特許異議申立
2022-701279
情報処理方法
- 審判番号
- 2022-701279
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-190610
- 登録番号
- 7090202
- 請求日
- 2022年12月21日
- 審決日
- 2023年03月28日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】JFE条鋼株式会社
- 【権利者代理人】杉村 憲司
- 【権利者代理人】杉村 光嗣
- 【権利者代理人】川原 敬祐
- 【権利者代理人】石井 裕充
- 【異議申立人】佐伯 圭佑
- 【異議申立人】中川 賢治
- 審判長/審判官
- 審判長 中野 裕二
- 審判官 富澤 哲生
- 審判官 野崎 大進
- 分類
- P1651.121-Y (B09B) / P1651.536-Y (B09B) / P1651.537-Y (B09B) / P1651.55 -Y (B09B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7090202号発明「情報処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7090202号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7090202号(以下,「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、令和3年11月24日に出願され、令和4年6月15日にその特許権の設定登録がされ、平成令和4年6月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、特許異議申立人 佐伯圭佑(以下、「申立人A」という。)、特許異議申立人 中川賢治(以下、「申立人B」という。)は、それぞれ令和4年12月21日、同年同月22日に特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1の特許に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、制御部と通信部と記憶部とを含み、前記通信部を介してネットワークと通信可能に接続され、
前記制御部によって、
購入された電力の発電プロセスが再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合、前記電力のうち再生可能エネルギー由来の電力を特定することと、
特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報を、電気炉で処理される廃棄物についてのマニフェスト情報に関連付けて前記記憶部に記憶することと、
を含み、
前記特定することは、
前記電気炉の電力使用量実績から、廃棄物1トン当たりの電力使用量を算出することと、
前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出することと、
前記電力量に、前記マニフェスト情報に含まれる廃棄物数量の情報を掛けることで、前記廃棄物を処理するために使用された再生可能エネルギー由来の電力の量を算出することと、
によって実行される、情報処理方法。」
第3 申立理由の概要
1 申立人Aの主張する申立理由
申立人Aは、主たる証拠として以下の甲第1号証を、従たる証拠として以下の甲第2号証ないし甲第9号証を提出し、本件発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第9号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである旨主張している(申立人Aの特許異議申立書5~27頁。この申立理由(進歩性欠如)を、以下「理由A」という。)。
甲第1号証: 特開2021-152848号公報
甲第2号証: 特開2021-149905号公報
甲第3号証: 大串康彦,ブロックチェーン技術は再エネトラッキング,電力証書発行・取引に有効か?,エネルギー・資源 Vol.42,No.6,一般社団法人エネルギー・資源学会,令和3年11月10日
甲第4号証: 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成29年改正法) 第12条の3第1項
甲第5号証: 電子マニフェストの仕組み,公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター,インターネット<URL:https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/structure/index.html>
甲第6号証: 令和2年度電子マニフェスト統計情報,公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター,インターネット<URL:https://www.jwnet.or.jp/uploads/media/2021/07/R02jwnet_toukei.pdf>
甲第7号証: 特開2002-189794号公報
甲第8号証: 特開2003-95406号公報
甲第9号証: 日渡賢一 他,廃棄物焼却施設の建設と運用に係わる環境負荷と資源量,日本建築学会環境系論文集第593号,73~80頁,平成17年7月30日
2 申立人Bの主張する申立理由
申立人Bの主張する申立理由の概要は、請求項1に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり(明確性及びサポート要件違反)、特許法第17条の2第3項(新規事項)に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであり(補正要件違反)、発明の詳細な説明の記載が特許法特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(実施可能要件違反)から、取り消されるべきものであるというものであり、具体的には以下のとおりである。
(1)本件発明において、「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報」に、どのような情報が含まれるのか、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を参酌するといくつかの解釈の可能性があり、本件発明は明確ではない。また、本件発明の「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報」がどのような情報であるかが本件特許明細書に記載されていないので、本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない(申立人Bの特許異議申立書(以下、「申立書B」という。)7~9頁。この申立理由(明確性及びサポート要件違反)を、以下「理由B1」という。)。
