特許異議申立
2023-700617
硬化性樹脂組成物、仮固定材、及び、電子部品の製造方法
- 審判番号
- 2023-700617
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-508852
- 登録番号
- 7194313
- 請求日
- 2023年06月12日
- 審決日
- 2025年04月08日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】積水化学工業株式会社
- 【権利者代理人】田口 昌浩
- 【権利者代理人】弁理士法人WisePlus
- 【異議申立人】加藤 三千代
- 【異議申立人】上田 精一
- 【異議申立人】伊東 沙織
- 審判長/審判官
- 審判長 近野 光知
- 審判官 松本 直子
- 審判官 ▲吉▼澤 英一
- 分類
- P1651.113-YAA(C08L) / P1651.121-YAA(C08L) / P1651.16 -YAA(C08L) / P1651.536-YAA(C08L) / P1651.537-YAA(C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7194313号発明「硬化性樹脂組成物、仮固定材、及び、電子部品の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7194313号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-24、26-46〕、25について訂正することを認める。
特許第7194313号の請求項1~3、6、8~46に係る特許を維持する。
特許第7194313号の請求項4、5及び7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7194313号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~25に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)9月22日(優先権主張 令和2年9月23日 3件)を国際出願日とする特願2022-508852号に係るものであって、令和4年12月13日にその特許権の設定登録(請求項の数25)がされ、同年同月21日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許に対し、令和5年6月9日に特許異議申立人 加藤 三千代(以下、「申立人A」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~16)がされ、同年同月13日に特許異議申立人 上田 精一(以下、「申立人B」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~25)がされ、同年同月19日に特許異議申立人 伊東 沙織(以下、「申立人C」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~4及び6~25)がされた。
特許異議の申立てにおける手続の経緯は、次のとおりである。
令和5年11月13日付け:取消理由通知書
令和6年 1月11日 :意見書及び訂正請求書(特許権者)
同年 1月24日 :手続補正書(訂正請求書について)
同年 2月13日付け:通知書(申立人A、申立人B及び申立人C宛て)
同年 3月26日 :意見書及び上申書(申立人A)
同年 3月28日 :意見書(申立人B)
同年 7月11日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 9月 3日付け:面接記録
同年 9月 9日 :期間延長請求書(特許権者)
同年 9月17日付け:通知書(特許権者宛て)
同年10月 7日 :意見書及び訂正請求書(特許権者)
同年10月21日 :手続補正指令書(方式)
同年11月12日付け:応対記録
同年11月21日 :手続補正書(訂正請求書について)
同年11月29日付け:通知書(申立人A、申立人B及び申立人C宛て)
同年12月26日 :意見書(申立人B)
令和7年 3月17日付け:手続補正指令書(方式)
同年 3月25日 :手続補正書(訂正請求書について)
令和6年11月29日付け通知書に対して、申立人A及び申立人Cからの応答はなかった。
なお、令和6年1月11日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げたものとみなされる。
第2 訂正請求書の補正の適否について
1 補正の内容
令和6年11月21日提出の手続補正書による補正は、以下の補正事項である。(下線は補正箇所を示す。)
(1)補正事項1
訂正請求書の「7(2)」の「ア 訂正事項1」の「(請求項1の記載を引用する請求項2、3、6、28、29、37、38、41~44も同様に訂正する。)」を、「(請求項1の記載を引用する請求項2、3、6、28、29、37、38、41~45も同様に訂正する。)」に補正する。
(2)補正事項2
訂正請求書の「7(2)」の「エ 訂正事項4」の「(請求項6の記載を引用する請求項28、29、37、38、41~44も同様に訂正する。)」を、「(請求項6の記載を引用する請求項28、29、37、38、41~45も同様に訂正する。)」に補正する。
(3)補正事項3
訂正請求書の「7(2)」の「セ 訂正事項14」の「(請求項19の記載を引用する請求項20~24、26、27及び46も同様に訂正する。)」を、「(請求項19の記載を引用する請求項23及び24も同様に訂正する。)」に補正する。
(4)補正事項4
訂正請求書の「7(2)」の「タ 訂正事項16」の「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19記載の硬化性樹脂組成物。」を、「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17又は18記載の硬化性樹脂組成物。」に補正する。
(5)補正事項5
訂正請求書の「7(2)」の「チ 訂正事項17」の「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は26記載の硬化性樹脂組成物。」を、「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は26記載の硬化性樹脂組成物。」に補正し、訂正特許請求の範囲の請求項27の「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17又は26記載の硬化性樹脂組成物。」を、「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は26記載の硬化性樹脂組成物。」に補正する。
(6)補正事項6
訂正請求書の「7(2)」の「テ 訂正事項19」の「(請求項29の記載を引用する請求項37、38及び41~44も同様に訂正する。)」を、削除する。
(7)補正事項7
訂正請求書の「7(2)」の「ニ 訂正事項22」の「(請求項32の記載を引用する請求項33~45も同様に訂正する。)」を、「(請求項32の記載を引用する請求項34~45も同様に訂正する。)」に補正する。
(8)補正事項8
訂正請求書の「7(2)」の「ヒ 訂正事項27」の「(請求項37の記載を引用する請求項38~45も同様に訂正する。)」を、「(請求項37の記載を引用する請求項38及び41~45も同様に訂正する。)」に補正し、訂正特許請求の範囲の請求項45の「請求項9、30、31、32、33、34、35、36、39又は40記載の硬化性樹脂組成物」を、「請求項9、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物」に補正する。
(9)補正事項9
訂正請求書の「7(2)」の「フ 訂正事項28」の「「請求項1、2、3、6、9、28、29、30、31、32、33、34、35、36又は37記載の硬化性樹脂組成物」を追加する。(請求項38の記載を引用する請求項41~44(当審注:上記手続補正書では「45」と記載しているが、「44」の誤記と認める。)も同様に訂正する。)」を、「「請求項1、2、3、6、9、28、30、31、32、33、34、35、36又は37記載の硬化性樹脂組成物」を追加する。(請求項38の記載を引用する請求項41~45も同様に訂正する。)」に補正し、訂正特許請求の範囲の請求項38の「請求項1、2、3、6、9、28、29、30、31、32、33、34、35、36又は37記載の硬化性樹脂組成物。」を、「請求項1、2、3、6、9、28、30、31、32、33、34、35、36又は37記載の硬化性樹脂組成物。」に補正する。
(10)補正事項10
訂正請求書の「7(2)」の「マ 訂正事項31」の「請求項1、2、3、6、9、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物。」を、「請求項1、2、3、6、9、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物。」に補正し、訂正特許請求の範囲の請求項41の「請求項1、2、3、6、9、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物。」を、「請求項1、2、3、6、9、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物。」に補正する。
(11)補正事項11
訂正請求書の「7(3)」の「ア 一群の請求項についての説明」の「上記訂正事項1、訂正事項2によって記載が訂正される請求項1、上記訂正事項6によって記載が訂正される請求項7」を、「上記訂正事項1によって記載が訂正される請求項1、上記訂正事項6、7によって記載が訂正される請求項8」に補正する。
(12)補正事項12
訂正請求書の「7(3)イ」の「(ク)訂正事項8」の「無機ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる充填剤」を、「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」に補正する。
(13)補正事項13
訂正請求書の「7(3)イ」の「(ナ)訂正事項26」を、「(ナ)訂正事項36」に補正し、「(ナ)訂正事項26」の「訂正事項26」(4個所)を、いずれも「訂正事項36」に補正する。
また、令和7年3月25日提出の手続補正書による補正は、以下の補正事項である。
(14)補正事項14
訂正請求書の「7(2)」の「シ 訂正事項12」の「8 、10、11、12又は13記載の硬化性樹脂組成物」を、「請求項8、10、11、12又は13記載の硬化性樹脂組成物」に補正する。また、訂正特許請求の範囲の請求項14の「8、10、11、12又は13記載の硬化性樹脂組成物」を、「請求項8、10、11、12又は13記載の硬化性樹脂組成物」に補正する。
(15)補正事項15
訂正請求書の「7(2)」の「ヤ 訂正事項36」の「8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26又は27記載の硬化性樹脂組成物」を、「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26又は27記載の硬化性樹脂組成物」に補正する。また、訂正特許請求の範囲の請求項46の「8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26又は27記載の硬化性樹脂組成物」を、「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26又は27記載の硬化性樹脂組成物」に補正する。
2 要旨変更の有無について
(1)補正事項1及び2について
補正事項1及び2は、補正前の訂正事項35において、「請求項45として、「請求項9、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物・・・仮固定材。」を追加する。」と記載したところ、請求項45の引用先として請求項38が欠落した箇所について、当該訂正事項35の記載と整合させるものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。(なお、請求項45が引用する請求項38は請求項1及び6を引用するものである。)
(2)補正事項3について
補正事項3は、補正前の訂正事項14において、訂正特許請求の範囲の請求項20~22、26、27及び46はいずれも請求項19を引用してないため整合性のない記載であるところ、当該記載を正すものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(3)補正事項4について
補正事項4は、補正前の訂正事項16の請求項26の記載と、訂正特許請求の範囲の請求項26の記載とが整合していないところ、訂正特許請求の範囲の請求項26の記載に整合させるものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(4)補正事項5について
補正事項5は、補正前の訂正事項17において、「請求項27として、「・・・請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は26記載の硬化性樹脂組成物・・・。」を追加する。」と記載したところ、請求項27の引用先として請求項18が欠落した箇所について、当該訂正事項17の記載と整合させるものであり、かつ、当該訂正事項17において、請求項27の引用先として請求項19を含むが、請求項27は「硬化性樹脂組成物」に係る発明であるのに対し、請求項19は「仮固定材」に係る発明であり、引用形式として整合性のない記載となっていたところ、当該記載を正すものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(5)補正事項6について
補正事項6は、補正前の訂正事項19において、訂正特許請求の範囲の請求項37、38及び41~44はいずれも請求項19を引用していないため整合性のない記載であるところ、当該記載を正すものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(6)補正事項7について
補正事項7は、補正前の訂正事項22において、訂正特許請求の範囲の請求項33は請求項32を引用していないため整合性のない記載であるところ、当該記載を正すものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(7)補正事項8について
補正事項8は、補正前の訂正事項27において、訂正特許請求の範囲の請求項39及び40は請求項37を引用していないため整合性のない記載であるところ、当該記載を正すものであり、かつ、上記(1)で述べたとおり、請求項45の引用先として請求項37及び請求項38が欠落した箇所について、当該訂正事項35の記載と整合させるものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(8)補正事項9について
補正事項9は、補正前の訂正事項28において、請求項38の引用先として請求項29を含むが、請求項38は「硬化性樹脂組成物」に係る発明であるのに対し、請求項29は「仮固定材」に係る発明であり、引用形式として整合性のない記載であるところ、当該記載を正すものであり、かつ、上記(1)で述べたとおり、請求項45の引用先として請求項38が欠落した箇所について、当該訂正事項35の記載と整合させるものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(9)補正事項10について
補正事項10は、補正前の訂正事項31において、請求項41の引用先として請求項29を含むが、請求項41は「硬化性樹脂組成物」に係る発明であるのに対し、請求項29は「仮固定材」に係る発明であり、引用形式として整合性のない記載であるところ、当該記載を正すものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
(10)補正事項11~15について
補正事項11~15は、いずれも軽微な瑕疵の補正であるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
3 まとめ
したがって、補正事項1~15はいずれも訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するので、令和6年11月21日及び令和7年3月25日提出の手続補正書による訂正請求書の補正を認める。
第3 訂正の適否についての判断
(1)請求の趣旨
令和6年11月21日及び令和7年3月25日提出の手続補正書により補正された令和6年10月7日提出の訂正請求書による訂正の請求における請求の趣旨は、「特許第7194313号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~46について訂正することを求める。」というものである。
(2)訂正の内容
上記訂正請求書による訂正の請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。」とあるのを、
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)であり、
接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1N/inch以上1.5N/inch以下となることを特徴とする硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。」に訂正し、以下の化学式及び化学式についての注釈を追加する(請求項1の記載を引用する請求項2、3、6、28、29、37、38、41~45も同様に訂正する。)。
(当審注:一般式(4-1)で表される基、一般式(4-2)で表される基、一般式(4-3)で表される基及び下記一般式(4-4)で表される基の化学式並びに当該化学式についての注釈、樹脂(2-i)のX4、X5、一般式(1d)で表される構成単位及び一般式(1e)で表される構成単位の化学式並びに当該化学式についての注釈、式IA、IB、IC及びIDの化学式並びに当該化学式についての注釈は、省略するが、下記第4の請求項1に示すとおりである。以下同様。)
イ 訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項4を削除する。
ウ 訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項5を削除する。
エ 訂正事項4
訂正前の特許請求の範囲の請求項6に、「請求項4記載の硬化性樹脂組成物」とあるのを、「請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項28、29、37、38、41~45も同様に訂正する。)
オ 訂正事項5
訂正前の特許請求の範囲の請求項7を削除する。
カ 訂正事項6
訂正前の特許請求の範囲の請求項8に、「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の硬化性樹脂組成物。」とあるのを、
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり、
イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。」に訂正し、以下の化学式及び化学式についての注釈を追加する。(請求項8の記載を引用する請求項10~24、26、27及び46も同様に訂正する。)
キ 訂正事項7
訂正前の特許請求の範囲の請求項8に、「硬化性樹脂組成物。」とあるのを、
「硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。」に訂正し、以下の化学式及び化学式についての注釈を追加する。(請求項8の記載を引用する請求項10~24、26、27及び46も同様に訂正する。)
ク 訂正事項8
訂正前の特許請求の範囲の請求項9に、
「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の硬化性樹脂組成物」とあるのを、
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり、
更に、ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物」
に訂正する。(請求項9の記載を引用する請求項30~45も同様に訂正する。)
ケ 訂正事項9
訂正前の特許請求の範囲の請求項10に、「請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の硬化性樹脂組成物」とあるのを、「請求項8記載の硬化性樹脂組成物」に訂正する。(請求項10の記載を引用する請求項11~24、26、27及び46も同様に訂正する。)
コ 訂正事項10
訂正前の特許請求の範囲の請求項11に、「請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の硬化性樹脂組成物」とあるのを、「請求項8又は10記載の硬化性樹脂組成物」に訂正する。(請求項11の記載を引用する請求項12~24、26、27及び46も同様に訂正する。)
サ 訂正事項11
訂正前の特許請求の範囲の請求項13に、「請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の硬化性樹脂組成物」とあるのを、「請求項8、10、11又は12記載の硬化性樹脂組成物」に訂正する。(請求項13の記載を引用する請求項14~24、26、27及び46も同様に訂正する。)
シ 訂正事項12
訂正前の特許請求の範囲の請求項14に、「請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の硬化性樹脂組成物」とあるのを、「請求項8、10、11、12又は13記載の硬化性樹脂組成物」に訂正する。(請求項14の記載を引用する請求項15~24、26、27及び46も同様に訂正する。)
ス 訂正事項13
訂正前の特許請求の範囲の請求項17に、「請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16記載の硬化性樹脂組成物」とあるのを、「請求項8、10、11、12、13、14、15又は16記載の硬化性樹脂組成物」に訂正する。(請求項17の記載を引用する請求項18~24、26、27及び46も同様に訂正する。)
セ 訂正事項14
訂正前の特許請求の範囲の請求項19に、「請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18記載の硬化性樹脂組成物」とあるのを、「請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17又は18記載の硬化性樹脂組成物」に訂正する。(請求項19の記載を引用する請求項23及び24も同様に訂正する。)
ソ 訂正事項15
訂正前の特許請求の範囲の請求項25に、
「請求項20、21又は22記載の仮固定材を用いた電子部品の製造方法であって、
前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、
前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程と、
前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を硬化する硬化工程と、
