特許異議申立
2023-700276
硬化性組成物
- 審判番号
- 2023-700276
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-019984
- 登録番号
- 7138581
- 請求日
- 2023年03月13日
- 審決日
- 2024年09月17日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】サンスター技研株式会社
- 【権利者代理人】山尾 憲人
- 【権利者代理人】式見 真行
- 【権利者代理人】福政 充睦
- 【権利者代理人】畠中 省伍
- 【異議申立人】前田 洋志
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼澤 英一
- 審判官 藤井 勲
- 審判官 岡谷 祐哉
- 分類
- P1652.113-YAA(C08G) / P1652.121-YAA(C08G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項、特許法第131条の2第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7138581号発明「硬化性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7138581号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-13〕について訂正することを認める。
特許第7138581号の請求項1~7、10~13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7138581号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、平成31年2月6日を出願日とする出願(特願2019-19984号)であって、令和4年9月8日に特許権の設定登録(請求項の数13)がされ、同年同月16日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、令和5年3月13日に、特許異議申立人である前田洋志(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~7、10~13)がされた。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 4月10日付け 手続補正指令(方式)(申立人宛て)
同年 5月11日提出 手続補正書(方式)
同年 7月20日付け 取消理由通知
同年 9月22日提出 意見書・訂正請求(特許権者)
同年10月 5日付け 通知書(申立人宛て)
同年11月 9日提出 意見書(申立人)
令和6年 2月 5日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 4月 4日提出 意見書・訂正請求(特許権者)
同年 4月25日付け 手続補正指令(方式)(特許権者宛て)
同年 5月13日提出 手続補正書(方式)(特許権者)
同年 5月21日付け 通知書(申立人宛て)
同年 6月20日提出 意見書(申立人)
なお、令和6年4月4日に訂正請求がされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、先にした令和5年9月22日の訂正請求は取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨
令和6年4月4日提出の訂正請求書の請求(以下、「本訂正請求」という。)の趣旨は、特許第7138581号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~13について訂正することを求める、というものである。
2 補正の適否の判断
令和6年5月13日提出の手続補正書(方式)による補正は、「7.請求の理由」「2.訂正の理由」中の「訂正事項6」において、訂正前の請求項6について、同請求項1を引用して独立形式請求項に書き下すとのみ記載していたものを、実際に書き下した訂正後の発明を具体的に記載する補正であり、同「訂正事項7」において、訂正前の請求項11について、同請求項1を引用して独立形式請求項に書き下し、さらに訂正事項1~3の内容を特定するとのみ記載していたものを、実際に書き下して訂正事項1~3の内容を特定した発明を具体的に記載する補正であり、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
したがって、当該手続補正書による訂正請求書の補正を認める(特許法第120条の5第9項において準用する特許法第131条の2第1項)。
3 訂正の内容
令和6年5月13日提出の手続補正書(方式)により補正された、訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を表し、当審が付した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物」
とあるのを、
「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物」
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、
「を含み、
ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である、」
とあるのを、
「を含み、
ポリイソシアネート(b)は脂肪族であり、」
に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1において、
「、硬化性組成物」
とあるのを、
「、
ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である、硬化性組成物。」
に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1において、
「硬化性組成物。」
とあるのを、
「硬化性組成物(ただし、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性組成物は除く)。」
に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項3において、
「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が4000以下」
とあるのを、
「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が2500以下」
に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6において、訂正前の請求項1の特徴を特定したうえで、独立形式請求項へ改める訂正をする。具体的には
「シリコーン添加剤(C)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。」
とあるのを、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)および
シリコーン添加剤(C)を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11において、訂正前の請求項1の特徴を特定したうえで、独立形式請求項へ改め、さらに上記訂正事項1~3の内容を特定する訂正をする。具体的には
「ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。」
とあるのを、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(b)は脂肪族であり、
ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である、硬化性組成物であって、
ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用される、硬化性組成物。」に訂正する。
(8)一群の請求項について
訂正事項1~4に係る訂正前の請求項1~13について、請求項2~13はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1~4によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
よって、本件訂正は、一群の請求項1~13に対してされたものである。
(9)別の訂正単位とする求めについて
訂正後の請求項6と、訂正後の請求項6の記載を引用する訂正後の請求項7~9については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
また、訂正後の請求項11については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
しかしながら、請求項13は、請求項1~12を直接又は間接的に引用しているから、訂正後の請求項1~13は一群の請求項となる。
してみると、別の訂正単位とする求めがされた訂正後の請求項6~9、請求項11は、その他の一群の請求項に係る訂正とは別の訂正単位として扱うことができないものである。
よって、別の訂正単位とする求めは認められない。
4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物」から、訂正後の請求項1の「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物」に訂正するものである。
この訂正は、「反応物」の原料を限定するものである。
してみると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1の「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)からなる原料の反応物」に係る事項は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の実施例において、原料としてポリオキシアルキレンポリオール及びポリイソシアネート(a)のみを用いてウレタンプレポリマー(A)を製造したことが開示されているから、本件特許の願書に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下、「本件明細書等」という。)の全てを総合することにより導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、上記訂正事項1に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1の「ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である」から、訂正後の請求項1の「ポリイソシアネート(b)は脂肪族であり」に訂正するものである。
この訂正により、訂正前には「ポリイソシアネート(a)が脂肪族である」か、「ポリイソシアネート(b)が脂肪族である」か、又は「ポリイソシアネート(a)およびポリイソシアネート(b)が脂肪族である」かの3つの態様があったものを、「ポリイソシアネート(b)が脂肪族である」という1つの態様に限定するものである。
してみると、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2の「ポリイソシアネート(b)は脂肪族であり」に係る事項は、本件明細書の段落【0045】に「ポリイソシアネート(b)については、上述したポリイソシアネート(a)と同様であってよい。」ことが、同【0019】に「ポリイソシアネート(a)は、・・・、接着の耐久性(例えば、耐水性、耐熱性、耐湿性)の観点から、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、中でも脂環族ポリイソシアネートが好ましい。」ことが記載され、実施例で脂環族ポリイソシアネートを用いることが開示されている。
してみると、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等の全てを総合することにより導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、上記訂正事項2に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項1の「ウレタンプレポリマー(B)」において、その数平均分子量が3000以下であることに訂正するものである。
この訂正は、「硬化性組成物」を構成する原料である「ウレタンプレポリマー(B)」について「数平均分子量が3000以下である」ことを限定するものである。
してみると、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3の「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」に係る事項は、本件明細書の段落【0038】に、「接着性の観点からは、ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は、・・・。相溶性(例えば、硬化性組成物中におけるウレタンプレポリマー(B)の相溶性)の観点からは、Mnは4000以下であってよく、例えば3000以下、・・・である。」ことが記載されているから、本件明細書等の全てを総合することにより導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、上記訂正事項3に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項1の「硬化性組成物」において、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性組成物を除くことを訂正するものである。
この訂正は、いわゆる除くクレームに該当し、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4は、本件明細書等の全てを総合することにより導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項3の「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が4000以下である」から、訂正後の請求項3の「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が2500以下である」に訂正するものである。
この訂正により、ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量を、訂正前の「4000以下」から、訂正後の「2500以下」に限定するものである。
してみると、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項5の「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が2500以下である」に係る事項は、本件明細書の段落【0038】に、「接着性の観点からは、ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は、・・・。相溶性(例えば、硬化性組成物中におけるウレタンプレポリマー(B)の相溶性)の観点からは、Mnは4000以下であってよく、例えば3000以下、好ましくは2500以下である。」ことが記載されているから、本件明細書等の全てを総合することにより導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、上記訂正事項5に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。
(5)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項6のうち請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して,独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、かつ、訂正前の請求項1~5のいずれか一項を引用するものから、請求項1のみを引用するものに訂正するものであるから、同第同条同項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項6は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新たな技術的事項の導入には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項11のうち請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して,独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、かつ、訂正前の請求項1~10のいずれか一項を引用するものから、請求項1のみを引用するものに訂正するものであるから、同法同条同項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項7は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新たな技術的事項の導入には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
5 独立特許要件について
上記「第1 手続の経緯」で述べたとおり、本件特許異議の申立ては、本件請求項1~13に係る特許のうち請求項1~7、10~13に係る特許に対して申立てられたものであるから、請求項8、9に係る特許に対しては申立てられていない。
そして、訂正事項1~4による訂正前の請求項1に対する訂正は、上記「3」「(1)訂正事項1について」~「(4)訂正事項4について」で述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、訂正前の請求項1を間接的に引用する請求項8、9も同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がなされたといえる。
そこで、訂正後の請求項8、9に係る発明の独立特許要件について検討すると、後記「第5 当審の判断」で述べるように、本件訂正後の請求項6に係る発明には、特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえないから、本件訂正後の請求項6を直接又は間接的に引用し、かつ、本件訂正後の請求項6に係る発明の特定事項を全て含む本件訂正後の請求項8、9に係る発明についても、同様に特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえず、また他に特許を受けることができない理由を発見しないため、本件訂正後の請求項8、9に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
