分間粗乳化し、さらに、超高圧分散装置で、圧力200MPaで2回通過させ、皮膚外用の水中油型のグリチルレチン酸乳化物を製造する方法。 油性組成物A:βグリチルレチン酸(丸善製薬製)0.54g、高純度大豆レシチン(辻製油製;SLP-ホワイト)2.00g、N-ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素製;エルデュウSL-205)11.02g、オレイルアルコール1.84g、デシルテトラデカノール(高級アルコール工業製;リソノール 24SP)1.84g、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(味の素製;エルデュウPS-203)3.67g 水性組成物A:イソステアリン酸ポリグリセリル-10(日光ケミカル製;Decaglyn 1-ISV、HLB=12)6.13g、グリセリン(和光純薬工業製)48.00g、ミリQ水24.97g イ 本件発明と甲8に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲8発明Aとの対比 甲8発明Aの「ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(味の素製;エルデュウPS-203)」及び「ミリQ水」は、それぞれ、本件発明1の「成分(B1)」である「(B1)・・・N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)・・・から選ばれる1種又は2種以上」及び「(C)水」に相当する。そして、甲8発明Aの「イソステアリン酸ポリグリセリル-10(日光ケミカル製;Decaglyn 1-ISV、HLB=12)」は、「HLBが12」である「ポリグリセリン脂肪酸エステル」である。 また、甲8発明Aの「βグリチルレチン酸(丸善製薬製)」、「N-ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素製;エルデュウSL-205)」、「オレイルアルコール」、及び「デシルテトラデカノール(高級アルコール工業製;リソノール 24SP)」は、いずれも、本件発明1の「油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」に相当するものである。 そして、甲8発明Aの「皮膚外用の水中油型のグリチルレチン酸乳化物」は、本件発明1の「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」といえる。 さらに、甲8発明Aにおいて、「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」の含有量は18.91重量%であり、「成分(B)中の(B1)の含有量」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」は、それぞれ、19.4重量%及び0重量%であり、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」は3.08であり、甲8発明Aの「(B)以下の成分(B1)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」については、本件発明1の数値範囲に含まれる。 そうすると、本件発明1と甲8発明Aとは、 「以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点8A及び8Bで相違する。 相違点8A:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明1は「20~80重量%」であるのに対して、甲8発明Aは「19.4重量%」である点。 相違点8B:本件発明1は、成分(B)が、成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%であり、成分(B2)が、ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上であるのに対して、甲8発明Aは、成分(B2)を含んでいない点。 b 相違点についての検討 上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項であるが、まず、相違点8Bについて検討する。 甲8には、「成分(B2)」を、「成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%」になるように更に添加する課題に関連した示唆や動機付けの記載はない。 また、甲10には(摘記(10a)~(10d))、上記変更に関する記載も示唆もない。 そうすると、甲8発明Aにおいて、甲10を参照しても、相違点8Bに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、相違点8Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲8及び10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記(ア)bと同様の理由により、甲8及10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ) 本件発明3について a 本件発明3と甲8発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲8発明Bについても同様であり、さらに、甲8発明Bの「N-ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素製;エルデュウSL-205)」、「オレイルアルコール」及び「デシルテトラデカノール(高級アルコール工業製;リソノール 24SP)」は、いずれも本件発明3の「(B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油」に相当する(摘記(13a)~摘記(15a))。 よって、本件発明3と甲8発明Bとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水」である点で一致し、以下の相違点8C及び8Dで相違する。 