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特許異議申立

2023-700373

積層体及び包装体

審判番号
2023-700373
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-058392
登録番号
7153213
請求日
2023年04月12日
審決日
2023年06月30日
公報発行日
2023年07月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】宮嶋 学
  • 【権利者代理人】浅野 真理
  • 【権利者代理人】高田 泰彦
  • 【権利者代理人】柏 延之
  • 【異議申立人】▲高▼貫 ひとみ
審判長/審判官
  • 審判長 井上 茂夫
  • 審判官 ▲高▼橋 杏子
  • 審判官 藤原 直欣
分類
P1651.121-Y (B32B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7153213号発明「積層体及び包装体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7153213号の請求項1~6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7153213号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成30年3月26日に出願され、令和4年10月5日にその特許権の設定登録がされ、令和4年10月14日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和5年4月12日に特許異議申立人▲高▼貫ひとみ(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 特許第7153213号の請求項1~6の特許に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」といい、その他の請求項に係る発明も同様に称する。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ヒートシール層と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層とをこの順に備え、 前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエステル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂を含み、 前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエステル系樹脂を含み、 前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角が、MD方向に対して、-40°以上、40°以下であり、 前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層のMD方向が揃うように積層されていることを特徴とする、積層体。 【請求項2】 前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層が、少なくとも一方の面に蒸着膜又は金属箔を備える、請求項1に記載の積層体。 【請求項3】 前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1又は2に記載の積層体。 【請求項4】 前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層の厚さが、5μm以上、40μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項5】 前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角と、前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角との差が、4°以上、15°以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項6】 請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体から構成される包装体。」 第3 特許異議の申立理由の概要 申立人は、主たる証拠として以下に示す甲第1号証及び従たる証拠として甲第2~4号証を提出し、請求項1~6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~6に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。 [証拠方法] 甲第1号証:特開2003-72006号公報 甲第2号証:特開平2-219749号公報 甲第3号証:特開2016-44308号公報 甲第4号証:特開2014-151459号公報 (以下、甲第1号証を「甲1」という。他の甲各号証についても、同様である。) 