特許異議申立
2023-701022
原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維及びその製造方法
- 審判番号
- 2023-701022
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-102637
- 登録番号
- 7248507
- 請求日
- 2023年09月25日
- 審決日
- 2024年03月06日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】帝人株式会社
- 【権利者代理人】為山 太郎
- 【異議申立人】弁理士法人 きさらぎ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 茂夫
- 審判官 藤井 眞吾
- 審判官 西堀 宏之
- 分類
- P1652.537-ZC (D01F) / P1652.121-ZC (D01F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法113条4号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特許第7248507号発明「原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7248507号の請求項2に係る特許を取り消す。
特許第7248507号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7248507号の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和元年5月31日の出願であって、令和5年3月20日にその特許権の設定登録がされ、令和5年3月29日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和5年9月25日に特許異議申立人弁理士法人きさらぎ国際特許事務所(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1、2に係る発明の特許について本件特許異議の申立てがされ、当審は、令和5年11月22日付けで取消理由を通知した。
なお、上記取消理由通知書に対して、指定期間内に特許権者から応答はなかった。
第2 本件発明
特許第7248507号の請求項1、2に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】
2種類以上の有機顔料から構成される着色剤を、繊維質量に対し0.1~2.5質量%含有する、原料着色された原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維であって、該繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下であることを特徴とする原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
【請求項2】
2種類以上の有機顔料から構成される着色剤であって、該着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量が500ppm以下となる着色剤を、メタ型全芳香族ポリアミド紡糸用ドープへ添加した後、紡糸することを特徴とする原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
第3 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審が特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
本件特許の請求項2に係る発明は、次の点で発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許の特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合しないため、請求項2に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。
請求項2に係る発明は、本件課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであり、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
2 当審の判断
(1)発明の詳細な説明の記載
本件特許の発明の詳細な説明には次の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術における問題点を解消し、2種類以上の有機顔料により所望の濃度に着色された原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維であって、該繊維中の塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の含有量が1ppm以下である原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、原料着色の際に使用する有機顔料中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の種類と含有量とを巧みに制御するとき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明によれば、
1.2種類以上の有機顔料から構成される着色剤を、繊維質量に対し0.1~2.5質量%含有する、原料着色された原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維であって、該繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下であることを特徴とする原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維、及び、
2.2種類以上の有機顔料から構成される着色剤であって、該着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量が500ppm以下となる着色剤を、メタ型全芳香族ポリアミド紡糸用ドープへ添加した後、紡糸することを特徴とする原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の濃度に着色された原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維であって、該繊維中の塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の含有量が1ppm以下である原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維が得られるので、近年規制が強化されている塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体などの残留不純物が可及的に低減できる。」
「【0021】
本発明においては、この紡糸ドープに、2種類以上の有機顔料から構成される着色剤であって、該着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量が500ppm以下となる着色剤を、ポリマー成分の質量に対し、0.1~2.5質量%となるように添加する。ここで、塩素化ベンゼン類とは、ベンゼン環に塩素が付加されたものであり、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロベンゼン、1,2,3,4-テトラクロロベンゼン、1,2,3,5-テトラクロロベンゼン、1,2,4,5-テトラクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼンなどが挙げられる。
