特許異議申立
2022-700350
入力装置および電子機器
- 審判番号
- 2022-700350
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-146630
- 登録番号
- 6958694
- 請求日
- 2022年04月26日
- 審決日
- 2023年02月13日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ソニーグループ株式会社
- 【権利者代理人】杉浦 正知
- 【権利者代理人】杉浦 拓真
- 【異議申立人】坂本 雅美
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 後藤 慎平
- 審判官 中塚 直樹
- 分類
- P1651.113-YAA(G01L) / P1651.121-YAA(G01L) / P1651.536-YAA(G01L) / P1651.537-YAA(G01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第9項、特許法第126条、特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6958694号発明「入力装置および電子機器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6958694号の明細書及び特許請求の範囲を、それぞれ訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~25〕、26、27、28について訂正することを認める。
特許第6958694号の請求項1ないし10、12ないし28に係る特許を維持する。
特許第6958694号の請求項11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6958694号(以下「本件特許」という。)の請求項1~28に係る特許についての出願は、平成29年9月14日を国際出願日とする日本語特許出願の特願2018-539791号の一部を令和2年9月1日(優先権主張 平成28年9月14日)に新たな特許出願としたものであって、令和3年10月11日にその特許権の設定登録がされ、令和3年11月2日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 4年 4月26日 : 特許異議申立人坂本雅美(以下、単に「特許異議申立人」という。)による請求項1~28に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 8月 1日付け: 取消理由通知書
同年10月 4日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年12月 6日 : 特許異議申立人による意見書の提出
以下、令和4年10月4日に提出された訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正前後の特許請求の範囲の記載
(1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と
を備え、
前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である電子機器。
【請求項2】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられている電子機器。
【請求項3】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面であり、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置する電子機器。
【請求項4】
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられている請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記外装体は、該外装体を前記センシング面に向けて押圧することで、前記センシング面を押圧可能に構成されている請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面である請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記外装体と前記感圧センサとの間、および前記支持体と前記感圧センサとの間のうちの少なくとも一方に緩衝材をさらに備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記緩衝材は、発泡樹脂を含んでいる請求項2、3または7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記外装体の内側面および前記センシング面のうち少なくとも一方に凸部が設けられている請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記外装体は、金属または高分子樹脂を含んでいる請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項11】
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1のリファレンス電極層または前記第2のリファレンス電極層は、無機系導電材料および有機系導電材料の両方を含む有機-無機導電層である請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記変形層の厚みは、180μm以上である請求項11に記載の電子機器。
【請求項14】
前記変形層の25%CLDは、36kPa以下である請求項11に記載の電子機器。
【請求項15】
前記変形層の密度は、320kg/m3以下である請求項11に記載の電子機器。
【請求項16】
前記変形層は、発泡樹脂を含んでいる請求項11に記載の電子機器。
【請求項17】
前記変形層は、孔部を有する請求項11に記載の電子機器。
【請求項18】
前記センサ電極部は、フレキシブルプリント基板により構成されている請求項11に記載の電子機器。
【請求項19】
前記センサ電極部は、基材と、前記基材上に設けられた第1電極および第2電極とを備え、
前記第1電極と前記第2電極とによりセンシング部が構成され、
隣接する第1電極同士が、前記基材の貫通孔を介して接続されている請求項11に記載の電子機器。
【請求項20】
前記電子機器を制御する制御部をさらに備え
前記制御部は、前記感圧センサが有する複数のセンシング部の押圧に応じて、スリーピングモードから復帰する請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項21】
前記感圧センサが有する複数のセンシング部に対するスライド操作に応じて、音量調整または画面表示を制御する制御部をさらに備える請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項22】
前記画面表示の制御は、画面スクロールまたはポインタ移動の制御である請求項21に記載の電子機器。
【請求項23】
前記感圧センサが有する規定のセンシング部に対する押圧操作に応じて、カメラアプリケーションを起動させる制御部をさらに備える請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項24】
前記感圧センサが有する複数のセンシング部の出力プロファイルに基づき、画面表示を制御する制御部をさらに備える請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項25】
前記電子機器は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、テレビ、リモートコントローラ、カメラ、ゲーム機器、ナビゲーションシステム、電子書籍、電子辞書、携帯音楽プレイヤー、ウェアラブル端末、ラジオ、ステレオ、医療機器またはロボットである請求項1から19のいずれかに記載の電子機器。
【請求項26】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と
を備え、
前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である入力装置。
【請求項27】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられている入力装置。
【請求項28】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面であり、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置する入力装置。」
(2) 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
「【請求項1】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と
を備え、
前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革であり、
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える電子機器。
【請求項2】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられ、
前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置し、
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える電子機器。
【請求項3】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面であり、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える電子機器。
【請求項4】
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられている請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記外装体は、該外装体を前記センシング面に向けて押圧することで、前記センシング面を押圧可能に構成されている請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面である請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記外装体と前記感圧センサとの間、および前記支持体と前記感圧センサとの間のうちの少なくとも一方に緩衝材をさらに備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記緩衝材は、発泡樹脂を含んでいる請求項2、3または7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記外装体の内側面および前記センシング面のうち少なくとも一方に凸部としての押し子が設けられている請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記外装体は、金属または高分子樹脂を含んでいる請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
前記第1のリファレンス電極層または前記第2のリファレンス電極層は、無機系導電材料および有機系導電材料の両方を含む有機-無機導電層である請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
前記変形層の厚みは、180μm以上である請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項14】
前記変形層の25%CLDは、36kPa以下である請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項15】
前記変形層の密度は、320kg/m3以下である請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項16】
前記変形層は、発泡樹脂を含んでいる請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項17】
前記変形層は、孔部を有する請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項18】
前記センサ電極部は、フレキシブルプリント基板により構成されている請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項19】
前記センサ電極部は、基材と、前記基材上に設けられた第1電極および第2電極とを備え、
前記第1電極と前記第2電極とによりセンシング部が構成され、
隣接する第1電極同士が、前記基材の貫通孔を介して接続されている請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項20】
前記電子機器を制御する制御部をさらに備え
前記制御部は、前記感圧センサが有する複数のセンシング部の押圧に応じて、スリーピングモードから復帰する請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項21】
前記感圧センサが有する複数のセンシング部に対するスライド操作に応じて、音量調整または画面表示を制御する制御部をさらに備える請求項1から3のいずれかに記載の電子
機器。
【請求項22】
前記画面表示の制御は、画面スクロールまたはポインタ移動の制御である請求項21に記載の電子機器。
【請求項23】
前記感圧センサが有する規定のセンシング部に対する押圧操作に応じて、カメラアプリケーションを起動させる制御部をさらに備える請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項24】
前記感圧センサが有する複数のセンシング部の出力プロファイルに基づき、画面表示を制御する制御部をさらに備える請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項25】
前記電子機器は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、テレビ、リモートコントローラ、カメラ、ゲーム機器、ナビゲーションシステム、電子書籍、電子辞書、携帯音楽プレイヤー、ウェアラブル端末、ラジオ、ステレオ、医療機器またはロボットである請求項1から10および12から19のいずれかに記載の電子機器。
【請求項26】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と
を備え、
前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革であり、
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える入力装置。
【請求項27】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられ、
前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置し、
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える入力装置。
【請求項28】
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面であり、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える入力装置。」
2 本件訂正の内容
(1) 本件訂正の概要
本件訂正請求は、一群の請求項〔1~25〕及び請求項26、27、28に対して請求されたものである。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1~25〕及び請求項26、27、28について請求されたものである。
本件訂正の内容を一群の請求項及び請求項ごとに整理すると、本件訂正は、次のア~エに分けて示した訂正事項1-1から訂正事項4-2までからなる。なお、各訂正事項の具体的な訂正の内容は、後記の(2)~(5)に示す。
ア 一群の請求項〔1~25〕についての訂正事項
(ア) 一群の請求項〔1~25〕についての特許請求の範囲の訂正事項
訂正事項1-1~訂正事項1-14
(イ) 一群の請求項〔1~25〕についての明細書の訂正事項
訂正事項1-15~訂正事項1-17
イ 請求項26についての訂正事項
