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特許異議申立

2023-700475

分配装置、シールのためのシステム及び方法並びに配量ユニットの使用

審判番号
2023-700475
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-517862
登録番号
7168774
請求日
2023年05月08日
審決日
2024年05月20日
公報発行日
2024年08月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】コンチネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
  • 【権利者代理人】江崎 光史
  • 【権利者代理人】鍛冶澤 實
  • 【権利者代理人】中村 真介
  • 【権利者代理人】石田 大成
  • 【異議申立人】吉田 侑子
審判長/審判官
  • 審判長 里村 利光
  • 審判官 井口 猶二
  • 審判官 関根 洋之
分類
P1651.121-YAA(B29C) / P1651.536-YAA(B29C) / P1651.537-YAA(B29C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7168774号発明「分配装置、シールのためのシステム及び方法並びに配量ユニットの使用」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7168774号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項〔1-11〕、〔12-13〕について訂正することを認める。 特許第7168774号の請求項3ないし11、12ないし13に係る特許を維持する。 特許第7168774号の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7168774号の請求項1~13に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2019年(令和元年)10月1日(パリ条約に基づく優先権主張 外国庁受理 2018年(平成30年)11月8日 ドイツ)を国際出願日とする出願であって、令和4年10月31日にその特許権の設定登録がされたものである。 本件特許について、令和4年11月9日に特許掲載公報が発行されたところ、その発行の日から6月以内である令和5年5月8日に、特許異議申立人 吉田 侑子(以下「特許異議申立人」という。)から全請求項に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和 5年 7月21日付け:取消理由通知 令和 5年10月 6日 :意見書(特許権者)の提出 令和 5年10月 6日 :訂正請求書の提出 令和 5年10月27日付け:取消理由通知 令和 6年 2月 9日 :意見書(特許権者)の提出 令和 6年 2月 9日 :訂正請求書(この訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件訂正請求」という。)の提出 なお、令和5年10月6日に提出された訂正請求書による訂正請求は、特許法120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 また、令和6年2月19日付けで特許法120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知を特許異議申立人に対して行ったところ、特許異議申立人から何ら応答がなかったものである。 第2 本件訂正請求について 1 訂正の趣旨及び訂正の内容 (1)訂正の趣旨 本件訂正請求の趣旨は、特許第7168774号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~13のとおりについて訂正することを求める、というものである。 (2)訂正の内容 本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。 なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3における「配量ユニット(5)は、以下の条件又は式(2) 【数1】 [図:0001413301000001.jpg] を満たすように形成されていて、この条件又は式(2)には、以下のパラメータ、 Dmm:供給口(7)の直径(13)[mm]、及び a:供給口(7)の数が含まれている、請求項2に記載の分配装置。」とあるのを、 「 気体(10)とシーリング剤(9)とを含むエアロゾル(8)を発生するための分配装置であって、 - 少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つのガスコネクタ(2)と、 - 少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と、 - 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の接続要素(4)と、 - 当該分配装置(1)に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニット(5)と を有し、 生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有し、 配量ユニット(5)は、シーリング剤を分配装置(1)に供給するための少なくとも1つの供給口(7)を有し、及び1つ又は少なくとも1つの供給口(7)は、0.01mmから10mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから5mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから1.5mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから1mmの範囲の直径(13)を有し、 配量ユニット(5)は、以下の条件又は式(2) 【数1】 [図:0001413301000002.jpg] を満たすように形成されていて、この条件又は式(2)には、以下のパラメータ、 Dmm:供給口(7)の直径(13)[mm]、及び a:供給口(7)の数 が含まれていることを特徴とする分配装置。」に訂正する(請求項3の記載を直接又は間接に引用して記載された、請求項4~11についても、同様に訂正する。)。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5における「請求項1から4の何れか一項」とあるのを、「請求項3又は4」に訂正する(請求項5の記載を直接又は間接に引用して記載された、請求項6~11についても、同様に訂正する。)。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6における「請求項1から5」とあるのを「請求項3から5」に訂正するとともに、「シーリング剤及び/又は気体(10)を」とあるのを「シーリング剤を」に訂正する(請求項6の記載を直接又は間接に引用して記載された、請求項7~11についても、同様に訂正する。)。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7における「請求項1から5の何れか一項に記載の配量ユニット(5)、又は請求項1から5の何れか一項に記載の分配装置(1)」とあるのを、「請求項3から5の何れか一項に記載の配量ユニット(5)、又は請求項3から5の何れか一項に記載の分配装置(1)」に訂正する。 キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項12における「以下の条件又は式(1) 【数2】 [図:0001413301000003.jpg] が満たされていて、この条件又は式(1)には、以下のパラメータ、 ρG:20℃での輸送気体の密度[kg/m3]、 νG:ASTM D3154-14に従って測定される、分配装置に供給される気体又は圧縮空気量の流速[m/s]、 VDM:ISO 1217、付属書Cに従って測定される、分配装置に供給されるシーリング剤量の体積流量[m3/s]、 D:供給口の直径[m]、 γDM:ASTM D1333-14(方法A)に従って測定される、20℃及び常圧でのシーリング剤の表面張力[kg/s2]、及び a:供給口(7)の数が含まれている、請求項8から11の何れか一項に記載の方法。」