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特許異議申立

2023-700113

フィルムヒータ

審判番号
2023-700113
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-057764
登録番号
7121514
請求日
2023年02月02日
審決日
2024年06月07日
公報発行日
2024年09月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社トッパンインフォメディア
  • 【権利者代理人】田中 伸一郎
  • 【権利者代理人】▲吉▼田 和彦
  • 【権利者代理人】須田 洋之
  • 【権利者代理人】大塚 文昭
  • 【権利者代理人】上杉 浩
  • 【権利者代理人】近藤 直樹
  • 【権利者代理人】那須 威夫
  • 【異議申立人】坂本 雅美
審判長/審判官
  • 審判長 水野 治彦
  • 審判官 槙原 進
  • 審判官 鈴木 充
分類
P1651.121-YAA(H05B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7121514号発明「フィルムヒータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7121514号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 特許第7121514号の請求項1~3、5及び6に係る特許を維持する。 特許第7121514号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7121514号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成30年3月26日に出願され、令和4年8月9日にその特許権の設定登録がされ、令和4年8月18日に特許掲載公報が発行された。 その後、特許異議申立人坂本 雅美(以下「申立人」という。)により本件特許の請求項1~6に係る特許についての特許異議の申立てがされたものであり、その主な経緯は次のとおりである。 令和5年2月2日 : 申立人による特許異議の申立て 令和5年5月8日付け : 取消理由通知書 令和5年7月10日 : 特許権者による意見書の提出 令和5年8月25日付け: 取消理由通知(決定の予告) 令和5年10月30日 : 特許権者による意見書の提出及び訂正請求書の提出 令和6年2月13日 : 手続補正書(訂正請求書について) 令和6年3月26日 : 申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年2月13日の手続補正により補正された令和5年10月30日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正すること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものであって、その訂正の内容は、以下の訂正事項1~4のとおりである。なお、下線は当審において付したものである(以下同様。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成されている」とあるのを、「前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成され、前記接続端子部上に、さらに金属板が設けられた」と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~3及び5~6も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5の記載を、訂正前の請求項4を削除したことに伴い、訂正前の請求項4の記載を引用しないものとなるよう訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6の記載を、訂正前の請求項4を削除したことに伴い、訂正前の請求項4の記載を引用しないものとなるよう訂正する。 2 訂正の目的、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「接続端子部」に関し、「前記接続端子部上に、さらに金属板が設けられた」という事項(以下、「特定事項A」という。)を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1で付加された特定事項Aに関し、特許明細書等の明細書には、以下の記載がある。 ・「【0009】 本発明では、前記導電性パターンは、連続した一本の導電線で形成されているとよい。 また。本発明では、前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターン、例えば、前記導電線が複数箇所で折れ曲がって蛇行するメアンダ形状で構成されているとよい。 本発明では、前記支持シートの前記一方の面側に、前記導電性パターンを覆うように、前記支持シートとは別の透明な熱可塑性樹脂シートからなる外装シートが設けられ、該外装シートには、前記接続端子部の少なくとも一部を外部に露出させる貫通孔が設けられているとよい。 本発明では、前記接続端子部上に、さらに金属板を設けることができる。 本発明では、前記導電性パターンを構成する導電線が、前記接続端子部を除いて、自己融着性の絶縁被膜により被覆されているとよい。 本発明では、前記支持シートの凹凸を有する他方の面に粘着層を設けることができる。」 ・「【0020】 また、必要により、接続端子部上に外部電極との接続効率を上げるためにさらに金属板からなる導電片を設けることができる。金属板としては、例えば銅、銅合金、鉄、鉄とニッケル合金等を用いることができる。 導電線が絶縁被膜で被覆されている場合は、接続端子部の導電線を被覆する絶縁被膜を除去し、内部の金属線を露出させる。露出させる方法としては、ミーリング装置等による切削で可能であるが、金属板や外部電極と半田接続するときの熱で絶縁被膜を溶融除去することもできる。」 特定事項Aは、これらの記載事項に基づくものであるから、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、訂正前の請求項1に対して、特定事項Aを直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項4を削除するというものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項4を削除するというものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項4を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項5の記載が請求項1~4のいずれか1項を引用する記載であったものを、請求項4の削除に伴い請求項1~3のいずれか1項を引用するものとすることで、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項6の記載が請求項1~5のいずれか1項を引用する記載であったものを、請求項4の削除に伴い請求項1~3及び5のいずれか1項を引用するものとすることで、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 なお、訂正前の請求項1~6の全請求項について特許異議の申立てがされているので、訂正後の請求項1~6に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項1~6について、請求項2~6はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1~6〕についてされたものである。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、結論のとおり、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~6に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に導電線からなる導電性パターンが設けられ、該支持シートの他方の面は凹凸を有し、前記導電性パターンが、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し、前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成され、前記接続端子部上に、さらに金属板が設けられたフィルムヒータ。 【請求項2】 前記導電性パターンは、連続した一本の導電線で形成されている請求項1に記載のフィルムヒータ。 【請求項3】 前記支持シートの前記一方の面側に、前記導電性パターンを覆うように、前記支持シートとは別の透明な熱可塑性樹脂シートからなる外装シートが設けられ、該外装シートには、前記接続端子部の少なくとも一部を外部に露出させる貫通孔が設けられた請求項1又は2に記載のフィルムヒータ。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 前記導電性パターンを構成する導電線が、前記接続端子部を除いて、自己融着性の絶縁被膜により被覆されてなる請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルムヒータ。 【請求項6】 前記支持シートの前記他方の面に粘着層が設けられた請求項1~3及び5のいずれか1項に記載のフィルムヒータ。」 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 当審が令和5年8月25日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性) 本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 記 引用文献 1 特開2017-4918号公報(甲第1号証であって、以下「甲1」という。) 2 特開2006-32137号公報(甲第2号証であって、以下「甲2」という。) 3 特開2002-342729号公報(甲第4号証であって、以下「甲4」という。) 4 特開2016-51330号公報(甲第5号証であって、以下「甲5」という。) 5 特開2012-93952号公報(甲第6号証であって、以下「甲6」という。) 6 特開昭58-169991号公報(甲第9号証であって、以下「甲9」という。) 7 特開平5-265022号公報(甲第10号証であって、以下「甲10」という。) 8 特開2014-102582号公報(甲第11号証であって、以下「甲11」という。) 9 特開2008-258129号公報(甲第13号証であって、以下「甲13」という。) 10 実公昭49-25234号公報(甲第14号証であって、以下「甲14」という。) 11 実願昭47-85103号(実開昭49-41628号)のマイクロフィルム(甲第15号証であって、以下「甲15」という。) 12 実公昭62-40393号公報(甲第16号証であって、以下「甲16」という。) 