特許訂正審判
2026-390062
複数の心電図リード信号を獲得するウェアラブルデバイス
- 審判番号
- 2026-390062
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2024-508634
- 登録番号
- 7754546
- 請求日
- 2026年04月02日
- 審決日
- 2026年05月25日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ヘキサチェック インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】折坂 茂樹
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 萩田 裕介
- 分類
- P141 .852-Y (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7754546号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7754546号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項17について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7754546号発明(以下「本件特許」という。)は、2022年(令和4年)8月16日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2021年8月13日(KR)韓国)を国際出願日とする特許出願であって、その請求項1~26に係る発明について令和7年10月6日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和8年4月2日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、特許第7754546号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項17について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正の内容は、以下のとおりである。
<訂正事項1>
特許請求の範囲の請求項17における「心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載について、「心電図測定開始命令」を削除し、「心電図リード信号」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)請求人は、審判請求書の6(3)ア(ア)aにおいて、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであると主張しているので、訂正事項1が誤記の訂正を目的とするものといえるかについて、以下検討する。
まず、誤記の訂正とは、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいう。
そして、誤記の訂正が認められるためには、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面中の記載に誤記が存在することが必要である。
(2)訂正前の特許請求の範囲の請求項17、及び訂正前の特許請求の範囲の請求項17が引用するものである訂正前の特許請求の範囲の請求項12の記載は、次のとおりである。
「 【請求項12】
一つのウォッチ本体に設置されて、リードIを測定する一つのウォッチ心電計;および
設置される位置によって、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計;を含むウェアラブルデバイスであって、
前記ウォッチ心電計が心電図測定を開始する命令、すなわち心電図測定開始命令を前記一つの下向きリード心電計に無線で送信し、
前記ウォッチ心電計は、リードIを測定し、
前記心電図測定開始命令を無線で受信した前記一つの下向きリード心電計は、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定し、 前記一つの下向きリード心電計が測定された前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを前記ウォッチ心電計に無線で送信すると、前記ウォッチ心電計は、前記送信されたリードIIまたはリードIIIの中で一つを無線で受信して、
同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を獲得し、
前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を利用して4つの心電図リード信号を追加的に算出して、リードI、リードII、リードIII、リードaVR、リードaVL、リードaVFで構成される6つの四肢誘導信号を得る、ことを特徴とするウェアラブルデバイス。」
「 【請求項17】
前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図測定開始命令心電図リード信号は、利得特性が同一である、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。」
(3)訂正前の特許請求の範囲の請求項17には、「心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載があり、訂正前の特許請求の範囲の請求項12及び17には、「心電図測定開始命令」及び「心電図リード信号」との記載はあるものの、上記以外に「心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載はない。
また、訂正前の特許請求の範囲の請求項12の「前記ウォッチ心電計が心電図測定を開始する命令、すなわち心電図測定開始命令を前記一つの下向きリード心電計に無線で送信し、」との記載より、「心電図測定開始命令」は「心電図測定を開始する命令」であり、訂正前の特許請求の範囲の請求項12の「同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を獲得し、」との記載より、「心電図リード信号」は「測定された」結果としての信号であるから、「心電図測定開始命令」と「心電図リード信号」とは、その内容も生成のタイミングも異なるものであって、「心電図測定開始命令」と「心電図リード信号」とを合わせた「心電図測定開始命令心電図リード信号」なる信号が存在しないことは、明らかである。
さらに、設定登録時の明細書においても「心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載、あるいは、「心電図測定開始命令心電図リード信号」に対応するものと解釈できる信号についての記載はない。
以上より、訂正前の特許請求の範囲の請求項12及び17における他の記載との関係、あるいは、明細書の記載との関係を鑑みると、訂正前の特許請求の範囲の請求項17における「心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載が誤記であることは、明らかである。
(4)ア 訂正前の特許請求の範囲の請求項12には、「同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を獲得し、」との記載があるから、「心電図リード信号」は「同じ時間帯域で測定された2つの」信号があるといえる。また、訂正前の特許請求の範囲の請求項12及び17には、「心電図リード信号」の他に「同じ時間帯域で測定された2つの」信号についての記載はない。
よって、訂正前の特許請求の範囲の請求項17の「前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載における「心電図測定開始命令心電図リード信号」が、「心電図リード信号」の誤記であることは、明らかである。
また、訂正前の特許請求の範囲の請求項17の「前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載について、冒頭に「前記」が付されており、また、訂正前の特許請求の範囲の請求項12には、「同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号」と記載されていることからも、訂正前の特許請求の範囲の請求項17の「前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載が、「前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号」の誤記であることは、明らかである。
イ 設定登録時の明細書には、「一方、本発明で、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、利得特性が同一であることを特徴とする。」(段落【0037】)及び「本発明を具現するためには、次の条件が必要である:本発明で用いられる2つの心電計の利得は同一である必要がある。利得が同一でない2つの心電計で測定された2つの心電図リード信号を前記式の何れか一つに適用すれば、好ましくない結果が得られる。」(段落【0114】)と記載されている。
よって、設定登録時の明細書の記載を参酌しても、訂正前の特許請求の範囲の請求項17の「前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図測定開始命令心電図リード信号は、利得特性が同一である」との記載が、「前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、利得特性が同一である」の誤記であることは、明らかである。
ウ 以上より、訂正前の特許請求の範囲の請求項12及び17における他の記載との関係、あるいは、設定登録時の明細書の記載との関係を鑑みると、訂正前の特許請求の範囲の請求項17の記載における「心電図測定開始命令心電図リード信号」が「心電図リード信号」の誤記であることは、客観的に明らかであると認められる。
(5)よって、訂正事項1による訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項17において、誤記であることが明らかである「心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載を、本来その意であることが明細書及び特許請求の範囲の記載から客観的に明らかな語句である「心電図リード信号」に正すものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
2 訂正事項1が本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
当初明細書等の段落【0037】には、「一方、本発明で、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、利得特性が同一であることを特徴とする。」と記載されているから、訂正事項1に係る訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるかについて
訂正事項1は、上記1で示したとおり、誤記であることが明らかである「心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載を、本来その意であることが設定登録時の明細書及び特許請求の範囲の記載から客観的に明らかな語句である「心電図リード信号」に正すものであり、訂正前の特許請求の範囲の請求項17に係る発明の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4 特許法第126条第7項(独立特許要件)について
訂正事項1は、上記1で示したとおり、誤記であることが明らかである「心電図測定開始命令心電図リード信号」との記載を、本来その意であることが明細書及び特許請求の範囲の記載から客観的に明らかな語句である「心電図リード信号」に正すものであり、訂正前の特許請求の範囲の請求項17に係る発明の内容を変更するものではなく、また、訂正後の特許請求の範囲の請求項17に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由も見いだせないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであって、かつ、同条第5~7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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