特許異議申立
2024-700837
マカ抽出物及びその用途
- 審判番号
- 2024-700837
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-088355
- 登録番号
- 7446003
- 請求日
- 2024年09月04日
- 審決日
- 2026年02月27日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】高雄醫學大學
- 【権利者代理人】正木 裕士
- 【権利者代理人】三上 祐子
- 【異議申立人】TOWA CORPORATION 株式会社
- 【異議申立人代理人】三田 大智
- 審判長/審判官
- 審判長 冨永 保
- 審判官 小石 真弓
- 審判官 新留 豊
- 分類
- P1652.841-XA (A61K) / P1652.851-XA (A61K) / P1652.852-XA (A61K) / P1652.853-XA (A61K) / P1652.857-XA (A61K) / P1652.854-XA (A61K) / P1652.855-XA (A61K) / P1652.856-XA (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の5第2項特許法120条の5第9項特許法120条の8第1項特許法126条特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第126条第6項、特許法第126条第4項、特許法第126条、特許法第120条の8第1項、特許法第135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7446003号発明「マカ抽出物及びその用途」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許7446003号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
特許7446003号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許に係る出願は、令和4年5月31日(パリ条約に基づく優先権主張 2021年5月31日 米国(US))の特許出願であって、令和6年2月29日にその特許権の設定登録がされ、同年3月8日に特許掲載公報が発行され、その請求項1~4に係る発明のうちの請求項1に係る発明の特許に対し、同年9月4日に、特許異議申立人のTOWA CORPORATION 株式会社(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされたものである。
その後の主な手続は以下のとおりである。
令和6年11月 6日 手続補正書(方式)の提出(申立人)
同年12月10日付け 取消理由通知
令和7年 3月14日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同年 4月14日付け 訂正請求があった旨の通知
同年 5月16日 意見書の提出(申立人)
同年 6月17日付け 訂正拒絶理由通知
同年 8月 8日 手続補正書(方式)及び意見書の提出(特許権者)
同年 9月29日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年10月20日 応対記録(特許権者)
同年12月25日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
なお、令和7年3月14日提出の訂正請求書による訂正の請求は、令和7年12月25日提出の訂正請求書による訂正の請求がされたので、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
また、下記第2で説示するとおり、令和7年12月25日提出の訂正請求書による訂正は、請求項を削除する訂正及び特許異議の申立てがされていない請求項についての訂正のみであるから、特許法第120条の5第5項ただし書の規定により、申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと判断した。
第2 訂正について
1 訂正請求の趣旨
令和7年12月25日に提出された訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求の趣旨は「特許第7446003号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正の内容
以下において、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3の
「請求項1記載のマカ抽出物の抽出方法であって、その抽出プロセスは:」
との記載を、
「(5S)-アセチル-1-(m-メトキシベンジル)-ピロリジン-2-オン、5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール及び/または5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロールから選択される化合物を含有することを特徴とするマカ抽出物の抽出方法であって、その抽出プロセスは:」
との記載に訂正する。
請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4の
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロールを得る工程」
との記載を、
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロールを得る工程」
との記載に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4の
「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロールを得る工程」
との記載を、
「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロールを得る工程」
との記載に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の【0011】の
「化合物4は5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール、化合物5は5-メトキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール、化合物6は5-ヒドロキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール、化合物7は3-(ベンジル)-1-(ヒドロキシ)-4-アルドルピリジン」
との記載を、
「化合物4は5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール、化合物5は5-メトキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルデヒドピロール、化合物6は5-ヒドロキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルデヒドピロール、化合物7は3(ベンジル)-1-(ヒドロキシ)-4-アルデヒドピリジン」
との記載に訂正する。
3 訂正の適否について
(1)一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~4について、請求項2~4は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、上記の訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項についてされたものである。
(2)訂正事項1及び2について
ア 訂正の目的について
訂正事項1及び2による訂正は、請求項1及び2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1及び2による訂正は、請求項1及び2を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
ウ 独立特許要件について
訂正事項1及び2は、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
しかしながら、訂正事項1については、請求項1に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。
