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特許拒絶査定不服審判

2023-020958

情報処理装置、ネットワークシステム、および、コンピュータプログラム

審判番号
2023-020958
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-227035
請求日
2023年12月08日
審決日
2026年01月16日
公報発行日
2026年04月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社バッファロー
  • 【請求人代理人】弁理士法人明成国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 道祖土 新吾
  • 審判官 濱野 隆
  • 審判官 井海田 隆
分類
P18 .121-WZ (G04G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-227035号「情報処理装置、ネットワークシステム、および、コンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年6月24日出願公開、特開2021-96138号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和元年12月17日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 4月28日付け:拒絶理由通知書 同年 7月 5日 :意見書、手続補正書の提出 同年 8月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 9月12日 :原査定の謄本の送達) 同年12月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和6年11月14日付け:拒絶理由通知書 令和7年 1月10日 :面接記録 同月16日 :意見書、手続補正書の提出 同年 3月28日付け:拒絶理由通知書 同年 5月15日 :意見書、手続補正書の提出 なお、令和7年3月28日付けで当審において通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、同年5月15日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。 2 本願発明について (1) 本願発明の認定 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年5月15日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。 「予め定められた処理を行うよう被操作端末に指示する指示部を有する情報処理装置であって、 表示部と、 前記表示部に表示される、前記予め定められた処理を実行する指定時刻を入力するための指定時刻入力部と、 少なくとも、前記情報処理装置の属する第1タイムゾーンと前記被操作端末の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーンから、前記予め定められた処理の内容に基づいてユーザが、前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻の属するタイムゾーンである基軸タイムゾーンを選択可能とする入力箇所を前記表示部に表示させる選択部とを備え、 前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記基軸タイムゾーンとの時差と前記指定時刻とを用いて算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第1タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第2タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は前記指定時刻として算出され、 前記表示部は、前記指示における前記処理と前記実行時刻とを対応付けて表示する、情報処理装置。」 (2) 本願発明の分説 検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Eまでに分説する。また、参考図として、本願の【図2】、【図5】及び【図12】を掲載する。 <本願発明の分説> X 予め定められた処理を行うよう被操作端末に指示する指示部を有する情報処理装置であって、 A 表示部と、 B 前記表示部に表示される、前記予め定められた処理を実行する指定時刻を入力するための指定時刻入力部と、 C 少なくとも、前記情報処理装置の属する第1タイムゾーンと前記被操作端末の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーンから、前記予め定められた処理の内容に基づいてユーザが、前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻の属するタイムゾーンである基軸タイムゾーンを選択可能とする入力箇所を前記表示部に表示させる選択部とを備え、 D 前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記基軸タイムゾーンとの時差と前記指定時刻とを用いて算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第1タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第2タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は前記指定時刻として算出され、 E 前記表示部は、前記指示における前記処理と前記実行時刻とを対応付けて表示する、 X 情報処理装置。 <参考図> 【図2】 [図:0001433448000001.jpg] 【図5】 [図:0001433448000002.jpg] 【図12】 [図:0001433448000003.jpg] (3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本開示は、情報処理装置、被操作端末、ネットワークシステム、および、コンピュータプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、遠隔操作を用いた機器の管理を行う情報処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、タイムゾーンが異なる複数の機器を、それぞれのタイムゾーンにおける予め定めた時刻で操作するよう、基軸となるタイムゾーンと各タイムゾーンとの時差を考慮して、操作を行う情報処理装置が記載されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開2014-112060号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 遠隔操作を用いた機器の管理において、ユーザのニーズは多様化している。そのため、情報処理装置の利便性を向上できる技術が求められていた。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。 【0006】 (1)本開示の一形態によれば、実行時刻に予め定められた処理を行うよう被操作端末に指示する指示部を有する情報処理装置が提供される。この情報処理装置において少なくとも、前記情報処理装置の属する第1タイムゾーンと前記被操作端末の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーンから基軸タイムゾーンを選択可能とする選択部を備え、前記実行時刻は、前記基軸タイムゾーンに応じて補正される。この形態の情報処理装置によれば、実行時刻における基軸タイムゾーンを、情報処理装置の属する第1タイムゾーンと被操作端末の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーンから選択できるため、情報処理装置の利便性を向上できる。 <後略> 」 「【0013】 ところで、近年のグローバル化に伴い、情報処理装置100によって、タイムゾーンの異なる1又は複数の被操作端末200を遠隔操作可能なネットワークシステム500が普及している。しかしながら、情報処理装置100でタイムゾーンが異なる被操作端末200を遠隔操作する場合、情報処理装置100の置かれたタイムゾーン(以下、「第1タイムゾーン」という)と、被操作端末200の置かれたタイムゾーン(以下、「第2タイムゾーン」という)との時差からユーザが算出して、実行時刻として設定する必要があった。」 「【0031】 以上で説明した本実施形態によれば、ユーザは、実行時刻における基軸タイムゾーンを、情報処理装置100の属する第1タイムゾーンと被操作端末200の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーンから選択できる。