商標取消審判
2025-300295
ラリュンヌ、ラリューヌ、ラリューン
- 審判番号
- 2025-300295
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2020-124339
- 登録番号
- 6393710
- 請求日
- 2025年03月26日
- 審決日
- 2026年05月07日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ウミガメ株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】藤本 一
- 【被請求人】ラリンヌ カンパニー リミテッド
- 【被請求人代理人】山下 託嗣
- 【被請求人代理人】朴 沼泳
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6393710号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6393710号商標(以下「本件商標」という。)は、「LALUNE」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年10月8日に登録出願、第25類「被服,ユニフォーム,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」を指定商品として、同3年5月25日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和7年4月14日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和4年4月14日~令和7年4月13日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第25類「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書及び令和7年7月25日付けの審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月11日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、枝番号を有する証拠において枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第25類「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人の提出した乙各号証によっては、要証期間に日本国内で、商標権者が請求に係る指定商品について本件商標を使用していたとはいえない。以下、詳細を敷衍する。
(1)被請求人の主張の骨子
被請求人は、要証期間に、インスタグラム、ウェブサイト、インターネットショッピングサイト(以下「本件ショッピングサイト」という。)において、本件商標を請求に係る指定商品について使用していたと主張する。
(2)インスタグラムでの使用
ア 「日本国内」における使用
被請求人は、インスタグラムのアカウントにおいて、本件商標を使用(商標法第2条第3項第8号)していたと主張している。しかしながら、商標法第50条にいう使用は、日本国内におけるものでなければならないところ、当該アカウントの内容は、我が国の取引者、需要者を対象としたものではない。
乙第3号証によれば、当該アカウントのプロフィール欄の内容は、主に韓国語で作成されている。特に、「showroom」の住所が韓国語で記載されるとともに、電話番号には国番号が表示されていない。また、乙第7号証及び乙第8号証でも、コメントは韓国語のみで作成されている。
なお、乙第3号証は、要証期間外(令和7(2025)年6月30日)に出力されたものであるから、要証期間にこれと同じ画面が表示されていたかは、明らかではない。
このようなプロフィール欄等の記載によれば、当該アカウントの運営者は、韓国語を理解する者に対して、韓国国内に所在する「showroom」への訪問を促し、また、韓国国内からの電話で連絡を受けることを意図している。そうすると、その内容は、韓国国内の取引者、需要者を対象としたものであって、我が国の取引者、需要者を対象としたものではない。
イ 我が国からのアクセス等
被請求人は、我が国から当該アカウントへアクセス可能であること(乙2)、ウェブブラウザの翻訳機能により日本語へ翻訳できること(乙4)、現に日本人と思しき者のアカウントによるアクセスがあったこと(乙5、乙6)、を主張する。
