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商標取消審判

2023-300219

ルマルシェオルネ、ルマルシェ、マルシェ、オルネ

審判番号
2023-300219
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2017-019217
登録番号
5990795
請求日
2023年04月04日
審決日
2024年05月09日
公報発行日
2025年04月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】四国旅客鉄道 株式会社
  • 【請求人代理人】田中 尚文
  • 【請求人代理人】渡部 彩
  • 【被請求人】有限会社 オルネドフォイユ
  • 【被請求人代理人】丹羽 俊輔
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
分類
T132 .1 -Z (W35)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第50条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5990795号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5990795号商標の指定役務中、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5990795号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年2月7日に登録出願、第35類「家具・建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年10月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年4月21日である。 なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)4月21日ないし令和5年(2023年)4月20日である(以下「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書及び上申書において要旨以下のように述べた。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定役務」という。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、わが国において、その請求に係る第35類の指定役務「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について本件商標を使用している旨主張するとともに、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。 (2)しかしながら、これらの書証をもってしても、本件審判請求は成り立たないとする被請求人の主張は失当であることから、以下にその理由を詳述する。 まず、本件審判請求に係る指定役務は、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であり、同役務は、衣料品・飲食料品・生活用品等を一括して取り扱う業務、すなわち、これらの各種商品を同時に取り扱うことが要件とされると解されるところ、乙第3号証ないし乙第5号証に係る情報は、2023年4月4日、2022年9月9日、2022年10月1日と日付がいずれも異なっており、特に、乙第3号証は、乙第4号証及び乙第5号証のおおよそ半年後に掲載されたものであるばかりか、乙第5号証は期間限定(2022年10月1日~同月16日まで)の情報であることからすると、これらの書証によっては、被請求人が、衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う業務を行っていたことは何ら証明されないものである。 次に、乙第3号証は衣料品に属すると考えられる「ワンピース」が掲載されているものの、「こちらの商品はオンラインショップにて販売しております。」との記載がなされていることに鑑みると、当該「ワンピース」は、被請求人の運営する「オルネ ド フォイユ」のオンラインショップのみで販売されているにとどまると考えるのが至極自然であり、答弁書で述べられている「オルネルマルシェ吉祥寺店」の店舗で販売され、かつ、その販売に際して本件商標が使用されていたことの立証がなされていないことは明らかである。 更に、乙第4号証及び乙第5号証についても、これらの書証に掲載された写真が「オルネルマルシェ吉祥寺店」の店舗に係るものであるか定かではないことに加え、本件商標の表示も一切なされていないことからすると、当該各書証によっては本件商標の使用が立証されることはないと考えられるものである。 以上より、被請求人の提出する各書証によっては、本件商標が、本件審判請求に係る指定役務「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用されていたことは何ら立証されないと考えるのが至極当然といえるものであるが、更に述べると、本件審判請求に係る指定役務は、いわゆる総合小売役務と位置付けられており、その内容としては、単に衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を取り扱っているのみでは足りず、これらを一括して同時期に1事業所で取り扱い、衣料品、飲食料品及び生活用品の各範疇のいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内であることが求められるものである。 