したがって、訂正事項1~4に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定を満たす訂正であるといえる。
ついで、訂正事項5に係る訂正は、上記「3」「(5)訂正事項5について」で述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、訂正前の請求項3を直接又は間接的に引用する請求項8、9も同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がなされたといえる。
そこで、訂正後の請求項8、9に係る発明の独立特許要件について検討すると、上述と同様の理由により、本件訂正後の請求項8、9に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
したがって、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定を満たす訂正であるといえる。
さらに、訂正事項6に係る訂正は、上記「3」「(6)訂正事項6について」で述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、訂正前の請求項6を直接又は間接的に引用する請求項8、9も同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がなされたといえる。
そこで、訂正後の請求項8、9に係る発明の独立特許要件について検討すると、上述と同様の理由により、本件訂正後の請求項8、9に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
したがって、訂正事項6による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定を満たす訂正であるといえる。
6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5ないし7項の規定に適合するものであるから、結論のとおり、本件訂正を認める。
第3 訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正請求により訂正された請求項1~13に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(b)は脂肪族であり、
ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である、硬化性組成物(ただし、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性組成物は除く)。
【請求項2】
ウレタンプレポリマー(A)の数平均分子量が1000以上である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が2500以下である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量のウレタンプレポリマー(A)の数平均分子量に対する比率((ウレタンプレポリマー(B)のMn)/(ウレタンプレポリマー(A)のMn)×100%)が100%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
ポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールは脂肪族である、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)および
シリコーン添加剤(C)を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。
【請求項7】
シリコーン添加剤(C)がポリエーテル変性シリコーンである、請求項6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
ポリエーテル変性シリコーンが(AB)n型ポリエーテル変性シリコーンである、請求項7に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
添加剤(C)の動粘度が3000mm2/s以上である、請求項6~8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
潜在性硬化剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(b)は脂肪族であり、
ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である、硬化性組成物であって、
ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用される、硬化性組成物。
【請求項12】
充填剤および可塑剤からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
潜在性硬化剤、充填剤、および可塑剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。」
第4 特許異議申立書の申立理由と当審が通知した取消理由
1 特許異議申立書(以下「申立書」ということがある。)の申立理由
(1)申立理由1(甲第1号証に基づく新規性、進歩性欠如)
本件特許の請求項1~3、10、12及び13に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1~7、10、12及び13に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第6号証に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~7、10、12及び13に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(2)申立理由2(甲第3号証に基づく新規性、進歩性欠如)
本件特許の請求項1~3及び5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1~7に係る発明は、甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(3)申立理由3(甲第4号証に基づく新規性、進歩性欠如)
本件特許の請求項1~3、5、10、12及び13に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第4号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1~7、10、12及び13に係る発明は、甲第4号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~7、10、12及び13に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(4)申立理由4(甲第5号証に基づく新規性、進歩性欠如)
本件特許の請求項1、2、5、11及び12に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第5号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1、2、5~7、11及び12に係る発明は、甲第5号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第7号証に記載された事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、2、5~7、11及び12に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
2 証拠方法
(1)申立人が、申立書に添付した証拠は、以下のとおりである。
・甲第1号証:特開2006-291060号公報
・甲第2号証:特表2018-522076号公報
・甲第3号証:中国特許出願公開第105255435号明細書
・甲第4号証:中国特許出願公開第107142068号明細書
・甲第5号証:米国特許出願公開第2018/0305597号明細書
・甲第6号証:国際公開第2006/064736号
・甲第7号証:特表2016-525614号公報
(以下、甲第1号証~甲第7号証をそれぞれ「甲1」~「甲7」という。)
(2)当審が職権で追加した文献
・参考文献1:特開平10-287718号公報
・参考文献2:国際公開第2018/047438号
(以下、参考文献1、参考文献2をそれぞれ「参1」、「参2」という。)
3 当審が通知した令和6年2月5日付け取消理由通知書(決定の予告)
当審で通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
●理由4(甲1に基づく進歩性欠如)
本件特許の請求項1~5、10、12及び13に係る発明は、甲1に記載された発明及び参1に記載された事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~5、10、12及び13に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
第5 当審の判断
以下に述べるように、当審が通知した取消理由通知(決定の予告)の取消理由、及び、特許異議申立書の申立理由によっては、本件発明1~7、10~13に係る特許を取り消すことはできない。
1 申立理由1(甲1に基づく新規性及び進歩性欠如)及び取消理由4(甲1に基づく進歩性欠如)
申立理由1と取消理由4とは、いずれも甲1を主引例とするものであるから、併せて検討する。
(1)甲1に記載された事項及び甲1に記載された発明
ア 甲1に記載された事項
甲1には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
ウレタンプレポリマーAを含有する組成物と、あらかじめ混合させたウレタンプレポリマーBとエポキシ樹脂とケチミンとを含有する添加剤とを有する室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物であって、
前記添加剤の量が、前記ウレタンプレポリマーA100質量部に対して、1~50質量部である室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記ウレタンプレポリマーAのイソシアネート基が、芳香環に結合している請求項1に記載の室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物。」
「【0001】
本発明は、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物に関する。」
「【0006】
従って、本発明は、接着性に優れる室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物の提供を目的とする。」
「【0010】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物は、
ウレタンプレポリマーAを含有する組成物と、あらかじめ混合させたウレタンプレポリマーBとエポキシ樹脂とケチミンとを含有する添加剤とを有する室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物であって、
前記添加剤の量が、前記ウレタンプレポリマーA100質量部に対して、1~50質量部である室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物である。
【0011】
ウレタンプレポリマーAを含有する組成物について以下に説明する。
ウレタンプレポリマーAは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる反応生成物であって、イソシアネート基を分子末端に含有するポリマーである。
【0012】
ウレタンプレポリマーAとしては、ウレタンプレポリマーAのイソシアネート基が、例えば、芳香環に結合しているもの、脂肪族炭化水素に結合しているものが挙げられる。中でも、硬化速度、接着性、高強度の観点から、ウレタンプレポリマーAのイソシアネート基が芳香環に結合しているのが好ましい。
・・・
【0017】
ポリオール化合物について以下に説明する。
ポリオール化合物は、特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオール、および、これらの混合ポリオールが挙げられる。
・・・
【0030】
本発明においては、ウレタンプレポリマーAを含有する組成物は、ウレタンプレポリマーAのみからなっていてもよいが、ウレタンプレポリマーA以外に、本発明の目的を損わない範囲で、配合剤を含有することができる。配合剤としては、例えば、硬化剤、硬化触媒、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、無機顔料、有機顔料、接着付与剤、難燃剤、脱水剤、溶剤、シランカップリング剤、チクソトロピー付与剤、帯電防止剤が挙げられる。添加剤の量は、特に制限されず、ウレタン系組成物において一般的に使用されうる量を配合することができる。」
「【0047】
添加剤について、以下に説明する。
添加剤は、あらかじめ混合させたウレタンプレポリマーBとエポキシ樹脂とケチミンとを含有するものであり、添加剤の量は、ウレタンプレポリマーA100質量部に対して、1~50質量部である。」
「【0048】
ウレタンプレポリマーBは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる反応生成物であって、イソシアネート基を分子末端に含有するポリマーである。
【0049】
ウレタンプレポリマーBとしては、例えば、第三級炭素原子に結合しているイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、第二級炭素子に結合しているイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、第一級炭素原子に結合しているイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが挙げられる。中でも、貯蔵安定性、反応速度を遅くしうるという観点から、第三級炭素原子に結合しているイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが好ましい。第三級炭素原子に結合しているイソシアネート基はイソシアネート基周辺の立体障害が大きく反応性が低い。このため、第三級炭素原子に結合しているイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーは、ケチミンが加水分解することにより生成するアミンと穏やかに反応するので、エポキシ樹脂はケチミンが加水分解することにより生成するアミンと反応することができる。
・・・
【0057】
ポリイソシアネート化合物は、反応速度の観点から、分子内のすべてのイソシアネート基が第三級炭素原子に結合している構造を有するのがより好ましい。
【0058】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、式(2)で表されるm-またはp-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添MDI、水添TDIのようなポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、ビューレット体;これらのポリイソシアネート化合物と1,1,1-トリメチロールプロパンのような多価アルコールとの付加体が挙げられる。
【0059】
【化2】
[図:0001417601000001.jpg]
・・・
【0063】
ポリイソシアネート化合物は、接着性、貯蔵安定性、反応速度に優れる観点から、式(2)で表されるm-またはp-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、IPDIが好ましい。ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
ポリオール化合物について、以下に説明する。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオール、および、これらの混合ポリオールが挙げられる。これらの具体例は、上記のウレタンプレポリマーAの原料のポリオール化合物と同様である。」
「【0073】
ケチミンについて、以下に説明する。
ケチミンは、加水分解により、第一級アミンを生成しうる化合物である。使用されるケチミンは、特に限定されない。なお、本発明では、ケトンまたはアルデヒドと、アミンとから導かれるC=N結合(ケチミン結合)を有する化合物をケチミンと称する。したがって、本発明において、ケチミンは、-HC=N結合を有するアルジミンも含むものとする。
・・・
【0082】
ケチミンの原料であるポリアミンは、アミノ基を2個以上有するものであれば特に制限されない。中でも、硬化速度が優れる点から、脂肪族系ポリアミンが好ましい。
・・・
【0100】
ケチミンの量は、ウレタンプレポリマーBのイソシアネート基およびエポキシ樹脂のエポキシ基に対する、加水分解後の硬化剤中のアミノ基(NH2)のモル比〔NH2/(NCOおよびエポキシ基)〕が、0.8~1.2であるのが好ましく、0.9~1.1であるのがより好ましい。このような範囲の場合、硬化性、貯蔵安定性に優れる。」
「【0103】
本発明の室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物は、ウレタンプレポリマーAを含有する組成物および添加剤以外に、本発明の目的を損わない範囲で、配合剤を有することができる。配合剤は、上記の配合剤と同様である。」
「【0106】
本発明の室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物の用途としては、例えば、シーリング材、接着剤、コーティング材、プライマー、塗料、防水材が挙げられる。
被着体としては、例えば、モルタル、コンクリート;ポリエステルのような繊維が挙げられる。施工方法は、特に制限されず、例えば、刷毛、コテ、ローラー、ガン(塗布装置)を用いて施工することができる。
本発明の室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物から得られうる硬化物は、初期接着性、耐温水接着性、耐熱接着性に優れる。
【0107】