第5 引用文献の記載 1 甲1について (1) 甲1の記載 甲1には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0001】 本発明は、信号灯に氷または雪が付着した際にこれらを融かし、視認性を確保することができる面状ヒータ及びそれを用いた氷雪付着防止方法に関する。」 「【0007】 本発明の面状ヒータは、所定のパターンに形成された金属線抵抗体を備える円形シート状の可撓性透明基材に、中心角が90度以下である扇形の切欠部を設けた構成なので、扇形の切欠部の直線部を互いに接触または近接させ、可撓性透明基材を円形シートから円錐シートの形状に変形させて使用することが可能である。また、本発明の前記と別の形態の面状ヒータは、所定のパターンに形成された金属線抵抗体を備える円形シート状の可撓性透明基材の外周の外側に突出部を設けた構成、すなわち電極への接続部を除き外周部分を削除して可撓性透明基材の径を小さくした構成である。その結果、本発明の面状ヒータは、加熱対象の信号灯の表示窓がドーム形(半球、球の一部、これらに類似する形状等)であっても、面状ヒータを従来のものより該表示窓に密着させて貼り付けることが可能となり、効率よく表示窓の氷雪付着を防止することができる。」 「【0010】 図1に示すように、本発明の第1形態の信号灯用の面状ヒータ1は、所定のパターンに形成された金属線抵抗体4を、中心角が90度以下である扇形の切欠部5を有する円形シート状の可撓性透明基材7の表面または内部に備えてなる面状ヒータである。 図2に示すように、本発明の第2形態の信号灯用の面状ヒータ2は、所定のパターンに形成された金属線抵抗体4を、外周の外側に突出部6を有する円形シート状の可撓性透明基材7の表面または内部に備えてなる面状ヒータである。 図3に示すように、本発明の第3形態の信号灯用の面状ヒータ3は、所定のパターンに形成された金属線抵抗体4を、中心角が90度以下である扇形の切欠部5と外周の外側に突出部6を有する円形シート状の可撓性透明基材7の表面または内部に備えてなる面状ヒータである。」 「【0014】 本発明の第2形態の信号灯用の面状ヒータ2も、図6に示すように、信号灯の表示窓12が信号の発光方向に向かって突き出したドーム形の形状となっている場合に、表示窓12の表面に貼り付けて、氷または雪の付着を防止することに適した面状ヒータである。すなわち、面状ヒータ2は、可撓性透明基材7の円形部の径が小さいので、円形部の径が大きい場合よりも信号灯の表示窓12に密着させることが可能となり、効率よく信号灯の表示窓12に氷または雪が付着することを、抑制または防止することができる。面状ヒータ2において、可撓性透明基材7の円形部は、通常は真円形またはこれに近い円形であり、その径(長径)は、通常は信号灯の表示窓12の径の40~90%である。面状ヒータ2は、面状ヒータ1と同じ電力で使用する場合、信号灯の表示窓12の中央部を面状ヒータ1より効率よく加熱することができる。 【0015】 面状ヒータ2において、可撓性透明基材7の円形部の外周の外側に設けられる突出部6は、円形部の金属線抵抗体4と電極10と接続するための配線を支持する効果がある。また、前記配線自体を金属線抵抗体、さらに蛇行状の金属線抵抗体とし、図8に示すように、突出部6を下側となるような形態で使用すると、氷雪が溜りやすい信号灯の表示窓12の下部を加熱できる効果がある。従って突出部6の形状は、これらの効果が発揮できる形状であれば特に制限されることはないが、通常は、四角形、台形、またはこれらに類似する形状である。突出部6の図8における鉛直方向の長さ(高さ)は、通常は信号灯の表示窓12の径の5~30%(円形部の径の5.6~75%)である。面状ヒータ2は、図8に示すように、通常は可撓性透明基材7の円形部の中心が信号灯の表示窓12の中心と一致するように配置して使用される。」 「【0019】 本発明の信号灯用の面状ヒータに用いられる金属線抵抗体4としては、銅ニッケル線、ニクロム線、ステンレス線等が挙げられる。金属線抵抗体4の形状は、断線及び劣化等の不具合が生じることなく、信号の視認性を妨げない範囲で任意に設定することができるが、通常は直径0.03~1mmの円形断面を有する金属線、好ましくは直径0.05~0.5mmの円形断面を有する金属線である。金属線抵抗体4は、通常は図1~図3に示すように蛇行状に配置されるが、本発明においてはこのような配置パターンに限定されることはない。しかし、蛇行状の配置により直線部が短くなり、金属線が高温になった際に金属線の熱膨張による断線を防止できる点で、蛇行状の配置にすることが好ましい。 【0020】 本発明においては、金属線抵抗体4の間隔に粗密をつけることで、着雪等の度合いに応じて温度分布を最適化することもできる。また、可撓性透明基材7の表面に刻まれた溝の中に金属線抵抗体4を埋設してもよく、また可撓性透明基材の成形段階で可撓性透明基材7の中に埋設してもよい。しかし、信号灯の表示窓12に付着した氷または雪を効率よく融かすため、図4(1)(3)に示すように、可撓性透明基材7の表面に埋設して、金属線抵抗体4が信号灯の表示窓12に近接して取付けできるようにすることが好ましい。電極10は、可撓性透明基材7に埋設された金属線抵抗体4と、可撓性透明基材7の外部に存在するリード線11とを接続するためにあり、リード線11からの電流が電極10を介して金属線抵抗体4に通電されることにより、面状ヒータが発熱する構成となっている。 【0021】 また、本発明の信号灯用の面状ヒータに用いられる可撓性透明基材7としては、金属線抵抗体4の発する熱に耐えるだけの耐熱性を有し、電気絶縁性を有し、表示面の視認性を妨げない程度に透明であり、屋外での使用に耐えるだけの耐候性を有する材料を用いることができる。このような材料としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。可撓性透明基材7は単一の材料から構成されてもよいが、加工の容易さと耐候性の確保のために、アクリル樹脂層及びポリカーボネート樹脂層の積層構造であることが好ましい。例えば、図4(1)(2)において、可撓性透明基材7はアクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる2層構造であり、金属線抵抗体4がアクリル樹脂に埋設された構造とすることができる。可撓性透明基材7の厚みは、通常は0.1~2mm、好ましくは0.2~1.5mmである。」 「【0028】 (面状ヒータ2の製作) 正面の構成が図2、断面が図4(3)に示すような面状ヒータ2を製作した。可撓性透明基材は、アクリル樹脂層(厚さ0.5mm)及びポリカーボネート樹脂層(厚さ0.45mm)の2層構造からなり、外周の外側に突出部(一辺が60mmの正方形)を有する直径190mmの円形からなるものであった。アクリル樹脂層側の表面に蛇行状の溝を彫り、この溝に沿って断面直径0.08mmの発熱線体抗体を埋設した。金属線抵抗体は、信号灯の窓に近接して取付けできるように埋設された。また、発熱線抵抗体の両端には、直径5mmの銅製の電極を介してリード線を接続した。発熱部は、扇形の切欠部を除き、可撓性透明基材と同心円状の直径190mmの円形とした。発熱線抵抗体は、ニクロム線からなり、100V仕様で消費電力は11Wであった。」 「【0031】 (面状ヒータの球面への接着) 信号灯の表示窓として、曲率半径470mmの球面を有する透明プラスチック(球面の径310mm、厚さ0.5mm)の裏側表面に、前述の面状ヒータを密着することを試みた。その結果、面状ヒータ1及び面状ヒータ3は、透明プラスチックに容易に密着させることができた。また、面状ヒータ2は、可撓性透明基材を湾曲させることにより、透明プラスチックに密着させることができた。しかし、比較例用の面状ヒータは、透明プラスチックに密着させることが困難であった。」 「 [図:0001414150000001.jpg] 」 「 [図:0001414150000002.jpg] 」 (2)上記(1)から認められること ア 上記(1)の段落【0007】の「また、本発明の前記と別の形態の面状ヒータは、所定のパターンに形成された金属線抵抗体を備える円形シート状の可撓性透明基材の外周の外側に突出部を設けた構成、すなわち電極への接続部を除き外周部分を削除して可撓性透明基材の径を小さくした構成である。」との記載事項、段落【0015】の「面状ヒータ2において、可撓性透明基材7の円形部の外周の外側に設けられる突出部6は、円形部の金属線抵抗体4と電極10と接続するための配線を支持する効果がある。」との記載事項、段落【0019】の「本発明の信号灯用の面状ヒータに用いられる金属線抵抗体4としては、銅ニッケル線、ニクロム線、ステンレス線等が挙げられる。」との記載事項、段落【0020】の「可撓性透明基材7の表面に刻まれた溝の中に金属線抵抗体4を埋設してもよく」との記載事項と「図4(1)(3)に示すように、可撓性透明基材7の表面に埋設して、金属線抵抗体4が信号灯の表示窓12に近接して取付けできるようにすることが好ましい。」との記載事項並びに図2の図示事項及び図4の(1)と(3)の図示事項から、面状ヒータ2において、円形部の外周の外側に突出部6を有する円形シート状の可撓性透明基材7の一方の表面に、銅ニッケル線、ニクロム線、ステンレス線等の金属線からなる所定のパターンに形成された円形部の金属線抵抗体4、及び、突出部6に支持された、円形部の金属線抵抗体4と電極10とを接続するための配線が設けられていることが認められる。 イ 上記(1)の段落【0015】の「面状ヒータ2において、可撓性透明基材7の円形部の外周の外側に設けられる突出部6は、円形部の金属線抵抗体4と電極10と接続するための配線を支持する効果がある。」との記載事項、段落【0020】の「電極10は、可撓性透明基材7に埋設された金属線抵抗体4と、可撓性透明基材7の外部に存在するリード線11とを接続するためにあり、リード線11からの電流が電極10を介して金属線抵抗体4に通電されることにより、面状ヒータが発熱する構成となっている。」との記載事項及び図2の図示事項を上記アと合わせみると、金属線抵抗体4と電極10とを接続するための配線と、電極10との間で通電することから、面状ヒータ2において、金属線抵抗体4と電極10とを接続するための配線と、電極10とが、互いに通電可能に接続する接続部を備えていることが認められる。 ウ 上記(1)の段落【0015】の「面状ヒータ2において、可撓性透明基材7の円形部の外周の外側に設けられる突出部6は、円形部の金属線抵抗体4と電極10と接続するための配線を支持する効果がある。」との記載事項、段落【0020】の「電極10は、可撓性透明基材7に埋設された金属線抵抗体4と、可撓性透明基材7の外部に存在するリード線11とを接続するためにあり、リード線11からの電流が電極10を介して金属線抵抗体4に通電されることにより、面状ヒータが発熱する構成となっている。」との記載事項及び図2の図示事項を上記アと合わせみると、面状ヒータ2において、円形部の金属線抵抗体4と、前記円形部の金属線抵抗体4と電極10を接続するための配線とは、一本の金属線からなる連続した線状パターンとして設けられていることが認められる。 エ 上記(1)の段落【0021】の「例えば、図4(1)(2)において、可撓性透明基材7はアクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる2層構造であり、金属線抵抗体4がアクリル樹脂に埋設された構造とすることができる。」