相違点8C:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明3は「20~80重量%」であるのに対して、甲8発明Bは「19.4重量%」である点。 相違点8D:本件発明3は「(1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程と、(2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、均一に攪拌混合する工程」を含むのに対して、甲8発明Bは「油性組成物Aと水性組成物Aを、ホモミキサーで、500rpmの回転数で15分間粗乳化し、さらに、超高圧分散装置で、圧力200MPaで2回通過させ」を含む点。 b 相違点についての検討 まず、相違点8Dについて検討する。 甲10には、「紫外線吸収剤は極性が高いために乳化が困難」であるため、水中油型乳化組成物において、紫外線吸収剤を高配合にできなかった課題を解決する手法として(摘記(10b))、水中油型乳化組成物の液晶乳化法による製造方法が記載されており、当該液晶乳化法とは、(1)液晶/D相化工程、(2)ゲル化工程、及び(3)乳化工程を順に含む製造方法であって、(1)と(3)の工程において、特定量の水相成分を混合することが記載されている(摘記(10a)及び(摘記(10c))。 そして、実施例2として(摘記(10d))、以下に示す(I)液晶相、(II)油相及び(III)水相から、日焼け止め化粧料用の水中油型乳化組成物を製造する方法であって、(I)液晶相を加熱混合し、手撹拌しながら、加熱溶解させた(II)油相を(I)液晶相に徐々に添加し、その後、加熱した(III)水相を添加してO/Wエマルションを形成させる、製造方法の具体的な例示も記載されている。 (I)液晶相:ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12)1.5質量%、純水1質量%、グリセリン1.5質量% (II)油相:2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル7質量%、t-ブチルメトキシベンゾイルメタン0.5質量%、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル3質量% (III)水相:純水80.4質量%、グリセリン5質量%、キサンタンガム0.1質量% ここで、「(I)液晶相を加熱混合し、手撹拌しながら、加熱溶解させた(II)油相を(I)液晶相に徐々に添加」する工程では、本件発明3の成分(A)である「ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12)」1.5重量%に対して、本件発明3の成分(C)である「純水」1重量を加えているから(1.5:1=100:66.7)、当該工程は本件発明3の工程(1)といえ、また、「その後、加熱した(III)水相を添加してO/Wエマルションを形成させる」工程は、本件発明3の工程(2)といえる。 そうすると、甲10には、紫外線吸収剤のように「極性が高いために乳化が困難な」材料を用いたO/W型乳化組成物の製造方法として、 (1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して 5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程 (2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、 均一に攪拌混合する工程 が記載されているといえる。 しかしながら、甲8発明Bに関して、甲8には乳化が困難であった事情は記載されていないし、特に乳化手法を変更する動機付けの記載はない。 そうすると、甲8発明Bにおいて、甲10に記載の混合工程(液晶乳化法)に変更することは、当業者が容易になし得るものではない。 よって、相違点8Cについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲8及び10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (エ) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備え、本件発明3を更に限定するものであるから、本件発明4は、上記(ウ)bと同様の理由により、甲8及び10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (9) 申立理由3-9について ア 甲9に記載された発明 甲9には、試験例2の皮膚外用剤のための乳化剤(O/W型)の組成が、表2-1に記載されているから(摘記(9a))、甲9には、以下に示す甲9発明A及び甲9発明Bが記載されている。 <甲9発明A> 下記成分を含有する、皮膚外用剤のためのO/W型乳化剤。 [図:0001413337000027.jpg] <甲9発明B> 下記成分を混合乃至溶解させた後、湿式微粒化装置を用いて、各成分を分散させることにより、皮膚外用剤のためのO/W型乳化剤を製造する方法。 [図:0001413337000028.jpg] イ 本件発明と甲9に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲9発明Aとの対比 甲9発明Aの「マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル」は、本件発明1の「成分(B1)」である「(B1)・・・マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当し、甲9発明Aの「トリ(カプセル酸/カプリン酸)グリセリル」及び「スクワラン」は、ともに本件発明1の「成分(B2)」である「(B2)・・・スクワラン・・・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル・・・から選ばれる1種又は2種以上」に相当する。そして、本件明細書等の【0010】によると、「ラウリン酸ポリグリセリル-10」は、「HLBが12~18」程度の「ポリグリセリン脂肪酸エステル」であるものと認められる。 