これにより、ユーザは、被操作端末200の遠隔操作を予約するとき、タイムゾーンを計算する必要がなく、遠隔操作における情報処理装置100の利便性を向上できる。また、実行情報取得部50が実行情報を取得するので、被操作端末200が処理を行ったか否かを表示することができる。これにより、ユーザは予約した処理内容が実行されたか否かを容易に確認することができる。また、本実施形態では複数の被操作端末200の実行成否を一覧表示することが可能である。これにより、ユーザは、エラーが発生した被操作端末があるか否かを容易に確認でき、さらに、エラーが発生した被操作端末200の特定が可能となる。さらに、予約情報取得部60が予約情報を取得するため、被操作端末200が実行時刻に処理を行うよう設定されたか否かを表示することができる。これにより、被操作端末200が処理を実行する前であっても、ユーザは正しく予約がされているか否かを容易に確認することができる。また、本実施形態では複数の被操作端末200の予約成否を一覧表示することが可能である。これにより、ユーザは予約ができていない被操作端末200があるか否か、また、予約できていない被操作端末200の特定が容易となる。」 3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由のうち、本願の請求項1に係る発明について進歩性が欠如する旨の理由の概要は、次のとおりである。 理由4(進歩性欠如) 本願の請求項1に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2014-112060号公報 引用文献4:特開2010-176551号公報(周知技術を示す文献) 4 各引用文献の記載事項並びに引用発明及び周知技術の認定 (1) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1の記載事項 当審拒絶理由において引用され、本願の出願前に発行された文献である特開2014-112060号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記イの引用発明の認定に用いる記載に下線を付した。)。 (ア) 段落【0001】~【0004】 「【0001】 本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及びプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、オフィス等に設置されている複数の画像形成装置の管理を、機器管理サーバがネットワークを介して一元的に行うコンピュータシステム(以下、「機器管理システム」という。)が有る。機器管理システムでは、画像形成装置の利用状況の収集やファームウェアのアップデート等、ネットワーク又は画像形成装置に負荷がかかるタスクや、画像形成装置の再起動が必要なタスクが実行されることがある。このようなタスクは、通常、一般ユーザがネットワークや画像形成装置を利用しない夜間や週末等に実行されるよう、スケジュール設定が行われる。タスクのスケジュール設定を一台ずつ個別に行うのは煩雑であるため、複数の画像形成装置を対象にして、一括でスケジュール設定が可能とされている。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、画像形成装置の所在地のタイムゾーンと、機器管理サーバの所在地のタイムゾーンとが異なる場合、作業者は、画像形成装置のタイムゾーンにおける夜間等の時刻を計算で導き出して、機器管理サーバに設定する必要があった。また、タイムゾーンが相互に異なる複数の画像形成装置に対してタスクを一括して実行する場合、一部のタイムゾーンに関しては、一般ユーザが利用している最中にタスクが実行されてしまう。このようなタイムゾーンにおいては、一般ユーザの利用中に、ネットワーク負荷が増加したり、画像形成装置の処理が遅くなったり、画像形成装置が再起動したりする可能性が有る。 【0004】 本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、タイムゾーンを跨って実行される処理のスケジュール設定を簡便化することを目的とする。」 (イ) 段落【0008】~【0014】、【図1】 「【0008】 以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における機器管理システムの構成例を示す図である。機器管理システム1において、操作用サーバ20と、機器通信用サーバ10a、10b、及び10cとは、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して通信可能に接続されている。また、各機器通信用サーバ10は、一台以上の機器30と、LAN又はWAN等のネットワークを介して通信可能に接続されている。 【0009】 操作用サーバ20は、機器管理システム1のユーザインタフェースとして機能するコンピュータである。操作用サーバ20は、タスクの実行指示等を、オペレータから受け付ける。操作用サーバ20が、ユーザによって直接操作されてタスクの実行指示等が入力されてもよいし、ネットワークを介して接続される端末から当該実行指示等が受信されてもよい。操作用サーバ20は、実行指示に係るタスクに関する情報を、各機器通信用サーバ10に送信する。なお、タスクとは、例えば、機器30の保守又は管理等を目的として実行される処理をいう。例えば、機器30からの情報の収集、機器30に対するプログラムのインストール、機器30に対するパラメータの設定等が、タスクの一例として挙げられる。タスクの実行タイミングは、例えば、タスクの実行指示において指定される。 【0010】 各機器通信用サーバ10は、当該機器通信用サーバ10の管理下にある機器30と通信を行い、操作用サーバ20より受信した情報に係るタスクを、当該情報に指定されているタイミングで実行する。機器通信用サーバ10の管理下にある機器30とは、図1において、機器通信用サーバ10に接続している機器30をいう。各機器通信用サーバ10には、当該機器通信用サーバ10の管理下にある機器30の一覧情報が設定されている。 【0011】 各機器30は、例えば、画像形成装置、プロジェクタ、又はテレビ会議システム等の電子機器である。これら以外の機器30が、タスクの実行対象とされてもよい。また、図1では、便宜上、機器30の数は、機器通信用サーバ10ごとに3台であるが、一つの機器通信用サーバ10に対して数百台以上の機器30が接続されてもよい。 【0012】 なお、本実施の形態において、操作用サーバ20及び機器通信用サーバ10aは、日本に配置され、機器通信用サーバ10bは、ドイツに配置され、機器通信用サーバ10cは、ブラジルに配置されていることとする。各機器30は、当該機器30を管理する機器通信用サーバ10と同じ地域に配置されていることとする。すなわち、機器通信用サーバ10a及び機器30a1~30a3と、機器通信用サーバ10b及び機器30b1~30b3と、及び機器通信用サーバ10c及び機器30c1~30c3とは、相互に異なるタイムゾーンに属することとする。また、オペレータは、日本で操作を行うこととする。 【0013】 なお、各機器通信用サーバ10は、必ずしも管理下の各機器30と同じタイムゾーンに配置されていなくてもよい。また、同一の機器通信用サーバ10の管理下にある各機器30は、必ずしも同一のタイムゾーンに属していなくてもよい。機器通信用サーバ10と管理下の機器30とが配置されているタイムゾーンが異なる場合、又は各機器30が属するタイムゾーンが異なる場合、機器通信用サーバ10には、管理下の各機器30のタイムゾーンを示す情報が設定されていればよい。なお、タイムゾーンとは、共通の標準時を使う地域全体をいう。換言すれば、タイムゾーンとは、協定世界時(UTC(Coordinated Universal Time))との時差が共通である地域全体である。 【0014】 また、図1では、操作用サーバ20と機器通信用サーバ10とが明確に区別されているが、いずれかの機器通信用サーバ10が、操作用サーバ20の役割を兼ねてもよい。機器通信用サーバ10は、1台又は2台で有ってもよいし、4台以上で有ってもよい。」 「【図1】 [図:0001433448000004.jpg] 」 (ウ) 段落【0019】~【0022】、【図3】 「【0019】 図3は、本発明の実施の形態における操作用サーバの機能構成例を示す図である。図3において、操作用サーバ20は、画面表示部21、タスク情報受付部22、及びタスク情報送信部23等を有する。これら各部は、操作用サーバ20にインストールされたプログラムが、操作用サーバ20のCPUに実行させる処理により実現される。操作用サーバ20は、また、タスク情報記憶部24を利用する。タスク情報記憶部24は、操作用サーバ20が有する補助記憶装置、又は操作用サーバ20にネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現可能である。 