との記載事項及び図4の図示事項から、面状ヒータ2において、可撓性透明基材7の金属線抵抗体4が設けられた面に、金属線抵抗体4を覆うように、別の可撓性透明基材7が設けられることが認められる。 (3)甲1発明1 上記(1)及び(2)を総合すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されていると認める。 「透明なポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等から構成された、円形部の外周の外側に突出部6を有する円形シート状の可撓性透明基材7の一方の表面に、銅ニッケル線、ニクロム線、ステンレス線等の金属線からなる所定のパターンに形成された円形部の金属線抵抗体4、及び、前記突出部6に支持された、前記円形部の金属線抵抗体4と電極10とを接続するための配線が設けられ、前記配線と前記電極10とが互いに通電可能に接続する接続部を備えている面状ヒータ2。」 2 甲2について (1)甲2の記載 甲2には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0001】 本発明は新規な車輌用灯具及び車輌用灯具の製造方法に関する。詳しくは、融雪や防曇のためにレンズにヒータが一体的に設けられた車輌用灯具において、ヒータ一体型レンズの成形性を向上させ、且つ、ヒータの見栄え及び性能を良好に保つ技術に関する。」 「【0013】 従って、本発明にあっては、導電発熱体は2枚の樹脂シートによって挟持されているので、レンズの材料樹脂の流動圧力を直接受けることがない。そのため、レンズの材料樹脂の射出時に、導電発熱体が変形したり断線したりすることが無く、また、導電発熱体は金型面に直接接触することがないため、金型を傷つけたり、また、ランプに装着した場合でも、導電発熱体が外気に触れて酸化することもない。そのため、導電発熱体は薄膜ヒータとして形成されたままのパターンを保ち、また、抵抗値が変わることも見栄えが悪くなることもなく、よって、薄膜ヒータの見栄え及び性能が良好に保たれる。」 「【0017】 自動車用前照灯10は、前方に向かって開口した凹部21を有するランプボディ20の前面開口がレンズ30によって覆われ、ランプボディ20とレンズ30とによって画成された灯室22内に図示しない支持機構によって傾動可能に配置されたリフレクタ23に光源24が取り付けられて成る。光源24としては冷光光源、例えば、メタルハライド(HID)ランプ、発光ダイオード(LED)等が使用されるが、白熱バルブ、例えば、ハロゲンバルブ等を使用しても構わない。 【0018】 上記レンズ30の内面には薄膜ヒータ40が一体に形成されている。薄膜ヒータ40は導電発熱体41を2枚の樹脂シート42、43の間に挟持して成るものである。樹脂シート42、43は70℃程度の耐熱温度があり、透明な樹脂シートであれば良く、例えば、PC(ポリカーボネート)、アクリル樹脂のシートが好適である。導電発熱体41としては、通電により発熱する線材であれば良く、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニッケルクロム(80Ni-Cr20等)、銅線、エナメル線等が使用され、線径は0.02mm~0.08mmのものが好ましい。この程度の線径の導電発熱体41であれば、自動車用前照灯10の使用状態において視認されることがなく、導電発熱体41の存在が自動車用前照灯10の機能を損なうことがない。 【0019】 上記薄膜ヒータ40の一端部には導電端部44、44(図2では一方のもののみ示す)が露出されている。導電端部44、44はその一端部44a、44aが上記導電発熱体41の両端部に各別にに接続され、他端部44b、44bが樹脂シート43の外側に露出されている。 【0020】 薄膜ヒータ40の上記導電端部44、44には端子ピン45、45(図2には一方のもののみ示す)の基端部が半田付け等により接続され、該端子ピン45、45に給電コード46、46を介して電源に接続されたコネクタ47が接続され、該コネクタ47を介して導電発熱体41に電力が供給されるようになっている。なお、コネクタ47を使用せずに、給電コード46、46を半田付け等により直接端子ピン45、45に接続するようにしても良い。」 「【0026】 まず、ベースとなる樹脂シート42を用意し、該樹脂シート42の上に粘着層42aを形成し、該粘着層42aの上に導電発熱体41を所定のパターンに布線する(図6参照)。なお、導電発熱体41の布線は、例えば、図6に示すような布線装置50を使用して行う。布線装置50は、X-Yテーブル51上に支持された布線ヘッド52に線材供給部53によって導電発熱体41が連続的に供給され、該導電発熱体41が布線ヘッド52の先端52aから所望の供給量で送出されるように為されたものであり、X-Yテーブル51のX方向可動部51aとY方向可動部51bとが各別に所望の方向に移動されることによって、布線ヘッド52の先端52aが所望のパターンを描くように移動され、これと同時に布線ヘッド52の先端52aから導電発熱体41が送出されることによって、導電発熱体41が所望のパターンを描くように布線される。 【0027】 導電発熱体41の布線が終了したら、導電性金属箔、例えば、銅箔44、44の一端部44a、44aを導電発熱体41の両端に接触させ、さらに、銅箔44、44の残りの部分を樹脂シート42の端部から外側に折り返し、その状態で、もう一枚の樹脂シート43を導電発熱体41を樹脂シート42との間に挟むようにして樹脂シート42に張り合わせる(図7参照)。これによって、銅箔44、44は上記した導電端部となる。」 「【図1】 [図:0001414150000003.jpg] 」 「【図2】 [図:0001414150000004.jpg] 」 「【図6】 [図:0001414150000005.jpg] 」 「【図7】 [図:0001414150000006.jpg] 」 (2)甲2技術 上記(1)によれば、甲2には、次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認める。 「ベースとなる樹脂シート42の上に導電発熱体41を所定のパターンに布線した薄膜ヒータ40において、通電発熱体41の端部上に、さらに銅箔44を設けること。」 3 甲4について (1)甲4の記載 甲4には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0004】図8ないし図10は、ハイブリッド型のICカードの従来の製造方法を順に示す模式図である。各々の図の上段の部分(a)は平面図、下段の部分(b)は上段の図の一点鎖線の部分における断面図である。図8に示される通り、基材101上には樹脂層102が形成されており、この樹脂層102に線材104が加熱溶融等によって埋め込まれている。線材104は樹脂層102上を、その縁に沿って周回するように何重かに巻かれており、これによってアンテナコイルが形成される。そして、線材104の始点および終点の付近の部分は、図示される通りジグザグ状に形成されている。このようにジグザグ状に折り曲げられることによって、図9に示されるように取り付けられたICモジュール106の内部電極端子との接触面積が増加する。詳細には、ICモジュール106は、線材104のジグザグ部分の絶縁被膜が剥がされた後に、この部分へと半田ペースト等によって電気的導通を取りつつ内部電極端子が固定されたものである。 【0005】以上の工程に引き続き、アンテナコイル等が形成されたICカードの表面を保護するために、樹脂層105が形成される。樹脂層105は、ICモジュール106の外部電極端子を露出させるように形成される。」 「【図9】 [図:0001414150000007.jpg] 」 「【図10】 [図:0001414150000008.jpg] 」 (2)甲4に記載された事項 上記(1)の段落【0004】の記載事項並びに図9及び10の図示事項によれば、甲4には、次の事項(以下、「甲4に記載された事項」という。)が記載されていると認める。 「ハイブリッド型のICカードの基材101上に形成された樹脂層102に埋め込まれ、樹脂層102上をその縁に沿って周回するように何重かに巻かれることによりアンテナコイルを形成する線材104において、始点及び終点の付近の部分を、線材104がジクザグ状に折り曲げられた構成とすること。」 4 甲5について (1)甲5の記載 甲5には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0037】 図4に示すように、アンテナコイル13は、第2のカード基材12の周縁部に沿って配置されたアンテナ部13aと第2のカード基材12のICモジュール搭載領域にメアンダ状に金属線が複数回折り曲げて形成された接続端子部13bを有する。」 「【0042】 図1に示すように、第1のカード基材11及び第2のカード基材12には、それぞれ所望のデザインを印刷した印刷シート21、22と、印刷シート21、22を覆うカバーシート31、32が順に積層されている。カバーシート31、印刷シート21、第1のカード基材11の第1主面1a及び第2主面1bを貫通する収納穴15が切削加工によって設けられており、この収納穴15にICモジュール50が収納され、導電性樹脂16を介してICモジュール50がアンテナコイル13に電気的に接続されることによって、接触・非接触共用型ICカード10Aが得られる。」 「【0063】 (実施例1) 第2のカード基材として熱融着性基材(三菱樹脂製ディアフィクス(登録商標)、PG-WHI-FG、厚み0.15mm、軟化点温度78℃)を準備し、金属線(エレクトリゾーラ社製、自己融着皮膜銅線AB15φ0.10mm)を超音波ヘッドにて基材表面へ埋め込みながらアンテナコイルを形成した。その後、第1のカード基材として熱融着性基材(三菱樹脂製ディアフィクス(登録商標)、PG-WET、耐熱グレード、厚み0.15mm、軟化点温度125℃)を第2のカード基材のアンテナコイル形成面に積層し、仮止めして、プレラミネート温度130℃として、プレラミネートを実施した。プレラミネートでは、60N/cm2で加圧しながら第1及び第2のカード基材をまず100℃に昇温して10分程度保持した後、プレラミネート温度である130℃に昇温して5分間保持し、その後加圧しながら室温まで冷却した。更に、プレラミネートしたコアシートの表裏にデザイン印刷シート(三菱樹脂製ディアフィクス(登録商標)PG-WHI-FG、厚み0.20mm)を配置し、その外層にカバーシート(三菱樹脂製ディアフィクス(登録商標)、PG-CHI-FG、厚み0.05mm)を配置してラミネート温度130℃、60N/cm2で最終ラミネートして積層体を形成した。得られた積層体をカード形状に個片化し、複数のカード形状媒体を得た。このカード形状媒体の表面を切削加工により切削して収納穴を形成するとともに、アンテナコイルの接続端子部の露出を行った。アンテナコイルの接続端子部の露出は、切削深さを0.45mmに設定して加工した。ICモジュールを収納穴へ配置して電気的接続を行うことにより、接触・非接触共用型ICカードを作製した。」 「【図1】 [図:0001414150000009.jpg] 」 「【図4】 [図:0001414150000010.jpg] 」 (2)甲5に記載された事項 上記(1)の段落【0037】及び【0042】の記載事項並びに図4の図示事項によれば、甲5には、次の事項(以下、「甲5に記載された事項」という。)