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商標取消審判

2025-300346

スッテプイチ、ステップワン、ステップ

審判番号
2025-300346
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2016-111640
登録番号
6011114
請求日
2025年04月17日
審決日
2026年03月05日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ステップ ワン クロージング プロプライエタリー リミテッド
  • 【請求人代理人】杉村 憲司
  • 【請求人代理人】杉村 光嗣
  • 【請求人代理人】門田 尚也
  • 【請求人代理人】長嶺 晴佳
  • 【被請求人】ゴールドフラッグ株式会社
  • 【被請求人代理人】森 義明
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 富澤 哲生
分類
T131 .1 -Y (W25)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第8号、商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6011114号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6011114号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成28年10月13日に登録出願、第25類「ブラジャー」を指定商品として、同30年1月12日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録は、令和7年5月7日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和4年5月7日~令和7年5月6日)を以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書及び令和7年7月2日付けの審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年8月27日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 なお、以下、証拠の表記に当たっては、枝番号を有する証拠において枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人の主張は認容されるべきではないので、その理由について以下のとおり弁駁する。 (1)本件商標と被請求人提出の証拠に記載の使用商標とが社会通念上同一の商標とは認められないことについて 被請求人は、乙第1号証ないし乙第11号証をもって、本件商標と社会通念上同一の商標を、第25類「ブラジャー」について、要証期間内に日本国内において使用したことをるる説明しているが、そもそも、被請求人提出の乙第1号証の1、乙第1号証の2、乙第2号証の1、乙第2号証の2、乙第5号証の1、乙第7号証の1及び乙第11号証に記載の、被請求人が使用したと主張する商標(これらは全て同一。以下、便宜上これらをまとめて「使用商標」という。)は、本件商標とは具体的表現において顕著に相違しており、本件商標とは社会通念上同一の商標とはいえないものである。 以下、本件商標と使用商標を詳細に検討する。 ア 本件商標の特徴 本件商標は、女性用のブラジャーを正面から見た態様を表示する図案部分(以下「登録ブラジャー図案」という。)と、その下に、文字「Step1」を横一列に表示してなる文字部分からなる。 登録ブラジャー図案は、全体として薄い灰色を基調としており、左右の肩ひもは、それぞれ左右に広がる方向にわずかに曲線を描きながら上方向に延びている。左右のカップ部分の上部およそ3分の1に当たる部分には、各カップ部分の上縁に沿った略帯状にレース地の模様が施してある。なお、当該レース地模様部分には、肩ひも及びカップ部分と比してより薄い灰色の下地に、不規則な濃いめの灰色の無数の曲線が模様として描かれている。各カップ上縁は滑らかな曲線状ではなく、レース状のひだひだ形状となっている。二つのカップが結合する中央部分には、リボン状の形状が濃い灰色で表示され、両カップの下縁部分は、カップ本体よりも若干濃い灰色で縁取られており、さらにその下には、さらに濃い灰色でブラジャー本体の背中フックへとつながる部材が描写されている。 登録ブラジャー図案の下に配置された「Step1」の文字は、黒一色のフォントで横一列に表示され、欧文字「S」、「t」、「e」及び数字「1」の最下部に接する態様で下線が施されている。 イ 使用商標の特徴 使用商標は、女性用のブラジャーを正面から見た態様を表示する図案部分(以下「使用ブラジャー図案」という。)と、使用ブラジャー図案の左右の肩ひもの間に、使用ブラジャー図案と一体的になるよう配置された、欧文字「Step」及びその下中央部に配された数字「1」からなる。 使用ブラジャー図案の色は、単一の黒色で統一されており、唯一の例外は、両カップの下縁部分の白色水玉模様の部分のみである。左右の肩ひもは両カップから垂直にまっすぐ上に伸びている。左右のカップは、上述のとおり、下縁部分の黒地に白色水玉模様の部分を除けば、黒色一色で統一されている。