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特許異議申立

2023-700173

情報処理方法

審判番号
2023-700173
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-069659
登録番号
7123279
請求日
2023年02月16日
審決日
2023年05月24日
公報発行日
2023年06月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】JFE条鋼株式会社
  • 【権利者代理人】杉村 憲司
  • 【権利者代理人】杉村 光嗣
  • 【権利者代理人】川原 敬祐
  • 【権利者代理人】石井 裕充
  • 【異議申立人】佐伯 圭佑
審判長/審判官
  • 審判長 高瀬 勤
  • 審判官 梶尾 誠哉
  • 審判官 松田 直也
分類
P1652.121-Y (G06Q) / P1652.537-Y (G06Q) / P1652.538-Y (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7123279号発明「情報処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7123279号の請求項6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7123279号の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和4年4月20日に出願され、同年8月12日にその特許権の設定登録がされ、同年8月22日に特許公報が発行された。その後、そのうちの請求項6に係る特許(以下「本件特許」)に対し、令和5年2月16日に特許異議申立人 佐伯圭佑(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 特許第7123279号の請求項6に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項6】 情報処理装置による情報処理方法であって、 前記情報処理装置は、制御部と通信部と記憶部とを含み、前記通信部を介してネットワークと通信可能に接続され、 前記制御部によって、 廃棄物処理の注文情報を取得することと、 前記注文情報から、前記廃棄物を電気炉で処理するために必要な必要電力量を決定することと、 前記廃棄物の処理に使用される電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明するための、購入済みの証明情報を前記記憶部から読み出すことと、 前記必要電力量が、前記証明情報によって証明される電力量の範囲内か否かを判定することと、 を含む情報処理方法。」 第3 申立理由の概要 1 異議申立人の提出した証拠 異議申立人1は、次の甲第1号証~甲第3号証(以下、それぞれ、「甲1」~「甲3」という。)を証拠として提出している。 甲第1号証(甲1):特開2021-149905号公報 甲第2号証(甲2):実願昭55-046295号(実開昭56-149236号)のマイクロフィルム 甲第2号証の1(甲2-1):甲2に係る出願の経過情報照会、特許情報プラットフォーム 甲第3号証(甲3):大串康彦、“ブロックチェーン技術は再エネトラッキング、電力証書発行・取引に有効か?”、エネルギー・資源、一般社団法人 エネルギー・資源学会、令和3年11月10日、42巻、6号、p.33-37 2 特許異議の申立理由 異議申立人の主張する特許異議の申立理由の概要は以下のとおりである。 (1) 理由1(進歩性) 本件発明は、甲1に記載された発明、甲2に記載された発明及び甲3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 (2) 理由2(サポート要件) 本件発明は、本件特許についての願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)の発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (3) 理由3(明確性) 本件発明は、明確であるとはいえないから、本件特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (4) 理由4(実施可能要件) 本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本件特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第4 異議申立人の提出した証拠の記載 1 甲1について (1) 甲1の記載 甲1には、以下の記載がある(下線加筆、以下同じ。)。 「【背景技術】 【0002】 近年、グリーン電力(再生可能エネルギーによって生産された電力)が注目されている。グリーン電力は、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱等の再生可能エネルギーである資源を利用することで生産される。再生可能エネルギーによる発電は、石油、石炭、液化天然ガス等の化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCO2をほとんど排出しないため、電力の生産に利用される資源の中でも、再生可能エネルギーは、環境に優しいエネルギー源である。このような環境に優しいグリーン電力を利用して工場などを稼働させることで、企業価値を向上させることができる。また、再生可能エネルギー等によって生産された電力の取引にブロックチェーンを利用する方法がある(特許文献1参照)。 【0003】 ここで、電力等のアセットの生産に利用される資源の種類が異なる等、アセットの生産方法が異なる場合であっても、最終的に使用者に届く電気等のアセットの質は同じであるため、使用者は、届いた電気が再生可能エネルギーを利用して生産されたか否かは分からない。そこで、再生可能エネルギーによって生産された電力等のアセットの取引を証明するため、国や地方公共団体等の認可を受けた証明書発行事業者等の証明機関が発行する証明書が利用されている。企業は、例えば、証明書の発行の申請を行い、発行された証明書を環境への付加価値の証明に用いて企業価値を向上させることができる。また、証明書と似た性質を有する証券の取引において、ブロックチェーンを利用する方法も知られている (特許文献2参照)。」 