特許異議申立
2023-700694
販売情報管理装置、販売情報管理システム、販売情報管理装置の制御方法及び販売情報管理装置の制御プログラム
- 審判番号
- 2023-700694
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-069864
- 登録番号
- 7200421
- 請求日
- 2023年07月06日
- 審決日
- 2024年06月27日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社トランザクション・メディア・ネットワークス
- 【権利者代理人】吉澤 敬夫
- 【権利者代理人】新井 全
- 【権利者代理人】野口 和孝
- 【権利者代理人】芳野 理之
- 【異議申立人】飯田 進
- 審判長/審判官
- 審判長 中村 則夫
- 審判官 澤崎 雅彦
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P1651.121-YAA(G07G) / P1651.537-YAA(G07G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7200421号発明「販売情報管理装置、販売情報管理システム、販売情報管理装置の制御方法及び販売情報管理装置の制御プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7200421号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。
特許第7200421号の請求項1、3に係る特許を維持する。
特許第7200421号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7200421号の請求項1~3に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和4年4月21日に出願され、同年12月23日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月6日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人飯田進(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 7月 6日 特許異議の申立て(請求項1~3)
同年12月19日付け 取消理由通知書
令和6年 2月19日 特許権者より意見書・訂正請求書
同年 3月12日付け 手続補正指令書(方式)
同年 3月22日 特許権者より手続補正書(訂正請求書)
同年 3月28日付け 訂正請求があった旨の通知(申立人宛て)
同年 5月 2日 申立人より意見書
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年2月19日に提出され、同年3月22日に補正された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(9)のとおりである(当審注:下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「前記印字内容情報を前記印刷装置へ印字させるための印字用ミドルウエアの動作に関する情報を記憶する動作情報記憶部と、を有する店舗に配置済みの販売情報管理装置の制御方法であって」
との記載を、
「前記印字内容情報を前記印刷装置へ印字させるための印字用ミドルウエアの動作に関する情報を記憶する動作情報記憶部と、を有し、前記アプリケーション情報と前記印刷装置用ドライバ情報との中間に位置する前記印字用ミドルウエアを記憶する印字用ミドルウエア記憶部を備え、前記印字用ミドルウエアは、OCX(OLEコントロール)であり、前記OCXは、CO (コントロールオブジェクト)及びSO(サービスオブジェクト)を有し、前記SOは、前記COより呼び出されOPOS(オープンPOS)が規定する機能を実行させるソフトウェアであり、前記動作情報記憶部には、前記COがどの前記SOを呼ぶかが記載されている店舗に配置済みの販売情報管理装置の制御方法であって」
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の
「前記販売情報管理装置に、前記印字内容情報を取得する印字内容情報取得用ミドルウエア、前記印字内容情報を転送する印字情報転送プログラム及び前記動作情報記憶部の情報を書き替える動作情報書替部をインストールし」
との記載を、
「前記販売情報管理装置に、前記印字内容情報を取得する印字内容情報取得用ミドルウエア、前記印字内容情報を転送する印字情報転送プログラム及び前記動作情報記憶部の情報を書き替える動作情報書替部のみをインストールし」
に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の
「前記動作情報書替部が前記動作情報記憶部に記憶されている情報を変更し、」
との記載を、