本発明の室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物は、添加剤を、接着性の付与を目的として有する。添加剤はエポキシ樹脂を含み、エポキシ樹脂のエポキシ基とケチミンが加水分解されて生成したアミンとが反応してヒドロキシ基となりうる。ヒドロキシ基は被着体との接着に寄与し、接着性を優れたものとすることができる。」
「【実施例】
【0108】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0109】
1.ウレタンプレポリマー1の調製
数平均分子量4000のポリオキシプロピレントリオール333質量部(エクセノール4030、旭硝子社製)と、数平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール491質量部(エクセノール2020、旭硝子社製)と、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル50質量部(DINP、新日本理化社製)とを混合し、減圧下、110℃、8時間脱水した。その後、これにトリレンジイソシアネート(2,4-および2,6-トリレンジイソシアネートの混合比は80/20、三井武田ケミカル社製、コスモネートT-80)126質量部(ポリオールとポリイソシアネートとのNCO/OHがモル比で1.95となる)を混合し、80℃、24時間反応させて、ウレタンウレポリマー1(NCO基含有率2.90質量%)を調製した。
【0110】
2.添加剤
(1)ウレタンプレポリマー2の調製
ポリカーボネートジオール(ブラクセル CD220、ダイセル化学工業社製、重量平均分子量2000)100gと、TMXDI(日本サイテックインダストリーズ社製)をNCO/OHモル比が2.0となるよう24.4gで混合し、錫触媒存在下で、窒素気流中、80℃で8時間かくはんしながら反応させた。反応終了後、酢酸エチルを290.3g添加し、目的とするウレタンウレポリマー2(NCO基含有率0.88質量%)を得た。
【0111】
(2)ケチミンの調製
ノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学社製)100gと、メチルイソプロピルケトン(MIPK)200gとを、トルエン200gとともにフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら20時間反応させてケチミンを得た。
【0112】
(3)添加剤1の調製
上記のように調製したウレタンプレポリマー2を150.0gと、ウレタンプレポリマー3〔1,1,1-トリメチロールプロパン(TMP)とTMXDIとの反応物(NCO/OHモル比=2.0)であるサイセン3174、日本サイテックインダストリーズ社製〕を34.0gと、エポキシ樹脂としてのビスA型エポキシ樹脂(EP4100、旭電化工業社製)を30.0gとを混合した(なお、ウレタンプレポリマー2およびウレタンプレポリマー3に含有される固形分は70.0gである)。さらにこれに上記のように調製したケチミン28.0g(ウレタンプレポリマー2およびウレタンプレポリマー3のイソシアネート基とエポキシ樹脂のエポキシ基との合計に対して、生成するアミンがモル比で1.0となる量)を添加し、室温、窒素雰囲気下で均一に混合し、添加剤1を調製した。
【0113】
(4)添加剤2の調製
ウレタンプレポリマー2の量を107.3gとし、ウレタンプレポリマー3の量を33.8g(ウレタンプレポリマー2およびウレタンプレポリマー3に含有される固形分は50.0g)とし、エポキシ樹脂の量を50.0gとし、ケチミンの量を34.3gとした他は、添加剤1と同様にして、添加剤2を調製した。
【0114】
(4)添加剤3の調製
ウレタンプレポリマー2の量を64.3gとし、ウレタンプレポリマー3の量を14.5g(ウレタンプレポリマー2およびウレタンプレポリマー3に含有される固形分は30.0g)とし、エポキシ樹脂の量を70.0gとし、ケチミンの量を33.8gとした他は、添加剤1と同様にして、添加剤3を調製した。
・・・
【0117】
3.室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物
実施例1~7および比較例1~3については、まず、第1表に示す硬化剤の各成分を第1表に示す量(単位は質量部)で調製して硬化剤混合物とした。次に、第1表に示すウレタンプレポリマー1(第1液)と、この硬化剤混合物(第2液)と、接着付与剤とを第1表に示す量(単位は質量部)で23℃、55%RHの条件下で混合し、各室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
実施例8については、まず第1表に示すウレタンプレポリマー1と、硬化剤とを第1表に示す量(単位は質量部)で混合して1液型のポリウレタン樹脂組成物とした。次に、この1液型ポリウレタン樹脂組成物に、第1表に示す接着付与剤を第1表に示す量(単位は質量部)で23℃、55%RHの条件下で混合し、各室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0118】
4.接着性評価
得られた室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物を用いてはく離力を以下のように評価した。結果を第1表に示す。
【0119】
(1)試験体の作製
被着体として縦25cm、横25mmのモルタル板1枚と、同じ大きさのポリエステル不織布のシート1枚とを使用した。
得られた室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物を23℃、55%RHの条件下でモルタル板に0.2kg/m2となるように塗布し、これにシートを張り合わせたものを試験体1とした。
(2)はく離力の測定
試験体1を23℃、55%RHの条件下で7日間養生して硬化させた。
次に、硬化後の試験体について、180°ピール引張試験を引張速度50mm/minの条件で行ってはく離力を測定し、その平均値を求め、この値を初期はく離力とした。
【0120】
試験体1を23℃、55%RHの条件下で7日間養生して硬化させた後、50℃の温水中に7日間置いた。7日後、試験体を水中から引き上げ、この試験体について、上記と同様に180°ピール引張試験を行ってはく離力を測定し、その平均値を求め、この値を耐温水はく離力とした。
【0121】
試験体1を23℃、55%RHの条件下で7日間養生して硬化させた後、80℃の条件下で7日間置いた。7日後、この試験体について、上記と同様に180°ピール引張試験を行ってはく離力を測定し、その平均値を求め、この値を耐熱はく離力とした。
【表1】
[図:0001417601000002.jpg]
【0122】
第1表中の各成分の詳細は、以下のとおりである。
・ウレタンプレポリマー1:上記のように調製したウレタンプレポリマー1
・ポリオール化合物1:数平均分子量5000のポリプロピレントリオール、商品名:エクセノール5030、旭硝子社製
・ポリオール化合物2:数平均分子量2000のポリプロピレンジオール、商品名:エクセノール2020、旭硝子社製
・アミン化合物:4,4′-メチレンビス(2-クロロアニリン)(キュアミンMT、イハラケミカル社製)
・フィラー:炭酸カルシウム、商品名:カルファイン200、丸尾カルシウム社製
・可塑剤:DINA(アジピン酸ジイソノニル)、ジェイ・プラス社製
・硬化触媒:オクチル酸鉛、活材ケミカル社製
【0123】
第1表に示す結果から明らかなように、実施例3~8は比較例1~3に比べて高いはく離力を有し、本発明の室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物から得られうる硬化物は、初期接着性、耐温水接着性、耐熱接着性に優れることが分かる。
比較例1は、TDI由来のウレタンプレポリマーを含有するので硬化速度が速く、さらに接着付与剤を含有しないため、接着性が低い。比較例2は、TMXDI由来のウレタンプレポリマーを含むので硬化速度は比較例1に比べて遅いが、接着性を付与できるエポキシ樹脂が含有されていないので、接着性が低い。比較例3はウレタンプレポリマー2を含まないので硬化速度は比較例1と同様と考えられるが、エポキシ樹脂を含有するため比較例1、2と比べて接着性がある。
比較例3と、実施例3、8とを比べると、添加剤2を含有する実施例3および実施例8は、比較例3よりはく離力が初期、耐温水、耐熱についていずれも高く接着性に優れる。これは、実施例3、8が、添加剤を含有することによりウレタンプレポリマーの湿気硬化反応を抑えケチミンとの硬化反応を促進しているためと発明者は推測する。
実施例3~5の結果から、添加剤の量が増えるほどはく離力が大きくなり、接着性に優れることがわかる。
実施例1~2と比較例3とを比べると、実施例1~2は比較例3より接着付与剤の含有量が低いにも関わらず、略同等または同等以上のはく離力を示し、添加剤を含有することにより室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物が接着性に優れることが分かる。」
イ 甲1に記載された発明
甲1の実施例1に着目すると、以下の発明が記載されている。
「ウレタンプレポリマー1(第1液)と硬化型混合物(第2液)と、接着付与剤とを混合して調製した室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物であって、
ウレタンプレポリマー1として下記ウレタンプレポリマー1:100質量部、硬化型混合物として下記ポリオール化合物1:13.7質量部、下記ポリオール化合物2:4.5質量部、下記アミン化合物:9.2質量部、下記フィラー:70質量部、下記可塑剤:22質量部、下記硬化触媒:0.05質量部、接着付与剤として下記添加剤2:1質量部を調製して得た、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
・ウレタンプレポリマー1:数平均分子量4000のポリオキシプロピレントリオール333質量部(エクセノール4030、旭硝子社製)と、数平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール491質量部(エクセノール2020、旭硝子社製)と、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル50質量部(DINP、新日本理化社製)とを混合し、減圧下、110℃、8時間脱水し、その後、これにトリレンジイソシアネート(2,4-および2,6-トリレンジイソシアネートの混合比は80/20、三井武田ケミカル社製、コスモネートT-80)126質量部(ポリオールとポリイソシアネートとのNCO/OHがモル比で1.95となる)を混合し、80℃、24時間反応させて、調製したウレタンウレポリマー1(NCO基含有率2.90質量%)
・ポリオール化合物1:数平均分子量5000のポリプロピレントリオール、商品名:エクセノール5030、旭硝子社製
・ポリオール化合物2:数平均分子量2000のポリプロピレンジオール、商品名:エクセノール2020、旭硝子社製
・アミン化合物:4,4′-メチレンビス(2-クロロアニリン)(キュアミンMT、イハラケミカル社製)
・フィラー:炭酸カルシウム、商品名:カルファイン200、丸尾カルシウム社製
・可塑剤:DINA(アジピン酸ジイソノニル)、ジェイ・プラス社製
・硬化触媒:オクチル酸鉛、活材ケミカル社製
・添加剤2:ポリカーボネートジオール(ブラクセル CD220、ダイセル化学工業社製、重量平均分子量2000)100gと、TMXDI(日本サイテックインダストリーズ社製)をNCO/OHモル比が2.0となるよう24.4gで混合し、錫触媒存在下で、窒素気流中、80℃で8時間かくはんしながら反応させ、反応終了後、酢酸エチルを290.3g添加して得られた、ウレタンウレポリマー2(NCO基含有率0.88質量%)の量を107.3gとし、ウレタンプレポリマー3〔1,1,1-トリメチロールプロパン(TMP)とTMXDIとの反応物(NCO/OHモル比=2.0)であるサイセン3174、日本サイテックインダストリーズ社製〕の量を33.8g(ウレタンプレポリマー2およびウレタンプレポリマー3に含有される固形分は50.0g)とし、エポキシ樹脂の量を50.0gとし、ケチミンの量を34.3gとして添加し、室温、窒素雰囲気下で均一に混合して調製した。」(以下、「甲1発明」という。)
(2)参1に記載された事項
参1には、以下の事項が記載されている。
「【0008】上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば式(1):
【0009】
【化1】
[図:0001417601000003.jpg]
【0010】〔式中、R1は炭素原子数が、通常、2~20、好ましくは4~15のアルキレン基、または(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールもしくは(ポリ)テトラメチレングリコールから2個の水酸基を除いた残基を表し、複数のR1は互いに同一でも異なっていてもよく、mは、通常、1~30の整数、好ましくは3~20の整数である)で示される化合物が挙げられる。R1の具体例としては、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールまたはテトラプロピレングリコールから2個の水酸基を除いた残基が挙げられる。
【0011】ポリカーボネートジオールの市販品としては、ニッポラン-980、981、982、983(以上、日本ポリウレタン(株)製)、PC-8000(PPG(株)製)、PNOC1000、PNOC2000、PMC-100,2000(以上、クラレ(株)製)、プラクセルCD-205、CD-208、CD-210、CD-220、CD-205PL、CD-208PL、CD-210PL、CD-220PL、CD-205HL、CD-208HL、CD-210HL、CD-220HL、CD-210T、CD-221T(以上、ダイセル化学(株)製)等を使用することができる。」
(3)甲2に記載された事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
「【0084】
任意選択のポリオール相溶化剤
ポリオールの混合物が用いられる場合、相溶化剤が要求される場合がある。ポリオール混合物は、異なる極性又は親水性特性の異なるレベルを有することができ、これらの因子の結果は、成分がある程度不混和性であるか、又は互いにある程度だけ混和することである。これらの混合物の相分離は、使用中、例えば発泡してポリウレタン発泡体を与える間、又は2成分接着剤の保存中の問題をもたらす場合がある。相溶性は、まずポリオールAのプレポリマーを製造し、次いで第二の工程においてさらなるポリオール又は鎖延長剤を加えることにより改善することができる。しかし、これは十分ではない場合がある。
【0085】
相溶剤は、したがって容易に混和しないポリオールの相溶化又は均一化に用いられる。用語相溶化は、手順が均一化又は乳化に原理的に類似するものの、技術文献においてみられる用語として用いられる。相溶性ポリオール混合物は、したがって巨視的に単相を有すると考えられる。適した相溶化剤としては、シリコーン界面活性剤、EO/POブロックコポリマー界面活性剤、及び/又はアルコキシレート界面活性剤が挙げられる。1種又は複数種の相溶化剤は、0.05~5質量%、好ましくは0.1~2質量%にてポリウレタン中に存在することができる。」
(4)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「ウレタンプレポリマー1」は、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンジオール、トリレンジイソシアネートを反応させてなるものであり、NCO基含有率が2.90質量%であることから、本件発明1の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含」むことに相当する。
(イ)甲1発明の「添加剤2」を構成する「ウレタンプレポリマー2」は、ポリカーボネートジオール、TMXDI(m-またはp-テトラメチルキシリレンジイソシアネート)を反応させてなるものであり、NCO基含有率が0.88質量%であることから、本件発明1の「ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」むことに相当する。
(ウ)甲1発明の「室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物」は、本件発明1の「硬化性組成物」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含む、硬化性組成物。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1では、「ポリイソシアネート(b)は脂肪族である」のに対し、甲1発明では、「ウレタンプレポリマー2」の原料であるポリイソシアネートが芳香族である点
<相違点2>
本件発明1では、「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」のに対し、甲1発明では、「ウレタンプレポリマー2」の重量平均分子量が2000である点
<相違点3>
硬化性組成物に関し、本件発明1では、「(ただし、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性樹脂組成物は除く。)」のに対し、甲1発明では、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む点
イ 判断
事案に鑑みて、相違点3について検討する。
甲1発明では、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物が、添加剤2として、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含むものであり、甲1の請求項1では、「ウレタンプレポリマーAを含有する組成物と、あらかじめ混合させたウレタンプレポリマーBとエポキシ樹脂とケチミンとを含有する添加剤とを有する室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物であ」ることを特定している。
他方、本件発明1では、「(ただし、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性樹脂組成物は除く。)」ものであるから、相違点3は実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲1発明でない。
ついで、進歩性について検討する。