(2)本件発明の「証明情報を、電気炉で処理される廃棄物についてのマニフェスト情報に関連付けて」において、「証明情報」と関連付けられる「マニフェスト情報」がどのようなものであるか明確ではない。また、本件発明の「証明情報を、電気炉で処理される廃棄物についてのマニフェスト情報に関連付けて」において、「証明情報」と関連付けられる「マニフェスト情報」がどのようなものであるか本件特許明細書に記載されていないので、本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない(申立書B9~11頁。この申立理由(明確性及びサポート要件違反)を、以下「理由B2」という。)。
(3)本件発明の「再生可能エネルギー比率」の定義が明確ではない。また、本件発明の「再生可能エネルギー比率」の定義は本件特許明細書に記載されていないので、本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない(申立書B11~13頁。この申立理由(明確性及びサポート要件違反)を、以下「理由B3」という。)。
(4)本件特許明細書には、本件発明の「前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出すること」は記載されておらず、また、「前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出することと、前記電力量に、前記マニフェスト情報に含まれる廃棄物数量の情報を掛けることで、前記廃棄物を処理するために使用された再生可能エネルギー由来の電力の量を算出すること」も記載されていない。
また、本件特許明細書には、「廃棄物1トン当たりの電力使用量に、対象となるマニフェストMに記載された廃棄物数量を掛けることで、対象となる廃棄物を処理するために使用された実績電力使用量が算出される。この実績電力使用量の電力を再生可能エネルギー電力とみなすことで、電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを実現及び証明することができる」と記載されているだけであるから、「前記廃棄物を処理するために使用された再生可能エネルギー由来の電力の量を算出すること」を示唆する記載はない。
よって、本件発明は、請求項に記載されている事項が、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない場合に該当し、発明の詳細な説明に記載したものでない(申立書B13~14頁。この申立理由(サポート要件違反)を、以下「理由B4」という。)。
(5)本件発明の「前記特定することは、前記電気炉の電力使用量実績から、廃棄物1トン当たりの電力使用量を算出することと、前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出することと、前記電力量に、前記マニフェスト情報に含まれる廃棄物数量の情報を掛けることで、前記廃棄物を処理するために使用された再生可能エネルギー由来の電力の量を算出することと、によって実行される、」は、令和4年3月9日付け手続補正書によって付加された(この補正を、以下「本件補正」という。)発明特定事項であるが、願書に最初に添付した明細書等(以下、「当初明細書等」という。)には、「前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出すること」は記載されておらず、また、「前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出すること、前記電力量に、前記マニフェスト情報に含まれる廃棄物数量の情報を掛けることで、前記廃棄物を処理するために使用された再生可能エネルギー由来の電力の量を算出すること」も記載されていないから、本件補正は新たな技術的事項を導入するものである(申立書B14~15頁。この申立理由(補正要件違反)を、以下「理由B5」という。)。
(6)本件発明の「前記電気炉の電力使用量実績から、廃棄物1トン当たりの電力使用量を算出すること」は、発明の詳細な説明に実施可能な程度に記載されていない(申立書B16頁。この申立理由(実施可能要件違反)を、以下「理由B6」という。)。
第4 甲第1号証の記載、甲1発明
甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による)。
「【0009】
〔システムの構成の概略〕
まず、取引システム1の構成の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る取引システムの概略図である。ここでは、アセットの一例としての電力を取り扱う場合について説明する。なお、アセットの所有権及びアセットの生産方法の種類は、後述のアセット情報で管理される。
【0010】
<各業者の説明>
図1に示されているように、電力の生産者Aa、電力の生産者Ab、電力の消費者Ca、仲介者Da、及び証明機関Eが存在する。
【0011】
生産者Aaは、提供者の一例であり、グリーン電力の生産に利用される再生可能エネルギーの一例としての太陽光から電力を生産する業者である。生産者Abは、提供者の一例であり、化石燃料の一例としての石油から電力を生産する業者である。なお、提供者には、各生産者からアセットを買い取って転売する組合等も含まれる。
【0012】
消費者Caは、使用者の一例であり、生産者Aa,Abから提供された電力を消費する業者である。なお、使用者には、アセットが電力のように消費されない不動産等の場合のアセットの所有権をすることになった者も含まれる。
【0013】
仲介者Daは、電力の所有権の取引の仲介を行う業者である。
【0014】
証明機関Eは、電力の生産方法の種類を証明するための国や地方公共団体等の公的機関である。電力の生産方法の種類には、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱、又は原子力等を利用して生成する方法が挙げられる。これらのうち、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、及び大気中の熱は、再生可能エネルギーとしての大分類に属する。また、石油、石炭、及び液化天然ガスは、化石燃料としての大分類に属する。再生可能エネルギーによる発電は、化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCO2をほとんど排出しないため、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギー源である。本実施形態では、再生可能エネルギーとして、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、又は大気中の熱が利用される。また、化石燃料として、石油、石炭、又は液化天然ガスが利用される。
【0015】