【0020】 画面表示部21は、タスクの実行スケジュール等をオペレータに設定させるための画面(以下、「タスク設定画面」という。)を表示させる。表示先は、操作用サーバ20にネットワークを介して接続されている端末でもよいし、操作用サーバ20に接続されている表示装置でもよい。 【0021】 タスク情報受付部22は、タスク設定画面を介して設定された、タスクの実行スケジュール等を含む情報(以下、「タスク情報」という。)を受け付ける。タスク情報受付部22は、受け付けたタスク情報をタスク情報記憶部24に記憶する。 【0022】 タスク情報送信部23は、タスク情報記憶部24が記憶するタスク情報を、各機器通信用サーバ10に送信する。各機器通信用サーバ10のアドレス情報(例えば、IPアドレス又はURL(Uniform Resource Locator))等は、予め、操作用サーバ20に設定されている。」 「【図3】 [図:0001433448000005.jpg] 」 (エ) 段落【0023】~【0024】、【図4】 「【0023】 図4は、本発明の実施の形態における機器通信用サーバの機能構成例を示す図である。図4において、機器通信用サーバ10は、タスク情報受信部11、スケジュール補正部12、及びタスク実行制御部13等を有する。これら各部は、機器通信用サーバ10にインストールされたプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。機器通信用サーバ10は、また、タスク情報記憶部14を利用する。タスク情報記憶部14は、補助記憶装置102、又は機器通信用サーバ10にネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現可能である。」 「【図4】 [図:0001433448000006.jpg] 」 「【0024】 タスク情報受信部11は、操作用サーバ20より送信されるタスク情報を受信する。スケジュール補正部12は、タスク情報に含まれているタスクの開始時刻を、当該機器通信用サーバ10の管理下にある機器30が属するタイムゾーンに適した値に補正する。タスク情報記憶部14は、スケジュール補正部12によって開始時刻が補正されたタスク情報を記憶する。タスク実行制御部13は、タスク情報記憶部14が記憶するタスク情報が示すタイミングで、タスクの実行命令を、管理下の機器30に送信する。」 (オ) 段落【0025】~【0026】、【図5】 「【0025】 以下、機器管理システム1において実行される処理手順について説明する。図5は、操作用サーバが実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。」 「【図5】 [図:0001433448000007.jpg] 」 「【0026】 ステップS101において、画面表示部21は、オペレータからの要求に応じて、タスク設定画面を表示させる。」 (カ) 段落【0027】~【0031】、【図6】 「【0027】 図6は、タスク設定画面の表示例を示す図である。図6において、タスク設定画面510は、タスク名選択領域511及びスケジュール設定領域512等を含む。 【0028】 タスク名選択領域511は、事前に処理内容が定義され、タスク名が付与されている複数のタスクの中から、実行対象とするタスクのタスク名を選択させるための領域である。 【0029】 スケジュール設定領域512は、タスクのスケジュール情報を設定させるための領域である。図6では、実行頻度と開始時刻とがスケジュール情報として設定される例が示されている。実行頻度に関して、週1回が選択される場合は、更に曜日が指定される。月1回が選択される場合は、更に、日にちが指定される。 【0030】 オペレータは、開始時刻に関して、自らが属するタイムゾーンにおいてタスクを実行させたい時刻を入力すればよい。例えば、日本において20時にタスクを開始させたいと考えている場合、20時を開始時刻として設定すればよい。なお、タスク設定画面510に対する1回の設定は、日本以外のタイムゾーンに配置されている機器通信用サーバ10b及び10cに対しても有効である。したがって、オペレータは、各機器30が属するタイムゾーンごとに、スケジュール設定を行う必要はない。 【0031】 なお、図6では、毎週土曜日の20時に、「用紙出力枚数の収集」というタスク名のタスクを実行すべきことが設定された例が示されている。」 「【図6】 [図:0001433448000008.jpg] 」 (キ) 段落【0032】~【0036】、【図7】 「【0032】 オペレータによってボタン513が押下されると、タスク情報受付部22は、タスク設定画面510において設定された内容であるタスク情報を受け付け、当該タスク情報をタスク情報記憶部24に記憶する(S102)。タスク情報をタスク情報記憶部24に記憶する際、タスク情報受付部22は、タスク情報に含まれるスケジュール情報の開始時刻を、操作用サーバ20のタイムゾーンの標準時の時刻ではなく、UTCの時刻として扱う。UTCの時刻として扱うとは、スケジュール情報の時刻を、UTCとの時差を考慮してUTCの時刻に変換するという意味ではなく、単に、設定された開始時刻を、UTCの時刻であると解釈するという意味である。 【0033】 例えば、操作用サーバ20が日本にあり、20時が開始時刻として設定されている場合、タスク情報受付部22は、日本標準時の20時(20:00+9(JST))ではなく、UTCの20時(20:00Z)として、タスク情報記憶部24に開始時刻を記憶する。ちなみに、20:00Zは、日本標準時では翌日の5時に相当する。すなわち、日本標準時は、UTCに対して9時間進んでいる。なお、20:00Zの「Z」は、時刻がUTCで表記されていることを示す。 【0034】 図7は、タスク情報記憶部の構成例を示す図である。図7において、タスク情報記憶部24は、例えば、設定されたスケジュールごとに、タスク番号、タスク名、実行頻度、実行日、及び開始時刻等のタスク情報を記憶する。」 「【図7】 [図:0001433448000009.jpg] 」 「【0035】 タスク番号は、タスク情報ごとに割り当てられる識別番号である。その他の項目には、タスク設定画面510において設定された値が登録される。また、上記したように、開始時刻には、タスク設定画面510において設定された時刻が、UTCの時刻として登録される。 【0036】 続いて、タスク情報送信部23は、各機器通信用サーバ10に対して、タスク情報記憶部24が記憶するタスク情報を送信する(S103)。」 (ク) 段落【0037】~【0039】、【図8】 「【0037】 続いて、機器通信用サーバ10が実行する処理について説明する。図8は、機器通信用サーバが実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。」 「【図8】 [図:0001433448000010.jpg] 」 「【0038】 ステップS201において、タスク情報受信部11は、ステップS103において送信されたタスク情報を受信する。続いて、スケジュール補正部12は、タスク情報に含まれる開始時刻について補正処理を実行する(S202)。続いて、スケジュール補正部12は、開始時刻が補正されたタスク情報を、タスク情報記憶部14に記憶する(S203)。なお、タスク情報記憶部14の構成は、図7に示されるタスク情報記憶部24の構成と同様でもよい。 【0039】 続いて、タスク実行制御部13は、タスク情報記憶部14が記憶するタスク情報に基づいて、タスクの実行制御を行う(S204)。例えば、タスク実行制御部13は、当該機器通信用サーバ10の管理下の機器30が属するタイムゾーンにおいて、タスク情報の実行頻度、実行日、及び開始時刻で特定される時刻の到来を待機する。当該時刻が到来すると、タスク実行制御部13は、当該タスク情報のタスク名に係るタスクの実行命令を、管理下の機器30に送信する。」 (ケ) 段落【0040】~【0044】、【図9】 「【0040】 続いて、ステップS202の詳細について説明する。図9は、開始時刻の補正処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。 【0041】 ステップS301において、スケジュール補正部12は、UTCに対するローカル標準時の時差を取得する。本実施の形態において、ローカル標準時とは、当該機器通信用サーバ10の管理下の機器30が属するタイムゾーンの標準時をいう。例えば、機器通信用サーバ10cであれば、ブラジルの標準時がローカル標準時となる。UTCに対するローカル標準時の時差は、例えば、予め補助記憶装置102に記憶されていてもよいし、機器通信用サーバ10のOS(Operating System)等から取得される情報に基づいて算出されてもよい。なお、UTCに対するブラジルの標準時との時差は、「-3:00」である。マイナスは、遅れていることを示す。すなわち、本実施の形態において、時差の値は、遅れているか、又は進んでいるかといった情報をも含む。プラスの時差は進んでいることを示し、マイナスの時差は遅れていることを示す。 【0042】 続いて、スケジュール補正部12は、スケジュール情報の開始時刻から時差を減じることにより得られる値を、補正後の開始時刻とする(S302)。