第4 当審の判断 1 甲1~4に記載された事項・発明 (1)甲1 ア 甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 「【請求項1】 消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内であるポリエステル系二軸延伸フィルム層(X1)、消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内であるポリエステル系二軸延伸フィルム層(X2)、及びシーラント層(Y)の少なくとも3層よりなることを特徴とラミネートフィルム」 「【0006】まず、本発明における易裂性ラミネートフィルムのポリエステル系二軸延伸フィルム層(X1)、(X2)は、消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内である必要がある。この主軸の傾きは、偏光顕微鏡により観察することにより測定する。まず、直交ニコル状態とした偏光顕微鏡の載物台に、フィルムの流れ方向を偏光子の振動方向にあわせてフィルムを乗せ、載物台を回転させた際の消光位の角度を読みとり、これを主軸の傾きとする。この消光位の角度は、フィルムの流れと直角な方向(TD)に対して成す角度である。フィルムを乗せた載物台を45゜まで回転させても消光位が現れない場合は、載物台をもとの位置に戻し、逆の方向に回転させて測定する。角度は絶対値で示し、載物台の回転方向が逆であってもプラスで読みとるものとする。」 「【0008】一般に、二軸延伸フィルムは、光学的に異方性であり、あらゆる方向から光を入れて測定した屈折率の内、最大の屈折率をγ、最小の屈折率をαとすると、これらは互いに直行しており、さらに3次元的に考えて、この2つに直行する方向の屈折率はβと定義できる。これらのα、β、γは主屈折率と呼ばれ、二軸延伸フィルムの場合にはその配向を決める尺度になる。この3つの主屈折率は直行しているために、軸の長さがα、β、γである屈折率楕円体で表すことができる。従って、フィルムの延伸による配向の変化は屈折率楕円体の形状の変化でわかることになる。この屈折率楕円体の中心を通り、入射角と直角な面で屈折率楕円体を切ると、その切り口が楕円になる。その長径、短径がその時の屈折率n1、n2になり、その差が複屈折率である。一般に市販のポリエステル系二軸延伸フィルムの場合は、主屈折率α、β、γの内、βとγはフィルムの面内にあり、γは全体の分子配向の方向と一致し、特にテンター法で生産されたフィルムの場合フィルム中央部ではフィルムの流れ方向と直角の方向(TD方向)にほぼ重なり、フィルムの両端に向かってしだいにTD方向からずれてくる。また、αはフィルム面内に垂直にある。 【0009】分子配向の方向を測定するには、フィルム面内の360゜全方向から屈折率を測定し、最大の屈折率γを含む方向を決めればよい。この屈折率γを含む方向とフィルムの流れに直角な方向との成す角度と本願発明の主軸の傾きとは同じものである。しかし、この方法は手間がかかってしまうため、一般的には偏光顕微鏡で測定するのが簡便である。 【0010】ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X1)と(X2)の消光位の角度(主軸の傾き)が共に30°以内のものを積層したフィルムであれば、得られたラミネートフィルムは易裂性が良好なものとなる。主軸の傾きが30°を超える場合は、ラミネートフィルムを裂く際に、裂く方向が一定しなかったり、裂けにくくなったりする。好ましくは20゜以内である。ここで言う30°以内とは、フィルムのどの部分でも30°以内という意味である。 【0011】更に、主軸の傾きが30゜以内のポリエステル系二軸延伸フイルム層(X1)、(X2)を使用することにより、本発明の易裂性ラミネートフィルムを製袋して袋にした場合に、シール部がカールしにくくなるという効果もある。一般に、二軸延伸フィルムは幅方向において主軸の傾きは異なっており、フィルムの端の部分より、中央部分の方が主軸の傾きが小さい。その際、フィルムの幅方向において主軸の傾きが30゜以内の部分のみをスリットすることにより、本発明の易裂性ラミネートフィルムとすることができる。」 「【0024】 【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。なお、以下の例において、フイルムの評価及び測定は、次の各方法によって行ったものである。また、フイルムの層構成、評価結果、及び測定結果を表1に示した。 【0025】〈引き裂きやすさ〉実施例及び比較例により得られたフィルムをシーラント面同士をあわせて、四方をヒートシールし袋状(サンプル)とした、シール部に設けた1mmの深さのノッチから手で引き裂いた。右手を手前でも左手を手前でも引っかかりがなく引き裂けるものを◎、右手前あるいは左手前のどちらかのみ引っかかりがなく引き裂けるものを○、どちらも引っかかりがあり引き裂きにくいものを×とした。この試験をフィルムの流れ方向(MD)、それと直角の方向(TD)に各々評価して結果を表1に示した。」 「【0028】フィルムI:厚さ12μm、幅520mmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学興人パックス(株)製、ダイアホイルH505-12)、偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、全幅どこを測定しても20°以内であった。 【0029】フィルムII:厚さ12μm、幅520mmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学興人パックス(株)製、ダイアホイルH500-12)、偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、30°以内であった。 