また、訂正事項2については、独立特許要件を判断すべき対象の請求項2は削除されているから、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項3が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であるところ、引用形式を解消した上で、独立形式の請求項へ改めるものである。よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項3は、令和7年9月29日付けの取消理由通知(決定の予告)において、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の
「(5S)-アセチル-1-(m-メトキシベンジル)-ピロリジン-2-オン、5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール及び/または5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロールから選択されることを特徴とする、マカ抽出物。」
との記載について、その特許を受けようとする発明が「化合物」それ自体の発明を意味しているのか、組成物としての「抽出物」の発明を意味しているのか、本件明細書の記載及び本件出願時の技術常識を参酌しても、明確に把握できないことを理由とする取消理由1(明確性要件違反)を通知していたところ、請求項3において
「請求項1記載のマカ抽出物」
と記載されていたことによって、請求項1の記載と同様に明確でなかった請求項3のマカ抽出物の記載について、
「(5S)-アセチル-1-(m-メトキシベンジル)-ピロリジン-2-オン、5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール及び/または5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロールから選択される化合物を含有することを特徴とするマカ抽出物」
との記載と訂正することによって、マカ抽出物が組成物であることを明確にするものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」も目的とする。
イ 新規事項の追加の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
本件明細書等の明細書の【0022】、【0024】及び【0025】、並びに、図2及び3には、「(5S)-アセチル-1-(m-メトキシベンジル)-ピロリジン-2-オン」、「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール」及び/又は「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール」から選択される化合物(順に、【0025】及び図1に記載された化合物2、化合物3及び化合物4に相当する。)を含有するマカ抽出物が、請求項3及び4に記載された方法によって得られることが記載されているから、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項3は、上記のとおり、請求項3を引用形式から独立形式に改め、また、引用する請求項1の「マカ抽出物」について、化合物であるのか組成物であるのか明確でなかったものを、組成物であることを明確にする訂正であるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものであるとはいえず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 独立特許要件について
訂正事項3は、特許異議申立がされていない請求項3についての訂正であるところ、上記アで述べたとおり、その訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号及び第4号に掲げる事項を目的とする訂正であって、同法同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項4及び5について
ア 訂正の目的について
訂正事項4及び5の訂正の目的について、特許権者は「誤記の訂正」である旨主張しているので、訂正事項4及び5が誤記の訂正、すなわち誤りであることが明らかな記載を本来その意であることが明らかな記載に正すものであるといえるか、について検討する。
本件訂正前の請求項4に記載された「アルドル」という語は化合物の構造を表す語として存在しないので、請求項4の「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」及び「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」という記載に何らかの誤りがあることは明らかである。
(ア)「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」について
本件訂正前の請求項4に、「画分F-3-3-3をルナシリカゲルカラムを用いて溶離液としてn-ヘキサン/酢酸エチルでの高速液体クロマトグラフィーで分離し、5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロールを得る工程」と記載されている。
そして、本件明細書等の【0025】には、
「画分F-3-3-3・・・をLunaシリカゲルカラム(n-ヘキサン/酢酸エチルの体積比3:2、流量2mL/min)で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離させて化合物4・・・と化合物6・・・を得た。」
と記載され、本件明細書等の図3にも、以下のとおり記載されている。
「
[図:0001436147000001.jpg]
」
よって、上記記載から、訂正前の請求項4に記載された「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」は、化合物4か化合物6であるといえる。
ここで、本件明細書等の図1に記載された化合物4及び化合物6のうち、5-ヒドロキシメチル基及び1-(m-メトキシベンジル)基を有する化合物は、化合物4であるから、「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」は化合物4であることが理解できる。
そして、本件明細書等の図1に記載の化合物4の化学構造において、ピロールの2位に結合する基は「アルデヒド」であるから、
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」が、
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール」
を意味することは明らかである。
(イ)「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」について
本件訂正前の請求項4に、「画分F-3-4-2をルナシリカゲルカラムを用いて溶離液としてn-ヘキサン/酢酸エチルでの高速液体クロマトグラフィーで分離し、5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロールを得る工程」と記載されている。
そして、本件明細書等の【0025】には、
「画分F-3-4-2・・・をLunaシリカゲルカラム(n-ヘキサン/酢酸エチルの体積比3:1、流量2mL/min)で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離させて化合物3・・・を得た。」
と、記載され、本件明細書等の図3にも、以下の記載がある。
「
[図:0001436147000002.jpg]
」
よって、上記記載から、 「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」は、化合物3であるといえる。
そして、本件明細書等の図1に記載の化合物3の化学構造において、ピロールの2位に結合する基は「アルデヒド」であるから、
「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」が、
「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール」
を意味することは明らかである。
(ウ)小括
したがって、訂正事項4及び5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであるといえる。
