商標取消審判
2023-300564
スタンドアップ、スタンダップ
- 審判番号
- 2023-300564
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-043061
- 登録番号
- 5995522
- 請求日
- 2023年08月09日
- 審決日
- 2025年03月24日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パタゴニア・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】窪田 英一郎
- 【被請求人】新妻 勝彦
- 【被請求人代理人】橘高 郁文
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5995522号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5995522号商標(以下「本件商標」という。)は、「STAND-UP」の文字を標準文字で表してなり、平成29年3月30日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として同年11月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和5年8月28日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和2年8月28日~令和5年8月27日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」(以下「請求に係る指定商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書、令和5年10月6日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年12月27日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び同6年10月25日付け意見書(以下「意見書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
以下に述べるように、被請求人が主張する使用の事実を認めるに足りる証拠は提出されていない。
(1)各乙号証は使用の事実の証明には不十分であることについて
ア 各乙号証は作成が容易であること
乙第5号証、乙第6号証、乙第8号証及び乙第9号証は、被請求人自身が単独で作成することができる内容の書面である。
また、これらの書面には、商標権者又は株式会社ヘルス・ニット(以下「ヘルス・ニット社」という。)による押印の印影すら存在していない。
なお、甲第1号証には、ヘルス・ニット社によるティーシャツの納品先とされる会社(乙5。以下「A社」という。)について「ヘルスニットのライセンサーとして靴下・帽子などの商品展開を行っております。」という記載があるが、日本における第25類の被服等の商標の権利者は、商標権者及び商標権者が代表取締役を務めるヘルスニット・ブランズ株式会社(以下「ヘルスニット・ブランズ社」という。)である(甲2、甲3)。
このような記載があることに照らすと、商標権者とA社との間には密接な関係があり、したがって、商標権者がA社に協力を求め、要証期間中に存在しなかった上記のような請求書や納品書を本件審判請求がなされた以降に作成することも容易であった。
また、ヘルス・ニット社によるティーシャツの納品先とされる他の会社(乙8。以下「E社」という。)については、後述のように、実体がなく、また被服の販売等を目的としない会社であり、そのような会社へヘルス・ニット社が被服を販売していたとは考え難く、むしろ、実体のない会社であることを利用して、本件要証期間中に存在しなかった上記のような請求書や納品書を本件審判請求以降に作成したと考えるべきである。
したがって、上記の各証拠は、本件審判請求がなされた以降であっても容易に作成することが可能なものであり、要証期間における本件商標の使用の事実を立証するにあたり、その証拠価値は低いものであるといわざるを得ないものである。
さらに、乙第3号証の各画像は、被請求人代理人により、令和5年10月2日に撮影されたものであって、本件審判請求以前に撮影されたものではない。
したがって、このような「STAND-UP」の文字が記載されたタグが付されたティーシャツが本件審判請求以前に存在し、取引されていたかどうかは明らかでない。
イ A社からの入金について
乙第5号証及び乙第6号証によると、ヘルス・ニット社からA社に対しては、商品の販売代金の請求がなされている。
しかしながら、A社からヘルス・ニット社ヘ実際に支払われている金額は乙第7号証に記載されているとおりであり、請求金額と入金額が一致していない。