が記載されていると認める。 「接触・非接触共用型ICカード10Aの第2のカード基材12の周縁部に沿って配置されたアンテナ部13aを有するアンテナコイル13において、接続端子部13bを、金属線が複数回折り曲げられた構成とすること。」 5 甲6について (1)甲6の記載 甲6には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0020】 アンテナ20は、非接触通信時において、ICチップ11が外部のリーダライタ(外部機器)と通信を行なうためのアンテナである。アンテナ20は、リーダライタにICカード1をかざしたときに、リーダライタが形成する磁界等により電流が発生して、ICチップ11に電力を供給する。これにより、ICチップ11は、駆動可能となり、非接触通信時において、リーダライタと情報の送受信、情報の書き換え等を行なう。また、このとき必要な情報は、この磁界等に乗せられる。 アンテナ20は、導線の周囲を、絶縁体により形成された被覆によって覆った被覆付導線21により形成される。ICカード1は、被覆付導線21を用いることにより、形成加工費を例えばエッチング等に比較して安価にできる。アンテナ20は、下層4の上面4aに埋設されている。 【0021】 アンテナ20は、コイル部22、アンテナ側接続部23,24を備える。 コイル部22は、被覆付導線21がコイル状(渦巻き状)に巻かれ(図1の例では、約3巻)、実際に上記通信機能を奏する部分である。 アンテナ側接続部23,24は、コイル部22の両端に形成されている。アンテナ側接続部23,24は、基板側接続部13に接続するための接続端子である。アンテナ側接続部23,24は、被覆付導線21の両端を、それぞれ縦方向Yに上下に繰り返し折り曲げしてプレート状、つまり平面状に展開するように形成されている。アンテナ側接続部23,24の設置領域A23,A24は、平面形状において、実装基板12の左辺12c、右辺12fを包有し、実装基板12の四隅を覆っている。すなわち、左側X1(カード外側)に設けられたアンテナ側接続部23の設置領域A23は、実装基板12の基板コーナ部12a,12b及び左辺12c(外側の辺)に重複し、一方、右側X2(カード内側)に設けられたアンテナ側接続部24の設置領域A24は、実装基板12の基板コーナ部12d,12e,右辺12f(外側の辺)に重複する。これは、後述するように、ICカード1の剛性を向上し、物理的耐久性を向上させるためである。 ・・・ 【0022】 次に、図1、図2を参照してICカード1の製造方法について説明する。 図2は、ICモジュール10を実装前の状態のICカード1の平面図、ICモジュール収容穴15の断面図である。 図2(a)は、平面図、図2(b)は、断面図(図2(a)のB-B部矢視断面図)である。 ICカード1は、以下の工程に従って製造される。なお、以下の工程は、最も簡単な構成のICカード1を説明するものであり、磁気ストライプ、ホログラム等を設ける場合には、これらの設置工程を別途設ける。 (1)被覆付導線21を図1に示す形状に成形して、アンテナ20を製造する。 (2)抜き加工前の状態の下層4の上面4aに、アンテナ20を熱圧着によって埋設する(図1(b),図2(b)参照)。 【0023】 (3)上層3と、アンテナ20を埋設した下層4を熱圧着により接着する。このとき、上層3の上面、下層4の下面に印刷保護シート(図示せず)を重ね合わせて、一体化させる。これにより、カード基材2(抜き加工前)が形成される。 (4)アンテナ20を埋設したカード基材2を、打ち抜き加工によってカード形状に形成する。 【0024】 (5)図2に示すように、抜き加工したカードに対して、NC加工により切削加工を行って、ICモジュール10の形状に類似した階段形状のICモジュール収容穴15を形成する。ICモジュール収容穴15は、第1凹部15a、第2凹部15bからなる。第1凹部15aは、上段の凹部であり、12mm×13mm×深さ200μmである。第2凹部15bは、下段の凹部であり、8.5mm(縦方向Y)×8.5mm(左右方向X)×深さ650μmである。そして、アンテナ20の両端のアンテナ側接続部23,24の一部が露出するようにφ3mm、深さ400μmの半円状の切削凹部15cの加工を行う。 (6)切削凹部15c内に露出したアンテナ20の両端部(アンテナ側接続部23,24)に導電性ペースト30を塗布する(図1(b)参照)。 (7)ICモジュール10に絶縁性接着剤を付着させてICモジュール収容穴15に収容し、ICモジュール10とカード基材2とを一体化する。なお、アンテナ20のアンテナ側接続部23,24と基板側接続部13とは、導電性ペースト30によって導通される。 以上により、ICカード1を製造できる。」 「【図1】 [図:0001414150000011.jpg] 」 「 【図2】 [図:0001414150000012.jpg] 」 (2)甲6に記載された事項 上記(1)の段落【0020】及び【0021】の記載事項並びに図1の図示事項によれば、甲6には、次の事項(以下、「甲6に記載された事項」という。)が記載されていると認める。 「ICカード1の下層4の上面4aにコイル状(渦巻き状)に巻かれたアンテナ20が備えるコイル部20の被覆付導線21において、アンテナ20が備える接続端子であるアンテナ側接続部23,24を、被覆付導線21が両端で縦方向Yに上下に繰り返し折り曲げされて平面状に展開するよう形成された構成とすること。」 6 甲9について (1)甲9の記載 甲9には、次の記載事項及び図示事項がある。 「さて本実施例におけるプリント基板は、第5図に示す如くその接栓部6がコネクタ8に挿入され、基板1の各ワイヤ接栓端子6aがコネクタ8の各接触子9と接触することにより、プリント基板と外部装置との接続が行われる。」(第2頁左下欄第11~15行) 「第7図はワイヤ接続端子6aをジグザグ形状に形成した例を示し、・・・これらの例におけるワイヤ接栓端子6aは、配線長を一筆書きで長くすることによりコネクタとの接触面積の増加を行なったものである」(第2頁右下欄第17行~第3頁左上欄第4行) 「 [図:0001414150000013.jpg] 」 「 [図:0001414150000014.jpg] 」 「 [図:0001414150000015.jpg] 」 (2)甲9に記載された事項 上記(1)によれば、甲9には、次の事項(以下、「甲9に記載された事項」という。)が記載されていると認める。 「プリント基板1の面に所定のパターンで設けるワイヤにおいて、ワイヤ接栓端子6aを、ワイヤがジグザグ形状に形成された構成とすること。」 7 甲10について (1)甲10の記載 甲10には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0073】《テープキャリアパッケージTCP》図40は走査信号駆動回路Vや映像信号駆動回路He,Hoを構成する、集積回路チップCHIがフレキシブル配線基板(通称TAB、Tape Automated Bonding)に搭載されたテープキャリアパッケージTCPの平面構造を示す図であり、同図の21-21切断線における断面構造を図21に示す。 【0074】同図において、BF1はポリイミド等からなるベースフィルムであり、集積回路CHIが位置する中央部分には開口が設けられ、また左側には2つの位置決め用開口HLも設けられている。TTBは集積回路CHIの入力端子・配線部であり、TTMは集積回路CHIの出力端子・配線部であり、例えばCuから成り、それぞれの内側の先端部(通称インナーリード)には集積回路CHIのボンディングパッドPADがいわゆるフェースダウンボンディング法により接続される。端子TTB,TTMの外側の先端部(通称アウターリード)はそれぞれ半導体集積回路チップCHIの入力及び出力に対応する。入力端子TTBのアウターリードの集まりINPは図でチップCHIの左辺のボンディングパッドに接続される。出力端子TTMのアウターリードの集まりOUT1,OUT2,OUT3はそれぞれチップCHIの上辺、右辺、下辺のボンディングパッドに接続される。SRSは半田付けの際半田が余計なところへつかないようにマスクするためのソルダレジスト膜であり、平面図では内側境界線SRSと外側境界線SRSの間に形成され、アウターリードやインナーリード部分はそれから露出されている。チップCHI、アウターリード、インナーリード部分はポッティングによりレジンPREで覆われ、チップCHIの能動素子が形成された(ボンディングパッドが形成された)面を湿気やゴミ等から保護され、またチップの接続強度も高められる。 【0075】《外部回路との接続構造》図22はテープキャリアパッケージTCPを液晶表示パネルPNLの、本例では映像信号回路用端子DTMに接続した状態を示す要部断面図である。端子TTB,TTMの外側のアウターリードはそれぞれ半田付け等によりCRT/TFT変換回路・電源回路SUPが搭載されたプリント基板等に、異方性導電膜ACFによって液晶表示パネルPNLに接続される。パッケージTCPは、その先端部がパネルPNL側の接続端子DTMを露出した保護膜PSV1を覆うようにパネルに接続されており、従って、外部接続端子DTM(GTM)は保護膜PSV1かパッケージTCPの少なくとも一方で覆われるので電触に対して強くなる。シールパターンSLの外側の上下ガラス基板の隙間は洗浄後エポキシ樹脂EPX等により保護され、パッケージTCPと上側基板SUB2の間には更にシリコーン樹脂SILが充填され保護が多重化されている。」 「【0148】《対策例10》図58は他のテープキャリアパッケージの接続端子部を示す図である。このテープキャリアパッケージTCPにおいては、蛇行した接続端子TTM5が設けられており、接続端子TTM5の蛇行幅W1は接続端子TTM5のピッチよりも小さい。 【0149】図59は他のテープキャリアパッケージの接続端子部を示す図である。このテープキャリアパッケージTCPにおいては、蛇行した接続端子TTM6が設けられており、接続端子TTM6の蛇行幅W2は接続端子TTM6のピッチよりも小さい。 【0150】図58、図59に示したテープキャリアパッケージTCPにおいては、接続端子TTM5、TTM6とドレイン端子DTMとを異方性導電膜ACFを介して接続するために、テープキャリアパッケージTCPの接続端子TTM5、TTM6部を加熱したとき、接続端子TTM5、TTM6部が熱膨張し、接続端子TTM5、TTM6の中心線ととドレイン端子DTMの中心線との位置ずれが生じたとしても、接続端子TTM5、TTM6は蛇行しているから、ドレイン端子DTMは接続端子TTM5、TTM6の側方に突出した部分と接続されるので、接続端子TTM3、TTM4とドレイン端子DTM3、DTM4とを確実に接続することができる。なお、両図ともドレイン端子DTMは便宜上1本のみ描いている。」 「 [図:0001414150000016.jpg] 」 「 [図:0001414150000017.jpg] 」 「 [図:0001414150000018.jpg] 」 「 [図:0001414150000019.jpg] 」 「 [図:0001414150000020.jpg] 」 (2)甲10に記載された事項 上記(1)によれば、甲10には、次の事項(以下、「甲10に記載された事項」という。)