なお、両カップの結合部分にあたる使用ブラジャー図案中央部には、胸の谷間を表現していると考えられる曲線が、当該結合部分から上に伸びるように2本描かれている。 使用ブラジャー図案の左右の肩ひもの間に挿入するように配置されている「Step」の文字は、影付きのフォントで表示されている。文字「Step」のうち、「S」、「t」及び「e」の最下端は左右の肩ひもの上端よりも低い位置にあり、また、文字「p」の縦棒の下端はさらに低い位置まで伸びており、さらに、欧文字「Step」の下中央に配された数字「1」は、左右の肩ひもに完全に挟まれる位置に表示されている。 以上の態様から、使用ブラジャー図案と、欧文字「Step」及び数字「1」とは、不可分一体の態様でのみ看取される。 ウ 本件商標と使用商標の共通点 上記特徴を有する本件商標と使用商標とを比較した場合、共通点といえる点は、(ア)左右の肩ひもを示す図案を有すること、(イ)左右のカップを示す図案を有すること、(ウ)欧文字「Step」及び数字「1」を有することの3点である。 ここで、上記(ア)及び(イ)は、ブラジャーを正面から捉えた態様を図案化する場合には、必ず構成要素として描写されるであろうものであり、単にブラジャーの基本形状を示すに過ぎない。 また、上記(ウ)は、構成文字自体は、本件商標と使用商標とで共通するといえるものの、本件商標においては、登録ブラジャー図案と文字部分とが分離抽出される態様で表示されている一方で、使用商標においては、使用ブラジャー図案と文字部分とが一体不可分の態様で表示されている。さらに、文字自体の表示態様も、横一列か二段組かの表示態様の相違や、下線部の有無、影付きフォントか否か等において、本件商標と使用商標とでは相違している。 したがって、構成文字においては共通するものの、外観上の具体的な表現方法において、両者は明確に異なる。 エ 本件商標と使用商標の相違点 本件商標と使用商標とは、本件商標の指定商品「ブラジャー」との関係において自他商品の識別機能を発揮しないブラジャーの基本形状においてのみ共通するものであり、その他の具体的表現、すなわち、独自の識別性を発揮する部分においては、外観上顕著に相違する。以下、これらの相違点について説明する。 まず、登録ブラジャー図案と使用ブラジャー図案との比較において、(ア)登録ブラジャー図案は灰色を基調としており、各構成部分が灰色の濃淡で色分けされているのに対し、使用ブラジャー図案は、黒色一色で表示され、濃淡(グラデーション)による各構成部分の描写分けもない。(イ)登録ブラジャー図案の肩ひもは左右に広がる方向にわずかに曲線を描いているのに対し、使用ブラジャー図案の肩ひもは垂直に伸びている。(ウ)登録ブラジャー図案の両カップの上縁は、レース地模様でひだひだ形状となっているのに対し、使用ブラジャー図案の両カップの上縁には特に模様はなく、上縁のラインもスムーズな曲線状をなしている。(エ)登録ブラジャー図案中、両カップの結合部分には、リボン形状の装飾又は模様があるのに対し、使用ブラジャー図案中にはそのような装飾又は模様はない。(オ)登録ブラジャー図案の両カップの下縁はスムーズな曲線で特に模様がないのに対し、使用ブラジャー図案の両カップの下縁には、やや太めの帯状に黒地の白色水玉模様が設けられている。(カ)登録ブラジャー図案には、胸の谷間を表現する描写がない一方で、使用ブラジャー図案には、中央部分に、胸の谷間を表現する描写がある。 次に、欧文字「Step」及び数字「1」の表示態様の比較において、(キ)本件商標においては、文字「Step1」が横一列に表示してあるのに対し、使用商標においては、欧文字「Step」の下中央部に数字「1」が表示してあり、直ちに一連の「Step1」を看取できる態様ではない(むしろ、「Step」と「1」は別々の関連しない要素として看取される。)。(ク)また、本件商標においては、文字は黒色一色のフォントで、下線が付されているのに対し、使用商標は、文字「Step」は影付きフォントで表示されている。また、欧文字「Step」及び数字「1」のいずれにも下線部は施されていない。 最後に、商標全体を比較した場合に、(ケ)本件商標は、登録ブラジャー図案部分と文字部分とが、その配置から分離観察可能な表示態様となっているのに対し、使用商標は、使用ブラジャー図案と文字部分とが、その配置から不可分一体としてのみ看取されるべき態様となっている。 オ 小括 以上のとおり、本件商標と使用商標とは、本件商標の指定商品「ブラジャー」の基本形状部分を除いた部分において、すなわち、自他商品の識別機能を発揮する部分において、その具体的表現が顕著に相違する。 したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない。 (2)被請求人の主張について 被請求人は、答弁書において、「本件商標と使用商標とは、・・・ブラジャーの図形部分の基本形状、・・・において共通していることから、その自他商品等識別機能において何ら変わるところはなく」や、「本件商標と使用商標の図形部分は、いずれも左右一対のカップ部と左右一対の肩ひもとを有するブラジャーを表しており、その全体的な形状や縦横の構成比が共通していることから、基本的な視覚的特徴は共通している。・・・そうすると、本件商標に接した需要者は、ブラジャーを表す図形部分の基本的な視覚的特徴・・・に強く印象づけられ、この点は使用商標においても同様であることから、自他商品等識別機能において両者は何ら変わるところがないというべきである」と主張しているが、失当である。 