特許訂正審判
2023-390051
手術器具摩耗トラッキングを備える遠隔操作手術システム
- 審判番号
- 2023-390051
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-524455
- 登録番号
- 7239471
- 請求日
- 2023年05月01日
- 審決日
- 2023年11月21日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】宮崎 修
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 後藤 泰輔
- 審判官 安井 寿儀
- 分類
- P141 .841-Z (A61B) / P141 .852-Z (A61B) / P141 .853-Z (A61B) / P141 .854-Z (A61B) / P141 .855-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条特許法126条1項特許法126条5項特許法126条6項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7239471号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第7239471号に係る出願は、2017年(平成29年)11月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年11月11日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 5年 3月 6日 :特許権の設定登録
令和 5年 5月 1日 :本件訂正審判の請求
そして、当審において、令和 5年 7月18日付け(発送日:令和 5年 7月25日)で訂正拒絶理由通知がされたが、請求人からは何等応答がなかった。
第2 訂正の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第7239471号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項10について訂正することを求めるものであり、その訂正事項は次のとおりである(下線は訂正箇所を示すために当審で付した。)。
1 訂正事項
特許請求の範囲の請求項10に
「当該作動方法は、
手術器具識別子を識別される手術器具の残存寿命情報と関連付ける第1の情報構造をコンピュータ可読ストレージデバイス中に提供すること、
外科的処置中に手術器具作動状態を変更するために前記アクチュエータ出力を用いて前記手術器具を作動させること、
外科的処置の実行中に前記識別される手術器具の手術器具作動状態をトラッキングすること、
外科的処置中に手術器具作動状態を変更するために前記アクチュエータ出力を用いて前記手術器具を作動させること、
前記トラッキングされる手術器具作動状態が前記外科的処置の前記実行中の第1の手術器具摩損作動状態と一致することに応答して、前記コンピュータ可読ストレージデバイス内の前記識別される手術器具の前記関連付けられる残存寿命情報を第1の手術器具寿命減少量だけ調整すること、
前記トラッキングされる手術器具作動状態が前記外科的処置の前記実行中の第2の手術器具摩損作動状態と一致することに応答して、前記コンピュータ可読ストレージデバイス内の前記識別される手術器具の前記関連付けられる残存寿命情報を第2の手術器具寿命減少量だけ調整すること、及び
ネットワークを通じて前記残存寿命情報を在庫管理システムに送信することを含み、」
と記載されているのを、
「当該作動方法は、
手術器具識別子を識別される手術器具の残存寿命情報と関連付ける第1の情報構造をコンピュータ可読ストレージデバイス中に提供すること、
外科的処置中に手術器具作動状態を変更するために前記アクチュエータ出力を用いて前記手術器具を作動させること、
外科的処置の実行中に前記識別される手術器具の手術器具作動状態をトラッキングすること、
前記トラッキングされる手術器具作動状態が前記外科的処置の前記実行中の第1の手術器具摩損作動状態と一致することに応答して、前記コンピュータ可読ストレージデバイス内の前記識別される手術器具の前記関連付けられる残存寿命情報を第1の手術器具寿命減少量だけ調整すること、
前記トラッキングされる手術器具作動状態が前記外科的処置の前記実行中の第2の手術器具摩損作動状態と一致することに応答して、前記コンピュータ可読ストレージデバイス内の前記識別される手術器具の前記関連付けられる残存寿命情報を第2の手術器具寿命減少量だけ調整すること、及び
ネットワークを通じて前記残存寿命情報を在庫管理システムに送信することを含み、」
に訂正する。
第3 訂正拒絶理由の概要
令和 5年 7月18日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、訂正事項は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものではないし、特許法第126条第1項ただし書に掲げるいずれかの事項を目的とするものとはいえないから、訂正事項を含む本件訂正は認められない、というものである。
第4 訂正の適否について
1 訂正事項について
(1)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正前の請求項10は、「外科的処置中に手術器具作動状態を変更するために前記アクチュエータ出力を用いて前記手術器具を作動させること」という工程を2回実行するもの、つまり「手術器具作動状態を変更するため」の手術器具の作動を2回実行するものであるから、ある手術器具作動状態から他の手術器具作動状態に変更し、さらに当該他の手術器具作動状態とは異なる手術器具作動状態に変更するものであった。
一方、訂正後の請求項10は、手術器具作動状態の変更を1回実行するものである。つまり、ある手術器具作動状態から他の手術器具作動状態に変更するものである。
してみると、訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであるから、特許法第126条第6項の規定に適合しない。
(2)新規事項追加の有無
願書に添付した明細書の段落0060-0062及び図14に示されたプロセスにおいて、段落0061に「識別された外科的処置の実行」をすることは記載されているものの、請求項10の「外科的処置中に手術器具作動状態を変更するために前記アクチュエータ出力を用いて前記手術器具を作動させること」については、記載も示唆もされていない。
また、願書に添付した明細書の段落0054には、「手術中、手術器具1202は、外科的処置中の異なる活動に対応する複数の作動状態を通じて移行してよい」ことが記載されているものの、当該記載と、段落0060-0062及び図14に示されたプロセスの関係が不明である。
したがって、訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、いわゆる新規事項の追加に該当する。
よって、訂正事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であるということはできず、特許法第126条第5項の規定に適合するものではない。
(3)訂正の目的の適否
訂正前の請求項10において、「外科的処置中に手術器具作動状態を変更するために前記アクチュエータ出力を用いて前記手術器具を作動させること」という記載が重複して存在していることのみをもって、誤記や誤訳があったとは認められないし、その記載自体が不明瞭であるともいえない。
よって、訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第2号の規定(誤記又は誤訳の訂正)及び第3号の規定(明瞭でない記載の釈明)のいずれにも適合しない。
また、訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第1号の規定(特許請求の範囲の減縮)及び第4号の規定(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)のいずれにも適合しない。
よって、訂正事項は、特許法第126条第1項の規定に違反するものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、訂正事項は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものではないし、特許法第126条第1項ただし書に掲げるいずれかの事項を目的とするものとはいえないから、訂正事項を含む本件訂正は認められない。
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