とあるのを、 「 車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための方法であって、 A)- 車両用空気タイヤ(16)をシールするため及び車両用空気タイヤ(16)を膨張させるためのシステム(15)、 - シーリング剤容器(12)内のシーリング剤、及び - 漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品 を提供又は製造するステップ、 B)シーリング剤と気体(10)、例えば圧縮空気とを、システム(15)の分配装置(1)を通して、漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するステップ、 C)漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を少なくとも部分的にシールするステップ を含み、 前記システム(15)は、 - 気体(10)とシーリング剤(9)とを含むエアロゾル(8)を発生するための分配装置(1)であって、 ・ 少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つのガスコネクタ(2)と、 ・ 少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と、 ・ 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の接続要素(4)と、 ・ 当該分配装置(1)に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニット(5)と を有し、かつ ・ 生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有する、分配装置と、 - シール圧力又はポンプ圧力を発生するための少なくとも1つの圧縮空気源(11)と、 - シーリング剤を収容するための少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と を含み 当該方法は、 以下の条件又は式(1) 【数2】 [図:0001413301000004.jpg] が満たされていて、この条件又は式(1)には、以下のパラメータ、 ρG:20℃での輸送気体の密度[kg/m3]、 νG:ASTM D3154-14に従って測定される、分配装置に供給される気体又は圧縮空気量の流速[m/s]、 VDM:ISO 1217、付属書Cに従って測定される、分配装置に供給されるシーリング剤量の体積流量[m3/s]、 D:供給口の直径[m]、γDM:ASTM D1333-14(方法A)に従って測定される、20℃及び常圧でのシーリング剤の表面張力[kg/s2]、及び a:供給口(7)の数 が含まれていることを特徴とする方法。」に訂正する(請求項12の記載を引用して記載された、請求項13についても、同様に訂正する。)。 ク 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項13に、「請求項8から12」とあるのを、「請求項12」に訂正する。 (3)一群の請求項 本件訂正請求は、訂正後の一群の請求項である請求項〔1~11〕、及び訂正後の一群の請求項である請求項〔12~13〕に対して請求されたものである。また、この訂正後の請求項12~13に係る訂正は、一群の請求項である請求項1~11とは、別途訂正することを求めるものである。 2 訂正の適否 (1)訂正後の一群の請求項1~11に係る訂正について ア 訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号が掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項1による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号が掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項2による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 ウ 訂正事項3について 訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項3が引用する請求項2がさらに引用する請求項1の記載を独立請求項の形式に記載するとともに、訂正前の請求項1の「粒形」を「粒径」と訂正するものである。 したがって、訂正事項3による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び同条同項ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、訂正事項3による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 請求項3の記載を直接又は間接に引用して記載された、請求項4~11についても、同様である。 エ 訂正事項4について 訂正事項4は、訂正前の請求項1及び2が削除されたことに伴い請求項間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項4による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 請求項5の記載を直接又は間接に引用して記載された、請求項6~11についても、同様である。 オ 訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項1及び2が削除されたことに伴い請求項間の引用関係を解消するとともに、訂正前の請求項6の「シーリング剤及び/又は気体(10)を」とあるのを「シーリング剤を」とする訂正である。 したがって、訂正事項5は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び同条同項ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、訂正事項5による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 請求項6の記載を直接又は間接に引用して記載された、請求項7~11についても、同様である。 カ 訂正事項6について 訂正事項6は、訂正前の請求項1及び2が削除されたことに伴い請求項間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項6による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 (2)訂正後の一群の請求項12~13に係る訂正について ア 訂正事項7について 訂正事項7による訂正は、訂正前の請求項12が請求項8、6及び1と順に引用する請求項の記載を独立請求項の形式に記載するとともに、訂正前の請求項1の「粒形」を「粒径」と訂正し、さらに、訂正前の請求項6の「シーリング剤及び/又は気体(10)を」を「シーリング剤を」とする訂正である。 したがって、訂正事項7による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び同条同項ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、訂正事項7による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 請求項12の記載を引用して記載された、請求項13についても、同様である。 イ 訂正事項8について 訂正事項8は、「請求項8から12」を「請求項12」と引用する請求項を削除する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項8による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~11〕、〔12~13〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正は認められた。 したがって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~13に係る発明(以下、項番に従って「本件特許発明3」などという。)は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される、次のものである。