商標取消審判
2023-300557
オージュア
- 審判番号
- 2023-300557
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2018-106679
- 登録番号
- 6158915
- 請求日
- 2023年08月03日
- 審決日
- 2024年05月13日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】イ、ジェ オン
- 【請求人代理人】新保 斉
- 【被請求人】株式会社 ミルボン
- 【被請求人代理人】塚田 美佳子
- 【被請求人代理人】山田 薫
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T131 .1 -Y (W44)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第5号、商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6158915号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6158915号商標(以下「本件商標」という。)は、「Aujua」の欧文字及び「オージュア」の片仮名を二段に表してなり、平成30年8月23日に登録出願、第44類「美容,理容」を指定役務として、令和元年7月5日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年8月22日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和2年8月22日から同5年8月21日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、第44類「美容,理容」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、請求に係る役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して、令和5年11月15日付け弁駁書において、以下のとおり弁駁した。
(1)被請求人の答弁書(3)-2によれば、要証期間の3年以内に本件商標を使用している内容として、「オージュア取引基本契約を締結した美容室に対して通常使用権を許諾して、かかる通常使用権者より商標「Aujua/オージュア」を「美容」に使用している」と述べている(答弁書4葉目)。被請求人も認めているように、明示的にこれらの会社に通常使用権を許諾して、通常使用権者が使用しているものではなく、「基本契約書が締結されており、これらの会社のメニュー名に使用されている」との状況から、通常使用権を許諾したと言えなくもないといった内容になっている。
(2)また、答弁書において、この基本契約書も証拠として提出されておらず、陳述書も被請求人自身のみであり、許諾先の会社側の陳述書は皆無である。前記複数の会社側(美容院)も、自身が通常使用権者である認識もなく、通常使用権の許諾に関する契約事項(登録商標の定義、使用の範囲、使用態様などを取り決めた内容等)も無いため、およそ通常使用権者とは言えない。
よって、被請求人は、被請求人や通常使用権者においても、本件商標を「美容,理容」について使用しているとは言えない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、令和5年10月6日付け答弁書及び同6年1月25日付け審尋に対する同年2月29日付け審判事件回答書で、その理由要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第24号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人の通常使用権者は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に、本件請求に係る指定役務について使用したことについて、以下答弁した。
(1)本件商標の使用の事実
ア 「Aujua/オージュア」を使用したヘアトリートメント美容の役務の提供について
被請求人は、1960年に設立され、ヘアカラー剤、ヘアスタイリング剤、パーマ剤、シャンプー、ヘアトリートメント、薬用発毛促進剤、スキンケア・メイクアップ化粧品の製造および販売を主な事業内容としている。
被請求人は、2010年より商標「Aujua/オージュア」を、美容室専売ヘアケア商品のブランド名として展開している(乙2)。
また、一定期間被請求人が行う研修を受けた美容師を「Aujuaソムリエ」と認定し、被請求人と提携した美容室において、「Aujuaソムリエ」により、「Aujua/オージュア」商品を使用したヘアケア・美容に関するカウンセリングが提供されている(乙3)。さらに、被請求人と提携した美容室において、「Aujuaトリートメント」又は「オージュアトリートメント」と称して、「Aujua/オージュア」商品を使った集中ヘアケアトリートメントが行われている。美容室で提供される「Aujuaトリートメント」又は「オージュアトリートメント」は、被請求人が認定した美容師が、顧客の髪の毛の悩みに合わせて、「Aujua/オージュア」トリートメント商品をブレンドして行う特別なヘアトリートメント美容である(乙4)。