「前記動作情報書替部が前記動作情報記憶部に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが前記印字内容情報を取得し、前記印字情報転送プログラムに転送させる動作に関する情報を加え、」
に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1の
「前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま他の装置に送信させる構成」
との記載を、
「前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる構成」
に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項3の
「前記印字内容情報を前記印刷装置へ印字させるための印字用ミドルウエアの動作に関する情報を記憶する動作情報記憶部と、を有する店舗に配置済みの販売情報管理装置に」
との記載を、
「前記印字内容情報を前記印刷装置へ印字させるための印字用ミドルウエアの動作に関する情報を記憶する動作情報記憶部と、を有し、前記アプリケーション情報と前記印刷装置用ドライバ情報との中間に位置する前記印字用ミドルウエアを記憶する印字用ミドルウエア記憶部を備え、前記印字用ミドルウエアは、OCX(OLEコントロール)であり、前記OCXは、CO (コントロールオブジェクト)及びSO(サービスオブジェクト)を有し、前記SOは、前記COより呼び出されOPOS(オープンPOS)が規定する機能を実行させるソフトウェアであり、前記動作情報記憶部には、前記COがどの前記SOを呼ぶかが記載されている店舗に配置済みの販売情報管理装置に」
に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項3の
「前記印字内容情報を取得する印字内容情報取得用ミドルウエア、前記印字内容情報を転送する印字情報転送プログラム及び前記動作情報記憶部の情報を書き替える動作情報書替部をインストールする機能」
との記載を、
「前記印字内容情報を取得する印字内容情報取得用ミドルウエア、前記印字内容情報を転送する印字情報転送プログラム及び前記動作情報記憶部の情報を書き替える動作情報書替部のみをインストールする機能」
に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項3の
「前記動作情報書替部が前記動作情報記憶部に記憶されている情報を変更する機能」
との記載を、
「前記動作情報書替部が前記動作情報記憶部に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが前記印字内容情報を取得し、前記印字情報転送プログラムに転送させる動作に関する情報を加える機能」
に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項3の
「前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま他の装置に送信させる機能」
との記載を、
「前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる機能」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「印字用ミドルウエア」に関して、その構成を具体化しつつ「動作情報記憶部」との関係を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1で具体化等された構成は訂正前の請求項2に記載されているから、訂正事項1は新規事項を追加するものではない。
また、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1の「販売情報管理装置」へのインストールに関する記載では、「印字内容情報取得用ミドルウエア」、「印字情報転送プログラム」及び「動作情報書替部」の3つの構成に加えて他のものが「販売情報管理装置」にインストールされることを含み得たところ、その訂正によって上記3つの構成「のみ」が「販売情報管理装置」にインストールされることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0026】には「印字内容情報取得用ミドルウエア」、「印字情報転送プログラム」及び「動作情報書替部」の3つの構成をインストールすることが記載されているところ、本件明細書等の他の記載も踏まえると、他の装置である「管理サーバ」に対する「印字内容情報」の送信に必要な追加構成が「印字内容情報取得用ミドルウエア」、「印字情報転送プログラム」及び「動作情報書替部」の3つの構成のみであることがうかがえる。
そうすると、本件明細書等には、「プログラム等の大幅な改修等をすることなく、情報を他の装置等に送信させることができる」(段落【0005】)との目的のために追加でインストールされる構成が「印字内容情報取得用ミドルウエア」、「印字情報転送プログラム」及び「動作情報書替部」の3つ「のみ」であることが示唆されているといえる。
よって、訂正事項2は新規事項を追加するものではない。