【0030】フィルムIII:厚さ12μm、幅520mmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学興人パックス(株)製、ダイアホイルH500-12)、偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、30°~35°であった。 【0031】フィルムIV:厚さ12μm、幅520mmの酸化珪素が蒸着された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学興人パックス(株)製、テックバリアV)。偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、全幅どこを測定しても25°以内であった。 【0032】フィルムV:厚さ12μm、幅520mmの酸化珪素が蒸着された二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学興人パックス(株)製、テックバリアV)、偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、30°~35°であった。 【0033】シーラント:東セロ(株)製 TUX-FCS 厚さ50μm 【0034】実施例1 フィルムI/フィルムII/シーラントの構成で、接着剤に東洋モートン(株)製TM-593/CAT-56を用い、ドライラミネート法で積層フィルムを作製した。次いでこのフィルムを2つ折りにして、180℃で1秒間ヒートシールして、横取りにて四方シール袋(サイズ200mm×250mm)を作製した。得られた袋で、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カット性、カール性を評価し、表1に示した。 【0035】実施例2 実施例1において、構成をフィルムI/フィルムIV/シーラントに変えた外は、実施例1と同様にして引き裂きやすさ、直線カット性、カール性を評価し、表1に示した。 【0036】実施例3 実施例1において、構成をフィルムIV/フィルムIV/シーラントに変えた外は、実施例1と同様にして引き裂きやすさ、直線カット性、カール性を評価し、表1に示した。 【0037】比較例1 実施例1において、構成をフィルムI/フィルムIII/シーラントに変えた外は、実施例1と同様にして引き裂きやすさ、直線カット性、カール性を評価し、表1に示した。 【0038】比較例2 実施例1において、構成をフィルムII/フィルムIII/シーラントに変えた外は、実施例1と同様にして引き裂きやすさ、直線カット性、カール性を評価し、表1に示した。 【0039】比較例3 実施例1において、構成をフィルムII/フィルムV/シーラントに変えた外は、実施例1と同様にして引き裂きやすさ、直線カット性、カール性を評価し、表1に示した。 【0040】比較例4 実施例1において、構成をフィルムIII/フィルムV/シーラントに変えた外は、実施例1と同様にして引き裂きやすさ、直線カット性、カール性を評価し、表1に示した。 【0041】 【表1】 [図:0001399431000001.jpg] 」 イ 甲1に記載された発明 以上より、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内であるポリエステル系二軸延伸フィルム層(X1)/消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内であるポリエステル系二軸延伸フィルム層(X2)/シーラント層(Y)の構成のラミネートフィルム」 (2)甲2 甲2には、次の事項が記載されている。 「1.二軸延伸フィルム層と、この二軸延伸フィルム層に積層したシーラン ト層とを具えるフィルム積層構体を、その幅方向の中央部からの折返し 姿勢で、前記シーラント層のヒートシールによって製袋してなる包装袋 において、 二軸延伸フィルム層の分子配向線と、包装袋の幅方向もしくは長さ方 向辺縁との交角を15度以下としてなる易開封性包装袋。」(特許請求の範囲) 「 この例では、ベース材料としての二軸延伸フィルム層、たとえば二軸延伸ナイロンフィルム層1に、中間層としてのポリエチレン層2およびシーラント層、たとえばエチレン-ビニルアセテートコポリマー層3を順次に積層することによってフィルム積層構体4を構成し、そして、このフィムル積層構体4をその幅方向の中央部から、第1図(C)に矢印Aで示すように、エチレン-ビニルアセテートコポリマー層3が相互に対向する方向へ折返し、かかる状態で、それらのエチレン-ビニルアセテートコポリマー層3を相互にヒートシールして製袋することにより、第1図(a)に示すように、三方向をヒートシールされた包装袋5を形成する。 ここにおける包装袋5は、図に斜線部分で示すようなコ字状のヒートシール部6を有するとともに、そのヒートシール部6の所要の辺部分としての縦シール部分に設けた、少なくとも一の切裂ノッチ7を有する。 ここで、この包装袋5では、図に細線で示す、表面側二軸延伸ナイロンフィルム層1の分子配向線8および図に一点鎖線で示す、裏面側二軸延伸ナイロンフィルム層1の分子配向線9のそれぞれを、包装袋5の幅方向の辺縁と15度以下、好ましくは7度以下の交角α1、α2にて交差する方向へ延在させることとし、これがため、第1図(b)に示すフィルム積層構体4の分子配向線10の延在方向もまた、その上縁もしくは下縁との交角が15度以下、好ましくは7度以下となる方向とする。 