イ 本件商標の使用者
被請求人は、美容室を運営する会社及び複数の美容室と「オージュア取引基本契約」を締結し、「Aujua/オージュア」の使用及び販売について取り決めを交わしている。これら会社と「オージュア取引基本契約」を締結したことに関する陳述書を提出する(乙5~乙8)。
被請求人とこれらの会社との間で「オージュア取引基本契約」を締結し、これら会社が運営する美容室で提供するヘアトリートメント美容に、メニュー名として、「オージュア」又は「Aujua」が使用されている。被請求人は、これらの美容室に対して、「美容」の役務について商標「Aujua/オージュア」の通常使用権を許諾し、かかる通常使用権者より商標「Aujua/オージュア」は「美容」の役務に使用されている。
ウ 本件商標の使用の事実
(ア)「marl.京橋」のウェブサイト
本件商標の使用の事実を証明する証拠として、「marl.京橋」の取り扱いメニューが表示されたウェブサイトの写しを提出する(乙9)。
さらに、要証期間中における本件商標の使用の事実として、インターネットアーカイブ・サイトである「Wayback Machine」から取得した、ウェブサイト(2021年10月20日のスクリーンショットの写し)を提出する(乙10)。
「marl.京橋」のメニュー名には、「オージュアトリートメント」があり、さらに、「オージュアソムリエが日本女性1人1人の髪質とお悩みに合わせてご提案する最高級のパーソナルヘアケアトリートメントです。」と説明されている。この説明により、ヘアトリートメント美容(類似群コード42C01)が提供されていることが分かる。
美容室のメニュー名での標章の使用は、「役務の提供の用に供する物に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」に該当し、商標法第2条第3項第5号に規定する「使用」がなされていたと言える。さらに、美容室のウェブサイトでのメニュー名での標章の表示は、「役務に関する広告に標章を内容とする情報に標章を付して、電磁的方法により提供する行為」に該当し、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」がなされていたと言える。
「オージュアトリートメント」の表示においては、「トリートメント」部分は役務の一般名称に過ぎず、「オージュア」部分が出所識別機能を発揮する部分となる。これらの証拠により、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が「美容」の役務について使用されていたことが分かる。
(イ)「M.Slash新百合ヶ丘」のウェブサイト
本件商標の使用の事実を証明する証拠として、「M.Slash新百合ヶ丘」の取り扱いメニューが表示されたウェブサイトの写しを提出する(乙11)。さらに、要証期間中における本件商標の使用の事実として、インターネットアーカイブ・サイトである「Wayback Machine」から取得した、かかるウェブサイト(2022年7月1日のスクリーンショットの写し)を提出する(乙12)。
「M.Slash新百合ヶ丘」のメニュー名には、「トリートメント」の分類があり、「Aujua4STEP」がある。さらに、「香りに包まれながら、組み合わせ100通りから、髪の状態に合わせケアリストがカスタマイズ、4ステップトリートメント。」と説明されていることから、ヘアトリートメント美容(類似群コード42C01)が提供されていることが分かる。また、「ヘッドスパ」の分類には、「Aujua頭筋リリース」があり、「Aujua頭筋リリース」とは、「Aujua」のスパオイルを使用した頭皮のスペシャルケアであり(乙11)、頭皮の手入れ(類似群コード42C01)に該当する。
上記(ア)で述べたとおり、美容室のメニュー名での標章の使用は商標法第2条第3項第5号に規定する「使用」に該当し、美容室のウェブサイトでのメニュー名での標章の表示は、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」に該当する。
「Aujua4STEP」の表示において、「4STEP」部分は、ヘアトリートメントが4つのステップを踏んで行われるという施術方法を表示したに過ぎず、「Aujua」部分が出所識別機能を発揮する部分となる。「Aujua頭筋リリース」の表示においては、「頭筋リリース」部分は、ヘッドスパの施術方法を表示したに過ぎず、「Aujua」部分が出所識別機能を発揮する部分となる。かかる証拠により、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が「美容」の役務について使用されていたことが分かる。
(ウ)「Neolive curro東神奈川店」のウェブサイト
本件商標の使用の事実を証明する証拠として、「Neolive curro 東神奈川店」の取り扱いメニューが表示されたウェブサイトの写しを提出する(乙13)。さらに、要証期間における本件商標の使用の事実を証明する証拠として、インターネットアーカイブ・サイトである「Wayback Machine」から取得したウェブサイト(2021年12月8日のスクリーンショットの写し)を提出する(乙14)。