しかしながら、我が国から当該アカウントへアクセス可能であることも、ウェブブラウザの翻訳機能により翻訳可能であることも、インターネットの性質上、当然のことであるから、それら事実によって、当該アカウントにおける表示が、我が国における使用に該当するとはいえない(ウェブサイトのアドレスが我が国におけるものではなく、また、その表記が英語であることから、日本国内における使用を否定した裁判例として、知財高裁平成20年(行ケ)第10025号同年6月26日判決:甲3。また、日本からアクセス可能で、日本語で検索可能であっても、日本国内における使用を否定した審決例として、取消2021-300254号令和4年11月24日審決:甲4。)。
また、インスタグラムは、「写真にコメントをそえて公開したり、ほかの人の写真にコメントしたりできる、インターネットのサービス。」(見坊豪紀ほか編「三省堂国語辞典(8版)」(令和4年、三省堂):甲5)と、「写真」を主体としたソーシャルネットワーキングサービスである。その性質上、ユーザーは、個別の投稿中の写真を見て楽しむのであって、プロフィール欄及び投稿に付されたコメントを閲覧しているとは限らない。
乙第5-2号証及び乙第6-2号証のアカウントの者は、乙第5-1号証及び乙第6-1号証のコメントが韓国語で作成されていることも相まって、それら投稿を「広告」として認識していなかった可能性がある。
なお、被請求人は、乙第1号証を示して、「日本語公式アカウント」でインスタグラムにアクセスすることよって、被請求人のアカウントへアクセスできると主張している。しかしながら、当該主張は、被請求人による誤解に基づくものである。
確かに、乙第1号証のとおり、「日本語版公式インスタグラムアカウント」が開設されていた時期はあったとみられる。しかしながら、当該アカウントは、そのサービス提供者が自ら、情報を発信するために開設されたアカウントであって、商標権者のアカウントへのアクセスには、何ら関係がない。また、弁駁書作成日現在、「日本語版公式インスタグラムアカウント」は存在せず、要証期間に存在していたかも明らかではない。
(3)ウェブサイトでの使用
ア 「日本国内」における使用
被請求人は、ウェブサイトにおいて、本件商標を使用(商標法第2条第3項第8号及び同項第2号)していたと主張している。
しかしながら、商標法第50条にいう使用は、「日本国内」におけるものでなければならないところ、当該ウェブサイトの内容は、我が国の取引者、需要者を対象としたものではない。また、同法第2条第3項第2号にいう「使用」については、「商品又は商品の包装に標章を付したもの」が示されていない。いうまでもなく、乙第12号証で示された取引は、要証期間外のものである。
乙第10号証及び乙第11号証のウェブページは、すべて英語で作成されている。また、そこで販売されている商品は、いずれも、米ドルで決済され、乙第12号証によれば、現に米ドルで決済されていることを確認できる。
これらウェブページの内容によれば、当該ウェブサイトは、我が国の取引者、需要者を対象としたものではない。たとえ、当該ウェブサイトを通じて、我が国から商品を注文することができるとしても、それはインターネットの性格上、世界各地からアクセス可能であることによるものであって、我が国国内における商業的活動を行っているとはいえない(同旨、取消2009-300037号平成21年10月15日審決:甲6。)。
イ 使用商標について
被請求人は、乙第10-1号証の1葉目中で「La lune」及び「LALUNE」を、同2葉目中で「La lune」及び「LALUNE’s」を使用しており、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標であると主張している。
しかしながら、これら表示のうち「La lune」は、「La」及び「lune」の間にスペースがある。
本件商標は、「LALUNE」と、全体として一連一体の造語と理解される。他方、「La lune」は、フランス語の定冠詞「la」及びフランス語で「月」を意味する「lune」の組合せと認識される。そうすると、「La lune」の表示からは「月」又は「その月」との観念が生ずる。
このように、「La lune」の表示は、本件商標と、少なくとも外観及び観念において異なることから、社会通念上同一の商標ではない。
また、乙第10-1号証中の「LALUNE」の表示は、「LALUNE creates uniforms that〔以下省略〕」(1葉目)及び「LALUNE’s Product Power」(2葉目)との、一連の説明文中で使用されている。商標法第50条にいう「使用」は、いわゆる商標的使用でなければならないと解されるところ、これら文章中の使用は、商標的使用に当たらない。
(4)本件ショッピングサイトでの使用
被請求人は、乙第13号証ないし乙第20号証を示して、本件ショッピングサイトにおいて、本件商標を使用(商標法第2条第3項第8号及び同項第2号)していたと主張している。しかしながら、いずれも、要証期間に、本件商標が請求に係る指定商品について使用されていたことを示すものではない。
ア 乙第15号証について