前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程と、
前記第1の接着剤層から気体を発生させる気体発生工程と、
前記支持体と前記仮固定材とを剥離する剥離工程とを有する
ことを特徴とする電子部品の製造方法。」とあるのを、
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、更に、気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材を用いた電子部品の製造方法であって、
前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、
前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程と、
前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を硬化する硬化工程と、
前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程と、
前記第1の接着剤層から気体を発生させる気体発生工程と、
前記支持体と前記仮固定材とを剥離する剥離工程とを有する
ことを特徴とする電子部品の製造方法。」に訂正する。
タ 訂正事項16
請求項26として、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)及び前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)からなる群より選択される少なくとも1つは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することを特徴とする請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17又は18記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項26の記載を引用する請求項27、46も同様に訂正する。)
チ 訂正事項17
請求項27として、「前記マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、下記一般式(1b)で表される構成単位、及び、下記一般式(1c)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0、u≧0)、両末端がそれぞれX1及びX2で表される化合物(1-ii)であることを特徴とする請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は26記載の硬化性樹脂組成物。・・・」を追加する。(請求項27の記載を引用する請求項46も同様に訂正する。)
(当審注:化合物(1-ii)のX1、X2、X3、一般式(1a)で表される構成単位、一般式(1b)で表される構成単位及び一般式(1c)で表される構成単位の化学式並びに当該化学式についての注釈は、省略するが、下記第4の請求項27に示すとおりである。以下同様。)
ツ 訂正事項18
請求項28として、「更に、重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は6記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項28の記載を引用する請求項29、37、38及び41~44も同様に訂正する。)
テ 訂正事項19
請求項29として、「請求項1、2、3、6又は28記載の硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を有することを特徴とする仮固定材。」を追加する。
ト 訂正事項20
請求項30として、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)及び前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)からなる群より選択される少なくとも1つは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することを特徴とする請求項9記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項30の記載を引用する請求項31~45も同様に訂正する。)
ナ 訂正事項21
請求項31として、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であることを特徴とする請求項9又は30記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項31の記載を引用する請求項32~45も同様に訂正する。)
ニ 訂正事項22
請求項32として、「前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項31記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項32の記載を引用する請求項34~45も同様に訂正する。)
ヌ 訂正事項23
請求項33として、「前記マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、下記一般式(1b)で表される構成単位、及び、下記一般式(1c)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0、u≧0)、両末端がそれぞれX1及びX2で表される化合物(1-ii)であることを特徴とする請求項31記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項33の記載を引用する請求項34~45も同様に訂正する。)
ネ 訂正事項24
請求項34として、「前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)であることを特徴とする請求項9、30、31、32又は33記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項34の記載を引用する請求項35~45も同様に訂正する。)
ノ 訂正事項25
請求項35として、「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上であることを特徴とする請求項9、30、31、32、33又は34記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項35の記載を引用する請求項36~45も同様に訂正する。)
ハ 訂正事項26
請求項36として、「更に、重合開始剤を含有することを特徴とする請求項9、30、31、32、33、34又は35記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項36の記載を引用する請求項37~45も同様に訂正する。)
ヒ 訂正事項27
請求項37として、「前記重合開始剤は、光重合開始剤であり、前記光重合開始剤は、405nmにおけるモル吸光係数が1以上である光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項28又は36記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項37の記載を引用する請求項38及び41~45も同様に訂正する。)
フ 訂正事項28
請求項38として、「更に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含むことを特徴とする請求項1、2、3、6、9、28、30、31、32、33、34、35、36又は37記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項38の記載を引用する請求項41~45も同様に訂正する。)
ヘ 訂正事項29
請求項39として、「前記無機充填剤の平均粒子径が5nm以上20μm以下であることを特徴とする請求項9、30、31、32、33、34、35又は36記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項39の記載を引用する請求項40~45も同様に訂正する。)
ホ 訂正事項30
請求項40として、「前記無機充填剤の含有量が、前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に対して1重量部以上、20重量部以下であることを特徴とする請求項9、30、31、32、33、34、35、36又は39記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項40の記載を引用する請求項41~45も同様に訂正する。)
マ 訂正事項31
請求項41として、「更に、気体発生剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、6、9、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。(請求項41の記載を引用する請求項42~44も同様に訂正する。)
ミ 訂正事項32
請求項42として、「請求項41記載の硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有することを特徴とする仮固定材。」を追加する。(請求項42の記載を引用する請求項43~44も同様に訂正する。)
ム 訂正事項33
請求項43として、「前記第1の接着剤層は、硬化後のゲル分率が50重量%以上であることを特徴とする請求項42記載の仮固定材。」を追加する。(請求項43の記載を引用する請求項44も同様に訂正する。)
メ 訂正事項34
請求項44として、「更に、基材を有し、前記基材の両面にそれぞれ第1の接着剤層及び第2の接着剤層が積層されていることを特徴とする請求項42又は43記載の仮固定材。」を追加する。
モ 訂正事項35
請求項45として、「請求項9、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を有し、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が1.5N/inch以下であることを特徴とする仮固定材。」を追加する。
ヤ 訂正事項36
請求項46として、「5%重量減少温度が350℃以上であることを特徴とする請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26又は27記載の硬化性樹脂組成物。」を追加する。
ユ 一群の請求項について
訂正前の請求項1~25について、請求項2~25は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項1~25に対応する訂正後の請求項1~46は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
ヨ 別の訂正単位とする求め
特許権者は、訂正後の請求項25について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載されていた「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」の含有量を限定し、訂正前の請求項1に記載されていた「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」について特定のものに限定し、さらに、訂正前の請求項1に記載されていた「硬化性樹脂組成物」について「接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力」の範囲を限定し、訂正前の請求項1に記載されていた「硬化性樹脂組成物」から、特定の樹脂組成物を除外して「除くクレーム」とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1は、訂正前の請求項4、5、7、9及び23並びに本件明細書の【0113】の【表1】の記載に基づくものであり、かつ、訂正前の請求項1に係る発明から「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物」を除外したものであり、いわゆる除くクレームとする訂正であって、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2、3及び5について
訂正事項2は請求項4、訂正事項3は請求項5を、訂正事項5は請求項7をそれぞれ削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項6が引用する請求項4が訂正後の請求項1に組み込まれたことに伴い、訂正前の請求項6が引用する請求項4が引用する「請求項1、2又は3」と整合させるため、訂正前の請求項6の引用請求項を変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項8が請求項1、2、3、4、5、6又は7を引用するものであったのを、訂正前の請求項8について、請求項1を引用するものとした上で、請求項間の引用関係を解消し独立形式へ改めるとともに、さらに、訂正前の請求項1に記載されていた「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」の含有量、及び、訂正前の請求項1に記載されていた「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」又は「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)」について、上記アのとおり限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
そして、訂正事項6は、上記アで述べたとおり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
オ 訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項8に記載されていた「硬化性樹脂組成物」から特定の樹脂組成物を除外して「除くクレーム」とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項7は、上記アで述べたとおり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
カ 訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項9が請求項1、2、3、4、5、6、7又は8を引用するものであったのを、訂正前の請求項9について、請求項1を引用するものとした上で、請求項間の引用関係を解消し独立形式へ改めるとともに、さらに、特定の無機充填剤を含むことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
そして、訂正事項8は、訂正前の請求項14及び本件明細書の【0067】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
キ 訂正事項9~14について
訂正事項9は、訂正前の請求項10について引用請求項を限定するものであり、訂正事項10は、訂正前の請求項11について引用請求項を限定するものであり、訂正事項11は、訂正前の請求項13について引用請求項を限定するものであり、訂正事項12は、訂正前の請求項14について引用請求項を限定するものであり、訂正事項13は、訂正前の請求項17について引用請求項を限定するものであり、訂正事項14は、訂正前の請求項19について引用請求項を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ク 訂正事項15について
訂正事項15は、訂正前の請求項25が請求項20、21又は22を引用するものであったのを、訂正前の請求項25について、訂正前の請求項1を引用する請求項17を引用する請求項20を引用するものとした上で、請求項間の引用関係を解消し独立形式へ改めるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ケ 訂正事項16、17及び36について
訂正事項16、17及び36は、訂正前の請求項8が請求項1、2、3、4、5、6又は7を引用するものであったのを、訂正後の請求項26、27及び46について、訂正後の請求項8を直接又は間接的に引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
コ 訂正事項18及び19について
訂正事項18及び19は、訂正前の請求項11が1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を引用するものであり、訂正前の請求項19が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18を引用するものであったのを、訂正後の請求項28及び29について、訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
サ 訂正事項20~25、29、30及び35について
訂正事項20~25、29、30及び35は、訂正前の請求項9が請求項1、2、3、4、5、6、7又は8を引用するものであったのを、訂正後の請求項30~35、39、40及び45について、訂正後の請求項9を直接又は間接的に引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
シ 訂正事項26について
訂正事項26は、訂正前の請求項11が1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を引用するものであったのを、訂正後の請求項36について、訂正後の請求項9を直接又は間接的に引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ス 訂正事項27及び28について
訂正事項27及び28は、訂正前の請求項12が引用する請求項11が1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を引用するものであり、訂正前の請求項13が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12を引用するものであったのを、訂正後の請求項37及び38について、訂正後の請求項1及び請求項9を直接又は間接的に引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
セ 訂正事項31について
訂正事項31は、訂正前の請求項17が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16を引用するものであったのを、訂正後の請求項41について、訂正後の請求項1及び請求項9を直接又は間接的に引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ソ 訂正事項32~34について
訂正事項32~34は、訂正前の請求項20~22が引用する請求項17が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16を引用するものであったのを、訂正後の請求項42~44について、訂正後の請求項1及び請求項9を間接的に引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)独立特許要件について
本件は、訂正前の全ての請求項である請求項1~25に対して特許異議の申立てがされているので、訂正後の請求項1~46については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。
よって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-24、26-46〕、25について訂正することを認める。
第4 本件発明
上記第3のとおりであるから、本件特許の請求項1~46に係る発明(以下、順に「本件発明1」のようにいい、総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~46に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)であり、
接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1N/inch以上1.5N/inch以下となることを特徴とする硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。
【化1】
[図:0001426785000001.jpg]
一般式(4-1)~(4-4)中、R1~R8及びR13~R20はそれぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表す。
【化3】
[図:0001426785000002.jpg]
一般式(1d)~(1e)中、P4及びP5は、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Q3は、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Q4は、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X4及びX5は、マレイミド基を含有しない基を表す。
【化8】
[図:0001426785000003.jpg]
[図:0001426785000004.jpg]
式中、Rは、独立して、置換または非置換の、脂肪族、脂環式、アルケニル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位であり、R’はアルコール官能化ジアミンであり;各Qは、独立して、置換または非置換の、脂肪族、脂環式、アルケニル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位であり;各R’’はHまたはメチルであり、zは独立して置換または非置換の、脂肪族または芳香族部位であり、nおよびmは10から約100の値を有する整数であり、ただし硬化性ポリイミドの平均分子量は20,000ダルトンより大きい。
【請求項2】
5%重量減少温度が350℃以上であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)及び前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)からなる群より選択される少なくとも1つは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、下記一般式(1b)で表される構成単位、及び、下記一般式(1c)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0、u≧0)、両末端がそれぞれX1及びX2で表される化合物(1-ii)であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
【化2】
[図:0001426785000005.jpg]