「Neolive curro東神奈川店」のメニュー名には、「Aujuaトリートメント」があり、かかる表示においては、「トリートメント」部分は役務の一般名称に過ぎず、「Aujua」部分が出所識別機能を発揮する部分となる。また、上記(ア)で述べたとおり、美容室のメニュー名での標章の使用は商標法第2条第3項第5号に規定する「使用」に該当し、美容室のウェブサイトでのメニュー名での標章の表示は、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」に該当する。かかる証拠により、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が「美容」の役務について使用されていたことが分かる。
(エ)「ウノプリール京橋」のウェブサイト
本件商標の使用の事実を証明する証拠として、「ウノプリール京橋」の取り扱いメニューが表示されたウェブサイトの写しを提出する(乙15)。さらに、要証期間における本件商標の使用の事実を証明する証拠として、インターネットアーカイブ・サイトである「WaybackMachine」から取得したウェブサイト(2022年7月5日のスクリーンショットの写し)を提出する(乙16)。
「ウノプリール京橋」のメニュー名には、「Aujua 4ステップトリートメント」があり、「様々なラインナップの中から季節、髪質、デザインに合わせてチョイスする内部補修トリートメントです。」と説明されている。この説明により、ヘアトリートメント美容(類似群コード42C01)が提供されていることが分かる。また、上記(ア)で述べたとおり、美容室のメニュー名での標章の使用は商標法第2条第3項第5号に規定する「使用」に該当し、美容室のウェブサイトでのメニュー名での標章の表示は、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」に該当する。
「Aujua 4ステップトリートメント」の表示においては、「4ステップトリートメント」部分は、ヘアトリートメントが4つのステップを踏んで行われるという施術方法を表示したに過ぎず、「Aujua」部分が出所識別機能を発揮する部分となる。かかる証拠により、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が「美容」の役務について使用されていたことが分かる。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により、本件審判請求にかかる指定役務である「美容」について使用されていたことは明らかである。
2 審尋に対する回答
被請求人は、合議体の審尋に対して、令和6年2月29日付け回答書において、以下のとおり回答した。
(1)被請求人から本件商標の使用者間への登録商標の通常使用権の許諾の証明
被請求人は、被請求人と「株式会社MINXworld」が、2022年(令和4年)6月9日に取り交わした「協働ビジネスプロジェクトに関する基本合意書」の写しを提出する(乙17)。本合意書の第5条は、「商標の使用許諾」についての規定であり、第5条第1項において、被請求人は株式会社MINXworldに対し、別途合意した日付以降、被請求人が保有する登録商標(以下「本商標」という。)について本目的遂行の範囲内で通常使用権を許諾し、株式会社MINXworldは本商標を使用(商標法第2条第3項各号及び同第4項に定める行為)することができることが規定されている。第10条において、本契約の有効期間は2022年2月1日から2027年12月31日となっている。本合意書にて、許諾する使用権の種類、通常使用権の対象となる商標、商標の使用行為の種類及び契約期間が定められている。
なお、本合意書の当事者の一方は、住所を「東京都中央区京橋」とする「株式会社ミルボン」であり、この住所は被請求人の本社住所である(乙18)。
(2)要証期間内における本件商標のヘアトリートメント美容への使用の証明
被請求人は、株式会社MINXworldが運営する「MINX shibuya smart salon」のウェブサイトに掲載されたトリートメントのメニュー(2023年4月19日付けのスクリーンショット)を提出した(乙19)。また、株式会社MINXworldのウェブサイトにおける会社概要のページの写しを提出した(乙20)。サロン一覧に「MINX shibuya smart salon」が含まれることが表示されている。
「MINX shibuya smart salon」で提供されるメニューには、「プレミアムオージュアトリートメント」、「プラチナオージュアトリートメント」がある。「MINX shibuya smart salon」では、ヘアトリートメント美容(類似群コード42C01)が提供されており、この役務について「オージュア」が使用されていたことが分かる。「プレミアムオージュアトリートメント」、「プラチナオージュアトリートメント」の表示においては、「トリートメント」部分は役務の一般名称であり、「プレミアム」、「プラチナ」部分は(最上位の)品質・等級等を表す言葉として使用されている実情がある。これらの語はいずれも識別力は極めて低い語であり、これら表示においては「オージュア」部分が出所識別機能を発揮する部分となる。