が記載されていると認める。 「テープキャリアパッケージTCPのベースフィルムBF1の面に所定のパターンで設ける接続端子TTMにおいて、接続端子部を、接続端子TTMが蛇行して設けられた構成とすること。」 8 甲11について (1)甲11の記載 甲11には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0038】 図1及び図2に示すように、支持基板10には、その上面10pと下面10q間を貫通する開口部OP10が設けられる。支持基板10の開口部OP10内には回路装置50が配置され、収容される。開口部OP10の開口サイズは、回路装置50を収容可能な程度に設定することが望ましく、これにより、コアシート2の十分な薄型化が達成される。」 「【0041】 図2に示すように描線されたアンテナ配線15のアンテナパターン15’は、アンテナとして実質的に機能するアンテナ領域15mと、回路装置50に接続された接続端子領域15nを有する。本例ではアンテナパターンとしてループアンテナが採用されており、アンテナ領域15mが、支持基板10の上面10pに渦巻き状に描線されたワイヤパターンを含む。接続端子領域15nが、支持基板10の上面10pにおいて横並びに配置された一組のワイヤ端部(ワイヤ部分)15n1、15n2を含む。」 「【0072】 <第2実施形態> 図14を参照して第2実施形態について説明する。図14は、ICカードの概略的な部分平面模式図であり、アンテナパターンのバリエーションを示す。本実施形態においては、アンテナパターン15’の接続端子領域15nにおいてワイヤ15rを非直線的に描線し、支持基板10の上面10pからワイヤ15rを持ち上げた時に得られる十分なワイヤ長を確保する。ワイヤ長の増加によりワイヤ端部15n1、15n2の可動範囲が拡大し、支持基板10の開口部OP10に配置される回路装置50とワイヤ端部15n1、15n2間の接続自由度を高めることができる。なお、本実施形態においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。 【0073】 図14に示すように、支持基板10の上面10pのアンテナパターン15’の接続端子領域15nにはワイヤ15rが非直線に描線された非直線領域155a、155bが開口部OP10を挟み込む態様にて設けられている。各非直線領域155においてワイヤ15rが波状に蛇行しているが、図14に示す態様に限らず、ジグザグ状、渦巻き状等であっても構わない。いずれの場合においても、単線のワイヤ15rを直線的に描線された場合と比較してより長いワイヤ長を確保できる。」 「【0090】 本実施形態のように開口部OP10上でワイヤ端部15n1、15n2を終端させる場合、仮にワイヤ15rが、絶縁層15qにより被膜された導電線15pから成る場合であっても、ワイヤ15rの端面において導電線15pの端面が露出し、これにより、回路装置50に対するアンテナ配線15のコンタクト領域を好適に確保することができる。ワイヤ15rの絶縁層15qの除去によりコンタクト領域を更に設けても良いことは言うまでもない。絶縁層15qの除去によりコンタクト領域を設ければ、より広いコンタクト面積を確保することができ、より確実に電気的接続を確保することができる。」 「【0099】 以下、実施例について例示のために説明する。 (実施例1) 支持基板となるプラスチップ樹脂シート(三菱樹脂製ディアフィクスPG-WHI-FG厚み0.15mm)に、回路装置の収納用の貫通穴を設け、貫通穴の近傍にワイヤ端部を配置するようにワイヤ(ELEKTRISOLA社製自己融着被膜導線AB15φ0.10mm)を超音波ヘッドにて埋め込みながらアンテナを形成した。回路装置の収納用の貫通穴は、ビク刃を用いて加工し、支持基板へのワイヤの埋め込みは、超音波ヘッドを用いて行った。このとき、それ以降の加工基準となる位置決めピン穴を同時に形成した。」 「【図1】 [図:0001414150000021.jpg] 」 「【図2】 [図:0001414150000022.jpg] 」 「【図14】 [図:0001414150000023.jpg] 」 (2)甲11に記載された事項 上記(1)の段落【0041】、【0072】及び【0073】の記載事項並びに図1、2及び14の図示事項によれば、甲11には、次の事項(以下、「甲11に記載された事項」という。)が記載されていると認める。 「ICカードの支持基板10の上面10pにループアンテナが採用されたアンテナ配線15のアンテナパターン15’で設けるワイヤ15rにおいて、一組のワイヤ端部(ワイヤ部分)15n1、15n2を、ワイヤ15rがジグザグ状に設けられた構成とすること。」 9 甲13について (1)甲13の記載 甲13には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0002】 電気毛布、電気カーペット等の面状採暖具にはヒータ線がカーペット等の生地に敷線されて用いられている。またヒータ線をアルミ箔に敷線したアルミ付ヒータは冷蔵庫の霜取り、便座の保温用、或は床暖房用に用いられている。 ・・・このヒータ線を用い、接着層をコーティングしてあるアルミ箔、カーペット生地等に敷線して接着するか、或いはヒータ線に接着剤を塗布しながらアルミ箔、カーペット生地等に敷線し、接着して面状採暖具としている。また特許文献1には、絶縁シースの外周に融点が155℃以上250℃以下のポリエステル系接着層を設けたヒータ線が記載されている。 【特許文献1】特開2001-237055 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 熱溶融性を有するポリエステル樹脂は成形性、接着性が良好なホットメルト接着剤として知られている。絶縁シースの外周にポリエステル系接着層を設けたヒータ線も上記のように知られている。然しながら、ポリエステル系接着層を溶融押出ししたヒータ線をボビンに巻き取る際に線同士の貼りつきが発生してしまい、後工程作業に大きな支障がでてしまうという問題があった。また、前記接着層はポリエステル系のため耐水性,耐湿熱性等の環境試験特性が悪く、高温多湿環境下での加水分解による接着力低下の問題があった。 また従来のアルミ付きヒータは、例えば本発明の図5に(50’)として示すように、アルミ箔(31)の片面に接着層(34)を設け、反対面には粘着層(32)と離型紙(33)を設けた接着・粘着アルミ箔(40’)を用い、接着層(34)の上に、例えば前記ヒータ線(20’)を熱融着して製造していたが、アルミ箔の選定、調達の自由度が不足し、またヒータ製品の価格も高価になってしまうという問題があった。」 「【図5】 [図:0001414150000024.jpg] 」 10 甲14について (1)甲14の記載 甲14には、次の記載事項及び図示事項がある。 「本考案は表面を凹凸面とした面発熱体であって他の物体に接着する際に接着強度を増す有効な働らきをさせるとともに、滑り止めの必要な個所には格別な滑り止め材を用いることなくその作用をはたせるようにしたものである。」(第1欄第22行~同欄末行) 「上記した本案の面発熱体は、その表面が凹凸面となっているため、他の物体に接着する際には、接着面積が大きく、接着力をたかめることができるとともにこの面を直接滑り止めの必要な個所に使用することもできるなどすぐれた特長を奏している。」(第2欄第20~25行) 「 [図:0001414150000025.jpg] 」 11 甲15について (1)甲15の記載 甲15には、次の記載事項及び図示事項がある。 「この考案は、面状の発熱体に関わるものであり、とくにシートの折り曲げ可撓性を充分に発揮させるようにしたものである。」(明細書第1頁第9行~同頁第11行) 「またシート(1)の外面に網目状の凹凸を形成するため、発熱素体としてこれに絶縁物質たとえばゴムモールド加工などする際に上記凹凸によりその密着性を高らしめることもできる。」(明細書第2頁第16行~同頁末行) 「第1図 [図:0001414150000026.jpg] 」 「第2図 [図:0001414150000027.jpg] 」 12 甲16について (1)甲16の記載 甲16には、次の記載事項及び図示事項がある。 「第1図は本考案の一実施例を示すもので、図中、1,2は通電用導体、3はマレイン酸変性ポリオレフインに導電性カーボンを混合して半導電性とした発熱用組成物を帯状に成形し、この両端縁部に上記導体1,2を埋め込んだ発熱素子、4は発熱素子3の表面を絶縁材料で被覆してなる絶縁被覆層である。この被覆層4の上下面には長さ方向に溝状に延び凹凸部5,6が設けてある。」(第3欄第12行~同欄第19行) 「本考案の面状発熱体における凹凸部の形状は、上述の実施例のものに限定されず、基本的には住宅家屋の壁や床、あるいは道路などの構成材料との密着性が向上される形状であればよく、種々の形状が考えられる。」(第4欄第23行~同欄第27行) 「第1図 [図:0001414150000028.jpg] 」 第6 対比・判断 1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ア 後者の「透明なポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等」は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂が熱可塑性樹脂であるから、後者の「透明な熱可塑性樹脂」に相当する。 また、後者の「円形部の外周の外側に突出部6を有する円形シート状の可撓性透明基材7」は、前者の「支持シート」に相当する。 そうすると、後者の「透明なポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等から構成された、円形部の外周の外側に突出部6を有する円形シート状の可撓性透明基材7」は、前者の「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シート」に相当する。 イ 後者の「可撓性透明基材7」の「一方の表面」は、前者の「支持シート」の「一方の面」に相当する。 ウ 後者の「銅ニッケル線、ニクロム線、ステンレス線等の金属線」は、導電性を有するから、前者の「導電線」に相当する。 そして、後者の「銅ニッケル線、ニクロム線、ステンレス線等の金属線からなる所定のパターンに形成された円形部の金属線抵抗体4、及び、前記突出部6に支持された、前記円形部の金属線抵抗体4と電極10とを接続するための配線」は、前者の「導電線からなる導電性パターン」に相当する。 エ 上記ア~ウから、後者の「透明なポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等から構成された、円形部の外周の外側に突出部6を有する円形シート状の可撓性透明基材7の一方の表面に、銅ニッケル線、ニクロム線、ステンレス線等の金属線からなる所定のパターンに形成された円形部の金属線抵抗体4、及び、前記突出部6に支持された、前記円形部の金属線抵抗体4と電極10とを接続するための配線が設けられ」は、前者の「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に導電線からなる導電性パターンが設けられ」に相当する。 オ 後者の「円形部の金属線抵抗体4」は、前者の「ヒータ部」に相当する。 