また、甲9発明Aの「セタノール」は、本件発明1の「油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」に相当するものである。 そして、甲9発明Aの「皮膚外用剤のためのO/W型乳化剤」は、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」といえる。 さらに、甲9発明Aにおいて、「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」の含有量は22.5重量%であり、「成分(B)中の(B1)の含有量」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」は、それぞれ、27.8重量%及び70.0重量%であり、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」は25であり、甲9発明Aの「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」、「成分(B)中の(B1)の含有量」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」については、本件発明1の数値範囲に含まれる。 そうすると、本件発明1と甲9発明Aとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上 (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点9Aで相違する。 相違点9A:「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、本件発明1は「1~10」であるのに対して、甲9発明Aは「25」である点。 b 相違点についての検討 上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項であることを踏まえて、相違点9Aについて検討する。 甲9には、より乳化安定性を高めるといった目的のため、「成分(A)」の含有量を向上させ、結果として、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」を、「25」から「1~10」程度に変更することについて、動機付けの記載も示唆もない。 また、甲10にも(摘記(10a)~(10d))、上記変更に関する記載も示唆もない。 そうすると、甲9発明Aにおいて、甲10を参照しても、相違点9Aに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、本件発明1は、甲9及び10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記(ア)bと同様の理由により、甲9及び10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ) 本件発明3について a 本件発明3と甲9発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲9発明Bについても同様であるから、本件発明3と甲9発明Bとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B1)ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル、及び、 N-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上 (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水」である点で一致し、以下の相違点9Bで相違する。 相違点9B:本件発明3は「(1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程と、(2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、均一に攪拌混合する工程」を含むのに対して、甲9発明Bは「全成分を混合乃至溶解させた後、湿式微粒化装置を用いて、各成分を分散させる工程」を含む点。 b 相違点についての検討 上記(8)イ(ウ)bで検討したとおり、甲10には、紫外線吸収剤のように「極性が高いために乳化が困難な」材料を用いたO/W型乳化組成物の製造方法として、 (1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して 5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程 (2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、 均一に攪拌混合する工程 が記載されているといえる。 しかしながら、甲9発明Bに関して、甲9には乳化が困難であった事情は記載されていないし、特に乳化手法を変更する動機付けの記載はない。 そうすると、甲9発明Bにおいて、甲10に記載の混合工程(液晶乳化法)に変更することは、当業者が容易になし得るものではない。 よって、本件発明3は、甲9及び10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (エ) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備え、本件発明3を更に限定するものであるから、本件発明4は、上記(ウ)bと同様の理由により、甲9及び10に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (10) 申立理由3-10について ア 甲10に記載された発明 甲10には、日焼け止め化粧料に関し(摘記(10b))、水中油型乳化組成物及びその製造方法が記載され(摘記(10a))、液晶乳化法による製造方法が、(1)液晶/D相化工程、(2)ゲル化工程、及び(3)乳化工程を順に含む製造方法であって、(1)と(3)の工程において、水相成分を混合することが記載されている(摘記(10a)及び(10c))。 そして、実施例2として、液晶乳化法により具体的に水中油型乳化組成物を調製しているから(摘記(10d))、甲10には、以下に示す甲10発明A及び甲10発明Bが記載されているといえる。 <甲10発明A> 以下に示す(I)液晶相、(II)油相及び(III)水相から調製した、日焼け止め化粧料用の水中油型乳化組成物。 (I)液晶相:ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12)1.5質量%、純水1質量%、グリセリン1.5質量% (II)油相:2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル7質量%、t-ブチルメトキシベンゾイルメタン0.5質量%、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル3質量% (III)水相:純水80.4質量%、グリセリン5質量%、キサンタンガム0.1質量% <甲10発明B> 以下に示す(I)液晶相、(II)油相及び(III)水相から、日焼け止め化粧料用の水中油型乳化組成物を製造する方法であって、(I)液晶相を加熱混合し、手撹拌しながら、加熱溶解させた(II)油相を(I)液晶相に徐々に添加し、その後、加熱した(III)水相を添加してO/Wエマルションを形成させる、日焼け止め化粧料用の水中油型乳化組成物の製造方法。 (I)液晶相:ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12)1.5質量%、純水1質量%、グリセリン1.5質量% (II)油相:2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル7質量%、t-ブチルメトキシベンゾイルメタン0.5質量%、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル3質量% (III)水相:純水80.4質量%、グリセリン5質量%、キサンタンガム0.1質量% イ 本件発明と甲10に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲10発明Aとの対比 甲10発明Aの「ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12)」、「トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル」及び「純水」は、それぞれ、本件発明1の「(A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル」、「成分(B2)」である「(B2)・・・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル・・・から選ばれる1種又は2種以上」及び「(C)水」に相当し、甲10発明Aの「質量%」は、本件発明1の「重量%」に同義である。 また、甲10発明Aの「2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル」及び「t-ブチルメトキシベンゾイルメタン」は、ともに本件発明1の「油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」に相当するものである。 そして、甲10発明Aの「日焼け止め化粧料用の水中油型乳化組成物」は、本件発明1の「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」といえる。 さらに、甲10発明Aにおいて、「(B)以下の成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」の含有量は10.5重量%であり、「成分(B)中の(B1)の含有量」及び「成分(B)中の(B2)の含有量」は、それぞれ、0重量%及び28.6重量%であり、「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」は7であり、甲10発明Aの「(B)以下の成分(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」については、本件発明1の数値範囲に含まれる。 そうすると、本件発明1と甲10発明Aとは、 「以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であり、成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%であり、成分(A)と(B)の重量比が(B)/(A)=1~10である化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B2)ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、(C13-15)アルカン、流動パラフィン、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、ホホバ油、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、及び、リンゴ酸ジイソステアリル(メチル分岐型)から選ばれる1種又は2種以上 (C)水」である点で一致し、以下の相違点10Aで相違する。 相違点10A:本件発明1は、成分(B)が、成分(B1)及び(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く)であり、成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%であり、成分(B1)が、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、及び、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)から選ばれる1種又は2種以上であるのに対して、甲10発明Aは成分(B1)を含んでいない点。 b 相違点についての検討 上記(1)イ(ア)b(a)で述べたとおり、「化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物」の各成分の含有量については、本件発明の課題及び作用の観点から、「成分(B)の含有量」、「成分(B)中の(B1)の含有量」、「成分(B)中の(B2)の含有量」及び「成分(A)と(B)の重量比」「(B)/(A)」について、併せて検討すべき事項であることを踏まえて、相違点10Aについて検討する。 