「【0010】 <各業者の説明> 図1に示されているように、電力の生産者Aa、電力の生産者Ab、電力の消費者Ca、仲介者Da、及び申請者Eが存在する。生産者Aaは、提供者の一例であり、グリーン電力の生産に利用される再生可能エネルギーの一例としての太陽光から電力を生産する業者である。生産者Abは、提供者の一例であり、化石燃料の一例としての石油から電力を生産する業者である。なお、提供者には、各生産者からアセットを買い取って転売する組合等も含まれる。消費者Caは、使用者の一例であり、生産者Aa,Abから提供された電力を消費する業者である。なお、使用者には、アセットが電力のように消費されない不動産等の場合のアセットの所有権をすることになった者も含まれる。仲介者Daは、電力の所有権の取引の仲介を行う業者である。申請者Eは、電力の生産方法の種類を証明するための国や地方公共団体等の公的機関によって発行された生産方法証明書を利用して各種申請を行うユーザである。電力の生産方法の種類には、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱、又は原子力等を利用して生成する方法が挙げられる。これらのうち、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、及び大気中の熱は、電力再生可能エネルギーとしての大分類に属する。また、石油、石炭、及び液化天然ガスは、化石燃料としての大分類に属する。再生可能エネルギーによる発電は、化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCO2をほとんど排出しないため、再生可能エネルギーは、環境に優しいエネルギー源である。本実施形態では、再生可能エネルギーとして、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、又は大気中の熱が利用される。また、化石燃料として、石油、石炭、又は液化天然ガスが利用される。 【0011】 更に、仲介者Daは、国や地方公共団体等の公的機関による生産方法証明書の発行を代行する仲介事業を行う。仲介者Daは、申請書Eからの発行要求に応じて、生産方法証明書の発行を仲介し、発行された生産方法証明書を申請者Eに提供する。これにより、申請者Eは、生産方法証明書を用いて、例えば、自社の再生可能エネルギー利用率(CO2削減率)等に基づく公的補助金の申請等を行うことができる。」 「【0016】 また、仲介システム1000は、仲介者の数に応じて、2つ以上でもよい。また、仲介サーバ5及び証明書発行サーバ6は、それぞれ単一のコンピュータによって構築されていてもよいし、複数のコンピュータによって構築されていてもよい。電気装置8は、消費者の数に応じて、2つ以上でもよい。 【0017】 図1に示されているように、データ通信用ネットワークとしての取引システム1は、複数のスマートフォン2a,2b,2c、複数のスマートメータ3a,3b,3c、複数の発電装置4a,4b、画像処理装置7、仲介システム1000、及びコンピュータ等のノード9a,9b,9c,9dによって構築されている。また、ノード9a,9b,9c,9dによって、ブロックチェーンネットワーク90が構築されている。ブロックチェーンネットワーク90は、インターネット等の通信ネットワーク100内で構築されている。通信ネットワーク100は、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。なお、通信ネットワーク100には、有線通信だけでなく、移動通信システム(4G、5G、6G等)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。また、ノード9a,9b,9c,9dは、本来多数存在するが、ここでは紙面の便宜上4つのみが示されている。以降、ノード9a,9b,9c,9dの総称は、ノード9と示される。ノード9は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話又はPC(Personal Computer)等である。」 「【0049】 さらに、エンジン制御部730は、スキャナ部731及びプリンタ部732によって構成されている。スキャナ部731又はプリンタ部732には、誤差拡散やガンマ変換等の画像処理部分が含まれている。また、操作パネル740は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部740a、並びに、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作部740bを備えている。パネル表示部740aは、表示部の一種である。コントローラ710は、画像処理装置7全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル740からの入力等を制御する。また、ネットワークI/F750は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路720a及びネットワークI/F750は、PCIバス722を介して、ASIC706に電気的に接続されている。」 「【0072】 <仲介サーバ5の機能構成> 図7は、取引システムのうち、仲介サーバ、証明書発行サーバ及びノードの機能ブロック図である。図7に示されているように、仲介サーバ5は、送受信部51、決定部53、表示制御部54、判断部55、及び記憶・読出部59を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開され仲介サーバ用のプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。」 「【0088】 <証明書発行サーバ6の機能構成> 図7に示されているように、証明書発行サーバ6は、送受信部61、認証部62、生成部63、証明書種別管理部64、判断部65、及び記憶・読出部69を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD604からRAM603上に展開され証明書発行サーバ用のプログラムに従ったCPU601からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。 【0089】 また、証明書発行サーバ6は、図4に示されているROM602、及びHD604によって構築される記憶部6000を有している。」 