乙第15号証は、要証期間外に出力されたものであって、要証期間に本件商標を使用していたことの証拠とはならない。
イ 乙第16号証について
乙第16号証は、証拠説明書によれば、要証期間外に出力されたものである。
確かに、「登録日」及び「2025/1/22」の文字が見られる。しかしながら、本件商標及び請求に係る指定商品のいずれも表示されておらず、したがって、要証期間に、本件商標が請求に係る指定商品について使用されていたことを示すものではない。
ウ 乙第17号証及び乙第18号証について
乙第17号証及び乙第18号証もまた、証拠説明書によれば、要証期間外に出力されたものである。
乙第17号証及び乙第18号証の1葉目の「ブランド」の欄に表示されているのは、「Q LALUNE」であって、「LALUNE」ではない。「Q LALUNE」の表示は、本件商標と、少なくとも外観及び称呼において異なる(「Q LALUNE」は、一連一体の商標と認識される。)ことから、社会通念上同一の商標ではない。
ほかに、本件商標と社会通念上同一の商標は、見られない。
また、乙第17号証の2葉目には「販売期間」及び「2025/2/28 15:00」の文字が、乙第18号証の2葉目には「販売期間」及び「2025/4/3 15:00」の文字が、それぞれ見られる。しかしながら、これらのページは、商品情報を入力するための画面と見られるところ、その日付は、操作可能(日付の右隣にカレンダーボタンがあることに鑑みれば、そこから任意の日付及び時間を選択可能)な可能性がある。したがって、これら証拠によっては、これら日時に、本件商標が請求に係る指定商品について使用されていたとは認められない。
さらに、被請求人は、これらの画面の表示を、商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」に該当すると主張している。しかしながら、ここでいう「取引書類」は、「注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書、カタログ等」(特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説(22版)』(発明推進協会、令和4年)1532頁)と解されるところ、これら画面の表示は、そのいずれにも該当しない。
そもそも、同号がいわゆる広告的使用を「使用」と定義している趣旨は、商標の広告的な使い方にも信用の蓄積作用があるためである(特許庁編・前掲書・1527頁を参照。)。ここでいう「信用」は、標章の付される商品の取引者、需要者((潜在的)顧客、消費者)の「信用」と解される。本件ショッピングサイトは、商品を販売等するための場を提供する、いわゆるプラットフォーム事業者であるところ、ここでいう商品の取引者、需要者に該当しない(換言すれば、被請求人は本件ショッピングサイトに対して商品を販売等しているわけではない。)。
そうすると、たとえ当該画面の表示が本件ショッピングサイトに提出されるとしても、商標法によって保護されるべき信用の蓄積はなく、したがって、当該画面の表示は、商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」には該当しない。
エ 乙第19号証及び乙第20号証について
乙第19号証及び乙第20号証は、いずれも、要証期間外に出力されたものであって、要証期間に本件商標を使用していたことの証拠とはならない。
(5)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標を、請求に係る指定商品について、要証期間に日本国内において使用していたとはいえないから、本件商標の登録は、取り消されるべきである。
第3 被請求人の主張
1 被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
2 答弁の理由
商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品のうちのすべての指定商品である第25類「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」、又は少なくとも第25類「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカート,ズボン」について、本件商標を使用した。以下、その事実を立証する。
(1)インスタグラムでの使用
商標権者は、日本国内で閲覧できるインスタグラムを通じて、要証期間に、「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」について本件商標を使用している。以下、詳しく説明する。
ア 使用されている場所
商標権者は、日本国内から簡単にアクセスできるインスタグラム上の自身の公式アカウントページで、本件商標を使用している。