上述したとおり、ブラジャーを表す基本形状は、取消対象商品「ブラジャー」との関係において、自他商品の識別機能を発揮する部分ではないので、両商標において、ブラジャーの基本形状が共通することをもって、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標であることの根拠とはできない。 例えば、審判便覧には、社会通念上同一と認められない商標として、パンダの図形が例として挙げられているが(甲3)、当該例におけるパンダの両図形は、パンダを表す基本形状(体全体が黒と白のツートンカラー、黒色の耳、黒色で縁取られた両目、黒色の前足、黒色の後足)は共通している。それにもかかわらず社会通念上同一でないとされているのは、具体的な表現において顕著に相違するからである。 このように、ある物体を表示した二つの図案において、当該物体の基本形状が共通することをもって、両図案が社会通念上同一であるとすることはできない。ましてや本件においては、共通する基本形状が、取消対象商品である「ブラジャー」の基本形状であるので、そもそも、両商標において「ブラジャー」の基本形状は識別力を発揮する部分ではないことに鑑みるとなおさらである。 (3)被請求人が引用する裁判例について 被請求人は、東京高判平成3年2月28日(平成2年(行ケ)第48号)を引用し、その判示中、「・・・構成の変更が、登録商標の構成において基本をなす部分を変更するものではなく、当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度にとどまるものであるときは、その標章の使用をもって商標法五〇条にいう「登録商標の使用」に該当すると解して差し支えないとするのが正当である」との部分を自らの主張の妥当性の根拠としているが、これは当該判示の内容を正しく理解していない。 上記判示中「登録商標の構成において基本をなす部分を変更するものではなく、当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度にとどまるものであるとき」とは、「基本をなす部分」がそもそも自他商品の識別力を発揮する部分であることが前提となっているはずである。なぜなら、続きに「当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度」との記載があることから、「基本をなす部分」が「独自の識別性」を有していることを前提として述べていることが明らかであるからである。 それは、被請求人が引用する知財高判令和4年3月22日(令和3年(行ケ)第10087号)の判示の中で、「・・・本質的機能である自他商品の識別機能を発揮している限りは・・・」と述べてあることからも分かる。なぜなら、上記判示は、両商標の共通する部分が、自他商品の識別機能を発揮する部分であることを大前提とすることを示しているからである。 (4)まとめ 以上、詳細に説明したとおり、被請求人は、乙第1号証ないし乙第11号証を提出して、本件商標が、要証期間に使用されたことをるる説明しているが、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないものであり、本件商標が、要証期間内に我が国において、第25類「ブラジャー」について使用された事実は何ら立証されていない。 第3 被請求人の主張 1 被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。)を提出した。 2 答弁の理由 被請求人は、乙第1号証ないし乙第11号証によって、本件商標が「ブラジャー」について、要証期間に日本国内において使用されていた事実を明確にし、本件審判請求が成り立たないことを明らかにする。 (1)使用事実を示す証拠 商標権者は、要証期間における公式オンラインショップでの使用事実を示す証拠として乙第1号証ないし乙第3号証を提出する。また、要証期間における下げ札の使用事実を示す証拠として乙第4号証ないし乙第7号証を提出する。 ア 公式オンラインショップでの使用事実 (ア)乙第1号証、乙第2号証として商標権者が運営している公式オンラインショップの商品販売ページのコピー、乙第3号証として、商標権者が運営している公式オンラインショップの特定商取引に基づく表示のページのコピーを提出する。 a 乙第1号証の1 乙第1号証の1は、商標権者が運営している公式オンラインショップにおいて販売されているブラジャー(商品名 ブラデリス ウェンディステップ1ブラ 23A1;商品番号CA123303;以下「ブラジャーA」という。)の販売ページの、令和6年(2024年)7月19日時点のウェブアーカイブ情報のコピーであり、ブラジャーAの販売ページが、要証期間である令和6年7月19日において、閲覧可能であったことが示されている。 このウェブアーカイブ情報には、ブラジャーAの画像と、ブラジャーAに取り付けられる下げ札(以下「下げ札A」という。)の画像が「※こちらの商品の下げ札になります。」の表示とともに掲載されている。 下げ札Aには、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。 このウェブアーカイブ情報は、インターネット上で公開されているWebページの過去の情報を保存しているWayback Machineのウェブサイト(https://web.archive.org/)から取得したものである。 b 乙第1号証の2 乙第1号証の2は、上記公式オンラインショップにおけるブラジャーAの販売ページの、現在(令和7年6月19日)の公開情報のコピーである。 