したがって、このような内容で商品の取引が実際にされているのかどうか疑義がある。
ウ フォーマットが一致していないこと
乙第6号証では、請求書の末尾に「決済期日:2022年11月30日」という記載が存在しているのに対し、乙第9号証では、請求書の同じ箇所に決済期日に関する記載が存在していない。
弁済期は、支払を受ける側からすれば、大きな関心がある事項であるところ、積極的に当該記載をしない理由はないものである。
エ 請求書等に付されている番号について
乙第5号証及び乙第8号証の納品書には伝票番号が、乙第6号証及び乙第9号証の請求書には、請求番号がそれぞれ付されており、このうち、各納品書に付された伝票番号は、乙第5号証では「2022102710」であり、乙第8号証では「202211171」である。
そうすると、これら伝票番号の前8桁は、発行日を記載したものであり、その後に続く数字は、その日の納品の件数、あるいは顧客番号など社内の運用に従って付されているものであり、何らかの規則性が存在していると考えられる。
しかしながら、乙第6号証及び乙第9号証に付された請求番号は、それぞれ「20221031」と「20221130」であり、日付と一致する番号である。
提出された2件の取引に関する書面に照らすと、ヘルス・ニット社による取引では、月末締めで当該月の取引に関する請求書が発行されていると考えられるところ、納品書には何らかのルールに基づいて、伝票番号を付しているような企業が、請求書には、重複する可能性が高い日付のみを請求番号として使用しているのは不合理であると言わざるを得ない。
オ 小括
上記アにおいて主張したとおり、乙第5号証、乙第6号証、乙第8号証及び乙第9号証については、これらの請求書及び納品書に記載の日時に、当該書面が存在していたかどうかについて、疑義があるものである。また、乙第3号証の各ティーシャツについても、要証期間内において存在していたものか明らかでない。
そして、上記イないしエに記載の事実に照らせば、提出された請求書及び納品書が、要証期間に存在していなかったことが具体的に裏付けられる。
したがって、被請求人は、要証期間中に本件商標が指定商品について使用されていたことを立証する証拠を提出していないものである。
(2)本件商標が付された商品が消費者に販売された形跡がないこと
ア A社による販売について
ヘルス・ニット社がティーシャツを納品したとされるA社のホームページによれば、その事業内容は「靴下・帽子・ファッション雑貨の企画及び販売」であり、その取扱い製品を見ても需要者に対してティーシャツを販売している形跡は見当たらない(甲1)。
そのような企業が、計48点の乙第3号証のようなティーシャツを購入するとは考え難いものであり、ヘルス・ニット社とA社間の乙第5号証及び乙第6号証の取引は、存在していなかったものである。
イ E社による販売について
ヘルス・ニット社がティーシャツを納品したとされるE社については、そもそもホームページが存在しておらず、また、店舗などの存在も明らかでなく、消費者に対してティーシャツを販売している形跡はない(甲4)。
さらに、E社の設立目的は、幅広く記載されているものの、被服等の販売については記載がなく、むしろ、本店所在地が居宅のようであり、かつ資本金の額の記載にも鑑みると、実体のない会社であることが強く推認される(甲5)。
したがって、ヘルス・ニット社とE社間の乙第8号証及び乙第9号証の取引は、存在していなかったものである。
ウ ヘルス・ニット社による販売について
商標権者が代表取締役を務めているヘルス・ニット社は、上記2社に対して、「PLAYKNITS」と「STAND-UP」の文字が二段で表示されたタグのついたティーシャツを要証期間内である2022年10月及び同年11月に販売した事実を主張する。
被請求人の主張及び提出証拠の内容からして明らかではあるが、商標権者自身又はヘルス・ニット社が、乙第3号証のようなティーシャツなどを販売していることは確認できない。
なお、商標権者は、前述のとおりヘルスニット・ブランズ株社の代表取締役を務めているところ、同社は自社のオンラインショップにおいてティーシャツ等の販売を行っている(甲6)が、当該オンラインショップにおいても、乙第3号証のようなティーシャツが取り扱われている様子は見られず(甲7)、商標権者自身又はヘルス・ニット社やヘルスニット・ブランズ社による乙第3号証のティーシャツの販売はされていない。なお、上記オンラインショップにおいては、商品名に「#2201」の番号が付されたティーシャツとしては、「Healthknit」の標章のみが付された商品が販売されており(甲8)、乙第3号証のような「STAND-UP」の語を含むタグの付された商品は、当該販売ページ上に存在していない。
エ 小括