更に、仲介者Daは、証明機関Eに対して郵送などで申請書を送り、証明機関Eから生産方法証明書を受け取って、消費者Caに対して郵送などで生産方法証明書送る仲介作業を行う。生産方法証明書は、例えば、再生可能エネルギーの利用率が記載されている。これにより、消費者Caは、生産方法証明書を用いて、自社の再生可能エネルギー利用率(CO2削減率)、再生可能エネルギーの利用に基づく公的補助金の申請等を行うことができる。」
「【0020】
仲介サーバ5は、仲介者の数に応じて、2つ以上でもよい。また、仲介サーバ5は、単一のコンピュータによって構築されていてもよいし、複数のコンピュータによって構築されていてもよい。電気装置8は、消費者の数に応じて、2つ以上でもよい。また、仲介サーバ5は、アセットに関する将来の取引の内容を登録するサーバでもあるため、「登録サーバ」ということもできる。登録サーバは、仲介サーバ5とは別のサーバであってもよい。
【0021】
図1に示されているように、データ通信用ネットワークとしての取引システム1は、複数のスマートフォン2a,2b,2c、複数のスマートメータ3a,3b,3c、複数の発電装置4a,4b、仲介サーバ5、及びコンピュータ等のノード9a,9b,9c,9dによって構築されている。また、ノード9a,9b,9c,9dによって、ブロックチェーンネットワーク90が構築されている。ブロックチェーンネットワーク90は、インターネット等の通信ネットワーク100内で構築されている。通信ネットワーク100は、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。なお、通信ネットワーク100には、有線通信だけでなく、移動通信システム(4G、5G、6G等)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。また、ノード9a,9b,9c,9dは、本来多数存在するが、ここでは紙面の都合上4つのみが示されている。以降、ノード9a,9b,9c,9dの総称は、ノード9と示される。」
「【0032】
(仲介者Daの仲介サーバ)
仲介サーバ5は、電力等のアセットの提供者とアセットの使用者との間でのアセット情報の移転等のアセットに関する取引の仲介を処理する。そのため、仲介サーバ5は、通信ネットワーク100を介して、各スマートフォン2及び各スマートメータ3とデータ通信を行うことができる。また、仲介サーバ5は、ブロックチェーンネットワーク90のノード9にアクセスして、ノード9とデータ通信することができる。」
「【0071】
<仲介サーバ5の機能構成>
紙面の都合上、仲介サーバ5の機能ブロック図は、図6に示されている。図6は、取引システムのうち、仲介サーバとノード機能のブロック図である。図6に示されているように、仲介サーバ5は、送受信部51、決定部53、表示制御部54、判断部55、作成部58、及び記憶・読出部59を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開され仲介サーバ用のプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0072】
また、仲介サーバ5は、図4に示されているROM502、及びHD504によって構築される記憶部5000を有している。記憶部5000には、図16の各種電源別ライフサイクルCO2排出量のグラフを示すための二酸化炭素排出量情報が記憶されている。また、記憶部5000には、生産方法の種類毎に、過去の月別のアセットの価格及び今後1年間に予想されるアセットの価格を示したアセット価格情報が記憶されている。なお、過去の価格に関しては、少なくとも当該月から1年以上の過去の価格が示されている。」
「【0077】
(取引内容管理テーブル)
図8(a)は、取引内容管理テーブルを示す概念図である。取引内容管理テーブルは、消費者Ca等の使用者によって設定されたアセットの取引内容を管理するためのテーブルである。記憶部5000には、図8(a)に示されているような取引内容管理テーブルによって構成されている取引内容管理DB5003が構築されている。この取引内容管理テーブルでは、取引内容情報が管理されており、具体的には、使用者ID、使用開始日、使用終了日、使用予定量、再生可能エネルギー利用率、提供者ID、提供者名、及び生産方法の種類が関連付けられて管理される。なお、使用者ID等の図7(a)、(b)と同じ項目名は、同じ意味を示す。
【0078】
これらのうち、使用開始日は、消費者Ca等の使用者が電力等のアセットの使用を開始する日を示す情報である。使用終了日は、使用者が電力等のアセットの使用を終了する日を示す情報である。使用予定量は、使用者が一定期間(又は一定時間)に使用する予定のアセット量であり、例えば、電力量(kWh)である。再生可能エネルギー利用率は、消費者Ca等の使用者が使用する電力等のアセットのうち、太陽光等の再生可能エネルギーを利用して生産されたアセットの割合(%)を示す情報である。
【0079】
図8(b)は、取引履歴管理テーブルを示す概念図である。取引履歴管理テーブルは、消費者Ca等の使用者毎に、仲介サーバ5が生産者等の提供者から取得したアセットに関する取引の仲介を行った取引履歴を管理するためのテーブルである。記憶部5000には、図8(b)に示されているような取引履歴管理テーブルによって構成されている取引履歴管理DB5004が構築されている。この取引履歴管理テーブルでは、取引履歴情報が管理されており、具体的には、仲介日時、取引量、生産方法の種類、及び各種生産方法による総取引量が関連付けられて管理される。なお、アセットの生産に利用される(エネルギー)資源の種類は、換言すると、所定の種類の資源を利用してアセットを生産する「生産方法の種類」である。例えば、アセットが電力の場合には、「生産方法の種類」は、太陽光等の「発電方法」を示す。また、ここでは、各種生産方法として、太陽光及び石油を利用する場合が示されているが、これに限るものではなく、風量、石炭等を利用した生産方法を管理してもよい。また、電力再生可能エネルギー及び化石燃料を示す生産方法の種類の大分類を管理してもよい。
【0080】
これらのうち、使用者ID等の図7(a)、(b)と同じ項目名は、同じ意味を示す。仲介日時は、仲介サーバ5が生産者等の提供者から取得したアセットの所有権を、消費者Ca等の使用者に割り当てることで、アセットの所有権の仲介を行った日時を示す。取引量は、仲介サーバ5が提供者から取得して使用者に取引の仲介を行うアセットの取引量を示し、例えば、電力量(kWh)で示される。総取引量は、特定の種類の生産方法によって生産されたアセットを、一定期間(又は一定時間)において消費者Ca等の使用者に割り当てた総量を示し、例えば、総電力量(kWh)で示される。仲介サーバ5は、取引履歴管理DB5004を参考にして、消費者Ca等の使用者に割り当てるアセットの生産方法の種類を決める。これより、例えば、消費者Caが再生可能エネルギーを利用して生産した電力の割合を40と設定していた場合、仲介サーバ5は、取引履歴管理DB5004の総取引量を参照して、次に消費者Caに提供するアセットの生産方法の種類を決定する。」
