商標異議申立
2024-900201
コーンミルズ
- 審判番号
- 2024-900201
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-134342
- 登録番号
- 6827351
- 請求日
- 2024年09月30日
- 審決日
- 2025年04月24日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】新妻 勝彦
- 【異議申立人】ダブリュエルアール コーン ミルズ アイピー インコーポレイテッド
- 【異議申立人代理人】弁理士法人アズテックIP
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大島 康浩
- 分類
- T1651.271-Y (W35) / T1651.222-Y (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1号、商標法第43条の3第2項、商標法第43条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6827351号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6827351号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6827351号商標(以下「本件商標」という。)は、「CONEMILLS」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年12月5日に登録出願、第35類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、同6年7月11日に登録査定され、同年7月24日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立てにおいて、引用する商標は、アメリカに本社を置き、デニム製織物、ジーンズ製織物及び被服製造用織物布地の製造販売、ならびに被服、ジーンズ地の被服事業について世界的に展開し、周知著名性を獲得していると主張する「CONE MILLS」の文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)及び「コーンミルズ」の文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)である。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により、全指定役務について取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第55号証(以下「甲○」と表記する場合がある。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人の概要
申立人の前身であるコーンミルズコーポレーションは、米国において1891年に設立され、1895年から1905年の10年の間に、デニムの直接製造に参入し、その後、印刷業やその他の繊維及び加工業に事業を多角化し、複数の工場の経営権を取得し、複数の工場村を建設した。当該企業は大恐慌の間も利益を上げ続け、第2次世界大戦では、軍隊向けにさまざまな生地を生産し続け、コーンミルズコーポレーションは陸軍及び海軍の賞を受賞した。2002年の時点で、コーンミルズコーポレーションは米国最大の繊維及び関連製品メーカーの1社であり、デニム製造の世界的リーダーとなった。コーンミルズコーポレーションは2004年に申立人に買収され、グリーンズボロに本社を置く巨大企業インターナショナル・テキスタイル・グループの一部となり申立人の現在の名称であるダブリュエルアール・コーン・ミルズ・アイピー・インコーポレイテッドの一部にその名を残し、現在に至る(甲2)。
また、甲第3号証の「コーンミルズLLCの歴史」と題した会社歴史サイトでは、申立人が「コーンミルズ」の名称で恒常的に称されていることが確認できる。
イ 申立人の周知著名性
申立人は、日本において「CONE」という文字列の登録商標あるいは当該文字列を含む文字商標及び図形商標を所有している(甲4)。この「CONE」というブランド名称は、米国に本社を置く申立人が、国際分類第24類のデニム製織物、ジーンズ製の織物及び被服製造用織物布地の事業において、また、同第25類の被服、ジーンズ地の被服の事業において世界的に展開しているものである。「CONE」のブランド名は申立人の略称である「CONE MILLS」あるいは「コーンミルズ社」とともに周知著名性を獲得している。申立人が供給するデニム生地は、わが国において著名なジーンズメーカーであるリーバイス社が「MADE IN THE USA」と銘打って販売するコレクションの2017年発売のモデルにおいて採用された。「MADE IN THE USA」コレクションは「老舗デニム生地メーカーのコーンミルズ社のホワイトオーク工場で作られたプレミアムな生地を使用し、縫製、加工にいたるまで、全ての工程をアメリカ国内で創り上げたプレミアムジーンズです。」との紹介文が付され(甲5)、「コーンミルズ」の名称は著名なジーンズメーカーに採用されたことにより、アパレル業界で周知著名性を獲得したといえる。「コーンミルズ」を欧文字表記した「CONE MILLS」も同様である。
ウ 商標法第4条第1項第15号の規定に該当するとして、商標登録が取消された審決(無効2002-35166審決)について