(ア) 請求項26についての特許請求の範囲の訂正事項
訂正事項2-1
(イ) 請求項26についての明細書の訂正事項
訂正事項2-2
ウ 請求項27についての訂正事項
(ア) 請求項27についての特許請求の範囲の訂正事項
訂正事項3-1
(イ) 請求項27についての明細書の訂正事項
訂正事項3-2
エ 請求項28についての訂正事項
(ア) 請求項28についての特許請求の範囲の訂正事項
訂正事項4-1
(イ) 請求項28についての明細書の訂正事項
訂正事項4-2
(2) 一群の請求項〔1~25〕についての訂正(訂正事項1-1~訂正事項1-17)
ア 訂正事項1-1
請求項1の「前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である電子機器」との記載における「である」を「であり、」に改め、これと「電子機器」の間に次の語句を挿入する。
「前記感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~7、9、12~25も同様に訂正する。
イ 訂正事項1-2
請求項2の「前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられている電子機器」との記載における「設けられている」を「設けられ、」に改め、これと「電子機器」の間に次の語句を挿入する。
「前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置し、前記感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」
請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5、8~10、12~25も同様に訂正する。
ウ 訂正事項1-3
請求項3の「前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置する電子機器」との記載における「位置する」を「位置し、」に改め、これと「電子機器」の間に次の語句を挿入する。
「前記感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」
請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5、8~10、12~25も同様に訂正する。
エ 訂正事項1-4
請求項9の「前記外装体の内側面および前記センシング面のうち少なくとも一方に凸部が設けられている」との記載における「凸部」を「凸部としての押し子」に訂正する。
請求項9の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
オ 訂正事項1-5
特許請求の範囲の請求項11を削除する。
カ 訂正事項1-6
請求項12の「請求項11に記載の」との記載を「請求項1から3のいずれかに記載の」に訂正する。なお、下線は、訂正箇所を示し、訂正事項1-14まで同様である。
請求項12の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
キ 訂正事項1-7
請求項13の「請求項11に記載の」との記載を「請求項1から3のいずれかに記載の」に訂正する。
請求項13の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
ク 訂正事項1-8
請求項14の「請求項11に記載の」との記載を「請求項1から3のいずれかに記載の」に訂正する。
請求項14の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
ケ 訂正事項1-9
請求項15の「請求項11に記載の」との記載を「請求項1から3のいずれかに記載の」に訂正する。
請求項15の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
コ 訂正事項1-10
請求項16の「請求項11に記載の」との記載を「請求項1から3のいずれかに記載の」に訂正する。
請求項16の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
サ 訂正事項1-11
請求項17の「請求項11に記載の」との記載を「請求項1から3のいずれかに記載の」に訂正する。
請求項17の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
シ 訂正事項1-12
請求項18の「請求項11に記載の」との記載を「請求項1から3のいずれかに記載の」に訂正する。
請求項18の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
ス 訂正事項1-13
請求項19の「請求項11に記載の」との記載を「請求項1から3のいずれかに記載の」に訂正する。
請求項19の記載を引用する請求項25も同様に訂正する。
セ 訂正事項1-14
請求項25の「請求項1から19のいずれかに記載の」との記載を「請求項1から10および12から19のいずれかに記載の」に訂正する。
ソ 訂正事項1-15
次の(ア)に示す、本件訂正前の明細書の段落【0005】中の記載を、後記(イ)の本件訂正後の明細書の段落【0005】中の記載に訂正する。なお、下線は、訂正箇所を示す。
(ア) 本件訂正前の明細書の段落【0005】中の記載
「上述の課題を解決するために、第1の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体とを備え、外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である電子機器である。」
(イ) 本件訂正後の明細書の段落【0005】中の記載
「上述の課題を解決するために、第1の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体とを備え、外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革であり、感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、第1のリファレンス電極層とセンサ電極部との間、および第2のリファレンス電極層とセンサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える電子機器である。」
タ 訂正事項1-16
次の(ア)に示す、本件訂正前の明細書の段落【0005】中の記載を、後記(イ)の本件訂正後の明細書の段落【0005】中の記載に訂正する。なお、下線は、訂正箇所を示す。
(ア) 本件訂正前の明細書の段落【0005】中の記載
「第2の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、緩衝材とを備え、緩衝材は、センシング面と外装体の間に位置し、外装体の内側面とセンシング面との間に空間が設けられている電子機器である。」
(イ) 本件訂正後の明細書の段落【0005】中の記載
「第2の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、緩衝材とを備え、緩衝材は、センシング面と外装体の間に位置し、外装体の内側面とセンシング面との間に空間が設けられ、緩衝材は、外装体の内側面とセンシング面との間の空間に位置し、感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、第1のリファレンス電極層とセンサ電極部との間、および第2のリファレンス電極層とセンサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える電子機器である。」
チ 訂正事項1-17
次の(ア)に示す、本件訂正前の明細書の段落【0005】中の記載を、後記(イ)の本件訂正後の明細書の段落【0005】中の記載に訂正する。なお、下線は、訂正箇所を示す。
(ア) 本件訂正前の明細書の段落【0005】中の記載
「第3の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、緩衝材とを備え、外装体は、側壁部を有し、センシング面と対向する外装体の内側面は、側壁部の内側面であり、緩衝材は、センシング面と外装体の間に位置する電子機器である。」
(イ) 本件訂正後の明細書の段落【0005】中の記載
「第3の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、緩衝材とを備え、外装体は、側壁部を有し、センシング面と対向する外装体の内側面は、側壁部の内側面であり、緩衝材は、センシング面と外装体の間に位置し、感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、第1のリファレンス電極層とセンサ電極部との間、および第2のリファレンス電極層とセンサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える電子機器である。」
(3) 請求項26についての訂正事項(訂正事項2-1及び訂正事項2-2)
ア 訂正事項2-1
請求項26の「前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である入力装置」との記載における「である」を「であり、」に改め、これと「入力装置」の間に次の語句を挿入する。
「前記感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」
イ 訂正事項2-2
次の(ア)に示す、本件訂正前の明細書の段落【0006】の記載を、後記(イ)の本件訂正後の明細書の段落【0006】の記載に訂正する。なお、下線は、訂正箇所を示す。
(ア) 本件訂正前の明細書の段落【0006】の記載
「第4の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体とを備え、外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である入力装置である。」
(イ) 本件訂正後の明細書の段落【0006】の記載
「第4の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体とを備え、外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革であり、感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、第1のリファレンス電極層とセンサ電極部との間、および第2のリファレンス電極層とセンサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える入力装置である。」
(4) 請求項27についての訂正事項(訂正事項3-1及び訂正事項3-2)
ア 訂正事項3-1
請求項27の「前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられている入力装置。」との記載における「設けられている」を「設けられ、」に改め、これと「入力装置」の間に次の語句を挿入する。
「前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置し、前記感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」
イ 訂正事項3-2
次の(ア)に示す、本件訂正前の明細書の段落【0007】中の記載を、後記(イ)の本件訂正後の明細書の段落【0007】中の記載に訂正する。なお、下線は、訂正箇所を示す。
(ア) 本件訂正前の明細書の段落【0007】中の記載
「第5の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、緩衝材とを備え、緩衝材は、センシング面と外装体の間に位置し、外装体の内側面とセンシング面との間に空間が設けられている入力装置である。」
(イ) 本件訂正後の明細書の段落【0007】中の記載
「第5の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、緩衝材とを備え、緩衝材は、センシング面と外装体の間に位置し、外装体の内側面とセンシング面との間に空間が設けられ、緩衝材は、外装体の内側面とセンシング面との間の空間に位置し、感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、第1のリファレンス電極層とセンサ電極部との間、および第2のリファレンス電極層とセンサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える入力装置である。」
(5) 請求項28についての訂正事項(訂正事項4-1及び4-2)
ア 訂正事項4-1
請求項28の「前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置する入力装置」との記載における「位置する」を「位置し、」に改め、これと「入力装置」の間に次の語句を挿入する、
「前記感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」
イ 訂正事項4-2
次の(ア)に示す、本件訂正前の明細書の段落【0007】中の記載を、後記(イ)の本件訂正後の明細書の段落【0007】中の記載に訂正する。なお、下線は、訂正箇所を示す。
(ア) 本件訂正前の明細書の段落【0007】中の記載
「第6の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、緩衝材とを備え、外装体は、側壁部を有し、センシング面と対向する外装体の内側面は、側壁部の内側面であり、緩衝材は、センシング面と外装体の間に位置する入力装置である。」
(イ) 本件訂正後の明細書の段落【0007】中の記載
「第6の技術は、外装体と、センシング面を有する感圧センサと、外装体の内側面とセンシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、緩衝材とを備え、外装体は、側壁部を有し、センシング面と対向する外装体の内側面は、側壁部の内側面であり、緩衝材は、センシング面と外装体の間に位置し、感圧センサは、複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、第1のリファレンス電極層とセンサ電極部との間、および第2のリファレンス電極層とセンサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える入力装置である。」
3 本件訂正の訂正要件の充足についての判断
以下、本件訂正が、訂正要件を満たすか否かについて検討する。
なお、本件特許異議申立てにおいては、全請求項について特許異議の申立てがされているから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する特許法126条7項の独立特許要件は課されない。
(1) 一群の請求項〔1~25〕についての訂正事項について
ア 訂正事項1-1について
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項1-1による訂正は、本件訂正前の請求項1における「感圧センサ」を「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」ものに限定するものである。
したがって、訂正事項1-1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ) 新規事項の有無
訂正事項1-1による訂正は、それぞれ、後記のa及びbに示す、願書に添付した特許請求の範囲の請求項11に記載された事項及び願書に添付した明細書の段落【0178】に記載された事項を根拠とするものであるから、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項1-1による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
a 請求項11
「【請求項11】
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。」
b 明細書の段落【0178】
「【0178】
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と
を備える電子機器。
(2)
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられている(1)に記載の電子機器。
(3)
前記外装体は、該外装体を前記センシング面に向けて押圧することで、前記センシング面を押圧可能に構成されている(1)または(2)に記載の電子機器。
(4)