なお、この包装袋5では、垂れの長さ方向辺縁に対する、それぞれの分子配向線8、9の交角を15度以下とすることも可能であり、これらのいずれの場合であっても、包装袋5への引裂き外力の作用方向が、第4図(a)、(d)に示すように、表裏面の二軸延伸ナイロンフィルム層1のそれぞれの分子配向線8、9がクロスする方向であるときはもちろん、第4図(b)、(C)に示すように、分子配向線8、9が相互に離隔する方向であるときにもまた、所要の引裂力を、従来技術に比して著しく小さくすることができる。」(第3ページ左下欄第1行~右下欄欄第19行) (3)甲3 甲3には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 包装用のポリエステルフィルムであって、 ポリエステルフィルムの主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角が20°以下であり、[主配向方向:フィルムの長手方向あるいは幅方向であって、分子鎖主軸とのなす角度が45°以下となる方向を意味する。(分子鎖主軸とのなす角度が45°の場合は長手方向とする。)] 厚さが7μm以上、25μm以下であり、かつ 以下の(1)~(3)の条件を同時に満足することを特徴とする包装用ポリエステルフィルム。 (1) 1.666≦Nx≦1.690 (2) 1.630≦Ny≦1.663 [(1)~(2)において、Nxは主配向方向の屈折率であり、Nyは主配向方向と90°方向の屈折率である。] (3) 長手方向および幅方向の150℃における熱収縮率がともに3.5%以下」 「【0017】 本発明のポリエステルフィルムの主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角の上限は、20°である。これにより、直線引裂き性が良好となり、包装袋としたときの開封時の泣き別れを小さくすることができ、意図する方向に引裂くことが容易となる。前記配向角の上限は、好ましくは18°である。また、前記配向角の下限は、0°である。 ポリエステルフィルムの主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角が20°以下であれば、長手方向およびその直角方向、あるいは斜め方向の直線引裂き性が優れる理由は定かではないが、包装袋にしたときに包装袋を形成する表裏のポリエステルフィルムの分子鎖主軸の配向方向の差を小さくできるので、泣き別れが小さく直線引裂き性に優れると推定している。 ここでいう、主配向方向とは、フィルムをJIS K 7142-1996 5.1(A法)により、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折計によりフィルム長手方向(MD)の屈折率、フィルム幅方向(TD)の屈折率を測定した場合に、屈折率の大きな方向を意味する。 従来、分子鎖主軸の配向角が20°を超える現象は、特に逐次二軸延伸方式において、長手方向に延伸した後に、テンターを用いて幅方向に延伸して製膜された場合のクリップに把持された幅方向の端部に近い部分からスリット(切断)されたフィルムに見られることがある。」 「【0027】 ポリエステルフィルムをヒートシールする際には、予め、ポリエステルフィルムをラミネートしていてもよい。2枚以上のポリエステルフィルムの間に、シーラント層を挟持し、この積層体を加熱することによってラミネートできる。必要に応じて、ポリエステルフィルムとシーラント層の間に、接着剤を存在させてもよい。」 「【0051】 ポリエステルフィルムの分子鎖主軸の配向角は、フィルムの位置(幅方向の中央、端部)により変動するが、フィルムの位置にかかわらずフィルムの主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角は、好ましくは20°以下であり、より好ましくは15°以下である。この配向角が20°を超えると直線引裂き性が得られなくなり、包装袋にしたときの泣き別れが大きくなり、意図する方向に切りにくくなることがある。また、分子鎖主軸の配向角の下限は、0°である。 分子鎖主軸の配向角は、フィルムの幅方向の両端部から端部サンプルを切り出し、さらにほぼ均等の間隔で3箇所の計5箇所のサンプルを切り出し、さらにそれぞれのサンプルの中央部の100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出し、そのフィルムサンプルについて、分子配向計を用いて、フィルムの主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角を測定した。 従来のポリエステルフィルムが分子鎖主軸の配向角が20°を超える現象は、特に、テンターを用いて製膜された場合のクリップに把持された幅方向の端部に近い部分からスリット(切断)されたフィルムに見られることがあるが、本発明のポリエステルフィルムは幅方向の端部に近い部分からスリットされたフィルムであっても優れた特性、特に泣き別れがより改善されるという特徴を有する。 【実施例】 【0052】 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を意味する。 本発明で用いた測定方法は、以下の通りである。」 