この公開情報には、ブラジャーAと、ブラジャーAに取り付けられる下げ札Aの画像が、乙第1号証の1に掲載されているのと同一の商品名(ブラデリス ウェンディステップ1ブラ 23A1)及び商品番号(CA123303)とともに掲載されている。 下げ札Aには、乙第1号証の1で示したのと同一の、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。 c 乙第1号証の3 乙第1号証の3は、上記Wayback Machineのウェブサイトにおいて取得した、ブラジャーAの販売ページのウェブアーカイブ情報(乙1の1)の取得日を示すページのコピーで、当該ウェブアーカイブ情報の取得日が、令和6年(2024年)7月19日と令和7年(2025年)1月22日であることが示されている。 d 乙第2号証の1 乙第2号証の1は、商標権者が運営している公式オンラインショップにおいて販売されているブラジャー(商品名 ブラデリス ジャスミンステップ1ブラ 23A3;商品番号CA123313;以下「ブラジャーB」という。)の販売ページの、令和6年(2024年)7月19日時点のウェブアーカイブ情報のコピーであり、ブラジャーBの販売ページが、要証期間である令和6年7月19日において、閲覧可能であったことが示されている。 このウェブアーカイブ情報には、ブラジャーBの画像と、ブラジャーBに取り付けられる下げ札(以下「下げ札B」という。)が「※こちらの商品の下げ札になります。」の表示とともに掲載されている。 下げ札Bには、下げ札A(乙1の1)に表示されているのと同一の、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。 このウェブアーカイブ情報は、上記Wayback Machineのウェブサイト(https://web.archive.org/)から取得したものである。 e 乙第2号証の2 乙第2号証の2は、上記公式オンラインショップにおけるブラジャーBの販売ページの、現在(令和7年6月25日時点)の公開情報のコピーである。 この公開情報には、ブラジャーBと下げ札Bの画像が、乙第2号証の1に掲載されているのと同一の商品名(ブラデリス ジャスミンステップ1ブラ 23A3)及び商品番号(CA123313)とともに掲載されている。下げ札Bには、乙第2号証の1に表示されているのと同一の、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。 f 乙第2号証の3 乙第2号証の3は、上記Wayback Machineのウェブサイトにおいて取得した、ブラジャーBの販売ページのウェブアーカイブ情報(乙2の1)の取得日を示すページのコピーで、当該ウェブアーカイブ情報の取得日が、令和6年(2024年)7月19日と令和6年(2024年)11月7日であることが示されている。 g 乙第3号証 乙第3号証は、上記公式オンラインショップにおける「特定商取引に基づく表示」を示すページのコピーで、販売業者として商標権者の名称の記載があり、所在地に商標権者の住所と同一の記載がある。 このことから、上記公式オンラインショップのURLにおけるドメイン名を使用するウェブサイトは、商標権者が使用するウェブサイトであることが示されている。 (イ)要証期間における本件商標の使用 商標権者の公式オンラインショップにおける、同人の取り扱いに係るブラジャーA及びブラジャーBは、少なくとも、要証期間内である令和6年(2024年)7月19日には日本国内で閲覧可能となっている。 商標権者の公式オンラインショップには、ブラジャーAに取り付けられる下げ札A及びブラジャーBに取り付けられる下げ札Bが掲載され、下げ札A及び下げ札Bには、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。 かかる行為は、商標法第2条第3項第8号に規定の「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。 ブラジャーA及びブラジャーBは、第25類の指定商品「ブラジャー」と同一商品である。 本件商標と社会通念上同一の商標が、要証期間に、商標権者がブラジャーについて現実に日本国内で使用していることは、乙第1号証ないし乙第3号証より明らかである。 イ 下げ札の使用事実 (ア)乙第4号証として下げ札Aの発注書のコピー、乙第5号証として下げ札Aの版下のコピー、乙第6号証として下げ札Bの発注書のコピー、乙第7号証として下げ札Bの版下のコピーを提出する。 (イ)下げ札Aが製作されていた事実 乙第1号証で示した下げ札Aが実際に製作されていたことを示す証拠として、乙第4号証及び乙第5号証を提出する。 a 乙第4号証の1 乙第4号証の1は、印刷業者であるK社に宛てた下げ札Aの発注書(以下「発注書A」という。)のコピーであり、その発注日は要証期間内の令和5年(2023年)3月13日である。 発注書Aには、ブラジャーAの品名「ブラデリス ウェンディステップ1ブラ 23A1」及び品番「CA123303」が記載されており、その発注数量が「10,940枚」であることが示されている。 b 乙第4号証の2 乙第4号証の2は、商標権者がK社に対して、下げ札Aの印刷を依頼した時の電子メールのコピーであり、要証期間内である令和5年(2023年)3月15日に、下げ札Aの発注書A(乙4の1)を添付して送信されたことが示されている。 