美容室のメニュー名での標章の使用は、「役務の提供の用に供する物に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」に該当し、商標法第2条第3項第5号に規定する「使用」がなされていたと言える。さらに、美容室のウェブサイトでのメニュー名での標章の表示は、「役務に関する広告を内容する情報に標章を付して、電磁的方法により提供する行為」に該当し、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」がなされていたと言える。
さらに、美容室等の予約サービスを提供するウェブサイト「minimo」において、「MINX shibuya smart salon」に所属する美容師が提供するメニューが紹介されており、「Aujuaトリートメント(4step)」と掲載されている。さらに「大人気Aujua4stepトリートメントをモデル料金でご案内しています!お客様一人一人の髪質やお悩みに合わせたトリートメントを用意させていただきます!」と説明がされている(乙21)。「MINX shibuya smart salon」に所属する美容師が、「Aujuaトリートメント」の語を使用してヘアトリートメント美容を提供しており、これを「minimo」サイトで紹介している。これは、「役務に関する広告を内容する情報に標章を付して、電磁的方法により提供する行為」に該当し、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」がなされていたと言える。当該ウェブページの日付は「2023年8月12日更新」となっており、要証期間中にこの使用がされていたことが分かる。
「minimo」では、さらに「MINX shibuya smart salon」に所属する別の美容師が提供するメニューも紹介しており、「ミセスの方限定 メイクモデル+Aujuaトリートメント」と掲載されている。さらに「メイクレッスンの後にAujuaトリートメントをしっかりさせて頂きます。」と説明されている(乙22)。上記同様に、「Aujuaトリートメント」の語を使用してヘアトリートメント美容が提供されていたことが分かる。当該ウェブページの日付は「2023年5月29日更新」となっており、要証期間中にこの使用がされていたことになる。
以上より、「MINX shibuya smart salon」において、要証期間中に本件商標「Aujua/オージュア」と社会通念上同一の商標について、ヘアトリートメント美容(類似群コード42C01)に関し、商標法第2条第3項第5号及び第8号に規定する使用がされていたことになる。
(3)本件商標の通常使用権者による本件商標の使用の証明
被請求人と株式会社MINXworldが締結した「協働ビジネスプロジェクトに関する基本合意書」の規定により、被請求人は2022年(令和4年)6月9日以降、株式会社MINXworldに、本件商標を含め、自身が保有する登録商標の通常使用権を許諾していた。株式会社MINXworldが運営する美容室である「MINX shibuya smart salon」における本件商標の使用は、被請求人の通常使用権者による本件商標の使用に該当する。
(4)小括
以上より、被請求人と、要証期間中に本件商標と社会通念上同一の商標を使用した使用者間において、通常使用権を許諾した書面が交わされ、そこで使用権の種類、商標の使用行為の種類、契約期間が規定されていることが証明された。これにより、審尋で求められた「使用許諾関係等を証明する証拠」は提出されたものと思料する。
(5)合議体の暫定的見解に対して
合議体の暫定的見解としては、上記乙5~乙8に係る陳述書がいずれも被請求人自身によって作成されたといえるものであり、また、被請求人と上記4社との間で締結されたとされる「オージュア取引基本契約」の具体的な内容が不明であることから、これらによっては、被請求人が前記4社に対し、通常使用権を許諾したものと認めることはできず、よって、前記4社を本件商標の通常使用権者と認めることもできないとの見解である。
被請求人は美容師に対して、高度で専門的なヘアケアの知識・技術認定を行っており、この認定試験に合格したヘアケアのスペシャリストを「オージュアソムリエ」と称している(乙23)。被請求人はAujuaブランドのヘアケア商品を販売しており、一定の著名性を得ているが、「オージュアソムリエ」である美容師を多数育成し、美容室でAujuaブランドのヘアケア商品を販売するだけでなく、「オージュアソムリエ」を通じるなどして、美容室で被請求人の「Aujua」ヘアケア商品を利用して、利用者が理想の髪を目指すことを支える美容サービスをトータルに提供することが、被請求人のビジネスモデルとなっている。多数の美容室で「Aujua/オージュア」トリートメントが施術されているが、これら美容室は「Aujua取り扱いサロン」である(乙24)。「Aujua/オージュア」トリートメントの施術は、被請求人のビジネスの下に行われており、被請求人又は被請求人から許諾を受けた者が、美容サービスに「Aujua」を使用していることにほかならない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により、本件審判請求にかかる指定役務である「美容」について使用されていたことは明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標の通常使用権の許諾に係る証明について