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 気体(10)とシーリング剤(9)とを含むエアロゾル(8)を発生するための分配装置であって、 - 少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つのガスコネクタ(2)と、 - 少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と、 - 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の接続要素(4)と、 - 当該分配装置(1)に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニット(5)と を有し、 生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有し、 配量ユニット(5)は、シーリング剤を分配装置(1)に供給するための少なくとも1つの供給口(7)を有し、及び1つ又は少なくとも1つの供給口(7)は、0.01mmから10mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから5mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから1.5mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから1mmの範囲の直径(13)を有し、 配量ユニット(5)は、以下の条件又は式(2) 【数1】 [図:0001413301000005.jpg] を満たすように形成されていて、この条件又は式(2)には、以下のパラメータ、 Dmm:供給口(7)の直径(13)[mm]、及び a:供給口(7)の数 が含まれていることを特徴とする分配装置。 【請求項4】 配量ユニット(5)は、 - 供給口(7)の数及び/又は1つ又は少なくとも1つの供給口(7)の直径(13)を変更することができ、 - シーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)が生じ、又はシーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)が分配装置(1)のシーリング剤輸送チャネル(6)内で生じ、及び/又は - 分配装置(1)に供給されるシーリング剤量の配量速度を調節することができるように形成されている、請求項3に記載の分配装置。 【請求項5】 配量ユニット(5)は、シーリング剤コネクタ(3)内に若しくはシーリング剤コネクタ(3)に接して配置され、及び/又は分配装置(1)は、エアロゾル(8)を配量ユニット(5)から1つ又は複数の接続要素(4)に輸送するためのシーリング剤輸送チャネル(6)を有する、請求項3又は4に記載の分配装置。 【請求項6】 車両用空気タイヤ(16)をシールするため及び車両用空気タイヤ(16)を膨張させるためのシステムであって、 - 請求項3から5の何れか一項に記載の分配装置(1)と、 - シール圧力又はポンプ圧力を発生するための少なくとも1つの圧縮空気源(11)と、 - シーリング剤を収容するための少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と を含むシステム。 【請求項7】 - シーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)を発生させて、発生したエアロゾル(8)を、車両用空気タイヤ(16)若しくは膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するための、及び/又は - 車両用空気タイヤ(16)若しくは膨張可能な技術的ゴム物品をシールするためのエアロゾル(8)を発生させて、発生したエアロゾル(8)を、車両用空気タイヤ(16)若しくは膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するための、 請求項3から5の何れか一項に記載の配量ユニット(5)、又は請求項3から5の何れか一項に記載の分配装置(1)、又は請求項6に記載のシステム(15)、の使用。 【請求項8】 車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための方法であって、 A)- 請求項6に記載のシステム(15)、 - シーリング剤容器(12)内のシーリング剤、及び - 漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品 を提供又は製造するステップ、 B)シーリング剤と気体(10)、例えば圧縮空気とを、システム(15)の分配装置(1)を通して、漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するステップ、 C)漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を少なくとも部分的にシールするステップ を含む方法。 【請求項9】 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品は、ステップC)中及び/又はステップB)とC)との間の時間において移動しない、又は回転しない、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 ステップB)において、シーリング剤液滴(9)と気体(10)とから成るエアロゾル(8)は、シーリング剤をシーリング剤輸送チャネル(6)に配量ユニット(5)を用いて供給することによって発生される、請求項8又は9に記載の方法。 【請求項11】 ステップB)において、漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導かれるエアロゾル(8)のエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有する、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための方法であって、 A)- 車両用空気タイヤ(16)をシールするため及び車両用空気タイヤ(16)を膨張させるためのシステム(15)、 - シーリング剤容器(12)内のシーリング剤、及び - 漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品 を提供又は製造するステップ、 B)シーリング剤と気体(10)、例えば圧縮空気とを、システム(15)の分配装置(1)を通して、漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するステップ、 C)漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を少なくとも部分的にシールするステップ を含み、 前記システム(15)は、 - 気体(10)とシーリング剤(9)とを含むエアロゾル(8)を発生するための分配装置(1)であって、 ・ 少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つのガスコネクタ(2)と、 ・ 少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と、 ・ 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の接続要素(4)と、 ・当該分配装置(1)に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニット(5)と を有し、かつ ・ 生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有する、分配装置と、 - シール圧力又はポンプ圧力を発生するための少なくとも1つの圧縮空気源(11)と、 - シーリング剤を収容するための少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と を含み、 当該方法は、 以下の条件又は式(1) 【数2】 [図:0001413301000006.jpg] が満たされていて、この条件又は式(1)には、以下のパラメータ、 ρG:20℃での輸送気体の密度[kg/m3]、 νG:ASTM D3154-14に従って測定される、分配装置に供給される気体又は圧縮空気量の流速[m/s]、 VDM:ISO 1217、付属書Cに従って測定される、分配装置に供給されるシーリング剤量の体積流量[m3/s]、 D:供給口の直径[m]、 γDM:ASTM D1333-14(方法A)に従って測定される、20℃及び常圧でのシーリング剤の表面張力[kg/s2]、及び a:供給口(7)の数 が含まれていることを特徴とする方法。 【請求項13】 ステップC)中、 - 車両用空気タイヤ(16)内のシーリング圧力は、少なくとも部分的に0.5バールから3バールの範囲であり、及び/又は - シーリング剤輸送チャネル(6)内のエアロゾル(8)の体積流量の動水圧は、少なくとも部分的に0.2バールから8バールの範囲である、請求項12に記載の方法。」 第4 取消しの理由の概要及び証拠方法 1 令和5年7月21日付け取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由は、概略、以下のとおりである。