「本件商標は、「楽天グルメ」の文字よりなるものであるところ、(中略)本件商標がその指定役務に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、これより直ちに請求人の使用する「楽天」の文字からなる商標を連想、想起し、当該役務が請求人又は請求人と何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同するおそれがあるものと判断するのが相当である。」と認定されている(甲6)。
エ 混同が生ずるおそれ
上述したとおり、本件商標は、欧文字で「CONEMILLS」と記した態様の商標である。これに対して、申立人は、日本において「CONE」いう文字列の登録商標あるいは当該文字列を含む文字商標及び図形商標を所有しており、申立人の社名の略称「CONE MILLS」は周知著名性を獲得している。そのため、デニム製織物、ジーンズ製の織物及び被服製造用織物布地の小売事業において、また、被服、ジーンズ地の被服の小売事業において本件商標に接する取引者、需要者は、申立人商標及び社名の略称との関係で、あたかも申立人と何がしかの関係を有する者による小売事業であるかのように混同するものである。より具体的には、当該小売事業が、申立人との間に親子関係会社や系列会社等の緊密な営業上の関係を持つ営業主若しくは、同一の商標によって事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る事業であると誤信され、役務の出所につき誤認を生じさせるものである。
オ 小括
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消されるべきものであると確信する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
ア 古着業界における申立人の概要
申立人の「CONE MILLS」がアパレル業界で周知著名であることは前述したとおりであるが、歴史ある老舗メーカーの商品であることから古着ファッションをたしなむ古着愛好家からも「CONE MILLS」、「コーンミルズ」の名称は絶大な人気を博している。
甲第7号証の「古着マニア」と称する古着愛好家のブログには「コーンミルズ社は、1889年にノースカロライナ州バーリントンで設立された、タオルやシーツなどの家庭用品を製造・販売する企業です。同社は、100年以上の歴史を持つ老舗企業で、その製品は、世界中のホテルやレストラン、家庭などで使用されています。コーンミルズ社は、高品質な製品を製造することに定評があり、その製品は、耐久性と快適性を兼ね備えています。同社は、環境保護にも取り組んでおり、その製品は、リサイクル可能な素材で作られています。」、「コーンミルズ社は、1930年代に自社製品の水平展開を図り、衣料品の製造・販売にも乗り出します。この戦略が功を奏し、コーンミルズ社の製品は全米に流通するようになりました。」、「同社は、デニムやチノパンなどのカジュアルウェア向け生地の製造で知られており、世界中の多くのアパレルブランドに製品を供給しています。」、「コーンミルズ社の特徴は、1880年代に設立されたアメリカ合衆国のテキサス州デンバーシティに本社を構える大手繊維メーカーです。同社は、ウール、コットン、ポリエステルなどの天然繊維と合成繊維の両方を生産しており、その製品は世界中のアパレルメーカーや小売業者に販売されています。」、「コーンミルズ社の最も特徴的な製品の一つが、デニム生地です。同社はデニム生地の製造で世界的に有名であり、その製品はリーバイスやラングラーなどの大手アパレルメーカーに使用されています。コーンミルズ社のデニム生地は、その高品質と耐久性で知られており、世界中のデニム愛好家から高い人気を集めています。」、「コーンミルズ社のもう一つの特徴的な製品が、ワークウェアです。同社は、ワークウェアの製造でも世界的に有名であり、その製品は、建設業、製造業、農業などのさまざまな業界で使用されています。コーンミルズ社のワークウェアは、その耐久性と機能性で知られており、世界中の労働者から高い評価を得ています。」、「コーンミルズ社は、リーバイス社と密接な関係を築いてきた。リーバイス社は、19世紀後半にコーンミルズ社のデニム生地を初めて使用して以来、長年にわたってコーンミルズ社のデニム生地を使い続けてきた。コーンミルズ社のデニム生地は、高品質で丈夫であることが知られており、リーバイス社のジーンズは、世界中の労働者たちに広く愛用されるようになった。」、「コーンミルズ社はデニム生地の製造において、世界トップクラスの地位を誇るテキスタイルメーカーです。1900年代初頭からデニム生地の生産を開始し、以来100年以上もの間、デニム業界を牽引し続けてきました。コーンミルズ社のデニム生地は、その品質と美しさで知られており、世界中のデニム愛好家から高い評価を得ています。」と記載され、古着愛好家間からも「コーンミルズ」の名称が世界的に周知であることがうかがえる。
イ 混同誤認の対象となる需要者層
古着をあつかう古物商は衣類商(以下「古着屋」と称する。)と呼ばれ、一般的に、バイヤーがアメリカやヨーロッパなどで仕入れを行って、商品を展開する形態を取っている。
特に「ビンテージ品」と称される年代物でデザインや素材に価値があるものは人気が高く、値段もそれなりに高額で取引されている。申立人が過去に製造販売した年代物の商品はビンテージ品として崇められ高額で取引されている商品が数多く存在している。
その一例を示せば、甲第8号証のヤフーのオークションサイトでは「Stock/CONE MILLS/W34 L29 40sビンテージコーンミルズ 茶 コットン 2プリーツ スラックス」、「1950年代「CONE MILLS」ブラウンコットン スラックス」、「CONE MILLS製のコットン地」と商品説明された「CONE MILLS」のスラックスが70,000円で出品されている。