「【0084】
(仲介サーバの各機能構成)
次に、図6を用いて、仲介サーバ5の各機能構成を詳細に説明する。仲介サーバ5の送受信部51は、主に、ネットワークI/F509に対するCPU501の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、他の端末(例えば、スマートフォン2a,2c)との間で各種データ(または情報)の送受信を行う。なお、送受信部51は、スマートフォン2cから、後述の取引内容を受け付ける受付部としての役割も果たす。
【0085】
決定部53は、CPU501の処理によって実現され、使用者へ移転する(取引の仲介を行う)アセットの所有権等を示すアセット情報を決定する。例えば、決定部53は、取引履歴管理DB5004で管理されている「使用者によって所定種類の生産方法で生産されたアセットの取引履歴」、及び、取引内容管理DB5003で予め管理されている「再生可能エネルギーの利用率」に基づいて、消費者Ca等の使用者に取引の仲介を行う特定種類の生産方法によって生産されたアセットに係るアセット情報を決定する。具体的には、消費者Caが再生可能エネルギーの利用率を40(%)と設定していた場合、決定部53は、取引履歴管理DB5004の総取引量を参照して、利用率40(%)に近づくように、消費者Caに対して、再生可能エネルギーによって生産されたアセットに係るアセット情報の所有権者を、仲介サーバ5を管理する仲介者Daから消費者Caに変更することを決定する。」
「【0088】
作成部58は、CPU501の処理によって実現され、トランザクション情報及びアセット情報に基づいて、仲介者が証明機関Eに提出するための申請書を作成する。この申請書は、アセットの生産方法の種類を証明するための生産方法証明書を申請するための所定のフォーマットによって作成される。」
「【0090】
<ノード9の機能構成>
図6に示されているように、ノード9は、送受信部91、検証部93、判断部95、トランザクション処理部96、アセット処理部97、及び記憶・読出部99を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD904からRAM903上に展開されノード用のプログラムに従ったCPU901からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0091】
また、ノード9は、図4に示されているROM902、及びHD904によって構築される記憶部9000を有している。図6では、イメージとして、トランザクション情報がチェーンのようにつながっている状態を示している。また、トランザクション情報に基づいて生成されたアセット情報も記憶されている。各トランザクション情報及び各アセット情報は、各ノードで保持している。」
「【0121】
図13に示されているように、表示制御部54が、上記ステップS50で決定された内容に基づいて、図14(a)に示されているようなお薦め画面を作成する(S51)。これにより、スマートフォン2cでは、表示制御部24cがウェブブラウザ機能により、スマートフォン2cのディスプレイ218上に、仲介サーバ5で作成された図14(a)に示されるお薦め画面を表示させる(S52)。この場合のお薦め画面である再生可能エネルギー利用率優先設定画面の初期画面には、上部にステップS48で読み出された全ての生産方法の種類毎の月別総取引量を示したグラフを示す「過去の取引実績」が表示され、下部にステップS50で決定された「お薦め内容」が表示される。」
「【0130】
次に、仲介サーバ5では、記憶・読出部59が、取引内容管理DB5003(図8(a)参照)に、ステップS55で再決定されたお薦め内容を示す取引内容情報を記憶することで管理する(S60)。」
「【0164】
<生産方法証明書の仲介処理>
続いて、図21を用いて、アセットの生産方法証明書の仲介処理について説明する。図21は、アセットの生産方法証明書の仲介処理を示したシーケンス図である。消費者Caは、消費する電力の生産方法の種類が太陽光等の再生可能エネルギーであることを証明するために、仲介者Daに対して、証明機関Eからアセットの生産方法を証明するための生産方法証明書を取り寄せる要求を行う。これについて、以下に説明する。
【0165】
図21に示されているように、消費者Caがスマートフォン2cを操作することで、送受信部21cは通信ネットワーク100を介して、アセットの生産方法証明書の要求を送信する(S201)。これにより、仲介サーバ5の送受信部51は、要求を受信する。この要求には、消費者Caとしての使用者を識別するための使用者ID、及びアセットを取引する期間を示す取引期間情報が含まれている。即ち、消費者Caは、例えば、2020年1月1日から2020年1月31日までの特定の取引期間の生産方法証明書を要求する。
【0166】
次に、仲介サーバ5の送受信部51は、ブロックチェーンネットワーク90のノード9に対して、トランザクション情報及びアセット情報の要求を送信する(S202)。この要求には、仲介サーバ5が予めスマートフォン2cから取得した使用者(ここでは、消費者Ca)の証明書、所有権者としての使用者(ここでは、消費者Ca)を示す情報、及び取引期間情報は含まれている。これにより、ノード9の送受信部91は、要求を受信する。
仲介サーバ5の証明書は、上記ステップS82で送信された内容と同じである。また、取引期間情報は、ステップS121で受信された取引期間情報である。
【0167】
次に、ノード9では、検証部93が、ステップS122で受信された証明書を検証する(S203)。証明書の検証は、受信された証明書がノード9に予め登録されているサーバの証明書であるか否かを判断する処理である。続いて、検証結果が問題ない場合について説明する。
【0168】
次に、記憶・読出部99は、ステップS202で受信された取引期間情報で示された所定の取引期間内で、消費者Caを所有権者として設定されているトランザクション情報及びアセット情報を読み出す(S204)。この場合、記憶・読出部99は、上記取引期間内に含まれる仲介日時が示されており、かつ、新所有権者が消費者Caとして示されている特定のトランザクション情報を読み出す。また、記憶・読出部99は、読み出した特定のトランザクション情報に示されているアセットIDに基づいて、アセット情報を読み出す。
【0169】
そして、ノード9の送受信部91は、仲介サーバ5に対して要求されたトランザクション情報及びアセット情報を送信する(S205)。これにより、仲介サーバ5の送受信部51は、トランザクション情報及びアセット情報を受信する。
【0170】
次に、仲介サーバ5では、作成部58は、ステップS205で受信されたトランザクション情報及びアセット情報に基づいて、仲介者が証明機関Eに提出するための申請書を作成する(S206)。この申請書は、アセットの生産方法の種類を証明するための生産方法証明書を申請するために利用される。
【0171】
