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特許拒絶査定不服審判

2023-021225

歯科治療ユニット

審判番号
2023-021225
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-551333外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年12月13日
審決日
2025年05月27日
公報発行日
2025年11月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61C) / P18 .575-Z (A61C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-551333「歯科治療ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成30年9月20日国際公開、WO2018/167374、令和2年4月2日国内公表、特表2020-509889〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)3月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年3月17日 (FI)フィンランド)を国際出願日とする出願であって、その手続の概要は以下のとおりである。 令和 4年 2月25日付け:拒絶理由通知書 令和 4年 6月 7日 :意見書及び手続補正書の提出 令和 4年 8月31日付け:拒絶理由通知書 令和 4年12月 1日 :意見書及び手続補正書の提出 令和 5年 2月 6日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和 5年 5月10日 :意見書及び手続補正書の提出 令和 5年 8月 3日付け:補正の却下の決定及び拒絶査定 令和 5年12月13日 :審判請求書及び手続補正書の提出 第2 令和5年12月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年12月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正 (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は補正箇所を示す。)。 「【請求項1】 歯科治療ユニット(1)であって、 フレーム構造(2)と、 歯科治療に関連する診断用機器(6)、または歯科治療施術に関連して使用される機器、またはその両方を支持する支持機構(5)と、 制御システムと、 前記機器(6)の少なくとも一部に、それらの動作に必要な電力もしくは制御信号またはその両方を自身を介して供給することのできる装置と、 歯科治療に関連して使用するために配置されている無影灯(8)であって、歯科分野の標準規格に従って前記無影灯(8)から所望の距離において所望の種類の光パターンを生成するように構成されており、前記標準規格は前記無影灯(8)によって生成される光照射野の特性を定義する、無影灯(8)と、 前記無影灯の支持構造(7)と、 を備えている歯科治療ユニットにおいて、 前記無影灯(8)に配置されているカメラシステムであって、互いに距離をおいて配置されており、かつ、構造的かつ機能的に前記歯科治療ユニット(1)の前記無影灯(8)の一部であるように統合されている2つの光学カメラ(85)、を備えるカメラシステム、を特徴とする、 歯科治療ユニット。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和4年12月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 歯科治療ユニット(1)であって、 フレーム構造(2)と、 歯科治療に関連する診断用機器(6)、または歯科治療施術に関連して使用される機器、またはその両方を支持する支持機構(5)と、 制御システムと、 前記機器(6)の少なくとも一部に、それらの動作に必要な電力もしくは制御信号またはその両方を自身を介して供給することのできる装置と、 歯科治療に関連して使用するために配置されている無影灯(8)であって、歯科分野の標準規格に従って前記無影灯(8)から所望の距離において所望の種類の光パターンを生成するように構成されている、無影灯(8)と、 前記無影灯の支持構造(7)と、 を備えている歯科治療ユニットにおいて、 前記無影灯(8)に配置されているカメラシステムであって、互いに距離をおいて配置されており、かつ、構造的かつ機能的に前記歯科治療ユニット(1)の前記無影灯(8)の一部であるように統合されている2つの光学カメラ(85)、を備えるカメラシステム、を特徴とする、 歯科治療ユニット。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「歯科分野の標準規格に従って前記無影灯(8)から所望の距離において所望の種類の光パターンを生成するように構成されている、無影灯(8)」について、「前記標準規格は前記無影灯(8)によって生成される光照射野の特性を定義する」ことを限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された特開2012-196400号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した(以下同様。)。 (ア)「【0022】 {1. 実施形態} 図1は、実施形態に係る医療用診療装置100の全体を示す外観図である。また、図2は、医療用診療装置100の構成を示すブロック図である。図1,2に示したように、医療用診療装置100は、術者および患者が使用する診療台10と、診療台10を構成する各要素の駆動制御を行う制御部9とを備えている。 【0023】 {診療台の構成} 診療台10は、患者シート1(シート)と、スピットン2と、トレーテーブル3と、診療器具4と、フートコントローラ5と、トレーテーブル3に搭載されたモニター6(表示装置)と、無影灯7(照明装置)と、撮影部8とを備えている。