しかしながら、答弁書では、乙第1号証中の店舗写真に、衣料品・生活用品なども写り込んでいるとの言及がなされているのみで、生活用品がいずれの商品を指すのか不明である点、及び、飲食料品が写り込んでいない点は措いておくとしても、同姉妹店における総売上高に占める各種商品の売り上げについては言及等されておらず、故に、答弁書における被請求人の主張並びに乙第1号証ないし乙第5号証からは、要証期間内に、本件商標が、本件審判請求に係る指定役務「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用されていたことが何ら立証されていないことは明白である。 (3)むすび 以上、詳述したとおり、本件審判請求に係る役務は、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であり、被請求人にあっては、本件商標を「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用していることを証明する必要があるところ、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による、本件審判請求に係る役務との関係での本件登録商標の使用は何ら具体的に立証されておらず、故に、本件審判の請求は成り立たないとする被請求人の主張は失当である。 よって、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の審判請求に係る指定役務「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録は、依然として取り消されるべきものであるから、本件審判の請求の趣旨とおりの審決を希求する次第である。 3 上申書の要旨 (1)被請求人は、令和6年2月5日付けの回答書において、新たに乙第6号証ないし乙第11号証を提出するとともに、被請求人が「オルネルマルシェ吉祥寺店」を直接運営し、同店舗において第35類の指定役務「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていることを主張している。 (2)しかしながら、これらの追加の書証をもってしても、本件審判請求は成り立たないとする被請求人の主張は依然として失当であることから、その理由を以下に詳述する。 乙第6号証に係る賃貸契約書(契約日:2020年11月24日付け)における被請求人の住所は「東京都品川区西五反田5-21-19」が記載されているところ、本件商標の設定登録時(2017年10月27日)及び賃貸契約時の被請求人の住所は「東京都渋谷区渋谷2丁目3番3号」であり、その後、審判請求後の2023年7月28日に被請求人の住所が変更(表示変更登録申請書が提出)されている経緯に照らすと、契約時の被請求人の住所(渋谷区)と賃貸契約書に記載の被請求人の住所(品川区)が一致しないことは明らかであり、当該書証に係る賃貸契約の被請求人が、本件商標登録の権利者(被請求人)であったかについては疑念が残る。 次に、本件審判請求に係る第35類の指定役務「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について触れると、当該役務は、衣料品・飲食料品・生活用品等を一括して取り扱う業務、すなわち、これらの各種商品を同時に取り扱うことが要件とされると解され、商標審査基準上においても「衣料品、飲食料品及び生活用品の各範疇のいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内であること」と規定されている。 そして、乙第10号証及び乙第11号証に係る売上報告書において、被請求人は「キッチン」の棒グラフ中に「FOOD」の項目があり、一定の売上が示されている旨を説明しているところ、これらの書証に記載の「売上構成比」に係る円グラフに「飲食料品」の項目はなく、その売上高の割合が「総合売上高の10%~70%程度の範囲内」にあるとは言えない。 また、乙第7号証ないし乙第9号証は、「オルネルマルシェ吉祥寺店」が販売する商品を発注したことに対して取引業者から発行された請求書の写し(発行日は2022年4月)であり、被服、コーヒー豆、食器等の商品が記載されていることは確認できるものの、その発注の個数・金額はごく僅かであり、「衣料品、飲食料品及び生活用品の各範疇のいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内であること」については明らかではない。そして、当該各商品が上記店舗で実際に販売されていたか定かではなく、仮に販売されていたとしても、本件商標が使用され、かつ、同時に取り扱われていた事実や状況も確認できないことから、これらの書証によっては、衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う業務を行っていたことは何ら証明されないものである。 これに加え、乙第7号証ないし乙第9号証に係る書証に記載の日付が2022年4月であるのに対して、乙第3号証ないし乙第5号証、乙第10号証及び乙第11号証に係る情報は、2023年4月4日、2022年9月9日、2022年10月1日、2020年6月、2020年12月と、その日付がいずれも異なっている状況も考慮すると、被請求人にあっては、衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を同時に一括で取り扱っていることを立証できない状況にある。 (3)以上のとおり、被請求人の提出する各書証によっては、本件商標が、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用されていたことは何ら立証されないと考えるのが至極当然であり、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による、本件審判請求に係る指定役務との関係で本件商標の使用は何ら具体的に立証されておらず、故に、本件審判の請求は成り立たないとする被請求人の主張は失当である。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、令和5年7月7日付け答弁書及び同6年1月4日付け審尋に対する同年2月5日付け回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。 1 答弁の理由 被請求人である有限会社オルネドフォイユは、店舗「オルネドフォイユ不動前店」の他、2014年から現在に至るまで、東京・アトレ吉祥寺内に、姉妹店「オルネルマルシェ吉祥寺店」を出店・運営し、同店舗で、衣料品・飲食品・生活用品などを販売している(乙1)。乙第1号証中における「オルネルマルシェ吉祥寺店」の店舗写真から明らかなように、店舗正面に登録商標を掲げて役務の提供を行っており、同写真には、同店舗で販売している衣料品・生活用品なども写り込んでいる。また、同店舗のインスタグラム(乙2~5)からも明らかなように、直近の三年以内においても、店舗「オルネルマルシェ吉祥寺店」において登録商標を使用して小売業務を行っており(乙2)、同店舗で、衣料品・飲食品・生活用品などの販売を行っている(乙3~5)。その他、乙第1号証及び乙第2号証において被請求人が使用している商標は、「orne」の部分が青字であるが、色違い商標にすぎず、商標法50条1項に規定された社会通念上同一の商標に含まれる。以上のとおり、商標法50条1項に規定する登録商標の不使用には該当しない。 2 回答書の要旨 合議体は、令和6年1月4日付け審尋を通知し、期間を指定して、被請求人が提出した証拠(乙1~乙5)からは本件商標の使用が証明されていない旨の合議体の暫定的な見解と、請求人の弁駁書に対する意見を求めたところ、被請求人は回答書において要旨以下のとおり述べた。 (1)被請求人と「オルネルマルシェ吉祥寺店」との関係について 被請求人である有限会社オルネドフォイユは、添付した資格証明書(履歴事項証明書)に示されたとおり、日用雑貨品・家具・室内装飾品・衣料品・インテリア用品雑貨・アクセサリーなどの企画・製造・販売・輸入販売・卸売、茶類・加工食品の輸入販売・卸売などを目的として成立した会社である。「オルネドフォイユ不動前店」及び「オルネルマルシェ吉祥寺店」は、有限会社オルネドフォイユにおいて販売業務などを行っている直営店で(乙1)、オルネルマルシェ吉祥寺店」は、本件商標権者が直接、管理・運営している店舗であり、その店員も全て有限会社オルネドフォイユの社員である。 乙第1号証は、そのURL(ornedefeuilles.com)からも明らかなとおり(「ornedefeuilles」は、オルネドフォイユのフランス語表記で点(アクサン)を略記したもの)、有限会社オルネドフォイユが管理・運営しているホームページであり、その中の店舗情報として、「オルネルマルシェ吉祥寺店」を掲載しており、その所在地が「東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-24 アトレ吉祥寺本館1F 3番街」と明記されているとおり、「オルネルマルシェ吉祥寺店」の所在地はその場所である(乙1)。一方、新たに提出する乙第6号証は、賃貸契約書であり、同書面には、有限会社オルネドフォイユが、「オルネルマルシェ」の店舗名で、食器・キッチン用品・生活雑貨・食品・家具・洋服などを販売する目的で、その場所を賃借して同場所で出店していることが明記されている(乙6)。 このことより、被請求人が「オルネルマルシェ吉祥寺店」を直接運営していることは明らかである。 (2)「オルネルマルシェ吉祥寺店」で本件商標を使用して、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っているかについて ア 乙第6号証に記載されているとおり、被請求人は、「オルネルマルシェ」の店舗名で、食器・キッチン用品・生活雑貨・食品・家具・洋服などを販売する目的で、その場所を賃借して同場所で出店しており、同店舗で、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていることは明らかである。 イ 乙第2号証ないし乙第5号証は、「オルネルマルシェ吉祥寺店」が管理・運営しているインスタグラムに掲載された写真であり、そのインスタグラムが同店舗の管理したものであることは、ハンドルネームが「ornelemarche(オルネルマルシェのフランス語表記で点(アクサン)を略記したもの)」であること、及び同店舗の情報が随時挙げられていることから明らかであり、さらに、乙第1号証の店舗情報中、「オルネルマルシェ吉祥寺店」を紹介している部分において、インスタグラムのマークが示すとおりインスタグラムヘのリンクが張られており、インスタグラムにおけるリンク先が「@ornelemarche」と掲載されていることからも明らかである。 そして、店舗がインスタグラムを運営する場合、宣伝などの目的で、店舗からの告知・入荷情報・販売商品やおすすめ商品の紹介などをインスタグラム上に掲載するのが通常であり、乙第3号証でおすすめ商品として衣料品が掲載され、乙第4号証でおすすめ商品としてコーヒーバック(飲食料品)が掲載され、乙第5号証でおすすめ商品としてカップ・小物入れなどの生活用品が掲載されている以上、さらには、乙第2号証における店舗の写真が示すとおり、衣料品・飲食料品・生活用品のいずれかのみではなく、多種多様な商品を一括して取り扱っている店舗であることが明白である以上、たとえ、乙第3号証ないし乙第5号証自体が複数ジャンルにまたがった商品を同時に販売していることを示す写真ではなかったとしても、それらに掲載された商品のみを販売しているはずはなく、それらの商品全てを取扱い一括して販売していることは明らかである。