「【0055】 (3)分子鎖主軸の配向角 100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出し、そのフィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計を用いて、フィルムの主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角を測定した。ここでいう主配向方向とは、フィルムの長手方向あるいは幅方向であって、分子鎖主軸とのなす角度が45°以下となる方向を意味する。但し、分子鎖主軸とのなす角度が45°の場合は長手方向とする。」 (4)甲4 甲4には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0018】 以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。以下では2種類のフィルムを貼り合わせて積層フィルムを製造する工程を説明する。 図1に、実施形態の積層フィルムを製造する貼り合わせ装置1の模式的な図を示す。この貼り合わせ装置1は、第1の送出ロール11から引き出される第1のフィルム13と、第2の送出ロール15から引き出される第2のフィルム17と、を貼り合わせる装置である。 【0019】 この貼り合わせ装置1は、第1送出部21、コーティング部23、加熱部25、第2送出部27、貼り合わせ部29、巻取部31を備える。装置全体には図示しないものを含む複数のガイドローラ19が設けられており、それらにより第1のフィルム13,第2のフィルム17は案内される。 【0020】 第1の送出ロール11に巻き回された第1のフィルム13は、第1送出部21からコーティング部23に送出される。コーティング部23では、第1のフィルム13の一方の面に接着剤が塗布される。 【0021】 加熱部25では、接着剤の溶剤を加熱により気化させて除去する。また、第1のフィルム13を加熱することにより伸張を促進する。その後、第1のフィルム13は貼り合わせ部29に送られる。 【0022】 第2の送出ロール15に巻き回された第2のフィルム17は、第2送出部27から貼り合わせ部29に送出される。 貼り合わせ部29では、加圧ローラ41,43によって第1のフィルム13における接着剤の塗布面と第2のフィルム17とを圧着させ、積層フィルム33とする。巻取部31では積層フィルム33を巻き回し、巻取りロール35を形成する。 【0023】 一部のガイドローラ19は軸位置を変動可能に構成されており、これらの軸位置を変動させること、および第1の送出ロール11,第2の送出ロール15,巻取りロール35の回転速度を調整することにより、第1のフィルム13および第2のフィルム17に掛かる送出方向の張力(以降、単にテンションと記載する)を調整できる。テンションは第1送出部21、コーティング部23、加熱部25、第2送出部27、貼り合わせ部29、巻取部31それぞれにおいて調整することができる。 【0024】 この貼り合わせ装置1は、第1のフィルム13および第2のフィルム17のテンションを調整し、相対的に第1のフィルム13の長手方向(送出方向)に関する伸び率が大きくなるように調整した状態で貼り合わせ部29にて貼り合わせる。換言すると、第1のフィルム13を自然長よりも伸ばした状態とし、第2のフィルム17をなるべく伸びないようにした状態で貼り合わせる。」 「【図1】 [図:0001399431000002.jpg] 」 2 本件発明1について 甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「シーラント層(Y)」、「ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X2)」、「ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X1)」、「ラミネートフィルム」は、それぞれ、本件発明1における「ヒートシール層」、「ポリエステル系樹脂を含」む「第1の二軸延伸樹脂フィルム層」、「ポリエステル系樹脂を含」む「第2の二軸延伸樹脂フィルム層」、「積層体」に相当する。 また、甲1発明において、「ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X1)」/「ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X2)」/「シーラント層(Y)」の構成であることは、「シーラント層(Y)」からみると「シーラント層(Y)」、「ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X2)」、「ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X1)」の順であることから、本件発明1における「ヒートシール層と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層とをこの順に備え」ることに相当する。 