医療用診療装置100は、患者シート1に着席した患者に対して、歯科医師やその助手などの術者が、診療器具4を使用して歯科診療を行うのに適した構成を備えている。」 (イ)「【0036】 トレーテーブル3は、患者シート1から延びるアームに接続されており、患者シート1に対して手動または自動で回動移動できるように構成されている。トレーテーブル3は、ハンドピースである診療器具4を術者が取り上げることができるように保持する診療器具ホルダーを備えている。 【0037】 診療器具4は、例えばエアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピースなどの切削工具や、スケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジなどで構成される。なお、診療器具4は、これらに限定されるものではなく、口腔カメラや光重合照射器(いずれも図示せず)などであってもよい。また、診療器具4は、ミラーまたは注射器など、駆動部を持たない器具で構成されてもよい。 【0038】 フートコントローラ5は、診療を行う術者が、診療台10を構成する患者シート1、診療器具4などの可動部に対して、特定の動作を行わせるように操作するための操作部として構成されている。フートコントローラ5には、それぞれに特定の操作機能が割り当てられる、ペダル、スイッチなどの複数の操作入力部が設けられている。操作者(術者)は、この各操作入力部を操作することによって、それぞれに割り当てられている内容に応じて、可動部に特定の動作を行わせることができる。」 (ウ)「【0042】 無影灯7は、患者シート1に着席している患者の口腔を照明する。特に診療時においては、無影灯7は、患者シート1に着席した患者の処置部位(ここでは口腔内の歯牙)に光を照射する。無影灯7は、関節アームに取り付けられている。術者は、関節アームを屈曲させることによって、無影灯7を上下または左右に移動させて適当な位置に配置させることができる。 【0043】 撮影部8は、上記無影灯7に取り付けられている。撮影部8は、無影灯7によって照明された患者の口腔部を撮影し、適当な画像処理を行って、モニター6などの表示装置に表示させる画像を取得する。このような口腔画像を、例えばモニター6に表示することで、診療時に術者がモニター6を見ながら患者に症状を説明することなどができる。また、診療中、術者が処置する様子を撮影してモニター6に表示されるようにしてもよい。また、撮影部8は、関節アームに取り付けられて無影灯7の近傍に配置されていてもよい。」 (エ)「【0045】 {制御部} 制御部9は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。制御部9は、診療台10を構成する各要素の動作を制御する機能を備えている。制御部9は、後述する患者の姿勢検出、異物検出を行ったり、診療台10の各駆動部を制御したりする。制御部9は、診療台10の外部に設けられていてもよいし、診療台10に内蔵されていてもよい。 【0046】 図2に示したように、制御部9は、画像処理部91、認識部92、駆動制御部94(シート駆動制御部941、診療器具駆動制御部94を含む。)として機能する。これらの機能は、制御部9が備えるCPUが所定のプログラムに従って動作することにより実現される。なお、これらの機能の一部または全部を、専用回路として構成することにより、ハードウェア的に実現されるようにしてもよい。」 (オ)【図1】 「 [図:0001428566000001.jpg] 」 イ 引用発明 上記アを総合すると、引用文献1は、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「術者及び患者が使用する診療台10であって、 診療台10は、患者シート1と、スピットン2と、トレーテーブル3と、診療器具4と、フートコントローラ5と、トレーテーブル3に搭載されたモニター6と、無影灯7と、撮影部8とを備え、 トレーテーブル3は、患者シート1から延びるアームに接続されており、患者シート1に対して手動または自動で回動移動できるように構成され、ハンドピースである診療器具4を術者が取り上げることができるように保持する診療器具ホルダーを備え、 診療器具4は、例えばエアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピースなどの切削工具や、スケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジなどで構成され、口腔カメラや光重合照射器などであってもよく、ミラー又は注射器など、駆動部を持たない器具で構成されてもよく、 制御部9は、診療台10を構成する各要素の動作を制御する機能を備え、診療台10に内蔵され、 フートコントローラ5は、診療を行う術者が、診療台10を構成する患者シート1、診療器具4などの可動部に対して、特定の動作を行わせるように操作するための操作部として構成されており、 無影灯7は、患者シート1に着席している患者の口腔を照明し、特に診療時においては、患者シート1に着席した患者の処置部位に光を照射し、関節アームに取り付けられており、術者は、関節アームを屈曲させることによって、無影灯7を上下または左右に移動させて適当な位置に配置させることができ、 撮影部8は、無影灯7に取り付けられており、無影灯7によって照明された患者の口腔部を撮影し、適当な画像処理を行って、モニター6などの表示装置に表示させる画像を取得する、 診察台10。」 ウ 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された特開2014-11171号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0022】 殊に、歯科治療用の無影灯に用いられる光源にあっては、演色性が低いと患者の口内の皮膚や血の色が分かりにくく、赤い血が黒く見えてしまう場合等においては治療ミスにつながる可能性があることから、高い演色性が求められる。