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面である(1)から(3)のいずれかに記載の電子機器。
(5)
前記外装体と前記感圧センサとの間、および前記支持体と前記感圧センサとの間のうちの少なくとも一方に緩衝材をさらに備える(1)から(4)のいずれかに記載の電子機器。
(6)
前記緩衝材は、発泡樹脂を含んでいる(6)に記載の電子機器。
(7)
前記外装体の内側面および前記センシング面のうち少なくとも一方に凸部が設けられている(1)から(6)のいずれかに記載の電子機器。
(8)
前記外装体は、金属または高分子樹脂を含んでいる(1)から(7)のいずれかに記載の電子機器。
(9)
前記感圧センサは、
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備える(1)から(8)のいずれかに記載の電子機器。
・・・(中略)・・・
(20)
複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、
前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、
前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層と
を備え、
前記変形層は、発泡樹脂を含んでいるセンサ。」
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、訂正事項1-1による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
したがって、訂正事項1-1による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
イ 訂正事項1-2について
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項1-2による訂正は、本件訂正前の請求項2における「緩衝材」の位置を、「前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間」の位置に限定するとともに、「感圧センサ」を「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」ものに限定するものである。
したがって、訂正事項1-2による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ) 新規事項の有無
訂正事項1-2による訂正は、後記のa及びbに示す本件特許明細書等の段落【0016】、【0102】、【図1】及び【図14】に記載された事項、並びに、請求項11及び段落【0178】に記載された事項(前記ア(イ)参照)を根拠とするものであるから、訂正事項1-2による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項1-2による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
a 明細書の段落【0016】、【図1】
「【0016】
(フレーム)
主面部11Mに垂直な方向からフレーム12を平面視すると、フレーム12は、主面部11Mよりやや小さい矩形状を有している。フレーム12は、側壁部11R、11Lの内側面11SR、11SLそれぞれに対向する支持面12SR、12SLを有している。支持面12SRには、側壁部11Rの内側面11SRとセンシング面20Sとが対向するようにして、センサ20が支持されている。センシング面20Sと内側面11SRとの間には空間が設けられている。支持面12SLには、側壁部11Lの内側面11SLとセンシング面20Sとが対向するようにして、センサ20が支持されている。センシング面20Sと内側面11SLとの間には空間が設けられている。」
「【図1】
[図:0001398251000001.jpg]
」
b 明細書の段落【0102】、【図14】
「【0102】
[変形例]
(側面部の構成の変形例)
電子機器10は、図14Aに示すように、センシング面20Sと内側面11SRとの間にシート状の緩衝材71をさらに備えるようにしてもよい。緩衝材71は、発泡樹脂を含んでいる。発泡樹脂は、いわゆるスポンジであり、例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリオレフィン、発泡アクリルおよびスポンジゴムなどのうちの少なくとも1種である。」
「【図14】
[図:0001398251000002.jpg]
」
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、訂正事項1-2による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
したがって、訂正事項1-2による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
ウ 訂正事項1-3について
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項1-3による訂正は、本件訂正前の請求項3における「感圧センサ」を「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」ものに限定するものである。
したがって、訂正事項1-3による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ) 新規事項の有無
訂正事項1-3による訂正は、本件特許明細書等の請求項11及び段落【0178】に記載された事項(前記ア(イ)参照)を根拠とするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項1-3による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、訂正事項1-3による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
したがって、訂正事項1-3による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
エ 訂正事項1-4について
(ア) 訂正の目的の適否
本件訂正前の請求項9の記載においては、「凸部」が、本願特許の明細書の段落【0105】及び【0109】に記載された「凸部としての押し子」を意味するものであるのか、それとも、明細書の段落【0014】に記載された「凸部11a」を意味するものであるのか明瞭でなかったところ、訂正事項1-4による訂正は、「凸部」を「凸部としての押し子」と訂正することにより前者の意味であることを明らかにするものである。
したがって、訂正事項1-4による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(イ) 新規事項の有無
訂正事項1-4による訂正は、次のa及びbに示す、本件特許明細書等の段落【0105】及び【0109】に記載された事項を根拠とするものであるから、訂正事項1-4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項1-4による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合するものである。
a 明細書の段落【0105】
「【0105】
電子機器10が、図14Bに示すように、凸部としての押し子72をセンシング面20Sにさらに備えるようにしてもよい。押し子72は、センシング面20SにおいてX軸方向に向かって連続的に設けられていてもよいし、不連続的に設けられていてもよい。」
b 明細書の段落【0109】
「【0109】
電子機器10が、図15Bに示すように、凸部としての押し子73を内側面11SRにさらに備えるようにしてもよい。押し子73は、内側面11SRにおいてX軸方向に向かって連続的に設けられていてもよいし、不連続的に設けられていてもよい。」
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、訂正事項1-4による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは、明らかである。
したがって、訂正事項1-4による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
オ 訂正事項1-5について
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項1-5による訂正は、請求項11を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ) 新規事項の有無
訂正事項1-5による訂正は、請求項11を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1-5による訂正は、請求項11を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかであり、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
カ 訂正事項1-6~訂正事項1-14について
訂正事項1-6~1-14は、訂正事項1-1~1-3、1-5に整合させるため、訂正前の請求項12~19、25の引用元の請求項を変更するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、前記ア~ウ、オの検討結果を踏まえれば、訂正事項1-6~1-14による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであることは明らかであるから、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
さらに、以上の検討結果を踏まえると、訂正事項1-6~1-14による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかであるから、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
キ 訂正事項1-15~1-17について
訂正事項1-15~1-17による訂正は、いずれも適法な訂正である訂正事項1-1~1-3による特許請求の範囲の訂正(前記ア~ウ参照)に伴い、明細書の記載を当該訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためにする明細書についての訂正である。
したがって、訂正事項1-15~1-17による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
前記ア(イ)(ウ)、前記イ(イ)(ウ)及び前記ウ(イ)(ウ)の検討を踏まえれば、訂正事項1-15~1-17による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(2) 請求項26に関わる訂正事項
ア 訂正事項2-1について
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項2-1による訂正は、本件訂正前の請求項26における「感圧センサ」を「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」ものに限定するものである。
したがって、訂正事項2-1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ) 新規事項の有無
訂正事項2-1による訂正は、本件特許明細書等の請求項11及び段落【0178】に記載された事項(前記(1)ア(イ)参照)を根拠とするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項2-1による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、訂正事項2-1による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
したがって、訂正事項2-1による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
イ 訂正事項2-2について
訂正事項2-2は、適法な訂正である訂正事項2-1による特許請求の範囲の訂正(前記ア参照)に伴い、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためにする明細書についての訂正である。
したがって、訂正事項2-2は、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、前記ア(イ)(ウ)の検討を踏まえると、訂正事項2-2による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(3) 請求項27に関わる訂正事項
ア 訂正事項3-1について
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項3-1による訂正は、本件訂正前の請求項27における「緩衝材」の位置を、「前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間」の位置に限定するとともに、「感圧センサ」を「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」ものに限定するものである。
したがって、当該訂正事項3-1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ) 新規事項の有無
訂正事項3-1による訂正は、本件特許明細書等の段落【0016】及び【0102】に記載された事項(前記(1)イ(イ))、並びに、請求項11及び段落【0178】に記載された事項(前記(1)ア(イ)参照)を根拠とするものであるから、訂正事項3-1による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項3-1による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、訂正事項3-1による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
したがって、訂正事項3-1による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
イ 訂正事項3-2について
訂正事項3-2は、適法な訂正である訂正事項3-1による特許請求の範囲の訂正(前記ア参照)に伴い、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためにする明細書についての訂正である。
したがって、訂正事項3-2は、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、前記ア(イ)(ウ)の検討を踏まえると、訂正事項3-2による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(4) 請求項28に関わる訂正事項
ア 訂正事項4-1について
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項4-1による訂正は、本件訂正前の請求項28における「感圧センサ」を「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」ものに限定するものである。
したがって、訂正事項4-1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ) 新規事項の有無
訂正事項4-1による訂正は、本件特許明細書等の請求項11及び段落【0178】に記載された事項(前記(1)ア(イ)参照)を根拠とするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項4-1による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、訂正事項4-1による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
したがって、訂正事項4-1による訂正は、特許法120条の5第9項で準用する特許法126条6項に適合する。
イ 訂正事項4-2について
訂正事項4-2は、適法な訂正である訂正事項4-1による特許請求の範囲の訂正(前記ア参照)に伴い、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためにする明細書についての訂正である。