「【0100】 <ノード9の機能構成> 図7に示されているように、ノード9は、送受信部91、検証部92、判断部93、トランザクション処理部94、アセット処理部95、及び記憶・読出部99を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD904からRAM903上に展開されノード用のプログラムに従ったCPU901からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。」 「【0135】 次に、トランザクション処理部94は、ステップS62で受信された提供情報を用いて、図17に示されているようなトランザクション情報を生成して記憶部9000に記憶する(S64)。この場合、トランザクション処理部94は、トランザクションIDを割り当てると共にトランザクション種類を設定する。トランザクション情報には、トランザクションID、トランザクション種類の情報、並びに、提供情報(提供者、提供日時、(取引可能)量、生産方法、及び所有権者の各情報)が含まれている。これらのうち、トランザクションIDは、トランザクション情報を識別するためのユニークな識別情報の一例である。トランザクション種類は、アセット情報に対する処理内容を示す情報である。図17では、トランザクション種類がアセット情報の生成であるため、アセット処理部95は、アセット情報の生成を行う。提供者は、アセットの提供者を示す情報である。提供日時はアセットが提供者によって提供された日時を示す情報である。(取引可能)量は、提供者が所定期間内に取引可能な電力量等を示す情報である。生産方法の種類は、図10(b)で示された生産方法の種類を示す情報である。所有権者は、アセットの所有権等を示すアセットの所有権者を示す情報である。」 「【0155】 <生産方法証明書の発行処理> 続いて、図20及び図22を用いて、アセットの生産方法証明書の発行処理について説明する。図20及び図22は、アセットの生産方法証明書の発行処理を示したシーケンス図である。申請者Eは、使用する電力の生産方法の種類が太陽光等の再生可能エネルギーであることを証明するために、仲介者Daに対して、アセットの生産方法を証明するための生産方法証明書の発行の要求を行う。これについて、以下に説明する。 【0156】 図20に示されているように、申請者Eが画像処理装置7の操作パネル740を操作することで、表示制御部73は、操作パネル740上に、図21(a)に示される証明書発行画面を表示させる(S201)。この証明書発行画面には、各入力欄(申請者ID、パスワード、アセット(ここでは、電力)の使用期間日、アセットの使用終了日)、並びにアセットの生産方法(ここでは、発電種別)及び発行する証明書の種別を選択するための選択ボタンが表示されている。また、証明書発行画面の下部には、入力欄への入力及び選択ボタンによって選択された取引内容を確定する場合に押下される「OK」ボタン、及び取引内容を確定しないで中止する場合に押下される「CANCEL」ボタンが表示されている。 【0157】 ここで、申請者Eが、画像処理装置7の操作パネル740を操作することで、各入力欄に所望の内容を入力し、更に、選択ボタンを用いて所望の内容を選択して、「OK」ボタンを押下すると、受付部72は、取引内容の入力及び選択を受け付ける(S202)。 【0158】 ここでは、申請者Eは、図21(b)に示されているように、自らのユーザID(申請者ID)及びパスワードを入力するとともに、取引期間情報として、2020年1月1日から2020年1月31日を入力する。また、申請者Eは、生産方法を証明する発電種別として「太陽光発電」を選択し、生産方法証明書の発行機関として「機関A」を選択する。 【0159】 次に、送受信部71は、通信ネットワーク100を介して、アセットの生産方法証明書の発行を要求する旨を示す発行要求情報を、証明書発行サーバ6へ送信する(S203)。これにより、証明書発行サーバ6の送受信部61は、画像処理装置7から送信された発行要求情報を受信する。この発行要求情報は、ステップS202によって入力及び選択された内容を含む。具体的には、発行要求情報には、申請者Eを識別するための申請者ID及びパスワード、アセットを取引する期間を示す取引期間情報、アセットの生産方法(発電種別)、並びに証明書種別が含まれている。即ち、申請者Eは、例えば、2020年1月1日から2020年1月31日までの特定の取引期間の生産方法証明書の発行を要求する。 【0160】 次に、証明書発行サーバ6の認証部62は、発行要求情報を送信した申請者Eの認証処理を行う(S204)。具体的には、認証部62は、送受信部61を介して受信した発行要求情報に含まれている申請者ID及びパスワードを検索キーとして、申請者管理テーブル(図11(a)参照)を検索する。また、認証部62は、発行要求情報に含まれている申請者ID及びパスワードの組み合わせが、申請者管理テーブルで管理されている場合、申請者ID及びパスワードに関連づけられている使用者名及びユーザ鍵を読み出す。ここで、発行要求情報に含まれている申請者ID及びパスワードの組合せが、申請者管理テーブルで管理されている場合、ステップS205以降の処理が実行される。 【0161】 次に、送受信部61は、ブロックチェーンネットワーク90のノード9に対して、生産方法証明書の発行を要求する旨を示す発行要求情報を送信する(S205)。この発行要求情報には、仲介者としての仲介者Daが本人であることを証明する電子的な証明書、ステップS204で読み出されたユーザ鍵及び使用者名(ここでは、消費者Ca)、取引期間情報、並びに発電種別が含まれている。仲介者の証明書は、仲介者Daに割り当てられたサーバ証明書として、仲介サーバ5の証明書と同様のものであってもよい。また、取引期間情報及び発電種別は、ステップS203で受信された取引期間情報及び発電種別である。これにより、ノード9の送受信部91は、証明書発行サーバ6から送信された発行要求情報を受信する。 【0162】 次に、ノード9の検証部92は、ステップS205で受信された証明書及びユーザ鍵を検証する(S206)。証明書の検証は、受信された証明書がノード9に予め登録されているサーバの証明書であるか否かを判断する処理である。また、ユーザ鍵の検証は、受信されたユーザ鍵がノード9に予め登録されているユーザ(申請者)の鍵情報であるか否かを判断する処理である。続いて、検証結果が問題ない場合について説明する。 