また、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項1の「動作情報書替部」による「前記動作情報記憶部に記憶されている情報」の「変更」内容を具体的に特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3で具体化された処理は本件明細書等の段落【0027】~【0029】の記載に基づくものであるので、訂正事項3は新規事項を追加するものではない。
また、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項1における「印字内容情報」の送信先を、「他の装置」から「管理サーバ」に具体化するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、「印字内容情報」を「管理サーバ」に送信することは本件明細書等の段落【0025】等の記載に基づくものであるので、訂正事項4は新規事項を追加するものではない。
また、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項5は、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。
(6)訂正事項6~9について
訂正事項6~9は、それぞれ訂正事項1~4と実質的に同じであるから、上記(1)~(4)で示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項1、2は、請求項2が、本件訂正前の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
よって、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1、2〕及び請求項3について請求されたものである。
4 小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
印刷装置に印字させるための印字内容情報を記憶する印字内容情報記憶部と、
前記印刷装置に前記印字内容情報を印字させるためのアプリケーション情報を記憶するアプリケーション記憶部と、
前記印刷装置を動作させる印刷装置用ドライバ情報を記憶する印刷装置用ドライバ情報記憶部と、
前記印字内容情報を前記印刷装置へ印字させるための印字用ミドルウエアの動作に関する情報を記憶する動作情報記憶部と、を有し、
前記アプリケーション情報と前記印刷装置用ドライバ情報との中間に位置する前記印字用ミドルウエアを記憶する印字用ミドルウエア記憶部を備え、
前記印字用ミドルウエアは、OCX(OLEコントロール)であり、前記OCXは、CO (コントロールオブジェクト)及びSO(サービスオブジェクト)を有し、
前記SOは、前記COより呼び出されOPOS(オープンPOS)が規定する機能を実行させるソフトウェアであり、
前記動作情報記憶部には、前記COがどの前記SOを呼ぶかが記載されている店舗に配置済みの販売情報管理装置の制御方法であって、
前記販売情報管理装置に、前記印字内容情報を取得する印字内容情報取得用ミドルウエア、前記印字内容情報を転送する印字情報転送プログラム及び前記動作情報記憶部の情報を書き替える動作情報書替部のみをインストールし、
前記動作情報書替部が前記動作情報記憶部に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが前記印字内容情報を取得し、前記印字情報転送プログラムに転送させる動作に関する情報を加え、
前記印刷装置用ドライバ情報の動作時に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが、変更後の前記動作情報記憶部を参照し、前記印字用ミドルウエアに前記印字内容情報の印字をさせると共に、前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる構成となっていることを特徴とする販売情報管理装置の制御方法。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
印刷装置に印字させるための印字内容情報を記憶する印字内容情報記憶部と、
前記印刷装置に前記印字内容情報を印字させるためのアプリケーション情報を記憶するアプリケーション記憶部と、
前記印刷装置を動作させる印刷装置用ドライバ情報を記憶する印刷装置用ドライバ情報記憶部と、
前記印字内容情報を前記印刷装置へ印字させるための印字用ミドルウエアの動作に関する情報を記憶する動作情報記憶部と、を有し、
前記アプリケーション情報と前記印刷装置用ドライバ情報との中間に位置する前記印字用ミドルウエアを記憶する印字用ミドルウエア記憶部を備え、
前記印字用ミドルウエアは、OCX(OLEコントロール)であり、前記OCXは、CO (コントロールオブジェクト)及びSO(サービスオブジェクト)を有し、
前記SOは、前記COより呼び出されOPOS(オープンPOS)が規定する機能を実行させるソフトウェアであり、
前記動作情報記憶部には、前記COがどの前記SOを呼ぶかが記載されている店舗に配置済みの販売情報管理装置に、
