審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2024-009176

光モジュール

審判番号
2024-009176
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-571173
請求日
2024年06月03日
審決日
2026年01月14日
公報発行日
2026年04月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】古河電気工業株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 藤田 年彦
  • 審判官 堀井 康司
  • 審判官 東松 修太郎
分類
P18 .113-Z (H01S) / P18 .121-Z (H01S) / P18 .575-Z (H01S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-571173「光モジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和2年8月13日国際公開、WO2020/162372〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)1月31日を国際出願日とする日本語特許出願であって(優先権主張 平成31年2月8日)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 6月30日付け:拒絶理由通知書 同年 9月 6日 :意見書、手続補正書の提出 同年10月 2日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年12月11日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 2月29日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 3月 5日 :原査定の謄本の送達) 同年 6月 3日 :審判請求書、手続補正書の提出 以下、平成31年2月8日を「優先日」という。 第2 令和6年6月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年6月3日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年6月3日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年9月6日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 光素子と、 前記光素子を搭載する熱電モジュールと、 を備え、 前記熱電モジュールは、第1基板と、前記第1基板と対向するように配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた複数の熱電素子と、を有し、前記第1基板の前記第2基板と対向する裏面とは反対側の表面には、前記第1基板とは異なる材料からなるパターンが形成されており、 前記光素子は、前記第1基板の前記表面に、前記パターンと関連付けられて搭載されており、 前記パターンが、前記光素子を前記第1基板に固定するための流動性を有した熱伝導性材料または接着剤の流れ止めとして機能する、または前記パターンが、前記光素子の光軸を調整するためのマーカとして機能する ことを特徴とする光モジュール。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 複数の光素子と、 前記光素子を搭載する熱電モジュールと、 を備え、 前記熱電モジュールは、第1基板と、前記第1基板と対向するように配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた複数の熱電素子と、を有し、前記第1基板の前記第2基板と対向する裏面とは反対側の表面には、前記第1基板とは異なる材料からなるパターンが形成されており、 前記光素子は、前記第1基板の前記表面に前記パターンと関連付けられて搭載されている光素子と、半導体レーザ素子とを含み、 前記パターンが、前記パターンと関連付けられて搭載されている前記光素子を前記第1基板に固定するための流動性を有した熱伝導性材料または接着剤の流れ止めとして機能する、または前記パターンが、前記光素子の光軸を調整するためのマーカとして機能し、 前記半導体レーザ素子はサブマウントを介して前記第1基板に搭載されていることで前記パターンと直接関連付けられておらず、かつ前記サブマウントは前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されており、 前記サブマウントの、前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方には、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部が設けられている、 ことを特徴とする光モジュール。」 2 補正の目的 (1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について、次のア及びイの限定をするものである。 ア 「光素子」が「複数」であることを限定すること。 イ 「光素子」について、「前記パターンと関連付けられて搭載されている光素子」の他に、「半導体レーザ素子」「を含」み、「前記半導体レーザ素子はサブマウントを介して前記第1基板に搭載されていることで前記パターンと直接関連付けられておらず、かつ前記サブマウントは前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されており、前記サブマウントの、前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方には、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部が設けられている」ものに限定すること。 (2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Gまでに分説する。 <本件補正発明の分説> A 複数の光素子と、 B 前記光素子を搭載する熱電モジュールと、を備え、 C 前記熱電モジュールは、第1基板と、前記第1基板と対向するように配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた複数の熱電素子と、を有し、前記第1基板の前記第2基板と対向する裏面とは反対側の表面には、前記第1基板とは異なる材料からなるパターンが形成されており、 D 前記光素子は、前記第1基板の前記表面に前記パターンと関連付けられて搭載されている光素子と、半導体レーザ素子とを含み、 E 前記パターンが、前記パターンと関連付けられて搭載されている前記光素子を前記第1基板に固定するための流動性を有した熱伝導性材料または接着剤の流れ止めとして機能する、または前記パターンが、前記光素子の光軸を調整するためのマーカとして機能し、 F 前記半導体レーザ素子はサブマウントを介して前記第1基板に搭載されていることで前記パターンと直接関連付けられておらず、かつ前記サブマウントは前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されており、 G 前記サブマウントの、前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方には、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部が設けられている、 X 光モジュール。 (2) 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献3の記載事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2008-211025号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(ウ)の引用発明の認定に用いる記載に下線を付した。)。 a 【0017】~【0027】 「【0017】 1.実施例1 ・・・(中略)・・・ 【0021】 熱電モジュール20は、上基板21および下基板22と、これらの間で電気的に直列接続された多数のペルチェ素子(熱電素子)23とからなる。そして、この熱電モジュール20の吸熱側(この場合は上基板21となる)に半導体レーザ素子ユニット10が配設されて、半導体レーザ素子ユニット20内に設置された半導体レーザ素子(LD)を温度制御(この場合は冷却することとなる)することが可能となる。なお、下基板22の下部に接して多数の放熱フィンを備えたヒートシンクを配設するとともに、この真下に電動ファンを配置するようにすると、一層、放熱性(廃熱性)が良好となって好ましい。この場合、ヒートシンクとしては熱伝導性が良好なアルミニウムあるいはアルミニウム合金により形成るのが望ましい。また、下基板22とヒートシンクとの接合を良好にするために、下基板22の表面(この場合は下表面となる)にはメタライズ層22cが形成されている。 【0022】 ここで、上基板21および下基板22は、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミナ(AlN)、炭化珪素(SiC)などのセラミック材により形成されている。なお、セラミック材でなくても、電気絶縁性のある基板であれば材質は問わない。そして、上基板21の表面(この場合は下表面となる)には熱電素子用電極パターン(導電層)21aが形成されており、下基板22の表面(この場合は上表面となる)にも熱電素子用電極パターン(導電層)22aが形成されている。この場合、熱電素子用電極パターン(導電層)21a,22aは、例えば、銅めっき法やDBC(ダイレクトボンディングカッパー)法やロウ付け法など、あるいは接着剤による接合で形成するようにすればよい。なお、熱電素子用電極パターン(導電層)21a,22aの上にニッケルめっき層や金めっき層を設けるようにしてもよい。 【0023】 そして、これらの熱電素子用電極パターン(導電層)21a,22aの間に、多数のペルチェ素子23が電気的に直列接続されて形成されている。また、下基板22に形成された熱電素子用電極パターン(導電層)22aの端部には一対の電極部22b,22bが形成されていて、この電極部22b,22bに接続されたリード線(スズめっき銅線や金メッキ銅線など)22dを通してペルチェ素子23に外部電力が供給されるようになされている。この場合、ペルチェ素子23は、P型半導体化合物素子とN型半導体化合物素子とからなるものである。そして、これらがP,N,P,N・・・の順に電気的に直列に接続されるように、熱電素子用電極パターン(導電層)21a,22aにSnSb合金からなるハンダによりハンダ付けされている。 【0024】 ここで、上基板21の表面(この場合は上表面となる)には半導体レーザ素子ユニット10の治具15を接合しやすくするためにメタライズ層21bが形成されているとともに、半導体レーザ素子ユニット10に外部電力を供給したり、あるいは半導体レーザ素子ユニット10から電気信号を取り出すために複数のリード接続部21cがメタライズ処理により形成されている。この場合、メタライズ層21bと複数のリード接続部21cとは隔離されるように形成されている。そして、このリード接続部21cにステムパッケージのベース部11に固着されたリード14が接続されているとともに、このリード接続部21cに接続されたリード線(スズめっき銅線や金メッキ銅線など)21dが外部に配置された制御部(図示せず)に接続されるようになされている。 【0025】 また、熱電モジュール20の上基板21にはサーミスターなどの温度センサー(図示せず)が設置されていて、ステムパッケージの温度を監視(モニター)するようにしており、熱電モジュール20に流す電流を制御することでステムパッケージの温度が所定の温度になるように制御している。なお、温度センサーはステムパッケージ内に設けるようにしても、あるいはステムパッケージの表面やベース部に設けるようにしても良い。 【0026】 ついで、上述のような構成となる本実施例1の半導体レーザモジュールAの組み付け方法を以下に説明する。まず、上述のような構成となる半導体レーザ素子ユニット10と熱電モジュール20とを用意する。ついで、熱電モジュール20の上基板21の表面に形成されたメタライズ層21bの上の所定の位置に、ベース部11が治具15の凹部15aに固着された半導体レーザ素子ユニット10を配置し、これらをハンダ付けやシリコン系の高熱伝導性接着剤で接合して一体化して、実施例1の半導体レーザモジュールAを作製する。なお、熱電モジュール20の下基板22の下部に接して多数の放熱フィンを備えたヒートシンク(図示せず)を配設するとともに、必要に応じて、この真下に電動ファンを配置する。 【0027】 そして、熱電モジュール20の上基板21の表面に形成されたリード接続部21cに図示しない制御部に接続されたリード線(スズめっき銅線や金メッキ銅線など)21dを接続し、かつ熱電モジュール20の下基板22に形成された一対の電極部22b,22bに外部電力が供給されることにより、ペルチェ素子23が作動し、半導体レーザ素子ユニット10は温度制御されることとなる。このとき、リード線21dは熱電モジュール20の吸熱側となる上基板21に形成されたリード接続部21cに接続されているため、リード線21dが外部環境温度に曝されても、この伝導熱はリード接続部21cにより遮断される。これにより、半導体レーザ素子ユニット10に配置された半導体レーザ素子(LD)は所定の設定温度に正確に温度制御されることとなる。」 b 【0029】~【0033】、【図2】 「【0029】 本実施例2の半導体レーザモジュールBは、図2に示すように、半導体レーザ素子ユニット30と、熱電モジュール20とからなる。この場合、半導体レーザ素子ユニット30はステムパッケージのベース部31とキャップ部材32とを備えている。ここで、図3に示すように、ステムパッケージのベース部31に形成された取付台31aには半導体レーザー(LD)とフォトダイオード(PD)などが配置されて、固定されている。そして、ベース部31のキャップ取付部(図示せず)に抵抗溶接法やハンダ付けによりキャップ部材32が気密に接合されている。