続いて、図1に示されているように、仲介者Daは、証明機関Eに対して郵送等で、ステップS206で作成された申請書を送る(S1)。そして、証明機関Eは、消費者Caが消費した電力の40%が太陽光等の再生可能エネルギーによって生産された旨を証明するアセットの生産方法証明書を作成して、仲介者Daに郵送等で送る(S2)。そして、仲介者Daは、消費者Caに対して郵送等で生産方法証明書を送る(S3)。なお、証明機関Eは、必要であれば、生産方法証明書を発行する前に、ブロックチェーンネットワーク90からトランザクション情報及びアセット情報を取得して内容を確認してもよい。
【0172】
以上により、仲介者Daによる生産方法証明書の仲介処理が終了する。これにより、消費者Caは、生産方法証明書を受け取った後、自社のイメージアップに使用したり、再生可能エネルギーの使用による国等の補助金申請に使ったりすることができる。」
【図1】「
[図:0001397224000001.jpg]
」
【図4】「
[図:0001397224000002.jpg]
」
【図8】「
[図:0001397224000003.jpg]
」
【図14】「
[図:0001397224000004.jpg]
」
【図20】「
[図:0001397224000005.jpg]
」
【図21】「
[図:0001397224000006.jpg]
」
以上の記載から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「取引システム1におけるアセットとしての電力を取り扱う方法であって、
電力の生産者Aa、電力の生産者Ab、電力の消費者Ca、仲介者Da、及び証明機関Eが存在し、
消費者Caは、生産者Aa,Abから提供された電力を消費する業者であり、
仲介者Daは、電力の所有権の取引の仲介を行う業者であり、
証明機関Eは、電力の生産方法の種類を証明するための国や地方公共団体等の公的機関であり、
仲介者Daは、証明機関Eに対して郵送などで申請書を送り、証明機関Eから生産方法証明書を受け取って、消費者Caに対して郵送などで生産方法証明書送る仲介作業を行い、生産方法証明書は、例えば、再生可能エネルギーの利用率が記載されており、
データ通信用ネットワークとしての取引システム1は、複数のスマートフォン2a,2b,2c、複数のスマートメータ3a,3b,3c、複数の発電装置4a,4b、仲介サーバ5、及びコンピュータ等のノード9a,9b,9c,9dによって構築されており、また、ノード9a,9b,9c,9dによって、ブロックチェーンネットワーク90が構築されており、
仲介サーバ5は、電力等のアセットの提供者とアセットの使用者との間でのアセット情報の移転等のアセットに関する取引の仲介を処理し、
仲介サーバ5は、送受信部51、決定部53及び作成部58を有しており、
また、仲介サーバ5は、記憶部5000を有しており、
取引内容管理テーブルは、消費者Ca等の使用者によって設定されたアセットの取引内容を管理するためのテーブルであり、記憶部5000には、取引内容管理テーブルによって構成されている取引内容管理DB5003が構築されており、この取引内容管理テーブルでは、取引内容情報が管理されており、具体的には、使用者ID、使用開始日、使用終了日、使用予定量、再生可能エネルギー利用率、提供者ID、提供者名、及び生産方法の種類が関連付けられて管理され、
使用予定量は、使用者が一定期間(又は一定時間)に使用する予定のアセット量であり、例えば、電力量(kWh)であり、再生可能エネルギー利用率は、消費者Ca等の使用者が使用する電力等のアセットのうち、太陽光等の再生可能エネルギーを利用して生産されたアセットの割合(%)を示す情報であり、
取引履歴管理テーブルは、消費者Ca等の使用者毎に、仲介サーバ5が生産者等の提供者から取得したアセットに関する取引の仲介を行った取引履歴を管理するためのテーブルであり、記憶部5000には、取引履歴管理テーブルによって構成されている取引履歴管理DB5004が構築されており、この取引履歴管理テーブルでは、取引履歴情報が管理されており、具体的には、仲介日時、取引量、生産方法の種類、及び各種生産方法による総取引量が関連付けられて管理され、
仲介サーバ5の送受信部51は、主に、ネットワークI/F509に対するCPU501の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、他の端末(例えば、スマートフォン2a,2c)との間で各種データ(または情報)の送受信を行い、
決定部53は、CPU501の処理によって実現され、使用者へ移転する(取引の仲介を行う)アセットの所有権等を示すアセット情報を決定し、例えば、決定部53は、取引履歴管理DB5004で管理されている「使用者によって所定種類の生産方法で生産されたアセットの取引履歴」、及び、取引内容管理DB5003で予め管理されている「再生可能エネルギーの利用率」に基づいて、消費者Ca等の使用者に取引の仲介を行う特定種類の生産方法によって生産されたアセットに係るアセット情報を決定し、具体的には、消費者Caが再生可能エネルギーの利用率を40(%)と設定していた場合、決定部53は、取引履歴管理DB5004の総取引量を参照して、利用率40(%)に近づくように、消費者Caに対して、再生可能エネルギーによって生産されたアセットに係るアセット情報の所有権者を、仲介サーバ5を管理する仲介者Daから消費者Caに変更することを決定し、
作成部58は、CPU501の処理によって実現され、トランザクション情報及びアセット情報に基づいて、仲介者が証明機関Eに提出するための申請書を作成し、
ノード9は、記憶部9000を有しており、トランザクション情報がチェーンのようにつながっており、また、トランザクション情報に基づいて生成されたアセット情報も記憶されており、
アセットの生産方法証明書の仲介処理において、
仲介サーバ5の送受信部51は、ブロックチェーンネットワーク90のノード9に対して、トランザクション情報及びアセット情報の要求を送信し、
仲介サーバ5の送受信部51は、トランザクション情報及びアセット情報を受信し、
仲介サーバ5では、作成部58は、受信されたトランザクション情報及びアセット情報に基づいて、仲介者が証明機関Eに提出するための申請書を作成し、
仲介者Daは、証明機関Eに対して郵送等で申請書を送り、そして、証明機関Eは、消費者Caが消費した電力の40%が太陽光等の再生可能エネルギーによって生産された旨を証明するアセットの生産方法証明書を作成して、仲介者Daに郵送等で送り、そして、仲介者Daは、消費者Caに対して郵送等で生産方法証明書を送り、証明機関Eは、必要であれば、生産方法証明書を発行する前に、ブロックチェーンネットワーク90からトランザクション情報及びアセット情報を取得して内容を確認する、
方法。」
第5 当審の判断
1 理由A(進歩性欠如)について
(1)対比