被請求人は株式会社MINXworldに対し、2022年6月9日付けの「協働ビジネスプロジェクトに関する基本合意書」(乙17)により、本件商標をその指定役務の範囲内で使用(商標法第2条第3項各号及び同第4項に定める行為)することに関する通常使用権を許諾している。
また、本合意書の第10条において、本契約の有効期間は2022年2月1日から2027年12月31日である。
(2)本件商標のヘアトリートメントへの使用の証明について
ア 被請求人は、株式会社MINXworldが運営する「MINX shibuya smart salon」のウェブサイトにおいて、トリートメントのメニュー(2023年4月19日付けスクリーンショット)を提出している(乙19)。
当該トリートメントのメニューには、「プレミアムオージュアトリートメント」、「プラチナオージュアトリートメント」の記載がある。
イ 美容室等の予約サービスを提供するウェブサイト「minimo」において、「MINX shibuya smart salon」の美容師が提供するメニューが紹介され、そこには、「Aujuaトリートメント」等の記載があり、その更新日は、2023年5月29日及び同年8月12日である(乙21、乙22)。
(3)通常使用権者による本件商標の使用の証明について
乙第20号証は、通常使用権者である株式会社MINXworldの会社概要のウェブサイトであり、「SALON」の項目には、「shibuya smart salon」、「aoyama」、「harajuku」、「ginza」、「ginza central」の記載がある。
また、株式会社MINXworldが運営する美容室の1つである「MINX shibuya smart salon」において、上記(2)イのとおり、「Aujuaトリートメント」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)を使用している(乙21、乙22)。
2 判断
上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
被請求人と株式会社MINXworldは、本件商標をその指定役務について使用することを内容とする「協働ビジネスプロジェクトに関する基本合意書」を2022年6月9日付けで締結しており、前記合意書の第5条(商標の使用許諾)の1.において、被請求人は株式会社MINXworldに対し、本件商標について通常使用権を許諾し、株式会社MINXworldは本件商標を商標法第2条第3項各号及び同第4項に定める行為をすることができると記載されている。
そうすると、株式会社MINXworldは、要証期間において、本件商標に係る指定役務についての通常使用権者であったと認められる。
(2)本件商標と使用商標の同一性について
本件商標は、上記第1のとおり、「Aujua」の欧文字及び「オージュア」の片仮名を二段に横書きしてなるものである。
他方、使用商標は、上記1(3)のとおり、「Aujuaトリートメント」であるところ、その構成中の「トリートメント」の文字は、役務の質等を表示する自他役務の識別標識としての機能を果たさないか、果たすとしても極めて弱い部分である。
そうすると、使用商標は、その構成中「Aujua」の文字部分が要部といえるものであり、当該「Aujua」は、本件商標の欧文字部分とつづりを共通にするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用役務について
本件使用役務は、上記「MINX shibuya smart salon」の美容メニューとして表示されているヘアトリートメントであり、使用役務は、第44類「美容」に含まれるものである。
(4)使用時期及び使用行為について
上記1(2)イによれば、通常使用権者は、要証期間である2023年(令和5年)5月及び8月に、本件使用役務であるヘアトリートメントに関する広告に使用商標を付したものといえる。
(5)小括
上記(1)ないし(4)のとおり、被請求人の通常使用権者である株式会社MINXworldは、要証期間に、請求に係る指定役務中、第44類「美容」の範ちゅうに含まれる「ヘアトリートメント」に、本件商標と社会通念上同一の使用商標を付したものと認められ、これは、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、その請求に係る指定役務に含まれる役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したといえる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-300557