なお、特許請求の範囲の請求項は、令和5年10月6日に提出された訂正請求書による訂正前のものである。 理由1:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 記 本件特許の特許請求の範囲において、請求項1の「粒形」との記載、及び請求項6の「シーリング剤及び/又は気体(10)」との記載は、明確でない。 2 令和5年10月27日付け取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由は、概略、以下のとおりである。なお、特許請求の範囲の請求項は、本件訂正前のものである。 理由1:(進歩性)本件特許の請求項1~2、5~11及び13に係る発明は、パリ条約に基づく優先権主張の日(以下「本件優先日」という。)前に下記の日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 国際公開第2017/207121号 3 特許異議申立人が提示した証拠方法 甲第1号証:特開2009-137238号公報(以下「甲1」という。) 甲第2号証:独国特許出願公開第10314075号明細書(以下「甲2」という。) 甲第3号証:欧州特許出願公開第1419876号明細書(以下「甲3」という。) 甲第4号証:日本エアロゾル学会編、「エアロゾル用語集」、初版、京都大学学術出版会、2004年8月5日、p.20-23、28(以下「甲4」という。) 甲第5号証:特表平11-503362号公報(以下「甲5」という。) 甲第6号証:特開2005-279562号公報(以下「甲6」という。) 甲第7号証:特開昭55-49162号公報(以下「甲7」という。) 甲第8号証:特開2007-829号公報(以下「甲8」という。) 甲第9号証:特開2008-183538号公報(以下「甲9」という。) 甲第10号証:特表2016-531289号(以下「甲10」という。) 甲第11号証:特開2006-188033号公報(以下「甲11」という。) 甲第12号証:国際公開第2017/207121号(以下「甲12」という。) 第5 当合議体の判断 1 令和5年7月21日付け取消理由通知書(明確性要件)について 取消しの理由1(明確性要件)は、本件訂正により解消された。 2 令和5年10月27日付け取消理由通知書(進歩性)について(1)甲12の記載 令和5年10月27日付け取消理由通知書で引用した甲12には、以下の事項が記載されている。なお、当合議体が仮訳し、訳文の下線は当合議体が付与したものであって、甲12に記載された発明の認定に用いた箇所を示す。 ア 「 [図:0001413301000007.jpg] [図:0001413301000008.jpg] [図:0001413301000009.jpg] [図:0001413301000010.jpg] ・・・ [図:0001413301000011.jpg] ・・・ [図:0001413301000012.jpg] ・・・ [図:0001413301000013.jpg] [図:0001413301000014.jpg] 」(3頁5行~4頁1行・・・4頁16行~24行・・・6頁24行~29行・・・7頁23行~8頁2行) 訳「この目的は、主請求項の特徴によって達成される。さらなる有利な実施形態は従属項に開示されている。同様に開示されているのは、装置および本方法に特に適したシーリング材であり、これにより、単一の一般的な発明概念の実現、具体的には膨張可能な物品またはタイヤ内のシーリング材の確実で適切な分配、従って、単純な手段を用いた、必要とされる迅速なシールすなわち圧力増大の存在下の漏れの中のシーリング材の凝固の開始の実現が可能になる。 ここで、既に入口バルブ/入口ノズルの中または下流で、シーリング材は、シーリング材またはシーリング材空気混合物が入口バルブまたは入口ノズル内でレイノルズ数Re≧2300を有する乱流に変換されることによって、少なくとも部分的に霧化されてエアロゾルを形成し、ここで、前出のレイノルズ数は以下の等式/不等式: [図:0001413301000015.jpg] を満たし、この等式/不等式は以下のパラメータを含む: Τ0:周囲温度、 D:入口バルブまたは入口ノズルの特性直径、 ΔΤ:入口バルブまたは入口ノズルの温度と周囲温度との間の差、 P:シーリング材またはシーリング材空気混合物の搬送圧力、 ρ:シーリング材またはシーリング材空気混合物の密度、 η0:シーリング材またはシーリング材空気混合物の固有粘度、 κ:シーリング材またはシーリング材空気混合物の特性温度。 ・・・ この場合最も重要な影響因子は、シーリング材の動的粘度ηおよび搬送圧力Pおよび損傷したタイヤの入口バルブまたは入口ノズルにおける、すなわち、その中でまたはその下流でエアロゾルの形成が生じる霧化器ノズルとしてこの場合作用するタイヤバルブにおける、温度上昇ΔΤである。 ・・・ 驚くべきことに、このようなシーリング材は、本発明による方法で使用される場合、以下のような効果を有することが発見された、すなわち、タイヤ内または膨張可能な物品内での非常に迅速な分散が起こり、上述の事前シールおよび凝固が、タイヤをさらに移動する必要なく、すなわち例えば修理プロセスの間に車両を移動させる必要なく、非常に迅速に生じるという効果を有することが発見された。 ・・・ 本発明による方法の実行は、図に基づいて明らかになる。 図1は、霧化器ノズルにおける搬送圧力Pおよび温度上昇ΔΤに対する本発明によるシーリング材のRe≧2300を有するレイノルズ数を示している。200~600kPaの典型的な搬送圧力の場合、コンプレッサはこの場合、40~60℃のノズル温度の上昇を実現する。破線で囲まれた領域は、本発明による方法のパラメータ範囲を示す。本発明による好適な作業領域は、破線の境界に位置する斜線を引かれた領域である。」 イ 「 [図:0001413301000016.jpg] [図:0001413301000017.jpg] [図:0001413301000018.jpg] [図:0001413301000019.jpg] [図:0001413301000020.jpg] 」(9頁1行~10頁26行) 訳「特許請求の範囲 1)膨張可能な物品をシールして膨張させる方法、特に、自動車のタイヤをシールして膨張させる方法であって、好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサを用いて、シールおよびポンプ圧力が生成され、前記シールおよびポンプ圧力を用いて、シーリング材および圧縮ガス用のバルブおよび分配装置を経由して、およびバルブおよび分配装置と、前記膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホースを経由して、前記バルブおよび分配装置に接続されたシーリング材容器内に位置するシーリング材が、前記膨張可能な物品の中へ搬送され、同時に、前記膨張可能な物品がシールされ、所定の動作圧力まで膨張される方法において、 前記入口バルブ/前記入口ノズルの中または下流で、前記シーリング材が、前記シーリング材またはシーリング材空気混合物が前記入口バルブまたは前記入口ノズル内でレイノルズ数Re≧2300を有する乱流に変換されることによって、少なくとも部分的に霧化されてエアロゾルを形成し、前記レイノルズ数は以下の等式/不等式: [図:0001413301000021.jpg] を満たし、 前記等式/不等式は以下のパラメータ: Τ0:周囲温度、 D:前記入口バルブまたは前記入口ノズルの特性直径、 ΔΤ:前記入口バルブまたは前記入口ノズルの温度と前記周囲温度との間の差、 P:前記シーリング材またはシーリング材空気混合物の搬送圧力、 ρ:前記シーリング材またはシーリング材空気混合物の密度、 η0:前記シーリング材またはシーリング材空気混合物の固有粘度、 κ:前記シーリング材またはシーリング材空気混合物の特性温度 を含むことを特徴とする方法。 2)200~600kPaの前記コンプレッサの搬送圧力Pの場合、前記入口バルブまたは前記入口ノズルは、前記周囲温度に対する前記入口バルブまたは前記入口ノズルの前記温度差ΔΤが少なくとも10℃、好ましくは少なくとも40℃になるように昇温される、請求項1に記載の方法。 3)前記入口バルブまたは前記入口ノズルの前記昇温が、少なくとも2000ストローク/分のピストンストローク頻度が使用されることによって、前記コンプレッサの出口温度を上昇させることによって実現される、請求項2に記載の方法。 4)前記入口バルブまたは前記入口ノズルの前記昇温が電気ヒータを用いて実行される、請求項2または3に記載の方法。 