商標取消審判
2023-300127
リリーブラウン、リリー、ブラウン
- 審判番号
- 2023-300127
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2011-041615
- 登録番号
- 5488996
- 請求日
- 2023年02月24日
- 審決日
- 2024年04月18日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】若井 麻衣子
- 【請求人代理人】弁理士法人いしい特許事務所
- 【被請求人】株式会社マッシュホールディングス
- 【被請求人代理人】墳▲崎▼ 隆之
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 大森 友子
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T132 .1 -Y (X09) / T132 .11 -Y (X09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第1号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5488996号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5488996号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「Lily Brown」の欧文字を筆記体風の書体で表してなり、平成23年6月3日に登録出願、第9類「眼鏡,サングラス,眼鏡ケース,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」並びに第3類、第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同24年4月27日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年3月13日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)3月13日ないし同5年(2023年)3月12日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「眼鏡,サングラス,眼鏡ケース」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「眼鏡,サングラス,眼鏡ケース」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証および乙第2号証
乙第1号証および乙第2号証は、要証期間外である令和5年5月23日に出力されたウェブサイトの写しでしかなく、このため、要証期間内に本件商標を使用したことの証明とはなり得ない。
(2)乙第3号証
乙第3号証は、OEM取引のための基本契約書でしかなく、実際の取引の際は個別契約がなされることが明記されており、乙第3号証だけでは、製造委託取引の有無を確認することができない。それに、乙第3号証の契約締結日は2020(令和2)年7月1日とされるが、株式会社ピット(以下「ピット社」という。)側の捺印としては、電子署名と表されているだけであるため、例えばタイムスタンプによる電子署名の存在証明・非改ざん証明がない限り、乙第3号証には証拠能力がない。
なお、乙第3号証には誤字があり、重要なOEM基本契約書において、誤字脱字を見落としたまま契約することは、通常考えにくく、この点も、乙第3号証の真正性に疑念を抱くものである。
(3)乙第4号証および乙第5号証
乙第4号証が本件商標権者(被請求人)の発注した「セルフレームサングラス」及び「ブルーライトカットセルメガネ」に対応したものか否かが不明である。
また、乙第4号証には、「セルフレームサングラス」及び「ブルーライトカットセルメガネ」の品番が記載されていない。
さらに、乙第5号証と、乙第4号証の1に添付された添付ファイルの写しが関連することを裏付けるような証拠はない。
(4)乙第6号証
乙第6号証の支払明細書の原本は電子データであり、改変が容易に行えるものであるため、例えば乙第6号証に対応したピット社からの納品書、発送伝票、代金の領収書等がない限り、乙第6号証自体は、要証期間外である令和5年5月10日に出力された写しでしかなく、ピット社にいつ提示されたものであるかがまったく不明であり、信ぴょう性に欠けるものである。
(5)乙第7号証
乙第7号証の発注日と乙第4号証の1の送信にて発注された日付との整合が取れない。また、乙第7号証と乙第4号証との関係性も不明である。しかも、乙第7号証に記載されている発注量76個の「セルフレームサングラス」及び発注量75個の「ブルーライトカットセルメガネ」の納期は乙第5号証に記載されている同商品の納期と合致していない。
そうすると、例えば乙第7号証に対応したピット社からの受領証等がない限り、乙第7号証自体は、要証期間外である令和5年5月10日に出力された写しでしかなく、ピット社にいつ提示されたものであるかがまったく不明であり、これもまた、信ぴょう性に欠けるものである。
(6)乙第8号証及び乙第9号証
乙第8号証及び乙第9号証は、本件商標権者が運営するウェブサイトであり、乙第8号証及び乙第9号証にかかるウェブサイトも、乙第8号証に投稿されたレビューも、日付等の改変が容易に行えるものである。このため、乙第8号証及び乙第9号証は、要証期間外である令和5年5月23日に出力されたウェブサイトの写しでしかなく、実際にいつからネット上で閲覧可能になったものであるかがまったく不明であり、信ぴょう性に欠けるものである。