例えば、機器通信用サーバ10cであれば、時差は、「-3:00」である。したがって、図7においてタスク番号が1のタスク1については、20:00Z-(-3:00)=23:00Zが算出される。この23:00Zが、補正後の開始時刻として、タスク情報記憶部14に記憶される。 【0043】 すなわち、UTCで23:00Zに該当する時に、タスク1を実行すべきことがタスク情報記憶部14に記憶される。23:00Zは、ブラジルにおいて20時である時の、UTCの時刻である。したがって、タスク1は、ブラジルにおいて20時に実行されることになる。 【0044】 機器通信用サーバ10a及び機器通信用サーバ10bにおいても、同様の処理が実行される。したがって、日本やドイツにおいても、それぞれのタイムゾーンにおける20時に、タスク1が実行される。」 「【図9】 [図:0001433448000011.jpg] 」 (コ) 段落【0047】~【0049】 「【0047】 また、本実施の形態では、オペレータによって設定された開始時刻は、UTCとして扱われ、タスク情報記憶部24に記憶される例を示した。しかし、当該開始時刻は、必ずしも、UTCとして扱われなくてもよい。いずれのタイムゾーンの標準時の時刻であるかが明確であれば、設定された開始時刻は、特定のタイムゾーンの標準時の時刻として扱われてもよい。例えば、オペレータに設定された開始時刻が、日本の標準時の時刻として扱われてもよい。 【0048】 この場合、図9の補正処理においては、日本の標準時に対するローカル標準時の時差が算出される。続いて、当該時差が、開始時刻から減ぜられた時刻が算出される。タスク実行制御部13が、タスク情報記憶部14に記憶された開始時刻を日本の標準時として解釈するのであれば、算出された時刻が、開始時刻としてタスク情報記憶部14に記憶されればよい。タスク実行制御部13が、タスク情報記憶部14に記憶された開始時刻をUTCとして解釈するのでれば、算出された時刻から、UTCに対する日本の標準時の時差(+9)を減算すればよい。 【0049】 例えば、ブラジルの標準時について、日本の標準時との時差は、-12時間である。したがって、開始時刻が20時として設定されている場合、20-12=8時が、日本の標準時での補正後の開始時刻となる。更に、UTCに変換する場合、8-9=23時が、UTCでの開始時刻となる。」 イ 引用発明の認定 上記アにおいて摘記した事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。なお、認定の根拠となる記載箇所の段落番号を括弧内に示した。 [引用発明] 「操作用サーバ20と、機器通信用サーバ10a、10b、及び10cとが、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して通信可能に接続されている機器管理システム1であって、(【0008】) 各機器通信用サーバ10は、一台以上の機器30と、LAN又はWAN等のネットワークを介して通信可能に接続されており、(【0008】) 操作用サーバ20は、機器管理システム1のユーザインタフェースとして機能するコンピュータであり、タスクの実行指示等を、オペレータから受け付けるものであり、ユーザによって直接操作されてタスクの実行指示等が入力されてもよく、実行指示に係るタスクに関する情報を、各機器通信用サーバ10に送信するものであり、(【0009】) タスクとは、例えば、機器30の保守又は管理等を目的として実行される処理をいい、例えば、機器30からの情報の収集、機器30に対するプログラムのインストール、機器30に対するパラメータの設定等が、タスクの一例として挙げられ、タスクの実行タイミングは、例えば、タスクの実行指示において指定されるものであり、(【0009】) 各機器通信用サーバ10は、当該機器通信用サーバ10の管理下にある機器30と通信を行い、操作用サーバ20より受信した情報に係るタスクを、当該情報に指定されているタイミングで実行するものであり、(【0010】) 機器通信用サーバ10の管理下にある機器30とは、機器通信用サーバ10に接続している機器30をいい、各機器通信用サーバ10には、当該機器通信用サーバ10の管理下にある機器30の一覧情報が設定されており、(【0010】) 各機器30は、例えば、画像形成装置、プロジェクタ、又はテレビ会議システム等の電子機器であり、これら以外の機器30が、タスクの実行対象とされてもよく、(【0011】) 操作用サーバ20及び機器通信用サーバ10aは、日本に配置され、機器通信用サーバ10bは、ドイツに配置され、機器通信用サーバ10cは、ブラジルに配置されていることとし、各機器30は、当該機器30を管理する機器通信用サーバ10と同じ地域に配置されていることとし、すなわち、機器通信用サーバ10a及び機器30a1~30a3と、機器通信用サーバ10b及び機器30b1~30b3と、及び機器通信用サーバ10c及び機器30c1~30c3とは、相互に異なるタイムゾーンに属することとし、また、オペレータは、日本で操作を行うこととし、(【0012】) タイムゾーンとは、共通の標準時を使う地域全体をいい、換言すれば、タイムゾーンとは、協定世界時(UTC(Coordinated Universal Time))との時差が共通である地域全体であり、(【0013】) 操作用サーバ20は、画面表示部21、タスク情報受付部22、及びタスク情報送信部23等を有し、これら各部は、操作用サーバ20にインストールされたプログラムが、操作用サーバ20のCPUに実行させる処理により実現され、(【0019】) 操作用サーバ20は、また、タスク情報記憶部24を利用するものであり、(【0019】) 画面表示部21は、タスクの実行スケジュール等をオペレータに設定させるための画面(以下、「タスク設定画面」という。)を表示させるものであり、(【0020】) タスク情報受付部22は、タスク設定画面を介して設定された、タスクの実行スケジュール等を含む情報(以下、「タスク情報」という。)を受け付け、タスク情報受付部22は、受け付けたタスク情報をタスク情報記憶部24に記憶するものであり、(【0021】) タスク情報送信部23は、タスク情報記憶部24が記憶するタスク情報を、各機器通信用サーバ10に送信するものであり、(【0022】) タスク設定画面510は、タスク名選択領域511及びスケジュール設定領域512等を含み、(【0027】) タスク名選択領域511は、事前に処理内容が定義され、タスク名が付与されている複数のタスクの中から、実行対象とするタスクのタスク名を選択させるための領域であり、(【0028】) スケジュール設定領域512は、タスクのスケジュール情報を設定させるための領域であり、(【0029】) 実行頻度と開始時刻とがスケジュール情報として設定される例では、実行頻度に関して、週1回が選択される場合は、更に曜日が指定され、月1回が選択される場合は、更に、日にちが指定され、(【0029】) オペレータは、開始時刻に関して、自らが属するタイムゾーンにおいてタスクを実行させたい時刻を入力すればよく、例えば、日本において20時にタスクを開始させたいと考えている場合、20時を開始時刻として設定すればよく、タスク設定画面510に対する1回の設定は、日本以外のタイムゾーンに配置されている機器通信用サーバ10b及び10cに対しても有効であり、オペレータは、各機器30が属するタイムゾーンごとに、スケジュール設定を行う必要はなく、(【0030】) タスク情報をタスク情報記憶部24に記憶する際、タスク情報受付部22は、タスク情報に含まれるスケジュール情報の開始時刻を、操作用サーバ20のタイムゾーンの標準時の時刻ではなく、UTCの時刻として扱い、UTCの時刻として扱うとは、スケジュール情報の時刻を、UTCとの時差を考慮してUTCの時刻に変換するという意味ではなく、単に、設定された開始時刻を、UTCの時刻であると解釈するという意味であり、(【0032】) 例えば、操作用サーバ20が日本にあり、20時が開始時刻として設定されている場合、タスク情報受付部22は、日本標準時の20時(20:00+9(JST))ではなく、UTCの20時(20:00Z)として、タスク情報記憶部24に開始時刻を記憶するものであり(20:00Zの「Z」は、時刻がUTCで表記されていることを示す)、(【0033】) タスク情報送信部23は、各機器通信用サーバ10に対して、タスク情報記憶部24が記憶するタスク情報を送信し、(【0036】) 機器通信用サーバ10が実行する処理として、(【0037】) タスク情報受信部11は、送信されたタスク情報を受信し、スケジュール補正部12は、タスク情報に含まれる開始時刻について補正処理を実行し、スケジュール補正部12は、開始時刻が補正されたタスク情報を、タスク情報記憶部14に記憶し、(【0038】) タスク実行制御部13は、タスク情報記憶部14が記憶するタスク情報に基づいて、タスクの実行制御を行い、例えば、タスク実行制御部13は、当該機器通信用サーバ10の管理下の機器30が属するタイムゾーンにおいて、タスク情報の実行頻度、実行日、及び開始時刻で特定される時刻の到来を待機し、当該時刻が到来すると、タスク実行制御部13は、当該タスク情報のタスク名に係るタスクの実行命令を、管理下の機器30に送信し、(【0039】) 