5)請求項1~4に記載の方法を実行するための装置であって、シールおよびポンプ圧力を生成するために、好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサを有し、および、シーリング材および圧縮ガス用の少なくとも1つのバルブおよび分配装置を有し、前記バルブおよび分配装置は、シーリング材の容器用のポート、および、バルブおよび分配装置と、膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホース用のポートを有し、前記バルブおよび分配装置はさらに、エネルギー供給、切替えおよび/または制御用の接続手段、および、前記装置の操作用のディスプレイ装置を有する場合もある装置において、 前記コンプレッサまたは前記コンプレッサの構成要素が断熱性を示す、または、低い熱伝導性の材料から、好ましくはプラスチックから少なくとも部分的に構成されることを特徴とする装置。」 ウ 図1 [図:0001413301000022.jpg] (2)甲12に記載された発明 ア 甲12発明 上記(1)によれば、甲12には、特許請求の範囲の請求項1に係る発明を引用する請求項5に係る発明として、次の「分配装置」の発明(以下「甲12発明」という。)が記載されていると認められる。 「 膨張可能な物品をシールして膨張させる方法、特に、自動車のタイヤをシールして膨張させる方法であって、好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサを用いて、シールおよびポンプ圧力が生成され、前記シールおよびポンプ圧力を用いて、シーリング材および圧縮ガス用のバルブおよび分配装置を経由して、およびバルブおよび分配装置と、前記膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホースを経由して、前記バルブおよび分配装置に接続されたシーリング材容器内に位置するシーリング材が、前記膨張可能な物品の中へ搬送され、同時に、前記膨張可能な物品がシールされ、所定の動作圧力まで膨張される方法において、 前記入口バルブ/前記入口ノズルの中または下流で、前記シーリング材が、前記シーリング材またはシーリング材空気混合物が前記入口バルブまたは前記入口ノズル内でレイノルズ数Re≧2300を有する乱流に変換されることによって、少なくとも部分的に霧化されてエアロゾルを形成し、前記レイノルズ数は以下の等式/不等式: [図:0001413301000023.jpg] を満たし、 前記等式/不等式は以下のパラメータ: Τ0:周囲温度、 D:前記入口バルブまたは前記入口ノズルの特性直径、 ΔΤ:前記入口バルブまたは前記入口ノズルの温度と前記周囲温度との間の差、 P:前記シーリング材またはシーリング材空気混合物の搬送圧力、 ρ:前記シーリング材またはシーリング材空気混合物の密度、 η0:前記シーリング材またはシーリング材空気混合物の固有粘度、 κ:前記シーリング材またはシーリング材空気混合物の特性温度 を含むことを特徴とする方法を実行するための装置であって、シールおよびポンプ圧力を生成するために、好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサを有し、および、シーリング材および圧縮ガス用の少なくとも1つのバルブおよび分配装置を有し、前記バルブおよび分配装置は、シーリング材の容器用のポート、および、バルブおよび分配装置と、膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホース用のポートを有し、前記バルブおよび分配装置はさらに、エネルギー供給、切替えおよび/または制御用の接続手段、および、前記装置の操作用のディスプレイ装置を有する場合もある装置において、 前記コンプレッサまたは前記コンプレッサの構成要素が断熱性を示す、または、低い熱伝導性の材料から、好ましくはプラスチックから少なくとも部分的に構成されることを特徴とする装置における、分配装置。」 イ 甲12方法発明 また、甲12には、「甲12発明」を用いた「自動車のタイヤをシールして膨張させる方法」の発明(以下「甲12方法発明」という。)が記載されていると認められる。 (3)本件特許発明3 ア 対比 本件特許発明3と甲12発明とを対比する。 (ア)気体(10)、シーリング剤(9)及びエアロゾル 甲12発明は、「シーリング材の容器用のポート、および、バルブおよび分配装置と、膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホース用のポートを有し、さらに、エネルギー供給、切替えおよび/または制御用の接続手段、および、前記装置の操作用のディスプレイ装置を有する」ものであって、「前記シーリング材が、前記シーリング材またはシーリング材空気混合物が前記入口バルブまたは前記入口ノズル内でレイノルズ数Re≧2300を有する乱流に変換されることによって、少なくとも部分的に霧化されてエアロゾルを形成」する。 上記構成からみて、甲12発明の「空気」、「シーリング材」及び「エアロゾル」は、それぞれ、本件特許発明3の「気体(10)」、「シーリング剤(9)」及び「エアロゾル」に相当する。 (イ)圧縮空気源(11)及びガスコネクタ(2) 甲12発明は、「好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサを用いて、シールおよびポンプ圧力が生成され、前記シールおよびポンプ圧力を用いて、シーリング材および圧縮ガス用のバルブおよび分配装置を経由」するものである。 上記(ア)の構成と上記構成からみて、甲12発明の「コンプレッサ」及び「圧縮空気」の「ポート」は、それぞれ、本件特許発明3の「圧縮空気源(11)」及び「ガスコネクタ(2)」に相当する。 また、甲12発明の「圧縮空気」の「ポート」は、少なくとも1つあり、少なくとも1つの「コンプレッサ」と接続するためのものであるといえる。そうしてみると、甲12発明の「圧縮空気」の「ポート」は、本件特許発明3の「ガスコネクタ(2)」の「少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つの」との要件を満たす。 (ウ)シーリング剤容器(12)及びシーリング剤コネクタ(3) 上記(ア)の構成からみて、甲12発明の「シーリング材の容器用」及び「シーリング材の容器用のポート」は、それぞれ、本件特許発明3の「シーリング剤容器(12)」及び「シーリング剤コネクタ(3)」に相当する。 また、甲12発明の「シーリング材の容器用のポート」は、少なくとも1つあり、少なくとも1つの「シーリング材の容器用」と接続するためのものであるといえる。そうしてみると、甲12発明の「シーリング材の容器用のポート」は、本件特許発明3の「シーリング剤コネクタ(3)の「少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つの」との要件を満たす。 (エ)車両用タイヤ(16)及び接続要素(4) 甲12発明の「分配装置」は、「自動車のタイヤをシールして膨張させる方法」「を実行するための装置」「における」ものであって、「膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホース用のポートを有」する。 上記構成からみて、甲12発明の「自動車のタイヤ」及び「シーリング材ホース用のポート」は、それぞれ、本件特許発明3の「車両用タイヤ(16)」及び「接続要素(4)に相当する。 また、甲12発明の「シーリング材ホース用のポート」は、「自動車のタイヤ」と接続するためのものであって、1つ又は複数であるといえる。そうしてみると、甲12発明の「シーリング材ホース用のポート」は、本件特許発明3の「接続要素(4)」の「車両用タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の」との要件を満たす。 (オ)分配装置 上記(ア)~(エ)を総合すると、甲12発明の「分配装置」は、その文言どおり、本件特許発明の「分配装置」に相当する。 また、上記(ア)の構成から、甲12発明の「エアロゾル」は、「空気」と「シーリング材」とを含むものであり、甲12発明は、「エアロゾル」を形成するためのものであるといえる。また、上記(ア)~(エ)からみて、甲12発明の「分配装置」は、「圧縮空気」の「ポート」と、「シーリング材の容器」と接続するためのコネクタと、「シーリング材ホース用のポート」とを有するといえる。 そうしてみると、甲12発明の「エアロゾル」は、本件特許発明3の「エアロゾル」の「気体(10)とシーリング剤(9)とを含む」との要件を満たす。また、甲12発明の「分配装置」は、本件特許発明3の「分配装置」の「エアロゾルを発生するための」との要件を満たす。 さらに、甲12発明の「分配装置」は、本件特許発明3の「分配装置」の「少なくとも1つのガスコネクタ(2)と」、「少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と」、「1つ又は複数の接続要素(4)と」「を有し」との要件を満たす。 イ 一致点及び相違点 上記アによると、本件特許発明3と甲12発明は次の点で一致する。 