上記のとおり、商標権者は自ら又は通常使用権者等により本件商標を付した製品を要証期間に需要者へ販売しておらず、また、A社及びE社が需要者へ本件商標を付した製品を要証期間に販売した事実もないものである。
(3)まとめ
以上述べたとおり、被請求人が提出した証拠からは、要証期間において本件商標がその指定商品に使用されていた事実を認定できないものである。
よって、被請求人の答弁には何ら合理的な根拠がない。
3 意見書による主張
(1)審尋書に対する回答について
被請求人は、請求書と振込金額の不一致について、振込手数料を控除したものであると主張するが、これを裏付ける証拠は何も提出されていない。
すなわち、そもそも振込手数料をヘルス・ニット社の負担とする合意があったのか、被請求人が主張する振込手数料がその当時消費税込の605円であったのか定かではない。
仮に、そのような事実があったとしても、以下の各事実に照らせば、被請求人が提出する証拠が、商標権者による本件商標の使用を裏付けるものとはならないものである。以下、詳述する。
(2)請求書に付されている番号について
被請求人は、ヘルス・ニット社の請求書番号には、取引先全般についての統一的ルールはないと主張して、他の取引先の例を挙げるが、このような例は、むしろ乙第6号証及び乙第9号証の請求書番号が不自然であることを裏付けるものに他ならない。
すなわち、被請求人も認めるように、乙第10号証及び乙第11号証並びに乙第12号証及び乙第13号証は、同じ取引先については連続した番号を使用していることを示す証拠でもある。
しかしながら、A社及びE社の請求書は、単に日付を請求書番号としているものであり、そうすると、同日にA社及びE社に対して請求書を発行すると、それぞれの請求書に同じ番号が付されてしまう可能性があるということになる。
この点、ヘルス・ニット社は、乙第10号証ないし乙第13号証のとおり、他の取引先との関係では、同じ番号になることがないような請求書番号を取引先ごとに連続した番号を付している会社であり、請求書番号を請求書ごとに固有の番号にすることの必要性を認識していることは明らかである。
そのような会社が、本件で使用の証拠となる請求書が存在する企業についてのみ、不合理な番号を付しているというのであって、当該証拠が真正に作成されたものであることには、強い疑念があるといわざるを得ない。
(3)A社による販売について
被請求人は、ヘルスニット・ブランズ社からA社への納品書(乙14)をもって、A社がティーシャツ等の販売をしている旨主張する。
しかしながら、甲第1号証には、A社は「ヘルス・ニットのライセンサー」という記載があることから「ヘルスニット・ブランズ」との間でも密接な関係があるものである。
したがって、乙第14号証についても、ヘルスニット・ブランズ社がA社に証拠の作成の協力を要請することも容易であり、乙第5号証や乙第6号証と同様に証拠の信用性はないものである。
そして、このような証拠以外に、A社がティーシャツを販売していることを示すウェブサイト上の販売ページやカタログ、その他の資料は提出されていないのであり、A社がティーシャツを取り扱っていないことが強く推認される。
(4)E社による販売について
被請求人は、「預金通帳は後から日付を遡及させることができないものであり、同社がヘルス・ニット社と取引していたことは裏付けされている」と主張するが、預金通帳の記載は、本件商標を使用した商品の取引がされたことを裏付けるものではない。
すなわち、乙第7号証が証明する事実は、令和5年2月2日にE社からヘルス・ニット社に特定の金額が振り込まれたことにとどまるのであって、当該金額と合致するように、上記振込日以前の任意の日付で請求書や納品書が作成された可能性を排除するものではない。
結局、被請求人からはE社が実体のない会社であることを否定する証拠は提出されていないのであり、乙第8号証及び乙第9号証が真正に成立したものではないことが強く推認される。
(5)まとめ
以上述べたとおり、被請求人が提出した証拠からは、要証期間において本件商標がその指定商品に使用されていた事実を認定できないものである。
よって、被請求人の答弁には何ら合理的な根拠がない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び令和6年3月25日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同年4月26日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標使用の事実について
本件商標は、要証期間に、本件商標の通常使用権者であるヘルス・ニット社により、指定商品「被服」について使用されている。
(2)通常使用権者による使用について