開始時刻の補正処理の処理手順として、(【0040】) スケジュール補正部12は、UTCに対するローカル標準時の時差を取得し、ローカル標準時とは、当該機器通信用サーバ10の管理下の機器30が属するタイムゾーンの標準時をいい、例えば、機器通信用サーバ10cであれば、ブラジルの標準時がローカル標準時となり、UTCに対するローカル標準時の時差は、例えば、予め補助記憶装置102に記憶されていてもよいし、機器通信用サーバ10のOS(Operating System)等から取得される情報に基づいて算出されてもよく、UTCに対するブラジルの標準時との時差は、「-3:00」であり、マイナスは遅れていることを示し、(【0041】) スケジュール補正部12は、スケジュール情報の開始時刻から時差を減じることにより得られる値を、補正後の開始時刻とし、例えば、機器通信用サーバ10cであれば、時差は、「-3:00」であり、タスク番号が1のタスク1については、20:00Z-(-3:00)=23:00Zが算出され、この23:00Zが、補正後の開始時刻として、タスク情報記憶部14に記憶され、(【0042】) すなわち、UTCで23:00Zに該当する時に、タスク1を実行すべきことがタスク情報記憶部14に記憶され、23:00Zは、ブラジルにおいて20時である時の、UTCの時刻であり、タスク1は、ブラジルにおいて20時に実行されることになり、(【0043】) 機器通信用サーバ10a及び機器通信用サーバ10bにおいても、同様の処理が実行され、日本やドイツにおいても、それぞれのタイムゾーンにおける20時に、タスク1が実行され、(【0044】) 当該開始時刻は、必ずしも、UTCとして扱われなくてもよく、例えば、オペレータに設定された開始時刻が、日本の標準時の時刻として扱われてもよく、(【0047】) この場合、補正処理においては、日本の標準時に対するローカル標準時の時差が算出され、当該時差が、開始時刻から減ぜられた時刻が算出され、タスク実行制御部13が、タスク情報記憶部14に記憶された開始時刻を日本の標準時として解釈するのであれば、算出された時刻が、開始時刻としてタスク情報記憶部14に記憶されればよく、タスク実行制御部13が、タスク情報記憶部14に記憶された開始時刻をUTCとして解釈するのでれば、算出された時刻から、UTCに対する日本の標準時の時差(+9)を減算すればよく、(【0048】) 例えば、ブラジルの標準時について、日本の標準時との時差は、-12時間であり、開始時刻が20時として設定されている場合、20-12=8時が、日本の標準時での補正後の開始時刻となり、UTCに変換する場合、8-9=23時が、UTCでの開始時刻となる、(【0049】) 機器管理システム1。」 (2) 引用文献4の記載事項及び周知技術1の認定 当審拒絶理由において引用され、本願の出願前に発行された文献である特開2010-176551号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある(なお、下線は当合議体による。)。 ア 段落【0004】 「【0004】 しかしながら、MFP(Multi Function Printer)のような公共性が高く、機能が多彩であり、使用頻度が使用者によって異なるような電子機器の場合には、ユーザによる様々な要望がある。具体的には、例えば、以下の(1)~(4)のような要望がある。 (1) 公共性が高いために、障害の修正(ソフトウェアモジュールのアップデート)によりシステムを止めないことを優先したい。 (2) システムを止めてでも障害を修正したソフトウェアモジュールにアップデートしたい。 (3) 電子機器の使用者によっては、対応した障害の機能は使用頻度が低いため、ソフトウェアモジュールを緊急にアップデートする必要はない。 (4) ソフトウェアモジュール群の依存関係が複雑であり、アップデートすべきものが分かり辛いため、ソフトウェアモジュールをアップデートするための設定をもっと簡易に行いたい。」 イ 段落【0017】~【0018】、【図5A】、【図5B】 「【0017】 図5Aにおいて、501は、アップデート設定制御部214の起動時のGUIである。GUI501には、マニュアルモードボタン502とポリシー設定ボタン503とが表示される。マニュアルモードボタン502は、ソフトウェアモジュールをアップデートするタイミングをユーザが全て自分の思い通りに設定する際にユーザによって押下される。ポリシー設定ボタン503は、ソフトウェアモジュールをアップデートする際の基本方針だけをユーザが設定する際にユーザによって押下される。 【0018】 マニュアルモードボタン502が押下されると、図5Bに示すGUI504がディスプレイに表示される。 図5Bにおいて、505は、MFP111の機能を実現するソフトウェアモジュールの名称(モジュール名)である。506は、モジュール名505で示される名称のソフトウェアモジュールをアップデートするタイミングを設定するための選択ボタンである。図5Bに示す例では、モジュールAの選択ボタン506を押下した状態を示しており、「即時」、「夜間」、及び「しない」の選択肢がプルダウンメニューとして表示されている様子を表している。ユーザは、このプルダウンメニューの中から、ソフトウェアモジュールをアップデートするタイミングを選択する。」 「【図5A】 [図:0001433448000012.jpg] 」 「【図5B】 [図:0001433448000013.jpg] 」 ウ 周知技術1の認定 前記ア~イに摘記した引用文献4の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) <周知技術1> 「ソフトウェアのアップデートなどの保守操作の実行タイミングとして、即時に実行するか、夜間に実行するかを選択可能とすること。」 5 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点(情報処理装置) (ア) 構成Xは、「予め定められた処理を行うよう被操作端末に指示する指示部を有する情報処理装置」の発明であることを特定するものである。 (イ) 引用発明は、「操作用サーバ20と、機器通信用サーバ10a、10b、及び10cとが、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して通信可能に接続されている機器管理システム1」であるところ、引用発明の「操作用サーバ20」は、「機器管理システム1のユーザインタフェースとして機能するコンピュータ」であり、本願発明の「情報処理装置」に相当する。 (ウ) 引用発明において、「操作用サーバ20」は、「タスクの実行指示等を、オペレータから受け付けるものであり、ユーザによって直接操作されてタスクの実行指示等が入力されてもよく、実行指示に係るタスクに関する情報を、各機器通信用サーバ10に送信するものであ[る]」ところ、「タスク」とは、「例えば、機器30の保守又は管理等を目的として実行される処理をいい、例えば、機器30からの情報の収集、機器30に対するプログラムのインストール、機器30に対するパラメータの設定等が、タスクの一例として挙げられ、タスクの実行タイミングは、例えば、タスクの実行指示において指定されるものであ[る]」ことを踏まえると、当該「タスク」が事前に設定されて所望のタイミングで実行されることは明らかである。 そうすると、引用発明の「タスク」は、本願発明の「予め定められた処理」に相当し、引用発明の「実行タイミング」が「指定」された「タスクの実行指示」は、本願発明の「予め定められた処理を行うよう」にされた「指示」に相当する。 (エ) 引用発明において、「各機器通信用サーバ10は、当該機器通信用サーバ10の管理下にある機器30と通信を行い、操作用サーバ20より受信した情報に係るタスクを、当該情報に指定されているタイミングで実行するものであ[る]」ことを踏まえると、引用発明の「機器通信用サーバ10」は、本願発明の「被操作端末」に相当する。 (オ) 引用発明の「操作用サーバ20」は、「画面表示部21、タスク情報受付部22、及びタスク情報送信部23等を有し、これら各部は、操作用サーバ20にインストールされたプログラムが、操作用サーバ20のCPUに実行させる処理により実現され[る]」ものであるところ、「タスク情報送信部23」は、「タスク情報記憶部24が記憶するタスク情報を、各機器通信用サーバ10に送信するものであり」、「各機器通信用サーバ10」は、「操作用サーバ20より受信した情報に係るタスクを、当該情報に指定されているタイミングで実行するもの」であるから、引用発明の「タスク情報送信部23」は、本願発明の「被操作端末に指示する指示部」に相当する。 (カ) そうすると、引用発明の「タスクの実行指示」を含む「タスク情報」を「各機器通信用サーバ10に送信」する「タスク情報送信部23」を有する「操作用サーバ20」は、本願発明の「予め定められた処理を行うよう被操作端末に指示する指示部を有する情報処理装置」に相当する。 (キ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。 「予め定められた処理を行うよう被操作端末に指示する指示部を有する情報処理装置」の発明である点。 