特許拒絶査定不服審判
2024-014157
半導体光増幅器アレイ素子
- 審判番号
- 2024-014157
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-011120
- 請求日
- 2024年09月04日
- 審決日
- 2026年03月09日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】古河電気工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 吉野 三寛
- 審判官 堀井 康司
- 分類
- P18 .537-WY (H01S) / P18 .575-WY (H01S) / P18 .121-WY (H01S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 11120「半導体光増幅器アレイ素子」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月22日出願公開、特開2021- 27314、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年1月27日(パリ条約による優先権主張2019年8月2日、米国)の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 7月10日付け:拒絶理由通知書
同年 9月 5日 :意見書、手続補正書の提出
同年11月10日付け:拒絶理由通知書
令和6年 1月 5日 :意見書、手続補正書の提出
同年 3月 4日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 4月24日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月14日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月18日 :原査定の謄本の送達)
同年 9月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出
以下、2019年(令和元年)8月2日を「優先日」という。
第2 令和6年9月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年9月4日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和6年9月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものであって、本件補正前(令和6年1月5日にされた手続補正後をいう。以下同じ。なお、同年4月24日にされた手続補正は、同年6月14日付けで補正の却下の決定がなされている。)の特許請求の範囲の請求項1及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次の(1)及び(2)に示すとおりである(下線は補正箇所を示す。)。
(1) 本件補正前
「【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されており、それぞれが2つの活性領域および受動部を有する複数の半導体光増幅器と、
を備えた半導体光増幅器アレイ素子であって、
前記複数の半導体光増幅器がそれぞれ有する2つの光入出力ポートは、いずれも前記活性領域のそれぞれに光学的に接続するとともに、いずれも当該半導体光増幅器アレイ素子の同一の端面に設けられており、
前記複数の半導体光増幅器は、前記活性領域の長さが第1長さである第1半導体光増幅器と、前記活性領域の長さが前記第1長さとは異なる第2長さの第2半導体光増幅器と、を含み、
前記2つの活性領域は、互いに略平行であり、前記受動部を介在して光学的に接続されており、
前記受動部は、光路が実質的に180度の角度で折り返しをする導波路で構成されている折り返し部である
半導体光増幅器アレイ素子。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されており、それぞれが2つの活性領域および受動部を有する複数の半導体光増幅器と、
を備えた半導体光増幅器アレイ素子であって、
前記複数の半導体光増幅器がそれぞれ有する2つの光入出力ポートは、いずれも前記活性領域のそれぞれに光学的に接続するとともに、いずれも当該半導体光増幅器アレイ素子の同一の端面に設けられており、
前記複数の半導体光増幅器は、前記活性領域の長さが第1長さである第1半導体光増幅器と、前記活性領域の長さが前記第1長さとは異なる第2長さの第2半導体光増幅器と、を含み、
当該半導体光増幅器アレイ素子は、前記第1半導体光増幅器と前記第2半導体光増幅器との少なくとも一部を電気的に分離するトレンチ溝を備え、
互いに増幅特性が異なる前記第1半導体光増幅器と前記第2半導体光増幅器とは独立して駆動され、
前記2つの活性領域は、互いに略平行であり、前記受動部を介在して光学的に接続されており、
前記受動部は、光路が実質的に180度の角度で折り返しをする受動導波路で構成されているハイメサ導波路構造を有する折り返し部であり、
前記活性領域の長さ方向における前記受動部の位置を変更することによって、前記活性領域の長さが調整されている
半導体光増幅器アレイ素子。」
2 本件補正の適否についての当審の判断
(1) 本件補正の目的について
本件補正は、本件補正前の請求項1に対して、半導体光増幅器アレイ素子及び受動部に関して以下の限定を行うことを含むものである。
ア 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「当該半導体光増幅器アレイ素子」を「前記第1半導体光増幅器と前記第2半導体光増幅器との少なくとも一部を電気的に分離するトレンチ溝を備え、互いに増幅特性が異なる前記第1半導体光増幅器と前記第2半導体光増幅器とは独立して駆動され[る]」ものとする限定。
イ 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「折り返し部」を構成する「導波路」を「受動」導波路とする限定。
ウ 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「折り返し部」を「ハイメサ導波路構造を有する」ものとする限定。
エ 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「半導体光増幅器アレイ素子」を「前記活性領域の長さ方向における前記受動部の位置を変更することによって、前記活性領域の長さが調整されている」ものとする限定。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
(2) 独立特許要件の判断
本件補正は、前記(1)のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
ア 明確性要件の検討
請求項1における「前記活性領域の長さ方向における前記受動部の位置を変更することによって、前記活性領域の長さが調整されている」との事項について、「第1半導体光増幅器」の「受動部」の位置と、「第1半導体光増幅器」の「受動部」の位置が異なることを特定しているのか、或いは、半導体光増幅器アレイ素子の製造に際して、受動部の位置を変更して活性領域の長さを調整するという設計方法を特定しているにとどまり、「第1半導体光増幅器」の「受動部」の位置と、「第1半導体光増幅器」の「受動部」の位置が異なることは要しないのか、多義的に解釈できるため、不明確である。
したがって、請求項1に係る発明は明確でない。
イ 独立特許要件の判断のまとめ
以上のとおり、請求項1に係る発明は明確でないから、本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしておらず、請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反しているものである。
(3) 本件補正の適否についての当審の判断のまとめ
前記(1)に示したとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反しているから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、令和6年1月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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