したがって、訂正事項4-2による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、前記ア(イ)(ウ)の検討を踏まると、訂正事項4-2による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
4 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1-1から訂正事項4-2は、いずれも、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮又は同法同条同項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明のいずれかを目的とするものに該当し、同法同条同項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
なお、本件特許においては、全請求項について特許異議の申立てがされているから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する特許法126条7項の独立特許要件は課されない。
したがって、前記結論のとおり、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、それぞれ訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~25〕、26、27、28について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件特許の請求項1~10、12~28に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」などという。)は、それぞれ、前記第2の1(2)に示した訂正特許請求の範囲の請求項1~10、12~28に記載された事項により特定されるとおりのものである。なお、請求項11は、本件訂正により削除された。
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~28に係る特許に対して、当審において令和4年8月1日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1) 請求項1~7、26~28に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において発行された下記の文献に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するから、請求項1~7、26~28に係る特許は、同法29条1項の規定に違反してされたものである。
記
甲1号証 :特開2014-72737号公報
(2) 請求項1~10、20、24~28に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において発行された下記の文献に記載された発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10、20、24~28に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
記
甲1号証 :特開2014-72737号公報
(3) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、請求項2、5、8~25、27に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
ア 明確性要件違反1について
(ア) 請求項2に係る発明について
a 請求項2は、次の事項(a)及び事項(b)を含むものである。
事項(a) 「前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置[する]」
事項(b) 「前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられている」
b 前記事項(a)は本願明細書の段落【0102】~【0115】、前記事項(b)は本願明細書の段落【0016】において開示されているが、前記事項(a)及び前記事項(b)が両立する場合については、本願明細書において少なくとも直接的には記載されていない。
c また、前記事項(a)及び前記事項(b)が両立する態様としては、以下の態様(a)及び態様(b)を想定することができる。
態様(a) 緩衝材と空間は別の場所に存在する(例えば、センシング面の上面に緩衝材が貼り付けられ、緩衝材の上面と外装体の内側面との間に空間がある。)
態様(b) 緩衝材と空間は同じ場所に存在する(例えば、外装体の内側面とセンシング面の間の空間は、緩衝材によって埋め尽くされている。)
d しかしながら、請求項2における前記事項(a)及び前記事項(b)を含む特定が、前記態様(a)及び前記態様(b)のいずれを意味するものであるのか不明である。
e よって、請求項2に係る発明は、明確でない。
(イ) 請求項5、8~25、27に係る発明について
請求項27に係る発明も、前記(ア)の前記事項(a)及び前記事項(b)を含むものであるから、明確でない。
請求項2の記載を引用する請求項5、8~25に係る発明についても、前記(ア)と同様であり、明確でない。
イ 明確性要件違反2について
(ア) 請求項9に係る発明について
a 請求項9において「前記外装体の内側面および前記センシング面のうち少なくとも一方に凸部が設けられている」と記載されている。
b 本願明細書において「凸部」に関する記載としては、以下の記載(a)及び記載(b)の二つがある。
記載(a) 「内側面11SRの先端部の近傍には凸部11aが設けられている。凸部11aは、フレーム12の支持面12SRに設けられた凹部12aと噛み合うように構成されている。」(段落【0014】)
記載(b) 「電子機器10が、図14Bに示すように、凸部としての押し子72をセンシング面20Sにさらに備えるようにしてもよい。」(段落【0105】)及び「電子機器10が、図15Bに示すように、凸部としての押し子73を内側面11SRにさらに備えるようにしてもよい。」(段落【0109】)
c 請求項9における「凸部」は、本願明細書における「凸部としての押し子」を意味するものであるのか、本願明細書における「凸部11a」を意味するものであるのか、不明である。
d よって、請求項9に係る発明は、明確でない。
(イ) 請求項25に係る発明について
請求項9の記載を引用する請求項25に係る発明についても、前記(ア)と同様であり、明確でない。
(4) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、請求項2、5、8~25、27に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
ア サポート要件違反1について
(ア) 請求項2に係る発明について
a 前記(3)ア(ア)に示したとおり、請求項2における前記事項(a)及び前記事項(b)を含む特定が、前記態様(a)及び前記態様(b)のいずれを意味するものであるのか不明であるところ、前記態様(a)は、発明の詳細な説明に記載されていない。
b なお、本願図面の図14等において、内側面11SRと緩衝材71の間に隙間がある様相が示されているものの、電子機器10の実際の状態において凸部11aと凹部12aが噛み合うにも関わらず、図14等において両者が噛み合わずに離れていることからすれば、図14は電子機器10の実際の状態を示すものではなく、積層構造を示すためのものであると解されるから、電子機器10の実際の状態において前記隙間が存在するとは認められない。
c 前記のとおり、前記事項(a)及び前記事項(b)が両立する場合については、本願明細書において少なくとも直接的には記載されておらず、また、その態様として想定される前記態様(a)は、発明の詳細な説明に記載されていない。
d よって、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
(イ) 請求項5、8~25、27に係る発明について
請求項27に係る発明も、前記(3)ア(ア)の前記事項(a)及び前記事項(b)を含むものであるから、発明の詳細な説明に記載したものでない。
請求項2の記載を引用する請求項5、8~25に係る発明についても、前記(ア)と同様であり、発明の詳細な説明に記載したものでない。
イ サポート要件違反2について
(ア) 請求項9に係る発明について
a 前記(3)イ(ア)に示したとおり、請求項9における「凸部」は、本願明細書における「凸部としての押し子」を意味するものであるのか、本願明細書における「凸部11a」を意味するものであるのか、不明であるが、仮に、後者の意味であると解したとする。
b 本願明細書の段落【0014】には「内側面11SRの先端部の近傍には凸部11aが設けられている。凸部11aは、フレーム12の支持面12SRに設けられた凹部12aと噛み合うように構成されている。」と記載されているから、本願明細書には「前記外装体の内側面」「に凸部が設けられている」ことは記載されていると認められる。
c しかしながら「前記センシング面」「に凸部が設けられている」ことは、本願明細書において何ら記載されていない。
d よって、請求項9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
(イ) 請求項25に係る発明について
請求項9の記載を引用する請求項25に係る発明についても、前記(ア)と同様であり、発明の詳細な説明に記載したものでない。
(5) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、請求項2、5、8~25、27に係る特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
ア 委任省令要件違反について
(ア) 請求項2に係る発明について
a 前記(3)ア(ア)に示したとおり、請求項2における前記事項(a)及び前記事項(b)を含む特定が、前記態様(a)及び前記態様(b)のいずれを意味するものであるのか不明であるところ、前記態様(a)は、発明の詳細な説明に記載されたものでなく、本願明細書等の記載を参酌しても、その発明の技術上の意義を理解することができない。
b よって、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明の記載が、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないため、請求項2に係る発明は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(イ) 請求項5、8~25、27に係る発明について
請求項27に係る発明も、前記(3)ア(ア)の前記事項(a)及び前記事項(b)を含むものであるから、発明の詳細な説明の記載が、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。
請求項2の記載を引用する請求項5、8~25に係る発明についても、前記(ア)と同様であり、発明の詳細な説明の記載が、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。
2 甲1発明の認定
(1) 甲1号証に記載された事項
本件特許の優先日前に発行された甲1号証(特開2014-72737号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は当審が付与したものであり、以下同様である。
ア 請求項1
「【請求項1】
本体と、
前記本体の少なくとも一部を覆うように設けられた圧力センサと、
前記本体に着脱可能に取り付けられるとともに、前記圧力センサの少なくとも一部を覆うカバーと、
を備える携帯電子機器。」
イ 段落【0001】
「【0001】
本発明は、本体に圧力センサが設けられ、圧力センサがカバーで覆われ、このカバーが本体に着脱可能に取り付けられる携帯電子機器に関する。」
ウ 段落【0027】~【0048】
「【0027】
(第1実施形態)
図1、図2に示すように、携帯電子機器10は、機器本体(本体)11と、機器本体11の背面11B側に設けられた圧力センサ14と、圧力センサ14を覆うセンサ保護シート16と、センサ保護シート16を覆うカバー18とを備えている。
【0028】
機器本体11は、平面視略四角形の外形形状に形成され、表面11Aに表示部、操作部及びスピーカなどを備え、背面11B、左側面11C及び右側面11Dに電池21を収納する電池収納部12を備えている。
【0029】
圧力センサ14は、機器本体11の背面側に配置され、本体の少なくとも一部を覆うように設けられたフレキシブルプリント基板である。
この圧力センサ14は、機器本体11の背面11Bを覆う背面圧力センサ22と、機器本体11の左側面11Cを覆う左側面圧力センサ23と、機器本体11の右側面11Dを覆う右側面圧力センサ24とを含む。
【0030】
背面圧力センサ22は、機器本体11の背面11Bのうち電池収納部12を回避した部位11Eを覆うように略コ字状に形成されている。
左側面圧力センサ23は、背面圧力センサ22の左端に設けられ、機器本体11の左側面を覆うように帯状に形成されている。また、右側面圧力センサ24は、背面圧力センサ22の右端に設けられ、機器本体11の右側面を覆うように帯状に形成されている。
【0031】
カバー18は、機器本体11に着脱可能に取り付けられ、センサ保護シート16(すなわち、圧力センサ14)を覆うように形成されている。
圧力センサ14(具体的には、背面圧力センサ22、左側面圧力センサ23及び右側面圧力センサ24)をカバー18で覆うことにより、圧力センサ14に加わる外力をカバー18によって調整できる。
【0032】
よって、カバー18を変えることにより、圧力センサ14の感度に対する操作感(例えば、握り感や、押し感)を使用者の好みに合わせることができる。これにより、使用者の好みの操作感で圧力センサ14を有効に機能させることができる。
すなわち、カバー18を握る押圧力F(図1参照)を圧力センサ14で検知して、機器本体11に備えた各種表示機能を操作できる。
【0033】
このカバー18は、機器本体11の背面11Bに着脱可能に取り付けられる電池カバー26と、機器本体11の左側面11Cに着脱可能に取り付けられる左側面カバー(側面カバー)27と、機器本体11の左側面11Cに着脱可能に取り付けられる右側面カバー(側面カバー)28と含む。
電池カバー26、左側面カバー27及び右側面カバー28は、各々独立して成形され、各カバー26,27,28が機器本体11に着脱可能な係止爪を備えている。
【0034】
図3に示すように、左側面カバー27を係止爪で機器本体11の左側面11Cに着脱可能に取り付けることができる。また、右側面カバー28を係止爪で機器本体11の右側面11Dに着脱可能に取り付けることができる。
さらに、電池カバー26を係止爪で機器本体11の背面11Bに着脱可能に取り付けることができる。
【0035】
図2、図3に示すように、電池カバー26は、電池収納部12に収納された電池21と、背面11Bに配置された背面圧力センサ22とを覆うように略矩形状に形成されている。
この電池カバー26は、ABS樹脂などで成形された硬質部31と、硬質部31のうち背面圧力センサ22を覆う部分に成形された薄肉部32とを含む。
【0036】
電池カバー26に硬質部31を備えることにより、硬質部31で電池カバー26の剛性を確保し、かつ、硬質部31で機器本体11への嵌合を可能として取付部分の役割を担う。
すなわち、電池カバー26の硬質部31に係止爪が形成され、係止爪を機器本体11に嵌合させることにより、電池カバー26を機器本体11に取り付けた状態に保持できる。
【0037】
薄肉部32は、肉厚寸法が硬質部31より30%程度薄く成形されることにより、使用者の押圧力で弾性変形可能に形成されている。
よって、薄肉部32を使用者の押圧力で弾性変形することにより背面圧力センサ22を柔軟(良好)に操作ができる。
【0038】
背面圧力センサ22の操作を行う部位を薄肉部32とすることにより、操作を行う部位を硬質部31と同じ樹脂で形成できる。これにより、電池カバー26を連続性を持たせた外観にでき、携帯電子機器10の外観性を高めることができる。
【0039】
左側面カバー27は、機器本体11の左側面11Cに配置された左側面圧力センサ23を覆うように略帯状に形成されている。
この左側面カバー27は、各種エラストマーなどで成形され、硬質部31より柔らかい左軟質部(軟質部)27Aを含む。
左軟質部27Aは、使用者の押圧力で弾性変形可能に形成され、左側面圧力センサ23を覆う部位に配置されている。
よって、左軟質部27Aを使用者の押圧力で弾性変形することにより左側面圧力センサ23を操作ができる。
【0040】
右側面カバー28は、左側面カバー27と左右対称のカバーであり、機器本体11の右側面11Dに配置された右側面圧力センサ24を覆うように略帯状に形成されている。