なお、キャップ部材32の先端部には、透明な窓部材33が形成されているとともに、ベース部31の底部から延出してリード34が配設されている。 【0030】 ステムパッケージのベース部31は、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金(例えば、コバール:Kovar)もしくは鉄系材料からなり、上部が円板状で下部が方形でその取り付け面(側面)が上基板21に一致する平坦な板状になるようにプレス加工により作製されている。これにより、上述した実施例1のような治具15を設けることなく、熱電モジュール20の上基板21に対して平行に配置されることとなり、半導体レーザ素子ユニット11に形成された光軸(図示せず)は上基板21と平行となる。そして、成形されたベース部31には複数の開孔が形成されていて、この複数の開孔内にはそれぞれリード34が挿入され、外部に延出するようにガラス封止材により気密に固着されている。なお、ベース部31はリード固着後に金メッキ処理が施されて、ベース部31およびリード34の表面は金層が形成されている。なお、金メッキの下地膜としてニッケルメッキを施すようにしてもよい。 【0031】 キャップ部材32は、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金(例えば、コバール:Kovar)もしくは鉄系材料からなり、プレス加工により略円筒状に作製されている。そして、キャップ部材32の先端部には、石英ガラスやコバールガラスやサファイヤガラスからなる透明な窓部材33がロウ付けあるいはハンダ付けにより接合されている。また、キャップ部材32には金メッキ処理が施されて、その表面は金層が形成されている。なお、金メッキ処理は窓部材33の接合後でも、あるいは接合前であってもよい。また、金メッキ処理の前にニッケル(Ni)めっき処理を施すようにしてもよい。 【0032】 ついで、上述のような構成となる本実施例2の半導体レーザモジュールBの組み付け方法を以下に説明する。まず、上述のような構成となる半導体レーザ素子ユニット30と熱電モジュール20とを用意する。ついで、熱電モジュール20の上基板21の表面に形成されたメタライズ層21bの上の所定の位置に、半導体レーザ素子ユニット30のベース部31を配置し、メタライズ層21bの上にベース部31をハンダ付けやシリコン系の高熱伝導性接着剤で接合して実施例2の半導体レーザモジュールBを作製する。なお、熱電モジュール20の下基板22の下部に接して多数の放熱フィンを備えたヒートシンク(図示せず)を配設するとともに、必要に応じて、この真下に電動ファンを配置する。 【0033】 そして、熱電モジュール20の上基板21の表面に形成されたリード接続部21cに図示しない制御部に接続されたリード線21dを接続し、かつ熱電モジュール20の下基板22に形成された一対の電極部22b,22bに外部電力が供給されることにより、ペルチェ素子23が作動し、半導体レーザ素子ユニット10は温度制御されることとなる。このとき、リード線21dは熱電モジュール20の吸熱側となる上基板21に形成されたリード接続部21cに接続されているため、リード線21dが外部環境温度に曝されても、この伝導熱はリード接続部21cにより遮断される。これにより、半導体レーザ素子ユニット10に配置された半導体レーザ素子(LD)は所定の設定温度に正確に温度制御されることとなる。 なお、実施例1と同様に、熱電モジュール20の上基板21にはサーミスターなどの温度センサー(図示せず)が設置されているが、温度センサーはステムパッケージ内に設けるようにしても、あるいはステムパッケージの表面やベース部に設けるようにしても良い。」 「【図2】 [図:0001433587000001.jpg] 」 「【図3】 [図:0001433587000002.jpg] 」 c 【0041】~【0042】、【図5】 「【0041】 4.変形例 上述した実施例1~3においては、熱電モジュール20の上基板21の表面に半導体レーザ素子ユニット10(30,40)を接合しやすくするためのメタライズ層21bや、半導体レーザ素子ユニット10(30,40)に外部電力を供給したり、あるいは半導体レーザ素子ユニット10(30,40)から電気信号を取り出すための複数のリード接続部21cを形成する例について説明した。この場合、メタライズ層21bについては、リード接続部21c以外の上基板21のほぼ全表面に設けるようにしていた。 【0042】 ところが、上述のようにメタライズ層21bがリード接続部21c以外のほぼ全表面に設けるようにすると、半導体レーザ素子ユニット10(30,40)を上基板21に接合するための位置決めが作業が複雑になるという問題を生じた。このため、本変形例においては、図5に示すように、複数のリード接続部21cが形成されるとともに、位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21eを形成するにしている。このように位置決め部25が形成されていると、半導体レーザ素子ユニット10(30,40)を上基板21に接合するための位置決めが作業が極めて簡単、容易になる。 ・・・(後略)・・・」 「【図5】 [図:0001433587000003.jpg] 」 (イ) 引用文献3の記載及び図面の記載から当業者が把握できる事項の認定 a 実施例2に基づく変形例における「熱電モジュール20」について 引用文献1の【0028】の「なお、熱電モジュールについては、上述した実施例1の熱電モジュール20と同一であるので、同一符号を付してその説明は省略する。」との記載、【図2】(a)~(c)の記載及び【0017】、【0021】~【0025】に記載される、実施例1の熱電モジュール20に関する記載から、当業者であれば、引用文献1の実施例2に基づく変形例4における熱電モジュール20について、次の技術事項を把握できる。 「熱電モジュール20は、上基板21および下基板22と、これらの間で電気的に直列接続された多数のペルチェ素子(熱電素子)23とからなり、上基板21および下基板22は、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミナ(AlN)、炭化珪素(SiC)などのセラミック材により形成されており、上基板21の下表面には熱電素子用電極パターン21aが形成されており、下基板22の上表面にも熱電素子用電極パターン22aが形成されており、これらの熱電素子用電極パターン(導電層)21a,22aの間に、多数のペルチェ素子23が電気的に直列接続されて形成されており、上基板21の上表面にはメタライズ層21bが形成されているとともに、複数のリード接続部21cがメタライズ処理により形成されていること。」 b 【図2】(a)~(b)から、当業者であれば、上基板21の下表面と下基板22の上表面が互いに向き合うことを把握できる。 c 前記aで説示したように「上基板21の上表面にはメタライズ層21bが形成されて」おり、また、【図2】(a)~(c)から実施例2における「メタライズ層21b」は上基板21の上側の表面に設けられることが見て取れる。これらを踏まえると、当業者であれば、引用文献1の【0032】の「熱電モジュール20の上基板の表面に形成されたメタライズ層21b」における「表面」とは「上表面」のことであることを把握できる。 