「 気体(10)とシーリング剤(9)とを含むエアロゾル(8)を発生するための分配装置であって、 - 少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つのガスコネクタ(2)と、 - 少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と、 - 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の接続要素(4)と を有する分配装置。」 また、本件特許発明3と甲12発明は次の点で相違する。 <相違点1> 本件特許発明3は、「分配装置(1)に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニット(5)を有」し、「配量ユニット(5)は、シーリング剤を分配装置(1)に供給するための少なくとも1つの供給口(7)を有し、及び1つ又は少なくとも1つの供給口(7)は、0.01mmから10mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから5mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから1.5mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから1mmの範囲の直径(13)を有」するのに対して、甲12発明は、そのような配量ユニットを有しない点。 <相違点2> 本件特許発明3は、「生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有」するのに対して、甲12発明の「エアロゾル」は、粒径は明らかでなくそのように特定されていない点。 <相違点3> 本件特許発明3は、「配量ユニット(5)は、以下の条件又は式(2) 【数1】 [図:0001413301000024.jpg] を満たすように形成されていて、この条件又は式(2)には、以下のパラメータ、Dmm:供給口(7)の直径(13)[mm]、及びa:供給口(7)の数が含まれている」のに対して、甲12発明は、そのような配量ユニットを有しない点。 ウ 判断 事案に鑑み、上記相違点3について検討する。 上記ア(ア)の甲12の3頁5行~4頁1行の記載によれば、甲12発明の課題は、タイヤ内のシーリング材の確実で適切な分配、迅速なシールを実現することと認められ、また、上記ア(ア)の甲12の4頁16行~24行及び7頁23行~8頁2行の記載によれば、その解決手段は、「入口バルブ/前記入口ノズルの中または下流で、前記シーリング材が、前記シーリング材またはシーリング材空気混合物が前記入口バルブまたは前記入口ノズル内でレイノルズ数Re≧2300を有する乱流に変換されることによって、少なくとも部分的に霧化されてエアロゾルを形成」することであって、その場合の最も重要な因子は、動的粘度η、搬送圧力P及びタイヤバルブにおける温度上昇ΔΤと認められる。そうすると、甲12の上記記載に接した当業者は、上記「レイノルズ数Re≧2300」とするために最適化するパラメータは、主として搬送圧力P及び温度上昇ΔTであって、上記相違点3に係る、分配装置に供給するための供給口の寸法や数を調整することではないと認識する。 そして、甲12には、シーリング材を分配装置に供給するための供給口について具体的な記載がなく、供給口の直径及び数を調整ないし最適化するという技術思想は記載も示唆もされていない。さらに、甲12発明において、供給口の直径及び数を上記相違点3に係る構成とすることは、他の甲号証に記載されておらず、周知技術であるともいえない。 そうしてみると、たとえ当業者といえども、上記相違点3に係る本件特許発明3の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。 エ 小括 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、たとえ当業者といえども、本件特許発明3は、甲12発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)本件特許発明4~11 本件特許発明4~11は、本件特許発明3の構成を全て具備するものであるから、本件特許発明4~11も、本件特許発明3と同じ理由により、当業者であっても、甲12に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (5)本件特許発明12 ア 対比 本件特許発明12と甲12方法発明とを対比する。 (ア)気体(10)、シーリング剤(9)及びエアロゾル 甲12方法発明は、「シーリング材の容器用のポート、および、バルブおよび分配装置と、膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホース用のポートを有し、さらに、エネルギー供給、切替えおよび/または制御用の接続手段、および、前記装置の操作用のディスプレイ装置を有する」ものであって、「前記シーリング材が、前記シーリング材またはシーリング材空気混合物が前記入口バルブまたは前記入口ノズル内でレイノルズ数Re≧2300を有する乱流に変換されることによって、少なくとも部分的に霧化されてエアロゾルを形成」する。 上記構成からみて、甲12方法発明の「空気」、「シーリング材」及び「エアロゾル」は、それぞれ、本件特許発明12の「気体(10)」、「シーリング剤(9)」及び「エアロゾル」に相当する。 (イ)圧縮空気源(11)及びガスコネクタ(2) 甲12方法発明は、「好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサを用いて、シールおよびポンプ圧力が生成され、前記シールおよびポンプ圧力を用いて、シーリング材および圧縮ガス用のバルブおよび分配装置を経由」するものである。 上記(ア)の構成と上記構成からみて、甲12方法発明の「コンプレッサ」及び「圧縮空気」の「ポート」は、それぞれ、本件特許発明12の「圧縮空気源(11)」及び「ガスコネクタ(2)」に相当する。 また、甲12方法発明の「圧縮空気」の「ポート」は、少なくとも1つあり、少なくとも1つの「コンプレッサ」と接続するためのものであるといえる。そうしてみると、甲12方法発明の「圧縮空気」の「ポート」は、本件特許発明12の「ガスコネクタ(2)」の「少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つの」との要件を満たす。 (ウ)シーリング剤容器(12)及びシーリング剤コネクタ(3) 上記アの構成からみて、甲12方法発明の「シーリング材の容器用」及び「シーリング材の容器用のポート」は、それぞれ、本件特許発明12の「シーリング剤容器(12)」及び「シーリング剤コネクタ(3)」に相当する。 また、甲12方法発明の「シーリング材の容器用のポート」は、少なくとも1つあり、少なくとも1つの「シーリング材の容器用」と接続するためのものであるといえる。そうしてみると、甲12方法発明の「シーリング材の容器用のポート」は、本件特許発明12の「シーリング剤コネクタ(3)の「少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つの」との要件を満たす。 (エ)車両用タイヤ(16)及び接続要素(4) 甲12方法発明の「分配装置」は、「自動車のタイヤをシールして膨張させる方法」「を実行するための装置」「における」ものであって、「膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホース用のポートを有」する。 上記構成からみて、甲12方法発明の「自動車のタイヤ」及び「シーリング材ホース用のポート」は、それぞれ、本件特許発明12の「車両用タイヤ(16)」及び「接続要素(4)に相当する。 また、甲12方法発明の「シーリング材ホース用のポート」は、「自動車のタイヤ」と接続するためのものであって、1つ又は複数であるといえる。そうしてみると、甲12方法発明の「シーリング材ホース用のポート」は、本件特許発明12の「接続要素(4)」の「車両用タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の」との要件を満たす。 (オ)分配装置 上記(ア)~(エ)からみて、甲12方法発明の「分配装置」は、その文言どおり、本件特許発明12の「分配装置」に相当する。 また、上記アの構成から、甲12方法発明の「エアロゾル」は、「空気」と「シーリング材」とを含むものであり、甲12方法発明は、「エアロゾル」を形成するためのものであるといえる。また、上記(ア)~(エ)からみて、甲12方法発明の「分配装置」は、「圧縮空気」の「ポート」と、「シーリング剤コネクタ(3)」と、「シーリング材ホース用のポート」とを有するといえる。 そうしてみると、甲12方法発明の「エアロゾル」は、本件特許発明12の「エアロゾル」の「気体(10)とシーリング剤(9)とを含む」との要件を満たす。