【0163】 次に、記憶・読出部99は、ステップS205で受信された取引期間情報で示された所定の取引期間内で、消費者Caを所有権者として設定されているトランザクション情報及びアセット情報を読み出す(S207)。この場合、記憶・読出部99は、上記取引期間内に含まれる仲介日時が示されており、かつ、新所有権者が消費者Caとして示されている特定のトランザクション情報を読み出す。また、記憶・読出部99は、読み出した特定のトランザクション情報に示されているアセットIDに基づいて、アセット情報を読み出す。 【0164】 図22において、ノード9の判断部93は、ステップS207で読み出されたアセット情報に示されているアセットの証明書の発行状況を判断する(ステップS208)。具体的には、ステップS207で読み出されたアセット情報に示されている発行状況が、「未発行」であるか「発行済」であるかを判断する。ノード9は、判断部93によって発行状況が「未発行」であると判断された場合、以下ステップS209aからの処理を実行する。一方で、ノード9は、判断部93によって発行状況が「発行済」であると判断された場合、以下ステップS209bからの処理を実行する。まず、発行状況が「未発行」であると判断された場合について説明する。 【0165】 ノード9のトランザクション処理部94は、第nのトランザクション情報を生成し、図23に示されているように、第nのトランザクション情報を含むブロックを、記憶部9000に記憶されている第1のトランザクションを含むブロックのチェーンに追加記憶する(S209a)。そして、アセット処理部95は、第nのトランザクション情報に従って、第1のアセット情報の内容を変更する(S210a)。 【0166】 ここで、図23を用いて、ステップS209a,S210aの処理について詳細に説明する。図23の左側の第1のトランザクション情報及び第1のアセット情報は、それぞれ図17及び図19のトランザクション情報及びアセット情報と同じである。 【0167】 ステップS209aにおいて、トランザクション処理部94は、図23に示されているような第nのトランザクション情報を生成する。この第nのトランザクション情報には、固有のトランザクションID、及びトランザクションの種類として「証明書の発行」が示されている。また、第nのトランザクション情報には、生産方法証明書の発行を行った発行日時、証明書として発行するアセット(ここでは、電力)の発行量、証明書を発行するアセットの生産方法の種類、発行対象であるアセット情報を特定するためのアセットID、並びにアセットの提供者及び所有権者が示されている。 【0168】 そして、ステップS210aにおいて、アセット処理部95は、図23に示されているような第1のアセット情報の変更を行う。アセット処理部95は、アセットに対する生産方法証明書の発行を行ったことから、第1のアセット情報において、生産方法証明書の発行状況を「未」から「済(発行済)」に更新する。 【0169】 このように、生産方法証明書の発行が行われた場合、アセット情報に示されている発行状況が変更される。なお、ノード9は、トランザクション処理部94は、証明書とした発行するアセットの発行量が、一つのアセット情報に示されている使用量では不足している場合、複数のアセット情報を用いて取引を行う。この場合、アセット処理部95は、第1のアセット情報のみならず、複数のアセット情報の変更(更新)を行う。 【0170】 図22に戻り、ノード9の送受信部91は、証明書発行サーバ6に対して、発行状況が更新された旨を示す更新通知を送信する(S211a)。この更新通知には、ステップS209aで生成されたトランザクション情報(第nのトランザクション情報)、及びステップS210aで変更されたアセット情報(第1のアセット情報)が含まれている。これにより、証明書発行サーバ6の送受信部61は、ノード9から送信された更新通知を受信する。 【0171】 次に、証明書発行サーバ6の生成部63は、送受信部61で受信された更新通知に含まれているトランザクション情報及びアセット情報に基づいて、生産方法証明書を生成する(S212a)。具体的には、生成部63は、ステップ203で受信された取引要求情報に含まれている証明書種別を検索キーとして、証明書種別管理テーブル(図11(b)参照)を検索する。また、生成部63は、取引要求情報に含まれている証明書種別である機関名に関連づけられている証明書のフォーマットを読み出す。そして、生成部63は、読み出したフォーマットに対して、ステップS211aで受信されたトランザクション情報及びアセット情報に示されている内容を記述することで、生産方法証明書を生成する。 【0172】 次に、証明書発行サーバ6の送受信部61は、ステップS203で発行要求情報を送信した画像処理装置7に対して、生成部63によって生成された生産方法証明書に係る証明書データを送信する(S213a)。これにより、画像処理装置7の送受信部71は、証明書発行サーバ6から送信された証明書データを受信する。 【0173】 そして、画像処理装置7は、ステップS212で受信された証明書データを出力する(S214a)。具体的には、申請者Eが、画像処理装置7の操作パネル740を操作することで、画像処理装置7は、印刷処理部75は、証明書データの印刷処理を行う。図24は、印刷された生産方法証明書の一例を示した図である。図24に示されている生産方法証明書は、申請者(使用者)が使用したアセットの一例である電力の生産方法を証明するための電力証明書である。電力証明書は、例えば、グリーン電力証明書と称される。生産方法証明書には、証明書として発行された発行量に対応する発電電力量、証明書が発行された取引期間情報に対応する発電期間、証明書として発行するアセット(ここでは、電力)の生産方法である発電方法、証明書の発行日、及び発行元である証明書の発行機関が示されている。また、生産方法証明書には、証明書の内容がブロックチェーンネットワーク90の取引履歴(トランザクション情報)と同一であることを確認するための取引識別画像が示されている。」 