また、甲第9号証の古着屋「atacoparage社」の商品販売サイトでは「CONE MILLSヘビーネルシャツUSA製70年代ビンテージ古着ブラウングレーチェックワークメンズL相当ダメージ」、「70年頃のコーンミルズワークネルシャツです。」「リーバイスのデニム生地を製造していたコーンミルズ社のヘビーメタルシャツです。」と商品説明されたシャツが5,980円で売り出されている。
また、甲第10号証の古着屋「トレファックスタイル社」の商品販売サイトでは「CONE Mills Denim」のデニムパンツが16,500円で売り出されている。
つまり、「CONE MILLS」あるいは「コーンミルズ」の商標が付された古着が市場に出回れば、古着屋をはじめ古着ファッションをたしなむ古着愛好家などの需要者は申立人の出所に係る商品と認識して購入することに疑いはなく、そのビンテージの具合如何では高額な値段で取引されることも予想される。
ウ 混同、誤認を生じる役務
本件商標は、欧文字の「CONE」と「MILLS」とを結合させて「CONEMILLS」と一連一体に横書きしてなるが、本件商標権者は作為的に2ワードから構成された「CONE MILLS」商標と相違させる目的をもって加工したものと思われる。なお、この点については後述する。しかしながら、その称呼は「コーンミルズ」であり、申立人の「CONE MILLS」と同一の称呼となる。
また、申立人の事業内容であるアパレル製品や関連する商品についての役務と重複する「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、メリヤス生地の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、編みレース生地の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、刺しゅうレース生地の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、編みひもの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、よりひもの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、組みひもの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、フェルト及び不織布の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などが指定役務に含まれており、申立人が提供する役務と完全に一致している。
つまり、この本件商標は申立人の商標に化体した業務上の信用や指標力(顧客吸引力)が著しく毀損され古着屋をはじめ古着ファッションをたしなむ古着愛好家に大きな混乱を与えることになる。
エ 不正の目的をもって使用する商標である事実
本件商標権者は、近年古着ファッションの人気が博されている点に目をつけ、主として米国で販売に供され我が国に輸入されてくるビンテージ古着や著名メーカーの古着に付されたタッグや商品商標をそのまま、あるいは作為的に若干加工して、例えば欧文字の小文字で表現された商標を大文字で表現したり、2ワードで表現された商標を一連一体に結合した状態に商標を変形構成して我が国で商標登録出願をなし、その商標の登録を取得している。
この事実は我が国において登録出願していない商標を先取り的に商標登録出願し、商標権の取得後には、その存在によって使用権の許諾等の何らかの利益ないし優位をもたらすことを期待したものと容易に推認される。
バイヤーがアメリカやヨーロッパなどで仕入れを行って、商品を展開する古着屋ならびに輸入業者らはアメリカやヨーロッパなどで著名となっている人気商品を選定してくることから、日本の市場で出回っているビンテージ古着や人気メーカーの古着は当該国では著名な古着のブランド名として認識されているものがほとんどである。
このような主としてアメリカやヨーロッパの古着の著名ブランドと同一あるいは極めて近似させた商標を我が国で権利化を図る行為は、商標に化体して蓄積された業務上の信用を保護し、健全な競業秩序の維持を図り、もって、需要者の利益を保護するという商標法の目的から著しく乖離しており、国際信義を含む公序良俗を害するおそれが充分にあったものといわざるを得ない。
本件商標権者は前記したように、主として米国で人気を博している古着の商標をそのまま、あるいは作為的に若干加工して我が国で商標登録出願し、我が国で未登録となっている商標の登録を取得している。
その出願件数は、ここ20年間で200件以上にのぼることは特許庁の出願データから明らかであろう。
本件商標権者のここ数年間における米国で人気の古着の商標をそのまま、あるいは若干加工した商標の登録例を以下の証拠に基づき立証する(甲11~甲55)。
オ 小括
以上陳述したごとく、本件商標は、米国で周知著名な商標についてこれをほとんどそのまま流用して出願されたものであって、信義則に反する不正の目的をもって使用をするものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものであり、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録は取り消されるべきものである
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人の前身であるコーンミルズコーポレーション(以下「コーンミルズ社」という。)は、米国において1891年に設立され、2002年の時点で、コーンミルズ社は米国最大の繊維及び関連製品メーカーの1社であり、デニム製造の世界的リーダーとも評された。コーンミルズ社は2004年に申立人に買収され、申立人の現在の名称であるダブリュエルアール・コーン・ミルズ・アイピー・インコーポレイテッドの一部にその名を残し、現在に至る(甲2)。