甲1には、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物が接着性の付与を目的として添加剤を含有すること、添加剤がエポキシ樹脂を含み、エポキシ樹脂のエポキシ基と、ケチミンが加水分解して生成したアミンとが反応してヒドロキシ基となり、該ヒドロキシ基が被着体との接着性に寄与し、接着性を優れたものとすること(【0107】)が記載されており、甲1発明の課題が「接着性に優れる室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物の提供を目的とする」こと(【0006】)であるから、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含むことは、甲1発明の課題を解決するためには、必須の技術事項である。
そうすると、甲1発明、すなわち甲1に記載された発明は、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性組成物であるところ、当該発明から、エポキシ樹脂とケチミンのどちらか一方を含有しない硬化性組成物とすることに動機付けがないし、むしろ阻害要因があるものといえる。
よって、相違点3に係る発明特定事項は、甲1に記載された発明及び甲1の記載に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
そして、本件発明1は、特定の原料からなるウレタンプレポリマー(A)、特定の原料からなり、かつ、特定の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(B)を含む硬化性組成物とすることにより、前処理工程を減じても、好ましくは前処理工程なしでも樹脂基材への接着性に優れるという格別な効果が奏されるものである。
ウ 令和6年6月20日提出の意見書について
申立人は、甲1の明細書[0005]には、従来のケイ素原子を有する化合物を含有するポリウレタン組成物が、接着性に関し改善の余地があること、芳香環に結合しているイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーとケチミンとエポキシ樹脂とを含有するポリウレタン組成物が接着性に劣ることが記載されていることから、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有し、エポキシ樹脂及びケチミンを含有しない、ポリウレタン樹脂は従来存在したと考えられ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有するポリウレタン組成物がエポキシ樹脂及びケチミンを含有せずとも基本的な接着性を有すると考えられるし、上記記載から、接着性を向上させるために、ウレタンプレポリマーを含有するポリウレタン組成物からエポキシ樹脂とケチミンとを除外することは当業者が通常なし得ることである旨意見する。
そこで検討する。
上記イに示したように、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含むことが必須の技術事項であることを踏まえると、たとえ、エポキシ樹脂及びケチミンを含有しない、ポリウレタン樹脂が従来存在していたとしても、甲1に記載された発明を出発点として、エポキシ樹脂とケチミンのどちらか一方を含有しないポリウレタン組成物とすることが、当業者には容易に想到し得たとはいえないし、その他の証拠をみても、エポキシ樹脂とケチミンのどちらか一方を含有しないことについて動機付けがあるとはいえない。
してみると、上述の申立人の意見は妥当でない。
エ 小括
したがって、本件発明1は、相違点1及び2について検討するまでもなく、甲1に記載された発明でないし、甲1に記載された発明並びに甲1及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(5)本件発明1を引用する本件発明2~5、10、12、13について
本件発明2~5、10、12、13は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記(4)で述べたのと同じ理由により、本件発明2、3、10、12、13は、甲1に記載された発明でないし、本件発明2~5、10、12、13は、甲1に記載された発明並びに甲1及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(6)本件発明6について
ア 対比
本件発明6と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「ウレタンプレポリマー1」は、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンジオール、トリレンジイソシアネートを反応させてなるものであり、NCO基含有率が2.90質量%であることから、本件発明6の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含」むことに相当する。
(イ)甲1発明の「添加剤2」を構成する「ウレタンプレポリマー2」は、ポリカーボネートジオール、TMXDI(m-またはp-テトラメチルキシリレンジイソシアネート)を反応させてなるものであり、NCO基含有率が0.88質量%であることから、本件発明6の「ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートジオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」むことに相当する。
(ウ)甲1発明の「室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物」は、本件発明6の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明6と甲1発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含む、硬化性組成物。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点4>
本件発明6では、「シリコーン添加剤(C)を含」むのに対し、甲1発明では、「シリコーン添加剤(C)を含」むことが不明である点
<相違点5>
本件発明6では、「ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である」のに対し、甲1発明では、「ウレタンプレポリマー1」及び「ウレタンプレポリマー2」の原料であるポリイソシアネートが芳香族である点
イ 判断
相違点4について検討する。
甲1には、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物にシリコーン添加剤を含有することは記載されていない。
他方、甲2には、ポリオールの混合物が用いられる場合、相溶化剤が要求される場合があること、ポリオールの混合物の相分離は、使用中、例えば発泡してポリウレタン発泡体を与える間、又は2成分接着剤の保存中の問題をもたらす場合があること、相溶化剤は容易に混和しないポリオールの相溶化又は均一化に用いられること、適した相溶化剤としてシリコーン界面活性剤などが挙げられ、ポリウレタン中に適量存在できること(【0084】、【0085】)が記載されている。
そこで、甲1に記載された発明に、甲2に記載された相溶化剤を適用できるか否かを検討すると、甲1には、相溶化剤を添加することについては記載されていない。
そうすると、甲2のシリコーン界面活性剤がシリコーン添加剤であり、相溶化剤であったとしても、甲1に記載された発明に、甲2に記載された相溶化剤を適用する動機付けがないものである。
してみると、相違点4に係る発明特定事項は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たことでない。
ウ 小括
したがって、本件発明6は、相違点5について検討するまでもなく、甲1に記載された発明並びに甲1及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(7)本件発明7及び本件発明6を引用する本件発明10について
本件発明7、10は、本件発明6を引用するものであり、上記(6)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明並びに甲1及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(8)本件発明11について
ア 対比
本件発明11と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「ウレタンプレポリマー1」は、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンジオール、トリレンジイソシアネートを反応させてなるものであり、NCO基含有率が2.90質量%であることから、本件発明11の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含」むことに相当する。
(イ)甲1発明の「添加剤2」を構成する「ウレタンプレポリマー2」は、ポリカーボネートジオール、TMXDI(m-またはp-テトラメチルキシリレンジイソシアネート)を反応させてなるものであり、NCO基含有率が0.88質量%であることから、本件発明11の「ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートジオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」むことに相当する。
(ウ)甲1発明の「室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物」は、本件発明11の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明11と甲1発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含む、硬化性組成物。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点6>
本件発明11では、「ポリイソシアネート(b)は脂肪族である」のに対し、甲1発明では、「ウレタンプレポリマー2」の原料であるポリイソシアネートが芳香族である点
<相違点7>
本件発明11では、「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」のに対し、甲1発明では、「ウレタンプレポリマー2」の重量平均分子量が2000である点
<相違点8>
本件発明11では、「ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用される」のに対し、甲1発明ではどのような樹脂基材であるか不明である点
イ 判断
事案に鑑みて、相違点8について検討する。
甲1には、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物の被着体として、例えば、モルタル、コンクリート;ポリエステルのような繊維が挙げられること(【0106】)、実施例の試験体としてモルタル板とポリエステル不織布のシートを張り合わせたものを使用したこと(【0119】)が記載されている。
これらの記載によると、被着体としてポリカーボネート樹脂、ABS樹脂及びこれらの混合物が想定されていないことから、甲1発明をポリカーボネート樹脂、ABS樹脂及びこれらの混合物などの樹脂基材に適用する動機付けがないものであり、相違点8に係る発明特定事項は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たことではない。
そして、本件発明11は、特定の原料からなるウレタンプレポリマー(A)、特定の原料からなり、かつ、特定の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(B)を含む硬化性組成物とすることにより、前処理工程を減じても、好ましくは前処理工程なしでも上記樹脂基材への接着性に優れるという格別な効果が奏されるものである。
ウ 小括
したがって、本件発明11は、相違点6、7について検討するまでもなく、甲1に記載された発明並びに甲1及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(9)本件発明11を引用する本件発明12、13について
本件発明12、13は、本件発明11を引用するものであり、上記(8)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明並びに甲1及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
2 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった申立理由について
(1)申立理由2(甲3を主引例とする新規性、進歩性欠如)
ア 甲3に記載された事項及び甲3に記載された発明
(ア)甲3に記載された事項
甲3には、以下の事項が記載されている。
「
[図:0001417601000004.jpg]
[図:0001417601000005.jpg]
」
(当審訳:特許請求の範囲
1.光/湿気二重硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤の製造方法であって、以下の工程を特徴とする:
(1)20~100kgのHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体を65℃に加熱し、この温度を保持し、かつ窒素を充填して5~25kgのヒドロキシアクリル酸エステルモノマーをゆっくりとその中に滴下し、3時間反応させて測定したNCOの終点が12.0%であり、その後15~360kgのポリエーテルポリオールを加え、100℃に昇温して1.5時間反応させ、NCOの終点が1.5~3.5%を測定される、プレポリマーAを調整する;
(2)10~50kgの二官能性イソシアネートと50~100kgの結晶性ポリエステルポリオール及び50~100kgの非結晶性ポリエステルポリオールを100℃、窒素充填条件下で1.5時間反応させ、NCOの終点が2.0~3.5%と測定される、プレポリマーBを調整する;
(3)紫外線の照射を避けて100℃の反応釜に50~200kgのプレポリマーAと50~200kgのプレポリマーBを加え、光開始剤、触媒、及びカップリング剤を加えて真空にして均一に気泡がなくなるまで攪拌し、光/湿気二重硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤を得、遮光を必要として保存する。)
「
[図:0001417601000006.jpg]
」
(当審訳:光/湿気二重硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤の製造方法
技術分野
[0001]本発明はホットメルト接着剤の製造技術の分野に属し、特に光/湿気二重硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤の製造方法に関する。)
「
[図:0001417601000007.jpg]
[図:0001417601000008.jpg]
」
(当審訳:
[0005] さらに、ステップ(1)に記載のヒドロキシアクリレートモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレートまたはヒドロキシプロピルアクリレートである。ステップ(1)で説明したポリエーテルポリオールは、1つまたは2つの混合物であり、分子量1000~4000のポリオキシプロピレンポリオールである。分子量1000~3000のプロピレングリコールとポリテトラヒドロフランエーテルグリコールの1つ以上の混合物;ステップ(2)結晶性ポリエステルポリオールは、分子量3000~4000のポリヘキサメチレンアジペートジオール、分子量3000~4000のポリヘキサメチレンアジペートジオールである。ポリブチレンアジピン酸ジオールの1つ以上の混合物;ステップ(2)で説明した非結晶性ポリエステルポリオールは、分子量1600~2000のポリエチレングリコールフタレートジオール、分子量2000~3000のポリ(1,3-ブチレンアジペート)ジオール、分子量2000~3000のポリ(ネオペンチルグリコール)ジオールの1つ以上の混合物とする。)
「
[図:0001417601000009.jpg]
」
(当審訳:
[0013]実施例4
光/湿気二重硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤の製造方法であって、工程は以下のとおりである:
(1)HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体80kgを65℃に加熱し、この温度を保持し、かつ窒素を充填してヒドロキシプロピルアクリレート18.2kgをゆっくりとその中に滴下し、3時間反応させ、NCO終点が12.0%と測定される。その後分子量2000のポリオキシプロピレングリコール40kgと分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオールを加え、かつ100℃まで加熱して1.5時間反応させ、NCOの終点が2.5%と測定される、プレポリマーAを調整する。
(2)分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール50kg、分子量3000のポリブチレンアジペートグルコール50kg、分子量2000のポリエチレングルコールモノフタレートジオール80kgを混合した後、IPDI(イソホロンジイソシアネート)20kgとMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)混合物14.2kgを100℃の条件下で1.5時間反応させて、NCOの終点が2.9%と測定される、プレポリマーBを調整する;
(3)100℃の反応釜にプレポリマーA100kgとプレポリマーB50kgを加え、0.2kgの2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルアセトン、0.6kgの2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、0.2kgのジブチルスズジラウレート、0.15kgのジモルホリンジエチルエーテル、0.3kgのKH560、0.1kgのKH590を加えて真空にして均一に気泡がなくなるまで攪拌し、ポリウレタンホットメルト接着剤を製造する。)
(イ)甲3に記載された発明
甲3において、実施例4に着目すると、次の発明が記載されているものと認める。
「(1)HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体80kgを65℃に加熱し、この温度を保持し、かつ窒素を充填してヒドロキシプロピルアクリレート18.2kgをゆっくりとその中に滴下し、3時間反応させ、NCO終点が12.0%と測定され、その後分子量2000のポリオキシプロピレングリコール40kgと分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオールを加え、かつ100℃まで加熱して1.5時間反応させ、NCOの終点が2.5%と測定される、プレポリマーAを調整し、