2014年に開設された日本語版公式インスタグラムアカウントでは、国内だけではなく海外アカウントのコンテンツを日本語で紹介している(乙1)。
実際、日本語公式アカウントでインスタグラムにアクセスした後、検索欄に「lalune」入力すると、2番目に商標権者のアカウントが出てくる(乙2)。そしてそれをクリックすると、商標権者のアカウントのトップページに繋がる(乙3)。そのページには日本語とともに一部韓国語が表示されているが、その韓国語はグーグルのWEBページ翻訳機能を利用すると、簡単に日本語へ変換される(乙4)。つまり、日本国内に居住する者が、インスタグラムの日本語公式アカウントをつくると、商標権者のアカウントページに簡単にアクセスでき、さらに日本語で内容を把握できるということである。
これを裏付ける証拠として、乙第5号証及び乙第6号証を提出する。
乙第5-1号証及び乙第6-1号証では、「いいね」をクリックした人の名前が日本人の名前であることが推測できる。
乙第5-2号証及び乙第6-2号証は、乙第5-1号証及び乙第6-1号証で「いいね」をした人の名前をクリックした後の画面であり、そこから、クリックした人物が二人とも名古屋在住の日本人であることが確認できる。
よって、本件商標を使用している場所は、日本国内であることが明らかである。
イ 使用している者
商標権者の名称及び住所は、甲第1号証のとおりである。
一方、商標権者のインスタグラムのトップページの写しである乙第3号証には、「ソウル,カンナム-グ,ノニョン-ロ 154-ギル,18,5階」の住所と、「LALUNE Uniform Design Company」という商号の記載がある。
よって、一見すると、インスタグラム上の名称と住所は、商標権者の住所及び名称と異なるため、当該インスタグラムの所有者は商標権者ではないように見えるが、実は商標権者は住所と商号を変更しており、詳しくは、乙第9号証によれば、商標権者の住所は、2023年7月4日、「(大韓民国,)ソウル,カンナム-グ,ドサン-デロ 35-ギル,24-1」から、「(大韓民国,)ソウル,カンナム-グ,ノニョン-ロ 154-ギル,18,5階(英訳住所:5F,18,Nonhyeon-ro 154-gil,Gangnam-gu,Seoul,Republic of Korea)」に変更されており、変更後の住所が当該インスタグラム上の住所と同一である。
なお、乙第3号証には「LALUNE Uniform Design Company」という記載があるが、これは使用者の名前を表しているわけではなく、「LALUNE」というブランドの“Uniformをデザインする会社”の意味として使用しているだけであるので、正確な当該インスタグラムの所有者は、インスタグラム上リンクされたホームページ(以下「当該ホームページ」という。)から確認できる。
また、当該ホームページの写しである乙第10-1号証の1ページ目では「KAEMICHOA」、4ページ目では「Kaemi Choa Co.,Ltd.」という商号が記載されており、一見すると当該ホームページの所有者は商標権者ではないように見えるが、商標権者の商号は、乙第9号証から確認できるように、2025年5月26日に「リン インターナショナル」からK社へ変更されており、当該ホームページに掲載されている商号は、商標権者を示すものである(乙9、乙10-1)。
なお、当該ホームページには、変更後の商標権者の住所である「18,Nonhyeon-Ro 154-gil,Gangnam-gu,Seoul,Republic of Korea」が記載されている。
よって、商標権者と本件商標を使用している当該インスタグラムのアカウント所有者は実質的に同一である。
ウ 使用時期、使用している商品及び使用している商標
商標権者は当該インスタグラムを2015年頃から使用しており、その頃から、本件商標を変更した商標とともに、本件商標と同一又は社会的通念上同一の商標を本件商標のすべての指定商品に継続的に使用してきた。
インスタグラムの中には、それを証明できる証拠が多々あるが、便宜上乙第6-1号証、乙第7号証及び乙第8号証を用いて、使用時期、商品、使用商標について立証する。
(ア)乙第6-1号証
当該イメージ(画像)のアップロード日が、2024年12月17日であるので、その日からずっと当該画像を使用していることが分かる。そしてアップロードされたイメージ写真に写ったものから「被服,ジャケット,女性用スーツ,スカート」に使用していることが分かる。
なお、使用商標は、当該イメージ写真には「NEW Collection LALUNE STYLE」と表記されているが、「STYLE」は“スタイル、やり方、~風”などの意味であるので、「LALUNE」ブランドのスタイルの意味となり、商標は「LALUNE」のみに該当するので、当該使用は、本件商標の社会通念上の同一性がある商標の使用であると考えられる。
(イ)乙第7号証