甲10には、「成分(B1)」を、「成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%」になるよう更に添加する課題に関連した示唆や動機付けの記載はない。 また、甲1~4、8及び9には(摘記(1a)~(1c)、(2a)、(2b)、(3a)~(3c)、(4a)~(4d)、(8a)及び(9a))、上記変更に関する記載も示唆もない。 そうすると、甲10発明Aにおいて、甲1~4、8及び9を参照しても、相違点10Aに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、本件発明1は、甲10、1~4、8及び9に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記(ア)bと同様の理由により、甲10、1~4、8及び9に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ) 本件発明3について a 本件発明3と甲10発明Bとの対比 上記(ア)aで説示した相当関係は、本件発明3と甲10発明Bについても同様であり、さらに、甲10発明Bの「(I)液晶相を加熱混合し、手撹拌しながら、加熱溶解させた(II)油相を(I)液晶相に徐々に添加」する工程では、成分(A)である「ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12)」1.5重量%に対して、成分(C)である「純水」1重量を加えているから(1.5:1=100:66.7)、当該工程は本件発明3の工程(1)といえ、また、「その後、加熱した(III)水相を添加してO/Wエマルションを形成させる」工程は、本件発明3の工程(2)といえる。 そうすると、本件発明3と甲10発明Bとは、 「 以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が10~70重量%であることを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤用のO/W型乳化組成物の製造方法であって、以下の(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とするO/W型乳化組成物の製造方法。 (A)HLBが12~18のポリグリセリン脂肪酸エステル (B)以下の成分(B2)を含む油性成分(ただし、水溶性成分を含む両親媒性成分を除く) (B2)25℃における粘度が200mPa・s以下の液状油 (C)水 (1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して 5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程 (2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、 均一に攪拌混合する工程」である点で一致し、以下の相違点10Bで相違する。 相違点10B:「成分(B)中の(B1)の含有量」について、本件発明3は「20~80重量%」であるのに対して、甲10発明Bは成分(B1)を含んでいない点。 b 相違点についての検討 相違点10Bは、相違点10Aと同様の相違点であるところ、上記(ア)bで述べたとおり、甲10発明Bにおいて、甲1~4、8及び9を参照しても、相違点10Bに係る本件発明1の構成を採用する動機付けはないから、本件発明3は、甲10、1~4、8及び9に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (エ) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て備え、本件発明3を更に限定するものであるから、本件発明4は、上記(ウ)bと同様の理由により、甲10、1~4、8及び9に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (11) 申立理由1及び2の新規性及び進歩性についての申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書及び令和6年3月18日提出の意見書において、新規性及び進歩性に関する主張をしているが、成分(B)に関する配合量の算出が誤っていたり、組合せに関する動機付けの根拠を示していないなど、上記(1)~(10)に示したとおり、いずれも採用できない。 (12) 申立理由4について ア 転相乳化法により各成分を混合して製造したO/W型乳化組成物について (ア) 発明の詳細な説明の記載 本件明細書等の【0019】には、 「本発明のO/W型乳化組成物は、本発明の成分(A)~(C)のみで安定な乳化組成物を得ることが可能であり、一般に乳化安定性を向上させる多価アルコールや増粘剤といった成分を必要としない。また、本発明のO/W型乳化組成物には、本発明の必須成分以外の成分は、一般に化粧品に使用される成分であっても、極力配合しない方が好ましい。これは、本発明のO/W型乳化組成物を化粧料原料として、できるだけ広範囲の種類の化粧料に使用しやすいものとするためである。しかしながら、本発明のO/W型乳化組成物を配合する化粧料の種類、組成等が確定しており、配合が許容される成分が明らかである場合には、本発明のO/W型乳化組成物にも一般に化粧品に使用される各種の成分を配合してもよい。」 と記載され、 同【0021】には、 「<本発明のO/W型乳化組成物の製造方法> O/W型乳化組成物を製造する場合、一般的には、まず油と界面活性剤を加温混合して溶解させた後、そこに加温した水を攪拌しながら添加していき、連続相が油相から水相に転相してO/W型乳化組成物とする方法が用いられる(転相乳化法)。しかしながら、本発明のO/W型乳化組成物の製造においては、このような転相乳化法では安定な乳化組成物は得られない。本発明においては、界面活性剤、油及び少量の水を均一に攪拌混合した混合物に、攪拌しながら水を加えていくことで製造することができる。少量の水とは界面活性剤100重量部に対して5~90重量部、好ましくは10~60重量部である。これらの工程はすべて室温で行うことができ、加温の必要はない。