(2)分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール50kg、分子量3000のポリブチレンアジペートグルコール50kg、分子量2000のポリエチレングルコールモノフタレートジオール80kgを混合した後、IPDI(イソホロンジイソシアネート)20kgとMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)混合物14.2kgを100℃の条件下で1.5時間反応させて、NCOの終点が2.9%と測定される、プレポリマーBを調整し、
(3)100℃の反応釜にプレポリマーA100kgとプレポリマーB50kgを加え、0.2kgの2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルアセトン、0.6kgの2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、0.2kgのジブチルスズジラウレート、0.15kgのジモルホリンジエチルエーテル、0.3kgのKH560、0.1kgのKH590を加えて真空にして均一に気泡がなくなるまで攪拌し、製造されたポリウレタンホットメルト接着剤。」(以下、「甲3発明」という。)
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
a 甲3発明の「プレポリマーA」は、「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」とヒドロキシプロピルアクリレートとを反応させた後、「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」とを反応させてなるものである。ここで、上記「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」は、「脂肪族」のポリイソシアネートである。そして、該「プレポリマーA」が、反応後のNCO終点が2.5%であることから、上記「プレポリマーA」は、「イソシアネート基」を有することが把握できる。
そうすると、上記「プレポリマーA」は、「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」とヒドロキシプロピルアクリレートとを反応させ、その後「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」との反応物を含むものであり、「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」に由来する骨格と「イソシアネート基」を有するものである。
してみると、甲3発明の「プレポリマーA」と、本件発明1の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含」むこととは、「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー」であって、「ウレタンプレポリマーがポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートとの反応物を含」むものである限りにおいて一致する。
b 甲3発明の「プレポリマーB」は、「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」とMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)混合物と、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペート」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」を反応させてなるものである。ここで、上記「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」は、「脂肪族」のポリイソシアネートである。そして、該「プレポリマーB」が、反応後のNCO終点が2.9%であることから、上記「プレポリマーB」は、「イソシアネート基」を有することが把握できる。
そうすると、上記「プレポリマーB」は、「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」とMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)混合物と、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペートグリコール」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」との反応物を含むものであり、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペート」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」に由来する骨格と「イソシアネート基」を有するものである。
してみると、甲3発明の「プレポリマーB」は、本件発明1の「ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、ポリイソシアネート(b)は脂肪族であ」ることに相当する。
c 甲3発明の「ポリウレタンホットメルト接着剤」は、「プレポリマーA」、「プレポリマーB」を含むものであって、上記a、bに示したように、「プレポリマーA」、「プレポリマーB」が「イソシアネート基」を有するものである。そして、該「イソシアネート基」を反応性基とする硬化が予定されていることから、該「ポリウレタンホットメルト接着剤」は、本件発明1の「硬化性組成物」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲3発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点9>
ウレタンプレポリマー(A)の原料に関し、本件発明1が「ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートとからなる原料の反応物を含」むのに対し、甲3発明では、「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」とヒドロキシプロピルアクリレートとの反応後、さらに「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」との反応物を含む点
<相違点10>
本件発明1では、「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」のに対し、甲3発明では、「プレポリマーB」の数平均分子量が不明である点
<相違点11>
硬化性組成物に関し、本件発明1では、「(ただし、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性樹脂組成物は除く。)」のに対し、甲3発明ではそのような特定がない点
(イ)判断
相違点9について検討する。
甲3発明では、プレポリマーAがHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体にヒドロキシプロピルアクリレートを反応させた後、ポリオキシプロピレングリコールとポリテトラヒドロフランエーテルジオールを反応させるものであり、甲3の請求項1では、「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」に「ヒドロキシアクリル酸エステルモノマー」を滴下して反応させた後、「ポリエーテルポリオール」を加えて反応させて、NCOの終点が1.5~3.5%と測定される「プレポリマーA」を調製することが特定されている。
そうすると、上記「プレポリマーA」の原料が「ポリオキシアルキレンポリオール」、「ポリイソシアネート」に加えて、「ヒドロキシアクリル酸エステルモノマー(ヒドロキシプロピルアクリレート)」を用いるものであり、「ポリオキシアルキレンポリオール」と「ポリイソシアネートからなるものでないから、相違点9は実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲3発明ではない。
ついで、進歩性について検討する。
甲3発明のプレポリマーAを製造する際に、ヒドロキシプロピルアクリレートを原料として含有する理由は、甲3の請求項1及び実施例4において、「光/湿気二重硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤の製造方法」と記載されているように、上記ポリウレタンホットメルト接着剤はイソシアネート基による湿気硬化に加えて、アクリレート基による光硬化を想定していることによる。そのため、光硬化に寄与するアクリレート基のもととなるヒドロキシプロピルアクリレートは、甲3発明のプレポリマーAの原料として必須成分である。
してみると、甲3発明のプレポリマーAの原料として、ヒドロキシプロピルアクリレートを含有せずに製造することは、当業者が想起しえないものであり、相違点9に係る発明特定事項は、甲3に記載された発明並びに甲3及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、本件発明1は、甲3に記載された発明ではないし、該甲3に記載された発明及び甲3の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
そして、本件発明1は、特定の原料からなるウレタンプレポリマー(A)、特定の原料からなり、かつ、特定の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(B)を含む硬化性組成物とすることにより、前処理工程を減じても、好ましくは前処理工程なしでも樹脂基材への接着性に優れるという格別な効果が奏されるものである。
(ウ)小括
したがって、本件発明1は、相違点10、11について検討するまでもなく、甲3に記載された発明でないし、甲3に記載された発明並びに甲3及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
ウ 本件発明1を引用する本件発明2~5、10、12、13について
本件発明2~5、10、12、13は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記イで述べたのと同じ理由により、本件発明2、3、5は、甲3に記載された発明ではないし、本件発明2~5、10、12、13は、甲3に記載された発明並びに甲3及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
エ 本件発明6について
(ア)対比
本件発明6と甲3発明とを対比する。
a 甲3発明の「プレポリマーA」は、「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」とヒドロキシプロピルアクリレートとを反応させた後、「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」とを反応させてなるものである。ここで、上記「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」は、「脂肪族」のポリイソシアネートである。そして、該「プレポリマーA」が、反応後のNCO終点が2.5%であることから、上記「プレポリマーA」は、「イソシアネート基」を有することが把握できる。
そうすると、上記「プレポリマーA」は、少なくとも「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」と「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」との反応物を含むものであり、「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」に由来する骨格と「イソシアネート基」を有するものである。
してみると、甲3発明の「プレポリマーA」は、本件発明6の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含」むことに相当する。
b 甲3発明の「プレポリマーB」は、「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」とMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)混合物と、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペート」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」を反応させてなるものである。ここで、上記「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」は、「脂肪族」のポリイソシアネートである。そして、該「プレポリマーB」が、反応後のNCO終点が2.9%であることから、上記「プレポリマーB」は、「イソシアネート基」を有することが把握できる。
そうすると、上記「プレポリマーB」は、「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」とMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)混合物と、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペートグリコール」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」との反応物を含むものであり、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペート」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」に由来する骨格と「イソシアネート基」を有するものである。
してみると、甲3発明の「プレポリマーB」は、本件発明6の「ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート記を有するウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である」ことに相当する。
c 甲3発明の「ポリウレタンホットメルト接着剤」は、「プレポリマーA」、「プレポリマーB」を含むものであって、上記a、bに示したように、「プレポリマーA」、「プレポリマーB」が「イソシアネート基」を有するものである。そして、該「イソシアネート基」を反応性基とする硬化が予定されていることから、該「ポリウレタンホットメルト接着剤」は、本件発明6の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明6と甲3発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点12>
本件発明6では、「シリコーン添加剤(C)を含」むのに対し、甲3発明では、「シリコーン添加剤(C)を含」むことが不明である点
(イ)判断
相違点12について検討する。
甲3には、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物にシリコーン添加剤を含有することは記載されていない。
他方、甲2には、ポリオールの混合物が用いられる場合、相溶化剤が要求される場合があること、ポリオールの混合物の相分離が使用中、例えば発泡してポリウレタン発泡体を与える間、又は2成分接着剤の保存中の問題をもたらす場合には、相溶化剤を用いて容易に混和しないポリオールの相溶化又は均一化できること、該相溶化剤としてシリコーン界面活性剤などが挙げられ、ポリウレタン中に適量存在できること(【0084】、【0085】)が記載されている。
そこで、甲3に記載された発明に、甲2に記載された相溶化剤を適用できるか否かを検討すると、甲3には、相溶化剤を添加することについては記載されていない。
そうすると、甲2のシリコーン界面活性剤がシリコーン添加剤であり、相溶化剤であったとしても、甲3に記載された発明に、甲2に記載された相溶化剤を適用する動機付けがないものである。
してみると、相違点12に係る発明特定事項は、甲3に記載された発明及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たことでない。
(ウ)小括
したがって、本件発明6は、甲3に記載された発明並びに甲3及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
オ 本件発明7及び本件発明6を引用する本件発明10について
本件発明7、10は、本件発明6を引用するものであり、上記エで述べたのと同じ理由により、甲3に記載された発明並びに甲3及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
カ 本件発明11について
(ア)対比
本件発明11と甲3発明とを対比する。
a 甲3発明の「プレポリマーA」は、「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」とヒドロキシプロピルアクリレートとを反応させた後、「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」とを反応させてなるものである。ここで、上記「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」は、「脂肪族」のポリイソシアネートである。そして、該「プレポリマーA」が、反応後のNCO終点が2.5%であることから、上記「プレポリマーA」は、「イソシアネート基」を有することが把握できる。
そうすると、上記「プレポリマーA」は、「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」とヒドロキシプロピルアクリレートとを反応させ、その後「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」との反応物を含むものであり、「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」に由来する骨格と「イソシアネート基」を有するものである。
してみると、甲3発明の「プレポリマーA」と、本件発明11の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含」むこととは、「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー」であって、「ウレタンプレポリマーがポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートとの反応物を含」むものである限りにおいて一致する