また、後者の「前記突出部6に支持された、前記円形部の金属線抵抗体4と電極10とを接続するための配線」は、前者の「リード線」に相当する。 そして、後者の「円形部の金属線抵抗体4、及び、前記突出部6に支持された、前記円形部の金属線抵抗体4と電極10とを接続するための配線が設けられ、前記配線と前記電極10とが互いに通電可能に接続する接続部を備えている」ことと、 前者の「前記導電性パターンが、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し、前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成されている」こととは、 「前記導電性パターンが、接続部と、該接続部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し」ていることという限りにおいて一致する。 カ 後者の「面状ヒータ2」は、全体としてフィルム状であるから、前者の「フィルムヒータ」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に導電線からなる導電性パターンが設けられ、前記導電性パターンが、接続部と、該接続部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有しているフィルムヒータ。」 [相違点1-1] 本件発明1では、「該支持シートの他方の面は凹凸を有し」ているのに対して、甲1発明1では、「可撓性透明基材7」がそのように構成されていない点。 [相違点1-2] 「接続部」に関し、本件発明1では、「接続端子部」を備え、「前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成され、前記接続端子部上に、さらに金属板が設けられ」ているのに対して、甲1発明1では、「前記配線と前記電極10とが互いを通電可能に接続する接続部を備えて」いる点。 (2)判断 ア 上記相違点1-2について 事案に鑑み、相違点1-2について検討する。 取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由において引用した甲1、2、4~6、9~11及び13~16には、上記相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項は開示されていない。 ところで、本件訂正により、訂正後の請求項1には、訂正前の請求項4に記載された発明特定事項が追加されたので、訂正前の請求項4に係る発明に対する取消理由を踏まえて検討すると、上記第5における、3(2)の甲4に記載された事項、4(2)の甲5に記載された事項、5(2)の甲6に記載された事項、6(2)の甲9に記載された事項、7(2)の甲10に記載された事項、8(2)の甲11に記載された事項によれば、薄い板状の支持部材の面に所定のパターンで設ける導電線において、接続端子部を、導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成することは、本件特許の出願前における周知の技術(以下「周知技術」という。)といえる。 また、甲2には、上記第5における2(2)の甲2技術が記載されている。しかしながら、甲2技術は、ヒータ部(通電発熱体41)の端部上に金属板(銅箔44)による接続端子部(導電端部)を設けるものといえ、接続端子部上に、さらに金属板が設けられることを示すものではない(甲2の段落【0027】を参照。)。 そして、甲1発明1に周知技術を適用することで、金属線(導電線)が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成されている接続端子部を既に備えたものにおいて、接続端子部を設ける甲2技術をさらに適用することは、甲1発明1において、周知技術を適用したものを前提に、さらに甲2技術を適用するという多段階の容易(いわゆる「容易の容易」)になることから、当業者が容易に想到し得たものではない。 なお、申立人が提出した甲1、2、4~6、9~11及び13~16以外の各甲号証には、上記相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項を示唆する記載は見当たらない。 そして、本件発明1は、上記相違点1-2に係る発明特定事項を備えることにより、「接続端子部上に外部電極との接続効率を上げるためにさらに金属板からなる導電片を設けることができる。」(段落【0020】)という所期の効果を奏するものである。 そうすると、甲1発明1において、上記相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、甲2技術及び周知技術、並びに、甲1、2、4~6、9~11及び13~16に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たこととはいえない。 イ 申立人の主張について 申立人は、令和6年3月26日付け意見書の3頁7行~6頁4行において、「前記接続端子部上に、さらに金属板」を設けることが、単なる寄せ集めの要素を増やしたにすぎず、典型的な慣用技術の適用に過ぎないことは明らかで、このような構成要件を追加しただけの本件訂正発明1~3,5,6が依然として進歩性を備えていないことは明らか」である旨を主張する。 しかしながら、上記相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項は、「前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成され、前記接続端子部上に、さらに金属板が設けられ」るもの、すなわち、接続端子部として、複数箇所で折れ曲がったパターンで構成された導電線及び金属板との両方を備えることで、所期の効果を奏するものである。そして、接続端子部として、複数箇所で折れ曲がったパターンで構成された導電線及び金属板との両方を備えるものは、甲1、2、4~6、9~11及び13~16に記載されておらず、示唆もない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 ウ まとめ したがって、本件発明1は、甲1発明1、甲2技術及び周知技術、並びに、甲1、2、4~6、9~11及び13~16に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本件発明2、3、5及び6について 本件発明2、3、5及び6は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるから、上記1の検討を踏まえると、同様の理由により、甲1発明1、甲2技術及び周知技術、並びに、甲1、2、4~6、9~11及び13~16に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 小括 上記1及び2のとおりであるから、本件特許の請求項1~3、5及び6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、特許法第113条第2号に該当しない。 第7 他の特許異議申立理由について 1 他の特許異議申立理由の概要 他の特許異議申立理由は、概略、次のとおりである。 (1)請求項1について ア 本件特許の請求項1に係る発明は、甲2又は甲3に記載された発明、及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件特許の請求項1に係る発明は、甲2又は甲3に記載された発明、及び甲7又は甲8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)請求項2~6について 本件特許の請求項2~6に係る発明は、甲2又は甲3に記載された発明、及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 甲第3号証、甲第7号証、甲8号証及び甲第12号証 申立人が提出した甲第3号証、甲第7号証、甲8号証及び甲第12号証は、次のとおりである。 甲第3号証:特許第4795638号公報(以下、「甲3」という。) 甲第7号証:実願昭47-130776号(実開昭49-85639号)のマイクロフィルム(以下、「甲7」という。) 甲第8号証:実願昭59-82120号(実開昭60-193683号)のマイクロフィルム(以下、「甲8」という。) 甲第12号証:特開2008-77879号公報(以下、「甲12」という。) そこで、取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について、以下検討する。 3 甲3、7、8及び12の記載 (1)甲3について ア 甲3の記載 甲3には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0001】 本発明は、請求項1の前提部の構成を有する、埋め込み電気導体から構成される構造が設けられているプラスチック窓ガラスを製造するプロセス、さらに、独立請求項14による対応するプラスチック窓ガラスに関する。 【0002】 自動車の構造において、車体の重量は、常に、減少されつつある。従って、たとえば、ガラス製窓ガラスは、ポリカーボネート(PC)、あるいは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)から作られることが好ましいプラスチック窓ガラスへと置き換えられつつある。さらに、ガラスおよびプラスチック窓ガラスから構成されるハイブリッド複合物が既に存在している。特に、組み込まれた電熱線、あるいは、アンテナが設けられているガラス製窓ガラスをプラスチック窓ガラスと置き換えるという問題に対しても、解決法が捜し求められている。」 「【0011】 本発明の目的は、埋め込み導体構造を有するプラスチック窓ガラスを製造する別のプロセス、そして、さらに、特に、そのようなプロセスによって製造されることが可能なプラスチック窓ガラスについて開示することである。」 「【0014】 1つのワイヤまたは複数のワイヤが備え付けられているシートの面は、次に、型内で、背面から、窓ガラス本体を形成することになる物質の射出成形に露出される。シートと窓ガラス本体との間の独立した接着層は排除される。いうまでもなく、プラスチックは常に結合され、窓ガラス本体の射出成形の間に、密接に、そして、永続的に互いに接合される。シートおよび窓ガラス本体のための追加の材料の両方は、ポリカーボネートから作られることが好ましい。とはいえ、シートおよび窓ガラス本体は、同じ材料から作られなくともよい。さらに、シートの材料および窓ガラス本体の材料が、それぞれの作用に影響を及ぼさないことを条件に、それゆえ、それらが、射出成形作業によって確実に、そして、永続的に互いに接合されることを条件に、PMMAおよび他の適切な材料を使用することや、そして、任意にそれらを組み合わせることもできる。最適な場合、そのシートと背面で射出される物質との表面融合により、シートと窓ガラス本体から得られる事実上均一な合成物を生ずる。 【0015】 組み込まれたワイヤを有する他の窓ガラスにおけるように、組み込まれたワイヤは、さらに、ここに開示されている窓ガラスにおいて、抵抗加熱要素として、アンテナ導電体として、破損警報ループの導体としておよび/または、さらに、シールディング、あるいは、装飾のために、使用されることができる。 