また、甲12方法発明の「分配装置」は、本件特許発明12の「分配装置」の「エアロゾルを発生するための」との要件を満たす。 また、甲12方法発明の「分配装置」は、本件特許発明12の「分配装置」の「少なくとも1つのガスコネクタ(2)と」、「少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と」、「1つ又は複数の接続要素(4)と」「を有し」との要件を満たす。 (カ)システム 甲12方法発明の「装置」は、「シールおよびポンプ圧力を生成するために、好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサを有し、および、シーリング材および圧縮ガス用の少なくとも1つのバルブおよび分配装置を有」する。 上記(ア)~(オ)及び上記構成からみて、甲12方法発明の「装置」は、本件特許発明12の「システム」に相当する。 また、甲12方法発明の「装置」が「自動車のタイヤをシールして膨張させる」ものであることは明らかである。そうしてみると、甲12方法発明の「装置」は、本件特許発明12の「システム」の「車両用タイヤ(16)をシールするため及び車両用空気タイヤを膨張させるための」との要件を満たす。 さらに、上記構成からみて、甲12方法発明の「コンプレッサ」が少なくとも1つあることは明らかである。そうしてみると、甲12方法発明の「装置」は、本件特許発明12の「システム」の「分配装置」、「少なくとも1つの圧縮空気源(11)と」、「少なくとも1つのシーリング剤容器(12)とを含み」との要件を満たす。 (キ)A)ステップ 甲12方法発明は、「膨張可能な物品をシールして膨張させる方法、特に、自動車のタイヤをシールして膨張させる方法であって、好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサを用いて、シールおよびポンプ圧力が生成され、前記シールおよびポンプ圧力を用いて、シーリング材および圧縮ガス用のバルブおよび分配装置を経由して、およびバルブおよび分配装置と、前記膨張可能な物品の入口バルブまたは入口ノズルとの間の圧縮空気およびシーリング材ホースを経由して、前記バルブおよび分配装置に接続されたシーリング材容器内に位置するシーリング材が、前記膨張可能な物品の中へ搬送され、同時に、前記膨張可能な物品がシールされ、所定の動作圧力まで膨張される」。 上記(ア)~(カ)及び上記方法からみて、甲12方法発明は、「装置」、「シーリング材の容器」、及び「膨張可能な物品」を提供するステップを含むといえる。ここで、上記方法からみて、甲12方法発明は、漏出箇所のある「自動車のタイヤ」を提供するといえる。 そうしてみると、甲12方法発明は、本件特許発明12の「A)」「システム(15)」、「シーリング剤」、及び「漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を提供又は製造するステップ」との要件を満たす。 (ク)B)ステップ 上記(ア)~(キ)からみて、甲12方法発明は、「シーリング材空気混合物」を装置の「分配装置」を通して、漏出箇所のある「自動車のタイヤ」に導入するといえる。 そうしてみると、甲12方法発明は、本件特許発明12の「B)」「シーリング剤と気体(10)、例えば圧縮空気とを、システム(15)の分配装置を通して、漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するステップ」との要件を満たす。 (ケ)C)ステップ 上記(ア)~(ク)からみて、甲12方法発明は、漏出箇所のある「自動車のタイヤ」を少なくとも部分的にシールするといえる。 そうしてみると、甲12方法発明は、本件特許発明12の「C)」「漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を少なくとも部分的にシールするステップ」との要件を満たす。 (コ)方法 上記(ア)~(ケ)を総合すると、甲12方法発明の「方法」は、本件特許発明12の「方法」に相当する。また、甲12方法発明の「方法」は、本件特許発明12の「方法」の「車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための」との要件を満たす。さらに、甲12方法発明の「方法」は、本件特許発明12の「方法」の「A)」「ステップ」、「B)」「ステップ」、「C)」「ステップを含み」との要件を満たす。 イ 一致点及び相違点 上記アによると、本件特許発明12と甲12方法発明は次の点で一致する。 「 車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための方法であって、 A)- 車両用空気タイヤ(16)をシールするため及び車両用空気タイヤ(16)を膨張させるためのシステム(15)、 - シーリング剤容器(12)内のシーリング剤、及び - 漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を提供又は製造するステップ、 B)シーリング剤と気体(10)、例えば圧縮空気とを、システム(15)の分配装置(1)を通して、漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するステップ、 C)漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を少なくとも部分的にシールするステップ を含み、 前記システム(15)は、 - 気体(10)とシーリング剤(9)とを含むエアロゾル(8)を発生するための分配装置(1)であって、 ・ 少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つのガスコネクタ(2)と、 ・ 少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と、 ・ 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の接続要素(4)と を有し、かつ、 - シール圧力又はポンプ圧力を発生するための少なくとも1つの圧縮空気源(11)と、 - シーリング剤を収容するための少なくとも1つのシーリング剤容器(12)とを含む、方法。」 また、本件特許発明12と甲12方法発明は次の点で相違する。 <相違点4> 本件特許発明12は、「当該分配装置(1)に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニット(5)」「を有」するのに対して、甲12方法発明は、そのような配量ユニットを有しない点。 <相違点5> 本件特許発明12は、「生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有する」のに対して、甲12方法発明の「エアロゾル」は、粒径は明らかでなくそのように特定されていない点。 <相違点6> 本件特許発明12は、「以下の条件又は式(1) 【数2】 [図:0001413301000025.jpg] が満たされていて、この条件又は式(1)には、以下のパラメータ、 ρG:20℃での輸送気体の密度[kg/m3]、 νG:ASTM D3154-14に従って測定される、分配装置に供給される気体又は圧縮空気量の流速[m/s]、 VDM:ISO 1217、付属書Cに従って測定される、分配装置に供給されるシーリング剤量の体積流量[m3/s]、 D:供給口の直径[m]、 γDM:ASTM D1333-14(方法A)に従って測定される、20℃及び常圧でのシーリング剤の表面張力[kg/s2]、及び a:供給口(7)の数が含まれている」のに対して、甲12方法発明は、そのような条件又は式(1)を有しない点。 ウ 判断 事案に鑑み、上記相違点6について検討する。 上記(3)ウで述べたとおり、甲12には、分配装置に供給される圧縮ガスの流速、分配装置に供給されるシーリング材量の体積流量、並びにシーリング材を分配装置に供給するための供給口の直径及び数について具体的な記載がなく、これらの具体的な数値は明らかでない。そして、甲12方法発明において、分配装置に供給される圧縮ガスの流速、分配装置に供給されるシーリング材量の体積流量、並びにシーリング材を分配装置に供給するための供給口の直径及び数を上記相違点6に係る構成とすることは、他の甲号証に記載されておらず、周知技術であるともいえない。 そうしてみると、たとえ当業者といえども、上記相違点6に係る本件特許発明12の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。 