一般式(1a)~(1c)中、P1、P2及びP3は、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Q1は、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Q2は、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表し、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の脂肪族基又は芳香族基を表す。X1、X2及びX3からなる群より選択される少なくとも1つは、マレイミド基含有基を表す。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり、
イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)であることを特徴とする硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。
【化1】
[図:0001426785000006.jpg]
一般式(4-1)~(4-4)中、R1~R8及びR13~R20はそれぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表す。
【化3】
[図:0001426785000007.jpg]
一般式(1d)~(1e)中、P4及びP5は、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Q3は、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Q4は、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X4及びX5は、マレイミド基を含有しない基を表す。
【化8】
[図:0001426785000008.jpg]
[図:0001426785000009.jpg]
式中、Rは、独立して、置換または非置換の、脂肪族、脂環式、アルケニル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位であり、R’はアルコール官能化ジアミンであり;各Qは、独立して、置換または非置換の、脂肪族、脂環式、アルケニル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、芳香族、ヘテロ芳香族、またはシロキサン部位であり;各R’’はHまたはメチルであり、zは独立して置換または非置換の、脂肪族または芳香族部位であり、nおよびmは10から約100の値を有する整数であり、ただし硬化性ポリイミドの平均分子量は20,000ダルトンより大きい。
【請求項9】
マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり、
更に、ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であることを特徴とする請求項8記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
更に、重合開始剤を含有することを特徴とする請求項8又は10記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
前記重合開始剤は、光重合開始剤であり、前記光重合開始剤は、405nmにおけるモル吸光係数が1以上である光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項11記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
更に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含むことを特徴とする請求項8、10、11又は12記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項14】
更に、無機充填剤を含むことを特徴とする請求項8、10、11、12又は13記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項15】
前記無機充填剤の平均粒子径が5nm以上20μm以下であることを特徴とする請求項14記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項16】
前記無機充填剤の含有量が、前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に対して1重量部以上、20重量部以下であることを特徴とする請求項14又は15記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項17】
更に、気体発生剤を含有することを特徴とする請求項8、10、11、12、13、14、15又は16記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項18】
前記気体発生剤は、TG-DTA(熱重量-示差熱分析)測定にて窒素雰囲気下で30℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱したときの300℃における重量減少率が5%以下であることを特徴とする請求項17記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項19】
請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17又は18記載の硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を有することを特徴とする仮固定材。
【請求項20】
請求項17又は18記載の硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有することを特徴とする仮固定材。
【請求項21】
前記第1の接着剤層は、硬化後のゲル分率が50重量%以上であることを特徴とする請求項20記載の仮固定材。
【請求項22】
更に、基材を有し、前記基材の両面にそれぞれ第1の接着剤層及び第2の接着剤層が積層されていることを特徴とする請求項20又は21記載の仮固定材。
【請求項23】
硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が1.5N/inch以下であることを特徴とする請求項19、20、21又は22記載の仮固定材。
【請求項24】
請求項19、20、21、22又は23記載の仮固定材に電子部品を仮固定する仮固定工程と、
前記仮固定材の接着剤層を硬化する硬化工程と、
前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程と、
前記仮固定材から前記電子部品を剥離する剥離工程とを含む
ことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項25】
マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、更に、気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材を用いた電子部品の製造方法であって、
前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、
前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程と、
前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を硬化する硬化工程と、
前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程と、
前記第1の接着剤層から気体を発生させる気体発生工程と、
前記支持体と前記仮固定材とを剥離する剥離工程とを有する
ことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項26】
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)及び前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)からなる群より選択される少なくとも1つは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することを特徴とする請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17又は18記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項27】
前記マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、下記一般式(1b)で表される構成単位、及び、下記一般式(1c)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0、u≧0)、両末端がそれぞれX1及びX2で表される化合物(1-ii)であることを特徴とする請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は26記載の硬化性樹脂組成物。
【化2】
[図:0001426785000010.jpg]
一般式(1a)~(1c)中、P1、P2及びP3は、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Q1は、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Q2は、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表し、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の脂肪族基又は芳香族基を表す。X1、X2及びX3からなる群より選択される少なくとも1つは、マレイミド基含有基を表す。
【請求項28】
更に、重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は6記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項29】
請求項1、2、3、6又は28記載の硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を有することを特徴とする仮固定材。
【請求項30】
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)及び前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)からなる群より選択される少なくとも1つは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することを特徴とする請求項9記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項31】
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であることを特徴とする請求項9又は30記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項32】
前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項31記載の硬化性樹脂組成物。
【化1】
[図:0001426785000011.jpg]
一般式(4-1)~(4-4)中、R1~R8及びR13~R20はそれぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表す。
【請求項33】
前記マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、下記一般式(1b)で表される構成単位、及び、下記一般式(1c)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0、u≧0)、両末端がそれぞれX1及びX2で表される化合物(1-ii)であることを特徴とする請求項31記載の硬化性樹脂組成物。
【化2】
[図:0001426785000012.jpg]
一般式(1a)~(1c)中、P1、P2及びP3は、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Q1は、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Q2は、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表し、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の脂肪族基又は芳香族基を表す。X1、X2及びX3からなる群より選択される少なくとも1つは、マレイミド基含有基を表す。
【請求項34】
前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)であることを特徴とする請求項9、30、31、32又は33記載の硬化性樹脂組成物。
【化3】
[図:0001426785000013.jpg]
一般式(1d)~(1e)中、P4及びP5は、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Q3は、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Q4は、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X4及びX5は、マレイミド基を含有しない基を表す。
【請求項35】
イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上であることを特徴とする請求項9、30、31、32、33又は34記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項36】
更に、重合開始剤を含有することを特徴とする請求項9、30、31、32、33、34又は35記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項37】
前記重合開始剤は、光重合開始剤であり、前記光重合開始剤は、405nmにおけるモル吸光係数が1以上である光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項28又は36記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項38】
更に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含むことを特徴とする請求項1、2、3、6、9、28、30、31、32、33、34、35、36又は37記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項39】
前記無機充填剤の平均粒子径が5nm以上20μm以下であることを特徴とする請求項9、30、31、32、33、34、35又は36記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項40】
前記無機充填剤の含有量が、前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に対して1重量部以上、20重量部以下であることを特徴とする請求項9、30、31、32、33、34、35、36又は39記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項41】
更に、気体発生剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、6、9、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項42】
請求項41記載の硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有することを特徴とする仮固定材。
【請求項43】
前記第1の接着剤層は、硬化後のゲル分率が50重量%以上であることを特徴とする請求項42記載の仮固定材。
【請求項44】
更に、基材を有し、前記基材の両面にそれぞれ第1の接着剤層及び第2の接着剤層が積層されていることを特徴とする請求項42又は43記載の仮固定材。
【請求項45】
請求項9、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40記載の硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を有し、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が1.5N/inch以下であることを特徴とする仮固定材。
【請求項46】
5%重量減少温度が350℃以上であることを特徴とする請求項8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26又は27記載の硬化性樹脂組成物。」
第5 特許異議申立書に記載された申立理由の概要、証拠方法及び取消理由の概要
1 申立人Aが提出した特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由の概要及び証拠方法
令和5年6月9日に申立人Aが提出した特許異議申立書(以下、「申立書A」という。)に記載した特許異議申立ての理由の概要は次のとおりである。
(1)申立人Aが提出した証拠方法
・甲第1号証:特開2016-113498号公報
・甲第2号証:特開2005-82628号公報
・甲第3号証:特表2020-525575号公報
・甲第4号証:特開2018-203959号公報
・甲第5号証:特開2015-193725号公報
・甲第6号証:国際公開第2019/188185号
・甲第7号証:特開2017-173479号公報
・甲第8号証:特開2017-105749号公報
・甲第9号証:国際公開第2018/155029号
以下、「甲第1号証」~「甲第9号証」を、「甲A1」~「甲A9」という。
(2)申立理由A1(甲A1を主引例とする新規性・進歩性)
本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1~16に係る発明は、甲A1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~16に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(3)申立理由A2(甲A2を主引例とする新規性・進歩性)
本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1~16に係る発明は、甲A2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~16に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(4)申立理由A3(甲A3を主引例とする新規性・進歩性)
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A3に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1及び3~16に係る発明は、甲A3に記載され発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1及び3~16に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(5)申立理由A4(サポート要件)
本件特許の請求項1~12に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
・本件特許の請求項1~12は、本件発明1~12についてシリコーン化合物又はフッ素化合物、無機充填剤、及び、気体発生剤のうち少なくとも1種を含有する点を特定するものでないので、本件明細書の【発明の詳細な説明】に記載された発明ではなく、したがって、この点で、本件出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであると認められる。
2 申立人Bが提出した特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由の概要及び証拠方法
令和5年6月13日に申立人Bが提出した特許異議申立書(以下、「申立書B」という。)に記載した特許異議申立ての理由の概要は次のとおりである。
(1)申立人Bが提出した証拠方法
ア 申立書Bに添付した証拠方法
・甲第1号証:特表2020-525575号公報
・甲第2号証:特表2018-531317号公報
・甲第3号証:国際公開第2019/188185号
・甲第4号証:国際公開第2019/188189号
・甲第5号証:国際公開第2020/12978号
・甲第6号証:国際公開第2019/189467号
・甲第7号証:特開平9-12712号公報
・甲第8号証:特表2013-505822号公報
・甲第9号証:特開2017-121807号公報
・甲第10号証:国際公開第2017/111134号
・甲第11号証:国際公開第2020/137980号
・甲第12号証:PCT/JP2020/009894(国際公開第2020/189354号)
以下、「甲第1号証」~「甲第12号証」を、「甲B1」~「甲B12」という。
なお、甲B1は甲A3と同一の文献であり、甲B3は甲A6と同一の文献である。
イ 令和6年3月28日提出の意見書に添付した証拠方法
・参考資料1:自己剥離テープ「耐熱SELFA」、利根川亨ら、日本接着学会誌、Vol.51、No.8、2015年、15~18頁、インターネット<URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesion/51/8/51_8-3/_pdf/-char/ja>
・参考資料2:日本化学会近畿支部「平成27年度 研究最前線講演会要旨集」、「高接着易剥離テープの開発」、畠井宗宏、平成27年5月11日開催、インターネット<URL:
http://kinki.chemistry.or.jp/csjevent/saizen2015-abstract.pdf>
(2)申立理由B1(甲B1を主引例とする新規性・進歩性)
本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1~25に係る発明は、甲B1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~25に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(3)申立理由B2(甲B12に基づく拡大先願)
本件特許の請求項1~4、7及び11に係る発明は、本件特許の優先日前を優先日とする国際出願であって、本件特許の優先日後に国際公開がされた国際出願(PCT/JP2020/009894、国際公開第2020/189354号(甲B12))の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者がその出願前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、本件特許の出願人が上記国際出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13)ものであるから、本件特許の請求項1~4、7及び11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(4)申立理由B3(サポート要件)