すなわち、本発明のO/W型乳化組成物の製造方法は、以下の(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とするものである。 (1):成分(A)、成分(B)、及び、成分(A)100重量部に対して 5~90重量部の成分(C)を加えて、均一に攪拌混合する工程 (2):工程(1)の混合物に成分(C)の残りを攪拌しながら加え、 均一に攪拌混合する工程」 と記載されている。 (イ) 判断 本件発明1及び2は「物の発明」であって、「物の発明」が実施可能要件を満たすためには、発明の詳細な説明の記載が、当業者において、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、当該発明に係る物を作り、使用することができる程度のものでなければならないところ、上記(ア)の【0021】には、少なくとも一つの一般的な製造方法が記載され、実施例でも具体的に製造した例(摘記(B))が記載されているのであるから、当業者が本件発明1及び2を作ることができることは明らかである。 (ウ) 申立人の主張について 申立人は、本件発明1及び2には、優れた安定性を示さない「O/W型乳化組成物」の組成が含まれ、その場合、優れた安定性を示す本件発明1及び2の「O/W型乳化組成物」を、当業者が容易に製造できない旨の主張をしている。 しかしながら、上記(イ)で説示したとおり、本件発明1及び2について、当業者が「物」として提供できる程度に、発明の詳細な説明は記載されているから、申立人の主張は採用できない。 イ 本件明細書等に記載の実施例1~21において、具体的に記載された「成分(B1)」及び「成分(B2)」の組合せ以外の「成分(B1)」及び「成分(B2)」に一般化することについて (ア) 本件明細書等には、摘記(C)に示したとおり、「成分(B1)」及び「成分(B2)」について、その配合量と、対応する機能及び効果について一般的な説明があり、実施例でも具体的に製造した例(摘記(B))が記載されているのであるから、具体的に記載された「成分(B1)」及び「成分(B2)」の組合せ以外の「成分(B1)」及び「成分(B2)」についての本件発明1~4について、当業者が容易に実施できるものといえる。 (イ) 申立人の主張について 申立人は、本件発明1~4について、化学構造が大きく異なれば化合物の特性も異なり得るから、様々な組合せを包含する本件発明1~4は、当業者が実施できるように発明の詳細な説明が記載されているとはいえない旨の主張をしている。 しかしながら、本件発明1~4について、化学構造が異なれば特性も一定程度異なることが技術常識であったとしても、それらの技術常識を考慮し、成分に応じてその発明の範囲内の配合量で処方することは、当業者が容易に実施できるから、申立人の主張は採用できない。 エ まとめ 本件の発明の詳細な説明は、本件発明1~4を、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。 (13) 申立理由5について ア 本件発明1及び2の課題は、上記3(1)b(a)の第1段落で述べたとおり、「ダイマー酸エステル、脂肪酸ステロールエステル及びN-アシルアミノ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の油剤」である「成分(B1)」を高濃度に含有させても、「安定性に優れたO/W型乳化組成物」を提供することにあると認める。 そして、その第2段落で述べているとおり、「成分(B)の含有量が10~70重量%」及び「成分(B)中の(B1)の含有量が20~80重量%」であることを前提とし、特定の乳化剤である「成分(A)」を「成分(B)」に対して特定量使用し、かつ、「成分(B)中の(B2)の含有量が20~80重量%」となるように配合することで、「安定な乳化組成物」を得られることが理解され、実際の具体的な「O/W型乳化組成物」の例示(摘記(B))では、実施例は乳化安定性に優れるが、単に成分(A)、成分(B)(成分(B1)、成分(B2)及びその他成分を含む)並びに成分(C)を含有するのみで、本件発明1の含有量の要件を満たさない比較例の乳化組成物は、安定性を欠くことが示されている。 そうすると、特定の製造方法や実施例以外の組成、すなわち、単に「各成分を混合して製造したO/W型乳化組成物」や「本件明細書等に記載の実施例1~21において、具体的に記載された「成分(B1)」及び「成分(B2)」の組合せ以外の「成分(B1)」及び「成分(B2)」」についても、同様の類似成分かつ同様の含有量である本件発明1~4の発明の構成によって、一定程度、上記発明の課題を解決できることは、当業者であれば認識できるといえる。 イ 申立人の主張について 申立人は、【0021】の記載を指摘し、本件発明1~4には、優れた安定性を示さない「O/W型乳化組成物」の組成や、拡張ないし一般化できない組成が含まれ、本件発明1~4は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである旨の主張をしている。 しかしながら、本件明細書等の【0021】は、従来の組成物について、転相乳化法で製造する場合の留意点を述べたものにすぎず、本件発明の組成物の製造方法の一例を記載したものであり、当該段落の(1)及び(2)の工程を備えた製造方法及びその他技術常識を考慮すれば、「物」の発明である本件発明1及び2の組成物が安定的に提供できない理由はなく、上記アで示したとおり、実施例以外の組成についても、本件発明1~4の課題を一定程度解決できることは、当業者であれば認識できるものである。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (14) 小括 したがって、申立理由2~5によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに申立人の申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 また、ほかに本件請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701035

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