c 乙第5号証の1 乙第5号証の1は、下げ札Aの版下のコピーであり、下げ札Aの版下には、ブラジャーAの品名「ブラデリス ウェンディステップ1ブラ 23A1」、品番「CA123303」及び本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。下げ札Aの版下の作成日は、要証期間内の令和5年(2023年)3月16日であることが示されている。 d 乙第5号証の2 乙第5号証の2は、K社が商標権者に宛てた、下げ札Aの受注確認の電子メールのコピーであり、下げ札Aの版下データ(乙5の1)を添付して、下げ札Aのデザインに間違いがないかどうかを確認する内容となっている。当該電子メールの送信日は、要証期間内の令和5年(2023年)3月16日であることが示されている。 (ウ)下げ札Bが製作されていた事実 乙第2号証で示した下げ札Bが実際に製作されていたことを示す証拠として、乙第6号証及び乙第7号証を提出する。 a 乙第6号証の1 乙第6号証の1は、K社に宛てた下げ札Bの発注書(以下「発注書B」という。)のコピーであり、その発注日は要証期間内の令和5年(2023年)8月10日である。 発注書Bには、ブラジャーBの品名「ジャスミンステップ1ブラ23A3」及び品番「CA123313」が記載されており、その発注数量が「5,670枚」であることが示されている。 b 乙第6号証の2 乙第6号証の2は、商標権者がK社に対して、下げ札Bの印刷を依頼した時の電子メールのコピーであり、要証期間内である令和5年(2023年)8月10日に、下げ札Bの発注書B(乙6の1)を添付して送信されたことが示されている。 c 乙第7号証の1 乙第7号証の1は、下げ札Bの版下のコピーであり、下げ札Bの版下には、ブラジャーBの品名「ブラデリス ジャスミンステップ1ブラ23A3」、品番「CA123313」及び本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。下げ札Bの版下の作成日は要証期間内の令和5年(2023年)8月18日である。 d 乙第7号証の2 乙第7号証の2は、K社が商標権者に宛てた下げ札Bの受注確認の電子メールのコピーであり、下げ札Bの版下データ(乙7の1)を添付して、下げ札Bのデザインに間違いがないかどうかを確認する内容となっている。当該電子メールの送信日は要証期間内の令和5年(2023年)8月18日である。 (エ)下げ札A及び下げ札Bが使用されていた事実 下げ札A及び下げ札Bが、要証期間において、商標権者の取り扱いに係る商品であるブラジャーに取り付けて販売されていたことを直接的に示す証拠(写真等)を提示することはできないが、商標権者は、上述した公式オンラインショップや、商標権者が運営している店舗「BRADELIS New York」において、ブラジャーを始めとする自社商品を販売している。 商標権者が、上記店舗「BRADELIS New York」を運営している証拠として、乙第8号証及び乙第9号証を提出する。 乙第8号証は、商標権者が運営する公式ホームページ内に掲載されている店舗一覧のページのコピーである。 乙第9号証は、上記公式ホームページにおける「プライバシーポリシー」を示すページのコピーで、問い合わせ窓口として、商標権者の名称、及び商標権者の住所と同一の記載がある。 このことから、上記公式ホームページのURLにおけるドメイン名を使用するウェブサイトは、商標権者が使用するウェブサイトであることが示されている。 (オ)要証期間における本件商標の使用 少なくとも、要証期間内である令和5年(2023年)3月15日には、ブラジャーAに取り付けるための下げ札Aの発注が行われている。また、要証期間内である令和5年(2023年)8月10日には、ブラジャーBに取り付けるための下げ札Bの発注が行われている。 ブラジャーA、ブラジャーBの販売時には、これに対応する下げ札(下げ札A、下げ札B)が取り付けられ、下げ札A及び下げ札Bには、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。 かかる行為は、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に該当する。 ブラジャーA及びブラジャーBは、いずれも第25類の指定商品「ブラジャー」と同一商品である。 本件商標と社会通念上同一の商標が、要証期間に、商標権者がブラジャーについて現実に日本国内で使用していることは、乙第4号証ないし乙第9号証より明らかである。 (2)本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について ア 本件商標は、ブラジャーを表した図形部分の下方に、「Step」の欧文字と、アラビア数字の「1」とを通常の書体にて連続的に横書きし、該「S」の左下から「1」の右下にかけてアンダーラインを付した文字部分を配してなるものである。 これに対して、使用商標は、ブラジャーを表した図形部分の上方に、「Step」の欧文字とアラビア数字の「1」とを、本件商標と同じ書体にてアンダーラインを付すことなく上下2行に横書きした文字部分を配してなるものである。 本件商標と使用商標とは、(ア)ブラジャーの図形部分に表された模様、(イ)文字部分の位置関係、(ウ)文字部分に付された下線の有無において相違するが、ブラジャーの図形部分の基本形状、文字部分を構成している文字のつづりや書体において共通していることから、その自他商品等識別機能において何ら変わるところはなく、使用商標は本件商標に大幅な変更を加えたものであるとはいえないから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するというべきである。