ア 本件発明と甲1発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)甲1発明の「仲介サーバ5」は、「電力等のアセットの提供者とアセットの使用者との間でのアセット情報の移転等のアセットに関する取引の仲介を処理」する等を実行するものであって、本件発明の「情報処理装置」に相当する。そして、上記処理等、「取引システム1におけるアセットとしての電力を取り扱う方法」における「仲介サーバ5」で行われる処理の部分は、具体的な処理の内容を除き、本件発明の「情報処理装置による情報処理方法」に相当する。
(イ)甲1発明の「仲介サーバ5」は、「送受信部51、決定部53及び作成部58を有し」、かつ「記憶部5000を有」するものである。
また、「決定部53」及び「作成部58」は、ともに「CPU501の処理によって実現され」るものであり、「送受信部51」は、「ネットワークI/F509に対するCPU501の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、他の端末(例えば、スマートフォン2a,2c)との間で各種データ(または情報)の送受信を行」うものである。
よって、甲1発明の「仲介サーバ5」は、「CPU501」と「ネットワークI/F509」と「記憶部5000」とを含み、「ネットワークI/F509」を介して「通信ネットワーク100」と通信可能に接続されているといえる。
そして、甲1発明の「決定部53」、「作成部58」は、それぞれ、「使用者へ移転する(取引の仲介を行う)アセットの所有権等を示すアセット情報を決定」する、「トランザクション情報及びアセット情報に基づいて、仲介者が証明機関Eに提出するための申請書を作成」する等の制御を行うものであるといえるから、それらが「実現」される甲1発明の「CPU501」は、本件発明の「制御部」に相当する。
また、甲1発明の「ネットワークI/F509」、「記憶部5000」、「通信ネットワーク100」は、それぞれ、本件発明の「通信部」、「記憶部」、「ネットワーク」に相当する。
以上の点について、上記(ア)(甲1発明の「仲介サーバ5」が本件発明の「情報処理装置」に相当すること)を踏まえると、甲1発明は、本件発明の
「前記情報処理装置は、制御部と通信部と記憶部とを含み、前記通信部を介してネットワークと通信可能に接続され」る
ことに相当する構成を含むものである。
(ウ)甲1発明の、「消費者Caが再生可能エネルギーの利用率を40(%)と設定していた場合、決定部53は、取引履歴管理DB5004の総取引量を参照して、利用率40(%)に近づくように、消費者Caに対して、再生可能エネルギーによって生産されたアセットに係るアセット情報の所有権者を、仲介サーバ5を管理する仲介者Daから消費者Caに変更することを決定」するとの処理における「再生可能エネルギーの利用率」は、「消費者Ca等の使用者が使用する電力等のアセットのうち、太陽光等の再生可能エネルギーを利用して生産されたアセットの割合(%)を示す情報」であり、また、「所有権者」の「変更」が購入によるものであることは明らかであるから、上記処理において「再生可能エネルギーの利用率」が「40(%)に近づくように」された「再生可能エネルギーによって生産されたアセットに係るアセット情報」が「仲介者Daから消費者Caに変更」されることは、「消費者Ca」が、発電プロセスが再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである電力を購入することに伴う処理であるといえる。
この点について、上記(イ)(「決定部53」が「実現」される甲1発明の「CPU501」が、本件発明の「制御部」に相当すること)を踏まえると、甲1発明の上記処理と、本件発明の
「前記制御部によって、
購入された電力の発電プロセスが再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合、前記電力のうち再生可能エネルギー由来の電力を特定すること」
とは、
「前記制御部によって、
購入された電力の発電プロセスが再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合の処理を行うこと」
である点で共通する。
なお、本件発明における「購入された電力」について「前記電力のうちの再生可能エネルギー由来の電力を特定する」との処理に関しては、甲第1号証には記載されておらず、甲第1号証の記載から自明であるともいえない。
(エ)甲1発明において、「消費者Caが消費した電力の40%が太陽光等の再生可能エネルギーによって生産された旨を証明するアセットの生産方法証明書」には、「消費者Caが消費した電力の40%が太陽光等の再生可能エネルギーによって生産された旨を証明する」情報が記載されていることが明らかであり、当該情報と、本件発明における「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報」とは、「再生可能エネルギー由来の電力に関する事項を証明する証明情報」である点で共通する。
また、甲1発明において、「証明機関Eは、消費者Caが消費した電力の40%が太陽光等の再生可能エネルギーによって生産された旨を証明するアセットの生産方法証明書を作成」することは、「仲介サーバ5では、作成部58は、受信されたトランザクション情報及びアセット情報に基づいて、仲介者が証明機関Eに提出するための申請書を作成」することに基づいて行われるから、「作成部58」は、「消費者Caが消費した電力の40%が太陽光等の再生可能エネルギーによって生産された旨を証明する」情報に関する処理を行うといえる。
以上の点について、上記(イ)(「作成部58」が「実現」される甲1発明の「CPU501」が、本件発明の「制御部」に相当すること)を踏まえると、甲1発明の上記処理と、本件発明の
「前記制御部によって」、
「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報を、電気炉で処理される廃棄物についてのマニフェスト情報に関連付けて前記記憶部に記憶すること」
とは、
「前記制御部によって」、
「再生可能エネルギー由来の電力に関する事項を証明する証明情報に関する処理を行うこと」
である点で共通する。
なお、甲1発明における「トランザクション情報及びアセット情報」は、それに基づいて「仲介者が証明機関Eに提出するための申請書を作成」することがなされるものの、それらの情報自体によって「消費者Caが消費した電力の40%が太陽光等の再生可能エネルギーによって生産された旨を証明する」ことが可能であることについて、甲第1号証には記載されておらず、自明であるともいえない。よって、甲1発明の「トランザクション情報及びアセット情報」を、本件発明における「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報」と対比すべきとはいえない。
イ 上記アから、本件発明と甲1発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、制御部と通信部と記憶部とを含み、前記通信部を介してネットワークと通信可能に接続され、
前記制御部によって、
購入された電力の発電プロセスが再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合の処理を行うことと、
