商標取消審判
2023-300093
アイタック、イタック、アイタク、イタク
- 審判番号
- 2023-300093
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2005-001934
- 登録番号
- 4895032
- 請求日
- 2023年02月09日
- 審決日
- 2024年03月28日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】重野 裕之
- 【被請求人】高島 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 大山 健
- 審判官 山田 啓之
- 分類
- T131 .1 -Y (Y09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4895032号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4895032号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「iTak」文字を楕円で囲んでなり、平成17年1月13日に登録出願、第9類「液晶表示装置」を指定商品として、同年9月16日に設定登録され、同27年6月9日に存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和5年2月28日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)2月28日ないし同5年(2023年)2月27日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
請求人の調査するところによるも、本件商標はその指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者により使用されている事実は発見することができなかった。また、本件商標について、専用使用権、通常使用権の登録もされておらず、したがって、これらの者による使用の事実もない。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して、令和5年6月1日付け弁駁書で、以下のとおり主張した。
(1)乙各号証の検討
ア 乙第1号証及び乙第2号証
これら証拠方法は本件商標の構成を表すとともに本件商標が有効に存在していることを示すにすぎない。
イ 乙第3号証ないし乙第5号証
これら証拠方法は被請求人の事業内容を紹介しているにすぎない。
ウ 乙第6号証ないし乙第10号証
これら証拠方法はアイタックインターナショナルリミテッド及びiTakグループの事業内容を紹介するにとどまるとともに、アイタックインターナショナルジャパン株式会社がアイタックインターナショナルリミテッドの事業所となっていることを示しているにすぎない。
被請求人は、これら証拠方法の画面の右上方に本件商標が表示されていると主張するが、その表示されている標章はこの位置関係に鑑みれば、本件商標の指定商品「液晶表示装置」について自他商品識別標識として使用されているものではなく、社名「iTak(International)Limited」と一緒に表記されていることからすれば、単なる社章として表示されているにすぎない。
さらに、これら証拠方法は2023年4月26日及び同月27日に出力されたものであるから要証期間の本件商標の使用を立証できない。
エ 乙第11号証及び乙第12号証
被請求人は、ブースに本件商標が大きく表示され、かつ「LCD(液晶ディスプレイ) Factory in Vietnam」のパネルが設けられていると主張する。しかしながら、その標章は社名「iTak(International)Limited」と一緒に表記されていることからすれば、単なる社章として表示されているにすぎない。
さらに、「LCD(液晶ディスプレイ)」は、展示会の来訪者に「iTak(International)Limited」を紹介するために設置されたものであって、取引の対象となる商標法上の商品ではない。
オ 乙第13号証
この証拠方法である提案書の表紙の標章は、社名である「アイタックインターナショナルリミテッド株式会社」と一緒に表記されていることからすれば、単なる社章として表示されているにすぎない。
また、標章が表示されている29ページは、「7.幅広い事業分野(セット向けご紹介商品)」の項において標章を中心に様々な製品の画像が表示されていることからすれば、アイタックインターナショナルリミテッド株式会社の事業内容を製品名と画像によって紹介しているものといえる。しかも、標章は、オムロンヘルスケアという特定者に対する提案書において表示されているにすぎないから、商品「液晶表示装置」に関する広告に表示されているものではない。
カ 乙第14号証
この証拠方法は、被請求人も主張するように、アイタックインターナショナルリミテッド自体の事業内容の広告であって、表示されている標章は社章である。営利法人が自己の事業内容を広告する際に社名のみならず社章を表示することは取引上多々行われることである。被請求人が自己の事業として液晶を取り扱っていることを広告するために「液晶」の文字が掲載されているのであって、商品「液晶表示装置」に関する広告に本件商標が掲載されているのではない。
キ 乙第15号証ないし乙第17号証
これらの証拠方法によって、本件商標が付された商品「液晶表示装置」が譲渡又は引き渡されたことを何ら立証できない。しかも、乙第15号証及び乙第16号証は要証期間前のものである。
(2)総括
以上述べたように、被請求人の主張及び提出した証拠方法によっては、本件商標が要証期間に使用権者によって指定商品に使用されたことは立証されていない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第17号証を提出した。