(7)したがって、被請求人が提出した乙各号証のそれぞれ及び乙各号証をどのように組み合わせてみたとしても、要証期間内に本件商標を使用したことの証明とはなり得ず、本件商標権者の行為は、商標法第2条第3項第1号、第2号および第8号のいずれにも該当しないのである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標権者は、実店舗及びECサイトにおいて、「LILY BROWN」のブランドの商品を販売しており、本件商標をサングラスのテンプル部分内側にプリントした「セルフレームサングラス」(以下「使用商品1」という。)を販売した(乙1)。なお、使用商品1の品番は、「メーカー品番」の欄に記載のとおり、「LWGG214356」である。
また、使用商品1は、眼鏡ケース付きで販売されており、同眼鏡ケースにも、本件商標を型押しして使用している(乙2)。
2 本件商標権者は、本件商標権者と取扱商品のOEM契約を締結しているピット社(乙3)に対し、2021年(令和3年)4月30日に、使用商品1の製造に係る、発注数等の詳細を、電子メールで送付した。(乙4の1、乙5)。これに対し、ピット社は、同年5月1日、発注内容の詳細を受領した旨の連絡をし(乙4の2)、現に、発注内容どおりに使用商品1及び眼鏡がピット社により製造され、本件商標権者は、同社に対して製造費用を支払った(乙6)。なお、ピット社とのOEM契約においては納品後に代金の支払がなされることが明記されている(乙3)。
本件商標権者がピット社に対して製造を依頼するにあたり、本件商標権者より生産指図書が交付されたが、この生産指図書には、「LWGG214356」の品番が記載されており、発注日は2021年(令和3年)6月23日とされ、納期は同年7月15日とされている。(乙7)
したがって、使用商品1の販売及び宣伝が、2021年(令和3年)7月15日頃に開始されたことは明らかである。そして現在も乙第1号証の販売サイトは閲覧可能である。
3 本件商標権者は、同ブランドにおいて、本件商標を眼鏡のテンプル部分内側にプリントして使用した商品である、「ブルーライトカットセルメガネ」(以下「使用商品2」という。)を販売した(乙8)。使用商品2の販売ページには、商品の購入者が商品のレビューを投稿することができるが、使用商品2について投稿されたレビューは、2021年(令和3年)8月16日に投稿されている(乙8)。以上のことから、使用商品2の販売及び宣伝が、2021年(令和3年)8月16日より前になされ、同日まで継続していることは明らかである。そして、乙第8号証の販売サイトは現在も閲覧可能である。
加えて、本件商標権者は、使用商品2を、本件商標権者の運営するウェブサイトにおいて掲載することにより宣伝した(乙9)。当該ウェブサイトのアドレス中に「210305」と記載されているとおり、当該ウェブサイトは2021年(令和3年)3月5日に投稿されたものであり、現在も閲覧可能である。
4 本件商標権者は、使用商品1と同様に、ピット社に対し、2021年(令和3年)4月30日、使用商品2の製造に係る、発注数等の詳細を、ピット社に電子メールで送付した。(乙4、乙5)。これに対し、ピット社は、同年5月1日、発注内容の詳細を受領した旨の連絡をし(乙4の2)、現に、発注内容どおりに使用商品2がピット社により製造され、本件商標権者は、同社に対して製造費用を支払った(乙6)。なお、ピット社とのOEM契約においては納品後に代金の支払がなされることが明記されている(乙3)。
また、本件商標権者がピット社に対して製造を依頼するにあたり、本件商標権者より生産指図書が交付されたが、この生産指図書には、「LWGG214355」の品番が記載されており、発注日は2021年(令和3年)6月23日とされ、納期は同年7月15日とされている。(乙7)
5 以上のとおり、本件商標権者は、本件商標を、要証期間に、商標法第2条第3項第1号、同項第2号、及び同項第8号により請求に係る指定商品である、第9類「眼鏡,サングラス,眼鏡ケース」に使用している。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)株式会社マッシュスタイルラボ(本件商標の商標権は、令和5年11月20日付けで株式会社マッシュスタイルラボより本件商標権者(被請求人)に移転されているので、以下、株式会社マッシュスタイルラボも含めて本件商標権者(被請求人)という。)とピット社とは2020年7月1日付けで本件商標権者の取扱商品に係る製造委託契約(以下「本件契約」という。)を締結した(乙3)。
本件契約には、本件商標権者はピット社に対して、電子メールによるWordファイル、ExcelファイルまたはPDFファイルを使用した発注ができること、本件商標権者の発注に対してピット社が承諾の旨を通知したときに契約が成立すること、本件商標権者が、契約の内容や納期を変更する場合は、ピット社と協議の上、これを行うことができること、本件商標権者は、納品された商品の代金を納品月の翌月末日までに支払うこと、ピット社は本件商標権者の指示により、納品物に本件商標権者の商標を表示すること等の条項がある(乙3)。
(2)本件商標権者は、東京都千代田区に住所がある法人であり、ピット社は東京都台東区に住所がある法人である(乙3、乙4)。
(3)使用商品1である、「セルフレームサングラス」のフレームの内側には別掲2のとおりの商標(以下「使用商標」という。)が付されており、使用商品1のメーカー品番は「LWGG214356」である(乙1)。
(4)本件商標権者は、2021年4月30日に、ピット社に対し、件名を「LilyBrown21AW-1展後発注書」とする電子メール及び同電子メールに添付した、添付ファイル「LilyBrownAW-1発注書(ピット).xlsx」によって商品を発注し、ピット社は同年5月1日に当該発注書を受領した旨を電子メールで返信している(乙4)。
(5)被請求人が乙第4号証の電子メールの添付ファイルであると主張する書証には、「品番」が「LWGG214356」の下、「カラーCD」を「077」、「サイズCD」を「99」、「納期」を「7/下」、「数量」を「76」とする商品及び、「カラーCD」を「059」、「サイズCD」を「99」、「納期」を「7/15」、「数量」を「87」とする商品等が記載されているところ、当該「品番」は使用商品1のメーカー品番と同じものである(乙5)。