【図1】 [図:0001398311000001.jpg] 【図4】 [図:0001398311000002.jpg] 【図7】 [図:0001398311000003.jpg] 【図17】 [図:0001398311000004.jpg] 【図20】 [図:0001398311000005.jpg] 【図21】 [図:0001398311000006.jpg] 【図22】 [図:0001398311000007.jpg] 【図23】 [図:0001398311000008.jpg] (2) 甲1発明 上記(1)によれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 [甲1発明] 申請者Eが、使用する電力の生産方法の種類が太陽光等の再生可能エネルギーであることを証明するために、仲介者Daに対して、アセット(電力)の生産方法を証明するための生産方法証明書の発行の要求を行うアセット(電力)の生産方法証明書の発行処理方法であって(【0155】、【0156】)、 仲介者Daが管理する証明書発行サーバ6は、ブロックチェーンネットワーク90のノード9と、申請者Eの操作する画像処理装置7と通信ネットワーク100を介して接続され(【図1】、【0049】)、 証明書発行サーバ6は、CPU601、送受信部61、認証部62、生成部63、証明書種別管理部64、判断部65、記憶・読出部69、及び記憶部6000を有しており(【0088】、【0089】)、 申請者Eが、画像処理装置7の操作パネル740を操作することで、送受信部71は、通信ネットワーク100を介して、アセットの生産方法証明書の発行を要求する旨を示す、取引期間情報を含む発行要求情報を、証明書発行サーバ6へ送信し(【0157】、【0159】)、 証明書発行サーバ6の送受信部61は、ブロックチェーンネットワーク90のノード9に対して、生産方法証明書の発行を要求する旨を示す、取引期間情報を含む発行要求情報を送信し(【0159】、【0161】)、 ノード9の記憶・読出部99は、受信された取引期間情報で示された所定の取引期間内で、消費者Caを所有権者として設定されているトランザクション情報及びアセット情報を読み出し(【0100】、【0163】)、 ノード9の判断部93は、読み出されたアセット情報に示されているアセット(電力)の証明書の発行状況を判断し(【0164】)、 ノード9のトランザクション処理部94は、証明書として発行するアセットを発行し(【0167】)、発行するアセットの発行量が、一つのアセット情報に示されている使用量では不足している場合、複数のアセットを発行し(【0168】)、 ノード9のアセット処理部95は、特定された一つ又は複数のアセットのアセット情報の発行状況の更新を行い(【0168】、【0169】)、 ノード9の送受信部91は、証明書発行サーバ6に対して、発行状況が更新された旨を示す更新通知を送信し(【0170】)、 証明書発行サーバ6の生成部63は、送受信部61で受信された更新通知に含まれているトランザクション情報及びアセット情報に基づいて、生産方法証明書を生成し(【0171】)、 証明書発行サーバ6の送受信部61は、発行要求情報を送信した画像処理装置7に対して、生成部63によって生成された生産方法証明書に係る証明書データを送信する(【0172】)、 アセット(電力)の生産方法証明書の発行処理方法。 2 甲2について (1) 甲2の記載 甲2には、以下の記載がある。 「2. 実用新案登録請求の範囲 1. 廃棄物焼却炉内の焼却残灰排出部に残灰溶融装置を設置したことを特徴とする廃棄物焼却炉の残灰処理装置。」(1頁上段) 「 (1)は廃棄物焼却炉であり、これは廃棄物投入ホツパ(2)、階段状に設けられた乾燥火格子(3)並びに燃焼火格子(4)、各火格子(3)(4)に振動を付与するための起振シリンダ装置(5)(6)、各火格子(3)(4)へそれぞれ廃棄物乾燥用の空気あるいは廃棄物燃焼用の空気を送るためのホツパ型ダクト(7)(8)(9)等を備える。焼却炉としては、図示したような多段火格子を有するものの他、各種形式のものを使用し得る。燃焼炉(1)内の残灰排出部(10)、すなわち燃焼火格子(4)の次段に残灰溶融装置(11)が設置される。残灰溶融装置(11)としては種々の形式のもの、たとえば電気炉、重油炉、可燃性ガス使用炉その他のものを任意に選択して使用し得るが、図示例では電気炉が採用されているものとする。」(2頁) 「図示していないがボイラ(13)で発生した蒸気は発電装置へ導入されるようになつており、発電によつて得られた電力が溶融装置(11)、すなわち電気炉の電源として使用されるようになつている。」(3頁中段) 「高温排ガスの作用によりボイラ(13)の内部で発生した蒸気は発電装置へ送られる。こうして得られた電力は、前述のように溶融装置(11)の電源として使用される。その場合、得られた電力量が溶融装置(11)の所要電力量より多い場合には、その余剰分を施設内の他の機器の運転用動力として使用することができる。逆に所要電力量より少ない場合は商用電力でその不足分を補充する。溶融装置(11)内に入つた残灰には金属、土砂、その他の挟雑物が含まれるが、これらは該溶融装置(11)内で高温下において溶融せしめられる。」(4頁下段~5頁上段) (2) 甲2発明 上記(1)によれば、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 [甲2発明] 廃棄物焼却炉内の焼却残灰排出部に残灰溶融装置を設置した廃棄物焼却炉の残灰処理装置であって、 ボイラ(13)の内部で発生した蒸気が発電装置へ送られることにより得られた電力は溶融装置(11)の電源として使用され、 得られた電力量が溶融装置(11)の所要電力量より多い場合には、その余剰分を施設内の他の機器の運転用動力として使用することができる、 廃棄物焼却炉の残灰処理装置。 3 甲3について 甲3には、以下の記載がある。 (1) 34頁右欄上段~35頁左欄上段 「3.4 日本のトラッキングに関する制度 日本においては,2021年8月現在,複数のトラッキングシステムが併存する.それぞれを以下に概説する. (1) グリーン電力証書 グリーン電力証書は,2001年に運営開始された民間の電力証書制度である.証書発行事業者が発電事業者と提携,または自社の電源を使用し,認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)に設備認定を申請する.設備認定を受けた後,発電量のデータとともに発電量の認証を認証機関に申請し,認証取得後,証書を発行できる仕組みである.対象となる電気は,固定価格買取制度(FIT)を使っていない発電所で発電された電気に限定される.認証機関は登録簿を管理し,証書運用・管理機関の機能も果たす. (2) トラッキング付非化石価値証書 非化石価値証書とは,小売電気事業者によるエネルギー供給構造高度化法の目標達成を支持するツールとして,非化石電源(再エネおよび原子力)に由来する電気を証書化したものである.この証書の取引市場である非化石価値取引市場は2018年に運用開始された.