1 本件商標は、青色の線で描いた横長楕円内に、同じ青色で「iTak」の欧文字を横書きした構成からなり、第9類「液晶表示装置」を指定商品とするものであるところ(乙1~乙2)、被請求人である高島株式会社の100%子会社であるアイタックインターナショナルリミテッド及びその子会社であるアイタックインターナショナルジャパン株式会社は、本件商標を、要証期間に、指定商品「液晶表示装置」(液晶ディスプレイ)について使用しているものであり、本件商標の登録は取り消されるべきものではない。
2 被請求人である高島株式会社は、建材事業、産業資材事業、電子・デバイス事業を主たる事業とする、1931年設立の法人であるところ、電子・デバイス事業については、コンシューマー製品から車載用機器、産業用機器まで幅広い用途の液晶ディスプレイの製造、販売等を行うエレクトロニックコンポーネンツ部門を有しており、iTakグループがこれらの事業を展開している(乙3~乙5)。
iTakグループの中心をなすのは、アイタックインターナショナルリミテッド(iTak International Limited)である。同社は、1993年に、高島株式会社の100%子会社として香港にて設立され、現在では、アジア地域をベースに子会社を含め11の拠点を有している(乙6~乙7)。iTakグループは、EC事業(エレクトロニックコンポーネンツ事業)を主たる事業の一つとしているところ、同事業は、液晶・タッチパネル等の表示部品等を取り扱っており、液晶ディスプレイ、LCDモジュール(液晶ディスプレイモジュール)等の製造販売を行っている(乙8~乙10)。
iTakグループの一つに、アイタックインターナショナルリミテッドの子会社であるアイタックインターナショナルジャパン株式会社(iTak International Japan Co.,Ltd.)がある(乙7)。同社は、アイタックインターナショナルリミテッドが製造する液晶ディスプレイを日本において販売しており、東京ビッグサイトで開催されているエレクトロニクス開発・実装展「ネプコン ジャパン」に、アイタックインターナショナルリミテッドとともに出展し、顧客に対して提案書を作成して営業活動を行い、業界紙においても宣伝広告を行っている(乙11~乙14)。このような事業活動の結果、液晶ディスプレイの納品に結実している(乙15~乙17)。
3 アイタックインターナショナルリミテッドのホームページ(会社概要、事業所紹介、事業内容、エレクトロニックコンポーネンツ事業、製品・サービス(乙6~10))においては、本件商標が、画面の右上方に表示されている。
第36回ネプコン ジャパン(2022年1月19日~21日開催)に出展した際のブースを撮影した写真(乙12)においては、ブースに本件商標が大きく表示され、かつ、「LCD(液晶ディスプレイ) Factory in Vietnam」のパネルが設けられている。
アイタックインターナショナルジャパン作成に係る顧客への提案書(2022年6月30日提案(乙13))においては、その表紙及び29ページに本件商標が表示されており、同ページ並びに11、12、15~19及び28ページにおいては、同社がLCD(液晶ディスプレイ)を取り扱っていることが明示されている。
電波新聞(2022年8月23日発行(乙14))においては、その右下にアイタックインターナショナルジャパンの広告が掲載されており、本件商標が表示され、同社が液晶を取り扱っていることが明示されている。
アイタックインターナショナルリミテッド作成に係る日本企業への納入仕様書(2019年5月~2021年5月(乙15~乙17))においては、いずれも左上方に本件商標が表示されており、日本企業に対して、「LCD Display」及び「LCD Display Module」を販売したことが把握できる。
4 以上のとおり、被請求人は、その100%子会社及び孫会社を通じて、要証期間に、指定商品「液晶表示装置」(液晶ディスプレイ)について使用していたことは明白であるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。
5 なお、被請求人は、令和6年2月16日付けで答弁書(第2回)を提出した。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)広告(乙14)
乙第14号証は、2022年(令和4年)8月23日に発行された電波新聞の第4面の写しであるところ、その右下に、アイタックインターナショナルジャパン株式会社の広告が掲載されていることが確認できる。
そして、当該広告(乙14)には、「アジアからグローバルに開発・部品調達・デリバリーをサポート」のタイトル下、電子部品と思われる画像とともに「■基板実装・EMS」「■PCB・FPC」「■液晶」「■IC・トランジスタ・ダイオード」「■リレー」「■各種コンデンサ」「■マイク・スピーカー」の記載があり、さらに「iTak」の文字を楕円で囲んだ商標(以下「使用商標1」(別掲2)という。)とともに「アイタックインターナショナルジャパン株式会社」の記載がある。
(2)納入仕様書(乙17)
乙第17号証は、iTak(International)Limitedが作成した、東芝ライフスタイル株式会社宛て2021年5月6日付け納入仕様書であり、その左上に、「iTak」の文字を楕円で囲んだ商標(以下「使用商標2」(別掲3)という。)が表示されているとともに、その受領欄に、東芝ライフスタイル株式会社の担当者の同月7日付け受領印が押印されている。
そして、納入仕様書(乙17)には、「メーカー:iTak(International)Limited」及び「品名:LCD Display Module」の記載がある。
(3)「会社ご案内」と題する書面(乙13)
乙第13号証は、アイタックインターナショナルジャパン株式会社が作成した、「会社ご案内」と題する書面であり、その1葉目に、「会社ご案内」、「2022年6月30日」の記載があり、さらに「iTak」の文字を楕円で囲んだ商標の表示とともに「アイタックインターナショナルジャパン株式会社」の記載がある。