d 当業者であれば、実施例2に基づく変形例4においては、【0028】~【0033】に記載される「メタライズ層21b」と、【0042】に記載される「メタライズ層21e」は同じ部材であることを把握できる。なお、引用発明の認定においては、当該部材を「メタライズ層21e」と統一して表記する。 e 引用文献3の【0042】に記載される、半導体レーザ素子ユニット30を上基板21に接合するための位置決め作業が、ステムパッケージのベース部31に形成された取付台31aに配置された半導体レーザー(LD)とフォトダイオード(PD)の光軸合わせのために行われることは、技術常識に照らして明らかである。 (ウ)引用発明の認定 前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施例2に基づく変形例として次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「半導体レーザ素子ユニット30と、熱電モジュール20とからなり、(【0029】) 熱電モジュール20は、上基板21および下基板22と、これらの間で電気的に直列接続された多数のペルチェ素子(熱電素子)23とからなり、上基板21および下基板22は、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミナ(AlN)、炭化珪素(SiC)などのセラミック材により形成されており、上基板21の下表面には熱電素子用電極パターン21aが形成されており、下基板22の上表面にも熱電素子用電極パターン22aが形成されており、これらの熱電素子用電極パターン(導電層)21a,22aの間に、多数のペルチェ素子23が電気的に直列接続されて形成されており、上基板21の上表面にはメタライズ層21eが形成されているとともに、複数のリード接続部21cがメタライズ処理により形成されており、(前記(イ)a、前記(イ)d) 上基板21の下表面と下基板22の上表面が互いに向き合い、(前記(イ)b) 半導体レーザ素子ユニット30はステムパッケージのベース部31とキャップ部材32とを備えており、ステムパッケージのベース部31に形成された取付台31aには半導体レーザー(LD)とフォトダイオード(PD)などが配置されて、固定されており、(【0029】) ステムパッケージのベース部31は、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金(例えば、コバール:Kovar)もしくは鉄系材料からなり、上部が円板状で下部が方形でその取り付け面(側面)が上基板21に一致する平坦な板状になるようにプレス加工により作製されており、これにより熱電モジュール20の上基板21に対して平行に配置されることとなり、半導体レーザ素子ユニット11に形成された光軸は上基板21と平行となり、(【0030】) キャップ部材32は、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金(例えば、コバール:Kovar)もしくは鉄系材料からなり、プレス加工により略円筒状に作製されており、キャップ部材32の先端部には、石英ガラスやコバールガラスやサファイヤガラスからなる透明な窓部材33がロウ付けあるいはハンダ付けにより接合されており、(【0031】) 熱電モジュール20の上基板21の上表面に形成されたメタライズ層21eの上の所定の位置に、半導体レーザ素子ユニット30のベース部31を配置し、メタライズ層21eの上にベース部31をハンダ付けやシリコン系の高熱伝導性接着剤で接合し、(【0032】、前記(イ)c、前記(イ)d) 位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21eを形成することにより、半導体レーザ素子ユニット30を上基板21に接合するための位置決め作業が極めて簡単、容易になり、(【0042】) 半導体レーザ素子ユニット30を上基板21に接合するための位置決め作業は、ステムパッケージのベース部31に形成された取付台31aに配置された半導体レーザー(LD)とフォトダイオード(PD)の光軸合わせのために行われる、(前記(イ)e) 半導体レーザモジュールB(【0029】)」 イ 引用文献4に記載された事項及び周知技術Aの認定 (ア) 引用文献4に記載された事項 原査定と同日付けの補正の却下の決定で引用され、本願の優先日前に発行された文献である特開平10-267839号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。なお、下線は、後記する周知技術Aの認定に関連する記載に当合議体が付したものである。 「【0017】 〔第1実施の形態〕図1は本発明のガス濃度測定装置に適用される第1実施の形態の半導体レーザモジュール(光源部)の外観図であり、構成部品の形状、および配置概略を示す。傾斜した前面に保護ガラス1が固着された円筒型ケース17の中心軸線上には半導体レーザ3が配設されている。半導体レーザ3は温度コントロールを可能とするため、円筒型ケース17内の基板19上の基台20表面に取り付けられたペルチェ素子4の上に搭載され、温度により波長を制御される。半導体レーザ3の前後両側の光軸上には、平な面を持たない非球面レンズ2(2a,2b)が配設されている。これら非球面レンズ2は半導体レーザ3の出射光を集光するために位置を調整後、半導体レーザ3と共にペルチェ素子(温度制御素子)4上の取付台21に固定される。このとき非球面レンズ2を集光用レンズとして使用することにより、非球面レンズ2は、平な面を持たないため半導体レーザ3に光が反射し戻ることを防止できる。 【0018】 半導体レーザ3の前側の光軸上で、保護ガラス1と非球面レンズ2aとの間には光アイソレータ23が配設されている。光アイソレータ23は90°の偏波面の光のみを通す偏光子と、45°の偏波面の光のみを通す検光子との間に配置された結晶に磁力を印加することで、結晶中を透過する光の偏波面を回転させて偏光子での反射光の通過を阻止し、半導体レーザ3に反射光が戻るのを防止している。 【0019】 半導体レーザ3の後ろ側の光路上には参照ガスセル5が配設されている。参照ガスセル5は、半導体レーザ3への戻り光を低減するために両端面5a、5bが斜めに(例えば射光軸に対して約6度)形成されている。そして、参照ガスセル5は、非球面レンズ2bの後ろ側に、後方出射光が入射しやすい位置に固定され、参照ガスセル5の後ろ側に置かれたフォト検出器6に光が入射する構造とされている。また、半導体レーザ3の後ろ側の光路上で、非球面レンズ2bと参照ガスセル5との間には、半導体レーザ3に反射光が戻るのを阻止するための光アイソレータ24が配設されている。 [図:0001433587000004.jpg] 」 (イ) 周知技術Aの認定 前記(ア)に示した引用文献4の摘記事項から、次の技術は周知技術(以下「周知技術A」という。)であると認められる。 <周知技術A> 「半導体レーザの前後両側の光軸上に平な面を持たない非球面レンズを配設し、これら非球面レンズは半導体レーザの出射光を集光するために位置を調整後、半導体レーザと共に基板19上の基台20の表面に取り付けられたペルチェ素子4の上に搭載され取付台21に固定される、半導体モジュールの構造。」