非化石価値証書そのものは発電所の属性情報を含まないものであるが,2019年度から発電所の属性情報を証書に付与するトラッキング実証実験がFIT電源で発電された電気の証書を対象に開始された. 2021年に入り,経済産業省・総合資源エネルギー調査会の制度検討作業部会にて,非化石価値取引市場の見直しが行われている.この見直しでは,需要家による再エネ調達を容易にする目的で,FIT非化石証書を取引する「再工ネ価値取引市場」と非FIT非化石証書を取引する「高度化法義務達成市場」に市場を分けることが提案されている.この中で,FIT非化石証書については全量をトラッキングするとしているが,非FIT非化石証書については,「着実な増加」を目標としている. 2021年2月,一般社団法人ローカルグッド創成支援機構が日本におけるI-RECの発行主体となった.ローカルグッド創成支援機構は,非化石証書の制度枠組みの中で,非FIT電源のトラッキングのみを提供し,非化石価値の発行や取引に関しては既存システムに介入しないという方式をとる. (3) J-クレジット J-クレジット制度とは,温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度であり,電気のトラッキングシステムではないが,このうち再エネ発電由来のクレジットがグリーン電力証書などと並列に扱われることもあるため,参考までにここで触れておく. J-クレジットはプロジェクト毎に認証およびクレジットの取得が行われ,プロジェクトの属性(例:省エネ,燃料転換,森林経営,再エネ発電)を特定しての購入が可能である.このうち,再エネ発電に由来するクレジット創出のプロジェクトの代表例として,一般社団法人低炭素投資促進機構が運営管理するプロジェクト「住宅における太陽光発電設備の導入」があり,住宅用太陽光の自家消費分をクレジット化している.トン-CO2ベースではプログラム型(複数のクレジット創出源を束ねたプロジェクト)の約75%が太陽光発電のプロジェクトである.当プロジェクトでは,他のトラッキング制度とは異なり,発電量の定量は標本調査と統計的手法により行っている. 4. ブロックチェーン技術の再エネトラッキング,証書発行?取引への応用事例 2017年以降,プロックチェーン技術を再エネトラッキング,電力証書発行・取引に応用される事例が確認されている.実証実験を含め,2021年8月までに確認された主な事例を表1に示す. 表1 ブロッククチェーン技術の再エネトラッキング・電力証書取引への応用事例 (表1省略) このうち,4つの海外事例はグローバルな業界団体Energy Web Foundationが提供するソフトウェアツールキット「EW Origin」を使用している. また,これらの事例は,A.予め指定された需要家施設の電力消費に対する再エネトラッキングのみを提供するものと,B.予め需要家や電力消費設備を紐付けることなく,電気から分離した電力証書を発行し,その後取引するものに分類される.A.に該当する事例は,みんな電力,デジタルグリッドで,B.はPTT,SP Group,PJM-ESIの事例である.Engieは明確でないが,A.に分類されると推測する.」 (2) 36頁左欄下段 「 発行された電力証書は,小売電気事業者や需要家などによって購入される(・・・).需要家が購入した証書をある期間の電力消費量に適用することにより,需要家はその期間に再エネを使用したことを主張することができる.証書運用・管理機関が維持する登録簿上では,発行済証書の状態の情報が含まれるが,需要家が使用した証書は償還扱いとなり,以後使用はできなくなる.」 第5 当審の判断 1 理由1(進歩性)について (1) 対比 ア 甲1発明の「仲介者Daが管理する証明書発行サーバ6」は、「申請者E」から送信された「アセット(電力)の生産方法証明書の発行を要求する旨を示す発行要求情報」を「ブロックチェーンネットワーク90のノード9」に送信し、「ノード9」から送信された「発行状況が更新された旨を示す更新通知」に含まれている「トランザクション情報及びアセット情報」に基づいて、生産方法証明書を生成し、生産方法証明書に係る証明書データを「申請者Eの操作する画像処理装置7」に送信するものである。 そうすると、甲1発明の「仲介者Daが管理する証明書発行サーバ6」は、「申請者E」からの「発行要求情報」を処理しているといえるから、本件発明の「情報処理装置」であるといえ、甲1発明の「アセット(電力)の生産方法を証明するための生産方法証明書の発行の要求を行うアセット(電力)の生産方法証明書の発行処理方法」は、本件発明の「情報処理方法」であるといえる。 イ 甲1発明の「情報処理装置」(証明書発行サーバ6)は、「CPU601、送受信部61」及び「記憶部6000」を有しており、「通信ネットワーク100を介して」「申請者Eの操作する画像処理装置7とも接続され」ている。 そうすると、甲1発明は、本件発明と同様、「前記情報処理装置は、制御部と通信部と記憶部とを含み、前記通信部を介してネットワークと通信可能に接続され」ている。 ウ 甲1発明は、「使用する電力の生産方法の種類が太陽光等の再生可能エネルギーであることを証明するため」の「アセット(電力)の生産方法証明書の発行処理方法」であり、使用する「電力」は「太陽光等の再生可能エネルギー」であるから、原油等の化石燃料から発電されたものではなく、本件発明の「非化石価値で定義された電力」であるといえる。 そして、甲1発明の「生産方法証明書」は、「トランザクション情報及びアセット情報に基づいて」生成されているところ、「ノード9の記憶・読出部99」によって読み出される「アセット情報」は「消費者Caを所有権者として設定されている」から、本件発明の「購入済みの証明情報」であるといえる。なお、甲1発明の「アセット情報」は、「ノード9の記憶・読出部99」によって読み出されるものであるから、「情報処理装置」(証明書発行サーバ6)の「制御部」(CPU601)によって読み出されるものではなく、「情報処理装置」(証明書発行サーバ6)の「記憶部6000」から読み出されるものでもない。 そうすると、甲1発明の「使用する電力の生産方法の種類が太陽光等の再生可能エネルギーであることを証明するため」の「アセット(電力)の生産方法証明書の発行処理方法」において、「証明書発行サーバ6」の「制御部」(CPU601)によって「ノード9の記憶・読出部99」に「発行要求情報」を送信し、「ノード9の記憶・読出部99」が「消費者Caを所有権者として設定されている」「アセット情報」を読み出すことと、本件発明の「情報処理装置」の「制御部」によって「電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明するための、購入済みの証明情報を前記記憶部から読み出すこと」とは、「情報処理装置」の「制御部」によって「電力が非化石価値で定義された電力であることを証明するための、購入済みの証明情報に関する処理を行うこと」で共通する。 