【0016】 最終製造物にワイヤが備え付けられる表面のエリア(それゆえ、加熱するか、あるは、アンテナとして作用するかのいずれか)は、自由に決めることができる。たとえば、表面全体にわたりワイヤを配置するのではなく、シートの表面の一部だけに前記ワイヤを備え付けることが可能である。そのうえ、異なる「機能フィールド」(加熱、アンテナなど)を、全く同一のシートにワイヤで備え付けられることができ、それらワイヤは、絶対的に、互いに電気接続されてはならないが、必要に応じて、互いに独立して外側に電気接続されることができる。」 「【0021】 ワイヤを敷設するために、周知のワイヤ敷設方法の1つを、使用することができる。好ましくは、所望のワイヤの配列を達成するために、プログラムされたロボットによって制御される敷設ヘッドが使用され、ヘッドはシートの面の上方でガイドされ、そして、わずかな圧力と熱を加えながら、シートの表面にワイヤを連続的に押し入れるか、あるいは、組み込む。ワイヤ自体が加熱される場合、ワイヤは、その場合、きわめてわずかな圧力だけをうけて、シートに容易に貫入する。空間的移動を行う敷設ヘッドが使用される場合、ワイヤは、その場合、既に型内にあるシートの自由な、場合によっては球状に湾曲した表面上にでさえ敷設されることができる。先行技術におけるように、ワイヤは、さらに、パターンの必要に応じて、直線に、弓形に沿って、あるいは、波形の形状で敷設することもできる。使用可能なワイヤは、5μmと500μmとの間の細さを有し、そして、十分な機械安定性を有する。通常、ワイヤは、タングステンから作られるが、他の材料から作られるワイヤを使用することもできる。ワイヤはそれらの細さゆえに、また光の反射と光の分散の両方が、適切なコーティングによって最小にされるのでなおさら、事実上、取り付けられたウインドウでは目で見て認知することができない。 【0022】 適切な場合、さらに、超音波を利用することによって、シートの表面に1つのワイヤまたは複数のワイヤを埋め込むことが可能である。ワイヤがシートの表面に貫入することを可能とする必要な熱は、その場合、シートの材料に直接与えられる。 【0023】 射出成形型内のシートが、再度、材料のプラスチックの領域まで適切に加熱されるとすれば、1つのワイヤまたは複数のワイヤは、フラットなシート部分に敷設することができ、そのシート部分は、型内で、その最終表面形状に成形される。変形例として、シート部分は、それが射出成形型に導入される前に、適切な場合、さらに、ワイヤを敷設する前に、熱可塑性により、その中間形状、あるいは、最終形状をすでに受容しておくことが可能である。 【0024】 同様に、平行に配置されるいくつかのワイヤに窓ガラスのエッジ近くで共通の電気接続をもたらすことができる、「集電」バスバーが、先行技術において周知のように、シート上への背面からの射出成形前に、当該の表面に沿って敷設され、そして、1つのワイヤまたは複数のワイヤと導電性接続される必要がある。 【0025】 ワイヤに、外部コネクタが設けられる必要がある場合、これらのコネクタは、背面からの射出成形前に準備することができる。適切な場合、プラグタイプのコネクタを、それ自体周知の方法で準備することができ、コネクタは、さらに、窓ガラス本体の射出成形の間に埋め込まれる。コネクタは、電気ライン(供給および/またはアンテナライン)を、その後、プラグによって埋め込みワイヤに接続することが可能であるように、外側からアクセス可能である。」 「【0035】 図1によるプラスチック窓ガラス1は、実質的に、薄いプラスチックシート2と、型内での背面射出成形によって、確実に、そして、永続的に、このシートに接合される窓ガラス本体3とから構成されている。そのシートと窓ガラス本体との間の中間面、あるいは、接合面が、単に例示のためにここに示されている。実際の製品において、窓ガラス本体の材料が背面射出成形の間にシートの面に結合されるので、それは、ほとんど認知できない。その接合面の方に向って方向付けられるシート2の表面に挿入されているのは、比較的短い間隔をおいて互いに平行に配置されている多数の細いワイヤ4である。それらは、プラスチックシート2の自由表面に貫入することなく、プラスチックシート2の材料内に完全に埋め込まれている。そのワイヤ4は、実際には、シートの厚さよりもはるかに細い。窓ガラス本体3の射出成形されたプラスチックは、シートの内側面のあらゆる不均一を消し去る。そのシートおよび窓ガラス本体は、ここでは、同じ表面エリアを有している。耐スクラッチコーティングは、ここには示されていない。これは、ワイヤが敷設される前にシートの自由面に施すことができ、そして、いうまでもなく、窓ガラス本体には、それが射出成形の型から取り出し前、あるいは、後に、それが凝固された後に初めて施すことができる。 【0036】 例示のための実施例においては、明白に、複数のワイヤが常に使用されているが、例示されているように、互いに平行に方向付けられているワイヤの長さ部分を有する、単一のワイヤでワイヤのアレイを生成することが、さらに、可能であるということを再度指摘しておく。」 「 [図:0001414150000029.jpg] 」 イ 上記アから認められること (ア)上記アの段落【0014】、【0016】、【0021】及び【0035】並びに図1の記載から、プラスチックシート2の一方の表面に、タングステンのワイヤからなる所望のワイヤの配列にされた細いワイヤ4が設けられることが認められる。 (イ)上記アの段落【0016】、【0021】、【0025】及び【0036】並びに図1の記載から、細いワイヤ4は、コネクタが設けられる部分と、該コネクタが設けられる部分から続く加熱するフィールドの部分とを有していることが認められる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、シート状のヒータが構成されていると認められる。 ウ 甲3発明 上記ア及びイを総合すると、甲3には、次の事項からなる発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。 「自動車のプラスチック窓ガラス1と同じ材料であるポリカーボネートのシートからなるプラスチックシート2の一方の表面にタングステンのワイヤからなる所望のワイヤの配列にされた細いワイヤ4が設けられ、前記細いワイヤ4は、コネクタが設けられる部分と、該コネクタが設けられる部分から続く加熱するフィールドの部分とを有しているシート状のヒータ。」 (2)甲7について ア 甲7の記載 甲7には、次の記載事項及び図示事項がある。 「以下、本案を図面によつて説明すると、第1図はカーボン混合導電樹脂1を付着させた織布2に電極となる導電線3の一対を縫いこんだ発熱シートAを示すものである。ここにカーボン混合導電樹脂1を織布2に付着させる場合、前記カーボン混合導電樹脂1を溶剤に溶かした溶液中に織布2を浸漬させ、これを乾燥して、織布全体にわたり、織布の組織に均一にカーボン混合導電樹脂1を付着させるものである。そしてこの浸漬手段を繰り返すことにより、所望の抵抗値に設定することができる。 また、前記織布に電極となる導電線3を縫着する場合に第2図に示すように織布2の表裏両面に導電線3の一部が露出するようにジグザグ状に縫いこみ、織布2との接触面積を可及的に増大させる、なおミシンによつてこの導電線を縫い込む場合には、導電線を保持するために使用する抑え糸4の張力を大きく設定し、この抑え糸4を織布2の表面に沿わせ、この抑え糸4に対し導電線3がジグザグ状に絡み合うように、縫着するのである。」(2頁6行~3頁6行) 「 [図:0001414150000030.jpg] [図:0001414150000031.jpg] 」(第1図、第2図) 「更に、実施に際して本考案による多大の利点は、導電線をミシン縫いによつて繊布に縫い込むために縫着時に導電線を設ける位置に制限を受けることがなく、あらかじめ織布を使用目的に応じて所望の形状に裁断した後、その形状に即して導電線を渦巻状、円形状、ジグザグ状など適当な形状に配設することができる点である。」(手続補正書の2頁) (3)甲8について ア 甲8の記載 甲8には、次の記載事項及び図示事項がある。 「而して、前記電極(2)の線状部(2b)の断面図は、第2図(a),(b),(c)に示す如き種々の形状が考えられ、これらは例えば銅箔をプレスしてつくられる。今、電極部(2)が折れ曲がつたとき、板状部(2a)が切断(Y)しても蛇行状だつた線状部(2b)はつながつたままであり、また、その断面の形状により集中応力がかからず破れ難い形状であり、さらに、線状部(2b)の数は細くして極力多くする万が破れ難く、一部が破れても全体が破れることはない。」(5頁2行~10行) 「 [図:0001414150000032.jpg] [図:0001414150000033.jpg] [図:0001414150000034.jpg] 」 (4)甲12について ア 甲12の記載 甲12には、次の記載事項及び図示事項がある。 「【0066】 [透明フレキシブルフィルムヒーター] ・・・ また、本発明の透明フレキシブルフィルムヒーターは単体あるいは対象物に貼り付けて使用するか、またはガラス等の基材に挟んで使用することができる。」 4 他の特許異議申立理由についての検討 (1)上記1(1)ア及びイの甲2を主とした特許異議申立理由について ア 甲2について (ア)甲2の記載 甲2には、上記第5の2(1)に摘記した記載事項及び図示事項がある。 (イ)上記(ア)から認められること a 段落【0018】及び【0026】の記載事項並びに図1及び図6の図示事項から、薄膜ヒータ40において、透明なポリカーボネート、アクリル樹脂のシートからなる樹脂シート42の一方の面に、通電により発熱する線材からなる所定のパターンに形成された通電発熱体41が設けられることが認められる。 b 段落【0018】、【0019】、【0026】及び【0027】の記載事項並びに図1及び図6の図示事項から、通電発熱体41は、端部と、該端部から延びたリード部分と、該リード部分から続く蛇行状の部分とを有していることが認められる。 c 段落【0019】及び【0027】の記載事項並びに図2及び図7の図示事項から、薄膜ヒータ40において、通電発熱体41の端部上に、銅箔44が設けられることが認められる。 (ウ)甲2発明 上記(ア)及び(イ)を総合すると、甲2には、次の事項からなる発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 「透明なポリカーボネート、アクリル樹脂のシートからなる樹脂シート42の一方の面に、通電により発熱する線材からなる所定のパターンに形成された通電発熱体41が設けられ、該通電発熱体41が、端部と、該端部から延びたリード部分と、該リード部分から続く蛇行状の部分とを有し、前記通電発熱体41の端部上に、さらに銅箔44が設けられている薄膜ヒータ40。」 イ 対比 本件発明1と甲2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (ア)後者の「透明なポリカーボネート、アクリル樹脂のシート」は、ポリカーボネート、アクリル樹脂が熱可塑性樹脂であるから、前者の「透明な熱可塑性樹脂シート」に相当する。 また、後者の「樹脂シート42」は、前者の「支持シート」に相当する。 