この右側面カバー28は、左側面カバー27と同様に、各種エラストマーなどで成形され、硬質部31より柔らかい右軟質部(軟質部)28Aを含む。
右軟質部28Aは、使用者の押圧力で弾性変形可能に形成され、右側面圧力センサ24を覆う部位に配置されている。
よって、右軟質部28Aを使用者の押圧力で弾性変形することにより右側面圧力センサ24を操作ができる。
【0041】
電池カバー26に薄肉部32を含み、さらに左側面カバー27に左軟質部27Aを含み、加えて右側面カバー28に右軟質部28Aを含むことにより、圧力センサ14を配置する部位を広範囲に確保できる。
これにより、圧力センサ14の配置部位を決める際に設計の自由度を高めることができる。
【0042】
電池カバー26、左側面カバー27及び右側面カバー28が各々独立して機器本体11に着脱可能に構成されている。
よって、電池カバー26、左側面カバー27及び右側面カバー28を使用者の好みに合わせて各々独立して選択できる。これにより、使用者の好みの操作感で圧力センサ14を一層有効に機能させることができる。
【0043】
センサ保護シート16は、圧力センサ14を覆うように圧力センサ14の外形に実質的に等しい外形にPETなどの樹脂で形成されている。
このセンサ保護シート16は、背面圧力センサ22を覆う背面保護シート35と、左側面圧力センサ23を覆う左側面保護シート36と、右側面圧力センサ24を覆う右側面保護シート37とを含む。
【0044】
背面保護シート35が電池カバー26と背面圧力センサ22との間に配置され、背面圧力センサ22が背面保護シート35で保護されている。
左側面保護シート36が左側面カバー27と左側面圧力センサ23との間に配置され、左側面圧力センサ23が左側面保護シート36で保護されている。さらに、右側面保護シート37が右側面カバー28と右側面圧力センサ24との間に配置され、右側面圧力センサ24が右側面保護シート37で保護されている。
このように、圧力センサ14をセンサ保護シート16で保護できるので、圧力センサ14の信頼性をさらに高めることができる。
【0045】
次に、第2実施形態、第3実施形態を図4、図5に基づいて説明する。
なお、第2実施形態、第3実施形態において第1実施形態の携帯電子機器10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0046】
(第2実施形態)
図4に示すように、第2実施形態のカバー40は、電池カバー42、左側面カバー(側面カバー)43及び右側面カバー(側面カバー)44が一体的に成形されたもので、その他の構成は第1実施形態のカバー18と同様である。
【0047】
電池カバー42は、第1実施形態の電池カバー26と同様に、ABS樹脂などで成形された硬質部47と、硬質部47のうち背面圧力センサ22(図2参照)を覆う部分に成形された薄肉部32とを含む。
また、左側面カバー43は、第1実施形態の左側面カバー27と同様に、各種エラストマーなどで成形され、硬質部31より柔らかい左軟質部(軟質部)43Aを含む。
さらに、右側面カバー44は、第1実施形態の右側面カバー28と同様に、各種エラストマーなどで成形され、硬質部31より柔らかい右軟質部(軟質部)44Aを含む。
【0048】
電池カバー42、左側面カバー43及び右側面カバー44が一体的に成形されることにより、カバー40(電池カバー42、左側面カバー43及び右側面カバー44)の連続性を持たせることができ、カバー40の外観性を高めることができる。
ABS樹脂などで成形された硬質部47と、各種エラストマーなどで成形された左軟質部(軟質部)43A、右軟質部(軟質部)44Aは異なる材料で成形されているが、二色成形などの方法により成形することができる。」
エ 段落【0052】~【0056】
「【0052】
(第4実施形態)
図6に示すように、第4実施形態においては、圧力センサ14及びセンサ保護シート16上に、電池カバー側クッション材60および側面カバー側クッション材61、62が貼付けられている。電池カバー側クッション材60は、電池カバー26に対応して設けられている。側面カバー側クッション材61、62の各々は、側面カバー27、28に対応して設けられている。
【0053】
電池カバー側クッション材60は、第1実施形態における薄肉部32の輪郭形状にほぼ等しい輪郭形状を有した平板状のクッション材である。一方、側面カバー側クッション材61、62は、第1実施形態における側面カバー27、28に対応したスロット形状を有している。
【0054】
これらのクッション材は、ウレタンなどの圧力を吸収する素材により形成されている。そして、電池カバー26および側面カバー27、28と、センサ保護シート16との間に形成された隙間を埋めることで、電池カバー26および側面カバー27、28と、センサ保護シート16と、圧力センサ14とが密に接触可能な状態を達成する。使用者による電池カバー26および側面カバー27、28の押下時における、圧力センサ14の検出精度が向上する。
【0055】
すなわち、電池カバー側クッション材60、側面カバー側クッション材61及び62が、センサ保護シート16と、電池カバー26及び左側面カバー27、右側面カバー28の間に備えられており、各々の構造隙間を埋める役割を果たしている。
このことにより、電池カバー26及び左側面カバー27、右側面カバー28を押下したときに圧力センサ14に伝わる圧力を的確に伝えることが出来るので、圧力センサ14の精度を向上することができる。
【0056】
本実施形態においては、センサ保護シート16が設けられており、クッション材はセンサ保護シート16とカバー40(電池カバー42、左側面カバー43及び右側面カバー44)との間に設けられている。ただし、センサ保護シート16が設けられない場合、クッション材は、圧力センサ14とカバー40(電池カバー42、左側面カバー43及び右側面カバー44)との間に設ければよい。」
オ 図1~4、6
「
[図:0001398251000003.jpg]
」
「
[図:0001398251000004.jpg]
」
「
[図:0001398251000005.jpg]
」
「
[図:0001398251000006.jpg]
」
「
[図:0001398251000007.jpg]
」
(2) 甲1号証に記載された発明の認定
前記(1)を総合すると、甲1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
<甲1発明>
「機器本体(本体)11と、
機器本体11の背面11B側に設けられた圧力センサ14と、
圧力センサ14を覆うセンサ保護シート16と、
センサ保護シート16を覆うカバー18と、
を備える携帯電子機器10であって、(請求項1、【0027】)
圧力センサ14は、機器本体11の背面11Bを覆う背面圧力センサ22と、機器本体11の左側面11Cを覆う左側面圧力センサ23と、機器本体11の右側面11Dを覆う右側面圧力センサ24とを含み、(【0029】)
背面圧力センサ22は、機器本体11の背面11Bのうち電池収納部12を回避した部位11Eを覆うように略コ字状に形成され、
左側面圧力センサ23は、背面圧力センサ22の左端に設けられ、機器本体11の左側面を覆うように帯状に形成され、右側面圧力センサ24は、背面圧力センサ22の右端に設けられ、機器本体11の右側面を覆うように帯状に形成され、(【0030】)
カバー18を握る押圧力Fを圧力センサ14で検知して、機器本体11に備えた各種表示機能を操作でき、(【0032】)
カバー18は、機器本体11の背面11Bに着脱可能に取り付けられる電池カバー26と、機器本体11の左側面11Cに着脱可能に取り付けられる左側面カバー(側面カバー)27と、機器本体11の左側面11Cに着脱可能に取り付けられる右側面カバー(側面カバー)28と含み、(【0033】)
左側面カバー27を係止爪で機器本体11の左側面11Cに着脱可能に取り付けることができ、(【0034】)
左側面カバー27は、機器本体11の左側面11Cに配置された左側面圧力センサ23を覆うように略帯状に形成され、
左側面カバー27は、各種エラストマーなどで成形され、(【0039】)
センサ保護シート16は、背面圧力センサ22を覆う背面保護シート35と、左側面圧力センサ23を覆う左側面保護シート36と、右側面圧力センサ24を覆う右側面保護シート37とを含み、(【0043】)
カバー40は、電池カバー42、左側面カバー(側面カバー)43及び右側面カバー(側面カバー)44が一体的に成形されたものであり、(【0046】)
電池カバー側クッション材60、側面カバー側クッション材61及び62が、センサ保護シート16と、電池カバー26及び左側面カバー27、右側面カバー28の間に備えられており、各々の構造隙間を埋める役割を果たしており、(【0055】)
これらのクッション材は、ウレタンなどの圧力を吸収する素材により形成されている、(【0054】)
携帯電子機器10。」
3 当審の判断
(1) 29条1項3号(新規性)、2項(進歩性)について
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
a 甲1発明における「電池カバー26と、」「左側面カバー(側面カバー)27と、」「右側面カバー(側面カバー)28」を「含[む]」「カバー18」は、本件発明1における「外装体」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明は「外装体」を備える点で一致する。
b 甲1発明における「背面圧力センサ22と、」「左側面圧力センサ23と、」「右側面圧力センサ24とを含[む]」「圧力センサ14」は、本件発明1における「感圧センサ」に相当する。
また、甲1発明において、「背面圧力センサ22」は「機器本体11」の「部位11Eを覆う」こと、「左側面圧力センサ23」は「機器本体11の左側面を覆う」こと、「右側面圧力センサ24」は「機器本体11の右側面を覆う」こと、及び、「圧力センサ14」は「カバー18を握る押圧力Fを」「検知[する]」ことから、甲1発明における「圧力センサ14」は、センシング面を有するものであると認められる。
よって、本件発明1と甲1発明は「センシング面を有する感圧センサ」を備える点で一致する。
c 甲1発明において、「左側面圧力センサ23は、」「機器本体11の左側面を覆うように帯状に形成され、」また、「左側面カバー27は、機器本体11の左側面11Cに配置された左側面圧力センサ23を覆うように略帯状に形成され[る]」ものであって、前記(ア)及び(イ)を踏まえると、「左側面圧力センサ23」のセンシング面と「左側面カバー27」の内側面が対向していることは明らかといえる。
そうすると、甲1発明における「機器本体11の左側面11C」は、「前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明は「前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体」を備える点で一致する。
d 甲1発明において、「この左側面カバー27は、各種エラストマーなどで成形され[る]」から、本件発明1と甲1発明は、「前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である」点で一致する。
e 甲1発明における「携帯電子機器10」は、本件発明1における「電子機器」に相当するから、本件発明1と甲1発明は、「電子機器」の発明である点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)aからeの対比の結果をまとめると、本件発明1と甲1発明は、次の一致点1において一致し、後記の相違点1において相違する。
<一致点1>
「 外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と
を備え、
前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である電子機器」である点。
<相違点1>
感圧センサが、
本件発明1においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲1発明においては、「圧力センサ14」の具体的構成について特定されていない点。
(ウ) 相違点1についての当審の判断
前記相違点1について検討する。
甲1発明には、本件発明1の「感圧センサ」に相当する「圧力センサ14」の具体的構成が特定されていない。
前記相違点1に係る構成が、甲1号証において開示されておらず、また、当該構成が周知技術であると認めるに足る証拠は発見できていない。
したがって、本件発明1は、当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(エ) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和4年12月6日に提出された意見書の3頁において、「この内容について、本件特許査定前、令和3年2月2日に発行された拒絶理由通知は、「どのような感圧センサを用いるかは、当業者が適宜決定し得るもの」として進歩性を否定している。特許異議申立人は、当該訂正は周知事項を請求項に加えるにすぎず、訂正後の各請求項も引き続き進歩性を有さないと思料する。」と主張する。
しかしながら、特許異議申立人は、相違点1に係る構成が周知の事項であることを示す証拠は何ら提示しておらず、当該構成が周知技術であると認めるに足る証拠は発見できていないから、相違点1に係る構成の感圧センサを用いることについて、当業者が適宜決定し得るものとは認められない。
したがって、特許異議申立人の前記主張は、採用できるものではない。
(オ) 小括
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明1は甲1発明でないから、本件発明1に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)及び(エ)において検討したとおり、本件発明1は当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
イ 本件発明2について
(ア) 本件発明2と甲1発明の対比
a 前記ア(ア)における本件発明1と甲1発明の対比の検討結果を、本件発明2と甲1発明の対比にも援用する。
b 甲1発明における「側面カバー側クッション材61」は、本件発明2における「緩衝材」に相当する。
よって、本件発明2と甲1発明は「緩衝材」を備える点で一致する。
c 甲1発明における「構造隙間」は、本件発明2における「空間」に相当する。
甲1発明において、「側面カバー側クッション材61」は「センサ保護シート16と」「左側面カバー27」「の間に備えられており、各々の構造隙間を埋める役割を果たしており」、「センサ保護シート16は、」「左側面圧力センサ23を覆う左側面保護シート36」「を含[む]」から、甲1発明において、「構造隙間」は「左側面カバー27」の内側面と「左側面圧力センサ23」の間に位置すると認められる。
よって、本件発明2と甲1発明は「前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられ[ている]」点で一致する。
d 甲1発明において、「側面カバー側クッション材61」は「センサ保護シート16と」「左側面カバー27」「の間に備えられており」、「センサ保護シート16は、」「左側面圧力センサ23を覆う左側面保護シート36」「を含[む]」から、前記cを踏まえると、甲1発明において、「側面カバー側クッション材61」は「左側面圧力センサ23」と「左側面カバー27」の間の「構造隙間」に備えられていると認められる。
よって、本件発明2と甲1発明は「前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置[する]」点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の検討結果をまとめると、本件発明2と甲1発明は、次の一致点2において一致し、後記の相違点2において相違する。
<一致点2>
「 外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられ、
前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置する電子機器」である点。
<相違点2>
感圧センサが、
本件発明2においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲1発明においては、「圧力センサ14」の具体的構成について特定されていない点。
(ウ) 相違点2についての当審の判断
相違点2に係る構成は、前記アの相違点1に係る構成と同じものである。
そして、当該相違点1については前記ア(ウ)において検討したとおりであるから、相違点2に係る構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たものであるとはいえない。