再生可能エネルギー由来の電力に関する事項を証明する証明情報に関する処理を行うことと、
を含む、情報処理方法。」
(相違点1)
「購入された電力の発電プロセスが再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合」の処理として、本件発明は、「前記電力のうち再生可能エネルギー由来の電力を特定する」という処理を行うものであり、その具体的な内容が、「前記特定することは、前記電気炉の電力使用量実績から、廃棄物1トン当たりの電力使用量を算出することと、前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出することと、前記電力量に、前記マニフェスト情報に含まれる廃棄物数量の情報を掛けることで、前記廃棄物を処理するために使用された再生可能エネルギー由来の電力の量を算出することと、によって実行される」というものであるのに対して、甲1発明は、そのような処理を行うものではない点。
(相違点2)
「証明情報」の内容が、本件発明では、「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する」ものであるのに対して、甲1発明では、「消費者Caが消費した電力の40%が太陽光等の再生可能エネルギーによって生産された旨を証明する」ものである点。
(相違点3)
「証明情報」に関する処理が、本件発明では、「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報を、電気炉で処理される廃棄物についてのマニフェスト情報に関連付けて前記記憶部に記憶する」ことであるのに対して、甲1発明では、「トランザクション情報及びアセット情報に基づいて、仲介者が証明機関Eに提出するための申請書を作成」することである点。
(2)判断
事案に鑑みて、相違点3について先に検討する。
廃棄物の処理に用いる電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報を、廃棄物についてのマニフェスト情報に関連付けて、情報処理装置の記憶部に記憶するとの事項は、甲第2号証ないし甲第9号証のいずれにも記載されておらず、本件特許の出願前に周知であったとも認められない。
この点に関し、甲第4号証ないし甲第8号証には、それぞれ、廃棄物についてのマニフェスト情報に関する記載があり、当該情報自体は周知のものといえるが、上記事項が周知であるとまではいえない。
また、仮に、上記事項が周知であったとしても、甲1発明における「仲介サーバ5」は、「電力等のアセットの提供者とアセットの使用者との間でのアセット情報の移転等のアセットに関する取引の仲介を処理する」ものである一方、甲第1号証には、「アセット情報の移転」後に「使用者」が電力を廃棄物の処理に用いることについては記載も示唆もされていないから、甲1発明に当該周知事項を適用する動機付けがあるとは認められない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第9号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 理由B1(明確性及びサポート要件違反)について
請求項1に記載されている「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する証明情報」は、文言上、「特定された前記電力が再生可能エネルギー由来の電力であることを証明する」ことが可能な情報であって、また、請求項1に別途記載されている「購入された電力の発電プロセスが再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合、前記電力のうち再生可能エネルギー由来の電力を特定する」との記載によれば、「証明する」内容が、「再生可能エネルギー由来の電力」であることが「特定された」「電力」について、「再生可能エネルギー由来の電力である」ということであることが、その記載自体から理解できるといえる。
そして、このように理解することは、本件特許明細書の発明の詳細な説明における「電力需要者によって購入された電力の発電プロセスが、再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合、購入及び使用された電力のうち再生可能エネルギー由来の電力についてのみ特定することができる。そのような特定は、電力会社等によって公開される任意の証明情報(例えば二酸化炭素排出係数(残渣))を利用して行うことができる。」(段落【0057】)との記載と整合するものである。
よって、請求項1の上記記載は明確であり、また、当該記載について発明の詳細な説明に記載されているから、当該記載に基づいて特許請求の範囲の記載が明確性及びサポート要件に違反するということはできない。
なお、申立人Bが理由B1の根拠として主張する段落【0060】の記載は、上記理解と何ら矛盾するものではないから、本件発明の明確性等とは無関係である。
3 理由B2(明確性及びサポート要件違反)について
請求項1に記載されている「マニフェスト情報」について、請求項1には、当該情報が「廃棄物について」のものであることを除き、その意味内容を特定する記載はないものの、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。
「【0032】
処理される廃棄物は、図2に例示されるマニフェストMによって管理される。マニフェストMは、産業廃棄物の処理委託の際に必要な伝票であり、産業廃棄物管理票とも称される。マニフェストMは、D票又はE票のいずれであってもよい。
【0033】
廃棄物は、マニフェストMに対応付けられる。図2に示されるように、マニフェストMには例えば次のマニフェスト情報21乃至25と証明情報26とが含まれ、マニフェスト情報と証明情報とが関連付けられる。
・交付番号21(唯一無二のシリアルナンバー)
・廃棄物の種類22
・廃棄物の数量23
・廃棄物の名称24
・廃棄物の処分方法25
・証明情報26(ここでは一例としてグリーン電力証書のシリアルナンバー)」
そして、請求項1に記載されている「マニフェスト情報」は、本件特許明細書の上記記載を参酌して、例えば、交付番号、廃棄物の種類、廃棄物の数量、廃棄物の名称、廃棄物の処分方法からなる情報であることが理解できる。
よって、請求項1の上記記載は明確であり、また、当該記載について発明の詳細な説明に記載されているから、当該記載に基づいて特許請求の範囲の記載が明確性及びサポート要件に違反するということはできない。
なお、申立人Bが理由B2の根拠として主張する段落【0060】、【0067】の記載は、上記理解と何ら矛盾するものではないから、本件発明の明確性等とは無関係である。
4 理由B3(明確性及びサポート要件違反)について
請求項1に記載されている「再生可能エネルギー比率」について、請求項1には、その意味内容を特定する記載はないものの、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。