前記印字内容情報を取得する印字内容情報取得用ミドルウエア、前記印字内容情報を転送する印字情報転送プログラム及び前記動作情報記憶部の情報を書き替える動作情報書替部のみをインストールする機能、
前記動作情報書替部が前記動作情報記憶部に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが前記印字内容情報を取得し、前記印字情報転送プログラムに転送させる動作に関する情報を加える機能、
前記印刷装置用ドライバ情報の動作時に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが、変更後の前記動作情報記憶部を参照し、前記印字用ミドルウエアに前記印字内容情報の印字をさせると共に、前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる機能、を実現させることを特徴とする販売情報管理装置の制御プログラム。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~3に係る特許に対して当審が通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由](進歩性)
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
(以下、申立人が提出した「甲第○号証」を「甲○」という。)
[申立人が提出した証拠]
・甲1:特開2019-67305号公報
・甲2:特開2009-226690号公報
・甲3:特表2014-526089号公報
・甲4:特開2002-207690号公報
・甲5:「OLE for Retail POS Application Programmer’s Guide 日本版仕様書 第 1.4 版」、1998年9月29日、
・APG14_1_95.doc (APG/ 第 1 章から第 7 章まで)(表紙頁(日付)、目次)
https://www.microsoft.com/cms/api/am/binary/RE4mZ5M
・APG14_ap_95.doc (APG/ 付録)(1~4頁)
https://www.microsoft.com/cms/api/am/binary/RE4naFa
[取消理由における請求項に係る発明と証拠との関係]
・請求項:1~3
・証拠(引用文献):甲1、甲3
第5 取消理由についての判断
1 引用文献について
(1)甲1の認定事項
図3から、プリンタコントロールオブジェクト804とプリンタサービスオブジェクト805とは、POSアプリケーション70とUSBドライバ801との中間に位置していることが看取される。
(2)甲1発明
甲1の段落【0001】、【0010】、【0016】、【0018】、【0019】、【0025】、【0032】、【0033】、【0038】~【0042】、【0054】、【0058】、【0073】、【0076】、図3及び上記(1)から、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。)。
「各加盟店Sにそれぞれ設けられるPOS端末20は、プロセッサ201、メインメモリ202及び補助記憶デバイス203と、これらを接続するシステムバス211とによってコンピュータを構成し(段落【0010】、【0016】)、
プリンタ209は、USBインターフェースに準拠したデバイスであり、POS端末20の本体に対してUSBケーブルで接続され(段落【0033】)、レシート用紙に対してレシート画像をプリントし、POS端末20の印刷デバイスとして機能し(段落【0025】)、
メインメモリ202は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶し(段落【0018】)、
補助記憶デバイス203は、プロセッサ201が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ201での処理によって生成されたデータを保存し(段落【0019】)、
POSアプリケーション70は、プリンタコントロールオブジェクト804から提供されたメソッド及びプロパティを通じてプリンタ209への実行要求を行い(段落【0039】)、
USBドライバ801は、USBインターフェースに準拠したデバイスとのデータ通信を制御するソフトウェアであり(段落【0033】)、
USBドライバ801は、カーネル空間に属し(段落【0032】)、
電子レシートエージェント80は、プリンタ209に対応したソフトウェアとして、プリンタコントロールオブジェクト804とプリンタサービスオブジェクト805とを備え(段落【0073】)、
プリンタコントロールオブジェクト804とプリンタサービスオブジェクト805とは、POSアプリケーション70とUSBドライバ801との中間に位置し(【図3】、上記(1))、
プリンタサービスオブジェクト805は、プリンタコントロールオブジェクト804によって呼び出されて動作し(段落【0040】)、
プリンタコントロールオブジェクト804及びプリンタサービスオブジェクト805は、レシートデータを基にレシート印刷を印刷デバイス(プリンタ209)に実行させる印刷処理部として機能し(段落【0041】)、