本件特許の請求項1~25に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
・本件明細書の実施例を含めた全体的な開示に接する当業者は、たとえ出願時の技術常識を参照したとしても、上記式(A)で表される特定の化合物以外のいずれのビスマレイミドヒ合物(1-I)を用いた場合でさえも、または上記式(B)で表される特定の化合物以外のいずれの化合物(1-II)を用いた場合でさえも、または上記式(C)で表される特定の化合物以外のいずれの樹脂(2-I)を用いた場合でさえも、「被着体と支持体とを固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても支持体との間のボイド及び浮きの発生を抑えることができ、高温加工処理を経た後には容易に剥離できる硬化性樹脂組成物を提供すること」という課題を解決可能であるとは予測することが到底できない。
(5)申立理由B4(実施可能要件)
本件特許の請求項1~25に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
・当業者は、たとえ出願時の技術常識を参照したとしても、上記式(A)で表される特定の化合物以外のいかなるビスマレイミド化合物(1-I)を用いた場合に、または上記式(B)で表される特定の化合物以外のいかなる化合物(1-II)を用いた場合に、または上記式(C)で表される特定の化合物以外のいかなる樹脂(2-I)を用いた場合に、「被着体と支持体とを固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても支持体との間のボイド及び浮きの発生を抑えることができ、高温加工処理を経た後には容易に剥離できる硬化性樹脂組成物」を製造することができるのか、過剰な実験を繰り返すことなしには、本件明細書の記載から理解することができない。
3 申立人Cが提出した特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由の概要及び証拠方法
令和5年6月19日に申立人Cが提出した特許異議申立書(以下、「申立書C」という。)に記載した特許異議申立ての理由の概要は次のとおりである。
(1)申立人Cが提出した証拠方法
・甲第1号証:特開2013-199645号公報
・甲第2号証:国際公開第2015/182469号
・甲第3号証:特開2011-74245号公報
・甲第4号証:特開2013-194056号公報
・甲第5号証:特開2003-231872号公報
・甲第6号証:Progress in Polymer Science, “Modern advances in bismaleimide resin technology: A 21st century perspective on the chemistry of addition polyimides”、平成29年、69号、p.1-21及び抄訳
以下、「甲第1号証」~「甲第6号証」を、「甲C1」~「甲C6」という。
(2)申立理由C1(甲C1を主引例とする新規性・進歩性)
本件特許の請求項1、3、4、7、11、14、15、19及び24に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲C1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項2、6、8~10、12、13、16~18、20~23及び25に係る発明は、甲C1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~4及び6~25に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(3)申立理由C2(甲C2を主引例とする新規性・進歩性)
本件特許の請求項1、2、4、9~11及び19に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲C2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項3、6~8、12~18及び20~25に係る発明は、甲C2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~4及び6~25に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
4 当審が職権により引用する証拠方法
・参考文献1:特開2020-84109号公報
・参考文献2:「セラシュール(R)(当審注:(R)は○囲みのRを示す。)アルミナ系フィラー」、河合石灰工業株式会社、2025年3月19日(検索日)、インターネット<URL:
https://www.kawai-lime.co.jp/product/kind/functional-system/serra-sur.php>
以下、「参考文献1」及び「参考文献2」を、「参考1」及び「参考2」という。
5 取消理由(決定の予告)の概要
令和6年7月11日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要はおおむね次のとおりである。
取消理由3-1(甲A3を主引例とする進歩性)
本件特許の請求項9~13、15~24及び26~32に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項9~13、15~24及び26~32に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
取消理由4-1(甲C1を主引例とする進歩性)
本件特許の請求項1~3、9~11、13~24、26~28及び31に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲C1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~3、9~11、13~24、26~28及び31に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
取消理由5-1(甲C2を主引例とする進歩性)
本件特許の請求項9~11、13、15~24、26、28及び32に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲C2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項9~11、13、15~24、26、28及び32に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
第6 当審の判断
以下に述べるように、取消理由通知(決定の予告)の取消理由及び申立書に記載した申立理由によっては、本件特許の請求項1~3、6、8~46に係る特許を取り消すことはできない。
そして、本件特許の請求項4、5及び7は、上記訂正請求書による訂正の請求により削除され、これらの請求項に係る特許に対する申立人A、B及びCによる特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
1 取消理由3-1並びに申立理由A3及び申立理由B1(甲A3を主引例とする新規性・進歩性)について
上記第5の5の取消理由3-1並びに上記第5の1の申立理由A3及び上記第5の2の申立理由B1は、いずれも甲A3を主引例とする新規性・進歩性についてのものであるので、まとめて検討する。
(1)甲A3に記載された発明
甲A3には、「カリフォルニア州サンディエゴのDesigner Molecules、Inc.から市販されている。化合物の例には、以下の商品名が含まれる:BMI-689;・・・;BMI-1500;・・・;BMI-2500・・・。」(【0230】)と記載されており、実施例9において、ビニルペンダントポリイミド1-I(【0323】)が記載されており、実施例15において、表1の上から10行目のサンプルとして、1-Iを25重量%及び共反応物であるBMI-1500を75重量%からなる樹脂と2重量%のジクミルパーオキサイドを加えて混合して得られる熱硬化性配合物(【0351】~【0352】)が記載されている。
よって、甲A3には、実施例15の表1の上から10行目の熱硬化性配合物に着目すると、以下の発明が記載されている。
「ビニルペンダントポリイミド1-Iを25重量%及び共反応物であるBMI-1500(Designer Molecules、Inc.から市販されている)を75重量%からなる樹脂と2重量%のジクミルパーオキサイドを加えて混合して得られる、熱硬化性配合物。
ここで、ビニルペンダントポリイミド1-Iは以下の構造を示す。
[図:0001426785000014.jpg]
」(以下、「甲A3発明1」という。)
また、甲A3には、実施例1において、ビニルペンダントポリイミド1-A(【0279】)が記載されており、実施例16において、UV硬化性配合物1-A(【0354】)が記載されており、【0360】には、UV硬化性配合物1-Aの成分である4-METAが2-(メタクリロイルオキシ)エチル1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシレートであることが記載されている。
よって、甲A3には、実施例16のUV硬化性配合物に着目すると、以下の発明が記載されている。
「ビニルペンダントポリイミド1-Aを56重量%及びBMI-2500(Designer Molecules、Inc.)を19重量%、SR454(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)を19重量%、4-META(2-(メタクリロイルオキシ)エチル1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシレート)を2重量%、Irgacure(登録商標)819を2重量%、及びIrgacure(登録商標)784を2重量%からなる成分を、混合しながら20gのアニソールに溶解した、UV硬化性配合物。
ここで、ビニルペンダントポリイミド1-Aは以下の構造を示す。
[図:0001426785000015.jpg]
」(以下、「甲A3発明2」という。)
さらに、甲A3には、請求項15には、「接着剤配合物」が記載され、請求項16には「除去可能である、請求項15に記載の接着剤」が記載され、請求項17には「請求項15または請求項16に記載の接着剤で一方の表面の少なくとも一部がコーティングされた物品」が記載され、請求項34において「ウェーハをバックグラインドする方法」が記載されているから、甲A3発明1又は2について請求項34の記載に着目すると、以下の発明が記載されている。
「a)物品の一方の表面の少なくとも一部にコーティングされた、甲A3発明1又は2の除去可能である接着剤をウェーハの上に塗布するステップ;
b)ウェーハをサポートに接着するステップ;
c)ウェーハを研削と研磨するステップ;
d)ウェーハをサポートから取り外すステップ;および
e)ウェーハから接着剤を除去するステップ、
を含む、ウェーハをバックグラインドする方法。」(以下、「甲A3発明3」という。)
(2)本件発明1について
ア 甲A3発明1との対比・判断
本件発明1と甲A3発明1とを対比する。
(ア)甲A3発明1の「BMI-1500(Designer Molecules、Inc.から市販されている)」は、甲B2の【0252】の【化31】、甲B3の[0115]の式(1)及び[0163]、並びに甲B4の[0060]の式(9)及び[0150]に記載のBMI-1500の化学構造からみて、2つのマレイミド基と一般式(4-2)で表される基であるダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有するビスマレイミド化合物であるから、本件発明1の「ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つである」「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」に相当する。
(イ)甲A3発明1の「ビニルペンダントポリイミド1-I」は、nの繰り返し数である構造単位及びmの繰り返し数である構造単位が本件発明1の「一般式(1d)で表される構造単位」に相当し、oの繰り返し数である構造単位が本件発明1の「一般式(1e)で表される構造単位」に相当し、マレイミド基を有しないことは明らかであるから、本件発明1の「下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」である「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である」「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」に相当する。
(ウ)甲A3発明1の「ビニルペンダントポリイミド1-I」は、式IAの構造を有する硬化可能なポリイミドであるから、本件発明1において除外される「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミド」に相当する。
(エ)甲A3発明1の「熱硬化性配合物」は、本件発明1の「硬化性樹脂組成物」に相当する。
(オ)甲A3発明1は、「ビニルペンダントポリイミド1-Iを25重量%及び共反応物であるBMI-1500(Designer Molecules、Inc.から市販されている)を75重量%」であるから、両者の合計量100重量部に占める「ビニルペンダントポリイミド1-I」の含有量は25重量%であり、本件発明1の「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり」との特定事項を満たす。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)である硬化性樹脂組成物。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点A3-1
本件発明1は、「接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1N/inch以上1.5N/inch以下となる」のに対し、甲A3発明1はそのような特定がない点。
・相違点A3-2
硬化性樹脂組成物が、本件発明1は「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く」のに対し、甲A3発明1は式IAの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物である点。
事案に鑑み、相違点A3-2について検討する。
甲A3発明1は、「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物」に該当し、本件発明1から除かれているものであるから、相違点A3-2は実質的な相違点である。
そして、甲A3は、「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミド」を用いることを必須とするものであり(甲A3の請求項1)、甲A3の記載を考慮しても、甲A3発明1の「ビニルペンダントポリイミド1-I」を、「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミド」以外の「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂」に改変する動機付けがあるとはいえないから、甲A3発明1において、「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、相違点A3-2に係る発明特定事項は、甲A3発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲A3発明2との対比・判断
本件発明1と甲A3発明2とを対比する。
(ア)甲A3発明2の「BMI-2500(Designer Molecules、Inc.)」は、参考1の【0081】に記載されているBMI-2500の下記化学構造からみて、2つのマレイミド基と一般式(4-2)で表される基であるダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有するビスマレイミド化合物かつイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂であるから、本件発明1の「ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つである」「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」に相当する。
[図:0001426785000016.jpg]
(イ)甲A3発明2の「ビニルペンダントポリイミド1-A」は、nの繰り返し数である構造単位及びmの繰り返し数である構造単位が本件発明1の「一般式(1d)で表される構造単位」に相当し、マレイミド基を有しないことは明らかであるから、本件発明1の「下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」である「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である」「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」に相当する。
(ウ)甲A3発明2の「ビニルペンダントポリイミド1-A」は、式IAの構造を有する硬化可能なポリイミドであるから、本件発明1において除外される「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミド」に相当する。
(エ)甲A3発明2の「UV硬化性配合物」は、本件発明1の「硬化性樹脂組成物」に相当する。
(オ)甲A3発明2は、「ビニルペンダントポリイミド1-Aを56重量%及びBMI-2500(Designer Molecules、Inc.)を19重量%」であるから、両者の合計量100重量部に占める「ビニルペンダントポリイミド1-A」の含有量は約75重量%(≒56/(56+19)×100)であり、本件発明1の「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり」との特定事項を満たす。
そうすると、両者は上記アの<一致点>と同様の点で一致し、上記アの相違点A3-1及び相違点A3-2の点で相違し、上記相違点A3-2は上記アと同様に判断される。
したがって、相違点A3-2に係る発明特定事項は、甲A3発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 本件発明1についてのまとめ
上記ア及びイのとおりであるから、相違点A3-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A3に記載された発明ではないし、甲A3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)本件発明2、3、6、28及び29について
本件発明2、3、6、28及び29は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)で本件発明1について述べたと同様の理由により、本件発明2、3、6、28及び29は、甲A3に記載された発明ではないし、甲A3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件発明8について
ア 甲A3発明1との対比・判断
本件発明8と甲A3発明1とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(オ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は上記(2)アの<一致点>と同様の点で一致し、両者は次の点で相違する。
・相違点A3-3
イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)について、本件発明8は、「2万以上」であるのに対し、甲A3発明1はそのような特定がない点。
・相違点A3-4
硬化性樹脂組成物が、本件発明8は「式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く」のに対し、甲A3発明1は式IAの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物である点。
事案に鑑み、相違点A3-4について検討すると、上記(2)アの相違点A3-2と同旨であるから、上記アと同様に判断される。
したがって、相違点A3-4に係る発明特定事項は、甲A3発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲A3発明2との対比・判断
本件発明8と甲A3発明2とを対比すると、上記(2)イ(ア)~(オ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は上記アの<一致点>と同様の点で一致し、上記アの相違点A3-3及び相違点A3-4の点で相違し、上記相違点A3-4は上記アと同様に判断される。
したがって、相違点A3-4に係る発明特定事項は、甲A3発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 本件発明8についてのまとめ
上記ア及びイのとおりであるから、相違点A3-3について検討するまでもなく、本件発明8は、甲A3に記載された発明ではないし、甲A3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(5)本件発明9について
ア 甲A3発明1との対比・判断
本件発明9と甲A3発明1とを対比すると、上記(2)ア(ア)、(イ)、(エ)及び(オ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下である硬化性樹脂組成物。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点A3-5
本件発明9は、「更に、ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤を含む」のに対し、甲A3発明1はそのような特定がない点。
上記相違点A3-5について検討する。
甲A3発明1は、無機充填剤を含有していないから、相違点A3-5は実質的な相違点である。
甲A3には、「本発明の実施における使用が考えられる充填剤には、グラファイト過フッ素化炭化水素(Teflon(登録商標))(当審注:「グラファイト過フッ素化炭化水素」は、「グラファイト;過フッ素化炭化水素」の誤記と解される。);窒化ホウ素;カーボンナノチューブ;シリカナノ粒子;多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS(登録商標))ナノ粒子などの材料が含まれるが、これらに限定されない。使用が想定される充填剤は、組成物の誘電特性に影響を与え、TgおよびCTE、ならびに組成物の可燃性評価に影響を与える。」(【0236】)と記載されており、充填剤として種々のものが列記されている中の1つとして「シリカナノ粒子」が記載されているにとどまり、物質も物性も共通性のない例示の中から充填剤としてシリカナノ粒子を選択する動機付けはない。