しかしながら、甲1発明において、「発行するアセットの発行量が、一つのアセット情報に示されている使用量では不足している場合、複数のアセットを発行」することは、購入済みのアセットから複数のアセットを発行するものであるから、本件発明の「必要電力量が、証明情報によって証明される電力量の範囲内か否かを判定する」こととは相違する。 以上によれば、本件発明と甲1発明は、以下の一致点、相違点を有する。 [一致点] 情報処理装置による情報処理方法であって、 前記情報処理装置は、制御部と通信部と記憶部とを含み、前記通信部を介してネットワークと通信可能に接続され、 前記制御部によって、 電力が非化石価値で定義された電力であることを証明するための、購入済みの証明情報に関する処理を行うこと、 を含む情報処理方法。 [相違点] 本件発明は、情報処理装置の制御部によって、「廃棄物処理の注文情報を取得すること」、「前記注文情報から、前記廃棄物を電気炉で処理するために必要な必要電力量を決定すること」、「前記廃棄物の処理に使用される電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明するための、購入済みの証明情報を前記記憶部から読み出すこと」及び「前記必要電力量が、前記証明情報によって証明される電力量の範囲内か否かを判定すること」という処理を含むのに対し、甲1発明は、情報処理装置(証明書発行サーバ6)の制御部(CPU601)によって、本件発明の上述の「取得すること」、「決定すること」及び「判定すること」という処理を含むものではなく、「電力が非化石価値で定義された電力であることを証明するための、購入済みの証明情報に関する処理」を含むといえるものの、本件発明の上述の「読み出すこと」という処理を含むものでもない点。 (2) 判断 甲2発明は、上記相違点に係る構成を有しておらず、甲1にも、周知技術として提示された甲3にも上記相違点に係る構成は記載されていない。そして、上記相違点に係る構成が周知技術であるということもできない。 また、甲1発明の情報処理装置(証明書発行サーバ6)は、「仲介者Daが管理する証明書発行サーバ6」であって、そもそも廃棄物処理を行うものではないし、廃棄物処理を行うことが想定もされていないから、甲1発明において、「廃棄物処理の注文情報を取得する」こと、「前記注文情報から、前記廃棄物を電気炉で処理するために必要な必要電力量を決定する」こと、「電力」を「廃棄物の処理に使用される電力」とすること、「前記必要電力量が、前記証明情報によって証明される電力量の範囲内か否かを判定する」ことに変更することの動機付けもない。 そうすると、甲1発明において、相違点に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。 したがって、本件発明は、甲1に記載された発明、甲2に記載された発明及び甲3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3) 理由1のまとめ 以上によれば、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。 したがって、異議申立人の主張する理由1は理由がない。 2 理由2(サポート要件)について (1) 判断 ア 本件発明 本件発明は、上記第2のとおりである。 イ 本件明細書の発明の詳細な説明の記載 本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「【0012】 情報処理装置1の内部構成が詳細に説明される。情報処理装置1は、制御部11と通信部12と記憶部13とを含む。情報処理装置1の各構成要素は、例えば専用線を介して互いに通信可能に接続される。」 「【0016】 以下、情報処理装置1による情報処理方法が詳細に説明される。 【0017】 情報処理装置1の制御部11は、鉄鋼関連製造物の注文情報を取得する。鉄鋼関連製造物は、例えばスラグ又は鋼材製品を含むが、これに限られない。注文情報はネットワーク及び通信部12を介して他の情報処理装置から受信されることにより取得されてよいし、情報処理装置1に手動で入力されることにより取得されてよい。注文情報は例えば、JIS規格、数量、又は納期の情報を含む。 ・・・ 【0033】 電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する証明情報は、オークションにおいて又は仲介業者から購入され、記憶部13に記憶される。 ・・・ 【0039】 制御部11は、証明情報を記憶部13から読み出すと、製造に必要な必要電力量が、初回のオークションで購入済みの証明情報によって証明される証明電力量の範囲内か否か(具体的には、必要電力量が証明電力量以下であるか否か)を判定する。図6に示されるように、判定結果は注文情報と関連付けて記憶されてよい。」 「【0055】 [変形例] ・・・ 【0057】 上記実施形態では、制御部11は、鉄鋼関連製造物の注文情報を取得する。代替例として制御部11は、廃棄物処理の注文情報を取得してよい。この場合、電気炉EFは、電極ELに高電圧をかけて電気アークEAを発生させる。電気炉EFは、電気アークEAによる熱エネルギーで電気炉EF内の処理対象となる資源化原料廃棄物を高温で溶融又は溶解、及び無害化処理し、処理された廃棄物を鉄又はスラグ等として再生及びリサイクルする。アーク温度は約4,000℃である。資源化原料廃棄物は次の廃棄物のうち少なくとも1つを含む。 ・鉄を含む資源化原料廃棄物 ・炭素を含む資源化原料廃棄物 ・CaO又はSiO2を含む資源化原料廃棄物 制御部11は注文情報から、廃棄物処理に必要な必要電力量を決定する。」 ウ 検討 上記イのとおり、本件明細書の発明の詳細な説明には、上記アの本件発明の発明特定事項がすべて記載されている。 したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 (2) 異議申立人の主張について これに対し、異議申立人は、本件明細書の発明の詳細な説明の【0005】には、「かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、カーボンニュートラルな鉄鋼関連製造物又はカーボンニュートラルな廃棄物処理の発注を支援することにある。」