甲1の段落【0024】~【0025】、【0034】~【0041】には、実施例及び比較例により得られたフィルムが、フィルムの流れ方向(MD)と、それと直角の方向(TD)を有することが示唆されていることから、甲1において、「ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X2)」の流れ方向(MD)と、「ポリエステル系二軸延伸フィルム層(X1)」の流れ方向(MD)とが揃うように積層されていることは当業者に自明な事項であり、このことは、本件発明1の「第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び第2の二軸延伸樹脂フィルム層のMD方向が揃うように積層されている」ことに相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] ヒートシール層と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層とをこの順に備え、 前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエステル系樹脂を含み、 前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエステル系樹脂を含み、 前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層のMD方向が揃うように積層されている、積層体。 [相違点] 第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び第2の二軸延伸樹脂フィルム層について、本件発明1は、分子配向角が、MD方向に対して、-40°以上、40°以下であるのに対し、甲1発明は、消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内である点。 (2)判断 ア 上記相違点について検討する。 甲1発明の「消光位の角度(主軸の傾き)」は、甲1の段落【0008】~【0009】を参酌すると、分子配向の方向と一致するγを含む方向のフィルムの流れと直角な方向(TD)に対して成す角度を意味する。してみれば、甲1発明における、「消光位の角度(主軸の傾き)」と、本件発明1の「分子配向角」とは、(MD方向に対する分子配向角の絶対値)=90°-(消光位の角度(主軸の傾き))の関係となる。そうすると、甲1発明の「消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内である」ことは、MD方向に対する分子配向角の絶対値が60°以上90°以下であることを意味し、本件発明1の分子配向角の範囲と、甲1発明の消光位の角度(主軸の傾き)の範囲が重複しない。甲1発明において、本件発明1の角度とするためには、消光位の角度(主軸の傾き)を50°以上90°以下とする必要がある。 しかし、甲1の段落【0006】には、消光位の角度(主軸の傾き)の測定は、フィルムの流れに直角な方向(TD)に対して45°までの範囲で行うことが記載されており、甲1の段落【0011】には、「一般に、二軸延伸フィルムは幅方向において主軸の傾きは異なっており、フィルムの端の部分より、中央部分の方が主軸の傾きが小さい。その際、フィルムの幅方向において主軸の傾きが30゜以内の部分のみをスリットすることにより、本発明の易裂性ラミネートフィルムとすることができる。」と記載されていることから、甲1発明において、敢えて、二軸延伸フィルムから、測定の範囲外である「消光位の角度(主軸の傾き)」が50°以上90°以下の部分のみをスリットする動機付けは存在しない。 イ 甲2には、二軸延伸フィルム層の分子配向線と、包装袋の幅方向もしくは長さ方向辺縁との交角を15度以下としてなる易開封性包装袋が記載されているが、甲2に記載の包装袋の「幅方向」及び「長さ方向」が、二軸延伸フィルム層のMD方向とTD方向に一致するのかは不明である。仮に一致するとしても、甲2に記載された包装袋は、ヒートシール層と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層とをこの順に備え積層させたものにおける開封容易性を向上させるものではないから、甲1発明に、甲2に記載された「包装袋の幅方向もしくは長さ方向辺縁との交角を15度以下」との技術的事項のみを選んで適用する理由はない。 ウ 甲3には、主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角が20°以下であるポリエステルフィルムが記載されているが、ヒートシール層と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層とをこの順に備え積層させたものにおける開封容易性を向上させるものではないから、甲1発明に、甲3に記載された「主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角が20°以下」との技術的事項のみを選んで適用する理由はない。 エ よって、相違点に係る本件発明1の構成は、甲1発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものではなく、本件発明は、甲1発明、甲2、甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 3 本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記2で検討したのと同じ理由により、本件発明2~6は、甲1~4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件発明1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 第5 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700373

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