そうすると、甲A3には、甲A3発明1において、「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」を配合する動機付けとなる記載はない。
また、甲B11には、「260℃に達する高温処理を伴う工程に用いた場合であっても被着体を保護し、かつ、糊残りなく剥離することができる粘着テープを提供することを目的とする。」([0006])と記載され、「上記紫外線硬化型粘着剤層は、フィラーを含有することが好ましい。上記紫外線硬化型粘着剤層がフィラーを含有することで弾性率が向上することから粘着テープの耐熱性を向上させることができる。上記フィラーの材料としては例えば、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、カルシウム、ホウ素、マグネシウム、ジルコニア等が挙げられる。」([0034])と記載され、「上記260℃以上の高温で処理する熱処理工程の温度上限は特に限定されず、例えば400℃、好ましくは300℃である。」([0053])と記載され、「(耐熱性の評価)・・・得られたシリコンウエハ/粘着テープ/ガラスウエハの積層体を280℃に設定されたホットプレート(NINOS ND-3H、AZONE社製)の上にシリコンウエハ側を下にして載せ、粘着テープの剥離が発生するまでの時間を測定した。」([0072])と記載されており、紫外線硬化型粘着剤層がフィラーを含有することで弾性率が向上することから粘着テープの耐熱性を向上させること、及び、当該耐熱性は280℃の高温処理における粘着テープの剥離が発生するまでの時間で評価すること、が記載されている。
しかしながら、甲B11には、紫外線硬化型粘着剤層を構成する粘着剤が[0017]~[0024]に記載されているが、マレイミド基を有する反応性化合物を用いることについての記載はないことから、マレイミド基を有する反応性化合物を含む硬化性樹脂組成物における「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」を配合する動機付けとなる記載はない。
そうすると、甲B11にも、甲A3発明1において、「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」を配合する動機付けとなる記載はない。
そして、本件明細書の【0066】には、「上記無機充填剤を含むことにより、硬化性樹脂組成物は、高温における弾性率の低下が抑えられることから、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても高温加工処理中の剥がれをより抑えることができる。」ことが記載されているところ、本件明細書には、無機充填剤(シリカ粒子、トクヤマ社製、MT-10、平均粒子径15nm)を用いた実施例12~15及び17の硬化性樹脂組成物並びに無機充填剤(シリカ粒子、龍森社製、5x、平均粒子径1μm)を用いた実施例16の硬化性樹脂組成物の「硬化後かつ300℃20分加熱後の剥がれ」の評価が「剥がれなし」であるのに対し、上記無機充填剤を用いない実施例2~4の硬化性樹脂組成物の上記評価が「剥がれあり」であることが記載されている(【0114】の【表2】)。
さらに、特許権者が令和6年10月7日に提出した意見書には、無機充填剤として酸化チタン(TTO-55S)、酸化アルミニウム(AA-3N)及び酸化マグネシウム(SG-2000)を用いた追試例1~3の硬化性樹脂組成物の上記評価が「剥がれなし」であることが示されている(6~7頁)。
そうすると、本件発明9は、上記相違点A3-5に係る発明特定事項を備えることにより「300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても高温加工処理中の剥がれをより抑えることができる」(【0066】)という効果を奏する。
よって、相違点A3-5に係る発明特定事項は、甲A3発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲A3発明2との対比・判断
本件発明9と甲A3発明2とを対比すると、上記(2)イ(ア)、(イ)、(エ)及び(オ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は上記アの<一致点>と同様の点で一致し、上記アの相違点A3-5の点で相違し、上記相違点A3-5は上記アと同様に判断される。
したがって、相違点A3-5に係る発明特定事項は、甲A3発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 申立人の主張について
申立人Bは令和6年12月26日に提出の意見書(以下、「申立人B意見書」という。)の9~16頁において、「硬化性樹脂組成物に無機充填剤を添加することによる効果・・・は、甲B11に明記されたとおり当業界で知られた事項であり、また、甲B11の記載と共通する効果は甲A3にも示唆されている。そのうえ、甲A3と甲B11と本件明細書とで無機充填剤を加えることの技術的意味は共通しているし、甲A3と甲B11と本件特許とで硬化性樹脂組成物の主成分は光硬化性(UV硬化性)ポリマーである点に共通しているから、甲B11の技術事項を甲A3発明に適用することによって本件発明9に想到することは当業者にとって容易であり、しかも、硬化性樹脂組成物に添加してよい無機充填剤の種類は甲A3及び甲B11に加えて甲C1の記載からも把握されるとおり当業界で周知である。従って、特許権者によって強調されている本件発明9による効果は、本件発明9に容易に想到することによって必然的に生じるものであるにすぎず、当業者にとって当然に予想され得る効果であって、格別なものでも顕著なものでもない。」と主張している。
しかしながら、上記アで述べたとおり、甲A3及び甲B11のいずれにも、マレイミド基を有する反応性化合物を含む硬化性樹脂組成物において「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」を選択する動機付けについては記載されていないから、甲A3に甲B11を適用したとしても、甲A3発明1及び2において、「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」を配合する動機付けを導くことができない。
したがって、上記主張は採用できない。
エ 本件発明9についてのまとめ
上記ア~ウのとおりであるから、本件発明9は、甲A3に記載された発明ではないし、甲A3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(6)本件発明10~24、26、27及び46について
本件発明10~24、26、27及び46は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(4)について述べたと同様の理由により、本件発明10~24、26、27及び46は、甲A3に記載された発明ではないし、甲A3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(7)本件発明25について
ア 対比・判断
本件発明25と甲A3発明3とを対比すると、上記(2)ア(ア)及び(イ)並びにイ(ア)及び(イ)と同様の相当関係が成り立つ。
甲A3発明3の「ウェーハ」は、本件発明25の「電子部品」に相当する。
甲A3発明3の「サポート」は、本件発明25の「支持体」に相当する。
甲A3発明3の「ウェーハをバックグラインドする方法」は、本件発明25の「電子部品の製造方法」に相当する。
甲A3発明3の「甲A3発明1又は2の除去可能である接着剤」は、本件発明25の「気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材」と、「仮固定材」である限りにおいて一致する。
甲A3発明3の「ウェーハをサポートに接着するステップ」は、甲A3には、「接着剤でコーティングされたウェーハ10aを反転させてウェーハの裏側を露出させ、接着剤をしばしばガラスである支持体30に接合する(ステップC)。」(【0192】)と記載されており、接着剤をサポートと接着させていることから、本件発明25の「前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程」と、「仮固定材の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程」である限りにおいて一致する。
甲A3発明3の「甲A3発明1又は2の除去可能である接着剤をウェーハの上に塗布するステップ」は、本件発明25の「前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程」と、「仮固定材の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程」である限りにおいて一致する。
甲A3発明3の「ウェーハを研削と研磨するステップ」は、甲A3には「研削および個片化(singulation)プロセスが典型的に250℃を超える温度を作り出す」(【0209】)と記載されていることから、本件発明25の「前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程」に相当する。
甲A3発明3の「ウェーハをサポートから取り外すステップ」は、ウェーハに塗布された接着剤を介してサポートから取り外すことは明らかであるから、本件発明25の「前記支持体と前記仮固定材とを剥離する剥離工程」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である仮固定材を用いた電子部品の製造方法であって、
前記仮固定材の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、
前記仮固定材の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程と、
前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程と、
前記支持体と前記仮固定材とを剥離する剥離工程とを有する、電子部品の製造方法。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点A3-6
本件発明25は、「気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材を用いた電子部品の製造方法であって、前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程と」を有するのに対し、甲A3発明3はそのような特定がない点。
・相違点A3-7
本件発明25は、「前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を硬化する硬化工程」を有するのに対し、甲A3発明3はそのような特定がない点。
・相違点A3-8
本件発明25は、「前記第1の接着剤層から気体を発生させる気体発生工程」を有するのに対し、甲A3発明3はそのような特定がない点。
上記相違点A3-6について検討する。
甲A3の記載を考慮しても、甲A3発明3の「ウェーハをバックグラインドする方法」を、「気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材を用い」かつ「前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程」に改変する動機付けがあるとはいえないから、甲A3発明3において、相違点A3-6に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 申立人の主張について
申立人Bは申立書Bにおいて、甲11a発明を認定し、甲A3及び甲B11に基づいて進歩性を有しないと主張している(286~293頁)。
しかしながら、上記(5)で述べたとおり、甲B11には、紫外線硬化型粘着剤層を構成する粘着剤が[0017]~[0024]に記載されているが、硬化性ポリイミドを用いることについての記載はないことから、甲11a発明を認定したとしても、硬化性ポリイミドに関する甲A3の記載事項を適用する動機付けはない。
したがって、申立人Bの上記主張は採用できない。
ウ 本件発明25についてのまとめ
上記ア及びイのとおりであるから、相違点A3-7及びA3-8について検討するまでもなく、本件発明25は、甲A3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件発明30~36、39、40及び45について
本件発明30~36、39、40及び45は、請求項9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(5)について述べたと同様の理由により、本件発明30~36、39、40及び45は、甲A3に記載された発明ではないし、甲A3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(9)本件発明37、38及び41~44について
本件発明37、38及び41~44は、請求項1又は9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)及び(5)について述べたと同様の理由により、本件発明37、38及び41~44は、甲A3に記載された発明ではないし、甲A3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(10)甲A3の実施例15、17及び19に基づく理由
甲A3の実施例15の表1の上から1~3及び11~13行目の熱硬化性配合物、並びに実施例17及び19のUV硬化性組成物に基づいて引用発明を認定した場合も、上記(2)~(9)と同様に判断される。
(11)取消理由3-1並びに申立理由A3及び申立理由B1についてのまとめ
以上のとおりであるから、取消理由3-1並びに申立理由A3及び申立理由B1はその理由がない。
2 取消理由4-1及び申立理由C1(甲C1を主引例とする新規性・進歩性)について
上記第5の5の取消理由4-1及び上記第5の3の申立理由C1は、いずれも甲C1を主引例とする新規性・進歩性についてのものであるので、まとめて検討する。
(1)甲C1に記載された発明
甲C1には、【0073】の実施例1の記載、【0074】の実施例2の記載及び【0077】の【表2】の記載を基に、実施例2の接着剤組成物に着目すると、以下の発明が記載されていると認める。
「3,3’、4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)とダイマージアミン(PRIAMINE1075)をイミド化反応させたポリイミド樹脂(A-1)100g、熱硬化性樹脂(B)としての1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン(BMI-TMH)1.84g、硬化促進剤としてのジクミルパーオキサイド(パークミルD)0.02g、難燃剤(C)としてのべーマイト(「セラシュールBMT-3LV」河合石灰工業(株)製 )25.76g、フェノキシフォスファゼン誘導体(「ラビトルFP-300」)10.00g、有機溶剤(D)としてのシクロヘキサノン42.36g及びメタノール:8.59gの組成からなる、ポリイミド系接着剤組成物。」(以下、「甲C1発明1」という。)
また、実施例2に記載された接着剤組成物を用いて製造した積層体(2)(【0083】)、及び、積層体(2)を用いたはんだ耐熱性の試験方法(【0087】)に着目すると、甲C1には、次の発明が記載されていると認められる。
「甲C1発明1のポリイミド系接着剤組成物を、シート基材に塗布し加熱(200℃、30分間)して得た接着シートの接着剤面に、電解銅箔の処理面を重ね合わせた後、加熱プレス(10MPa、200℃)して作製した、仮固定手段であるキャリアシート又はキャリアテープ又はシートである積層体の接着シートの接着面に、電解銅箔の処理面を重ね合わせ、圧力10MPa、200℃の条件で1分間加熱プレスして積層体を作製する工程と、
その後、積層体を120℃で5分間加熱する工程と、
シート基材面を下にして260℃のはんだ浴に5分間浮かべる工程と、
電解銅箔を剥離する工程と、
を含む、試験片の製造方法。」(以下、「甲C1発明2」という。)
(2)本件発明1について
ア 対比・判断
本件発明1と甲C1発明1とを対比する。
(ア)甲C1発明1の「熱硬化性樹脂(B)としての1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン(BMI-TMH)」は、化学構造からみてビスマレイミド化合物であるから、本件発明1の「ビスマレイミド化合物(1-I)」である「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」に相当する。
(イ)甲C1発明1の「3,3’、4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)とダイマージアミン(PRIAMINE1075)をイミド化反応させたポリイミド樹脂(A-1)」は、ダイマージアミン(PRIAMINE1075)に由来する構成単位は本件発明1の「一般式(1d)で表される構造単位」に相当し、マレイミド基を有しないことは明らかであるから、本件発明1の「下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」である「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である」「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」に相当する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、甲C1発明1は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)であり」との規定を満たす。
(エ)甲C1発明1の「ポリイミド系接着剤組成物」は、硬化促進剤を含み、硬化性であることは明らかであり、さらに、本件発明1の式IA、IB、IC及びID(当審注:IA、IB、IC及びIDの化学構造は省略する。以下も同様。)のいずれの構造を含まないことも明らかであるから、本件発明1の「硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)である、硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点C1-1
本件発明1は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲C1発明1はそのような特定がない点。
・相違点C1-2
本件発明1は、「接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1N/inch以上1.5N/inch以下となる」のに対し、甲C1発明1はそのような特定がない点。
上記相違点C1-1について検討する。
甲C1発明1は、「ポリイミド樹脂(A-1)」と「1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン(BMI-TMH)」との合計100重量部に占める「ポリイミド樹脂(A-1)」の含有量は、約98重量部(=100÷(100+1.84)×100)であり、「20重量部以上、80重量部以下」ではないから、相違点C1-1は実質的な相違点である。
甲C1には、「(B)成分の使用量は特に制限されないが、通常、(A)成分または(A’)成分100重量部(固形分換算)に対して1~150重量部程度、好ましくは3~100重量部程度、いっそう好ましくは3~75重量部である。」(【0047】)と記載されており、ポリイミド樹脂(A)である「ポリイミド樹脂(A-1)」と熱硬化性樹脂(B)である「1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン」との割合は、様々に設定できることが記載されているが、実施例1~13では、ポリイミド(A)と熱硬化性樹脂(B)の合計100重量部に占めるポリイミド(A)の含有量は、約92(=100÷(100+8.65)×100:実施例4,12)~約98.2(=100÷(100+1.84)×100:実施例2,3)の範囲が記載されているにとどまり、当該ポリイミド(A)の含有量として「20重量部以上、80重量部以下」の範囲を選択する動機付けとなる記載はない。
そうすると、甲C1には、甲C1発明1の「ポリイミド樹脂(A-1)」と「1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン(BMI-TMH)」との合計100重量部に占める「ポリイミド樹脂(A-1)」の含有量を「20重量部以上、80重量部以下」に調節する動機付けとなる記載はない。
そして、本件明細書の【0050】には、「上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量がこの範囲内であると、硬化性樹脂組成物は、高温加工処理中はボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体との剥離時により容易に剥離することができる。」ことが記載され、同【0084】には、「本発明の仮固定材は、硬化後かつ300℃10分加熱後(加熱し放冷後)、25℃における対ガラス粘着力が1.5N/inch以下であることが好ましい。上記対ガラス粘着力が上記範囲内であることで、仮固定材は、剥離時により容易に剥離することができる。」と記載されているところ、本件明細書には、マレイミド基を有する反応性化合物(1)とイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が20重量部以上、80重量部以下である実施例1~11の硬化性樹脂組成物の硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1~0.3N/inchであり、「硬化後かつ300℃10分加熱後の剥離性」の評価が「○」であることが記載されている(【0113】の【表1】)。
さらに、特許権者が令和6年10月7日に提出した意見書には、マレイミド基を有する反応性化合物(1)とイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記樹脂(2)の含有量が98重量部である追試参考1の硬化性樹脂組成物の上記対ガラス粘着力が3.2N/inchであることが示されている(6~7頁)。
そうすると、本件発明1は、上記相違点C1-1に係る発明特定事項を備えることにより「硬化性樹脂組成物は、高温加工処理中はボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体との剥離時により容易に剥離することができる」(【0050】)という効果を奏する。
よって、相違点C1-1に係る発明特定事項は、甲C1発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 申立人の主張について
申立人Bは申立人B意見書の4~6頁において、以下のとおり主張している。
(ア)本件発明1の「接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力」の測定方法と、甲C1発明1の積層体に対する加熱処理後の剥離強度の測定方法とは明らかに相違しているから、それらの間の剥離強度の数値範囲を比較することに技術的意義は見出せない。