エ 小括 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、たとえ当業者といえども、本件特許発明12は、甲12方法発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (6)本件特許発明13 本件特許発明13は、本件特許発明12の構成を全て具備するものであるから、本件特許発明13も、本件特許発明12と同じ理由により、たとえ当業者といえども、甲12に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (7)まとめ 本件特許発明3~13は、たとえ当業者といえども、甲12に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 取消しの理由を通知しなかった異議申立ての理由の概要 取消しの理由を通知しなかった異議申立ての理由の概要は以下のとおりである。なお、特許請求の範囲の請求項は、令和5年10月6日に提出された訂正請求書による訂正前のものである。 1 理由1~3(進歩性) 本件特許の請求項1~13に係る発明は、本件優先日前に下記の日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 本件特許の請求項1~13に係る発明は、甲1~3のいずれかに記載された発明及び甲4~12に記載された事項により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 理由4(明確性要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 記 本件特許の特許請求の範囲において、請求項1及び11の「エアロゾル」、請求項3の「条件又は式(2)」との記載、請求項3の「式(2)」の記載、請求項7の「使用」との記載、及び請求項12の「式(1)」の記載は、明確でない。 3 理由5(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)発明の詳細な説明には、3つの実施例が例示されているに過ぎないので、本件特許の特許請求の範囲において、供給口の記載が請求項1、供給口の特定の直径の範囲のみが記載されている請求項2、式(2)が記載されている請求項3、及び式(1)が記載されている請求項12にまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。 (2)発明の詳細な説明の実施例には、どのような粒径を有するものがどの程度含まれているのか記載も示唆もされていないので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び11は、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決する手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えたものである。 4 理由6(実施可能要件) 本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許の特許請求の範囲の請求項1~13に係る特許を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、特許法36条4項1号の規定を満たしていない。 記 本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許の特許請求の範囲における、請求項1の「エアロゾル」、請求項2の「供給口」、請求項3の「式(2)」、並びに請求項4の「供給口」及び「配量速度」を、当業者が実施できる程度に記載されていない。 第7 取消しの理由を通知しなかった異議申立ての理由についての当合議体の判断 1 理由1~3(進歩性)について 甲1~3には、本件特許発明3、11及び13に係る「生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有」すること(以下「構成A」という。)は、記載も示唆もされていない。そして、甲1~3のいずれかに記載された発明において、本件特許発明3、11及び13に係る構成Aを適用することは、いずれの甲号証にも記載されておらず、周知技術であるともいえない。 そうしてみると、たとえ当業者といえども、甲1~3のいずれかに記載された発明に甲4~12に記載された事項を適用して本件特許発明3、11及び13に係る構成Aとすることには至らない。 本件特許発明3、11及び12を直接又は間接に引用する請求項についても同様である。 したがって、本件特許発明3~13は、たとえ当業者といえども、甲1~3のいずれかに記載された発明及び甲4~12に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 2 理由4(明確性要件)について 本件特許発明3、11及び12の「エアロゾル」は、「生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有」するものであるから、エアロゾルの粒径の範囲が理解できる。 本件特許発明3の「条件又は式(2)」との記載について、「条件」と「式(2)」が同じ意味であることは、本件特許明細書の【0042】等から明らかである。 本件特許発明3の「式(2)」について、本件特許明細書の【0042】及び【0043】の式(2)についての記載並びに実施例として記載された【0093】~【0105】等の記載から技術的意義が理解できる。 本件特許発明7の「使用」は、その文言どおり「使用」という意味であり、カテゴリーは明らかである。 本件特許発明12の「式(1)」について、本件特許明細書の【0045】の式(1)についての記載及び実施例として記載された【0093】~【0105】等の記載から技術的意義が理解できる。 本件特許発明3、11及び12を直接又は間接に引用する請求項についても同様である。 したがって、本件特許発明3~13は、明確である。 3 理由5(サポート要件)について (1)本件特許明細書における、【0030】~【0037】及び【0053】の供給口の記載、【0042】~【0044】及び【0059】の式(2)の記載、並びに【0075】~【0077】の式(1)の記載から、【0093】~【0105】に記載された実施例を、当業者であれば本件特許発明3~13にまで拡張ないし一般化できる。 (2)本件特許発明3、11及び12の「エアロゾル」は、「生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有」するものである。 これに対して、本件特許明細書において、発明が解決しようとする課題について、【0010】には、「本発明により対処される問題は、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品を、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品を移動させる必要なく、及び/又は車両用空気タイヤ若しくは膨張可能な技術的ゴム物品中に最低圧力が存在することなく、少なくとも部分的にシールすることのできる装置を提供することを含む。」と記載されている。また、【0019】、【0073】及び【0074】には、エアロゾルの粒径が記載されている。さらに、【0093】~【0105】の実施例に係る記載からエアロゾル収量が改善されていることが理解できる。 そうしてみると、本件特許発明3、11及び12は、上記課題を解決する手段が反映されている。 請求項3、11及び12を直接又は間接に引用する請求項も同様である。 (3)したがって、本件特許発明3~13は、発明の詳細な説明に記載したものである。 4 理由6(実施可能要件)について 本件特許明細書において、【0030】~【0037】及び【0053】の供給口の記載、【0042】~【0044】及び【0059】の式(2)の記載、【0034】~【0037】の配量速度の記載、並びに【0093】~【0105】の実施例の記載から、当業者であれば本件特許発明3~13を実施できる。 したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明3~13を当業者が実施できる程度に記載されている。 5 小括 特許異議申立人の主張は、いずれも採用することができない。 第8 むすび 本件特許3~13は、取消理由通知書に記載した取消しの理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件特許3~13を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正請求により、請求項1~2は削除されたから、本件特許1~2についての特許異議の申立ての対象は存在しないこととなった。 したがって、本件特許1~2についての特許異議の申立ては、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700475

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