(以下、「基台20と、その表面に取り付けられたペルチェ素子4の上に搭載された取付台21に非球面レンズを配設した構造」を「周知技術A構造」という。) (3) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点 a 構成Xは、本件補正発明が「光モジュール」の発明であることを特定するものである。 b 引用発明の「半導体レーザーモジュール」は、本件補正発明の「光モジュール」に相当する。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、「光モジュール」である点で一致する。 (イ) 構成Aの観点 a 構成Aは、「複数の光素子」「を備え」ることである。 b 引用発明の「半導体レーザー(LD)」と「フォトダイオード(PD)」は、各々、本件補正発明の「光素子」に相当し、また、「半導体レーザー(LD)」と「フォトダイオード(PD)」の両方を合わせると「複数の光素子」であるといえる。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、「複数の光素子」「を備え」る点で一致する。 (ウ) 構成Bの観点 a 構成Bは、「前記光素子を搭載する熱電モジュール」「を備え」ることである。 b 引用発明の「熱電モジュール20」は、本件補正発明の「熱電モジュール」に相当する。そして、引用発明の「熱電モジュール20」は、その上基板21の上表面に形成されたメタライズ層21eの上の所定の位置に、半導体レーザ素子ユニット30のベース部31を配置し、メタライズ層21eの上にベース部31をハンダ付けやシリコン系の高熱伝導性接着剤で接合するものであるから、本件補正発明でいう「前記光素子を搭載する」ものといえる。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記光素子を搭載する熱電モジュール」「を備え」る点で一致する。 (エ) 構成Cの観点 a 構成Cは、「前記熱電モジュールは、第1基板と、前記第1基板と対向するように配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた複数の熱電素子と、を有し、前記第1基板の前記第2基板と対向する裏面とは反対側の表面には、前記第1基板とは異なる材料からなるパターンが形成されて[いる]」ことを特定するものである。 b 引用発明の「上基板21」は本件補正発明の「第1基板」に、引用発明の「下基板22」は本件補正発明の「第2基板」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明は、上基板21の下表面と下基板22の上表面が互いに向き合うから、引用発明における「下基板22」は、本件補正発明でいう「前記第1基板と対向するように配置された」ものであるといえる。 c 引用発明の「複数のペルチェ素子(熱電素子)23」は、本件補正発明の「複数の熱電素子」に相当する。また、引用発明における「複数のペルチェ素子(熱電素子)23」は、上基板21および下基板22の間で電気的に直列接続されたものであるから、本件補正発明でいう「前記第1基板と前記第2基板の間に設けられた」ものといえる。 d 前記b及び前記cでの説示を踏まえると、引用発明の「熱電モジュール20」は、本件補正発明でいう「第1基板と、前記第1基板と対向するように配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた複数の熱電素子と、を有[する]」といえる。 e 引用発明の「上基板21の下表面」は、下基板22の上表面と向き合うから、本件補正発明の「前記第1基板の前記第2基板と対向する裏面」であるといえ、引用発明の「上基板21の上表面」は、本件補正発明の「前記第1基板の前記第2基板と対向する裏面とは反対側の表面」に相当する。 f 引用発明の「メタライズ層21e」は、位置決め部25が形成されるようにパターン化されるから、本件補正発明の「パターン」に相当する。 そして、引用発明の「メタライズ層21e」が金属材料で形成されることは明らかであるところ、引用発明の「上基板」はアルミナ(Al2O3)、窒化アルミナ(AlN)、炭化珪素(SiC)などのセラミック材により形成されているから、引用発明において、「メタライズ層21e」と「上基板」の材料は異なっているといえる。そうすると、引用発明における「メタライズ層21e」は、本件補正発明でいう「前記第1基板とは異なる材料からなる」ものといえる。 g 引用発明における「上基板21の上表面」には、メタライズ層21eが形成されているから、前記e及び前記fでの説示も踏まえると、引用発明における「上基板21の上表面」には、本件補正発明でいう「前記第1基板とは異なる材料からなるパターンが形成されて」いるといえる。 h したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記熱電モジュールは、第1基板と、前記第1基板と対向するように配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた複数の熱電素子と、を有し、前記第1基板の前記第2基板と対向する裏面とは反対側の表面には、前記第1基板とは異なる材料からなるパターンが形成されて[いる]」点で一致する。 (オ) 構成Dの観点 a 構成Dは、「前記光素子は、前記第1基板の前記表面に前記パターンと関連付けられて搭載されている光素子と、半導体レーザ素子とを含[む]」ことを特定するものである。 b 引用発明の「半導体レーザー(LD)」は、本件補正発明の「半導体レーザ素子」に相当する。 c 引用発明の「フォトダイオード(PD)」は、本件補正発明の「光素子」に相当する。ここで、引用発明の位置決め部25は、半導体レーザ素子ユニット30を上基板21に接合するための位置決め作業を容易にするものである。そして、引用発明において、「フォトダイオード(PD)」は、半導体レーザー(LD)と共に半導体レーザ素子ユニット30が備える、ステムパッケージのベース部31に形成された取付台31aに配置されているから、引用発明における「位置決め部25」により上基板21に位置決めされているといえ、本件補正発明でいう「前記第1基板の前記表面に前記パターンと関連付けられて搭載されている」といえる。 d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記光素子は、前記第1基板の前記表面に前記パターンと関連付けられて搭載されている光素子と、半導体レーザ素子とを含[む]」点で一致する。 (カ) 構成Eの観点 a 構成Eは、「前記パターンが、前記パターンと関連付けられて搭載されている前記光素子を前記第1基板に固定するための流動性を有した熱伝導性材料または接着剤の流れ止めとして機能する、または前記パターンが、前記光素子の光軸を調整するためのマーカとして機能し、」というものであり、「前記パターンが、前記パターンと関連付けられて搭載されている前記光素子を前記第1基板に固定するための流動性を有した熱伝導性材料または接着剤の流れ止めとして機能する」か、「前記パターンが、前記光素子の光軸を調整するためのマーカとして機能[する]」かのいずれかの構成を有することを特定する。 