と記載されていることに関し、同【0061】には、電力量の範囲内にないと判定すると追加の証明情報を購入するという手段、同【0062】には、オークションの開催日時よりも納期が前であると判定すると追加の証明情報を購入するという手段が記載されており、これらの手段により発注を支援することができるものであるところ、本件発明は、発明の課題を解決するためのこれらの手段が何ら反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている、と主張する。 しかしながら、上記【0005】の「カーボンニュートラルな廃棄物処理の発注を支援すること」という目的は、廃棄物処理に関する業者等の発注を支援することであり、本件発明の「情報処理装置による情報処理方法」において特定されている「廃棄物処理の注文情報を取得すること」、「前記注文情報から、前記廃棄物を電気炉で処理するために必要な必要電力量を決定すること」、「前記廃棄物の処理に使用される電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明するための、購入済みの証明情報を前記記憶部から読み出すこと」及び「前記必要電力量が、前記証明情報によって証明される電力量の範囲内か否かを判定すること」という処理によって達成することができるものである。 そうすると、発明の詳細な説明の【発明を実施するための形態】に記載された、一実施形態である「追加の証明情報を購入するという手段」の特定がないことをもって、本件発明が、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているということはできない。 したがって、異議申立人の上記主張は理由がない。 (3) 理由2のまとめ 以上によれば、本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものであって、本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 したがって、異議申立人の主張する理由2は理由がない。 3 理由3(明確性)について (1) 判断 本件発明に係る本件特許の特許請求の範囲の記載は、上記第2のとおりであるところ、当該記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (2) 異議申立人の主張について これに対し、異議申立人は、本件発明の「廃棄物処理の注文情報を取得することと、前記注文情報から、前記廃棄物を電気炉で処理するために必要な必要電力量を決定することと」の記載において、出願時の技術常識からは、注文情報からどのように必要電力量を決定するのかが理解できないから、本件発明は明確でないと主張する。 そこで検討するに、本件明細書の発明の詳細な説明には、廃棄物処理の対象となる資源化原料廃棄物について以下の記載がある(再掲、上記2(1)イ)。 「【0057】 上記実施形態では、制御部11は、鉄鋼関連製造物の注文情報を取得する。代替例として制御部11は、廃棄物処理の注文情報を取得してよい。この場合、電気炉EFは、電極ELに高電圧をかけて電気アークEAを発生させる。電気炉EFは、電気アークEAによる熱エネルギーで電気炉EF内の処理対象となる資源化原料廃棄物を高温で溶融又は溶解、及び無害化処理し、処理された廃棄物を鉄又はスラグ等として再生及びリサイクルする。アーク温度は約4,000℃である。資源化原料廃棄物は次の廃棄物のうち少なくとも1つを含む。 ・鉄を含む資源化原料廃棄物 ・炭素を含む資源化原料廃棄物 ・CaO又はSiO2を含む資源化原料廃棄物 制御部11は注文情報から、廃棄物処理に必要な必要電力量を決定する。」 本件明細書の上記記載によれば、廃棄物処理の対象となる資源化原料廃棄物の例示がされているから、本件発明の「注文情報」には、廃棄物の種類を記載する項目が設けられ、さらにその重量に関する項目が設けられていることが容易に想定される。 そして、それらの項目に加え、「処理された廃棄物を鉄又はスラグ等として再生及びリサイクルする」、「アーク温度は約4,000℃である」という条件があれば、取得した廃棄物処理の注文情報から、廃棄物を電気炉で処理するために必要な必要電力量を決定することは可能であると理解することができる。 したがって、異議申立人の上記張は理由がない。 (3) 理由3のまとめ 以上によれば、本件発明は、明確であって、本件特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 したがって、異議申立人の主張する理由3は理由がない。 4 理由4(実施可能要件)について (1) 判断 本件発明は、上記2のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるところ、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 (2) 異議申立人の主張について これに対し、異議申立人は、上記3(2)と同様の理由により、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件発明を当業者が実施可能な程度に記載されていないと主張する。 しかしながら、上記3(2)と同様の理由により、本件明細書の発明の詳細な説明の記載をみれば、取得した廃棄物処理の注文情報から、廃棄物を電気炉で処理するために必要な必要電力量を決定することは可能であると理解することができる。 したがって、異議申立人の上記主張は理由がない。 (3) 理由4のまとめ 以上によれば、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるからあって、本件特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 したがって、異議申立人の主張する理由4は理由がない。 第6 むすび 以上の次第であるから、特許異議の申立ての理由及び異議申立人の提出した証拠によっては、特許第7123279号の請求項6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に特許第7123279号の請求項6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700173

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