当該イメージ(画像)のアップロード日が、2024年2月16日であるので、その日からずっと当該画像を使用していることが分かる。なお、当該画像には「LALUNE 2024 spring/summer colletion」という文言があるので、LALUNEが扱う全ての商品に使用されていることになる。
商標権者が販売・広告などで使用している商品は、乙第3号証、乙第5-1号証、乙第6-1号証及び乙第10号証から、請求に係る指定商品を含む被服全般であるので、乙第7号証で使用された商品は、請求に係る指定商品である「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」であるとみなすことは妥当であるはずである。
なお、乙第7号証には「LALUNE」が「2024 spring/summer colletion」の上に明確に記載されている。よって、使用商標は、本件商標と社会的観念上同一である商標であることは明らかである(審判便覧53-01)。
(ウ)乙第8号証
当該イメージ(画像)のアップロード日が2023年8月17日であるので、その日からずっと当該画像を使用していることが分かる。
なお、当該画像には「Uniform Design Consulting」という文言があるので「被服」はもちろん、それを構成する「ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」に使用されていることが分かり、また、当該画像には「LALUNE」という商標が明確に記載されているので、使用商標は、本件商標と社会的観念上同一である商標であることは明らかである(審判便覧53-01)。
エ 使用している方法
上記使用は、「商品に関する広告に標章を付して展示、配布であり、これらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」であるので、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
オ 小括
上記から、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品におけるすべての指定商品「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」について本件商標を使用したことが明らかである。
なお、便宜上、使用時期、使用商標及び商品については、商標権者のインスタグラム内にアップロードされた画像である乙第6-1号証、乙第7号証及び乙第8号証を利用して立証したが、商標権者のインスタグラムのトップページ(乙3)をみると、アカウント所有者を示す住所及び名称部分に、本件商標と文字の配列が完全に同一である商標が表示されている。
よって、当該インスタグラム内のすべての商標権者の行為は、本件商標の使用行為であると理解することが妥当であると考えられる。
(2)商標権者のホームページでの使用
ア 使用されている場所
商標権者は、ホームページを2012年頃、インスタグラムは2015年頃から現在まで、継続して使用している。そして、上記(1)に記載したインスタグラムのトップには、「Global shipping」という表示と共に商標権者のホームページのアドレスのリンクが張られている(乙3)。
よって、日本国内で閲覧できる当該インスタグラムを見た日本国内に居住する者は、商標権者の商品を購入したい場合は、海外配送ができること及びリンクされたホームページで購入できることを認識でき、日本国内に居住する者は、商標権者のホームページに移動し、商品を購入することができる(乙10-1、乙11)。
実際、要証期間内ではないものの、日本居住者が、2021年9月30日に商標権者の商品を、ホームページを通じて購入し、2021年10月5日に日本に商標権者の商品が郵送された事実がある(乙12)。
そして、その事実は、要証期間内においても日本国内に居住する者が、商標権者のインスタグラムを経由して商標権者のホームページにアクセスでき商品を購入することができることを裏付けるものであると考えられる。
よって、ホームページでの使用は日本国内使用に該当する。
イ 使用時期
通常、ホームページの開設と同時にインスタグラムを開設するか、ホームページの開設後に広告宣伝用でインスタグラムを開設することが一般的である。よって、少なくとも乙第8号証に写っているイメージのインスタグラムの掲載日である2023年8月17日から現在まで、当該ホームページを継続的に使用していると考えられる(乙8)。
また、乙第12号証の最後のページからは、2021年10月5日に日本に商標権者の商品を送付したことが分かるので、当該ホームページは2021年10月5日の以前から使用されていることを裏付けているといえる。
参考までに、実際、当該ホームページは2012年ごろ、当該インスタグラムは2015年頃から使用している。