以下、この点について説明する。 イ 両商標の共通部分について 本件商標と使用商標の図形部分は、いずれも左右一対のカップ部と左右一対の肩ひもとを有するブラジャーを表しており、その全体的な形状や縦横の構成比が共通していることから、基本的な視覚的特徴は共通している。 文字部分については、いずれも欧文字の「Step」と、アラビア数字の「1」とからなり、文字全体のつづり「Step1」が同一であり、その書体も共通しており、同一の称呼「ステップワン」または「ステップイチ」が生じるものである。 そうすると、本件商標に接した需要者は、ブラジャーを表す図形部分の基本的な視覚的特徴と「Step1」の文字部分の特徴に強く印象づけられ、この点は使用商標においても同様であることから、自他商品等識別機能において両者は何ら変わるところがないというべきである。 ウ 図形部分の相違点について 本件商標では、ブラジャーの図形部分における左右のカップ部分の上縁にレース地様の模様が表されているのに対し、使用商標ではそのような模様が認められない点において相違するが、実際の使用態様(下げ札に表された態様)においては、全体の印象に大きな差異を与えるものではなく、識別標識としての機能に影響を及ぼすほどのものではない。 また、本件商標では、ブラジャーの図形部分が全体的に灰色を基調としているのに対し、使用商標では、ブラジャーの図形部分が全体的に黒色を基調としており、図形部分の濃淡において相違するが、この点も識別標識としての機能に影響を及ぼすほどのものではない。 エ 文字部分の相違点について 本件商標では、欧文字の「Step」とアラビア数字の「1」とが横一列でブラジャーの図形部分の下方に配置されているのに対し、使用商標では、欧文字の「Step」とアラビア数字の「1」とが上下2行に分かれてブラジャーの図形部分の上方に配置されている点が相違するが、その構成文字は「Step1」でつづりが同一であり、書体も同一で、共に「ステップワン」もしくは「ステップイチ」の称呼を生ずるものである。 そうすると、文字部分について、欧文字とアラビア数字とが横一列に並べて配置されているか、上下二段に分けて配置されているかの違いがその識別性に影響を与えることはないし、文字部分が図形部分の下方に位置しているか上方に位置しているかの違いがその識別性に影響を与えることもない。 また、文字部分に付したアンダーラインは、文字部分を強調するために補助的に付されるものにすぎず、その有無が識別標識としての機能に影響を与えることもない。 オ 本件商標から使用商標への変更について 商標法50条1項は、「登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)」と規定しており、使用の対象となる商標は、登録商標と社会通念上同一と認められる商標も含むとされている。同規定は、通常の取引社会においては、常に登録商標と同一のものを使用するのではなく、当該商標を付する商品・役務の性質等に応じて、これに適宜変更を加えて使用するのが一般的であるという、実務上の要請に即したものである(知財高判平成25年7月17日(平成24(行ケ)10441)、知財高判平成25年7月17日(平成24(行ケ)10442))。 そして、このような登録商標の構成の変更使用について、東京高判平成3年2月28日(平成2年(行ケ)第48号)では、「登録商標の構成に変更が加えられたために外観が必ずしも登録商標と酷似するとはいえない標章であっても、構成の変更が、登録商標の構成において基本をなす部分を変更するものでなく、当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度にとどまるものであるときは、その標章の使用をもって商標法五〇条にいう「登録商標の使用」に該当すると解して差支えないとするのが正当である(パリ条約第五条C(2)の規定を参照)。」と判示されており、また、知財高判令和4年3月22日(令和3年(行ケ)第10087号)では、「不使用商標、すなわち全く使用されておらず、法の保護客体である業務上の信用が何ら化体していない商標の個別整理を図るという商標法50条の趣旨からは、使用標章と登録商標とは物理的に同一である必要はなく、本質的機能である自他商品の識別機能を発揮している限りは社会通念上同一の商標であれば足り、そしてその社会通念上同一の商標であるか否かはその使用が登録商標に業務上の信用を化体させたか否かの観点から個別具体的に判断されるべきものである。」と判示されている。 商標権者は、平成28年(2016年)頃から令和3年(2021年)4月頃まで使用していた下げ札(以下「旧下げ札」という。)(乙10)に本件商標を使用していたが、令和3年(2021年)4月頃、商品管理の観点からRFIDタグを搭載した下げ札(以下「新下げ札」という。)(乙11)に切り替えた。 そして、この旧下げ札から新下げ札への切り替えに伴い、本件商標に変更を加えた使用商標を使用するようになった。 ここで、本件商標の構成において基本をなす部分は、上記したように、左右一対のカップ部と肩ひもとを備えるブラジャーの図形部分と、欧文字の「Step」及びアラビア数字の「1」からなる文字部分の組み合わせであり、これは使用商標においても変わるところはないから、両商標はその識別機能において変わりがない。 また、本件商標と使用商標は、共に、下げ札の狭いスペースに表されている。