プリンタコントロールオブジェクト804、プリンタサービスオブジェクト805及びプリンタダミーサービスオブジェクト808は、ユーザ空間に属し(段落【0032】)、
電子レシートエージェント80は、プリンタ209に関し、POSアプリケーション70に対してオープンPOS標準仕様に準拠したインターフェースを有しており(段落【0073】)、
電子レシートエージェント80は、プリンタコントロールオブジェクト804、プリンタサービスオブジェクト805、レシートデータ送信プロセス806、プリンタダミーサービスオブジェクト808を含み(段落【0032】)、
プリンタコントロールオブジェクト804及びプリンタサービスオブジェクト805は、POSアプリケーション70に対してオープンPOS標準仕様に準拠したインターフェースを有し、プリンタ209に対応して設けられたソフトウェアであり(段落【0038】)、
プリンタダミーサービスオブジェクト808は、プリンタコントロールオブジェクト804の出力、すなわちレシートデータを入力し(段落【0054】)、
POS端末20の譲渡は、POSアプリケーション70や電子レシートエージェント80等のソフトウェアがメインメモリ202又は補助記憶デバイス203に記憶された状態にて行われることに限らず、ソフトウェアがメインメモリ202又は補助記憶デバイス203に記憶されていない状態で譲渡されてもよく、そしてこの場合は、POS端末20が備える書き込み可能な記憶デバイスに、このPOS端末20とは個別に譲渡されたソフトウェアがユーザなどの操作に応じて書き込まれてもよく、ソフトウェアの譲渡は、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができ、また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよく(段落【0076】)、
プリンタダミーサービスオブジェクト808は、判断部(スキャナダミーサービスオブジェクト807)で電子レシートを要求するデータであると判断された後に実行部で生成されたレシートデータについては送信処理部(レシートデータ送信プロセス806)へ与え、また、プリンタダミーサービスオブジェクト808は、判断部(スキャナダミーサービスオブジェクト807)で電子レシートを要求するデータであると判断されることなく実行部で生成されたレシートデータについては印刷処理部(プリンタサービスオブジェクト805)へ与え(段落【0058】)、
レシートデータ送信プロセス806は、POSアプリケーション70によるデータ処理で生成されたレシートデータをセンタサーバ30へと送信するように、通信インターフェース205を制御するソフトウェアであり、レシートデータ送信プロセス806は、レシートデータをXML(Extensible Markup Language)フォーマット、JCON(JavaScript Object Notation)又はCSV(Comma Separated Value)フォーマットの構造化データに変換する(段落【0042】)、
POS(Point Of Sales)端末に適用される電子レシートエージェント及びプログラム(段落【0001】)。」
2 検討
2-1 本件発明1についての検討
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 後者の「プリンタ209」は、前者の「印刷装置」に相当し、以下同様に、「レシート画像」は「印刷装置に印字させるための印字内容情報」に、「POS端末20」は「販売情報管理装置」に、「センタサーバ30」は「管理サーバ」に、それぞれ相当する。
また、これらの相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
イ 後者では、「補助記憶デバイス203は、プロセッサ201が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ201での処理によって生成されたデータを保存し」ていることから、後者の「レシート画像」が補助記憶デバイス203に記憶されていることは、明らかである。
そうすると、後者における「プリンタ209」に印字させるための「レシート画像」を記憶する「補助記憶デバイス203」は、前者における「印刷装置に印字させるための印字内容情報を記憶する印字内容情報記憶部」に相当する。
ウ 後者の「POSアプリケーション70」は、「プリンタコントロールオブジェクト804から提供されたメソッド及びプロパティを通じてプリンタ209への実行要求を行」うものであり、甲1の図3に図示されるソフトウェアの構成も考慮すると、前者の「前記印刷装置に前記印字内容情報を印字させるためのアプリケーション情報」に相当する。
そして、甲1の段落【0018】、【0019】を参照すれば、後者の「POSアプリケーション70」が、メインメモリ202又は補助記憶デバイス203に記憶されていることは、明らかである。
そうすると、後者の「メインメモリ202」又は「補助記憶デバイス203」は、前者の「前記印刷装置に前記印字内容情報を印字させるためのアプリケーション情報を記憶するアプリケーション記憶部」に相当する。