ウ 使用している者
乙第10-1号証の2ページ目をみると、ホームページ上の住所は変更後の商標権者の住所であり、1ページ目を見ると、商号は変更後の商標権者の商号になっているため、当該ホームページは商標権者のホームページであることは間違いではない。
よって、当該使用は、商標権者の使用に該当する。
エ 使用している商品
商標権者の会社は、被服の会社(特に女性用スーツを専門)であるので、本件商標を被服に使用していることは当然である(乙13-2)。
よって、本件商標は、請求に係る指定商品中の「被服」、特に女性ユニフォームを構成する「ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」に使用されている。
オ 使用している商標
当該ホームページをみると、本件商標を変更したいくつかの商標が見られるが、その中には、「LALUNE」又は「LaLune」の使用も確認できる(乙10-1)。
「LALUNE」は本件商標と社会的通念上同一の商標である。なお、「LaLune」は大文字を部分的に小文字に変えただけであるので、これも本件商標と社会通念上同一の商標である。
カ 使用している方法
商標権者のホームページでの使用であるので、「商品に関する広告に標章を付して展示、配布であり、これらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
なお、商品の販売、輸出なども行っているので、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」にも該当するともいえる(商標法第2条第3項第2号)。
キ 小括
上記を踏まえると、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中のすべて指定商品について自社ホームページ上、又はそれを通じて本件商標を使用している。
(3)インターネットショッピングサイトでの使用
商標権者は、日本国内で閲覧及び買い物ができる本件ショッピングサイトを通じて、要証期間に「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」について本件商標を使用している。以下、詳しく説明する。
ア 使用されている場所
商標権者は、日本国内向けオープンマーケットプレイスである本件ショッピングサイトで販売を行っている(乙13、乙14)。
イ 使用している者
本件ショッピングサイトの販売者情報には、変更された商標権者の住所と名称が表示されているので、販売者は、商標権者である(乙15)。
ウ 使用時期、使用している商品及び使用している商標、使用方法
商標権者は2025年1月22日に本件ショッピングサイトへの販売者登録を完了している(乙16)。
なお、乙第17号証、乙第18号証及び乙第19号証をもって、使用商品及び商標使用方法について立証する。
(ア)乙第17号証
本号証は、本件ショッピングサイトの出品者が使用する販売商品のアップロード画面の写しであり、これによれば、まず、販売商品は「パンツスーツセット、スカート、ジャケット」であり、販売開始日は2025年2月28日、販売終了日は2055年2月28日である。そして、ブランドの掲載欄は「LALUNE(134486)」となっている。
参考までに、「134486」は本件ショッピングサイトの運営者が本件ショッピングサイトに登録されたブランドに付与する認識番号である。
つまり、商標権者は、本件商標を付して、「被服、パンツスーツセット、スカート、ジャケット」などについて、本件ショッピングサイトへの販売者登録日である2025年1月22日から、当該商品の販売開始日である2025年2月28日の間に、乙第17号証に示された画面を作成し、本件ショッピングサイトへ提出したことになる。
当該画面は取引書類に相当するので、「取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する(商標法第第2条第3項第8号)。
(イ)乙第18号証
本号証も、出品者が使用する販売商品のアップロード画面の写しである。
これによれば、まず、販売商品は「パンツスーツセット、ジャケット」であり、販売開始日は2025年4月3日、販売終了日は2055年4月3日である。そして、ブランドの掲載欄は乙第17号証と同様に「LALUNE(l34486)」となっている。
つまり、商標権者は、本件商標を付して、「被服、パンツスーツセット、ジャケット」などについて、本件ショッピングサイトへの販売者登録日である2025年1月22日から、当該商品の販売開始日である2025年4月3日の間に、乙18号証で示された画面を作成し、本件ショッピングサイトへ提出したことになる。
当該画面は取引書類に相当するので、「取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
(ウ)乙第19号証