イ 構成Aの観点(表示部) (ア) 構成Aは、「情報処理装置」が「表示部」を備えることである。 (イ) 引用発明における「操作用サーバ20」は、「画面表示部21、タスク情報受付部22、及びタスク情報送信部23等を有[する]」ところ、「画面表示部21は、タスクの実行スケジュール等をオペレータに設定させるための画面(以下、「タスク設定画面」という。)を表示させるものであ[る]」から、引用発明の「画面表示部21」は、本願発明の「表示部」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。 「情報処理装置」が「表示部」を備える点。 ウ 構成Bの観点(指定時刻入力部) (ア) 構成Bは、「情報処理装置」が「前記表示部に表示される、前記予め定められた処理を実行する指定時刻を入力するための指定時刻入力部」を備えることである。 (イ) 本願発明の「指定時刻」の解釈 a 本願発明の「指定時刻」については、本願明細書の段落【0017】、【図5】に以下の記載がある。 「【0017】 さらに、図5に示すように、表示部70は、領域a1に、第1タイムゾーンおよび第2タイムゾーンにおける現在の時刻を表示してもよい。また、領域a1には、ユーザが入力箇所b3に入力した指定時刻に応じて、第1タイムゾーンおよび第2タイムゾーンにおける補正された実行時刻が表示されてもよい。なお、領域a1を有さない構成であってもよい。この場合、情報処理装置100は第2タイムゾーン情報を取得しない構成であってもよい。なお、本実施形態では、補正の前後をわかりやすくするため、補正前の実行時刻を「指定時刻」ということとする。」 「【図5】 [図:0001433448000014.jpg] 」 b 上記記載を踏まえると、本願発明の「指定時刻」とは、予め定められた処理を実行すべき時刻としてユーザが入力した時刻であって、タイムゾーンによる補正がされる前の時刻のことをいうと解するのが相当である。 (ウ) 引用発明の「開始時刻」について a 引用発明においては、「タスク設定画面510は、タスク名選択領域511及びスケジュール設定領域512等を含み」、「スケジュール設定領域512は、タスクのスケジュール情報を設定させるための領域であり」、「実行頻度と開始時刻とがスケジュール情報として設定される例では」、「オペレータは、開始時刻に関して、自らが属するタイムゾーンにおいてタスクを実行させたい時刻を入力すればよく」、「各機器30が属するタイムゾーンごとに、スケジュール設定を行う必要はな[い]」としている。 b そうすると、引用発明の「開始時刻」は、「タスク」の実行が開始されるべき時刻として「オペレータ」が「タスク設定画面510」の「スケジュール設定領域512」に「入力」する時刻であって、「各機器30が属するタイムゾーンごと」の補正がされる前の時刻であるといえる。 c したがって、引用発明の「開始時刻」は、本願発明の「指定時刻」に相当する。 (エ) 前記(ウ)を踏まえると、引用発明の「オペレータ」が「タスク」の実行の「開始時刻」を「入力」する「タスク設定画面510」の「スケジュール設定領域512」は、本願発明の「前記予め定められた処理を実行する指定時刻を入力するための指定時刻入力部」に相当する。 そして、引用発明の「画面表示部21は、タスクの実行スケジュール等をオペレータに設定させるためのタスク設定画面を表示させ[る]」ものであって、「開始時刻」が入力される「スケジュール設定領域512」も「画面表示部21」に「表示」されると考えるのが自然であるから、引用発明の「画面表示部21」は、本願発明の「前記予め定められた処理を実行する指定時刻を入力するための指定時刻入力部」を表示する「表示部」に相当する。 (オ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。 「情報処理装置」が「前記表示部に表示される、前記予め定められた処理を実行する指定時刻を入力するための指定時刻入力部」を備える点。 エ 構成Cの観点(選択部) (ア) 構成Cは、「情報処理装置」が「少なくとも、前記情報処理装置の属する第1タイムゾーンと前記被操作端末の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーンから、前記予め定められた処理の内容に基づいてユーザが、前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻の属するタイムゾーンである基軸タイムゾーンを選択可能とする入力箇所を前記表示部に表示させる選択部」を備えることである。 (イ) 引用発明においては、「操作用サーバ20」は「日本に配置され[る]」ことを想定しているから、引用発明の「日本標準時」を「使用する地域全体」は、本願発明の「前記情報処理装置の属する第1タイムゾーン」に相当する。 (ウ) 引用発明においては、「機器通信用サーバ10bは、ドイツに配置され、機器通信用サーバ10cは、ブラジルに配置されていること」を想定しているから、引用発明の「ローカル標準時」(「ドイツ」の「標準時」や「ブラジル」の「標準時」)を「使用する地域全体」は、本願発明の「前記被操作端末の属する第2タイムゾーン」に相当する。 (エ) 前記(ア)及び(イ)を踏まえると、本願発明と引用発明は、「情報処理装置」が「少なくとも、前記情報処理装置の属する第1タイムゾーンと前記被操作端末の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーン」を想定する点において共通する。 (オ) 他方、引用発明においては、タイムゾーンの選択が行われていないから、本願発明の「選択部」に係る構成を備えていない。 (カ) したがって、本願発明と引用発明の構成Cの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。 a 構成Cの観点における一致点 「情報処理装置」が「少なくとも、前記情報処理装置の属する第1タイムゾーンと前記被操作端末の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーン」を想定する点。 b 構成Cの観点における相違点 本願発明においては、前記「複数のタイムゾーンから、前記予め定められた処理の内容に基づいてユーザが、前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻の属するタイムゾーンである基軸タイムゾーンを選択可能とする入力箇所を前記表示部に表示させる選択部」を備えるのに対して、 引用発明においては、そのような「選択部」を備えていない点。 オ 構成Dの観点(実行時刻の算出について) (ア) 構成Dは、「前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記基軸タイムゾーンとの時差と前記指定時刻とを用いて算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第1タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第2タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は前記指定時刻として算出され」ることである。 (イ) 引用発明の「開始時刻」の「補正」について a 引用発明においては、「タスク情報に含まれるスケジュール情報の開始時刻を、操作用サーバ20のタイムゾーンの標準時の時刻ではなく、UTCの時刻として扱[う]」としているところ、「UTCの時刻として扱うとは、スケジュール情報の時刻を、UTCとの時差を考慮してUTCの時刻に変換するという意味ではなく、単に、設定された開始時刻を、UTCの時刻であると解釈するという意味であ[る]」としている。 b また、引用発明においては、「UTCに対するローカル標準時の時差を取得し」、「スケジュール情報の開始時刻から時差を減じることにより得られる値を、補正後の開始時刻」とするところ、「例えば、機器通信用サーバ10cであれば、時差は、「-3:00」であり、タスク番号が1のタスク1については、20:00Z-(-3:00)=23:00Zが算出され、この23:00Zが、補正後の開始時刻として、タスク情報記憶部14に記憶され」、「UTCで23:00Zに該当する時に、タスク1を実行すべきことがタスク情報記憶部14に記憶され、23:00Zは、ブラジルにおいて20時である時の、UTCの時刻であり、タスク1は、ブラジルにおいて20時に実行されることにな[る]」。 c ここで、引用発明において、「当該開始時刻は、必ずしも、UTCとして扱われなくてもよく、例えば、オペレータに設定された開始時刻が、日本の標準時の時刻として扱われてもよ[い]」としているから、前記bの「開始時刻」は、日本の標準時(以下「JST」という。)の時刻(20:00JST)として扱うことが想定されており、その場合には、JSTに対するブラジルのローカル標準時の時差(12時間)を取得し、オペレータが入力する開始時刻(20:00JST)から時差(12時間)を減じることにより得られる値(20-12=8:00JST)を、補正後の開始時刻とし、補正後の開始時刻(8:00JST)に該当する時に、ブラジルにおいてタスクが実行されることになる。 (ウ) 「基軸タイムゾーン」について 前記(イ)cを踏まえると、引用発明においては、「日本の標準時」(JST)を基準にして、ブラジルにおけるタスクが実行される時刻を定めていることになるから、前記エにおいて検討した「基軸タイムゾーン」の選択可能性の論点があることは措くとして、引用発明の「日本の標準時」を「使用する地域全体」は、本願発明の「前記情報処理装置の属する第1タイムゾーン」に相当するとともに、本願発明の「前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻の属するタイムゾーンである基軸タイムゾーン」にも相当する。 (エ) 以上を踏まえると、本願発明と引用発明においては、「前記第1タイムゾーン」が「基軸タイムゾーン」であり、「前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻」は、「前記第2タイムゾーンと前記基軸タイムゾーンとの時差と前記指定時刻とを用いて算出され」、「前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され[る]」点において共通する。 (オ) 他方、本願発明においては、「基軸タイムゾーン」として「第1タイムゾーン」と「第2タイムゾーン」のいずれかが選択可能であることを前提としており、「実行時刻」の算出は「情報処理装置」が行い、「前記基軸タイムゾーンとして前記第1タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第2タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は前記指定時刻として算出され[る]」のに対し、引用発明においては、タイムゾーンの選択が行われておらず、「機器通信用サーバ10」(「被操作端末」に相当)側において「日本の標準時」(JST)(「前記第1タイムゾーン」に相当)を基準にして指定時刻の補正に係る算出が行われている点で両者は相違する。 (カ) したがって、本願発明と引用発明の構成Dの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。 a 構成Dの観点における一致点 「前記第1タイムゾーン」が「基軸タイムゾーン」であり、 「前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻」は、「前記第2タイムゾーンと前記基軸タイムゾーンとの時差と前記指定時刻とを用いて算出され」、「前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され[る]」点。 b 構成Dの観点における相違点 本願発明においては、「基軸タイムゾーン」として「第1タイムゾーン」と「第2タイムゾーン」のいずれかが選択可能であることを前提としており、「実行時刻」の算出は「情報処理装置」が行い、「前記基軸タイムゾーンとして前記第1タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第2タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は前記指定時刻として算出され[る]」のに対して、 引用発明においては、タイムゾーンの選択が行われておらず、「機器通信用サーバ10」(「被操作端末」に相当)側において「日本の標準時」(JST)(「前記第1タイムゾーン」に相当)を基準にして指定時刻の補正に係る算出が行われている点。 カ 構成Eの観点(実行時刻の表示について) (ア) 構成Eは、「前記表示部は、前記指示における前記処理と前記実行時刻とを対応付けて表示する」ことである。 (イ) 引用発明は、本願発明の構成Eに相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。 本願発明においては、「前記表示部は、前記指示における前記処理と前記実行時刻とを対応付けて表示する」のに対して、 引用発明においては、「画面表示部21」がそのような表示を行うことまでは明示されていない点。 (2) 一致点及び相違点 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。 ア 一致点 「予め定められた処理を行うよう被操作端末に指示する指示部を有する情報処理装置であって、 表示部と、 前記表示部に表示される、前記予め定められた処理を実行する指定時刻を入力するための指定時刻入力部とを備え、 少なくとも、前記情報処理装置の属する第1タイムゾーンと前記被操作端末の属する第2タイムゾーンとを含む複数のタイムゾーンを想定しており、 前記第1タイムゾーンが基軸タイムゾーンであり、 前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行する実行時刻は、第2タイムゾーンと基軸タイムゾーンとの時差と前記指定時刻とを用いて算出され、前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出される、 情報処理装置」である点。 イ 相違点 (ア) 相違点1 本願発明においては、「複数のタイムゾーンから、前記予め定められた処理の内容に基づいてユーザが、前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻の属するタイムゾーンである基軸タイムゾーンを選択可能とする入力箇所を前記表示部に表示させる選択部とを備え[る]」のに対して、 引用発明においては、そのような「選択部」を備えていない点。 (イ) 相違点2 本願発明においては、「基軸タイムゾーン」として「第1タイムゾーン」と「第2タイムゾーン」のいずれかが選択可能であることを前提としており、「実行時刻」の算出は「情報処理装置」が行い、「前記基軸タイムゾーンとして前記第1タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され、前記基軸タイムゾーンとして前記第2タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は前記指定時刻として算出され[る]」のに対して、 引用発明においては、タイムゾーンの選択が行われておらず、「機器通信用サーバ10」(「被操作端末」に相当)側において「日本の標準時」(JST)(「前記第1タイムゾーン」に相当)を基準にして指定時刻の補正に係る算出が行われている点。 (ウ) 相違点3 本願発明においては、「前記表示部は、前記指示における前記処理と前記実行時刻とを対応付けて表示する」のに対して、 引用発明においては、「画面表示部21」がそのような表示を行うことまでは明示されていない点。 6 判断 (1) 相違点1(「選択部」)について ア 引用発明に基づいた容易想到性の検討 (ア) 引用発明の「タスク」が実行される時刻の設定 a 引用発明における「タスク」とは、「例えば、機器30の保守又は管理等を目的として実行される処理をいい、例えば、機器30からの情報の収集、機器30に対するプログラムのインストール、機器30に対するパラメータの設定等が、タスクの一例として挙げられ[る]」としているところ、「機器30の保守又は管理等を目的として実行される処理」といっても、その処理内容にはシステムにかかる負荷の程度に軽重のあるものが含まれており、軽度な負荷の処理内容であれば、ユーザが目下実行中の処理と同時並行的に実行したとしても、過度の負荷がかかることがないため、「日本に配置され」た「操作用サーバ20」を操作する「オペレータ」は、「機器通信用サーバ10c」が「ブラジルに配置されて」いたとしても、日本とブラジルの時差を考慮した上でブラジルの現地時間において何時にタスクを実行するのが最適であるかということまで検討する必要はなく、現地時間が何時であろうとも、ブラジルにおいてタスクを実行するようにしても特段の不都合は生じないことは明らかである。 b このことは、引用文献1の段落【0002】において、発明の背景技術について「機器管理システムでは、画像形成装置の利用状況の収集やファームウェアのアップデート等、ネットワーク又は画像形成装置に負荷がかかるタスクや、画像形成装置の再起動が必要なタスクが実行されることがある。」と記載されているように、ある特定の場合を想定した記述をしているものの、それ以外の場合が存する可能性を排除していないことからも裏付けることができる。 (イ) 引用発明におけるタイムゾーンの選択 a 前記(ア)を踏まえると、引用発明の「機器管理システム1」においては、過度の負荷がかからないタスクや、再起動が必要ないタスクも実行され得ることが自明の前提とされているというべきであって、そのようなタスクについては、時差を考慮したスケジュール設定の必要がないことも明らかといえる。 b そうすると、時差を考慮したスケジュール設定の必要がない場合については、端的にブラジルの現地時間を基準にして、ブラジルにおけるタスクが実行される時刻を定めれば足りるから、「ローカル標準時」を基準にして(「基軸タイムゾーン」として「第2タイムゾーン」を設定することに相当)、指定時刻そのものが現地時間における実行時刻となるような選択肢を設けることは、当業者が通常検討すべき設計事項の範囲内のものである。 