すなわち、同店舗で、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていることは明らかである。 ウ 新たに提出する乙第7号証ないし乙第9号証は、「オルネルマルシェ吉祥寺店」が店舗で販売する商品を店舗名義又は会社名義で各取引業者に発注したことに対し取引業者から発行された請求書であり、いずれも2022年4月の請求書である。乙第7号証ないし乙第9号証は、それぞれ、衣料品・飲食料品・生活用品を発注した際の請求書であり、「オルネルマルシェ吉祥寺店」が同店舗で「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品」を取り扱っていることは明らかである。また、同時期に発行された請求書であることから、特定の日時に店舗内で具体的にどの商品が販売されていたかまでは特定できないものの、同時期にそれらの商品を一括して取り扱っていることまでは強く類推できる。そして、上記のとおり、乙第2号証における店舗の写真が示すとおり、衣料品・飲食料品・生活用品のいずれかのみではなく、多種多様な商品を一括して取り扱っている店舗であることが明白である以上、発注した商品のみを販売しているわけではなく、それらの商品を一括して販売していることは明らかである。従って、同店舗で、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていることは明らかである。 エ 新たに提出する乙第10号証及び乙第11号証は、それぞれ、有限会社オルネドフォイユの社員で「オルネルマルシェ吉祥寺店」店長であるS氏が社内の会議での報告用に作成した2020年6月と同12月の同店舗の売上報告書である。 乙第10号証では、同店舗における日ごとの売上げの他、売上構成とその分析・見解が記載され、ファッション・ファッション小物・キッチン・バス・文具・リビングリネン・アンファン・アクセサリー・インテリアに欄分けされている。このうち、「キッチン」の欄中の棒グラフに、「FOOD」の項目があり、飲食料品の売上げ22万円及び販売数220個が明示されている。また、「キッチン」の欄中のコメントには、「コーヒー豆を販売」したことが記載されている。その他、衣料品の売上げは「ファッション」の欄に、生活用品の売上げは「キッチン」、「バス」、「文具」その他の欄に種類分けされて細かく記載されている。 同様に、乙第11号証でも、「キッチン」の欄中の棒グラフに、「FOOD」の項目があり、飲食料品の売上げ109万円及び販売数1,603個が明示されている。また、「キッチン」の欄中のコメントには、「鯛めし」「甘酒」の売上個数(それぞれ107点、178点)が記載されている。その他、衣料品の売上げは「ファッション」の欄に、生活用品の売上げは「キッチン」、「バス」、「文具」その他の欄に種類分けされて細かく記載されている。 このように、同店舗で、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていることは明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)「オルネルマルシェ吉祥寺店」について ア 被請求人である有限会社オルネドフォイユは、株式会社アトレと「営業用建物の定期賃貸借契約書」(以下「契約書」という。)を令和2年(2020年)11月24日付けで締結している(乙6)。 そして、前記契約書の表紙には、出店者(借主)の欄には、出店者名(商号):有限会社オルネドフォイユ、・・・、店舗名:オルネルマルシェ、また、(貸主)の欄には、株式会社アトレの記載がある。さらに、契約基本項目表には、「出店者:有限会社オルネドフォイユ」、「本店舗:所在地 東京都武蔵野市吉祥寺南町一丁目1番24号、本店舗名 アトレ吉祥寺店」、「営業場所:位置 1階、・・・、店舗名 オルネルマルシェ」、「販売品目及び細目:食器・キッチン用品、インテリア雑貨、生活雑貨、DIY用品、食品、家具、洋服、服飾雑貨、ファブリック関連、照明、その他関連商品」等の記載がある。 イ 乙第1号証の2葉目において、「オルネルマルシェ 吉祥寺店 2014年にオルネ ド フォイユの姉妹店として、アトレ吉祥寺内にオープン。古くから愛されているパリの日用品店“quincaillerie(カンカイユリー)”を現代風にアレンジしたライフスタイルショップです。」、「ACCESS 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-24 アトレ吉祥寺 本館1F 3番街」の記載がある。 ウ 乙第1号証の2葉目において、「オルネルマルシェ吉祥寺店」の店舗外観と思われる画像が掲載されており、その店舗の外壁に、別掲2のとおりの標章(以下「使用商標」という。)が表示されている。 (2)請求書及び売上報告書について ア 衣料品の仕入れに係る取引業者が発行した請求書 乙第7号証は、株式会社S社が、「オルネルマルシェ」に対して発行した請求書であり、「締日:2022年4月30日」、「今回御請求額 ・・・円」、「商品名:バイカラーシャツ等」、「数量」、「単価」、「金額」等の記載がある。 イ 飲食料品の仕入れに係る取引業者が発行した請求書 乙第8号証は、B合同会社が、「オルネルマルシェ吉祥寺店」に対して発行した請求書であり、「日付:2022年4月19日」、「合計金額 ・・・円」、「詳細:アイスコーヒー等」、「数量」、「単価」、「金額」等の記載がある。 ウ 生活雑貨類の仕入れに係る取引業者が発行した請求書 乙第9号証は、有限会社M社が、「有限会社オルネドフォイユ」、「オルネルマルシェ吉祥寺店」に対して発行した請求書であり、「請求期間:2022/04/01-2022/04/30」、「今回請求額 ・・・円」、「お支払い期日:2022/05/31」、「商品名:・・・BARBAR TERRA プレート L グレー/G」、「単価」、「数量」、「金額」等の記載がある。 