具体的には、日本工業規格JIS Z 8726 「光源の演色性評価方法」において、15色の試験色の評価数の平均値である平均演色評価数Ra=85以上が必要である。」 エ 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された国際公開2004/100815号(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、和訳は当審で作成した。 (ア)1ページ5~6行(行番号は文献に付された番号による。以下同様。) 「 [図:0001428566000002.jpg] 」 (和訳)本発明は、手術用視野照明装置に関し、特に、歯科用の手術用視野照明装置に関するものである。 (イ)6ページ33行~7ページ1行 「 [図:0001428566000003.jpg] [図:0001428566000004.jpg] 」 (和訳)図1は、例えば歯科医院で使用することができるような本発明による手術用視野照明装置10の概略図を示す。 (ウ)7ページ27~33行 「 [図:0001428566000005.jpg] 」 (和訳)手術用視野照明装置10は、ハウジング11を備え、このハウジング11内には、照明ユニット12と、本実施例では2つのカメラ13a、13bを備える光学観察装置とが配置されている。共通のハウジングの代わりに、照明ユニット12及びカメラ13a、13bは別個のハウジングを有することもできる。カメラ13a、13bは有利には照明ユニット12のケーシングに固定されている。 (エ)8ページ5~20行 「 [図:0001428566000006.jpg] 」 (和訳)光学観察装置は、2つの観察カメラ13a及び13bによって表される2つのステレオチャネルを有する手術用顕微鏡である。観察カメラ13a、13bは、光学観察装置の観察光学系の可能な実施形態である。十分なステレオベースを得るために、それらは照明ユニット12の対向する点に配置されることが好ましい。しかしながら、それらは、例えば、照明ユニット12のサイズに応じて、互いに近接して配置されてもよく、又は互いに離れて配置されてもよい。 立体光学系を備えた手術用顕微鏡としての構成は、医師が治療領域を空間的に知覚することを可能にし、このことは、多くの治療において有利であるかそれどころか必要である。治療領域の空間的な知覚が必要でない場合には、光学観察装置は、立体光学系を備えていない顕微鏡として構成することもできる。 (オ)図1 「 [図:0001428566000007.jpg] 」 オ 特表2008-538304号公報の記載事項 同公報には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0003】 制御された光パターンを発生し、ぎらつきをできるだけなくせるようにするために多くの光が必要である。歯科手術用ライトに関して、標準ISO9680では、とりわけ、これらの特性に関係する基準を定めている。この標準は、とりわけ、ライトに生じる光パターンは、光の強度が十分高いが、それと同時に一様である領域を含むことを要求している。他方、患者の目をくらませないようにするために、ライトによって発生する光パターンのエッジが十分に鋭いものとなるように、つまり、光パターンのエッジのところで光強度は十分急速に減少するようにすることが要求される。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「術者及び患者が使用する診療台10」は、その機能及び構成からみて、本件補正発明の「歯科治療ユニット(1)」に相当する。また、【図1】を参照すると、全体として、引用発明の診療台10はフレーム構造と表現できるから、引用発明の診療台10のフレーム構造は、本件補正発明の「フレーム構造(2)」に相当する。 イ 引用発明の「例えばエアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピースなどの切削工具や、スケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジなどで構成され、口腔カメラや光重合照射器などであってもよく、ミラー又は注射器など、駆動部を持たない器具で構成されてもよ」い「診療器具4」は、本件補正発明の「歯科治療に関連する診断用機器(6)、または歯科治療施術に関連して使用される機器」に相当する。そして、引用発明の「トレーテーブル3」は、「患者シート1から延びるアームに接続されており」、「診療器具4を」「保持する診療器具ホルダーを備え」るから、引用発明の「トレーテーブル3」及び「アーム」は、本件補正発明の「歯科治療に関連する診断用機器(6)、または歯科治療施術に関連して使用される機器、またはその両方を支持する支持機構(5)」に相当する。 ウ 引用発明の「制御部9」は、「診療台10を構成する各要素の動作を制御する機能を備え」るから、本件補正発明の「制御システム」に相当する。また、引用発明の制御部9は「診療台10に内蔵され」るから、引用発明の診療台10は制御部9を「備えている」と表現できる。 エ 引用発明の「診療器具4」を構成する器具には、駆動部を持つ器具が含まれており、技術常識を参酌すれば、これらの器具は電力や制御信号により動作を行う。そして、引用発明の「診療器具4」は、フートコントローラ5により「特定の動作を行わせるように操作」されるから、診療器具4の「少なくとも一部に、それらの動作に必要な電力もしくは制御信号またはその両方を自身を介して供給することのできる装置」を備えていることは明らかである。 オ 引用発明の「患者シート1に着席している患者の口腔を照明し、特に診療時においては、患者シート1に着席した患者の処置部位に光を照射」する「無影灯7」は、本件補正発明の「歯科治療に関連して使用するために配置されている無影灯(8)」に相当する。 カ 引用発明の「関節アーム」は、無影灯7が「取り付けられて」いるから、本件補正発明の「前記無影灯の支持構造(7)」に相当する。 キ 引用発明の「無影灯7に取り付けられて」いる「撮影部8」と、本件補正発明の「前記無影灯(8)に配置されているカメラシステムであって、互いに距離をおいて配置されており、かつ、構造的かつ機能的に前記歯科治療ユニット(1)の前記無影灯(8)の一部であるように統合されている2つの光学カメラ(85)、を備えるカメラシステム」とは、前記無影灯(8)に配置されているカメラシステム、の限りで一致する。 