(エ) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和4年12月6日に提出された意見書の3頁において、請求項2、3、26~28についても請求項1と同様の主張を行っているところ、当該主張が採用できるものでないことは、前記ア(エ)において検討したとおりである。
(オ) 小括
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明2は甲1発明でないから、本件発明2に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)及び(エ)において検討したとおり、本件発明2は当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明2に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
ウ 本件発明3について
(ア) 本件発明3と甲1発明の対比
a 前記ア(ア)における本件発明1と甲1発明の対比の検討結果及び前記イ(ア)における本件発明2と甲1発明の対比の検討結果を、本件発明3と甲1発明の対比にも援用する。
b 甲1発明における「左側面カバー27」は、「機器本体11の左側面11Cに着脱可能に取り付けられる」ものであって、「カバー18」の側面部分であるといえるから、本件発明3における「外装体」の「側壁部」に相当し、本件発明3と甲1発明は「前記外装体は、側壁部を有[する]」点で一致する。
c 甲1発明において、「左側面カバー27は、機器本体11の左側面11Cに配置された左側面圧力センサ23を覆うように略帯状に形成され[る]」ものであるから、本件発明3と甲1発明は「前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面であ[る]」点で一致する。
d 甲1発明において、「側面カバー側クッション材61」は「センサ保護シート16と」「左側面カバー27」「の間に備えられており」、「センサ保護シート16は、」「左側面圧力センサ23を覆う左側面保護シート36」「を含[む]」から、甲1発明において、「側面カバー側クッション材61」は「左側面圧力センサ23」と「左側面カバー27」の間に備えられていると認められる。
よって、本件発明3と甲1発明は「前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置[する]」点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の検討結果を総合すると、本件発明3と甲1発明は、次の一致点3において一致し、後記の相違点3において相違する。
<一致点3>
「 外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面であり、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置する電子機器」である点。
<相違点3>
感圧センサが、
本件発明3においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲1発明においては、「圧力センサ14」の具体的構成について特定されていない点。
(ウ) 相違点3についての当審の判断
相違点3に係る構成は、前記アの相違点1に係る構成と同じものである。
そして、当該相違点1については前記ア(ウ)において検討したとおりであるから、相違点3に係る構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たものであるとはいえない。
(エ) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和4年12月6日に提出された意見書の3頁において、請求項2、3、26~28についても請求項1と同様の主張を行っているところ、当該主張が採用できるものでないことについては、前記ア(エ)において検討したとおりである。
(オ) 小括
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明3は甲1発明でないから、本件発明3に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)及び(エ)において検討したとおり、本件発明3は当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明3に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
エ 本件発明4~10、12~25について
本件発明4~10、12~25も、本件発明1~3と同様に、前記相違点1~3のいずれかに係る構成を備えるものであるから、本件発明1~3と同様の理由により、本件発明4~10、12~25は、甲1発明でないから、本件発明4~10、12~25に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものではない。
また、本件発明1~3と同様の理由により、本件発明4~10、12~25は当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明4~10、12~25に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
オ 本件発明26について
(ア) 本件発明26と甲1発明の対比
a 前記ア(ア)における本件発明1と甲1発明の対比の検討結果を、本件発明26と甲1発明の対比にも援用する。
b 甲1発明は「カバー18を握る押圧力Fを圧力センサ14で検知して、機器本体11に備えた各種表示機能を操作でき[る]」ものであるから、入力装置の発明である。
よって、本件発明26と甲1発明は、「入力装置」の発明である点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の対比の結果をまとめると、本件発明26と甲1発明は、次の一致点4において一致し、後記の相違点4において相違する。
<一致点4>
「 外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と
を備え、
前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である入力装置」である点。
<相違点4>
感圧センサが、
本件発明26においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲1発明においては、「圧力センサ14」の具体的構成について特定されていない点。
(ウ) 相違点4についての当審の判断
相違点4に係る構成は、前記アの相違点1に係る構成と同じものである。
そして、当該相違点1については前記ア(ウ)において検討したとおりであるから、相違点4に係る構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たものであるとはいえない。
(エ) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和4年12月6日に提出された意見書の3頁において、請求項2、3、26~28についても請求項1と同様の主張を行っているところ、当該主張が採用できるものでないことは、前記ア(エ)において検討したとおりである。
(オ) 小括
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明26は甲1発明でないから、本件発明26に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)及び(エ)において検討したとおり、本件発明26は当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明26に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
キ 本件発明27について
(ア) 本件発明27と甲1発明の対比
a 前記イ(ア)における本件発明2と甲1発明の対比の検討結果を、本件発明27と甲1発明の対比にも援用する。
b 甲1発明は「カバー18を握る押圧力Fを圧力センサ14で検知して、機器本体11に備えた各種表示機能を操作でき[る]」ものであるから、入力装置の発明である。
よって、本件発明27と甲1発明は、「入力装置」の発明である点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の検討結果をまとめると、本件発明27と甲1発明は、次の一致点5において一致し、後記の相違点5において相違する。
<一致点5>
「 外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置し、
前記外装体の内側面と前記センシング面との間に空間が設けられ、
前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置する入力装置」である点。
<相違点5>
感圧センサが、
本件発明27においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲1発明においては、「圧力センサ14」の具体的構成について特定されていない点。
(ウ) 相違点5についての当審の判断
相違点5に係る構成は、前記アの相違点1に係る構成と同じものである。
そして、当該相違点1については前記ア(ウ)において検討したとおりであるから、相違点5に係る構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たものであるとはいえない。
(エ) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和4年12月6日に提出された意見書の3頁において、請求項2、3、26~28についても請求項1と同様の主張を行っているところ、当該主張が採用できるものでないことについては、前記ア(エ)において検討したとおりである。
(オ) 小括
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明27は甲1発明でないから、本件発明27に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)及び(エ)において検討したとおり、本件発明27は当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明27に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
ク 本件発明28について
(ア) 本件発明28と甲1発明の対比
a 前記ウ(ア)における本件発明3と甲1発明の対比の検討結果を、本件発明28と甲1発明の対比にも援用する。
b 甲1発明は「カバー18を握る押圧力Fを圧力センサ14で検知して、機器本体11に備えた各種表示機能を操作でき[る]」ものであるから、入力装置の発明である。
よって、本件発明28と甲1発明は、「入力装置」の発明である点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の対比の結果をまとめると、本件発明28と甲1発明は、次の一致点6において一致し、後記の相違点6において相違する。
<一致点6>
「 外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
緩衝材と
を備え、
前記外装体は、側壁部を有し、
前記センシング面と対向する前記外装体の内側面は、前記側壁部の内側面であり、
前記緩衝材は、前記センシング面と前記外装体の間に位置する入力装置。」
<相違点6>
感圧センサが、
本件発明28においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲1発明においては、「圧力センサ14」の具体的構成について特定されていない点。
(ウ) 相違点6についての当審の判断
相違点6に係る構成は、前記アの相違点1に係る構成と同じものである。
そして、当該相違点1については前記ア(ウ)において検討したとおりであるから、相違点6に係る構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たものであるとはない。
(エ) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和4年12月6日に提出された意見書の3頁において、請求項2、3、26~28についても請求項1と同様の主張を行っているところ、当該主張が採用できるものでないことについては、前記ア(エ)において検討したとおりである。
(オ) 小括
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明28は甲1発明でないから、本件発明28に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)及び(エ)において検討したとおり、本件発明28は当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明28に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
(2) 36条6項1号及び2号並びに同条4項1号について
ア 36条6項2号(明確性要件)について
(ア) 本件発明2、5、8~25、27について
前記第2の2(2)イで示したとおり、本件訂正により、請求項2において、「前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置」することが特定され、前記1(3)ア(ア)において示した取消理由通知中の「態様(b)」の「緩衝材と空間は同じ場所に存在する」という構成が明確になった。
請求項27においても同様である。
そして、請求項11は、前記第2の2(2)オのとおり、本件訂正により削除された。
したがって、本件発明2、5、8~25、27は明確である。
(イ) 本件発明9、25について
前記第2の2(2)エで示したとおり、本件訂正により、請求項9において、「凸部」が「凸部としての押し子」であることが特定され、構成が明確になった。
したがって、本件発明9、25は明確である。
イ 36条6項1号(サポート要件)について
(ア) 本件発明2、5、8~25、27について
前記第2の2(2)イで示したとおり、本件訂正により、請求項2において、「前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置」することが特定され、前記1(3)ア(ア)において示した取消理由通知中の「態様(b)」の「緩衝材と空間は同じ場所に存在する」という構成であることが明確になり、当該構成は本願明細書の発明の詳細な説明に記載されたものと認められる。
請求項27においても同様である。
そして、請求項11は、前記第2の2(2)オのとおり、本件訂正により削除された。
したがって、本件発明2、5、8~25、27は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
(イ) 本件発明9、25について
前記第2の2(2)エで示したとおり、本件訂正により、請求項9において、「凸部」が「凸部としての押し子」であることが特定され、構成が明確になった。
したがって、本件発明9、25は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
ウ 36条4項1号(委任省令要件)について
前記第2の2(2)イで示したとおり、本件訂正により、請求項2において、「前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置」することが特定され、前記1(3)ア(ア)において示した取消理由通知中の「態様(b)」の「緩衝材と空間は同じ場所に存在する」という構成であることが明確になった。
請求項27においても同様である。
そして、請求項11は、前記第2の2(2)オのとおり、本件訂正により削除された。
したがって、本件発明2、5、8~25、27は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしている特許出願に対してされたものである。
エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和4年12月6日に提出された意見書の2頁及び3頁において、
「該「緩衝材」が「空間」に位置し、と述べても、「空間」の全部を埋め尽くしているのか、「空間」の一部に存在しているのかは不明であり、不明確性は解消されていない。したがって、訂正後の請求項2は、明確性要件を充足しない。さらに、訂正後の請求項2は、外装体の内側面とセンシング面との間について、緩衝材で埋め尽くされている場合も、空間と緩衝材の両方が存在する場合も両方含むことになるから、サポート要件も委任省令の要件も満たしていない。」