b 甲3発明の「プレポリマーB」は、「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」とMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)混合物と、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペート」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」を反応させてなるものである。ここで、上記「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」は、「脂肪族」のポリイソシアネートである。そして、該「プレポリマーB」が、反応後のNCO終点が2.9%であることから、上記「プレポリマーB」は、「イソシアネート基」を有することが把握できる。
そうすると、上記「プレポリマーB」は、「IPDI(イソホロンジイソシアネート)」とMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)混合物と、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペートグリコール」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」との反応物を含むものであり、「分子量3000のポリヘキサメチレンアジペートグリコール」、「分子量3000のポリブチレンアジペート」、「分子量2000のポリエチレングリコールモノフタレートジオール」に由来する骨格と「イソシアネート基」を有するものである。
してみると、甲3発明の「プレポリマーB」は、本件発明11の「ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート記を有するウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、ポリイソシアネート(b)は脂肪族であ」ることに相当する。
c 甲3発明の「ポリウレタンホットメルト接着剤」は、「プレポリマーA」、「プレポリマーB」を含むものであって、上記a、bに示したように、「プレポリマーA」、「プレポリマーB」が「イソシアネート基」を有するものである。そして、該「イソシアネート基」を反応性基とする硬化が予定されていることから、該「ポリウレタンホットメルト接着剤」は、本件発明11の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明11と甲3発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点13>
ウレタンプレポリマー(A)に関し、本件発明11が「ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートとからなる原料の反応物を含」むのに対し、甲3発明では、「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)三量体」とヒドロキシプロピルアクリレートとの反応後、さらに「分子量2000のポリオキシプロピレングリコール」と「分子量1000のポリテトラヒドロフランエーテルジオール」との反応物を含む点
<相違点14>
本件発明11では、「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」のに対し、甲3発明では、「プレポリマーB」の数平均分子量が不明である点
<相違点15>
本件発明11では、「ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用される」のに対し、甲3発明ではどのような樹脂基材であるか不明である点
(イ)判断
事案に鑑みて、相違点15について検討する。
甲3には、ポリウレタンホットメルト接着剤を如何なる材料の基材に適用可能であるかについて記載がない。
してみると、甲3からは、基材としてポリカーボネート樹脂、ABS樹脂及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用することが想起されないといえる。
よって、甲3に記載された発明及び甲3に記載された事項に基づいて、当業者が相違点15に係る発明特定事項を容易に想到し得たこととはいえない。
そして、本件発明11は、特定の原料からなるウレタンプレポリマー(A)、特定の原料からなり、かつ、特定の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(B)を含む硬化性組成物とすることにより、前処理工程を減じても、好ましくは前処理工程なしでも上記樹脂基材への接着性に優れるという格別な効果が奏されるものである。
(ウ)小括
したがって、本件発明11は、相違点13、14について検討するまでもなく、甲3に記載された発明並びに甲3及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
キ 本件発明11を引用する本件発明12、13について
本件発明12、13は、本件発明11を引用するものであり、上記カで述べたのと同じ理由により、甲3に記載された発明並びに甲3及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(2)申立理由3(甲4を主引例とする新規性及び進歩性欠如)
ア 甲4に記載された事項及び甲4に記載された発明
(ア)甲4に記載された事項
甲4には、以下の事項が記載されている。
「
[図:0001417601000010.jpg]
[図:0001417601000011.jpg]
」
(当審訳:特許請求の範囲
1.熱硬化性一液型ポリウレタン組成物であって、以下の重量部で含むことを特徴とする:
ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応に基づく、分子鎖末端にイソシアネート基を有するポリエーテル型プレポリマー530~550部;
ポリエステルオールとポリイソシアネートとの反応に基づく、分子鎖末端にイソシアネート基を有するポリエステル型プレポリマー20~30部;
変性ポリイソシアネートダイマーA10~20部;
潜在性硬化剤B5~10部;
充填材400~450部;
可塑剤200~250部;
他の補助成分5~8部を含み
前記変性ポリイソシアネートダイマーAは、アミンまたは水とポリイソシアネートダイマーとを反応させて製造され、潜在性熱硬化剤Bはケチミンおよび/またはアルジミンである。)
「
[図:0001417601000012.jpg]
」
(当審訳:熱硬化性一液型ポリウレタン組成物及びその製造方法
技術分野
[0001]本発明は、一液型シーリング材の分野に属し、具体的には、熱硬化性一液型ポリウレタン組成物及びその製造方法に関する。)
「
[図:0001417601000013.jpg]
」
(当審訳:[0029]実施例1
潜在性硬化剤Bの合成:
窒素保護下で、三口フラスコに24.4gのp-ヒドロキシベンズアルデヒドを添加して、加熱式定圧滴下漏斗によって溶解したヘキサンジアミンをゆっくり滴下し、80℃で2時間反応させ、赤外線検出で、アミノピークはなく、1641cm-1付近にC-Nの二重結合ピークが現われた後60℃に冷却し、19.7gのp-トシルイソシアネートを加えて30分反応させた後に停止させ、生成物Bを得る。
[0030]変性ポリイソシアネート二量体A
窒素保護下で、三口フラスコに26.6gのカプロラクタム、34.8gのTDI(トリレンジイソシアネート)二量体、150gの酢酸ブチルを加えて60~80℃で2~5時間反応させ、赤外線検出でイソシアネート基はなく、溶媒を減圧除去して白色固形生成物を得る。
[0031]ポリエーテル型プレポリマーP1の製造:数平均分子量を4000、不飽和度0.01meq/gのポリオキシプロピレンエーテルグリコール960gと、数平均分子量5000、不飽和度0.03meq/gのポリプロピレントリオール2400g(ジオールとトリオールのモル比0.2)、フタル酸ジデシル412gを、反応釜内で、90~100℃、真空0.098MPa条件下で2時間脱水し、60℃まで温度を下げ、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)480gを加え、上記混合物の全質量の0.02%のスズオクテートを加えて、遊離NCOが1.92%に達するまで反応させて反応を停止する。そこではポリエーテルポリオールがプレポリマーの89%を占める。
[0032]ポリエステルプレポリマーP2の製造:数平均分子量を3000、融点55℃のポリエチレンアジペートジオール600gは反応釜内で110~120℃、真空0.098MPa条件下で2時間脱水し、88.88gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を加え、遊離NCO値が2.44%に達するまで反応させて反応を停止する。そこではポリエステルポリオールが全プレポリマーの87%を占める。
[0033]ポリウレタン組成物の製造方法:プラネタリーミキサーにポリエーテル型プレポリマー、ポリエステル型プレポリマー、可塑剤を加えて、50℃に加熱し、15分間脱気し、その後カーボンブラック、焼成カオリンを加え、真空下で10分間ゆっくりと混合し、充填材が湿潤した後混合速度を上げて15分間混合し、水除去剤を加え、10分間混合を続け、変性TDI(トリレンジイソシアネート)二量体A、潜在性硬化剤Bを加え、チキソトロピー剤、接着促進剤、触媒、光安定剤、酸化防止剤を加えて30分間真空混合し、均一なペースト状に分散させて袋詰めして保管する。その組成と性能は次の表1,2を参照のこと。)
(イ)甲4に記載された発明
甲4の実施例1をポリウレタン組成物に着目して整理すると、次の発明が記載されているものと認める。
「プラネタリーミキサーに下記ポリエーテル型プレポリマー、下記ポリエステル型プレポリマー、可塑剤を加えて、50℃に加熱し、15分間脱気し、その後カーボンブラック、焼成カオリンを加え、真空下で10分間ゆっくりと混合し、充填材が湿潤した後混合速度を上げて15分間混合し、水除去剤を加え、10分間混合を続け、下記変性TDI(トリレンジイソシアネート)二量体A、下記潜在性硬化剤Bを加え、チキソトロピー剤、接着促進剤、触媒、光安定剤、酸化防止剤を加えて30分間真空混合し、均一なペースト状に分散させて袋詰めして保管された、ポリウレタン組成物。
・ポリエーテル型プレポリマーP1:数平均分子量を4000、不飽和度0.01meq/gのポリオキシプロピレンエーテルグリコール960gと、数平均分子量5000、不飽和度0.03meq/gのポリプロピレントリオール2400g(ジオールとトリオールのモル比0.2)、フタル酸ジデシル412gを、反応釜内で、90~100℃、真空0.098MPa条件下で2時間脱水し、60℃まで温度を下げ、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)480gを加え、上記混合物の全質量の0.02%のスズオクテートを加えて、遊離NCOが1.92%に達するまで反応させて反応を停止して得られたポリエーテル型プレポリマー
・ポリエステル型プレポリマーP2:数平均分子量を3000、融点55℃のポリエチレンアジペートジオール600gは反応釜内で110~120℃、真空0.098MPa条件下で2時間脱水し、88.88gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を加え、遊離NCO値が2.44%に達するまで反応させて反応を停止して得られたポリエステル型プレポリマー
・変性TDI(トリレンジイソシアネート)二量体A:窒素保護下で、三口フラスコに26.6gのカプロラクタム、34.8gのTDI(トリレンジイソシアネート)二量体、150gの酢酸ブチルを加えて60~80℃で2~5時間反応させ、赤外線検出でイソシアネート基はなく、溶媒を減圧除去して得られた白色固形生成物
・潜在性硬化剤B:窒素保護下で、三口フラスコに24.4gのp-ヒドロキシベンズアルデヒドを添加して、加熱式定圧滴下漏斗によって溶解したヘキサンジアミンをゆっくり滴下し、80℃で2時間反応させ、赤外線検出で、アミノピークはなく、1641cm-1付近にC-Nの二重結合ピークが現われた後60℃に冷却し、19.7gのp-トシルイソシアネートを加えて30分反応させた後に停止させて得られた。」(以下、「甲4発明」という。)
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲4発明を対比する。
a 甲4発明の「ポリエーテル型プレポリマー」は、数平均分子量を4000のポリオキシプロピレンエーテルグリコールと、数平均分子量5000のポリプロピレントリオール(ジオールとトリオールのモル比0.2)を反応させた後、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて、遊離NCOが1.92%に達するまで反応させてえられたものであるから、本件発明1の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含」むことに相当する。
b 甲4発明の「ポリエステル型プレポリマー」は、数平均分子量を3000のポリエチレンアジペートジオールにイソホロンジイソシアネート(IPDI)を加え、遊離NCO値が2.44%に達するまで反応させて得られたものであるから、本願発明1の「ポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」むことに相当する。
c 甲4発明の「ポリエステル型プレポリマー」は、原料である「ポリイソシアネート(b)」としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)を用いるものであるから、本件発明1の「ポリイソシアネート(b)は脂肪族である」ことに相当する。
d 甲4発明の「ポリウレタン組成物」は、甲4の特許請求の範囲によれば「熱硬化性一液型ポリウレタン組成物」であるから、上記「ポリウレタン組成物」は、本件発明1の「硬化性組成物」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲4発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点16>
本件発明1では、「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」のに対し、甲4発明では、「ポリエーテル型プレポリマーP1」の数平均分子量が不明である点
<相違点17>
硬化性組成物に関し、本件発明1では、「(ただし、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性樹脂組成物は除く。)」のに対し、甲4発明ではそのような特定がない点
(イ)判断
相違点16について検討する。
甲4発明では、数平均分子量を3000のポリエチレンアジペートジオールと、イソホロンジイソシアネート(IPDI)とを反応させてポリエステル型プレポリマーP2を得ている。
ここで、上記ポリエステル型プレポリマーP2の原料であるポリオールが、数平均分子量が3000であり、それと反応するイソホロンジイソシアネートの分子量が約222であることから、反応によって生成されるポリエステル型プレポリマーP2の数平均分子量は3000以下とならないものである。
そうすると、相違点16は実質的な相違点である。
ついで、進歩性について検討する。
甲4には、一液型シーリング材の分野に属すること([0001])が記載されているが、上記ポリエステル型プレポリマーP2の原料であるポリエステルジオールの数平均分子量について、甲4には特段言及されていないし、該数平均分子量を調整することで、甲4発明であるポリウレタン組成物が樹脂基材への接着性に影響を与えるという技術常識があるわけでもない。
そうすると、甲4に記載された発明及び甲4に基づいて、ポリエステル型プレポリマーP2の数平均分子量を3000超から3000以下にする動機付けがあるとはいえない。
よって、本件発明1は、甲4に記載された発明ではないし、該甲4に記載された発明及び甲4の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
そして、本件発明1は、特定の原料からなるウレタンプレポリマー(A)、特定の原料からなり、かつ、特定の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(B)を含む硬化性組成物とすることにより、前処理工程を減じても、好ましくは前処理工程なしでも樹脂基材への接着性に優れるという格別な効果が奏されるものである。
(ウ)小括
したがって、本件発明1は、相違点17について検討するまでもなく、甲4に記載された発明でないし、甲4に記載された発明並びに甲4及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
ウ 本件発明1を引用する本件発明2~5、10、12、13について
本件発明2~5、10、12、13は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記イで述べたのと同じ理由により、本件発明2、3、5、10、12、13は、甲4に記載された発明ではないし、本件発明2~5、10、12、13は、甲4に記載された発明並びに甲4及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
エ 本件発明6について
(ア)対比
本件発明6と甲4発明とを対比する。
a 甲4発明の「ポリエーテル型プレポリマーP1」は、数平均分子量を4000のポリオキシプロピレンエーテルグリコールと、数平均分子量5000のポリプロピレントリオール(ジオールとトリオールのモル比0.2)を反応させた後、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて、遊離NCOが1.92%に達するまで反応させてえられたものであるから、本件発明6の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含」むことに相当する。
b 甲4発明の「ポリエステル型プレポリマーP2」は、数平均分子量を3000のポリエチレンアジペートジオールにイソホロンジイソシアネート(IPDI)を加え、遊離NCO値が2.44%に達するまで反応させて得られたものであるから、本願発明6の「ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートジオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」むことに相当する。