また、その6葉目及び7葉目には、iTak(International)Limitedが高島株式会社の100%子会社であること、及びアイタックインターナショナルジャパン株式会社がiTak(International)Limitedの100%子会社であることが記載されている。
さらに、その13葉目ないし17葉目にはLCD製造流工程が紹介され、18葉目にはLCDの販売を行っていることが紹介されているところ、26葉目には「液晶(LCD)」の記載がある。
(4)上記(1)ないし(3)から、以下の事項が理解できる。
ア アイタックインターナショナルジャパン株式会社(以下「アイタックインターナショナルジャパン社」という。)は、2022年(令和4年)8月23日に発行された電波新聞に、使用商標1(別掲2)を付して、「液晶」を含む商品の広告を掲載した(乙14)。そして、同社が、LCDを取り扱っていること(乙13、乙17)や、「液晶」の表示を「LCD」と同義で使用していること(乙13の26葉目)、さらには、技術常識として、日常的には液晶を応用した表示装置(液晶パネル/液晶ディスプレイ/液晶テレビなど)やその画面のことを略して「液晶」と呼ぶこともあること(IT用語辞典)に鑑みれば、同広告(乙14)によりLCD(以下「使用商品1」という。)を含んで広告したといえる。
イ iTak(International)Limited(以下「iTak(International)Limited社」という。)は、2021年5月頃、東芝ライフスタイル株式会社(以下「東芝ライフスタイル社」という。)に、LCDディスプレイモジュール(以下「使用商品2」という。)を納品し、その納品の際に、iTak(International)Limited社は、使用商標2(別掲3)を付した納品仕様書を用いて、東芝ライフスタイル社と取引した(乙17)。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)アイタックインターナショナルジャパン社が広告(乙14)を掲載したことによる使用
上述のとおり、被請求人の提出した証拠方法により、アイタックインターナショナルジャパン社が、要証期間である2022年8月23日に発行された電波新聞に、使用商標1(別掲2)を付して、使用商品1(LCD)についての広告を掲載したと認められる。
そして、アイタックインターナショナルジャパン社は、商標権者である高島株式会社の100%子会社であるiTak(International)Limited社の100%子会社であることから、本件商標の使用について、商標権者の黙示の許諾のある通常使用権者であるといえる。
また、使用商標1(別掲2)は、本件商標と、「iTak」の文字を楕円で囲んで構成されている点及び「アイタック」と呼称される点で共通し、外観も類似していることから、社会通念上同一の商標であるといえる。
さらに、使用商品1はLCDであるところ、「LCD」とは、「liquid crystal display(液晶ディスプレイ)」(デジタル大辞泉)を意味するものであるから、本件審判の請求に係る指定商品「液晶表示装置」の範ちゅうに属する。
加えて、上記電波新聞は、その発行日である2022年8月23日に購入者に頒布されたものと推認することができる。
以上から、本件商標の通常使用権者であるアイタックインターナショナルジャパン社が、要証期間である2022年8月23日に、「液晶表示装置」の範ちゅうに属する使用商品1(LCD(液晶ディスプレイ))の広告(電波新聞)に本件商標と社会通念上同一である使用商標1を付して、頒布した(商標法第2条第3項第8号に該当。)ことが認められる。
(2)iTak(International)Limited社が納品仕様書(乙17)を用いて取引したことによる使用
上述のとおり、被請求人の提出した証拠方法により、iTak(International)Limited社が、要証期間である2021年5月頃、使用商品2(LCDディスプレイモジュール)を東芝ライフスタイル社に納品した際に、使用商標2(別掲3)を付した納品仕様書を用いて、東芝ライフスタイル社と取引したと認められる。
そうすると、iTak(International)Limited社は、当該取引の際に、当該納品仕様書を東芝ライフスタイル社に渡した(頒布した)と推認することができる。
そして、iTak(International)Limited社は商標権者である高島株式会社の100%子会社であるから、本件商標の使用について、商標権者の黙示の許諾のある通常使用権者であるといえる。
また、使用商標2についても、使用商標1と同様の理由により、本件商標と社会通念上同一であるといえる。
さらに、使用商品2は、LCDディスプレイモジュールであるところ、本件審判の請求に係る指定商品「液晶表示装置」の範ちゅうに属する。
以上から、本件商標の通常使用権者であるiTak(International)Limited社が、要証期間である2021年5月頃に、「液晶表示装置」の範ちゅうに属する使用商品2(LCDディスプレイモジュール)の取引書類(納品仕様書(乙17))に、本件商標と社会通念上同一である使用商標2を付して、東芝ライフスタイル社に頒布した(商標法第2条第3項第8号に該当。)ことが認められる。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、本件商標の通常使用権者が、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品(第9類「液晶表示装置」)の範ちゅうに属する商品に関する広告及び取引書類に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為を行ったと認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、その審判の請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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