(イ)取消理由通知書(決定の予告)の「第5 当審の判断」の項目2(17)において、令和6年1月24日の手続補正により補正された令和6年1月11日に提出された訂正請求書によって訂正された本件発明23について述べられたとおり、認定されるべきである。
(ウ)取消理由通知書(決定の予告)の「第5 当審の判断」の項目2(2)において、令和6年1月24日の手続補正により補正された令和6年1月11日に提出された訂正請求書によって訂正された本件発明1について述べられたとおり、認定されるべきである。
上記(ア)の主張について検討すると、上記相違点C1-1については、剥離強度の測定方法の異同にかかわらず、上記アのとおり判断したものであるから、当該主張は上記アの判断に影響しない。
上記(イ)の主張について検討すると、上記アで述べたとおり、追試参考1の追試結果から、本件発明1の「前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量」は、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力に影響を及ぼすと解されるから、硬化性樹脂組成物における硬化性樹脂成分が同じであることのみでもって、当該対ガラス粘着力が「0.1N/inch以上1.5N/inch以下」である蓋然性が高いとはいえない。
上記(ウ)の主張については、上記相違点C1-1で判断したとおりである。
したがって、上記(ア)~(ウ)の主張はいずれも採用できない。
ウ 本件発明1についてのまとめ
上記ア及びイのとおりであるから、相違点C1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲C1に記載された発明ではないし、甲C1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)本件発明2、3、6、28及び29について
本件発明2、3、6、28及び29は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)について述べたと同様の理由により、本件発明2、3、6、28及び29は、甲C1に記載された発明ではないし、甲C1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件発明8について
ア 対比・判断
本件発明8と甲C1発明1とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(エ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は上記(2)の<一致点>と同様の点で一致し、両者は次の点で相違する。
・相違点C1-3
本件発明8は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲C1発明1はそのような特定がない点。
・相違点C1-4
イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)について、本件発明8は、「2万以上」であるのに対し、甲C1発明1はそのような特定がない点。
上記相違点C1-3について検討すると、上記(2)の相違点C1-1と同旨であるから、上記(2)と同様に判断される。
したがって、相違点C1-3に係る発明特定事項は、甲C1発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 申立人の主張について
申立人Bは申立人B意見書の22~26頁において、「甲C1に記載された甲C1発明1の「ポリアミド樹脂(A-1)」は、本件発明8の特定事項「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上であり」を満たす蓋然性が高いか、あるいは、甲C1発明1に基づいて上記特定事項を満たすように調整することは単なる設計変更にすぎず、当業者が容易になし得る事項である。」と主張しているが、当該主張は上記相違点C1-4に関するものであるから、当該主張は上記相違点C1-3についての判断には影響しない。
ウ 本件発明8についてのまとめ
上記ア及びイのとおりであるから、相違点C1-4について検討するまでもなく、本件発明8は、甲C1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明9について
ア 対比・判断
本件発明9と甲C1発明1とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(エ)と同様の相当関係が成り立つ。
甲C1発明1の「べーマイト(「セラシュールBMT-3LV」河合石灰工業(株)製 )」は、参考2には、ベーマイトは天然にも存在するアルミナ水和物の一種であり、化学式がAlOOH(またはAl2O3・H2O)であることが記載されており、アルミニウムの酸化物であるから、本件発明9の「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
更に、ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤を含む硬化性樹脂組成物。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点C1-5
本件発明9は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲C1発明1はそのような特定がない点。
上記相違点C1-5について検討すると、上記(2)の相違点C1-1と同旨であるから、上記(2)と同様に判断される。
したがって、相違点C1-5に係る発明特定事項は、甲C1発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 申立人の主張について
申立人Bは申立人B意見書の6~9頁において、以下のとおり主張している。
(ア)取消理由通知書(決定の予告)の「第5 当審の判断」の項目2(2)において、令和6年1月24日の手続補正により補正された令和6年1月11日に提出された訂正請求書によって訂正された本件発明1について述べられたとおり、認定されるべきである。
(イ)甲C1発明1の接着剤組成物において、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ(酸化ケイ素)等のベーマイト以外の特定種の無機フィラーを使用することは当業者にとって容易な設計変更にすぎず、甲C1発明1の接着剤組成物に無機フィラーを加えることの技術的意味と本件発明9の樹脂組成物に無機充填剤を加えることの技術的意味とが異なることをもって、この容易性が否定されることはない。
(ウ)特許権者は、令和6年10月7日付け意見書の項目(5)ウにて、「格別に顕著な効果」に言及しているが、ここで、「格別に顕著な効果」として述べられた「高温処理中は剥がれにくく不良品とならずかつ高温加工処理を経た後には剥がしやすい」ことは、本発明によって解決されることが求められる課題が解決されることを単に意味するのであって、「格別に」予想外のものではなく、「顕著な」ものでもなく、甲C1発明1から出発して容易に想到される本件発明9によって当然に奏される効果にすぎない。
上記(ア)の主張については、上記相違点C1-5で判断したとおりである。
上記(イ)の主張について検討すると、上記相違点C1-5は無機充填剤を相違点とするものではないから、当該主張は上記アの判断に影響しない。
上記(ウ)の主張について検討すると、上記相違点C1-5については、上記(2)アで述べたとおり、甲C1には、ポリイミド樹脂(A)である「ポリイミド樹脂(A-1)」の使用量は、【0047】及び実施例1~13の記載にとどまり、実施例1~13の範囲を超えて「20重量部以上、80重量部以下」の範囲を選択する動機付けとなる記載はなく、また、上記相違点C1-5に係る発明特定事項を備えることにより本件明細書の(【0050】)に記載した効果を奏するものである。
したがって、上記(ア)~(ウ)の主張はいずれも採用できない。
ウ 本件発明9についてのまとめ
上記ア及びイのとおりであるから、本件発明9は、甲C1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明10~24、26、27及び46について
本件発明10~24、26、27及び46は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(4)について述べたと同様の理由により、本件発明10~24、26、27及び46は、甲C1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明25について
本件発明25と甲C1発明2とを対比すると、上記(2)ア(ア)及び(イ)と同様の相当関係が成り立つ。
甲C1発明2の「電解銅箔」は、本件発明25の「電子部品」に相当する。
甲C1発明2の「シート基材」は、本件発明25の「支持体」に相当する。
甲C1発明2の「試験片の製造方法」は、電解銅箔を用いた方法であるから、本件発明25の「電子部品の製造方法」に相当する。
甲C1発明2の「甲C1発明1のポリイミド系接着剤組成物」は、仮固定手段であるから、本件発明25の「気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材」と、「仮固定材」である限りにおいて一致する。
甲C1発明2の「甲C1発明1のポリイミド系接着剤組成物を、シート基材に塗布し加熱(200℃、30分間)」する工程は、本件発明25の「前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程」と、「仮固定材の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程」である限りにおいて一致する。
甲C1発明2の「仮固定手段であるキャリアシート又はキャリアテープ又はシートである積層体の接着シートの接着面に、電解銅箔の処理面を重ね合わせ、圧力10MPa、200℃の条件で1分間加熱プレスして積層体を作製する工程」は、本件発明25の「前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程」と、「仮固定材の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程」である限りにおいて一致する。
甲C1発明2の「積層体を120℃で5分間加熱する工程」は、甲C1には、「接着剤組成物を一旦、通常70~200℃程度に加熱し、1~10分間程度かけて硬化反応させる。」(【0055】)と記載されており、当該工程が硬化工程であることは明らかであるから、本件発明25の「前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を硬化する硬化工程」と、「前記接着剤層を硬化する硬化工程」である限りにおいて一致する。
甲C1発明2の「シート基材面を下にして260℃のはんだ浴に5分間浮かべる工程」は、本件発明25の「前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である仮固定材を用いた電子部品の製造方法であって、
前記仮固定材の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、
前記仮固定材の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程と、
前記接着剤層を硬化する硬化工程と、
前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程と、を有する電子部品の製造方法。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点C1-6
本件発明25は、「気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材を用いた電子部品の製造方法であって、前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程と」を有するのに対し、甲C1発明2はそのような特定がない点。
・相違点C1-7
本件発明25は、「前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を硬化する硬化工程」を有するのに対し、甲C1発明2はそのような特定がない点。
・相違点C1-8
本件発明25は、「前記第1の接着剤層から気体を発生させる気体発生工程」を有するのに対し、甲C1発明2はそのような特定がない点。
・相違点C1-9
本件発明25は、「前記支持体と前記仮固定材とを剥離する剥離工程」を有するのに対し、甲C1発明2はそのような特定がない点。
上記相違点C1-6について検討する。
甲C1の記載を考慮しても、甲C1発明2の「試験片の製造方法」を、「気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材を用い」かつ「前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程」に改変する動機付けがあるとはいえないから、甲C1発明2において、相違点C1-6に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
上記のとおりであるから、相違点C1-7~C1-9について検討するまでもなく、本件発明25は、甲C1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件発明30~36、39、40及び45について
本件発明30~36、39、40及び45は、請求項9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(5)について述べたと同様の理由により、本件発明30~36、39、40及び45は、甲C1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(9)本件発明37、38及び41~44について
本件発明37、38及び41~44は、請求項1又は9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)及び(5)について述べたと同様の理由により、本件発明37、38及び41~44は、甲C1に記載された発明ではないし、甲C1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(10)取消理由4-1及び申立理由C1についてのまとめ
以上のとおりであるから、取消理由4-1及び申立理由C1はその理由がない。
3 取消理由5-1及び申立理由C2(甲C2を主引例とする新規性・進歩性)について
上記第5の5の取消理由5-1及び上記第5の3の申立理由C2は、いずれも甲C2を主引例とする新規性・進歩性についてのものであるので、まとめて検討する。
(1)甲C2に記載された発明
甲C2には、[0182]~[0184]の実施例1、[0185]、[0195]の[表1]及び[0196]の樹脂成分の記載を基に、実施例19の接着領域形成用組成物に着目すると、以下の発明が記載されていると認める。
「Durimide(登録商標)284 37.5質量部、BMI-5000(大和化成工業製、ビスマレイミド樹脂)12.5質量部、熱重合開始剤としてのパークミルH(日油製、有機過酸化物、1分間半減期温度254℃)0.5質量部、γ-ブチロラクトン49.5質量部からなり、400℃質量減少率が0.4%である、接着領域形成用組成物。」(以下、「甲C2発明1」という。)
また、実施例19の仮接着用組成物を用いた試験片の製造とその剥離性の試験([0182]~[0185]及び[0192])に着目すると、甲C2には、次の発明が記載されていると認められる。
「4インチSiウエハに、甲C2発明1の接着領域形成用組成物を、スピンコーター(Mikasa製 Opticoat MS-A100、1200rpm、30秒)により塗布したのち、120℃3分、250℃3分ベークし、厚さ5μmの接着領域が設けられたウエハ1を形成し、
ウエハ1の接着領域に対して離型領域形成用組成物1をスピンコーター(Mikasa製 Opticoat MS-A100、1200rpm、30秒)により塗布したのち、ホットプレート上で120℃30秒、190℃3分ベークして、接着領域上に厚さ0.1μmの離形領域を形成し、仮接着膜が設けられたウエハ1を形成し、
ウエハ1と表面に何も塗布していない4インチSiウエハ(ウエハ2)を熱圧着することで試験片を作製し、
ウエハ1の仮接着膜を有する面とウエハ2の何も塗布していない面とが接触するように重ね、190℃、0.20MPaで3分間加圧接着し、
加熱圧着後、280℃30分加熱し、
当該試験片からウエハ2を剥離することを含む、方法。」(以下、「甲C2発明2」という。)
(2)本件発明1について
ア 対比・判断
本件発明1と甲C2発明1とを対比する。
(ア)甲C2発明1の「BMI-5000(大和化成工業製、ビスマレイミド樹脂)」は、化学構造からみてビスマレイミド化合物であるから、本件発明1の「ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)」である「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」に相当する。
(イ)甲C2発明1の「Durimide(登録商標)284」は、国際公開第2017/038664号の[0339]に記載された化学構造(申立書Cの29頁を参照。)からみて、本件発明1の「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である」「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」に相当する。
(ウ)甲C2発明1の「接着領域形成用組成物」は、熱重合開始剤を含むものであり、硬化性であることは明らかであるから、本件発明1の「硬化性樹脂組成物」に相当する。
(エ)甲C2発明1は「Durimide(登録商標)284」を37.5質量部及び「BMI-5000」を12.5質量部配合したものであり、両者の合計100重量部に占める「Durimide(登録商標)284」の含有量は75重量%であり、本件発明1の「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり」との特定事項を満たす。
(オ)甲C2発明1の「接着領域形成用組成物」は、熱重合開始剤を含むものであり、硬化性であることは明らかであり、本件発明1の式IA、IB、IC及びIDのいずれの構造を含まないことも明らかであるから、本件発明1の「硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)である、硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点C2-1
本件発明1は、「前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」であるのに対し、甲C2発明1はそのような特定がない点。
・相違点C2-2
本件発明1は、「接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1N/inch以上1.5N/inch以下となる」のに対し、甲C2発明1はそのような特定がない点。
上記相違点C2-1について検討する。
甲C2発明1は、「Durimide(登録商標)284」及び「BMI-5000」の化学構造が本件発明1と相違するから、相違点C2-1は実質的な相違点である。
そして、甲C2には、[0043]~[0047]にビスマレイミド樹脂及びマレイミド樹脂の記載はあるが、「前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」であるものについての記載はなく、当該ビスマレイミド化合物(1-I)及び樹脂(2-i)に改変する動機付けがあるとはいえないから、甲C2発明1において、当該ビスマレイミド化合物(1-I)及び樹脂(2-i)とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、相違点C2-1に係る発明特定事項は、甲C2発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明1についてのまとめ
上記アのとおりであるから、相違点C2-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲C2に記載された発明でないし、甲C2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)本件発明2、3、6、28及び29について
本件発明2、3、6、28及び29は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)について述べたと同様の理由により、本件発明2、3、6、28及び29は、甲C2に記載された発明ではないし、甲C2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件発明8について
ア 対比・判断
本件発明8と甲C2発明1とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(オ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は上記(2)の<一致点>と同様の点で一致し、両者は次の点で相違する。
・相違点C2-3
本件発明8は、「前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」であるのに対し、甲C2発明1はそのような特定がない点。
・相違点C2-4
イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)について、本件発明8は、「2万以上」であるのに対し、甲C2発明1はそのような特定がない点。
上記相違点C2-3について検討すると、上記(2)の相違点C2-1と同旨であるから、上記(2)と同様に判断される。
したがって、相違点C2-3に係る発明特定事項は、甲C2発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明8についてのまとめ
上記アのとおりであるから、相違点C2-4について検討するまでもなく、本件発明8は、甲C2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明9について
本件発明9と甲C2発明1とを対比すと、上記(2)ア(ア)~(オ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下である硬化性樹脂組成物。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点C2-5
本件発明9は、「更に、ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤を含む」のに対し、甲C2発明1はそのような特定がない点。
上記相違点C2-5について検討する。
甲C2発明1は、無機充填剤を含有していないから、相違点C2-5は実質的な相違点である。