c 甲4発明の「ポリエステル型プレポリマーP2」は、原料である「ポリイソシアネート(b)」としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)を用いるものであるから、本件発明6の「ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である」ことに相当する。
d 甲4発明の「ポリウレタン組成物」は、甲4の特許請求の範囲によれば「熱硬化性一液型ポリウレタン組成物」であるから、上記「ポリウレタン組成物」は、本件発明6の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明6と甲4発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点18>
本件発明6では、「シリコーン添加剤(C)を含」むのに対し、甲4発明では、「シリコーン添加剤(C)を含」むことが不明である点
(イ)判断
相違点18について検討する。
甲4には、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物にシリコーン添加剤を含有することは記載されていない。
他方、甲2には、ポリオールの混合物が用いられる場合、相溶化剤が要求される場合があること、ポリオールの混合物の相分離が使用中、例えば発泡してポリウレタン発泡体を与える間、又は2成分接着剤の保存中の問題をもたらす場合には、相溶化剤を用いて容易に混和しないポリオールの相溶化又は均一化できること、該相溶化剤としてシリコーン界面活性剤などが挙げられ、ポリウレタン中に適量存在できること(【0084】、【0085】)が記載されている。
そこで、甲4に記載された発明に、甲2に記載された相溶化剤を適用できるか否かを検討すると、甲4には、相溶化剤を添加することについては記載されていない。
そうすると、甲2のシリコーン界面活性剤がシリコーン添加剤であり、相溶化剤であったとしても、甲4に記載された発明に、甲2に記載された相溶化剤を適用する動機付けがないものである。
してみると、相違点18に係る発明特定事項は、甲4に記載された発明及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たことでない。
(ウ)小括
したがって、本件発明6は、甲4に記載された発明並びに甲4及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
オ 本件発明7及び本件発明6を引用する本件発明10について
本件発明7、10は、本件発明6を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明6について上記エで述べたのと同じ理由により、甲4に記載された発明並びに甲4及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
カ 本件発明11について
(ア)対比
本件発明11と甲4発明とを対比する。
a 甲4発明の「ポリエーテル型プレポリマーP1」は、数平均分子量を4000のポリオキシプロピレンエーテルグリコールと、数平均分子量5000のポリプロピレントリオール(ジオールとトリオールのモル比0.2)を反応させた後、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて、遊離NCOが1.92%に達するまで反応させてえられたものであるから、本件発明11の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」であって、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含」むことに相当する。
b 甲4発明の「ポリエステル型プレポリマーP2」は、数平均分子量を3000のポリエチレンアジペートジオールにイソホロンジイソシアネート(IPDI)を加え、遊離NCO値が2.44%に達するまで反応させて得られたものであるから、本件発明11の「ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート記を有するウレタンプレポリマー(B)」であって、「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」み、「ポリイソシアネート(b)は脂肪族であ」ることに相当する。
c 甲4発明の「ポリエステル型プレポリマーP2」は、原料である「ポリイソシアネート(b)」としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)を用いるものであるから、本件発明11の「ポリイソシアネート(b)は脂肪族である」ことに相当する。
d 甲4発明の「ポリウレタン組成物」は、甲4の特許請求の範囲によれば「熱硬化性一液型ポリウレタン組成物」であるから、上記「ポリウレタン組成物」は、本件発明11の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明11と甲4発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点19>
本件発明11では、「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」のに対し、甲4発明では、「プレポリマーB」の数平均分子量が不明である点
<相違点20>
本件発明11では、「ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用される」のに対し、甲4発明ではどのような樹脂基材であるか不明である点
(イ)判断
事案に鑑みて、相違点20について検討する。
甲4には、ポリウレタンホットメルト接着剤を如何なる材料の基材に適用可能であるかについて記載がない。
してみると、甲4からは、基材としてポリカーボネート樹脂、ABS樹脂及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用することが想起されないといえる。
よって、甲4に記載された発明及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が相違点20に係る発明特定事項を容易に想到し得たこととはいえない。
そして、本件発明11は、特定の原料からなるウレタンプレポリマー(A)、特定の原料からなり、かつ、特定の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(B)を含む硬化性組成物とすることにより、前処理工程を減じても、好ましくは前処理工程なしでも上記樹脂基材への接着性に優れるという格別な効果が奏されるものである。
(ウ)小括
したがって、本件発明11は、相違点19について検討するまでもなく、甲4に記載された発明並びに甲4及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
キ 本件発明11を引用する本件発明12、13について
本件発明12、13は、本件発明11を引用するものであり、上記カで述べたのと同じ理由により、甲4に記載された発明並びに甲4及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(3)申立理由4(甲5を主引例とする新規性及び進歩性欠如)
ア 甲5に記載された事項及び甲5に記載された発明
(ア)甲5に記載された事項
甲5には、以下の事項が記載されている。
「
[図:0001417601000014.jpg]
」
(当審訳:技術分野
[0001]本発明は、特に温かい状態で塗布することができ、優れたグリーン強度および長いオープンタイムを有する弾性接着剤として好適な一成分湿気硬化性ポリウレタン組成物に関する。)
「
[図:0001417601000015.jpg]
」
(当審訳:
[0067]本発明の一液型ポリウレタン組成物は、さらに好ましくは、少なくとも1種の充填剤F、好ましくはカーボンブラック、チョーク、粘度粉末、およびポリ塩化ビニル粉末からなる群から選択される1種以上を含む。充填剤Fは例えば、未硬化組成物の粘度および硬化組成物の機械的特性の両方に有利に影響を及ぼす。)
「
[図:0001417601000016.jpg]
」
(当審訳:
[0074]本発明の一液型ポリウレタン組成物はさらに、任意で、しかし好ましくは、少なくとも1種の可塑剤を含む。)
「
[図:0001417601000017.jpg]
」
(当審訳:
[0086]本発明による好ましい実施形態の一液型ポリウレタン組成物を製造する別の好ましい方法は、以下の工程を含む:
[0087]a)ポリエステルポリオールPE、二官能性ポリエーテルポリオールPO1、およびポリイソシアネートPIの一部を混合して、イソシアネート官能性プレポリマーPR1を形成する工程;
[0088]b)二官能性ポリエーテルポリオールPO1、三官能性ポリエーテルポリオールPO2、およびポリイソシアネートPIの一部を混合してイソシアネート官能性プレポリマーPR2を形成する工程;
[0089]c)任意で、二官能性ポリエーテルポリオールPO1、疎水性ポリオールPH、ポリエステルポリオールPEおよびポリイソシアネートPIの一部を混合して、イソシアネート官能性プレポリマーPR3を形成する工程;
[0090]d)充填剤F、好ましくは追加の疎水性ポリオールPH、および任意でチキソトロピー添加剤TXを反応器に導入する工程;
[0091]e)工程a)~c)で調整されたプレポリマーPR1、PR2、および任意でPR3を添加する工程;
[0092]f)イソシアネート官能性ポリウレタンを硬化させるための触媒Kを添加する工程;
[0093]上記全ての工程において、任意に可塑剤、加熱、冷却、および/または真空か不活性ガスの使用を含む。)
「
[図:0001417601000018.jpg]
」
(当審訳:
[0099]接着剤としての用途において、湿気硬化性組成物は基板51と基板S2とを接着するために使用される。)
「
[図:0001417601000019.jpg]
」
(当審訳:
[0116]基板S1は基板S2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。好適な基板S1またはS2は、例えば、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、れんが、タイル、プラスターおよび花崗岩または大理石などの天然石;アルミニウム、スチール、非鉄金属、亜鉛メッキ金属などの金属または合金;有機基板、例えば、木材、PVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂などのプラスチック;粉末被覆金属または合金などの被覆基板;ならびに塗料および仕上げ剤、特に自動車トップコートである。好ましくは、基板S1またはS2のうちの1つはガラスまたはガラスセラミックであり、より具体的にはグレージングシートの形である。特に好ましくは、基板S1またはS2のうちの1つは車両グレージングシート、より具体的には自動車グレージングシートである。)
「
[図:0001417601000020.jpg]
[図:0001417601000021.jpg]
[図:0001417601000022.jpg]
」
(当審訳:
[0140]これら本発明の組成物のうちの2つ、C-1およびC-2を、以下の手順に従って調整した:第1の工程において、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーPR1を、ポリイソシアネートPI(すなわち、メチレンジフェニルジイソシアネート)、熱可塑性ポリエステルポリオールPE、およびなんらかの可塑剤(DIDP)中に懸濁された二官能性ポリエーテルポリオールPO1(すなわち、ポリエーテルジオール)から製造した。残りの成分をプレポリマーPR1とその場で反応させた。
PR1の成分の詳細およびその量を表1に示す。
(当審注:表1は省略する。))
「
[図:0001417601000023.jpg]
」
(当審訳:
[0147]2つのさらなる本発明の実施例の接着剤組成物、C-3およびC-4を、以下の手順を使用して、まず3つの追加のイソシアネート官能性プレポリマーPR、すなわちPR2~PR4を調整し、次いで、それぞれの接着剤組成物を製造するための配合に使用した。
(当審注:表6は省略する。)
[0148]ポリエーテルポリオールPO1、ポリエーテルポリオールPO2および触媒を反応器中で合わせ、混合物を真空下で60℃まで加熱した。次いで、IPDIを添加し、60℃で混合した。次いで、混合物を80℃に加熱し、遊離NCO含有量が約2.2重量%に達するまで、反応を80℃で継続した。
[0149]プレポリマーPR2は、ブルックシールド粘度計HBTDで100rpmでスピンドル番号5を用いて測定したとき、理論上の最終遊離NCO含有量が2.1質量%、粘度が5000~20000センチポアズであった。
[0150]プレポリマーPR3は以下の手順及び表7に示されている成分に従って調整した。
(当審注:表7は省略する。))
「
[図:0001417601000024.jpg]
[図:0001417601000025.jpg]
」
(当審訳:
[0154]前に調整したプレポリマーPR1~PR4から、表9および表10に列挙した成分を用いて、2つの本発明の接着剤組成物C-3およびC-4を調整した。
(当審注:表9および表10は省略する。))
「
[図:0001417601000026.jpg]
」
(当審訳:クレーム
1.一液型ポリウレタン組成物であって、
A)少なくとも1種のポリエーテルポリオールPO;
B)少なくとも1種の熱可塑性ポリエステルポリオールPE;
C)少なくとも1種の疎水性ポリオールPH;および
D)少なくとも1種のポリイソシアネートPI、の反応物からなり、
前記組成物は、その中に含まれるイソシアネート官能性ポリマーの総重量に対して0.8~3.5重量%の残留イソシアネートを有し、前記ポリエーテルポリオールPOは、二官能性ポリエーテルポリオールPO1および三官能性ポリエーテルポリオールPO2を含み、前記疎水性ポリオールPHは、脂肪酸に基づくポリエステルポリオールである、一液型ポリウレタン組成物。)
(イ)甲5に記載された発明
甲5の表9の接着剤C-3の成分に着目して整理すると、次の発明が記載されているものと認める。
「下記プレポリマーPR1:10.00部、下記プレポリマーPR2:6.93部、下記プレポリマーPR3:34.35部、PH(OH数が56、含水量<0.05%の脂肪酸系高粘性疎水性直鎖ポリオール(商品名:PriPlast(R)(当審注:(R)は○にRで、登録商標のこと。以下、同様。)3187(Croda)):2.92部、チキソトロピー添加剤TX:9.17部、F:カーボンブラック粉末(商品名:Printex(R)60(Evonik)):17.42部、F:ポリ塩化ビニル粉末(商品名:SolVin(R)373MC(Solvey)):10.85部、フタル酸ジイソデシル(DIDP)(商品名:JayflexTMDIDP(エクソンモービル)):6.50部、p-トルエンスルホニルイソシアネートPTSI(VanChem)(PTSI;乾燥剤)(商品名:PTSI(VanChem)):0.20部、触媒K溶液:1.66部を含む接着剤組成物C-3。
・プレポリマーPR1:二官能性ポリエーテルポリオールPO1および熱可塑性ポリエステルポリオールPEを含むプレポリマーPR1の成分であって、PE:OH数34.4および含水量<0.05%のアジピン酸ヘキサンジオール(商品名:Dynacoll(R)7360(エボニック):60.00部、PO1:OH数が28および含水量<0.05%のプロピレングリコールでエンドキャップされたポリエーテルジオール(商品名:Acclaim(R)4200(バイエル)):18.00部、PI:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(商品名:Mondur(R)M(バイエル)):18.00部、フタル酸ジイソデシル(DIDP)(商品名:JayflexTMDIDP(エクソンモービル)):10.00部よりなるプレポリマー
・プレポリマーPR2:二官能性ポリエーテルポリオールPO1および三官能性ポリエーテルポリオールPO2を含むプレポリマーPR2の成分であって、PO2:ポリエーテルトリオール 20%EOでエンドキャップ、OH数35、および含水量<0.05%(商品名:Arcol(R)E-448(バイエル):64.282部、PO1:OH数が28および含水量<0.05%のプロピレングリコールでエンドキャップされたポリエーテルジオール(商品名:Acclaim(R)4200(バイエル)):23.772部、PI:イソホロンジイソシアネート(IPDI)(商品名:Desmodur(R)I(バイエル)):11.93部、ジブチルスズジラウレート(触媒)(商品名:DABCO(R)T-12(エアプロダクツ)):0.016部よりなるプレポリマー
・プレポリマーPR3:PO2:ポリエーテルトリオール20%、EOでエンドキャップ、OH数35、および含水量<0.05%(商品名:Arcol(R)E-448(バイエル):64.585部、フタル酸ジイソデシル(DIDP)(商品名:JayflexTMDIDP(エクソンモービル)):19.995部)、PI:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(商品名:Mondur(R)M(バイエル)):11.387部、33%トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール(触媒)(商品名:DABCO(R)33LV(AirProducts):0.016部、p-トルエンスルホニルイソシアネート(PTSI;乾燥剤)(商品名:PTSI(VanChem))0.017部よりなるプレポリマー」(以下、「甲5発明」という。)
イ 甲7に記載された事項
甲7には、以下の事項が記載されている。
「【0179】
湿気硬化型シリル化樹脂は、4,000グラム/モルの数平均分子量と27.9のヒドロキシ数を持つ低不飽和ポリ(オキシプロピレン)ジオールであるAcclaim4200(280グラム、0.07モル)(Bayer)、・・・」
ウ 参2に記載された事項
参2には、以下の事項が記載されている。
「
[図:0001417601000027.jpg]
・・・ 」(第25頁、一部抜粋)
エ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲5発明を対比する。
a 甲5には、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーPR1を、PE:OH数34.4のアジピン酸ヘキサンジオール、PO1:OH数が28のプロピレグリコールでエンドキャップされたポリエーテルジオール、及びPI:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を加えて製造することが記載されていること([0140]、表1)から、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとが反応したウレタンプレポリマー、ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートが反応したウレタンプレポリマーが製造されたことが理解できる。