そして、後者の「透明なポリカーボネート、アクリル樹脂のシートからなる樹脂シート42」は、前者の「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シート」に相当する。 (イ)後者の「通電により発熱する線材」は、導電性を有するから、前者の「導電線」に相当する。 そして、後者の「通電により発熱する線材からなる所定のパターンに形成された通電発熱体41」は、前者の「導電線からなる導電性パターン」に相当する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によると、後者の「透明なポリカーボネート、アクリル樹脂のシートからなる樹脂シート42の一方の面に、通電により発熱する線材からなる所定のパターンに形成された通電発熱体41が設けられ」ることは、前者の「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に、導電線からなる導電性パターンが設けられ」ることに相当する。 (エ)後者の「通電発熱体41」における「リード部分」及び「蛇行状の部分」は、ぞれぞれ、前者の「導電性パターン」における「リード線」及び「ヒータ部」に相当する。 また、後者の「通電発熱体41」における「端部」と、前者の「導電性パターン」における「接続端子部」とは、「接続部」という限りにおいて一致する。 そして、後者の「該通電発熱体41が、端部と、該端部から延びたリード部分と、該リード部分から続く蛇行状の部分とを有している」ことと、 前者の「前記導電性パターンが、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し」ていることとは、 「前記導電性パターンが、接続部と、該接続部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し」ることという限りにおいて一致する。 (オ)後者の「銅箔44」は、前者の「金属版」に相当する。 そして、後者の「前記通電発熱体41の端部上に、さらに銅箔44が設けられている」ことは、前者の「前記接続端子部上に、さらに金属板が設けられ」ていることと、「前記接続部上に、さらに金属板が設けられ」ていることという限りにおいて一致する。 (カ)後者の「薄膜ヒータ40」は、全体としてフィルム状であるから、前者の「フィルムヒータ」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に導電線からなる導電性パターンが設けられ、前記導電性パターンが、接続部と、該接続部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し、前記接続部上に、さらに金属板が設けられているフィルムヒータ。」 [相違点2-1] 本件発明1では、「該支持シートの他方の面は凹凸を有し」ているのに対して、甲2発明では、「樹脂シート42」がそのように構成されていない点。 [相違点2-2] 「接続部」を備え、「前記接続部上に、さらに金属板が設けられている」ことに関し、本件発明1は、「接続端子部」を備え、「前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成され、前記接続端子部上に、さらに金属板が設けられ」ているのに対して、甲2発明では、「端部」を備え、「前記通電発熱体41の端部上に、さらに銅箔44が設けられている」点。 ウ 判断 甲1~16には、上記相違点2-2に係る本件発明1の発明特定事項は開示されていない。 また、甲4~6及び9~11に例示された周知技術は、薄い板状の支持部材の面に所定のパターンで設ける導電線において、接続端子部を、導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成することであるところ、樹脂シート42の一方の面に設けられた導電発熱体41の端部と銅箔44とを接続させる甲2発明において、導電発熱体41の端部と銅箔44との接続に、当該周知技術を採用しても、導電発熱体41の端部と銅箔44との接続効率が上がるとはいえないから、甲2発明において周知技術を適用することの動機付けはないといわざるを得ない。 そうすると、甲2発明において、甲1~16に記載された事項を考慮しても、本件発明1の上記相違点2-2に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。 そして、本件発明1は、上記相違点2-2に係る発明特定事項を備えることにより、「接続端子部上に外部電極との接続効率を上げるためにさらに金属板からなる導電片を設けることができる。」(段落【0020】)という所期の効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、甲2発明及び甲1~16に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)上記1(2)の甲2を主とした特許異議申立理由について 本件発明2、3、5及び6は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるから、上記(1)の検討を踏まえると、同様の理由により甲2発明、周知技術及び甲1~16に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)上記1(1)ア及びイの甲3を主とした特許異議申立理由について ア 対比 本件発明1と甲3発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (ア)後者の「自動車のプラスチック窓ガラス1と同じ材料であるポリカーボネートのシート」は、自動車のプラスチック窓ガラス1と同じ材料であるから、透明であり、また、ポリカーボネートは熱可塑性樹脂であるから、前者の「透明な熱可塑性樹脂シート」に相当する。 また、後者の「プラスチックシート2」は、前者の「支持シート」に相当する。 そして、後者の「自動車のプラスチック窓ガラス1と同じ材料であるポリカーボネートのシートからなるプラスチックシート2」は、前者の「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シート」に相当する。 (イ)後者の「プラスチックシート2」の「一方の表面」は、前者の「支持シート」の「一方の面」に相当する。 (ウ)後者の「タングステンのワイヤ」は、導電性を有するから、前者の「導電線」に相当する。 そして、後者の「タングステンのワイヤからなる所望のワイヤの配列にされた細いワイヤ4」は、前者の「導電線からなる導電性パターン」に相当する。 (エ)上記(ア)~(ウ)によると、後者の「自動車のプラスチック窓ガラス1と同じ材料であるポリカーボネートのシートからなるプラスチックシート2の一方の表面にタングステンのワイヤからなる所望のワイヤの配列にされた細いワイヤ4が設けられ」は、前者の「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に、導電線からなる導電性パターンが設けられ」に相当する。 (オ)後者の「細いワイヤ4」における「加熱するフィールドの部分」は、ぞれぞれ、前者の「導電性パターン」における「ヒータ部」に相当する。 また、後者の「細いワイヤ4」における「コネクタが設けられる部分」と、前者の「導電性パターン」における「接続端子部」とは、「接続部」という限りにおいて一致する。 そして、後者の「前記細いワイヤ4は、コネクタが設けられる部分と、該コネクタが設けられる部分から続く加熱するフィールドの部分とを有している」ことと、 前者の「前記導電性パターンが、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し」ていることとは、 「前記導電性パターンが、接続部と、該接続部から続くヒータ部とを有し」ていることという限りにおいて一致する。 (カ)後者の「シート状のヒータ」は、フィルム状といえるから、前者の「フィルムヒータ」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に、導電線からなる導電性パターンが設けられ、前記導電性パターンが、接続部と、該接続部から続くヒータ部とを有しているフィルムヒータ。」 [相違点3-1] 本件発明1では、「該支持シートの他方の面は凹凸を有し」ているのに対して、甲3発明では、「プラスチックシート2」がそのように構成されていない点。 [相違点3-2] 「前記導電性パターンが、接続部と、該接続部から続くヒータ部とを有している」ことに関し、本件発明1は、「前記導電性パターンが、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し」ているのに対して、甲3発明では、「前記細いワイヤ4は、コネクタが設けられる部分と、該コネクタが設けられる部分から続く加熱するフィールドの部分とを有している」ものであり、リード線は有していない点。 [相違点3-3] 「接続部」に関し、本件発明1は、「接続端子部」を備え、「前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成され、前記接続端子部上に、さらに金属板が設けられ」ているのに対して、甲3発明では、かかる事項を備えていない点。 イ 判断 事情に鑑み、相違点3-3について検討すると、甲1~16には、上記相違点3-3に係る本件発明1の発明特定事項は開示されていない。 そして、本件発明1は、上記相違点3-3に係る発明特定事項を備えることにより、「接続端子部上に外部電極との接続効率を上げるためにさらに金属板からなる導電片を設けることができる。」(段落【0020】)という所期の効果を奏するものである。 したがって、相違点3-1及び相違点3-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲1~16に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)上記1(2)の甲3を主とした特許異議申立理由について 本件発明2、3、5及び6は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるから、上記(3)の検討を踏まえると、同様の理由により甲3発明、周知技術及び甲1~16に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 5 まとめ したがって、他の特許異議申立理由によっても、訂正後の請求項1~3、5及び6に係る特許を取り消すことはできない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、訂正後の請求項1~3、5及び6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に訂正後の請求項1~3、5及び6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件訂正により請求項4が削除されたため、請求項4に係る特許に対する特許異議の申立ては、その対象となる特許が存在しなくなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700113

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