このような狭いスペースにおいてはなおさら、上述した基本構成、すなわち、左右一対のカップ部と肩ひもとを備えるブラジャーの図形部分と、欧文字の「Step」及びアラビア数字の「1」からなる文字部分の組み合わせが商標の本質部分としてより強調して認識されることとなり、両者の相違点、すなわち、ブラジャーの図形部分の模様の有無、濃淡、文字部分の配置やアンダーラインの有無といった細部の相違点はほとんど意識されることがない。 このため、旧下げ札に表された本件商標及び新下げ札に表された使用商標には、それらの使用により、同一の業務上の信用が化体しているのは明らかである。 したがって、上記の各裁判例に照らせば、使用商標を本件商標から使用商標に変更しているが、両商標は社会通念上同一と認められる商標に該当するといえる。 カ まとめ 以上述べたように、本件商標と使用商標とは、ブラジャーの図形部分の基本的な視覚的特徴が共通しており、文字部分について、これを構成する文字のつづりと書体が同一であることから、ブラジャーの図形部分に表された模様や、文字部分の位置関係、文字部分に配したアンダーラインの有無において差異があるとしても、その自他商品等識別機能において何ら変わるところはない。 そうすると、使用商標は本件商標に大幅な変更を加えたものであるとはいえず、本件商標と社会通念上同一の商標である。 第4 当審の判断 1 事実認定 (1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。 ア 乙第1号証の1 乙第1号証の1は、被請求人が、商標権者が運営している公式オンラインショップにおいて販売されているブラジャーの販売ページの令和6年(2024年)7月19日時点のウェブアーカイブと主張するものであり、各葉の全体に共通して、左上に、「BRADELIS\New York」の記載(「\」は、改行を示す。以下同じ。)、左下に、前半部分が「https://web.archive.org/web/20240719001704/」であり、さらに「https・・・」の後半部分がこれに続くURLの記載があり、各葉のそれぞれの右下に、「1/15」ないし「15/15」のページ番号の記載がある。 そして、1/15ページにおいては、左上の「BRADELIS\New York」の記載の下に、「ブラデリスニューヨーク HOME>ブラジャー>ブラデリス ウェンディステップ1ブラ23A1」の記載があり、その下に、観葉植物の下に置かれたブラジャーが写っている写真が提示され、その右に、「商品番号 CA123303\ブラデリス ウェンディステップ1\ブラ23A1」の記載、その下に、価格の記載がある。 また、9/15ページにおいては、別掲2のとおりの図が提示され、その下に、「※こちらの商品の下げ札になります。」の記載がある。 イ 乙第3号証 乙第3号証は、被請求人が、商標権者が運営している公式オンラインショップにおける「特定商取引に基づく表示」を示すページと主張するものであり、左上に、「BRADELIS\New York」の記載、その下に、「ブラデリスニューヨーク HOME>特定商取引法に基づく表示」の記載、その下に、「特定商取引に基づく表示」の記載、その下に提示された項目の一覧中、「販売業者」に対応して商標権者の社名の記載、「所在地」に対応して商標権者のものと一致する住所の記載があり、左下に、上記アのURLにおける後半部分とドメインが一致するURLの記載がある。 (2)上記(1)ア及びイによれば、次の事実を認めることができる。 ア 乙第1号証の1におけるURLの前半部分「https://web.archive.org/web/20240719001704/」は、本号証が、インターネットアーカイブによって、当該URLの後半部分がそのURLであるウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。)について2024年7月19日に取得されたものであり、同日に、本件ウェブページにおいて本号証が示すとおりのコンテンツが公開されていたことを示すものと解される。 そして、当該コンテンツは、これに含まれる写真に写っている商品である「ブラデリス ウェンディステップ1 ブラ23A1」と称するブラジャーに関する広告といえるところ、当該広告は、当該商品に取り付けられる別掲2の下げ札(以下「本件下げ札」という。なお、矢印は、被請求人が強調のため付したものと解される。)が表示されたものである。 さらに、本件下げ札は、使用商標、すなわち、ブラジャーを模した図形、並びに「Step」の欧文字及び「1」の数字を含み、当該図形におけるブラジャーの左右の肩ひもに相当する部位の間に、当該欧文字及び当該数字を2段に配した構成の商標が表示されたものである。 イ 乙第3号証におけるURLは、本件ウェブページのURLとドメインが一致しており、「BRADELIS\New York」の記載が含まれている点等においても本件ウェブページと共通しているから、本号証に商標権者の社名及び商標権者のものと一致する住所の記載が含まれていることは、本件ウェブページが商標権者によって公開されたことを示しているといえる。 ウ 上記ア及びイによれば、商標権者は、使用商標が表示された、商品「ブラジャー」(以下「使用商品」という。)に関する広告を含む本件ウェブページを、2024年7月19日に公開したことが認められる。 2 判断 上記1(2)ウの行為について、次のとおり判断できる。 (1)使用商標について ア 本件商標は、ブラジャーを模した図形(以下「本件商標図形部分」という。)