ヘルス・ニット社は、商標権者が代表取締役である会社であり、両者のこのような関係から、商標権者は自己が所有する全ての商標につきヘルス・ニット社に対し会社設立当初から包括的に通常使用権を許諾する契約をしており(乙1、乙2)、以後ヘルス・ニット社は通常使用権者として本件商標等の商標権者の商標を使用しているものである。
(3)使用の時期及び態様について
ヘルス・ニット社は、令和4年10月27日にA社に対し、本件商標を付したティーシャツ(乙3)を納品販売して(乙5)、同月31日に請求書を発行し(乙6)、同年11月30日に同販売代金の支払を受けている(乙7)。
また、ヘルス・ニット社は、令和4年11月17日にE社に対し、その保有する本件商標を付したティーシャツ(乙3)を納品販売して(乙8)、同月30日に請求書を発行し(乙9)、同5年2月2日に同販売代金の支払を受けている(乙7)。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、要証期間に日本国内において通常使用権者により、請求に係る指定商品中「被服」について使用していることが明らかであるから、取り消されるべきものではなく、本件審判請求は成り立たない。
2 回答書による主張
(1)審尋に対する回答
ア 請求書と振込金額の不一致について
乙第6号証の請求金額に対して、乙第7号証の振込金額が605円少なくなっているのは、銀行の振込手数料が差し引かれて振り込まれているからである。
すなわち、振込手数料はどの銀行から振込がなされるか同一銀行への振込かどうか等によって金額が変わってくるが、本件の振込は他行になされていて消費税込みの手数料605円(手数料550円・消費税55円)が差し引かれているので、差し引かれた金額が商標権者の預金口座に振り込まれているものである。
イ 納付期日の不記載について
乙第9号証に納付期日が記載されていない理由は、ヘルス・ニット社が通常は請求書に納付期日まで記載していないからにすぎない(納付期日を記載しないで請求書を発行している会社はたくさんある。)。
それではなぜ同じヘルス・ニット社発行の乙第6号証には納付期日を記載したのかというと、A社の方から請求書をそのようにしてくれと要請があったからであり、これは同社の支払事務処理上納付期日を明記してもらいたいといった同社内の問題である。
ヘルス・ニット社は同社以外の会社宛ての請求書には納付期日は記載していない。
(2)弁駁書の主張に対する意見
上記(1)の請求書と振込金額の不一致や納付期日の不記載という指摘は、請求人が弁駁書で主張し、「被請求人提出証拠は・・・本件審判請求以降に作成したと考えるべき」と強調していたところであるが、それが単なる勘ぐりにすぎないことは上記のとおり明らかである。
そして、他の弁駁書の主張も同様であることは、以下に述べるとおりである。
ア 請求書に付されている番号について
弁駁書で、「・・・伝票番号・・・請求番号・・・発行日を記載したもの・・・乙第6号証及び乙第9号証に付された請求番号は・・・日付と一致する番号・・・に照らすと、ヘルス・ニット社による取引では、月末締めで当該月の取引に関する請求書が発行されていると考えられるところ・・・請求書には重複する可能性が高い日付のみを請求番号として使用しているのは不合理である・・・」と、ここでも推測に基づく主張をしているが、的外れである。
ヘルス・ニット社の請求書は請求番号等を取引先全般について統一的なものにしてはおらず、また請求書の請求番号を発行日の数字にすることもあるが決してそうしているわけではない。
このことは、ヘルス・ニット社の別の請求書を見ればよくわかる。
乙第10号証及び乙第11号証は東京都千代田区所在の同一の取引先に、乙第12号証及び乙第13号証は横浜市中区所在の同一の取引先にヘルス・ニット社が出した請求書であるが、これらを比較対照してみると一目瞭然であり、請求番号は同一の取引先についてはその連続性は認められるものの、取引先の異なる取引先についてはその連続性はない。
また、請求書の様式も同一の取引先では統一性があるものの、取引先が異なれば微妙に違っており、乙第10号証及び乙第11号証では発行日の記載はあるが締切日の記載はなく、乙第12号証及び乙第13号証とではその逆になっている。
そして、そのいずれの請求番号も発行日とは同じ数字にはなっていない。
イ A社による販売について
弁駁書で、「・・・A社・・・の取扱い製品を見ても需要者に対してティーシャツを販売している形跡は見当たらない・・・そのような企業が、計48点の乙第3号証のようなティーシャツを購入するとは考え難い」と主張をしているが、当を得ていない。
A社がティーシャツの取扱いをしていることはヘルスニット・ブランズ社からの「Healthknit」ブランドのティーシャツ購入を示す乙第14号証の納品書からも立証されるものである。
ウ E社による販売について