と主張する。
しかしながら、当該主張について、前記アで説示したとおり、本件発明2は明確である。本件特許の明細書の【0102】には、「センシング面20Sと内側面11SRとの間にシート状の緩衝材71をさらに備えるようにしてもよい。」と記載されており、「緩衝材」が「空間」の全部を埋め尽くす構成と、「空間」の一部に存在する構成の、どちらの構成でも「緩衝材」としての機能を果たすことは可能であり、両方の構成が実質的に記載されていると認められる。
したがって、本件発明2の「前記緩衝材は、前記外装体の内側面と前記センシング面との間の空間に位置」するについて、前記両方の構成を含むものとして明確である。そして、サポート要件も委任省令の要件も満たすと認められる。
以上から、特許異議申立人の主張は、前記ア~ウの結論を左右するものではない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立ての理由について
1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立ての理由の要旨
特許異議申立人が申立てた特許異議申立ての理由のうち、取消理由通知において採用しなかったものは三つあり、それぞれの申立ての理由の要旨は、次の(1)から(3)に示すとおりである。
(1) 甲2に基づく新規性又は進歩性欠如
本件訂正前の本件発明1、25、26は、特開2011-237288号公報(以下「甲2号証」という。)に記載された発明である、又は、甲2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の本件発明1、25、26に係る特許は、特許法29条1項又は2項の規定に違反してされたものである。
(2) 甲3に基づく新規性又は進歩性欠如
本件訂正前の本件発明1、26は、特開2004-50956号公報(以下「甲3号証」という。)に記載された発明である、又は、甲3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の本件発明1、26に係る特許は、特許法29条1項又は2項の規定に違反してされたものである。
(3) 甲4に基づく新規性又は進歩性欠如
本件訂正前の本件発明1、25、26は、特開2013-86186号公報(以下「甲4号証」という。)に記載された発明である、又は、甲4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の本件発明1、25、26に係る特許は、特許法29条1項又は2項の規定に違反してされたものである。
2 甲号証に記載された発明の認定等
(1) 甲2発明の認定
ア 甲2号証に記載された事項
甲2号証には、以下の事項が記載されている
(ア) 【請求項1】、【請求項7】
「【請求項1】
エラストマー製であって、積層方向のばね定数が互いに異なる複数の誘電層が積層されてなる誘電体と、
該誘電体の表側に配置され、エラストマーと、該エラストマーに充填される導電性フィラーと、を有する表側電極と、
該誘電体の裏側に配置され、エラストマーと、該エラストマーに充填される導電性フィラーと、を有する裏側電極と、
を備える静電容量型センサ。
【請求項7】
外装部材と、
該外装部材の表面に積層される請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の静電容量型センサと、
を有し、人間に接触する接触部を備えるサービスロボットのセンサ取付構造。」
(イ) 【0001】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば介護用ロボットの腕部などに配置され、静電容量の変化から荷重を検出可能な静電容量型センサ、およびセンサ取付構造に関する。」
(ウ) 【0059】~【0062】、【図5】
「【0059】
図3~図5に示すように、センサ取付構造2は、接触部3を備えている。接触部3は、外装部材4と静電容量型センサ5とを備えている。外装部材4は、エラストマー製であって、絶縁性を有している。静電容量型センサ5は、外装部材4の外周面に配置されている。静電容量型センサ5は、誘電体50と、表側電極01X~12Xと、裏側電極01Y~12Yと、検出部A0101~A1212と、表側絶縁層51とを備えている。
【0060】
誘電体50は、表側誘電層500と、裏側誘電層501とを備えている。表側誘電層500、裏側誘電層501は、本発明の誘電層に含まれる。表側誘電層500は、裏側誘電層501の表側(径方向外側)に積層されている。表側誘電層500は、ウレタンフォーム(商品名:EFF、株式会社イノアックコーポレーション製)であって、シート状を呈している。表側誘電層500の25%圧縮荷重は、0.0024MPaである。裏側誘電層501は、ウレタンフォーム(商品名:PORON(登録商標) SR-S-24P、株式会社ロジャースイノアック製)であって、シート状を呈している。裏側誘電層501の25%圧縮荷重は、0.008MPaである。このように、表側誘電層500の方が、裏側誘電層501よりも、25%圧縮荷重が小さい。このため、表側誘電層500の方が、裏側誘電層501よりも、積層方向(径方向)のばね定数が小さい。並びに、表側誘電層500の方が、裏側誘電層501よりも、面方向(周方向および軸方向)のばね定数が小さい。
【0061】
表側電極01X~12Xは、表側誘電層500の外周面に、合計12本配置されている。表側電極01X~12Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X~12Xは、各々、帯状を呈している。表側電極01X~12Xは、各々、周方向に延在している。表側電極01X~12Xは、軸方向に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。表側電極01X~12Xは、各々、表側配線(図略)、表側配線用コネクタ(図略)を介して、演算部(図略)に接続されている。なお、表側配線も、表側電極01X~12X同様に、表側誘電層500の外周面に配置されている。表側配線は、ウレタンゴムと銀粉とを含んで形成されている。
【0062】
表側絶縁層51は、表側誘電層500の外周面に配置されている。表側絶縁層51は、アクリルゴムを含んで形成されている。表側絶縁層51は、シート状を呈している。表側絶縁層51は、表側誘電層500、表側電極01X~12X、表側配線を、上方から覆っている。」
「【図5】
[図:0001398251000008.jpg]
」
イ 甲2号証に記載された発明の認定
前記アを総合すると、甲2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。
<甲2発明>
「サービスロボットのセンサ取付構造であって、(【請求項7】)
センサ取付構造2は接触部3を備え、
接触部3は、外装部材4と静電容量型センサ5とを備えており、
外装部材4は、エラストマー製であって、絶縁性を有しており、
静電容量型センサ5は、誘電体50と、表側電極01X~12Xと、裏側電極01Y~12Yと、検出部A0101~A1212と、表側絶縁層51とを備えており、(【0059】)
表側絶縁層51は、アクリルゴムを含んで形成されている、(【0062】)
センサ取付構造2。」
(2) 甲3発明の認定
ア 甲3号証に記載された事項
甲3号証には、以下の事項が記載されている
「【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様は、可撓性を有し、複数の圧力センサ・セルを備え、車両用シートに組み込まれ、該シートに着座した乗員を検知するためのフィルム状の荷重検知センサであって、上記シートの天板部に対応する領域と、上記シートの土手部に対応する領域との間に、一端が開放されたスリットを備えたことを特徴とする荷重検知センサである。
・・・(中略)・・・
【0019】
この態様では、上記荷重検知センサの出力を処理する電子制御装置を上記クッション・パッド内に設けられた収容部に備え、上記収容部を上記乗員から少なくとも40mm離れるように上記クッション・パッドの底面側に設け、上記荷重検知センサと上記電子制御装置とを接続する信号線を上記クッション・パッドのシート・バック側に設けられたスリットを通じて該クッション・パッドの上面側から底面側へ導いてもよい。
【0020】
この場合、電子制御装置による異物感が無くなると共に、電子制御装置を含めたセンサ全体に掛かる負荷も低減されるため、センサ耐久性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。図中、同一の要素には同一の符号を通して用い、重複する説明は省略する。
【0022】
まず、図1を用いて、本実施形態に係る車両用シートの概略を説明する。図1は、本実施形態に係る車両用シート100のシート・クッション部分100Aの構成を示す組み付け図である。ここで、シート・バック部分100B、ヘッド・レスト部分100C、及びシート・スライド部分100Dは既知の構成であるため、詳しい説明は省略する。
【0023】
本実施形態において、シート・クッション部分100Aは、クッション・パッド101と、フィルム・センサ102と、緩衝板103と、シート・カバー(表皮)104とを組み合わせて構成される。図中、クッション・パッド101の上面上に示す点線は、フィルム・センサ102が貼り付けられる位置を示す。
【0024】
すなわち、本実施形態に係るシート・クッション部分100Aは、まずシート・フレーム上に置かれたクッション・パッド101にフィルム・センサ102を組み付け、次にフィルム・センサ102の上から緩衝板103を貼り付け、最後に全体を包み込むようにシート・カバー104を被せることによって組み立てられる。
・・・(中略)・・・
【0026】
フィルム・センサ102は、複数の圧力センサ・セルを備えたフィルム状のセンサである。フィルム・センサ102は、例えばウレタンなどの樹脂材料がベースとされ、可撓性を有する。また、その厚さは例えば2mmである。
・・・(中略)・・・
【0028】
シート・カバー104は、本革、合成レザー、ファブリックなどから成る。引っ張りに強く、たるまないことが望ましい。」
イ 甲3号証に記載された発明の認定
前記アを総合すると、甲3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。
<甲3発明>
「シート・クッション部分100Aを含む車両用シート100であって、(【0022】
シートに着座した乗員を検知するためのフィルム状の荷重検知センサを有し、(【0015】)
シート・クッション部分100Aは、まずシート・フレーム上に置かれたクッション・パッド101にフィルム・センサ102を組み付け、次にフィルム・センサ102の上から緩衝板103を貼り付け、最後に全体を包み込むようにシート・カバー104を被せることによって組み立てられており、(【0024】)
フィルム・センサ102は、複数の圧力センサ・セルを備えたフィルム状のセンサであり、(【0026】)
シート・カバー104は、本革、合成レザー、ファブリックなどから成る、(【0028】)
車両用シート100。」
(3) 甲4発明の認定
ア 甲4号証に記載された事項
甲4号証には、以下の事項が記載されている
(ア) 【0026】~【0037】
「【0026】
図1(a)及び(b)に示すように、把持装置1は、基部40と、基部40に取り付けられた一対の指部30a,30bと、一対の指部30a,30bに接続された一対の爪部10a,10bと、を備えている。また、爪部10a,10bには、弾性体12と、圧力センサー20と、が設けられている。対象物50は、例えば、略円筒形状を有する。
【0027】
把持装置1が設置される状態において、例えば、指部30a,30bは水平方向に沿って延在するものとし、指部30a,30bの延在方向をX方向とする。また、把持装置1に把持される対象物50は鉛直方向に沿って延在するものとし、対象物50の延在方向をZ方向とする。重力Mgは、Z方向における上方から下方に向かって作用する。そして、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。以下では、このXYZ直交座標系を参照して説明する。
【0028】
指部30a,30bは、例えば、金属を材料とする板状の部材からなり、Y方向において対向配置されている。指部30a,30bは、Y方向に沿って移動可能に基部40に取り付けられている。指部30aの基部40とは反対側には爪部10aが接続され、指部30bの基部40とは反対側には爪部10bが接続されている。指部30a,30bがY方向に移動することにより、Y方向における指部30a,30b同士の間隔が変化する。指部30a,30b同士の間隔を狭めることで、爪部10a,10bの間に対象物50を挟むとともに、爪部10a,10bから対象物50に対してY方向に沿った把持力が付与される。
【0029】
爪部10a,10bは、例えば、金属を材料とする板状の部材からなり、Z方向から見てV字型の形状を有している。爪部10a,10bのそれぞれは、互いに対向する側に、X方向とZ方向とで構成される面に対して異なる傾斜角度を有する2つの面11を有している。爪部10aの2つの面11を指部30a側から順に面11a及び面11bとし、爪部10bの2つの面11を指部30b側から順に面11c及び面11dとする。ただし、これらの面を総称する場合は、単に面11というものとする。
【0030】
爪部10a,10bは、面11a及び面11bと面11c及び面11dとが互いに対向するように配置されている。爪部10a,10bにおいて、面11aと面11bとの境界がV字型形状の谷部15aとなり、面11cと面11dとの境界がV字型形状の谷部15bとなっている。爪部10a,10bのY方向における互いの間隔は、谷部15a,15bの位置において最も大きくなっている。把持装置1は、爪部10aの面11a及び面11b側と、爪部10bの面11c及び面11d側との間に対象物50を挟んで把持する。
【0031】
爪部10a,10bの各面11には、弾性体12及び圧力センサー20が設けられている。これらの弾性体12及び圧力センサー20を、それぞれが配置された面11a,11b,11c,11dに対応させて、弾性体12a,12b,12c,12d、及び圧力センサー20a,20b,20c,20dとする。ただし、これらを総称する場合は、単に弾性体12及び圧力センサー20というものとする。
【0032】
弾性体12は、対象物50に接する部分であり、対象物50に傷等の損傷を与えることを防止するとともに、対象物50をより確実に把持するためのものである。弾性体12は、例えば、0.1mm~1mm程度の厚さのシート状であり、圧力センサー20を覆って各面11に設けられている。弾性体12の表面は、爪部10a,10bの各面11に略平行である。
【0033】
弾性体12は、爪部10a,10bよりも摩擦係数が大きく、外圧により弾性変形を生じる材料からなり、例えば、シリコーン樹脂等からなる。これにより、対象物50との接触面積を大きくでき、対象物50との相対的な位置ずれを抑えることができる。なお、弾性体12で圧力センサー20を覆うことにより、圧力センサー20を汚れや損傷から保護することができる。
【0034】
圧力センサー20は、爪部10a,10bにおいて、対象物50と接触している位置を検出するため設けられている。図1(c)及び(d)に示すように、圧力センサー20は、基板21と、基板21上に順に形成された第1電極22と中間層23と第2電極24と、で構成される。なお、図1(c)は圧力センサー20(第2電極24)の表面の法線方向から見た平面図であり、図1(d)は圧力センサー20の断面図である。
【0035】
圧力センサー20は、弾性体の感圧材料を有するセンサーであり、例えば、フレキシブルな樹脂材料からなる基板21を有する汎用の圧力センサーシートを用いることができる。第1電極22は、例えば、4行4列の計16個配置されている。各圧力センサー20(第2電極24)の表面は、それぞれが配置された爪部10a,10bの各面11に略平行である。中間層23は、例えば、感圧導電性エラストマー等の感圧導電ゴムからなる。
【0036】
圧力センサー20は、圧力センサー20(第2電極24)の表面に厚さ方向の圧力、すなわち法線方向からの外圧が付加されると、外圧の作用がないときに比べて、第1電極22と第2電極24との間の距離が小さくなるので抵抗値が小さくなる。圧力センサー20は、このような抵抗値の変化に基づいて、把持装置1の把持力により対象物50に作用する力を、外圧として検出する。
【0037】
なお、圧力センサー20は、弾性体の感圧材料を有するセンサーであれば、中間層23に誘電材料を用いて静電容量値の変化により外圧を検出する静電容量方式の圧力センサーであってもよい。また、把持装置1の各構成部材の材質や大きさ、厚さ等は、対象物50の大きさ、重さ、形状、材質等に応じて適宜設定される。」
(イ) 【0052】
「【0052】