したがって、両者は、 「歯科治療ユニット(1)であって、 フレーム構造(2)と、 歯科治療に関連する診断用機器(6)、または歯科治療施術に関連して使用される機器、またはその両方を支持する支持機構(5)と、 制御システムと、 前記機器(6)の少なくとも一部に、それらの動作に必要な電力もしくは制御信号またはその両方を自身を介して供給することのできる装置と、 歯科治療に関連して使用するために配置されている無影灯(8)と、 前記無影灯の支持構造(7)と、 を備えている歯科治療ユニットにおいて、 前記無影灯(8)に配置されているカメラシステム、を備える 歯科治療ユニット。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 本件補正発明の無影灯は、「歯科分野の標準規格に従って前記無影灯(8)から所望の距離において所望の種類の光パターンを生成するように構成されており、前記標準規格は前記無影灯(8)によって生成される光照射野の特性を定義する」のに対して、引用発明の無影灯7は、そのように構成されているかどうか不明である点。 <相違点2> 本件補正発明は、「互いに距離をおいて配置されており、かつ、構造的かつ機能的に前記歯科治療ユニット(1)の前記無影灯(8)の一部であるように統合されている2つの光学カメラ(85)、を備える」カメラシステムであるのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 <相違点1について> 歯科治療用の無影灯に用いられる光源において一定の特性が求められること、及び光の特性が標準規格により定義されることは、引用文献2(上記(2)ウ)に記載されているように周知の事項であるし、歯科治療用の光パターンの特性に関係する基準が標準規格において定められていることも、特表2008-538304号公報(上記(2)オ)に記載されているように周知の事項である。 そして、引用発明を実施するに際し、歯科治療用の照明を、歯科分野の標準規格を満たす光パターンを生成するものとすることは、当業者にとって当然というべき事項であるから、引用発明の無影灯7は、当然、光照射野の特性を定義する歯科分野の標準規格に従って所望の距離において所望の種類の光パターンを生成するように構成されているものである。 したがって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。 仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明の無影灯7を、歯科分野の標準規格を満たす光パターンを生成するもの、すなわち、上記相違点1に係る本件補正発明の事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。 <相違点2について> 引用文献3(上記(2)エ)には、歯科用の手術用視野照明装置10が、共通のハウジング11を備え、このハウジング11内に、照明ユニット12と、2つのカメラ13a、13bを備える光学観察装置とが配置され、2つのカメラ13a、13bは、十分なステレオベースを得るために、照明ユニット12の対向する点に互いに離れて配置されることが記載されている。 そして、立体光学系が多くの治療において有利であることは、引用文献3(上記(2)エ(ウ))に記載されているように周知の事項であるから、引用発明の撮影部8に引用文献3の記載事項を適用して、無影灯7と共通のハウジング内に互いに離れて配置される2つのカメラとすること、すなわち、上記相違点2に係る本件補正発明の事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。 また、本件補正発明の効果についても、引用発明、引用文献3の記載事項及び周知の事項からみて格別なものということはできない。 (5)小括 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献3の記載事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 むすび 本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~16に係る発明は、令和4年12月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。 (進歩性)本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)の前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1 特開2012-196400号公報 引用文献2 特開2014-11171号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3 国際公開2004/100815号 3 引用文献の記載事項及び引用発明 各引用文献の記載事項及び引用発明は、上記第2の[理由]2(2)のとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記標準規格は前記無影灯(8)によって生成される光照射野の特性を定義する」という事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に限定を付加した本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)及び(4)のとおり、引用発明、引用文献3の記載事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献3の記載事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-021225

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