b 引用発明の位置決め部25による半導体レーザ素子ユニット30を上基板21に接合するための位置決め作業は、ステムパッケージのベース部31に形成された取付台31aに配置された半導体レーザー(LD)とフォトダイオード(PD)の光軸合わせのために行われる。そうすると、引用発明の「位置決め部25」は本件補正発明の「マーカ」に相当し、また、前記(イ)b及び前記(エ)fの説示も踏まえると、引用発明における「位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21e」は、本件補正発明でいう「前記光素子の光軸を調整するためのマーカとして機能[する]」「前記パターン」であるといえる。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記パターンが、前記光素子の光軸を調整するためのマーカとして機能[する]」点で一致する。 (キ) 構成Fの観点 a 構成Fは、「前記半導体レーザ素子はサブマウントを介して前記第1基板に搭載されていることで前記パターンと直接関連付けられておらず、かつ前記サブマウントは前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されて[いる]」ことを特定するものである。 b 前記(オ)bでの説示を踏まえると、本件補正発明の「サブマウント」と引用発明の「ステムパッケージのベース部31」は、「半導体レーザ素子が配置されて固定される部材」である点で共通する。一方、半導体レーザ素子が搭載される部材が、本件補正発明では「サブマウント」であるのに対して、引用発明では「ステムパッケージのベース部31」である。 c 前記(オ)bでの説示を踏まえると、引用発明において、「半導体レーザー(LD)」が「ステムパッケージのベース部31に形成された取付台31aに」「配置されて固定され」、「熱電モジュール20の上基板21の上表面に形成されたメタライズ層21eの上の所定の位置に、半導体レーザ素子ユニット30のベース部31を配置し、メタライズ層21eの上にベース部31をハンダ付けやシリコン系の高熱伝導性接着剤で接合」することは、本件補正発明と「前記半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子が配置されて固定される部材を介して前記第1基板に搭載されている」点で共通する。 d 引用発明は、位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21eを形成することにより、半導体レーザ素子ユニット30を上基板21に接合するための位置決め作業が極めて簡単、容易になるものである。ここで、半導体レーザ素子ユニット30を上基板21に接合するための位置決めは、半導体レーザー(LD)の位置合わせのために行われることは自明である。そうすると、引用発明において、位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21eは、半導体レーザー(LD)の実装について技術的影響を与えるように機能しているといえるから、「半導体レーザー(LD)」は「位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21e」と直接関連付けられているといえる。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記半導体レーザ素子は半導体レーザ素子が配置されて固定される部材を介して前記第1基板に搭載されている」点で共通する。一方、「前記半導体レーザ素子」は、本件補正発明は「サブマウント」を介して前記第1基板に搭載されることで「前記パターンと直接関連付けられて[いない]」のに対して、引用発明は「ステムパッケージのベース部31」を介して前記第1基板に搭載されることで「位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21e」と直接関連付けられている。 e 引用発明の「ハンダ」は、本件補正発明の「熱伝導性材料」に相当する。そして、前記(オ)fでの説示も踏まえると、引用発明における「ベース部31を」「上基板の上表面に形成されたメタライズ層21e」「の上に」「ハンダ付け」「で接合[する]」ことは、本件補正発明と、「半導体レーザ素子が配置されて固定される部材は前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されて[いる]」点で共通する。一方、前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されている半導体レーザ素子が配置されて固定される部材が、本件補正発明は「サブマウント」であるのに対して、引用発明は「ステムパッケージ31」である。 f 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Fの観点において、次の(a)の点で一致し、後記(b)の点で相違する。 (a) 構成Fの観点での一致点 「前記半導体レーザ素子は半導体レーザ素子が配置されて固定される部材を介して前記第1基板に搭載されており、かつ半導体レーザ素子が配置されて固定される部材は前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されて[いる]」点。 (b) 構成Fの観点での相違点 本件補正発明では、 前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されている、半導体レーザ素子が配置されて固定される部材が「サブマウント」であり、 前記半導体レーザ素子は「サブマウント」を介して前記第1基板に搭載されていることで「前記パターンと直接関連付けられて[いない]」のに対して、 引用発明では、 前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されている、半導体レーザ素子が配置されて固定される部材が「ステムパッケージのベース部31」であり、 前記半導体レーザ素子は「ステムパッケージ31」を介して前記第1基板に搭載されることで「位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21e」と直接関連付けられている点。 (ク) 構成Gの観点 a 構成Gは、「前記サブマウントの、前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方には、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部が設けられている」ことである。 b 前記(オ)bでの説示も踏まえると、引用発明における「ステムパッケージのベース部31」には、半導体レーザー(LD)(本件補正発明の「前記半導体レーザ素子」に相当)が搭載されるが、半導体レーザー(LD)(本件補正発明の「前記半導体レーザ素子」に相当)が搭載される位置の前方及び後方には、半導体レーザー(LD)(本件補正発明の「前記半導体レーザ素子」に相当)から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部は設けられていない。