乙第19号証の20ページ目をみると、2025年4月8日及び同月11日にお客さんから問合せがあったことが確認できる。
そして1ページ目には本件商標と同一である「LALUNE」を確認できる。
なお、1、10及び12ページ目などから使用商品は「スーツ、ジャケット、ブラウス、ズボン」であることが確認できる。
よって、商標権者は本件商標と同一である商標を「スーツ、ジャケット、ブラウス、ズボン」で遅くても2025年4月8日の前から現在まで使用していることが分かる。
そして当該使用は、「商品に関する広告に標章を付して展示、配布であり、これらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
なお、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」にも該当する(商標法第2条第3項第2号)。
エ 小括
上記から、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカート,ズボン」について本件商標を使用したことが明らかである。
なお、便宜上、使用時期、使用商標及び商品については、乙第16号証ないし乙第19号証を用いて立証したが、商標権者の本件ショッピングサイトのトップページである乙第20号証の1ページ目及び乙第19号証の2ページ目をみると、本件商標と文字の配列が完全に同一であるLALUNEが最上位の場所に表示されている。
よって、商標権者の本件ショッピングサイトでのすべての商標権者の行為は、本件商標の使用行為であると理解することが妥当であると考えられる。
(4)まとめ
以上から、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中のすべての指定商品である「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカーフ,スカート,ズボン」又は少なくとも「被服,ジャケット,女性用スーツ,ブラウス,スカート,ズボン」について、本件商標を使用したことは明らかである。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第9-1号証
乙第9-1号証は、被請求人が、商標権者の登記事項全部証明書と主張するものであり、併せて提出された訳文(乙9-2)によれば、1葉目において、上部に「登記事項全部証明書(抹消事項を含む)」の記載があり、また、その下に提示された表中、「商号」の記載を含む欄に、商標権者の社名の記載があり、その下の「本店」の記載を含む欄の1つ下の欄に、商標権者のものと一致する住所の記載があるところ、これらの社名及び住所はいずれも取消し線が付されており、各欄のそれぞれの直下の欄に、取消し線が付されていない社名及び住所の記載として、K社及び「ソウル,カンナム-グ,ノニョン-ロ 154-ギル,18,5階(シンサドン)」(なお、当該社名及び住所について、訳文(乙9-2)には、日本語表記とともに括弧書きの英語表記があり、住所の英語表記は「5F,18, Nonhyeon-ro 154-gil, Gangnam-gu, Seoul」である。)の記載があり、当該社名の右側の欄が上下に2分割されて、一方に「2025.05.26 変更」、他方に「2025.05.26 登記」の各記載があり、当該住所の右側の欄も上下に2分割されて、一方に「2023.07.04 変更」、他方に「2023.07.04 登記」の各記載がある。
また、本号証の2葉目において、下部に、「管轄登記所 ソウル中央地方法院 登記局/発行登記所 ソウル中央地方法院 登記局」の記載がある。
イ 乙第13号証
乙第13号証は、被請求人が、本件ショッピングサイトの概要ページ画面と主張するものであり、中ほど左寄りに、「会社概要」の記載、その下に、後ろに「とは?」の記載を伴った本件ショッピングサイトの名称の記載、その下に、本件ショッピングサイトが、「E社が運営する日本国内向けオープンマーケットプレイス」である旨の記載がある。
ウ 乙第19号証
乙第19号証は、被請求人が、本件ショッピングサイトの公式販売ページの例示画面と主張するものであり、各葉のそれぞれにおける右下に、「1/21」ないし「21/21」のページ番号の記載があり、1/21ページにおいては、上部に、本件ショッピングサイトの名称の記載が複数存在しており、その下に、「LALUNE」の記載、その下に、「通販TOP > レディースファッション > レディース服 > スーツ > パンツスーツ」の記載、その右に、「商品番号:1146653974」の記載があり、その左下に、黒色のジャケットを着用した人物が写っている写真が提示され、その右に、「LALUNE 韓国 ファッション ジャケット セット スーツ エステティックサロン 眉ビューティーサロン 洗えるスーツ」の記載がある。