エ 「オルネルマルシェ吉祥寺店」の売上報告書 乙第10号証及び乙第11号証は、それぞれ2020年6月及び12月の「オルネルマルシェ吉祥寺店」の売上報告書とするものであり、その月の売上実績額、売上構成比(ファッション、ファッション小物、キッチン、バス、文具、リビングリネン等)、さらに構成単位毎の各商品の売上げ実績額の記載がある。 2020年6月の売上報告書(乙10)における、「キッチン」の項目中の「FOOD」の売上高は、「22万円」である。 また、2020年12月の売上報告書(乙11)における、「キッチン」の項目中の「FOOD」の売上高は、「109万円」である。 2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。 (1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について 本件商標は、別掲1のとおり、上段に「le marche」の文字を円弧状に書し、下段に「orne」(「marche」、「orne」の「e」の文字には、アクサンテギュが付されている。以下同じ。)の文字を太字で大きく書してなるものである。 これに対し、使用商標は、別掲2のとおり、上段に「le marche」の文字を円弧状に書し、下段に「orne」の文字を太字で大きく書してなるところ、「orne」の文字部分は青色の照明で装飾されているものである。 そうすると、本件商標と使用商標とは、構成中の「orne」の文字部分において色の違いがあるものの、文字のつづり及び構成において共通するものであるから、両者は社会通念上同一の商標と認められる。 (2)使用者について 上記1(1)のとおり、被請求人は、株式会社アトレと、店舗名「オルネルマルシェ(東京都武蔵野市吉祥寺所在)」を使用して、営業を行う契約を締結している。 そうすると、「オルネルマルシェ吉祥寺店」の店舗外観に表示された使用商標の使用者は、被請求人である本件商標権者と認められる。 (3)使用役務について 被請求人は、本件商標を使用して、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っているとして、乙第3号証ないし乙第11号証を提出している。 ところで、請求に係る指定役務は、いわゆる「総合小売等役務」とされるものであって、当該役務には、百貨店、総合スーパー、総合卸売問屋等、衣・食・住にわたり各種商品を一括して扱う小売業者又は卸売業者において提供される小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれる(「商品及び役務の区分解説」〔国際分類12-2023版対応〕)。そして、当該役務を行っているか否かは、例えば、衣料品、飲食料品及び生活用品の各範疇にわたる商品を一括して1事業所で扱い、それらの商品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にあることがこの目安とされる(商標審査基準〔改訂第15版〕)。 しかしながら、上記1(2)エのとおり、「オルネルマルシェ吉祥寺店」の2020年6月及び12月の売上報告書においては、その月の売上実績額や売上構成比(ファッション、ファッション小物、キッチン、バス、文具、リビングリネン等)、さらに構成単位毎の各商品の売上げ実績額の記載を確認することができるが、2020年6月の「キッチン」の項目中の「FOOD」の売上高は、「22万円」であり、飲食料品が総売上高に占める割合は、約1%程度と極めて低いものである。 また、2020年12月の「キッチン」の項目中の「FOOD」の売上高についても、「109万円」であり、飲食料品が総売上高に占める割合は、約5%程度と極めて低いものである。 そうすると、「オルネルマルシェ吉祥寺店」における飲食料品の売上高は、衣料品や生活用品と比較して、極めて僅少なものと推認される。 してみれば、被請求人の提出に係る証拠からは、被請求人が飲食料品の小売に係る業務を行っていることは確認できるものの、その他提出された証拠において、飲食料品を取り揃えて販売しているような売り場の画像や各種飲食料品を販売した売上実績にかかる資料等も確認することができないことを合わせ考慮すると、被請求人は、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っているとは認めることができない。 したがって、被請求人の主張は採用できない。 (4)小括 以上のことからすれば、被請求人提出の証拠によっては、本件商標権者又はその使用権者が、本件商標と社会通念上同一の商標(使用商標)を請求に係る指定役務について使用をしたと認めることができない。 そして、その他、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標を請求に係る指定役務について使用をしていることを認めるに足りる証拠の提出はない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定役務である第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、本件商標の使用をしていることを証明したものということはできず、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「結論掲記の指定役務」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-300219

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