(6)本件商標権者によるピット社宛ての発注日を2021年6月23日とする「生産指図書」には、「品番」が「LWGG214356」及び「品名」が「セルフレームサングラス」の下、「サイズ」、「カラー」、「納期」及び「発注量」が記載されているが、当該「品番」は使用商品1のメーカー品番と同じであり、「品名」も使用商品1の商品名と同じものである、また、「サイズ」、「カラー」、「納期」及び「発注量」の内容は、納期が全て「21/7/15」になっていることを除いて、上記(5)の「サイズCD」、「カラーCD」及び「数量」と同じものである。
また、当該生産指図書の右下には上記(4)に係る電子メールの差出人の氏名が記載されている(乙7)。
(7)本件商標権者によるピット社宛ての2021年7月31日締め日とし、同年8月31日を支払い予定日とする「支払明細書(仕入先別)」には「日付」が「2021/7/15」、「品番」が「LWGG214356」及び「商品名」が「セルフレームサングラス」の下「サイズ/カラー」及び「数量」が記載されているが、当該「品番」及び「商品名」は、使用商品1のメーカー品番及び商品名と同じである、また「サイズ/カラー」及び「数量」の記載は、上記(5)の「サイズCD」、「カラーCD」及び「数量」と同じものである(乙6)。
(8)2023年5月23日において、使用商品1は「LILY BROWN(リリーブラウン)の通販サイト【公式】」で販売されている(乙1)。
2 上記1の認定事項に基づき、以下判断する。
(1)使用商品について
使用商標が付されている使用商品1はセルフレームサングラスであり、当該商品は請求に係る指定商品中の「眼鏡,サングラス」の範ちゅうの商品である。
(2)本件商標と使用商標の同一性について
本件商標は別掲1のとおり、「Lily Brown」の欧文字を筆記体風の書体で表してなるところ、使用商標は別掲2のとおり「Lily Brown」の欧文字を筆記体風の書体で表してなるものであり、両者は色彩は異なるものの同じ綴り字であって、ほぼ同一の書体によるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(3)商標の使用及び使用時期について
本件商標権者はピット社に対し、2021年4月30日に、電子メール及び当該電子メールの添付ファイルとする書証によって品番を「LWGG214356」とする商品を発注したものと推認できる。これに対して、ピット社は同年5月1日付けで発注書を受領した旨を電子メールで返信しているから、当該発注に係る契約は成立したものと認められる。
その後、同年6月23日を発注日とする本件商標権者のピット社宛ての「生産指図書」には、納品日以外の「品番」「カラー」「サイズ」「数量」が上記電子メールの添付ファイルとする書証と一致していること及び「生産指図書」に記載された氏名が、上記電子メールの差出人と一致することから、当該「生産指図書」によって、本件商標権者のピット社宛ての生産(発注)に係る納品日が変更されたものと推認できる。
このことは、当該「生産指図書」の「品番」、「商品名」、「カラー」、「数量」の内容と上記1(7)の「支払明細書(仕入先別)」の当該内容が一致することからも、認められるものであり、当該取引に不自然なところはない。
そうすると、使用商標が付されている、品番を「LWGG214356」、商品名を「セルフレームサングラス」とする商品は2021年7月15日に、本件商標権者に納品されていたものであって、当該商品は品番及び商品名より使用商品1であると認められるから、当該納品日において、使用商品1に使用商標が付されていたといい得るものであり、当該納品日は要証期間である。
また、本件商標権者とピット社の住所より、当該取引は日本国内で行われたものと認められる。
(4)使用商標の使用者について
使用商品をピット社に発注し、使用商品に使用商標を表示させたのは本件商標権者であるから、使用商標の使用者は、本件商標権者である。
(5)小括
以上によれば本件商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品に含まれる第9類「眼鏡,サングラス」の範ちゅうの商品と認められる「セルフレームサングラス」(使用商品1)に本件商標と社会通念上同一の商標を付したものである。
本件商標権者の上記行為は、商標法第2条第3項第1項の「商品に標章を付する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、乙第3号証は電子署名と表されているだけであり、電子署名の存在証明・非改ざん証明がない、乙第5号証は、乙第4号証の1に添付された添付ファイルの写しを裏付ける証拠はなく、また、乙第6号証は電子データであるから改変が容易であり、要証期間後の出力日の写しでしかない、乙第7号証は、その日付と、乙第4号証の日付の整合性がとれない、及び要証期間後の出力日の写しでしかない等から、被請求人の提出した証拠に証拠能力がない旨を主張する。
しかしながら、被請求人における証拠の提出日は、被請求人への審判請求書の発送後であり、当然に本件審判の請求の登録日後であるから、書類の原本が電子データである場合、書証の出力日が要証期間外であることで、証拠能力が無いということにはならない。
また、被請求人の提出した書証において、記載内容に疑義はなく、納品日の変更についても、本件契約において認められているものであるから、被請求人の提出した書類及び当該書類における取引が不自然なものではない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる第9類「眼鏡,サングラス」の範ちゅうの商品について、本件商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-300127