甲C2には、「本発明における仮接着用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて・・・充填剤、・・・等を配合することができる。」([0157])と記載されているにとどまり、「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」の記載はなく、甲C2には、甲C2発明1に、当該無機充填剤を配合する動機付けとなる記載もない。
そうすると、甲C2発明1において、「ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤」を含むものとすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、相違点C2-5に係る発明特定事項は、甲C2発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明9についてのまとめ
上記アのとおりであるから、本件発明9は、甲C2に記載された発明ではないし、甲C2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明10~24、26、27及び46について
本件発明10~24、26、27及び46は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(4)について述べたと同様の理由により、本件発明10~24、26、27及び46は、甲C2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明25について
本件発明25と甲C2発明2とを対比すると、上記(2)ア(ア)及び(イ)と同様の相当関係が成り立つ。
甲C2発明2の「表面に何も塗布していない4インチSiウエハ(ウエハ2)」は、本件発明25の「電子部品」に相当する。
甲C2発明2の「4インチSiウエハ」は、本件発明25の「支持体」に相当する。
甲C2発明2の「方法」は、ウエハを用いた方法であるから、本件発明25の「電子部品の製造方法」に相当する。
甲C2発明2の「甲C2発明1の接着領域形成用組成物」は、本件発明25の「第1の接着層」に、甲C2発明2の「離型領域形成用組成物1」は、本件発明25の「第2の接着層」に、それぞれ相当し、仮接着膜を形成しているから、本件発明25の「気体発生剤を含有する硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材」と、「硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材」である限りにおいて一致する。
甲C2発明2の「4インチSiウエハに、甲C2発明1の接着領域形成用組成物を、スピンコーター(Mikasa製 Opticoat MS-A100、1200rpm、30秒)により塗布したのち、120℃3分、250℃3分ベークし、厚さ5μmの接着領域が設けられたウエハ1を形成」する工程は、本件発明25の「前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程」に相当する。
甲C2発明2の「ウエハ1と表面に何も塗布していない4インチSiウエハ(ウエハ2)を熱圧着することで試験片を作製」する工程は、本件発明25の「前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程」に相当する。
甲C2発明2の「加熱圧着後、280℃30分加熱」する工程は、甲C2の[0184]には、当該工程が「ベーク」であることが記載されており、当該工程が加熱硬化工程であることは明らかであるから、本件発明25の「前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を硬化する硬化工程」及び「前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、更に、硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層と、第2の接着剤層とを有する仮固定材を用いた電子部品の製造方法であって、
前記仮固定材の第1の接着剤層と支持体とを貼り付ける支持体貼付工程と、
前記仮固定材の第2の接着剤層と電子部品とを貼り付ける被着体貼付工程と、
前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を硬化する硬化工程と、
前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程と、
を有する電子部品の製造方法。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点C2-6
硬化性樹脂組成物からなる第1の接着剤層に関して、本件発明25は、「気体発生剤を含有する」のに対し、甲C2発明2はそのような特定がない点。
・相違点C2-7
本件発明25は、「前記第1の接着剤層から気体を発生させる気体発生工程」を有するのに対し、甲C2発明2はそのような特定がない点。
・相違点C2-8
本件発明25は、「前記支持体と前記仮固定材とを剥離する剥離工程」を有するのに対し、甲C2発明2はそのような特定がない点。
上記相違点C2-6~C2-8について検討する。
甲C2には、気体発生剤を含有することについての記載はないし、4インチSiウエハに甲C2発明1の接着領域形成用組成物が塗布されたウエハ1から、両者を剥離することについての記載もない。
そうすると、甲C2の記載を考慮しても、甲C2発明2の「甲C2発明1の接着領域形成用組成物」に気体発生剤を含有し、さらに、気体発生工程を設け、ウエハ1の4インチSiウエハから甲C2発明1の接着領域形成用組成物を剥離する動機付けとなる記載もない。
したがって、相違点C2-6~C2-8に係る発明特定事項は、甲C2発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
上記のとおりであるから、本件発明25は、甲C2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件発明30~36、39、40及び45について
本件発明30~36、39、40及び45は、請求項9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(5)について述べたと同様の理由により、本件発明30~36、39、40及び45は、甲C2に記載された発明ではないし、甲C2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(9)本件発明37、38及び41~44について
本件発明37、38及び41~44は、上記(2)及び(5)について述べたと同様の理由により、本件発明37、38及び41~44は、甲C2に記載された発明ではないし、甲C2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(10)取消理由5-1及び申立理由C2についてのまとめ
以上のとおりであるから、取消理由5-1及び申立理由C2はその理由がない。
4 申立理由A1(甲A1を主引例とする新規性・進歩性)について
申立理由A1で申し立てられた請求項に該当する訂正後の請求項1~3、6、8~16、26~28、30~40及び46について検討する。
(1)甲A1に記載された発明
甲A1には、【0048】、【0049】、【0052】及び【0058】の【表1】の記載を基に、実施例3の印刷用組成物に着目すると、以下の発明が記載されていると認める。
「オキシジフタル酸無水物(ODPA)62.04g(200ミリモル)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)90.31g(220ミリモル)、及び4-エチニルフタル酸無水物(EPA)4.13g(24ミリモル)を反応させて得られ、末端が60%エチニルで、40%アミンであるワニスのポリイミド樹脂100重量部に対し、硬化剤として20重量部の4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI)を添加して得られ、5%重量減少温度が509℃である、印刷用組成物。」(以下、「甲A1発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 対比・判断
本件発明1と甲A1発明とを対比する。
(ア)甲A1発明の「4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI)」は、化学構造からみてビスマレイミド化合物であるから、本件発明1の「ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)」である「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」に相当する。
(イ)甲A1発明の「オキシジフタル酸無水物(ODPA)62.04g(200ミリモル)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)90.31g(220ミリモル)、及び4-エチニルフタル酸無水物(EPA)4.13g(24ミリモル)を反応させて得られ、末端が60%エチニルで、40%アミンであるワニスのポリイミド樹脂」は、マレイミド基を有さないことは明らかであるから、本件発明1の「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である」「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」に相当する。
(ウ)甲A1発明の「印刷用組成物」は、硬化剤を含むものであり、硬化性であることは明らかであり、本件発明1の式IA、IB、IC及びIDのいずれの構造を含まないことも明らかであるから、本件発明1の「硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)である、硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点A1-1
本件発明1は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲A1発明はそのような特定がない点。
・相違点A1-2
本件発明1は、「前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」であるのに対し、甲A1発明はそのような特定がない点。
・相違点A1-3
本件発明1は、「接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1N/inch以上1.5N/inch以下となる」のに対し、甲A1発明はそのような特定がない点。
上記相違点A1-1について検討する。
甲A1発明は、「ポリイミド樹脂100重量部に対し、硬化剤として20重量部の4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI)を添加して得られ」るものであり、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)に相当する上記ポリイミド樹脂の含有量は約83.3重量部(=100÷(100+20)×100)であり、「20重量部以上、80重量部以下」ではないから、相違点A1-1は実質的な相違点である。
そして、甲A1には、上記ポリイミド樹脂と硬化剤であるビスマレイミドとの配合割合についての記載はないから甲A1発明の「ポリイミド樹脂」と「4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI)」との合計100重量部に占める「ポリイミド樹脂」の含有量を、「約83.3重量部」から「20重量部以上、80重量部以下」に調節する動機付けとなる記載はない。
したがって、相違点A1-1に係る発明特定事項は、甲A1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明1についてのまとめ
上記アのとおりであるから、相違点A1-2及びA1-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A1に記載された発明ではないし、甲A1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)本件発明2、3、6及び28について
本件発明2、3、6及び28は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)について述べたと同様の理由により、本件発明2、3、6及び28は、甲A1に記載された発明ではないし、甲A1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件発明8について
ア 対比・判断
本件発明8と甲A1発明とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(ウ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は上記(2)の<一致点>と同様の点で一致し、両者は次の点で相違する。
・相違点A1-4
本件発明8は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲A1発明はそのような特定がない点。
・相違点A1-5
本件発明8は、「前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」であるのに対し、甲A1発明はそのような特定がない点。
・相違点A1-6
イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)について、本件発明8は、「2万以上」であるのに対し、甲A1発明はそのような特定がない点。
上記相違点A1-4について検討すると、上記(2)の相違点A1-1と同旨であるから、上記(2)と同様に判断される。
したがって、相違点A1-4に係る発明特定事項は、甲A1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明8についてのまとめ
上記アのとおりであるから、相違点A1-5及びA1-6について検討するまでもなく、本件発明8は、甲A1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明9について
ア 対比・判断
本件発明9と甲A1発明とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(ウ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である、硬化性樹脂組成物。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点A1-7
本件発明9は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲A1発明はそのような特定がない点。
・相違点A1-8
本件発明9は、「更に、ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤を含む」のに対し、甲A1発明はそのような特定がない点。
上記相違点A1-7について検討すると、上記(2)の相違点A1-1と同旨であるから、上記(2)と同様に判断される。
したがって、相違点A1-7に係る発明特定事項は、甲A1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明9についてのまとめ
上記アのとおりであるから、相違点A1-8について検討するまでもなく、本件発明9は、甲A1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明10~16、26、27及び46について
本件発明10~16、26、27及び46は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(4)について述べたと同様の理由により、本件発明10~16、26、27及び46は、甲A1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明30~36、39及び40について
本件発明30~36、39及び40は、請求項9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(5)について述べたと同様の理由により、本件発明30~36、39及び40は、甲A1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件発明37及び38について
本件発明37及び38は、請求項1又は9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)及び(5)について述べたと同様の理由により、本件発明37及び38は、甲A1に記載された発明ではないし、甲A1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(9)申立理由A1についてのまとめ
以上のとおりであるから、申立理由A1はその理由がない。
5 申立理由A2(甲A2を主引例とする新規性・進歩性)について
申立理由A2で申し立てられた請求項に該当する訂正後の請求項1~3、6、8~16、26~28、30~40及び46について検討する。
(1)甲A2に記載された発明
甲A2には、【0024】~【0026】、【0052】及び【0067】の【表1】の記載を基に、実施例1の耐熱性樹脂組成物に着目すると、以下の発明が記載されていると認める。
「(A)(a)メタアミノフェノール(住友化学工業株式会社製 商品名)1.47重量%、(b)ビスマレイミド-S(三井化学株式会社製 商品名)10.5重量%、(B)ビスフェノールA型エポキシ樹脂 1004(ジャパンエポキシレジン株式会社製 商品名)3重量%、(C)ポリイミド樹脂 UIP-R(宇部興産株式会社製 商品名)85重量%、硬化促進剤2-メチルイミダゾール0.03重量%からなり、5%重量減少温度が480℃である、耐熱性樹脂組成物。」(以下、「甲A2発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 対比・判断
本件発明1と甲A2発明とを対比する。
(ア)甲A2発明の「ビスマレイミド-S(三井化学株式会社製 商品名)」は、化学構造からみてビスマレイミド化合物であるから、本件発明1の「ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)」である「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」に相当する。
(イ)甲A2発明の「ポリイミド樹脂 UIP-R(宇部興産株式会社製 商品名)」は、【0024】~【0026】の記載からみて、マレイミド基を有さないことは明らかであるから、本件発明1の「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である」「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」に相当する。
(ウ)甲A2発明の「耐熱性樹脂組成物」は、硬化促進剤を含むものであり、硬化性であることは明らかであり、本件発明1の式IA、IB、IC及びIDのいずれの構造を含まないことも明らかであるから、本件発明1の「硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)である、硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点A2-1
本件発明1は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲A2発明はそのような特定がない点。
・相違点A2-2
本件発明1は、「前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」であるのに対し、甲A2発明はそのような特定がない点。
・相違点A2-3
本件発明1は、「接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1N/inch以上1.5N/inch以下となる」のに対し、甲A2発明はそのような特定がない点。
上記相違点A2-1について検討する。
甲A2発明は、「ビスマレイミド-S(三井化学株式会社製 商品名)10.5重量%」及び「ポリイミド樹脂 UIP-R(宇部興産株式会社製 商品名)85重量%」であるから、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)に相当する上記ポリイミド樹脂UIP-Rの含有量は約89重量部(=85÷(85+10.5)×100)であり、「20重量部以上、80重量部以下」ではないから、相違点A2-1は実質的な相違点である。
そして、甲A2には、「(A)成分における(a)アミノフェノール類と(b)ビスマレイミド化合物との含有量は、(a)アミノフェノール類および(b)ビスマレイミド化合物の合計量100重量%のうち、(a)アミノフェノール類の含有量が5~20重量%であれば好ましい。」(【0030】)と記載され、「(A)成分および(B)成分の合計量における(A)成分の含有量は50~95重量%であれば好ましい。」(【0034】)が記載され、「(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量における(A)成分および(B)成分の含有量は0.5~50重量%であれば好ましい。」(【0035】)と記載されているが、(A)成分の(b)ビスマレイミドと(C)成分のポリイミド樹脂の配合割合についての直接的な記載はないから、甲A2発明の「ポリイミド樹脂 UIP-R」と「ビスマレイミド-S」との合計100重量部に占める「ポリイミド樹脂 UIP-R」の含有量を、「約89重量部」から「20重量部以上、80重量部以下」に調節する動機付けとなる記載はない。
したがって、相違点A2-1に係る発明特定事項は、甲A2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明1についてのまとめ
上記アのとおりであるから、相違点A2-2及びA2-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A2に記載された発明ではないし、甲A2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)本件発明2、3、6及び28について
本件発明2、3、6及び28は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)について述べたと同様の理由により、本件発明2、3、6及び28は、甲A2に記載された発明ではないし、甲A2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件発明8について
ア 対比・判断
本件発明8と甲A2発明とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(ウ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は上記(2)の<一致点>と同様の点で一致し、両者は次の点で相違する。
・相違点A2-4
本件発明8は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲A2発明はそのような特定がない点。
・相違点A2-5