イ 新規事項の追加の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール」及び「5-メトキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール」は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の明細書の【0011】に記載されており、また、図1に記載されているといえることから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項4及び5に係る訂正は、誤りであることが明らかな記載を、本来その意であることが明らかな記載に正すものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、当該訂正事項4及び5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
ウ 独立特許要件について
訂正事項4は、特許異議申立がされていない請求項4についての訂正であり、その訂正の目的は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とする訂正であるから、請求項4に係る発明は独立特許要件を満たさなければならないが、上記アで述べたとおり、その訂正の内容は、誤りであることが明らかな記載を本来その意であることが明らかな記載に正すものであるから、訂正後の請求項4に係る発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項4及び5に係る訂正は、独立特許要件を満たすものである。
(5)訂正事項6について
ア 訂正の目的について
訂正事項6の訂正の目的について、請求人は「誤記の訂正」である旨主張しているので、訂正事項6が誤記の訂正、すなわち誤りであることが明らかな記載を本来その意であることが明らかな記載に正すものであるといえるか、について検討する。
訂正前の明細書の【0011】に記載された「アルドル」という語は化合物の構造を表す語として存在しないので、【0011】の
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」、
「5-メトキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール」、
「5-ヒドロキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール」及び
「3-(ベンジル)-1-(ヒドロキシ)-4-アルドルピリジン」
という記載に何らかの誤りがあることは明らかである。
そして、同【0011】には、
「図1に示す8種類のマカ抽出アルカロイド誘導体化合物を得た。・・・化合物4は5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール、化合物5は5-メトキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール、化合物6は5-ヒドロキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール、化合物7は3-(ベンジル)-1-(ヒドロキシ)-4-アルドルピリジン・・・である。」
との記載がある、すなわち、
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」が「化合物4」であり、
「5-メトキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール」が「化合物5」であり、
「5-ヒドロキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール」が「化合物6」であり、
「3-(ベンジル)-1-(ヒドロキシ)-4-アルドルピリジン」が「化合物7」である旨の記載がある。
一方、本件特許の図1に、化合物4~7についての記載があるところ、
図1に記載の化合物4の化学構造において、ピロールの2位に結合する基は「アルデヒド」であり、
図1に記載の化合物5の化学構造において、ピロールの2位に結合する基は「アルデヒド」であり、
図1に記載の化合物6の化学構造において、ピロールの2位に結合する基は「アルデヒド」であり、
図1に記載の化合物7の化学構造において、ピリジンの4位に結合する基は「アルデヒド」である。
よって、訂正前の明細書の【0011】の、
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルドルピロール」、
「5-メトキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール」、
「5-ヒドロキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルドルピロール」及び
「3-(ベンジル)-1-(ヒドロキシ)-4-アルドルピリジン」
との記載は、本来、それぞれ
「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール」、
「5-メトキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルデヒドピロール」、
「5-ヒドロキシメチル-1-(ベンジル)-2-アルデヒドピロール」及び
「3-(ベンジル)-1-(ヒドロキシ)-4-アルデヒドピリジン」
を意味することは明らかである。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであるといえる。
イ 新規事項の追加の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項6により訂正される化合物は、当初明細書等の図1に記載されており、また、訂正事項6に係る訂正は、誤りであることが明らかな記載を、本来その意であることが明らかな記載に正すものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項6に係る訂正は、誤りであることが明らかな記載を、本来その意であることが明らかな記載に正すものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
よって、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
ウ 明細書の訂正と関係する請求項について
訂正事項6によって訂正された明細書の【0011】に記載された「5-ヒドロキシメチル-1-(m-メトキシベンジル)-2-アルデヒドピロール」(化合物4)は、訂正後の請求項3及び4に記載された化合物であるから、訂正事項6は、請求項3及び4についての訂正であるといえるところ、上記(1)で述べたとおり、請求項1~4は一群の請求項であるから、訂正事項6は、一群の請求項である請求項1~4に関係する訂正である。
そして、本件訂正の請求は、請求項1~4についてされているから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。
エ 独立特許要件について
訂正事項6は、上記アで述べたとおり、「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
そして、訂正事項6は、上記ウで述べたとおり、請求項1~4に関係する訂正であるところ、本件訂正前の請求項2~4については特許異議の申立てがされていないので、独立特許要件を満たさなければならない。
そして、訂正後の請求項2は削除され、訂正後の請求項3及び4に係る発明については、上記アで述べたとおり、その訂正の内容は、誤りであることが明らかな記載を本来その意であることが明らかな記載に正すものであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法126条7項に規定の独立特許要件を満たすものである。
4 訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1~4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項において準用する同法第126条第4~7項の規定に適合するものである。
よって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立について
申立人は、本件特許の請求項1に係る特許について特許異議の申立てをしているところ、本件訂正により請求項1は削除されたことから、申立ての対象が存在しないものとなった。
したがって、本件特許異議の申立ては、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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