また、20/21ページにおいては、左上に、「Q&A(2)」の記載、その下に、メッセージ中に「商品番号:1146653974のジャケットやスカート、パンツのXS~Lサイズの商品のサイズ表はありますでしょうか?」との内容が含まれる「お問い合わせ/回答」が、「2025-04-11」の「日付」に投稿されたことを示す記載がある。
さらに、同ページの中ほど左寄りに、「販売者/会社名」に対応して、K社の社名の英語表記(乙9-2)と一致する(「・・・emi」と「・・・mei」との不一致は誤記によるものであり、実際には不一致はないものと思料される。)社名の記載があり、「住所」に対応して、K社の住所の英語表記(同)における「18」ないし「Seoul」が2回繰り返された記載がある。
(2)上記(1)アないしウによれば、次の事実を認めることができる。
ア 日本国内向けオープンマーケットプレイスである本件ショッピングサイトにおいて、「LALUNE」(以下「使用商標」という。)の記載とともに、商品番号が「1146653974」である、「LALUNE 韓国 ファッション ジャケット セット スーツ エステティックサロン 眉ビューティーサロン 洗えるスーツ」と称するパンツスーツに関する広告が掲載され、英語表記によるK社の社名及び住所を記載したウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。)が公開されていた(乙13、乙19)。
イ 本件ウェブページの閲覧者により、商品番号が「1146653974」の商品について質問するメッセージが、2025年4月11日に投稿され、本件ウェブページに掲載された(乙19)。
ウ 上記イのメッセージは、上記アの広告と同じく本件ウェブページに掲載されており、当該メッセージ中の商品番号も上記アの広告に係る商品のものと一致していることからすれば、少なくとも当該メッセージが投稿された2025年4月11日に、本件ウェブページが、当該商品に関する広告が掲載された状態で公開されていたものと推認できる。
エ 本件ウェブページに記載されているK社の社名及び住所は、商標権者のものと相違する(甲1、乙19)ものの、ソウル中央地方法院が発行した登記事項全部証明書(乙9)によれば、商標権者について、韓国においては、商号の変更により2025年5月26日にK社として登録されることとなり、その住所についても、2023年7月4日に変更後の住所が登録されることとなったことが認められるところ、これらの変更後の社名及び住所が本件ウェブページに記載されているものと解される(なお、本件ウェブページの住所の表記において「18」ないし「Seoul」が2回繰り返されている点は、誤記と解される。)。
そうすると、本件ウェブページの公開は、商標権者によるものと認められる。
オ 上記ア及びエによれば、商標権者は、使用商標が記載された、「LALUNE 韓国 ファッション ジャケット セット スーツ エステティックサロン 眉ビューティーサロン 洗えるスーツ」と称する商品「ジャケット」(以下「使用商品」という。)に関する広告を含む本件ウェブページを、2025年4月11日に公開したことが認められる。
2 判断
上記1(2)オの行為について、次のとおり判断できる。
(1)使用商標について
使用商標は、「LALUNE」の欧文字を横書きにしてなるものであり、本件商標と書体が相違するのみであって、本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
使用商品は、「ジャケット」であり、請求に係る指定商品中、「被服」の範ちゅうに属し、また、同「ジャケット」に該当する商品と認められる。
(3)使用者、使用時期及び使用行為について
商標権者は、使用商標が記載された、使用商品に関する広告を含む本件ウェブページを、要証期間である2025年(令和7年)4月11日に公開していたことが認められるから、使用商標の使用者は、商標権者であり、使用商標を付した広告をインターネット上で公開する行為が、要証期間に行われたものである。
そして、当該行為は、日本国内において行われたことが明らかであって、商標法第2条第3項第8号にいう、商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当する。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品に該当する又はその範ちゅうに属する商品に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供する、商標法第2条第3項第8号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品に該当する又はその範ちゅうに属する商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-300295