弁駁書で、「・・・E社については・・・実体のない会社であることが強く推認される・・・乙第8号証及び乙第9号証の取引は、存在していなかったものである。」と主張をしているが、正当でない。
乙第7号証の預金通帳は後から日付を遡及させることができないものであり、同社がヘルス・ニット社と取引していたことは裏付けされていることである。
エ ヘルス・ニット社による販売について
弁駁書で、「・・・ヘルス・ニット社が、乙第3号証のようなティーシャツなどを販売していることは確認できない。・・・ヘルスニット・ブランズ社・・・は自社のオンラインショップにおいてティーシャツ等の販売を行っている(甲6)。しかし、当該オンラインショップにおいても、乙第3号証のようなティーシャツが取り扱われている様子は見られず(甲7)、商標権者自身又はヘルス・ニット社やヘルスニット・ブランズ社による乙第3号証のティーシャツの販売はされていない。なお、上記オンラインショップにおいては、・・・ティーシャツとしては、「Healthknit」の標章のみが付された商品が販売されており(甲8)、乙第3号証のような「STAND-UP」の語を含むタグの付された商品は、当該販売ページ上に存在していない。」と主張をしているが、これも失当である。
ヘルスニット・ブランズ社ではその社名のように「Healthknit(ヘルスニット)のブランド商品」の取扱いをしていて「Healthknit」の商標が付されたティーシャツ等は販売しているものの、「Healthknit」以外のブランドの商品はヘルス・ニット社が販売していたものである。
「STAND-UP」の商標が付された乙第3号証のティーシャツも、ヘルスニット・ブランズ社の販売ではなく、ヘルス・ニット社の販売商品であり、被請求人は当初からそのように答弁している。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第1号証
乙第1号証は、履歴事項全部証明書であり、1葉目において、その表題の記載の下に提示された表中、「商号」の欄に、ヘルス・ニット社の社名の記載、「本店」の欄に、住所の記載、「役員に関する事項」の欄に、「取締役」として商標権者の氏名の記載、「登記記録に関する事項」の欄に、「平成26年9月11日登記」の記載がある。
イ 乙第2号証
乙第2号証は、「委任状」との表題の文書であり、その表題の記載の下に、「新妻 勝彦(以下甲という)と株式会社ヘルス・ニット(以下乙という)とは、甲が所有する全ての商標について次の通り契約を締結する。」の記載、その下に、「指定商品役務/第18類 かばん類、その他/第25類 被服、その他/第35類 小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益 の提供、その他」の記載、その下に、「(目的)/第1条 甲は上記登録商標(以下本件商標という)の通常使用権、再使用権を乙に許諾することを約する。」の記載があり、下部に、「平成26年10月1日」の記載並びに甲及び乙の住所氏名の記載、押印がある。
ウ 乙第3号証
乙第3号証は、被請求人が、本件商標を付したティーシャツの写真と主張するものであり、乙第3号証の1及び乙第3号証の2には、それぞれ、白色のティーシャツの全体の写真、同じく襟部分を拡大した写真が写っており、各写真のそれぞれの上に、「PLAYKNITS&STAND-UP #2201 T-SHIRT White MおよびL」の記載がある。
一方、乙第3号証の5及び乙第3号証の6には、それぞれ、灰色のティーシャツの全体の写真、同じく襟部分を拡大した写真が写っており、各写真のそれぞれの上に、「PLAYKNITS&STAND-UP #103 T-SHIRT H/Gray MおよびL」の記載がある。
そして、特に乙第3号証2の及び乙第3号証の6の各写真から、各ティーシャツの襟にタグが付されていること、また、各タグには共通して、サイズを示すと思われる「M」又は「L」の文字の上に、「PLAYKNITS」及び「STAND-UP」の各文字が上下2段に表示されていることが見て取れる(乙3の6において、「M」の文字を伴ったものは別掲に示すとおりである。)。
エ 乙第5号証
乙第5号証は、「納品書」であり、左上に、その表題の記載、右上に、「発行日: 2022年10月27日」の記載、その下に、「伝票番号/2022102710」の記載、上記表題の記載の下に、「御中」を伴ったA社の社名及び同社の住所(東京都内)の記載、その右下に、ヘルス・ニット社の社名及び乙第1号証に記載のものと一致する住所の記載があり、また、その下に提示されている、見出しとして「商品名」、「単価」、「数量」、「金額」及び「備考」が設けられた表中、「商品名」の欄に、「PLAYKNITS&STAND-UP #2201 T-SHIRT White M」及び「PLAYKNITS&STAND-UP #103 T-SHIRT H/Gray M」を含む各商品の名称を示す記載、右下に、「総額」の金額を示す記載がある。