【0022】
該着色剤中の塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量は、少ないほど良好であることから300ppm以下が好ましく、より好ましくは、200ppm以下である。」
「【0069】
[比較例3]
実施例1で製造したポリマー溶液に、着色剤としてPigment Yellow12を5質量%、Pigment Red64を18質量%、Pigment Blue15を77質量%の割合で混合した粉末をポリマー成分の質量に対し0.58質量%となるよう添加した後、該ポリマー溶液を十分に撹拌し顔料を均一に分散させた。これを減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は実施例1と同様に実施した。
【0070】
ここで着色剤に用いた顔料中のジクロロベンゼンの含有量は、Pigment Yellow12が700ppm、Pigment Red64が140ppm、Pigment Blue15が240ppmであり、着色剤中には、245ppm含有されるものであった。
【0071】
得られた原綿と実施例4の原綿との色差ΔEは、0.50と実施例4と近い色相となったが、この原綿における繊維中のジクロロベンゼン含有量は、2.01ppmと1ppmよりもはるかに大きな値となった。」
「【0082】
【表1】
[図:0001411345000001.jpg]
[図:0001411345000002.jpg]
」
(2)課題
発明の詳細な説明の【0009】によると、本件発明が解決しようとする課題(以下「本件課題」という。)は、「2種類以上の有機顔料により所望の濃度に着色された原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維であって、該繊維中の塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の含有量が1ppm以下である原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維を提供すること」である。
(3)課題解決手段について
ア 本件課題を解決するための手段に関して、発明の詳細な説明の【0011】には、「原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維」について、「該繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下であること」、及び「原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法」について、「該着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量が500ppm以下となる着色剤を、メタ型全芳香族ポリアミド紡糸用ドープへ添加した後、紡糸すること」と記載されている。
これら手段のうち、「該繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下」であれば、本件課題が解決できることが理解できる。
イ そこで次に「該着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量が500ppm以下となる着色剤を、メタ型全芳香族ポリアミド紡糸用ドープへ添加した後、紡糸すること」について検討する。
発明の詳細な説明の【0021】には、「着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量」について、「500ppm以下」とすることが記載され、【0022】には、「少ないほど良好であることから300ppm以下が好ましく、より好ましくは、200ppm以下」と記載されている。
ウ 具体的な実施例、比較例における、「着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量」と「繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体」の含有量との関係を確認すると、実施例1では、「着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量」が「280ppm」であるのに対し、「繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体」の含有量は「0.73ppm」である。
同様に、実施例2では「481ppm」であるのに対し「0.85ppm」、実施例3では「377ppm」であるのに対し「0.24ppm」、実施例4は「485ppm」であるのに対し「0.52ppm」、実施例5では「450ppm」であるのに対し「0.18ppm」である。
他方、比較例1では「1868ppm」であるのに対し「4.21ppm」、比較例2では「879ppm」であるのに対し「1.23ppm」、比較例3では「245ppm」であるのに対し「2.01ppm」、比較例4では「1108ppm」であるのに対し「1.67ppm」である。
これらの実施例、比較例の結果を参照すると、実施例1と実施例3との比較で、着色剤中の合計含有量は実施例1の方が少ないにもかかわらず、繊維中の含有量は実施例1の方が多く、実施例2と実施例4の比較で、実施例2と実施例4の着色剤中の合計含有量は大差ないにもかかわらず、繊維中の含有量は実施例2が実施例4の1.6倍となっており、「着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量」の増減と、「繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体」の含有量の増減とは、必ずしも一致していない。
さらに、比較例3では、「着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量」が「245ppm」であり、請求項2に係る発明の「500ppm以下」ではあるが、繊維中の「塩化ベンゼン類含有量」は「2.01ppm」となっており、含有量が「1ppm以下」とする本件課題を解決したものとはならない。
これらの実施例、比較例の結果からすれば、本件特許の発明の詳細な説明を参照した当業者は、「着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量」を「500ppm以下」とすることで、本件課題が解決できると認識するとはいえない。
(4)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、「2種類以上の有機顔料から構成される着色剤であって、該着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量が500ppm以下となる着色剤を、メタ型全芳香族ポリアミド紡糸用ドープへ添加した後、紡糸することを特徴とする原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。」であるところ、上述のとおり、本件特許の発明の詳細な説明を参照した当業者は、「着色剤中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体の合計含有量」を「500ppm以下」とすることで、本件課題を解決できるとは認識しないから、請求項2に係る発明は、本件課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。
よって、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
第4 取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由の概要
取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由のうち、請求項1に係る特許に関するものは次のとおりである。
(1)申立理由1(進歩性)
