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特許訂正審判

2023-390089

経皮吸収製剤、経皮吸収製剤保持シート、及び経皮吸収製剤保持用具

審判番号
2023-390089
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2007-500638
登録番号
4913030
請求日
2023年06月26日
審決日
2023年09月21日
公報発行日
2024年01月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】株式会社 バイオセレンタック
  • 【請求人代理人】山尾 憲人
  • 【請求人代理人】西下 正石
審判長/審判官
  • 審判長 原田 隆興
  • 審判官 藤原 浩子
  • 審判官 渕野 留香
分類
P141 .851-Y (A61K) / P141 .853-Y (A61K) / P141 .857-Y (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項3号特許法126条1項4号特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第4913030号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第4913030号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

理由

理 由 第1 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第4913030号の明細書、特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり訂正することを求める。」というものである。 第2 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第4913030号(以下「本件特許」という。)は、2006年1月30日(優先権主張 平成17年1月31日、平成17年10月11日 日本国)を国際出願日とする出願(特願2007-500638号)の請求項1~21に係る発明について、平成24年1月27日に特許権の設定登録がされたものである。 その後の本件特許に関する主な手続の経緯は次のとおりである。 ・平成24年 5月 2日 無効2012-800073号の請求 ・平成25年 4月15日付け 無効2012-800073号の1次審決 (平成25年(行ケ)第10134号判決(審決取消)) ・平成25年 8月 1日 無効2013-800146号の請求 ・平成26年 8月12日付け 無効2012-800073号の2次審決 (平成26年2月28日付け訂正請求書においてされた、本件特許の設定登録時の請求項20及び21を削除する訂正が、平成26年8月21日(2次審決送達日)に確定) (平成26年(行ケ)第10204号判決(審決取消)) ・平成28年 6月29日付け 無効2012-800073号の3次審決 (平成28年(行ケ)第10160号判決(審決取消)) ・平成30年 6月25日付け 無効2012-800073号の4次審決 (平成30年4月13日付け訂正の請求による明細書及び特許請求の範囲 の訂正を認め、請求項1に係る発明についての特許を維持する旨) (平成30年(行ケ)第10100号判決(請求棄却)) ・令和 1年12月17日 無効2012-800073号の4次審決 の確定 ・令和 3年 6月22日付け 無効2013-800146号の審決 (請求項1及び19に係る発明についての特許を無効とする旨) (令和3年(行ケ)第100089号(請求棄却)) ・令和 4年11月28日 無効2013-800146号の審決の確定 ・令和 5年 6月26日 本件訂正審判の請求 (以下、本件訂正審判の請求に係る訂正を「本件訂正」という。) 第3 本件訂正について 1 本件訂正前の特許請求の範囲及び明細書の記載 本件訂正前の特許請求の範囲及び明細書の記載は、無効2012-800073号における平成30年4月13日付け訂正請求書に添付された特許請求の範囲及び明細書に記載された次のとおりのものであるところ、無効2013-800146号の審決が確定したことにより、請求項1及び19に係る発明についての特許は、無効となっている。 なお、本件訂正前の明細書については【0009】【0010】【0070】のみ示し、下線は省略した。 「【請求項1】(当審注:無効確定) 水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入される、経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。 【請求項2】 表面に水不溶性の層が設けられ、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。 【請求項3】 前記水不溶性の層は、架橋されたものである請求項2に記載の経皮吸収製剤。 【請求項4】 前記基剤は多孔性物質を含有し、前記目的物質は前記多孔性物質に保持され、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。 【請求項5】 前記多孔性物質は、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、多孔性炭酸カルシウム、多孔性リン酸カルシウム、及び多孔質シリコンからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質である請求項4に記載の経皮吸収製剤。 【請求項6】 前記目的物質が長時間作用型の物質であり、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。 【請求項7】 前記長時間作用型の物質は、長時間作用型インスリン又はポリエチレングリコール架橋が施されたタンパク質である請求項6に記載の経皮吸収製剤。 【請求項8】 前記基剤は、さらに目的物質の吸収速度調節剤を含有する請求項1~7のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項9】 前記吸収速度調節剤は、吸収促進剤である請求項8に記載の経皮吸収製剤。 【請求項10】 前記吸収促進剤は、界面活性剤である請求項9に記載の経皮吸収製剤。 【請求項11】 前記基剤は、さらに曳糸性抑制剤を含有する請求項1~10のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項12】 前記曳糸性抑制剤は、ポリエチレングリコール又はL-グルタミン酸L-リジンである請求項11に記載の経皮吸収製剤。 