エ 後者において、「USBドライバ801は、USBインターフェースに準拠したデバイスとのデータ通信を制御するソフトウェアであり」、「プリンタ209は、USBインターフェースに準拠したデバイスであり、POS端末20の本体に対してUSBケーブルで接続され」るものであるから、後者の「USBドライバ801」は、USBインターフェースに準拠したデバイスであるプリンタ209を制御するソフトウェアであるといえ、前者の「前記印刷装置を動作させる印刷装置用ドライバ情報」に相当する。
そして、後者において、「USBドライバ801は、カーネル空間に属し」ており、カーネル空間とは、オペレーティングシステムのカーネルプログラムが実行されるメモリ空間を意味することは当業者にとって自明の事項であるから、後者の「カーネル空間」は、前者の「前記印刷装置を動作させる印刷装置用ドライバ情報を記憶する印刷装置用ドライバ情報記憶部」に相当する。
オ 後者において、「電子レシートエージェント80は、プリンタ209に対応したソフトウェアとして、プリンタコントロールオブジェクト804とプリンタサービスオブジェクト805とを備え」、「プリンタコントロールオブジェクト804とプリンタサービスオブジェクト805とは、POSアプリケーション70とUSBドライバ801との中間に位置」するから、後者の「プリンタコント ロールオブジェクト804」及び「プリンタサービスオブジェクト805」は、前者の「前記印字内容情報を前記印刷装置へ印字させるための印字用ミドルウエア」に相当する。
カ 後者の「プリンタコントロールオブジェクト804」及び「プリンタサービスオブジェクト805」は、「POSアプリケーション70とUSBドライバ801との中間に位置」するものであるから、上記ウ、エで示した相当関係も踏まえると、前者の「前記アプリケーション情報と前記印刷装置用ドライバ情報との中間に位置する印字用ミドルウエア」に相当する。
そして、甲1発明では、「プリンタコントロールオブジェクト804、プリンタサービスオブジェクト805」「は、ユーザ空間に属」するものであり、ユーザ空間がメモリ空間を意味することは当業者にとって自明の事項であるから、後者の「ユーザ空間」は、前者の「前記アプリケーション情報と前記印刷装置用ドライバ情報との中間に位置する印字用ミドルウエアを記憶する印字用ミドルウエア記憶部」に相当する。
キ 後者の「プリンタコントロールオブジェクト804」はコントロールオブジェクトであり、後者の「プリンタサービスオブジェクト805」はサービスオブジェクトであるから、後者において「プリンタコントロールオブジェクト804とプリンタサービスオブジェクト805とを備え」ることは、前者において「前記印字用ミドルウエアは、OCX(OLEコントロール)であり、前記OCXは、CO(コントロールオブジェクト)及びSO(サービスオブジェクト)を有」することに相当する。
ク 後者において、「プリンタサービスオブジェクト805は、プリンタコントロールオブジェクト804によって呼び出されて動作し、」「プリンタコントロールオブジェクト804及びプリンタサービスオブジェクト805は、POSアプリケーション70に対してオープンPOS標準仕様に準拠したインターフェースを有し、プリンタ209に対応して設けられたソフトウェアであ」るから、後者の当該構成は、前者の「前記SOは、前記COより呼び出されOPOS(オープンPOS)が規定する機能を実行させるソフトウェアであ」る構成に相当する。
ケ 後者において、「プリンタサービスオブジェクト805は、プリンタコントロールオブジェクト804によって呼び出されて動作」するものであるから、後者においてCOがどのSOを呼ぶかが決められていることは当業者にとって明らかであり、当該情報がレジストリに登録されることは、技術常識である。
そうすると、後者は、前者の「前記動作情報記憶部には、前記COがどの前記SOを呼ぶかが記載されている」構成に相当する構成を備えているといえる。
コ 後者の「POS端末20」は、前者の「販売情報管理装置」に相当する。
サ 後者は、「各加盟店Sにそれぞれ設けられるPOS端末20」について、「ソフトウェアがメインメモリ202又は補助記憶デバイス203に記憶されていない状態で譲渡され」た「場合は、POS端末20が備える書き込み可能な記憶デバイスに、このPOS端末20とは個別に譲渡されたソフトウェアがユーザなどの操作に応じて書き込まれ」、「プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるもの」であるから、後者の当該構成は、前者の「店舗に配置済みの販売情報管理装置の制御方法であ」ることに相当する。
シ 後者の「プリンタダミーサービスオブジェクト808」は、「プリンタコントロールオブジェクト804の出力、すなわちレシートデータを入力」するものであるから、前者の「印字内容情報取得用ミドルウエア」に相当する。
また、後者の「レシートデータ送信プロセス806」は、「POSアプリケーション70によるデータ処理で生成されたレシートデータをセンタサーバ30へと送信するように、通信インターフェース205を制御するソフトウェアであ」るから、前者の「印字情報転送プログラム」に相当する。