本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許を受けることができないものであるため、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由2(進歩性)
本件発明1は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許を受けることができないものであるため、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)申立理由3(進歩性)
本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許を受けることができないものであるため、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
[引用文献等一覧]
甲1:特許第5852127号公報
甲2:韓国公開特許第10-2016-0059870号公報
甲3:特許第2783422号公報
2 申立理由1、申立理由3(進歩性)について
(1)甲1発明
甲1の【0069】~【0076】を参照し、特に、実施例1の記載に着目すると、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)721.5質量部中にメタフェニレンジアミン97.2質量部(50.18モル%)を溶解して0℃に冷却したDMAc溶液に、さらにイソフタル酸クロライド181.3質量部(49.82モル%)を添加して重合反応させて得たポリマー溶液に、ポリマー対比0.95質量%のPigment Blue15粉末を均一分散して作製した紡糸ドープを紡糸して得た原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維。」
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
「Pigment Blue15」は有機顔料であるから、甲1発明の「Pigment Blue15粉末」が「ポリマー対比0.95質量%」であることと、本件発明1の「2種類以上の有機顔料から構成される着色剤を、繊維質量に対し0.1~2.5質量%含有」し、「該繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下である」こととは、有機顔料を含む着色剤を含有することの限りで一致する。
甲1発明の「原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維」は本件発明1の「原料着色された」「原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維」に相当する。
以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点1]
有機顔料を含む着色剤を含有する、原料着色された原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
[相違点1]
有機顔料を含む着色剤を含有することに関して、本件発明1は「2種類以上の有機顔料から構成される着色剤を、繊維質量に対し0.1~2.5質量%含有」し、「該繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下である」のに対して、甲1発明は「Pigment Blue15粉末」が「ポリマー対比0.95質量%」である点。
イ 判断
2種類以上の有機顔料から構成される着色剤を、繊維質量に対し0.1~2.5質量%含有させつつ、繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下であるようにすることは、甲1や他の証拠に記載も示唆もされておらず、また出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は特許異議申立書において、甲1の実施例1における繊維内ジクロロベンゼン含有量を計算し、それが1ppm以下となる旨を述べている。
しかしながら、2種類以上の有機顔料から構成した場合には繊維内ジクロロベンゼン含有量も変化するところ、甲1には、着色剤を2種類以上の有機顔料から構成することも、そのように構成した場合であっても繊維内ジクロロベンゼン含有量を所定以下とすることも記載されておらず、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とする動機付けはない。
エ 申立理由1、申立理由3のまとめ
よって、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 申立理由2(進歩性)について
(1)甲2発明
甲2の【請求項5】を参照すると、甲2には以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「芳香族ポリアミド重合体を硫酸及び有機顔料3種類以上を含む溶媒に溶解させて、紡糸ドープを製造した後、前記紡糸ドープを湿式紡糸法で紡糸され、前記有機顔料が、原着糸全体100重量%を基準にして1~6重量%であるアラミド黒色原着糸。」
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点2]
2種類以上の有機顔料から構成される着色剤を含有する、原料着色された原着芳香族ポリアミド繊維。
[相違点2-1]
本件発明1は、「着色剤を、繊維質量に対し0.1~2.5質量%含有」し、「該繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下である」のに対して、甲2発明は、「前記有機顔料が、原着糸全体100重量%を基準にして1~6重量%」である点。
[相違点2-2]
原着芳香族ポリアミド繊維に関して、本件発明は、「原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維」であるのに対して、甲2発明は、「芳香族ポリアミド重合体」を紡糸した「アラミド黒色原着糸」であって、メタ型かどうか不明である点。
イ 判断
相違点2-1について検討する。
2種類以上の有機顔料から構成される着色剤を、繊維質量に対し0.1~2.5質量%含有させつつ、繊維中に含有される塩素化ベンゼン類および/またはその誘導体が1ppm以下であるようにすることは、甲2や他の証拠に記載も示唆もされておらず、また出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、甲2発明において、相違点2-1に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は特許異議申立書において、甲2の実施例1において具体的に示されていない黄色顔料、青色顔料、赤色顔料として、それぞれ「Pigment Yellow12」、「Pigment Blue15」、「Pigment Red12、57、122、149、168、170、179、185のいずれか」を選択して、繊維内ジクロロベンゼン含有量を計算することで、それが1ppm以下となる旨を述べている。
しかしながら、選択した有機顔料によって繊維内ジクロロベンゼン含有量も変化するところ、甲2には、繊維内ジクロロベンゼン含有量に着目して有機顔料を選択することや、繊維内ジクロロベンゼン含有量を所定以下とすることも記載されておらず、甲2発明において、相違点2-1に係る本件発明1の構成とする動機付けはない。
エ 申立理由2のまとめ
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 むすび
以上のとおり、請求項2に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
請求項1に係る特許は、特許異議の申立ての理由によっては取り消すことはできない。また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701022