、及び横一連の「Step1」の文字(以下「本件商標文字部分」という。)を含み、本件商標図形部分の下に本件商標文字部分を配し、さらに、本件商標文字部分の各文字に下線を付した構成である。 イ これに対し、使用商標は、ブラジャーを模した図形(以下「使用商標図形部分」という。)、並びに「Step」の欧文字及び「1」の数字(両者をまとめて、以下「使用商標文字部分」という。)を含み、使用商標図形部分におけるブラジャーの左右の肩ひもに相当する部位の間に、当該欧文字と当該数字を2段に表してなる使用商標文字部分を配した構成である。 ウ 本件商標と使用商標とは、本件商標文字部分と使用商標文字部分との対比で、構成文字が横一連とされているか、2段に配されているかという点で構成文字の配置や、構成文字の下線の有無が異なる。 しかしながら、使用商標文字部分は、「Step」及び「1」をそれぞれ独立に記載したものではなく、本件商標文字部分と同様に、「段階」を意味する英語の「Step」及び数字の「1」が一続きにされた「Step1」を、本件下げ札の性状等に合わせて途中に改行を追加して記載したものと理解するのが自然であって、本件商標文字部分と使用商標文字部分とは、「第1段階」の観念、及び「ステップワン」あるいは「ステップイチ」の称呼において共通するものであり、構成文字の配置及び下線の有無の相違が、独自の識別性に影響を及ぼすものとまでは認められない。 エ また、本件商標と使用商標とは、本件商標図形部分と使用商標図形部分とを対比すると、デザインの細部(胸の谷間の表現の有無、ブラジャーの柄、配色)が異なる。 しかしながら、本件商標図形部分と使用商標図形部分とは、基本的な構成要素を共通にするものであり、たとえ、両者のデザインの細部が相違するとしても、その相違は、単に装飾的なデザイン等の変更であって、独自の識別性に影響するものではなく、主要な構成要素において基本をなす部分の変更ではない。 オ さらに、本件商標と使用商標とでは、本件商標文字部分と本件商標図形部分との位置関係が、使用商標文字部分に対する使用商標図形部分の位置関係と異なる。 しかしながら、本件商標及び使用商標において、主として自他商品識別力を発揮する部分は、「Step1」の文字とブラジャーを模した図形が結合されている点であり、この主要な構成要素において両者は共通する一方、文字と図形との配置の関係が異なることが、独自の識別性に影響するとまでは認められない。 カ 以上から、本件商標と使用商標とは、位置関係やデザインの細部等が異なるとしても、これらの相違は、主要な構成要素において基本をなす部分の変更ではなく、また、称呼においても「ステップワン」あるいは「ステップイチ」の称呼を共通にするから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。 (2)使用商品について 使用商品は、「ブラジャー」であり、本件商標の指定商品に該当する商品と認められる。 (3)使用者、使用時期及び使用行為について 商標権者は、使用商標が表示された、使用商品に関する広告を含む本件ウェブページを、2024年(令和6年)7月19日に公開していたことが認められるから、使用商標の使用者は、商標権者であり、使用商標を付した広告をインターネット上で公開する行為が、要証期間に行われたものである。 そして、当該行為は、日本国内において行われたことが明らかであって、商標法第2条第3項第8号にいう、商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当する。 (4)小括 上記(1)ないし(3)によれば、商標権者は、要証期間に日本国内において、本件商標の指定商品に該当する商品に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供する、商標法第2条第3項第8号に該当する行為を行ったことが認められる。 3 請求人の主張について 請求人は、弁駁書において、本件商標と使用商標とは、自他商品の識別機能を発揮しないブラジャーの基本形状においてのみ共通するものであり、その他の具体的表現、すなわち、独自の識別性を発揮する部分においては、外観上顕著に相違し、社会通念上同一の商標とはいえない旨主張している。 また、請求人は、その根拠として、本件商標図形部分と使用商標図形部分とで相違する点、及び本件商標文字部分と使用商標文字部分とで相違する点を具体的に挙げており、さらに、本件商標及び使用商標の全体を比較した場合に、本件商標は、本件商標図形部分と本件商標文字部分とが、その配置から分離観察可能な表示態様となっているのに対し、使用商標は、使用商標図形部分と使用商標文字部分とが、その配置から不可分一体としてのみ看取されるべき態様となっていることを挙げている。 しかしながら、請求人が指摘する本件商標と使用商標とで相違する種々の点については、上記2(1)ウないしオで検討したとおりであり、それらの各点をもってしても、本件商標と使用商標との社会通念上の同一性が否定されるものとはいえない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 4 まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件商標の指定商品に該当する商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-300346

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