ス 後者の「プリンタダミーサービスオブジェクト808は、判断部(スキャナダミーサービスオブジェクト807)で電子レシートを要求するデータであると判断された後に実行部で生成されたレシートデータについては送信処理部(レシートデータ送信プロセス806)へ与え、また、プリンタダミーサービスオブジェクト808は、判断部(スキャナダミーサービスオブジェクト807)で電子レシートを要求するデータであると判断されることなく実行部で生成されたレシートデータについては印刷処理部(プリンタサービスオブジェクト805)へ与え」、「レシートデータ送信プロセス806は、POSアプリケーション70によるデータ処理で生成されたレシートデータをセンタサーバ30へと送信するように、通信インターフェース205を制御す」る構成となっていることは、前者の「前記印字用ミドルウエアに前記印字内容情報の印字をさせると共に、前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる構成となっている」ことと、「前記印字用ミドルウエアに前記印字内容情報の印字をさせる機能と、前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる機能とを有する構成となっている」点で共通する。
セ 上記ア~スを踏まえると、本件発明1と甲1発明とは以下の点で相違し、その余の点で一致する。
[相違点1]
本件発明1では、「印字用ミドルウエアの動作に関する情報を記憶する動作情報記憶部」「を有する」のに対して、甲1発明では、「プリンタコントロールオブジェクト804」及び「プリンタサービスオブジェクト805」の動作に関する情報を記憶する記憶部を有しているか特定がない点。
[相違点2]
本件発明1では、「前記販売情報管理装置に、前記印字内容情報を取得する印字内容情報取得用ミドルウエア、前記印字内容情報を転送する印字情報転送プログラム及び前記動作情報記憶部の情報を書き替える動作情報書替部のみをインストールし、前記動作情報書替部が前記動作情報記憶部に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが前記印字内容情報を取得し、前記印字情報転送プログラムに転送させる動作に関する情報を加え」るのに対して、甲1発明では、そのようなことを行っているか特定がない点。
[相違点3]
本件発明1では、「前記印刷装置用ドライバ情報の動作時に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが、変更後の前記動作情報記憶部を参照」するのに対して、甲1発明では、そのようなことを行っているか特定がない点。
[相違点4]
本件発明1では、「前記印刷装置用ドライバ情報の動作時に、」「前記印字用ミドルウエアに前記印字内容情報の印字をさせると共に、前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる」のに対して、甲1発明では、レシートデータを送信処理部(レシートデータ送信プロセス806)へ与えることと印刷処理部(プリンタサービスオブジェクト805)へ与えることとを、選択的に行っている点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み相違点2から検討する。
甲1には、段落【0076】において、POS端末20の譲渡の際に、電子レシートエージェント80等のソフトウェアがPOS端末20のメインメモリ202等に記憶されていない状態で譲渡され、POS端末20とは個別に譲渡されたソフトウェアがユーザなどの操作に応じて書き込まれてもよいことが記載されている。
しかしながら、甲1の上記記載は、要するに、「プリンタダミーサービスオブジェクト808」、「レシートデータ送信プロセス806」、その他多くのオブジェクト等から構成される電子レシートエージェント80等のソフトウェア全体を事後的にインストールしてもよいことを示しているのであって、電子レシートエージェント80に含まれる「プリンタダミーサービスオブジェクト808」、「レシートデータ送信プロセス806」といった一部の構成のみを事後的にインストールすることは何ら示されていない。
したがって、甲1には、相違点2に係る本件発明1の構成は記載されておらず、示唆もない。
また、申立人が提出したいずれの証拠にも、相違点2に係る本件発明1の構成が記載も示唆もされていない。
よって、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
以上のことから、その他の相違点については判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は令和6年5月2日に提出された意見書において、
「甲1発明の技術分野における当事者であれば、「POS装置等が印刷装置を用いて印字する印字内容情報を全て管理サーバが取得し、管理すること」という周知の課題に基づいて甲1発明を設計変更しようとすることは、通常の創作能力の範囲内である。
