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商標拒絶査定不服審判

2020-016786

パタゴニア

審判番号
2020-016786
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2019-110730
請求日
2020年12月07日
審決日
2021年12月15日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】パタゴニア・インコーポレーテッド
  • 【請求人代理人】窪田 英一郎
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 松江
  • 審判官 大森 友子
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T18 .13 -Z (W29)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第10条第1項、特許法第150条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2019-110730拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、平成30年9月19日に登録出願された商願2018-118800に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和元年8月19日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和元年 8月23日付け:拒絶理由通知 令和元年11月27日 :意見書、手続補足書の提出 令和2年 8月24日付け:拒絶査定 令和2年12月 7日 :審判請求書の提出 令和3年 1月25日 :手続補正書の提出 令和3年 7月27日付け:証拠調べ通知書 令和3年 9月 8日 :意見書、手続補足書の提出 2 本願商標 本願商標は、「PATAGONIA」の文字を標準文字で表してなり、第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),ムール貝(生きているものを除く。),牡蠣(生きているものを除く。),加工水産物,スープ」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要点) 本願商標は、「PATAGONIA」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は「南アメリカ大陸南部の地域」を表す語である。 そして、「PATAGONIA」の地域は、観光地としても広く知られており、観光地情報サイト等において「パタゴニア」地域の魚介類等についての記載が複数あることからすると、本願商標の指定商品に含まれる魚介類等の商品との関係においても、需要者、取引者は、「パタゴニア産の商品」であることを認識するにすぎない。 そうすると、本願商標を、「パタゴニア産」の「食用魚介類(生きているものを除く。),ムール貝(生きているものを除く。),牡蠣(生きているものを除く。),加工水産物」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「パタゴニア産の商品」であることを認識するに止まり、単に商品の産地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。 以上より、本願商標を上記商品に使用したときは、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用したときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。 4 当審においてした証拠調べ 審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、前記1のとおり、令和3年7月27日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。 5 証拠調べ通知に対する請求人の意見 請求人は、前記4の証拠調べ通知に対し、要旨以下の意見を述べた。 (1)裁判例(最判昭和54年4月10日第三小法廷、昭和53年(行ツ)第129号)及び商標審査基準によれば、地理的名称と解され得る商標であっても、取引者及び需要者が、その土地において指定商品が生産等されているであろうと一般に認識するとはいえない場合には「産地」等には該当せず、そして当該商標が自他商品識別力を有するものであれば、特定人の独占使用による弊害も生じないものと考えられる。 (2)日本の取引者及び需要者を対象に取引される食品等の商品については、産地表示及び商品の説明のいずれの場合であっても、日本語で表記されるのが通常である。さらに、地理的名称としての「パタゴニア」は南アメリカ大陸の一部の地域の名称であることから、「地方」や「地域」等の場所を示す語とともに用いられることが多い。実際に、証拠調べ通知の記載では、商品の産地として用いられる場合は、いずれも片仮名で「パタゴニア」と表記され、「パタゴニア地方」、「パタゴニア海域」と記載されているものもある。一方、本願商標は請求人のブランド名を示すもので、欧文字のみからなるものである。さらに、アパレル分野において、「PATAGONIA」の文字は請求人及びその商品を表すものとして広く取引者及び需要者に認識され、食品分野においても相当程度の認知を得ている。地理的名称としての「パタゴニア」とブランド名である「PATAGONIA」との違い及びブランド名としての認知度の高さを考慮すれば、取引者及び需要者が本願商標に接した場合、それを商品の産地を示すものと認識する可能性は極めて低く、請求人のブランドを想起するものである。 (3)証拠調べ通知で挙げられた用例によっても、パタゴニア地域が魚介類の産地として一般に認識されているとはいえない。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、「PATAGONIA」の文字を標準文字で表してなるところ、該語は「パタゴニア【Patagonia】」の見出しの下、「南米大陸南端、アルゼンチンとチリにまたがる台地。国境をなすアンデス山脈からは多数の氷河が流下。」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)として辞書に載録されているものである。 ところで、本願商標の指定商品は、第29類に属するムール貝等を含む食用魚介類であるところ、これらの商品を取り扱う業界においては、別掲に示すように、遅くとも30年以上前から、パタゴニア地域で漁獲された商品が我が国に輸入されており、現在においても、パタゴニア地域で漁獲、養殖等された商品の販売や宣伝に当たって、商品の産地を表すものとして「PATAGONIA」の文字の読みを片仮名表記した「パタゴニア」の語が一般に使用されている。 そうすると、本願商標は、その指定商品との関係から、これに接する需要者又は取引者に、当該指定商品の生産地又は販売地を表す、アルゼンチンとチリにまたがる地域であるパタゴニア(PATAGONIA)を認識させるということができる。 そして、本願商標は「PATAGONIA」の文字を標準文字で表してなるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものということができる。 以上によれば、本願商標は、その指定商品の生産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示した標章のみからなる商標と一般に認識されるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、商品の産地として用いられる場合は、片仮名で「パタゴニア」(又は「パタゴニア地方」等)と表記されるのに対し、アパレル分野において広く認識され、食品分野においても相当程度の認知を得ている請求人のブランド名を示す場合は、欧文字で「PATAGONIA」と表記されるのであるから、本願商標に接した取引者及び需要者は、請求人のブランドを想起する旨主張する。 そこで、請求人提出の甲各号証及び参考資料をみるに、請求人は、(a)アウトドア関連用品を製造販売する米国企業であって、昭和63年に我が国に進出して以来、現在まで、衣料品等の商品に「patagonia」の文字からなる標章(やや特徴のある書体で表してなる。以下「請求人標章」という。)を継続して使用しているとし(甲4)、(b)我が国における請求人に係る商品の売上高及び販売数は、2011年度ないし2016年度において、約90億円ないし約115億円及び約80万点ないし約150万点であるとされ(甲1)、直営店舗の来店者数及びインターネットサイトのヴュー数は、2012年度ないし2016年度において、毎年度約200万人及び約600万ヴューないし約1000万ヴューであるとされており(甲3)、(c)我が国における請求人に係る商品の雑誌、新聞等への掲載は、年間400媒体であって(請求人の主張)、広告宣伝費は、2012年度ないし2016年度において、約3億円ないし約5億円である(甲3)とされる。以上によれば、請求人標章は、請求人の業務に係る商品(アウトドア関連商品)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていることがうかがえる。 また、請求人は、(d)平成28年(2016年)9月から、我が国において「パタゴニア プロビジョンズ」と称する食品事業を開始し、直営店舗、オンラインショップでスモークサーモン、果物等の販売を行っていること(参考資料5)、(e)請求人の販売に係る食品の包装には、シルエットで表した山脈内に請求人標章を白抜きに表し、当該図形の直下に「PROVISIONS」の文字をサンセリフ体で表した標章、あるいは、請求人標章とサンセリフ体で表した「PROVISIONS」の文字とを二段に配置してなる標章が表されていること(参考資料7、8)が認められる。 しかしながら、請求人標章が、請求人の業務に係るアウトドア関連商品を表示するものとして、需要者の間において広く認識されているとしても、請求人が食品事業において使用するのは、「パタゴニア プロビジョンズ」の名称、あるいは上述の態様の標章である(参考資料6~8)。一方、本願商標は、特徴のない標準文字で「PATAGONIA」と表してなるものであり、本願商標の指定商品に係る取引の実情を踏まえれば、その構成文字の語義に即して、アルゼンチンとチリにまたがる地域であるPATAGONIA(パタゴニア)を認識させるというべきである。 したがって、本願商標が欧文字で表されている点、また、本願商標の指定商品を取り扱う業界において、産地を表す際に「パタゴニア地方」、「パタゴニア海域」と記載されることがある点を考慮しても、これらの表記が他の意味合いを有するものとはいえず、産地としての地域名であるPATAGONIA(パタゴニア)を認識させるとする上記判断を左右するものではない。 イ 請求人は、パタゴニア地域が魚介類の産地として一般に認識されているとはいえない旨主張する。 しかしながら、証拠調べ通知書において示した事実によれば、本願商標の指定商品に含まれる、サケ、ムール貝等がパタゴニア地域で養殖又は漁獲されている旨の新聞記事及びウェブサイトの記事等が見受けられることから、必ずしもパタゴニア地域が魚介類の産地として一般に認識されていないとはいえない。 したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-016786

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