【請求項13】 前記目的物質は、薬物、生理活性物質、化粧品、又は栄養素に属するものである請求項1~12のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項14】 前記薬物は、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、又はワクチンに属するものである請求項13に記載の経皮吸収製剤。 【請求項15】 前記基剤は、さらに目的物質の安定化剤を含有する請求項1~14のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項16】 表面に防湿用の層が設けられた請求項1~15のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項17】 表面の一部にくびれ又は割線を有する請求項1~16のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項18】(削除) 【請求項19】(当審注:無効確定) シート状の支持体の片面に請求項1~17のいずれかに記載の経皮吸収製剤が1又は2個以上保持され、皮膚に押し当てられることにより前記経皮吸収製剤が皮膚に挿入される経皮吸収製剤保持シート。」 「【0009】 本発明の経皮吸収製剤における第1の様相は、水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)であり、尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入される、経皮吸収製剤である(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。 【0010】 本様相の経皮吸収製剤は、水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる自己溶解型の経皮吸収製剤にかかるものである。本様相の経皮吸収製剤においては、基剤がコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)からなり、針状又は糸状の形状を有する。本様相の経皮吸収製剤においては、基剤がコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸等からなるので室温又は低温条件下で製造することができる。したがって、基剤に保持されている目的物質が製造過程で高温に曝されることがない。すなわち、熱に対して不安定な目的物質であっても、製造過程でその活性が損なわれることがない。その結果、本様相の経皮吸収製剤によれば、目的物質を高い効率で皮膚から吸収させることができる。さらに、本様相の経皮吸収製剤では、基剤が医薬品分野において種々の製剤で使用実績がある物質からなるので、人体に対する安全性が高い。」 「【0070】 本発明の経皮吸収製剤の第1の様相では、基剤がコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)からなる。これらの高分子物質については、1つだけを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。基剤に目的物質を保持させる方法としては特に限定はなく、種々の方法が適用可能である。例えば、目的物質を基剤中に超分子化して含有させることにより、目的物質を基剤に保持させることができる。その他の例をしては、溶解した基剤の中に目的物質を加えて懸濁状態とし、その後に硬化させることによっても目的物質を基剤に保持させることができる。」 2 訂正の内容 本件訂正の概要は、無効2013-800146号の審決により、基剤である高分子物質として「ヒアルロン酸」を使用する請求項1に係る発明についての特許が無効とされたことに伴い、請求項2~17に関し、請求項1の引用を解消し、また、当該高分子物質について「ヒアルロン酸のみからなる物質を除く」訂正を行うものである。 本件訂正は、請求項2~17及び明細書についての訂正であって、その内容は、以下の訂正事項1~14のとおりである(なお、下線部は請求人が付した訂正箇所である。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2に「表面に水不溶性の層が設けられ、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 表面に水不溶性の層が設けられ、前記目的物質が徐放される、経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 に訂正する。 (請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3、8~17も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4に「前記基剤は多孔性物質を含有し、前記目的物質は前記多孔性物質に保持され、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 前記基剤は多孔性物質を含有し、前記目的物質は前記多孔性物質に保持され、前記目的物質が徐放される、経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 に訂正する。 (請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項5、8~17も同様に訂正する。) (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6に「前記目的物質が長時間作用型の物質であり、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 前記目的物質が長時間作用型の物質であり、前記目的物質が徐放される、経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 に訂正する。 (請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項7、8~17も同様に訂正する。) (4)訂正事項4 (訂正事項4-1) 特許請求の範囲の請求項8に「前記基剤は、さらに目的物質の吸収速度調節剤を含有する請求項1~7のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「前記基剤は、さらに目的物質の吸収速度調節剤を含有する請求項2~7のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」 に訂正する。 (訂正事項4-2) 特許請求の範囲の請求項8に「前記基剤は、さらに目的物質の吸収速度調節剤を含有する請求項1~7のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 前記基剤は、さらに目的物質の吸収速度調節剤を含有する経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 と記載し、新たに請求項20とする。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9に「前記吸収速度調節剤は、吸収促進剤である請求項8に記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を間接的に引用するものについて、請求項20を引用する形式に改め、 「前記吸収速度調節剤は、吸収促進剤である請求項20に記載の経皮吸収製剤。」 と記載し、新たに請求項21とする。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10に「前記吸収促進剤は、界面活性剤である請求項9に記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を間接的に引用するものについて、請求項21を引用する形式に改め、 「前記吸収促進剤は、界面活性剤である請求項21に記載の経皮吸収製剤。」 と記載し、新たに請求項22とする。 (7)訂正事項7 (訂正事項7-1) 特許請求の範囲の請求項11に「前記基剤は、さらに曳糸性抑制剤を含有する請求項1~10のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「前記基剤は、さらに曳糸性抑制剤を含有する請求項2~10のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」 に訂正する。 (訂正事項7-2) 特許請求の範囲の請求項11に「前記基剤は、さらに曳糸性抑制剤を含有する請求項1~10のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 前記基剤は、さらに曳糸性抑制剤を含有する経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 と記載し、新たに請求項23とする。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項12に「前記曳糸性抑制剤は、ポリエチレングリコール又はL-グルタミン酸L-リジンである請求項11に記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を間接的に引用するものについて、請求項23を引用する形式に改め、 「前記曳糸性抑制剤は、ポリエチレングリコール又はL-グルタミン酸L-リジンである請求項23に記載の経皮吸収製剤。」 と記載し、新たに請求項24とする。 (9)訂正事項9 (訂正事項9-1) 特許請求の範囲の請求項13に「前記目的物質は、薬物、生理活性物質、化粧品、又は栄養素に属するものである請求項1~12のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「前記目的物質は、薬物、生理活性物質、化粧品、又は栄養素に属するものである請求項2~12のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」 に訂正する。 (訂正事項9-2) 特許請求の範囲の請求項13に「前記目的物質は、薬物、生理活性物質、化粧品、又は栄養素に属するものである請求項1~12のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 前記目的物質は、薬物、生理活性物質、化粧品、又は栄養素に属するものである経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 と記載し、新たに請求項25とする。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項14に「前記薬物は、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、又はワクチンに属するものである請求項13に記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を間接的に引用するものについて、請求項25を引用する形式に改め、 「前記薬物は、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、又はワクチンに属するものである請求項25に記載の経皮吸収製剤。」 と記載し、新たに請求項26とする。 (11)訂正事項11 (訂正事項11-1) 特許請求の範囲の請求項15に「前記基剤は、さらに目的物質の安定化剤を含有する請求項1~14のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「前記基剤は、さらに目的物質の安定化剤を含有する請求項2~14のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」 に訂正する。 (訂正事項11-2) 特許請求の範囲の請求項15に「前記基剤は、さらに目的物質の安定化剤を含有する請求項1~14のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 前記基剤は、さらに目的物質の安定化剤を含有する経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 と記載し、新たに請求項27とする。 (12)訂正事項12 (訂正事項12-1) 特許請求の範囲の請求項16に「表面に防湿用の層が設けられた請求項1~15のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「表面に防湿用の層が設けられた請求項2~15のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」 に訂正する。 (訂正事項12-2) 特許請求の範囲の請求項16に「表面に防湿用の層が設けられた請求項1~15のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 表面に防湿用の層が設けられた経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 と記載し、新たに請求項28とする。 (13)訂正事項13 (訂正事項13-1) 特許請求の範囲の請求項17に「表面の一部にくびれ又は割線を有する請求項1~16のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」と記載されているのを、 「表面の一部にくびれ又は割線を有する請求項2~16のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」 に訂正する。 (訂正事項13-2) 特許請求の範囲の請求項17に「表面の一部にくびれ又は割線を有する請求項1~16のいずれかに記載の経皮吸収製剤。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、 前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)であり、 尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入され、 表面の一部にくびれ又は割線を有する経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。」 と記載し、新たに請求項29とする。 (14)訂正事項14 明細書【0009】【0010】【0070】に「少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)」とあるのを、「少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質及びヒアルロン酸のみからなる物質は除く)」に訂正する。 第4 当審の判断 1 訂正の目的、新規事項の有無、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について (1)訂正事項1、2、3、4-2、7-2、9-2、11-2、12-2、13-2について ア 訂正の目的について (ア)訂正事項1、2、3は、訂正前の請求項2、4、6において、請求項1の引用を解消して独立形式の請求項に改めると同時に、高分子物質について「ヒアルロン酸のみからなる物質は除く」と特定し、高分子物質の選択肢の一つを削除するものである。 (イ)訂正事項4-2、7-2、9-2、11-2、12-2、13-2は、訂正前の請求項8、11、13、15、16、17のうち、請求項1を引用するものについて、請求項1の引用を解消して独立形式の請求項に改めて、請求項20、23、25、27、28、29を新設すると同時に、高分子物質について「ヒアルロン酸のみからなる物質は除く」と特定し、高分子物質の選択肢の一つを削除するものである。 (ウ)したがって、訂正事項1、2、3、4-2、7-2、9-2、11-2、12-2、13-2は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」(以下「引用関係の解消」という。)、及び、同条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項1、2、3、4-2、7-2、9-2、11-2、12-2、13-2は、上記アに説示したとおりの、引用関係の解消及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項4-1、7-1、9-1、11-1、12-1、13-1について ア 訂正の目的について 訂正事項4-1、7-1、9-1、11-1、12-1、13-1は、訂正前の請求項8、11、13、15、16、17において、引用する請求項から請求項1を削除して、引用する請求項の数を減らすものである。 したがって、上記訂正事項はいずれも、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項4-1、7-1、9-1、11-1、12-1、13-1は、上記アに説示したとおりの、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項5、6、8、10について ア 訂正の目的について 訂正事項5、6、8、10は、訂正前の請求項9、10、12、14についてのものであるところ、これらの請求項は、それぞれ訂正前の請求項8、9、11、13を引用しており、上記(1)ア(イ)に記載したとおり、訂正事項4-2、7-2、9-2において、訂正前の請求項8、11、13のうち請求項1を間接的に引用する部分について、高分子物質を「ヒアルロン酸のみからなる物質は除く」と特定し、請求項20、23、25として新設した。 これに伴い、訂正事項5、8、10は、訂正前の請求項9、12、14のうち、請求項1を間接的に引用する部分を、請求項20、23、25を引用する請求項21、24、26として新設し、また、訂正事項6は、訂正前の請求項10のうち、請求項1を間接的に引用する部分を、請求項21を引用する請求項22として新設するものである。 そうすると、これらの訂正事項はいずれも、訂正前の請求項9、10、12、14について、請求項1を間接的に引用する部分について、高分子物質を「ヒアルロン酸のみからなる物質は除く」と特定すると同時に、請求項1の引用関係を解消するものである。 したがって、訂正事項5、6、8、10は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同条第1項ただし書第4号に掲げる引用関係の解消を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項5、6、8、10は、上記アに説示したとおりの、特許請求の範囲の減縮及び引用関係の解消を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項14について ア 訂正の目的について 訂正事項14は、訂正事項1~13に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明細書【0009】【0010】【0070】において、基剤である高分子物質について「ヒアルロン酸のみからなる物質は除く」と特定し、高分子物質の選択肢の一つを削除するものである。 したがって、訂正事項14は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について 訂正事項14は、基剤である高分子物質について「ヒアルロン酸のみからなる物質は除く」と特定し、高分子物質の選択肢の一つを削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 2 独立特許要件について 上記1に説示したとおり、本件訂正の訂正事項1~14のうち、訂正事項1~13は特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むところ、本件訂正後の請求項2~17に係る発明に、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を新たに生じさせるものではない。 また、本件訂正後の請求項2~17に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-390089

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