なお、把持力の断続的な付与、圧力センサー20による圧力の検出、及び検出された圧力値に応じた処理等の把持装置1の動作は、図示しない制御部の制御に基づいて行われる。把持装置1がロボットに取り付けられている場合は、制御部がロボットに備えられていてもよい。」
(ウ) 【0080】、【図7】
「【0080】
(変形例1)
上述した実施形態の把持装置1,2,3,4では、爪部10a,10bの面11a,11b,11c,11dに弾性体12を備える構成であったが、このような形態に限定されない。例えば、図7(a)に示す把持装置5のように、弾性体14が圧力センサー20とともに爪部10a,10b全体を覆う構成であってもよい。このような構成にすれば、爪部10a,10bの表面が露出しないので、爪部10a,10bの角部が接触することにより対象物50に損傷を与えることを防止できる。また、爪部10a,10bが他の機材等に接触した場合に、爪部10a,10bが受ける衝撃を緩和できる。」
「【図7】
[図:0001398251000009.jpg]
」
イ 甲4号証に記載された発明の認定
前記(ア)を総合すると、甲4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているものと認められる。
<甲4発明>
「一対の爪部10a,10bを備えた把持装置1であって、
爪部10a,10bには、弾性体12と、圧力センサー20と、が設けられており、(【0026】)
弾性体12は、例えば、0.1mm~1mm程度の厚さのシート状であり、圧力センサー20を覆って各面11に設けられ、(【0032】)
弾性体12は、例えば、シリコーン樹脂等からなり、(【0033】)
圧力センサー20は、爪部10a,10bにおいて、対象物50と接触している位置を検出するため設けられており、(【0034】)
圧力センサー20は、弾性体の感圧材料を有するセンサーであり、例えば、フレキシブルな樹脂材料からなる基板21を有する汎用の圧力センサーシートを用いることができ、第1電極22は、例えば、4行4列の計16個配置されており、
各圧力センサー20(第2電極24)の表面は、それぞれが配置された爪部10a,10bの各面11に略平行であり、
中間層23は、例えば、感圧導電性エラストマー等の感圧導電ゴムからなり、(【0035】)
圧力センサー20(第2電極24)の表面に厚さ方向の圧力、すなわち法線方向からの外圧が付加されると、外圧の作用がないときに比べて、第1電極22と第2電極24との間の距離が小さくなるので抵抗値が小さくなり、このような抵抗値の変化に基づいて、把持装置1の把持力により対象物50に作用する力を、外圧として検出するものであり、(【0036】)
把持装置1がロボットに取り付けられている、(【0052】)
把持装置1。」
3 当審の判断
(1) 甲2号証に基づく新規性又は進歩性欠如
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲2発明の対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
a 本件発明1の「電子機器」は、明細書の【0132】に記載があるように「ロボット」を含むものであり、甲2発明の「サービスロボット」は本件発明の「電子機器」に含まれる。
また、甲2発明の「サービスロボットのセンサ取付構造」は「電子機器」の構成部分であり、かつ、静電容量型センサなどの電子部材を含むものであるから、「電子機器」に相当すると認められる。
b 甲2発明の「静電容量型センサ5」は、本件発明1の「感圧センサ」に相当する。そして、当該「静電容量型センサ5」がセンシング面を備えることは自明である。
したがって、前記(a)を踏まえると、本件発明1と甲2発明は、「センシング面を有する感圧センサを備える電子機器」である点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)を総合すると、本件発明1と甲2発明は、次の一致点2-1において一致し、後記の相違点2-1及び相違点2-2において相違する。
<一致点2-1>
「センシング面を有する感圧センサを備える電子機器」である点。
<相違点2-1>
本件発明1においては、
「外装体」を備え、「前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体とを備え、前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革であ[る]」構成を有するのに対して、
甲2発明においては、本件発明1の「外装体」を備えていない点。
<相違点2-2>
感圧センサが、
本件発明1においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲2発明においては、「静電容量型センサ5」の具体的構成について特定されていない点。
(ウ) 相違点2-2についての当審の判断
事案に鑑みて、まず前記相違点2-2について検討する。
前記相違点2-2に係る構成は、甲2号証において開示されておらず、また、当該構成が周知技術であると認めるに足る証拠は発見していないから、本件発明1は、当業者が甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(エ) 本件発明1の甲2発明に対する新規性又は進歩性の判断のまとめ
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明1は、甲2発明でないから、本件発明1に係る発明は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)において検討したとおり、本件発明1は、前記相違点2-1について検討するまでもなく、当業者が甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
イ 本件発明25及び本件発明26について
本件発明25及び本件発明26も、本件発明1と共通する前記相違点2-2に係る構成を備えるものである。したがって、本件発明25及び本件発明26に係る特許は、本件発明1と同様の理由により、特許法29条1項の規定に違反してされたものではなく、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
(2) 甲3号証に基づく新規性又は進歩性欠如
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲3発明の対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
a 本件発明1の「電子機器」と甲3発明の「車両用シート」は「物」である点で共通する。
b 甲3発明の「シート・カバー104」は、本件発明1の「外装体」に相当する。
また、甲3発明の「フィルム・センサ102」は、複数の圧力センサ・セルを備えたフィルム上のセンサであって、本件発明1の「感圧センサ」に相当する。
そして、当該「フィルム・センサ102」がセンシング面を備えることは自明である。
したがって、前記(a)を踏まえると、本件発明1と甲3発明は、「外装体と、センシング面を有する感圧センサを備える物」である点で共通する。
c 甲3発明の「クッション・パッド101」は、本件発明1の「支持体」に相当する。
また、甲3発明においては、「フィルム・センサ102」は、「シートに着座した乗員を検知するためのフィルム状の荷重検知センサ」であるから、その上に位置する「緩衝板103」及び「シート・カバー104」側にセンシング面を備えることは自明である。
そして、甲3発明において、「クッション・パッド101」に、「フィルム・センサ102」が組み付けられているから、支持されていると認められる。
したがって、本件発明1と甲3発明は、「前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体とを備え」る点で一致する。
d 甲3発明の「シート・カバー104」は、本革、合成レザー、ファブリックなどから成ることから、本件発明1と甲3発明は、「前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革であ[る]」点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)を総合すると、本件発明1と甲3発明は、次の一致点3-1において一致し、以下の相違点3-1及び相違点3-2において相違する。
<一致点3-1>
「 外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と
を備え、
前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革である物」である点。
<相違点3-1>
本件発明1では、発明の対象である「物」が「電子機器」であるのに対し、甲3発明では、「車両用シート100」である点。
<相違点3-2>
感圧センサが、
本件発明1においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲3発明においては、「フィルム・センサ102」の具体的構成について特定されていない点。
(ウ) 相違点3-2についての当審の判断
事案に鑑みて、まず前記相違点3-2について検討する。
前記相違点3-2に係る構成は、甲3号証において開示されておらず、また、当該構成が周知技術であると認めるに足る証拠は発見していないから、本件発明1は、当業者が甲3発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(エ) 本件発明1の甲3発明に対する新規性又は進歩性の判断のまとめ
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明1は、甲3発明でないから、本件発明1に係る発明は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)において検討したとおり、本件発明1は、前記相違点3-1について検討するまでもなく、当業者が甲3発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
イ 本件発明26について
本件発明26も、本件発明1と共通する前記相違点3-2に係る構成を備えるものである。したがって、本件発明26に係る特許は、本件発明1と同様の理由により、特許法29条1項の規定に違反してされたものではなく、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
(3) 甲4号証に基づく新規性又は進歩性欠如
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲4発明の対比
本件発明1と甲4発明を対比する。
a 本件発明1の「電子機器」は、明細書の【0132】に記載があるように「ロボット」を含むものである。
一方、甲4発明の「把持装置1」はロボットに取り付けられているものであり、本件発明の「電子機器」に含まれる「ロボット」に取り付けられた部材であるから、甲4発明の「把持装置1」もまた「電子機器」に相当すると認められる。
b 甲4発明の「弾性体12」は、本件発明1の「外装体」に相当する。
また、甲4発明の「圧力センサー20」は、本件発明1の「感圧センサ」に相当する。
そして、当該「圧力センサー20」がセンシング面を備えることは自明である。
したがって、前記(a)を踏まえると、本件発明1と甲4発明は、「外装体と、センシング面を有する感圧センサを備える電子機器」である点で共通する。
c 甲4発明の「爪部10a,10b」は、本件発明1の「支持体」に相当する。
また、甲4発明においては、「圧力センサー20」は、「爪部10a,10bにおいて、対象物50と接触している位置を検出するため設けられており」、対象物50側に位置する「弾性体12」側にセンシング面を備えることは自明である。
そして、甲4発明において、「爪部10a,10b」に、「圧力センサー20」が配置されているから、支持されていることが明らかである。
したがって、本件発明1と甲4発明は、「前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体とを備え」る点で一致する。
d 甲4発明の「弾性体12」は、エラストマであると認められることから、本件発明1と甲4発明は、「前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革であ[る]」点で一致する。
e 甲4発明の「圧力センサー20」を構成する、「第1電極22」、「第2電極24」、「中間層23」はそれぞれ、本件発明1の「第1リファレンス電極層」、「第2リファレンス電極層」、「変形層」に相当する。
そして、甲4発明の「中間層23」は、感圧導電性エラストマー等の感圧導電ゴムからなり、当該「中間層23」について、外圧が付加されると「第1電極22」と「第2電極24」との間の距離が小さくなることから、それらの間の「中間層23」が弾性変形していると認められる。
したがって、本件発明1と甲4発明は、「前記感圧センサは、第1のリファレンス電極層と、第2のリファレンス電極層と、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」点で共通する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)を総合すると、本件発明1と甲4発明は、次の一致点4-1において一致し、以下の相違点4-1において相違する。
<一致点4-1>
「 外装体と、
センシング面を有する感圧センサと、
前記外装体の内側面と前記センシング面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と
を備え、
前記外装体は、樹脂シート、エラストマまたは人工皮革であり、
前記感圧センサは、第1のリファレンス電極層と、第2のリファレンス電極層と、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える電子機器」である点。
<相違点4-1>
感圧センサが、
本件発明1においては、
「複数のセンシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、前記センサ電極部の第1の主面に対向する第1のリファレンス電極層と、前記センサ電極部の第2の主面に対向する第2のリファレンス電極層と、前記第1のリファレンス電極層と前記センサ電極部との間、および前記第2のリファレンス電極層と前記センサ電極層との間の少なくとも一方に設けられ、圧力を加えることにより弾性変形する変形層とを備える」のに対して、
甲4発明においては、本件発明1の「センサ電極部」に相当する構成を備えていないなど、具体的なセンサの構成において異なる点。
(ウ) 相違点4-1についての当審の判断
前記相違点4-1に係る構成は、甲4号証において開示されておらず、また、当該構成が周知技術であると認めるに足る証拠は発見していないから、本件発明1は、当業者が甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(エ) 本件発明1の甲4発明に対する新規性又は進歩性の判断のまとめ
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件発明1は、甲4発明ではないから、本件発明1に係る発明は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)において検討したとおり、本件発明1は、当業者が甲4発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえないから、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
イ 本件発明25及び本件発明26について
本件発明25及び本件発明26も、本件発明1と共通する前記相違点4-1に係る構成を備えるものである。したがって、本件発明25及び本件発明26に係る特許は、本件発明1と同様の理由により、特許法29条1項の規定に違反してされたものではなく、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知で通知した取消理由及び特許異議申立書で申し立てられた特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~10、12~28に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1~10、12~28に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項11は、前記第2の2のとおり、訂正により削除されたことにより、請求項11に係る特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700350