ここで、各商品の名称は、いずれも「PLAYKNITS&STAND-UP #2201 T-SHIRT」又は「PLAYKNITS&STAND-UP #103 T-SHIRT」において共通するものである。
オ 乙第6号証
乙第6号証は、「請求書」であり、左上に、その表題の記載、右上に、「2022年10月31日」の記載、その右に、「請求番号:20221031」の記載、上記表題の記載の下に、「御中」を伴ったA社の社名の記載、その右下に、ヘルス・ニット社の社名及び乙第1号証に記載のものと一致する住所の記載、その左下に、「ご請求金額」の記載、その右に、乙第5号証に記載の「総額」の金額と一致する金額の記載があり、また、その下に提示されている、見出しとして「商品名」、「単価」、「数量」及び「金額」が設けられた表中、「商品名」の欄に、「PLAYKNITS&STAND-UP #2201 T-SHIRT」及び「PLAYKNITS&STAND-UP #103 T-SHIRT」の記載があり、さらに、当該表の下に、「お振込先」の記載、その右に、銀行名、口座番号及びヘルス・ニット社の社名の記載、その下に、「決済期日:2022年11月30日」の記載がある。
カ 乙第7号証
乙第7号証は、銀行の通帳の紙面を示すものであり、1葉目において、「普通預金通帳」、ヘルス・ニット社の社名及び乙第6号証に記載のものと一致する銀行名の各記載を含む表紙が提示されている。
また、本号証の3葉目において、上記通帳の8番目の見開きが提示され、その中に、令和4年11月30日に、A社から乙第5号証に記載の「総額」の金額よりも605円少ない金額の振込があったことを示す記載があり、4葉目において、上記通帳の9番目の見開きが提示され、その中に、令和5年2月2日に、E社から所定金額の振込があったことを示す記載がある。
キ 乙第8号証
乙第8号証は、「納品書」であり、左上に、その表題の記載、右上に、「発行日: 2022年11月17日」の記載、その下に、「伝票番号/202211171」の記載、上記表題の記載の下に、「御中」を伴ったE社の社名及び同社の住所(埼玉県内)の記載、その右下に、ヘルス・ニット社の社名及び乙第1号証に記載のものと一致する住所の記載があり、また、その下に提示されている、「商品名」、「単価」、「数量」、「金額」及び「備考」の見出しが設けられた表中、「商品名」の欄に、「PLAYKNITS&STAND-UP #2201 T-SHIRT White M」及び「PLAYKNITS&STAND-UP #103 T-SHIRT H/Gray M」を含む各商品の名称を示す記載、右下に、乙第7号証の4葉目に記載の金額と一致する、「総額」の金額を示す記載がある。
ここで、各商品の名称は、いずれも「PLAYKNITS&STAND-UP #2201 T-SHIRT」又は「PLAYKNITS&STAND-UP #103 T-SHIRT」において共通するものである。
ク 乙第9号証
乙第9号証は、「請求書」であり、左上に、その表題の記載、右上に、「2022年11月30日」の記載、その右に、「請求番号:20221130」の記載、上記表題の記載の下に、「御中」を伴ったE社の社名の記載、その右下に、ヘルス・ニット社の社名及び乙第1号証に記載のものと一致する住所の記載、その左下に、「ご請求金額」の記載、その右に、乙第7号証の4葉目に記載の金額と一致する金額の記載があり、また、その下に提示されている、「商品名」、「単価」、「数量」及び「金額」の見出しが設けられた表中、「商品名」の欄に、「PLAYKNITS&STAND-UP #2201 T-SHIRT」及び「PLAYKNITS&STAND-UP #103 T-SHIRT」の記載があり、さらに、当該表の下に、「お振込先」の記載、その右に、銀行名、口座番号及びヘルス・ニット社の社名の記載がある。
(2)上記(1)アないしクによれば、次の事実を認めることができる。
ア 商標権者は、平成26年9月11日以降、ヘルス・ニット社の代表取締役であり(乙1)、平成26年10月1日に、ヘルス・ニット社に対して、商標権者が保有する登録商標を許諾する旨の契約を行った(乙2)。
そうすると、ヘルス・ニット社は、少なくとも平成26年10月1日以降、商標権者から許諾を受けた、本件商標の通常使用権者であったものと認められる。
イ ヘルス・ニット社は、2022年(令和4年)10月27日に日本国内のA社に対して、また、同年11月17日に日本国内のE社に対して、それぞれ、「PLAYKNITS&STAND-UP #2201 T-SHIRT White M」と称する商品(以下「使用商品1」という。)、「PLAYKNITS&STAND-UP #103 T-SHIRT H/Gray M」と称する商品(以下「使用商品2」という。)、及びこれらと名称の一部が共通するその他の商品を販売した(乙5、乙8)。