(イ)2017年11月21日付けの、ジーンズメーカー・リーバイス社の「MADE IN THE USA」コレクション(ジーンズ)のインターネット上の紹介記事において、申立人が老舗のデニム生地メーカーであること、及び申立人が当該ジーンズのコレクションを、自らの生地を使用し、縫製、加工に至る全ての工程をアメリカ国内で行い、製造したとされている(甲5)。
(ウ)コーンミルズ社ないし申立人のデニム生地を使用した商品(ビンテージ品)が、古着屋の商品販売サイト(甲9、甲10)において、引用商標である「CONE MILLS」や「Cone Mills」の文字とともに掲載され、一定程度の高額で取引されている。
イ 上記アによれば、申立人の前身であるコーンミルズ社は、2002年に米国のデニム製造のトップメーカーの1社となり、その後、2004年に申立人に買収されたこと、申立人が、ジーンズメーカー・リーバイス社のジーンズを、自らのデニム生地を使用してアメリカで製造していたことがうかがえるとしても、申立人が提出した証拠によっては、当該ジーンズや申立人の製造に係る商品等について日本国内又は外国におけるそれら商品等の売上高、販売実績やシェア、広告宣伝の規模等について、周知性を客観的に判断し得る証拠の提出がない。
そして、我が国のオークションサイトや商品販売サイトにおいて、コーンミルズ社ないし申立人の生地を使用したスラックスやシャツ等の商品(ビンテージ品)が販売されていたとしても、それらの証拠は、本件商標の登録出願時及び登録査定時以前の証拠資料であるのか明確ではなく、当該商品等の取引実績があったとしても使用の事実を量的に把握することができる資料は提出されておらず、客観的な使用事実に基づいて引用商標の使用状況をうかがい知ることができない。
以上を踏まえると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたとする申立人の主張は採用することができない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間において、広く認識されている商標とはいえない。
なお、申立人は、日本において「CONE」という文字列の登録商標あるいは当該文字列を含む図形商標を所有していること、さらに、申立人の社名の略称「CONE MILLS」は周知著名性を獲得していることから、本件商標に接する取引者、需要者は、あたかも申立人と何らかの関係を有する者による小売事業であるかのように混同し、当該小売事業が申立人との間に親子関係会社や系列会社等の緊密な営業上の関係を持つ営業主若しくは、同一の商標によって事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る事業であると誤信され、役務の出所につき誤認を生じさせるおそれがある商標に該当する旨主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標は申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標ではないから、本件商標が引用商標とその構成文字を共通にし、その指定役務に申立人の業務に係るデニム製織物、ジーンズ製の織物及び被服製造用織物布地の小売事業や、被服、ジーンズ地の被服の小売事業等と同一又は類似の役務を含んでいたとしても、本件商標の指定役務との関係において、これに接する需要者が、申立人との関係を連想、想起して、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように認識するとは考えにくく、引用商標の周知性は認められないのであるから、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないため、申立人の当該主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではなく、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されている商標ではない。
なお、申立人は、本件商標は、欧文字の「CONE」と「MILLS」とを結合させて「CONEMILLS」と一連一体に横書きしてなるが、本件商標権者は作為的に2ワードから構成された「CONE MILLS」商標と相違させる目的をもって加工していること、さらに、本件商標権者は、近年、古着ファッションの人気が博されている点に目をつけ、主としてアメリカで販売に供され我が国に輸入されてくるビンテージ古着や著名メーカーの古着に付されたタッグや商品商標をそのまま、あるいは作為的に若干加工して、我が国で商標登録出願し、その商標の登録を取得していることから、国際信義を含む公序良俗を害するおそれが充分にあったといわざるを得ず、本件商標は不正の目的をもって使用する商標に該当するものである旨主張するが、本件商標権者が引用商標又は他人の商品商標等を先取り的に商標登録出願し、商標登録を行うことによって、本件商標権者が我が国及び外国において、引用商標又は他人の商品商標の周知性に便乗しフリーライドを行い、または希釈化させる意図を有するなど不正の目的をもって前記商標を使用していることを具体的に示す証拠の提出はない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者が引用商標の名声を毀損させることを認識し、あるいは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものではなく、他に本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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