「【0060】
発電プロセスが、再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合、購入及び使用された電力のうち再生可能エネルギー電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを実現するには、まず、対象となる電気炉EFの1ヒート分に相当する工場電力使用量が操業実績から、算出される。算出は、制御部11(例えばプロセスコンピュータ)によって行われてよいし、手動で行われてよい(以下同じ)。1ヒートとは、電気炉EFにおいて1回に溶解される溶鋼である。次いで、1ヒートに使用される電力量に、電力会社等によって公開される再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量が算出される。」
そして、上記記載から、「1ヒートに使用される電力量」、すなわち「発電プロセスが、再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスである場合」の「対象となる電気炉EFの1ヒート分に相当する工場電力使用量」が、「再生可能エネルギー」と「再生可能エネルギー以外のエネルギー」との合計であることから、これに「再生可能エネルギー比率を掛けることで」、「再生可能エネルギー由来の電力量が算出される」ことが、当業者であれば当然に理解でき、このことからさらに、「再生可能エネルギー比率」の定義が、「再生可能エネルギー」と「再生可能以外のエネルギー」との合計のうちの「再生可能エネルギー」の割合であることも、当然に理解できる。
よって、請求項1の上記記載は明確であり、また、当該記載について発明の詳細な説明に実質的に記載されているから、当該記載に基づいて特許請求の範囲の記載が明確性及びサポート要件に違反するということはできない。
なお、申立人Bが理由B2の根拠として主張する段落【0060】及び段落【0061】の記載は、前者については上記のとおりである。また、後者については上記理解と何ら矛盾するものではないから、本件発明の明確性等とは無関係である。
5 理由B4(サポート要件違反)について
請求項1に記載されている「前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出することと、前記電力量に、前記マニフェスト情報に含まれる廃棄物数量の情報を掛けることで、前記廃棄物を処理するために使用された再生可能エネルギー由来の電力の量を算出すること」について、発明の詳細な説明の段落【0060】には、上記4で摘記した記載(以下、「記載1」という。)及びこれに続く次の記載(以下、「記載2」という。)がある。
「そして、対象となるマニフェストMに記載された廃棄物が処理された電気炉EFでの工場電力使用量実績から、廃棄物1トン当たりの電力使用量が算出される。次いで、廃棄物1トン当たりの電力使用量に、対象となるマニフェストMに記載された廃棄物数量を掛けることで、対象となる廃棄物を処理するために使用された実績電力使用量が算出される。この実績電力使用量の電力を再生可能エネルギー電力とみなすことで、電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを実現及び証明することができる。」
これに対し、請求項1に記載されている上記記載は、「前記廃棄物1トン当たりの電力使用量」に対して「再生可能エネルギー比率」の乗算及び「前記マニフェスト情報に含まれる廃棄物数量の情報」の乗算を行う計算工程を含むものであるが、記載2は、そのような計算工程とは異なるものである。
しかしながら、記載2が上記計算工程の誤記であることは、以下の理由により自明である。
記載2の「対象となるマニフェストMに記載された廃棄物が処理された電気炉EFでの工場電力使用量実績」から「算出」される「廃棄物1トン当たりの電力使用量」、及び、当該電力量に「対象となるマニフェストMに記載された廃棄物数量を掛けることで」「算出される」、「対象となる廃棄物を処理するために使用された実績電力使用量」が、いずれも、再生可能エネルギーと再生可能エネルギー以外のエネルギーとを複合的に利用したプロセスの電力使用量であることは、記載1から直ちに理解できる。
そして、「廃棄物1トン当たりの電力使用量」から、「この実績電力使用量の電力を再生可能エネルギー電力とみなすこと」が可能な、「対象となる廃棄物を処理するために使用された実績電力使用量」に含まれる「再生可能エネルギー由来の電力量」を「算出する」ためには、「廃棄物1トン当たりの電力使用量」に「対象となるマニフェストMに記載された廃棄物数量掛けること」のみならず、上記4のように定義される「再生可能エネルギー比率」を「掛けること」が必要であることが、当業者であれば当然に理解できる。
よって、本来必要な「再生可能エネルギー比率を掛けること」についての記載を欠く記載2は上記計算工程の誤記であることが自明であって、請求項1の上記記載については、記載2において実質的に記載されているから、当該記載に基づいて特許請求の範囲の記載がサポート要件に違反するということはできない。
6 理由B5(補正要件違反)について
記載1及び記載2は、いずれも当初明細書に記載されており、また、上記5で検討したところによれば、本件補正により本件発明に含まれることとなった、「前記特定することは、前記電気炉の電力使用量実績から、廃棄物1トン当たりの電力使用量を算出することと、前記廃棄物1トン当たりの電力使用量に、再生可能エネルギー比率を掛けることで、再生可能エネルギー由来の電力量を算出することと、前記電力量に、前記マニフェスト情報に含まれる廃棄物数量の情報を掛けることで、前記廃棄物を処理するために使用された再生可能エネルギー由来の電力の量を算出することと、によって実行される」ことは、当初明細書等の記載から自明であるから、本件補正は、新たな技術的事項を導入するものではない。
7 理由B6(実施可能要件違反)について
本件発明の「前記電気炉の電力使用量実績から、廃棄物1トン当たりの電力使用量を算出すること」の事項については、記載2において、「対象となるマニフェストMに記載された廃棄物が処理された電気炉EFでの工場電力使用量実績から、廃棄物1トン当たりの電力使用量が算出される。」と記載されている。そして、当該記載が、「工場電力使用量実績」が、必ずしも1トンの廃棄物を処理した際に使用された電力量ではなく、所定量の廃棄物を処理した際に使用された電力量であることから、当該「工場電力使用量実績」の電力量を廃棄物1トン当たりに換算する(総トン数で割り算する)ことを意味することは、当業者であれば当然に理解できる。
よって、本件発明の上記事項についての発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件に違反するということはできない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701279