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Gの観点において次の点で相違する。 本件補正発明は、「前記サブマウントの、前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方には、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部が設けられている」のに対して、引用発明は、「ステムパッケージのベース部31」の、前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方には、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部が設けられていない点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「複数の光素子と、 前記光素子を搭載する熱電モジュールと、を備え、 前記熱電モジュールは、第1基板と、前記第1基板と対向するように配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた複数の熱電素子と、を有し、前記第1基板の前記第2基板と対向する裏面とは反対側の表面には、前記第1基板とは異なる材料からなるパターンが形成されており、 前記光素子は、前記第1基板の前記表面に前記パターンと関連付けられて搭載されている光素子と、半導体レーザ素子とを含み、 前記パターンが、前記光素子の光軸を調整するためのマーカとして機能し、 前記半導体レーザ素子は半導体レーザー素子が配置されて固定される部材を介して前記第1基板に搭載されており、かつ半導体レーザー素子が配置されて固定される部材は前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されている、 光モジュール」である点。 (イ) 相違点(構成F及び構成G関連) 本件補正発明は、 前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されている、半導体レーザ素子が配置されて固定される部材が「サブマウント」であり、 前記半導体レーザ素子は「サブマウント」を介して前記第1基板に搭載されていることで、「前記パターンと直接関連付けられておらず」、 「前記サブマウントの、前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方には、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部が設けられている」のに対して、 引用発明は、 前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されている、半導体レーザ素子が配置されて固定される部材が「ステムパッケージのベース部31」であり、 前記半導体レーザ素子は「ステムパッケージのベース部31」を介して前記第1基板に搭載されることで、「位置決め部25が形成されるようにパターン化されたメタライズ層21e」と直接関連付けられており、 「ステムパッケージのベース部31」の、前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方には、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズが搭載された光素子設置部が設けられていない点。 (4) 判断 ア 相違点について 前記相違点について判断する。 引用発明において、半導体レーザー(LD)から出力されたレーザビームについて、ビームが発散しないようにレンズを使ってコリメートする必要があることは技術常識であるから、当業者であれば、引用発明において、当該技術常識に基づいて半導体レーザー(LD)の前方及び後方にレンズを配置する動機があるといえる。そして、 (i)引用発明において、半導体レーザー(LD)の前後にレンズを配置するためのスペースを確保するために、半導体レーザー(LD)をステムパッケージ31のベース部から独立させること、 (ii)その際に、半導体レーザー(LD)と前方及び後方のレンズとの位置合わせを容易になし得るように、周知技術Aを採用し、半導体レーザ(LD)を、前後両側の光軸上に非球面レンズが配設された取付台に設け、これら非球面レンズを半導体レーザー(LD)の出射光を集光するために位置を調整後、半導体レーザー(LD)と共に取付台に固定すること、 (iii)半導体レーザー(LD)が取付台に固定された周知技術A構造を、ベース部31と同様に、位置決め部25によって上基板21に位置決めし、メタライズ層21eの上にハンダ付けで固定するようにすること、 は、当業者が容易に想到し得る構成である(以下、当該構成を「容易想到構成」という)。 ここで、容易想到構成における周知技術A構造の「基台20」や「取付台21」は、本件補正発明における「サブマウント」に相当する部材である。また、容易想到構成における周知技術A構造における「前後両側の光軸上に」「配設された」「非球面レンズ」は、本件補正発明でいう「前記半導体レーザ素子が搭載される位置の前方及び後方」の「光素子設置部」に「搭載された」「前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が入力されるレンズ」であるといえる。 そして、容易想到構成では、半導体レーザー(LD)は周知技術A構造に固定され、周知技術A構造がパターン化されたメタライズ層21eで形成された位置決め部25によって上基板21に位置決めされるところ、これは本件補正発明でいう「前記半導体レーザ素子はサブマウントを介して前記第1基板に搭載されていることで前記パターンと直接関連付けられて[いない]」ものといえる。また、容易想到構成では、周知技術A構造がメタライズ層21eの上にハンダ付けで固定されるところ、これは、本件補正発明でいう「前記サブマウントは前記第1基板と熱伝導性材料にて固定されて[いる]」ものであるといえる。 イ 総合評価 前記アにおいて検討したとおり、引用発明において、相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術Aに基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 予備的検討 なお、引用発明における「フォトダイオード(PD)」は、前記(3)ア(キ)dで説示したように、本件補正発明でいう「前記第1基板の前記表面に前記パターンと関連付けられて搭載されている」といえるが、半導体レーザ素子ユニット30のステムパッケージのベース部31に直接設けられているわけではなく、ベース部11とは独立の部材である取付台31aに設けられていることから、引用発明における「フォトダイオード(PD)」は前記パターンと直接関連付けられていないものと見る余地がないわけではない。 