そうすると、甲5発明の「プレポリマーPR1」は、本件発明1の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」および「ポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B)」を含み、かつ「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」むものに相当する。
b 甲5には、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーPR2を、PO1:OH数が28のプロピレグリコールでエンドキャップされたポリエーテルジオール、PO2:20%EOでエンドキャップされた、OH数35のポリエーテルトリオール、及びPI:イソホロンジイソシアネート(IPDI)を加えて製造することが記載されていること([0148]、[0149]、表6)から、ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートが反応したウレタンプレポリマーが製造されたことが理解できる。
そうすると、甲5発明の「プレポリマーPR2」は、本件発明1の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」を含み、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含」むものに相当する。
c 甲5には、特に温かい状態で塗布することができ、優れたグリーン強度及び長いオープンタイムを有する弾性接着剤として好適な一成分湿気硬化性ポリウレタン組成物に関すること([0001])、接着剤としての用途において、湿気硬化性組成物が基板51と基板S2との接着に使用すること([0099])が記載されていることから、甲5発明の「接着剤組成物C-3」は硬化性を有する組成物であることが確認できる。
そうすると、甲5発明の「接着剤組成物C-3」は、本件発明1の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明1と甲5発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含む、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点21>
本件発明1が「ポリイソシアネート(b)は脂肪族であ」るのに対し、甲5発明では、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)である点
<相違点22>
本件発明1では、「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」のに対し、甲5発明では、「プレポリマーB」の数平均分子量が不明である点
<相違点23>
硬化性組成物に関し、本件発明1では、「(ただし、エポキシ樹脂とケチミンとの両方を含む硬化性樹脂組成物は除く。)」のに対し、甲5発明ではそのような特定がない点
(イ)判断
事案に鑑みて、相違点22について検討する。
甲5発明では、プレポリマーPR1を構成するポリエステルポリオールとしてアジピン酸ヘキサンジオール(商品名:Dynacoll(R)7360(エボニック)を使用している。
ここで、上記Dynacoll(R)7360は、参2によると、数平均分子量が3500であることが分かる。
そうすると、上記Dynacoll(R)7360とジイソアネートとから形成されるプレポリマーは数平均分子量が3000以下でないから、相違点22は実質的な相違点である。
ついで、進歩性について検討する。
甲5には、接着剤が湿気硬化性組成物であること([0099])が記載されているが、ポリエステルポリオールとジイソアネートとから形成されるプレポリマーについて、その数平均分子量を調整することについて特段記載されていないし、該数平均分子量を調整することで、甲5発明である接着剤組成物が樹脂基材への接着性に影響を与えるという技術常識があるわけでもない。
そうすると、甲5発明に基づいて、プレポリマーPR1を構成するポリエステルポリオールの数平均分子量を3000超から3000以下にする動機付けがあるとはいえない。
よって、本件発明1は、甲5に記載された発明ではないし、該甲5に記載された発明及び甲5の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
そして、本件発明1は、特定の原料からなるウレタンプレポリマー(A)、特定の原料からなり、かつ、特定の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(B)を含む硬化性組成物とすることにより、前処理工程を減じても、好ましくは前処理工程なしでも樹脂基材への接着性に優れるという格別な効果が奏されるものである。
(ウ)小括
したがって、本件発明1は、相違点21、23について検討するまでもなく、甲5に記載された発明でないし、甲5に記載された発明並びに甲4及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
ウ 本件発明1を引用する本件発明2~5、10、12、13について
本件発明2~5、10、12、13は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記イで述べたのと同じ理由により、本件発明5、12は、甲5に記載された発明でないし、本件発明2~5、10、12、13は、甲5に記載された発明並びに甲5及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
エ 本件発明6について
(ア)対比
本件発明6と甲5発明とを対比する。
a 甲5には、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーPR1を、PE:OH数34.4のアジピン酸ヘキサンジオール、PO1:OH数が28のプロピレグリコールでエンドキャップされたポリエーテルジオール、及びPI:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を加えて製造することが記載されていること([0140]、表1)から、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとが反応したウレタンプレポリマー、ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートが反応したウレタンプレポリマーが製造されたことが理解できる。
そうすると、甲5発明の「プレポリマーPR1」は、本件発明6の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」および「ポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B)」を含み、かつ「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」むものに相当する。
b 甲5には、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーPR2を、PO1:OH数が28のプロピレグリコールでエンドキャップされたポリエーテルジオール、PO2:20%EOでエンドキャップされた、OH数35のポリエーテルトリオール、及びPI:イソホロンジイソシアネート(IPDI)を加えて製造することが記載されていること([0148]、[0149]、表6)から、ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートが反応したウレタンプレポリマーが製造されたことが理解できる。そうすると、甲5発明の「プレポリマーPR2」は、本件発明6の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」を含み、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含」み、「ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である」ことに相当する。
c 甲5には、特に温かい状態で塗布することができ、優れたグリーン強度及び長いオープンタイムを有する弾性接着剤として好適な一成分湿気硬化性ポリウレタン組成物に関すること([0001])、接着剤としての用途において、湿気硬化性組成物が基板51と基板S2との接着に使用すること([0099])が記載されていることから、甲5発明の「接着剤組成物C-3」は硬化性を有する組成物であることが確認できる。
そうすると、甲5発明の「接着剤組成物C-3」は、本件発明6の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明6と甲5発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)との反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含み、
ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点24>
本件発明6では、「シリコーン添加剤(C)を含」むのに対し、甲5発明では、「シリコーン添加剤(C)を含」むことが不明である点
(イ)判断
相違点24について検討する。
甲5には、室温硬化型ポリウレタン樹脂組成物にシリコーン添加剤を含有することは記載されていない。
他方、甲2には、ポリオールの混合物が用いられる場合、相溶化剤が要求される場合があること、ポリオールの混合物の相分離が使用中、例えば発泡してポリウレタン発泡体を与える間、又は2成分接着剤の保存中の問題をもたらす場合には、相溶化剤を用いて容易に混和しないポリオールの相溶化又は均一化できること、該相溶化剤としてシリコーン界面活性剤などが挙げられ、ポリウレタン中に適量存在できること(【0084】、【0085】)が記載されている。
そこで、甲5に記載された発明に、甲2に記載された相溶化剤を適用できるか否かを検討すると、甲5には、相溶化剤を添加することについては記載されていない。
そうすると、甲2のシリコーン界面活性剤がシリコーン添加剤であり、相溶化剤であったとしても、甲5に記載された発明に、甲2に記載された相溶化剤を適用する動機付けがないものである。
してみると、相違点24に係る発明特定事項は、甲5に記載された発明及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たことでない。
(ウ)小括
したがって、本件発明6は、甲5に記載された発明並びに甲5及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
オ 本件発明7及び本件発明6を引用する本件発明10について
本件発明7、10は、本件発明6を直接又は間接的に引用するものであり、上記エで述べたのと同じ理由により、甲5に記載された発明並びに甲5及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
カ 本件発明11について
(ア)対比
本件発明11と甲5発明を対比する。
a 甲5には、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーPR1を、PE:OH数34.4のアジピン酸ヘキサンジオール、PO1:OH数が28のプロピレグリコールでエンドキャップされたポリエーテルジオール、及びPI:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を加えて製造することが記載されていること([0140]、表1)から、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとが反応したウレタンプレポリマー、ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートが反応したウレタンプレポリマーが製造されたことが理解できる。
そうすると、甲5発明の「プレポリマーPR1」は、本件発明11の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」および「ポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B)」を含み、かつ「ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネート(b)との反応物を含」むものに相当する。
b 甲5には、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーPR2を、PO1:OH数が28のプロピレグリコールでエンドキャップされたポリエーテルジオール、PO2:20%EOでエンドキャップされた、OH数35のポリエーテルトリオール、及びPI:イソホロンジイソシアネート(IPDI)を加えて製造することが記載されていること([0148]、[0149]、表6)から、ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートが反応したウレタンプレポリマーが製造されたことが理解できる。
そうすると、甲5発明の「プレポリマーPR2」は、本件発明11の「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)」を含み、「ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含」み、「ポリイソシアネート(a)および/またはポリイソシアネート(b)は脂肪族である」ことに相当する。
c 甲5には、特に温かい状態で塗布することができ、優れたグリーン強度及び長いオープンタイムを有する弾性接着剤として好適な一成分湿気硬化性ポリウレタン組成物に関すること([0001])、接着剤としての用途において、湿気硬化性組成物が基板51と基板S2との接着に使用すること([0099])が記載されていることから、甲5発明の「接着剤組成物C-3」は硬化性を有する組成物であることが確認できる。
そうすると、甲5発明の「接着剤組成物C-3」は、本件発明11の「硬化性組成物」に相当する。
以上から、本件発明11と甲5発明とは、
「ポリオキシアルキレン骨格およびイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)および
ポリカーボネート骨格および/またはポリエステル骨格、およびイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマー(B)
を含み、
ウレタンプレポリマー(A)がポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート(a)とからなる原料の反応物を含み、かつ
ウレタンプレポリマー(B)がポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリールとポリイソシアネート(b)との反応物を含む、硬化性組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点25>
本件発明11が「ポリイソシアネート(b)は脂肪族であ」るのに対し、甲5発明では、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)である点
<相違点26>
本件発明11では、「ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量が3000以下である」のに対し、甲5発明では、「プレポリマーB」の数平均分子量が不明である点
<相違点27>
本件発明11では、「ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂基材に適用される」のに対し、甲5発明ではどのような樹脂基材であるか不明である点
(イ)判断
事案に鑑みて、相違点26について検討する。
甲5発明では、プレポリマーPR1を構成するポリエステルポリオールとしてアジピン酸ヘキサンジオール(商品名:Dynacoll(R)7360(エボニック)を使用している。
ここで、上記Dynacoll(R)7360は、参2によると、数平均分子量が3500であることが分かる。
そうすると、上記Dynacoll(R)7360とジイソアネートとから形成されるプレポリマーは数平均分子量が3000以下にはならないから、相違点26は実質的な相違点である。
ついで、進歩性について検討する。
甲5には、接着剤が湿気硬化性組成物であること([0099])が記載されているが、ポリエステルポリオールとジイソアネートとから形成されるプレポリマーについて、その数平均分子量を調整することについて特段記載されていないし、該数平均分子量を調整することで、甲5発明である接着剤組成物が樹脂基材への接着性に影響を与えるという技術常識があるわけでもない。
そうすると、甲5発明に基づいて、プレポリマーPR1を構成するポリエステルポリオールの数平均分子量を3000超から3000以下にする動機付けがあるとはいえない。
よって、本件発明11は、甲5に記載された発明ではないし、該甲5に記載された発明及び甲5の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
そして、本件発明11は、特定の原料からなるウレタンプレポリマー(A)、特定の原料からなり、かつ、特定の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(B)を含む硬化性組成物とすることにより、前処理工程を減じても、好ましくは前処理工程なしでも上記樹脂基材への接着性に優れるという格別な効果が奏されるものである。
(ウ)小括
したがって、本件発明11は、相違点25、27について検討するまでもなく、甲5に記載された発明でないし、甲5に記載された発明並びに甲4及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
キ 本件発明11を引用する本件発明12、13について
本件発明12、13は、本件発明11を直接又は間接的に引用するものであり、上記カで述べたのと同じ理由により、甲5に記載された発明並びに甲5及びその他の証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
第6 むすび
以上のとおり、本件特許に対する訂正は適法であるから、これを認める。
そして、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、本件特許の請求項1~7、10~13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~7、10~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700276