そうすると、当業者が甲1発明を設計変更にあたり、甲1発明における「プリンタダミーサービスオブジェクト808」(印字内容情報取得用ミドルウエア)、「レシートデータ送信プロセス806」(印字情報転送プログラム)およびレジストリを書き替えるためのプログラム(動作情報書替部)を課題解決手段として採用し、これらの課題解決手段のみをインストールすることは、当業者が容易に採択し得る設計的事項にすぎない。」(3(2)イ(イ)参照)
と主張している。
しかしながら、甲1発明は、電子レシートを発行する際に「判断部(スキャナダミーサービスオブジェクト807)で電子レシートを要求するデータであると判断された後に実行部で生成されたレシートデータについては送信処理部(レシートデータ送信プロセス806)へ与え」るものであるから、電子レシート発行機能を有効にするために「判断部(スキャナダミーサービスオブジェクト807)」が必須の構成となっている。
このことから、仮に、甲1発明において、電子レシートエージェント80の電子レシート発行機能のみを事後的に追加できるようにすることが当業者にとって容易な設計変更であったとしても、その際には、「プリンタダミーサービスオブジェクト808」(印字内容情報取得用ミドルウエア)、「レシートデータ送信プロセス806」(印字情報転送プログラム)およびレジストリを書き替えるためのプログラム(動作情報書替部)の3つの構成のみ、だけではなく、電子レシート発行機能を有効するために「判断部(スキャナダミーサービスオブジェクト807)」も併せてインストールする必要がある。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
2-2 本件発明3についての検討
本件発明3は、本件発明1と発明のカテゴリーは異なるものであるが、本件発明1の全ての発明特定事項と同様の発明特定事項を含むものであるから、上記2-1と同様の理由により、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
2-3 小括
以上により、取消理由は成り立たない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由の概要
申立人は、上記第5で判断した取消理由のほかに、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1~3に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものでなく、請求項1~3に係る特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものであると主張している。
2 申立理由についての判断
申立人の上記意見書における主張は、要するに、請求項1の「前記印刷装置用ドライバ情報の動作時に、前記印字内容情報取得用ミドルウエアが、変更後の前記動作情報記憶部を参照し、前記印字用ミドルウエアに前記印字内容情報の印字をさせると共に、前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる構成となっている」との記載が、「印刷装置用ドライバ情報の動作」の後に「前記印字内容情報取得用ミドルウエアが、変更後の前記動作情報記憶部を参照し、前記印字用ミドルウエアに前記印字内容情報の印字をさせると共に、前記印字情報転送プログラムに前記印字内容情報をそのまま管理サーバに送信させる」というプロセスの順序を特定しているとの理解を前提に、当該順序が明細書の段落【0038】、【0039】及び図5等に記載された順序に対応していないというものである。
しかしながら、「時」の用語には「その場合」との意味もあるから、当業者であれば、請求項1の上記記載は印刷装置用ドライバ情報が動作する場合のプロセスを単に特定しているものであると当然に理解できるし、当該理解に基づけば、請求項1の上記記載は明細書の段落【0038】、【0039】及び図5等に記載された事項とも齟齬はない。
したがって、本件発明1は発明の詳細な説明に記載したものである。
また、本件発明3は、本件発明1と発明のカテゴリーは異なるものであるが、本件発明1の全ての発明特定事項と同様の発明特定事項を含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、発明の詳細な説明に記載したものである。
よって、請求項1、3に係る特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす特許出願に対してされたものである。
よって、申立理由は成り立たない。
第7 むすび
以上によれば、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、請求項1、3に係る特許を取り消すことはできないし、他に請求項1、3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2に係る特許は本件訂正により削除され、特許異議の申立てについて、請求項2に係る申立てはその対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700694