しかしながら、仮に「フォトダイオード(PD)」が「前記パターンと直接関連付けられていない」としても、半導体レーザ素子ユニット30のステムパッケージのベース部31と取付台31aを一体の部材として設けるか別個の部材とするかは当業者が適宜設計し得る事項であり、半導体レーザ素子ユニット30のステムパッケージのベース部31と取付台31aを一体の部材として設ける場合には本件補正発明でいう「前記第1基板の前記表面に前記パターンと関連付けられて搭載されている」という構成を具備するものといえるから、いずれにしても、本件補正発明は、引用発明及び周知技術Aに基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。 (6) 請求人の主張について ア 請求人の主張の内容 請求人は、引用文献1~4のいずれにも、半導体レーザ素子がサブマウントを介して第1基板に搭載されていることでパターンと直接関連付けられていない構成は記載・示唆されていない旨、主張している。 イ 請求人の主張の検討 前記(4)アで説示したように、 (i)引用発明において、半導体レーザー(LD)の前後にレンズを配置するためのスペースを確保するために、半導体レーザー(LD)をステムパッケージ31のベース部から独立させること、 (ii)その際に、半導体レーザー(LD)と前方及び後方のレンズとの位置合わせを容易になし得るように、周知技術Aを採用し、半導体レーザ(LD)を、前後両側の光軸上に非球面レンズが配設された取付台に設け、これら非球面レンズを半導体レーザー(LD)の出射光を集光するために位置を調整後、半導体レーザー(LD)と共に取付台に固定すること、 (iii)半導体レーザー(LD)が取付台に固定された周知技術A構造を、ベース部31と同様に、位置決め部25によって上基板21に位置決めし、メタライズ層21eの上にハンダ付けで固定するようにすること、 は、当業者が容易に想到し得る構成であり、そのような構成は、半導体レーザー(LD)は周知技術A構造に固定され、周知技術A構造がパターン化されたメタライズ層21eで形成された位置決め部25によって上基板21に位置決めされるところ、これは本件補正発明でいう「前記半導体レーザ素子はサブマウントを介して前記第1基板に搭載されていることで前記パターンと直接関連付けられて[いない]」ものといえる。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (7) 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(7)のとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前である令和5年9月6日付けの手続補正書における特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由である理由1(新規性の欠如)及び理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(新規性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献3に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献3に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献3.特開2008-211025号公報(主たる引用文献) 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献3に記載された事項、引用文献3の記載及び図面の記載から当業者が把握できる事項並びに引用発明は、前記第2の3(2)ア(ア)~(ウ)において示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明と引用発明を対比する。 ここで、本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)のア、イに示した限定を省いたものである。 そして、前記第2の3(3)イ(イ)において認定した相違点は、本件補正により追加された構成に起因するものであるから、引用発明は本願発明の構成を全て備えるものである。 そうすると、本願発明は引用発明であるとともに、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当するため、又は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-009176

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決186件(古河電気工業株式会社)
  • 2024-017662拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置
    同じ当事者: 古河電気工業株式会社
  • 2025-002517拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)溶接方法および溶接装置
    同じ当事者: 古河電気工業株式会社
  • 2025-020139拒絶査定不服審判 / 2026-06-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)有用炭化水素の製造方法および有用炭化水素の製造装置
    同じ当事者: 古河電気工業株式会社
  • 2025-013937拒絶査定不服審判 / 2026-06-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)導電部品の製造方法
    同じ当事者: 古河電気工業株式会社
  • 2025-001685拒絶査定不服審判 / 2026-06-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)溶接方法および溶接装置
    同じ当事者: 古河電気工業株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)143件(113・H01S、121・H01S、575・H01S)
  • 2024-019836拒絶査定不服審判 / 2026-07-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)光学部品の製造方法および光学部品
    共通の審決分類: 121・H01S、575・H01S
  • 2024-019130拒絶査定不服審判 / 2026-04-23 / 請求不成立発光装置
    共通の審決分類: 121・H01S、575・H01S
  • 2024-014157拒絶査定不服審判 / 2026-03-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)半導体光増幅器アレイ素子
    共通の審決分類: 121・H01S、575・H01S
  • 2024-013824拒絶査定不服審判 / 2026-02-16 / 請求不成立照明装置および測距装置
    共通の審決分類: 121・H01S、575・H01S
  • 2024-010533拒絶査定不服審判 / 2025-10-01 / 原査定取消(特許/登録すべき)放電チャンバのための電極
    共通の審決分類: 113・H01S、121・H01S

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存