本件発明8は、「前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」であるのに対し、甲A2発明はそのような特定がない点。
・相違点A2-6
イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)について、本件発明8は、「2万以上」であるのに対し、甲A2発明はそのような特定がない点。
上記相違点A2-4について検討すると、上記(2)の相違点A2-1と同旨であるから、上記(2)と同様に判断される。
したがって、相違点A2-4に係る発明特定事項は、甲A2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明8についてのまとめ
上記アのとおりであるから、相違点A2-5及びA2-6について検討するまでもなく、本件発明8は、甲A2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明9について
ア 対比・判断
本件発明9と甲A2発明とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(ウ)と同様の相当関係が成り立つ。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である、硬化性樹脂組成物。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点A2-7
本件発明9は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、甲A2発明はそのような特定がない点。
・相違点A2-8
本件発明9は、「更に、ケイ素、チタン、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤を含む」のに対し、甲A2発明はそのような特定がない点。
上記相違点A2-7について検討すると、上記(2)の相違点A2-1と同旨であるから、上記(2)と同様に判断される。
したがって、相違点A2-7に係る発明特定事項は、甲A2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 本件発明9についてのまとめ
上記アのとおりであるから、相違点A2-8について検討するまでもなく、本件発明9は、甲A2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明10~16、26、27及び46について
本件発明10~16、26、27及び46は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(4)について述べたと同様の理由により、本件発明10~16、26、27及び46は、甲A2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明30~36、39及び40について
本件発明30~36、39及び40は、請求項9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(5)について述べたと同様の理由により、本件発明30~36、39及び40は、甲A2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件発明37及び38について
本件発明37及び38は、請求項1又は9を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)及び(5)について述べたと同様の理由により、本件発明37及び38は、甲A2に記載された発明ではないし、甲A2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(9)申立理由A2についてのまとめ
以上のとおりであるから、申立理由A2はその理由がない。
6 申立理由B2(甲B12に基づく拡大先願)について
申立理由B12で申し立てられた請求項に該当する訂正後の請求項1~3及び28について検討する。
(1)先願甲B12の当初明細書等に記載された発明
先願B12の当初明細書には、[0061]、[0064]及び[0065]の[表1]の記載を基に、実施例3の樹脂組成物に着目すると、以下の発明が記載されている。
「BAPP(2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、和歌山精化工業株式会社製、分子量410.52g/mol)16.40部、PRIAMINE1075(クローダジャパン株式会社製、分子量534.38g/mol)10.87部、ABPS(3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、日本化薬株式会社製、分子量280.30g/mol)0.32部及びODPA(オキシジフタル酸無水物、マナック株式会社製、分子量310.22g/mol)18.04部を反応させて得られるポリイミド樹脂溶液(A-1)100質量部、マレイミド樹脂としてのMIR-3000(ビフェニル骨格含有マレイミド樹脂)7.5質量部、並びに、ラジカル開始剤としてのジクミルパーオキサイド(DCP)0.375質量部からなる、樹脂組成物。」(以下、「先願B12発明」という。)
(2)本件発明1について
本件発明1と先願B12発明とを対比する。
(ア)先願B12発明の「MIR-3000(ビフェニル骨格含有マレイミド樹脂)」は、甲B4の[0069]の記載から、本件発明1の「ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)」である「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」に相当する。
(イ)先願B12発明の「BAPP(2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、和歌山精化工業株式会社製、分子量410.52g/mol)16.40部、PRIAMINE1075(クローダジャパン株式会社製、分子量534.38g/mol)10.87部、ABPS(3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、日本化薬株式会社製、分子量280.30g/mol)0.32部及びODPA(オキシジフタル酸無水物、マナック株式会社製、分子量310.22g/mol)18.04部を反応させて得られるポリイミド樹脂溶液(A-1)」は、PRIAMINE1075はダイマージアミンに由来する構成単位であり本件発明1の「一般式(1d)で表される構造単位」に相当し、マレイミド基を有しないことは明らかであるから、本件発明1の「下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)」である「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である」「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」に相当する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、先願甲B12発明は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)であり」との規定を満たす。
(エ)先願B12発明の「樹脂組成物」は、ラジカル開始剤を含むものであり、硬化性であることは明らかであり、本件発明1の式IA、IB、IC及びIDのいずれの構造を含まないことも明らかであるから、本件発明1の「硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、
前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)であり、
前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)は、ビスマレイミド化合物(1-I)、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)であって、前記ビスマレイミド化合物(1-I)は、2つのマレイミド基と、ダイマージアミンに由来する脂肪族基とを有する化合物であり、前記ダイマージアミンに由来する脂肪族基は、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであるか、
もしくは、前記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX4及びX5で表される樹脂(2-i)である、硬化性樹脂組成物(但し、式IA、IB、ICおよびIDのいずれかの構造を有する硬化可能なポリイミドを含む樹脂組成物を除く。)。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点B12-1
本件発明1は、「前記マレイミド基を有する反応性化合物(1)と前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)との合計100重量部に占める前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)の含有量が、20重量部以上、80重量部以下」であるのに対し、先願B12発明はそのような特定がない点。
・相違点B12-2
本件発明1は、「接着剤層となって、硬化後かつ300℃10分加熱後の25℃における対ガラス粘着力が0.1N/inch以上1.5N/inch以下となる」のに対し、先願B12発明はそのような特定がない点。
上記相違点B12-1について検討する。
先願B12発明は、「ポリイミド樹脂溶液(A-1)」100質量部及び「MIR-3000」7.5質量部であるから、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)に相当する上記ポリイミド樹脂溶液(A-1)の含有量は約93重量部(=100÷(100+7.5)×100)であり、「20重量部以上、80重量部以下」ではないから、相違点B12-1は実質的な相違点であるし、上記ポリイミド樹脂溶液(A-1)の含有量を「20重量部以上、80重量部以下」に変更することが、課題解決のための具体化手段における微差ともいえない。
したがって、本件発明1と先願B12発明は同一ではない。
(3)本件発明2、3及び28について
本件発明2、3及び28は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)について述べたと同様の理由により、本件発明2、3及び28は、先願B12発明と同一ではない。
(4)申立理由B12についてのまとめ
以上のとおりであるから、申立理由B12はその理由がない。
7 申立理由A4及び申立理由B3(サポート要件)について
上記第5の1の申立理由A4及び上記第5の2の申立理由B2は、いずれもサポート要件についてのものであるので、まとめて検討する。
(1)サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
そこで、検討する。
(2)サポート要件の判断
本件特許の特許請求の範囲の記載は上記第2のとおりである。
本件特許の発明の詳細な説明の【0006】によると、本件発明が解決しようとする課題(以下、「発明の課題」という。)は「被着体と支持体とを固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても支持体との間のボイド及び浮きの発生を抑えることができ、高温加工処理を経た後には容易に剥離できる硬化性樹脂組成物を提供すること」である。
そして、本件特許の発明の詳細な説明の【0009】には、「上記マレイミド基を有する反応性化合物(1)を含むことにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱又は光の照射によりその全体が均一にかつ速やかに重合架橋し、弾性率が上昇することにより粘着力が大きく低下するため、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりするのを防止することができる。」と記載され、マレイミド基を有する反応性化合物(1)を含むことの技術的意味が具体的に記載されている。
また、同【0009】には、「上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、イミド骨格を有することによって極めて耐熱性に優れ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても主鎖の分解が起こりにくい。このため、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)を含むことにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生を抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりするのを防止することができる。」と記載され、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)を含むことの技術的意味が具体的に記載されている。
さらに、本件特許の発明の詳細な説明の【0089】~【0115】には、「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」と「マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)である」「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」とを含む実施例1~19の硬化性樹脂組成物が、硬化後かつ300℃10分加熱後のボイド及び浮きの評価が「○」であり、硬化後かつ300℃10分加熱後の剥離性の評価が「○」であり、上記発明の課題を解決するのに対し、「マレイミド基を有する反応性化合物(1)」を含まない比較例3の硬化性組成物が、上記剥離性の評価が「×」であり、「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」を含まない比較例1及び2の上記ボイド及び浮きの評価が「×」であり、「イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)」を含まない代わりにアクリル系反応性樹脂を含む比較例4の硬化性樹脂組成物が、上記ボイド及び浮きの評価が「×」かつ上記剥離性の評価が「××」であり、上記発明の課題を解決しないことを確認できる記載もある。
そうすると、当業者は、「マレイミド基を有する反応性化合物(1)と、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)とを含み、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)」である硬化性樹脂組成物により、上記発明の課題を解決できると認識でき、本件発明1、8及び9は上記硬化性樹脂組成物として、また、本件発明25は上記硬化性樹脂組成物を用いた電子部品の製造方法として、さらに限定したものである。
よって、本件発明1、8、9及び25は、発明の詳細な説明に記載された発明であり、発明の詳細な説明の記載により当業者が上記発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえ、本件発明1、8、9及び25に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。
本件発明1、8及び9を直接又は間接的に引用する本件発明2、3、6、10~24、26~46についても同様である。
(3)申立人の主張について
ア 申立人Aの主張について
申立人Aは申立書Aの69~71頁において、上記第5の1(5)のとおり主張している。
しかしながら、発明の詳細な説明において、これらの成分はいずれも「含むことが好ましい」とされる成分であって、課題解決における必須成分であることは記載されておらず、また、申立人Aは、シリコーン化合物又はフッ素化合物、無機充填剤及び気体発生剤をいずれも含有しない硬化性樹脂組成物が、発明の課題を解決しないといえる具体的な技術的証拠を何ら提出していないことから、当該主張は上記(2)の判断に影響しない。
イ 申立人Bの主張について
(ア)申立人Bは申立人B意見書の16~22頁において、「特許権者は、本件発明9に規定されているように、マレイミド基を有する反応性化合物(1)とイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)という主成分の割合と無機充填剤の種類を特定したことによってはじめて、段落【0009】に記載された上記課題に対応した効果が奏されるものと自ら陳述しているに等しい。」こと、及び、「マレイミド基を有する反応性化合物(1)とイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)という主成分の割合が本件発明9(及び本件発明1)の範囲内であり、かつ本件発明9に規定されているように無機充填剤を含む実施例12~17によって、また、同様に、特許権者が追試結果として示す無機充填剤を含む「追試例1」~「追試例3」によって、はじめて「硬化後かつ300℃20分加熱後」の「加熱後の剥がれ」及び「剥離性」の両方について良好な評価が得られ、それによって上記課題が解決され得ると理解される。」ことを根拠として、無機充填剤を含むことを特定していない本件発明1~3、6~8、10~29及び46は、サポート要件を満たさない旨、主張している。
(イ)申立人Bは申立書Bの55~61頁等において、上記第5の2(4)のとおり主張している。
上記(ア)の主張について検討すると、上記(2)で述べたとおり、本件特許の発明の課題は、「硬化後かつ300℃10分加熱後のボイド及び浮き」及び「硬化後かつ300℃10分加熱後の剥離性」により解決するものであり、無機充填材を含有していない実施例1~11、18及び19についても当該課題を解決することが確認されている。
上記(イ)の主張について検討すると、上記(2)で述べたとおり、本件明細書の【0009】には、マレイミド基を有する反応性化合物(1)及びイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)を含むことの技術的意味が具体的に記載されているところ、申立人Bは、式(A)で表されるビスマレイミド(1-I)、式(B)で表される両末端にマレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)及び式(C)で表されるマレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)以外のマレイミド基を有する反応性化合物(1)及びイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)を用いた場合であっても、発明の課題を解決しない場合が存在するといえる具体的な技術的証拠を何ら提出していないことから、当該主張は上記(2)の判断に影響しない。
したがって、上記(ア)及び(イ)の主張はいずれも採用できない。
(4)申立理由A4及び申立理由B3についてのまとめ
以上のとおりであるから、申立理由A4及び申立理由B3はその理由がない。
8 申立理由B4(実施可能要件)について
(1)実施可能要件の判断基準
上記第4のとおり、本件発明1~3、6、8~23及び26~46は物の発明であるところ、発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するというためには、物の発明にあっては、当業者が発明の詳細な説明及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産でき、かつ、使用できる程度の記載があることを要する。また、本件発明24及び25は物を生産する方法であるところ、物を生産する方法の発明にあっては、当業者が発明の詳細な説明及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法を使用し、その方法により生産した物の使用等をできる程度の記載があることを要する。
そこで、検討する。
(2)実施可能要件の判断
本件特許の発明の詳細な説明には、本件発明1~3、6、8~23及び26~46の物について、硬化性樹脂組成物の成分であるマレイミド基を有する反応性化合物(1)及びイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)が具体的に記載され(【0010】~【0050】)、上記(1)及び(2)以外の硬化性樹脂組成物の各成分が具体的に記載され(【0051】~【0071】)、硬化性樹脂組成物の物性が具体的に記載され(【0072】、【0073】)、硬化性樹脂組成物の製造方法が具体的に記載され(【0074】)、仮固定材が具体的に記載されている(【0075】~【0085】)。
また、本件特許の発明の詳細な説明には、本件発明24及び25の物を生産する方法について、電子部品の製造方法が具体的に記載されている(【0086】及び【0087】)。
そして、本件特許の発明の詳細な説明には、本件発明の実施例である実施例1~19についても、その製造方法を含め具体的に記載されている(【0089】~【0115】)。
したがって、本件発明1~3、6、8~23及び26~46について、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産でき、かつ、使用できる程度の記載があるといえるし、本件発明24及び25について、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法を使用し、その方法により生産した物の使用等をできる程度の記載があるといえる。
よって、本件発明1~3、6及び8~46に関して、発明の詳細な説明の記載は実施可能要件に適合する。
(3)申立人の主張について
申立人Bは申立書Bの55~61頁等において、上記第5の2(4)のとおり主張している。
しかしながら、本件特許の発明の詳細な説明には、式(A)で表されるビスマレイミド(1-I)、式(B)で表される両末端にマレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物(1-II)及び式(C)で表されるマレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2-I)以外のマレイミド基を有する反応性化合物(1)及びイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(2)についても、具体的な化合物を含めて記載されていることから(【0010】~【0050】)、当業者であれば、本件発明の詳細な説明の記載から、本件発明1~3、6及び8~46を実施できるものと理解できる。
したがって、上記主張は採用しない。
(4)申立理由B4についてのまとめ
以上のとおりであるから、申立理由B4はその理由がない。
第7 結語
特許第7194313号の請求項1~3、6及び8~46に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~3、6及び8~46に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項4、5及び7に係る特許に対する申立ては、本件訂正により請求項4、5及び7が削除されたため却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700617