そして、ヘルス・ニット社は、使用商品1及び使用商品2を含む各商品の名称の共通部分を記載し、かつ日付に対応する8桁の数字の請求番号を記載した請求書を、A社に対しては決済期日の日付を更に記載して、E社に対してはその記載を行わずに発行し、その後、銀行振込により、A社からは請求金額よりも605円少ない金額の支払を受け、E社からは請求金額どおりの支払を受けた(乙6、乙7、乙9)。
ウ ここで、被請求人は回答書において、A社に関して請求金額よりも振込金額が少ないことついて、銀行の振込手数料が差し引かれて振り込まれている旨主張しており、また、同社の請求書(乙6)に決済期日の日付が記載されていることについて、同社の要請に従った旨主張しているところ、これらの主張は特段不自然なものではない。
また、請求書に記載する請求番号が日付に対応する8桁の数字であることにより、同じ日に別の販売があった場合等に何らかの不都合が発生する可能性が否定できないとしても、そのような番号の使用が全くあり得ないと認めるに足りる根拠は見いだせない。
さらに、A社及びE社のそれぞれが、ヘルス・ニット社から使用商品1等を購入した後に、当該商品をどのように取り扱ったかを示す証拠は提出されていないが、乙各号証に何ら不審な点を見いだすことはできず、そうである以上、それぞれの信用性に疑義が生じるものとはいえない。
よって、上記の各事情は、上記イの認定を左右するものとは認められない。
エ 納品書(乙5、乙8)に記載された使用商品1及び使用商品2の名称には、「PLAYKNITS」及び「STAND-UP」の文字が含まれている。
そして、使用商品1の名称は乙第3号証の1及び乙第3号証の2の各写真の上に、使用商品2の名称は乙第3号証の5及び乙第3号証の6の各写真の上に記載されているところ、各名称中の「T-SHIRT」の文字はティーシャツの英語表記であり、同じく「PLAYKNITS」及び「STAND-UP」の文字は、乙第3号証2の及び乙第3号証の6の各写真において見て取れる、ティーシャツの襟に付されたタグに上下2段に表示されているものである。
そうすると、上記イの販売において、使用商品1及び使用商品2はいずれもティーシャツであり、各ティーシャツには、別掲のとおりの、「PLAYKNITS」及び「STAND-UP」の文字を上下2段に表してなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されたタグが付されていたものと推認できる。
オ 上記アないしエによれば、本件商標の通常使用権者は、2022年(令和4年)10月27日に日本国内のA社に、また、同年11月17日に日本国内のE社に、それぞれ、使用商標が表示されたタグが付された、使用商品1及び使用商品2のそれぞれに係る商品「ティーシャツ」を販売したことが認められる。
2 判断
上記1(2)オの行為について、次のとおり判断できる。
(1)使用商標について
使用商標の構成中、「STAND-UP」の文字は、「PLAYKNITS」の下に、これと異なる書体及び色で表示されたものであるから、両者は一連一体ではなく、使用商標は、本件商標とつづりを共通にする「STAND-UP」の文字が、「PLAYKNITS」と独立に自他商品識別機能を発揮し得る部分として分離して認識されるものといえる。
そうすると、使用商標と本件商標とは、社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用商品について
商品「ティーシャツ」は、請求に係る指定商品中「被服」に該当する商品といえる。
(3)使用者、使用時期及び使用行為について
使用商標の使用者は、本件商標の通常商標権者であり、使用商標の使用時期は、2022年(令和4年)10月27日及び同年11月17日であって、いずれも要証期間であり、使用商標が表示されたタグが付された商品「ティーシャツ」を販売する行為は、商標法第2条第3項第2号にいう、商品に標章を付したものを譲渡し又は引き渡す行為に該当する。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標の通常商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる使用商品に、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる標章を付して譲渡する、商標法第2条第3項第2号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる使用商品「ティーシャツ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-300564