c したがって、引用発明において、「オペレータ」が「タスク設定画面510」の「スケジュール設定領域512」に「入力」する時刻(「タスク」の実行が開始されるべき時刻)として、「日本標準時」と「ローカル標準時」のいずれを基準として入力すべきかを「タスク」の処理内容に応じて選択可能なようにすることは、当業者にとって自明な設計変更にすぎず、これにより、前記相違点1に係る「複数のタイムゾーンから、前記予め定められた処理の内容に基づいてユーザが、前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻の属するタイムゾーンである基軸タイムゾーンを選択可能とする入力箇所を前記表示部に表示させる選択部」を「情報処理装置」が備えることが導出される。 イ 周知技術を踏まえた検討 (ア) 周知技術1 前記4(2)ウにおいて周知技術1として認定したとおり、次の技術事項は、当業者にとって周知である。 <周知技術1> 「ソフトウェアのアップデートなどの保守操作の実行タイミングとして、即時に実行するか、夜間に実行するかを選択可能とすること。」 (イ) 周知技術1の適用 a 引用発明における「タスク」とは、「例えば、機器30の保守又は管理等を目的として実行される処理をいい、例えば、機器30からの情報の収集、機器30に対するプログラムのインストール、機器30に対するパラメータの設定等が、タスクの一例として挙げられ[る]」としていることを踏まえると、引用発明においても上記周知技術1を適用する契機はあるというべきであり、「タスク」の実行を各機器通信用サーバ10で共通のタイミングで実行するか(即時実行)、各地域ごとの最適な時刻での実行とするか(夜間実行)を選択可能とすることは、当業者が容易になし得たものである。 b ここで、即時実行を選択した場合には、ある特定のタイムゾーンにおける時刻と同じタイミングで処理の実行を行うことを意味するから、当該「特定のタイムゾーン」として「日本標準時」を指定すれば、前記相違点1に係る「複数のタイムゾーンから」「前記情報処理装置の属する第1タイムゾーン」を「基軸タイムゾーン」として選択したことが導かれる。 c 同様に、夜間実行を選択した場合には、ある特定のタイムゾーンにおける時刻を基準として、他のタイムゾーンにおける同じ表示時刻に処理が実行されることを意味するから、処理が実行される「タイムゾーン」である「ローカル標準時」を指定すれば、前記相違点1に係る「複数のタイムゾーンから」「前記被操作端末の属する第2タイムゾーン」を「基軸タイムゾーン」として選択したことが導かれる。 d そうすると、引用発明に前記周知技術1を適用することにより、前記相違点1に係る「複数のタイムゾーンから、前記予め定められた処理の内容に基づいてユーザが、前記被操作端末が前記予め定められた処理を実行すべき実行時刻の属するタイムゾーンである基軸タイムゾーンを選択可能とする入力箇所を前記表示部に表示させる選択部」を「情報処理装置」が備えるように構成することは、当業者にとって容易に想到し得たことである。 (2) 相違点2(「選択」に伴う「実行時刻」の「算出」)について ア 「第1タイムゾーン」を「選択」した場合 前記(1)の検討を踏まえると、引用発明において、「オペレータ」が「タスク設定画面510」の「スケジュール設定領域512」に「入力」する時刻(「タスク」の実行が開始されるべき時刻)として、「日本標準時」を選択して入力した場合には、「日本標準時」と「ローカル標準時」の時差を考慮して入力した「開始時刻」が補正された上で「タスク」の実行時刻となるから、前記相違点2に係る「前記基軸タイムゾーンとして前記第1タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は、前記第2タイムゾーンと前記第1タイムゾーンとの時差を用いて前記指定時刻を補正して算出され[る]」という構成が導かれることになる。 イ 「第2タイムゾーン」を「選択」した場合 また、引用発明において、「オペレータ」が「タスク設定画面510」の「スケジュール設定領域512」に「入力」する時刻(「タスク」の実行が開始されるべき時刻)として、「ローカル標準時」を選択して入力した場合には、「日本標準時」と「ローカル標準時」の時差を考慮することなく入力した「開始時刻」が「タスク」の実行時刻となるから、前記相違点2に係る「前記基軸タイムゾーンとして前記第2タイムゾーンが選択されると、前記実行時刻は前記指定時刻として算出され[る]」という構成が導かれることになる。 ウ 「実行時刻」の算出主体 引用発明においては、「機器通信用サーバ10」(「被操作端末」に相当)側において「日本の標準時」(JST)(「前記第1タイムゾーン」に相当)を基準にして指定時刻の補正に係る算出が行われているが、「オペレータ」が「タスク設定画面510」の「スケジュール設定領域512」に「入力」する時刻(「タスク」の実行が開始されるべき時刻)として、「日本標準時」又は「ローカル標準時」のいずれかを選択して入力した場合には、実行時刻の算出を「操作用サーバ20」(「情報処理装置」に相当)側で行うようにすることは、当業者にとって自明な設計変更にすぎず、格別の事項ではない。 (3) 相違点3(「表示部」の「表示」内容)について ア 前記相違点3に係る本願発明の構成Eの「前記指示における前記処理と前記実行時刻とを対応付けて表示する、」「前記表示部」は、「前記表示部」と記載されていることを踏まえると、構成Bの「前記予め定められた処理を実行する指定時刻を入力するための指定時刻入力部」が「表示される」「表示部」のことであるから、本願発明の「表示部」は、構成Bに係る表示を行うとともに構成Eに係る表示も行うものであると認められる。 イ 引用発明において、「画面表示部21」の「タスク設定画面510」は、「タスク名選択領域511及びスケジュール設定領域512等を含[む]」ところ、「タスク名選択領域511は、事前に処理内容が定義され、タスク名が付与されている複数のタスクの中から、実行対象とするタスクのタスク名を選択させるための領域であり」、「スケジュール設定領域512は、タスクのスケジュール情報を設定させるための領域であり」としているから、引用発明の「画面表示部21」においては、処理すべき「タスク」が「タスク名選択領域511」において表示されるとともに、「スケジュール情報」として設定される「開始時刻」が「スケジュール設定領域512」において処理すべき「タスク」に対応づけられて表示されているものといえる。 ウ ここで、引用発明においては、「スケジュール情報の開始時刻から時差を減じることにより得られる値を、補正後の開始時刻とし」、「補正後の開始時刻として、タスク情報記憶部14に記憶され[る]」という処理が実施されるから、補正された開始時刻が実行時刻となることを想定している。 エ そして、ユーザが情報処理装置に対して設定入力をした場合に、その設定の内容を目視で確認できるように表示可能とすることは、当業者ならば通常なし得る設計事項にすぎないから、引用発明において、「タスク情報記憶部14」に記憶された実際の開始時刻(補正された開始時刻)を表示可能とすることは当業者が容易になし得たものであり、当該表示を「画面表示部21」において行うことは設計事項の範囲内のものといえる。 オ したがって、引用発明において、前記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (4) 総合評価 前記(1)~(3)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~3に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明に基づいて、又は、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、又は、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 請求人の主張について (1) 請求人の主張内容 請求人は意見書において、概略次のア~エに示すとおり主張している。 ア 主張1 引用文献1においては、「タイムゾーンを跨って実行される処理のスケジュール設定を簡便化すること」という課題を解決するために、タスク実行の基準となるタイムゾーンを選択不要とすることを本質的な特徴として備えていることは当業者にとって明らかであり、引用文献1の記載に基づいて、基準となるタイムゾーンを選択するという着想を得ることは、発明の本質的事項を否定することとなり、当業者にとって極めて困難である。また、引用文献1に記載の構成において、基準となるタイムゾーンを選択する構成の適用を許容するとすれば、課題は解決されず、引用発明は成立しなくなり、技術的に明確な阻害要因が存在する。 イ 主張2 タイムゾーンを選択しない引用文献1においては、指示における処理と実行時刻とを対応付けて表示すべき動機付けはない。 ウ 主張3 引用文献4には、単にアップデートの実行タイミングに関しては、様々な要望(選択肢)が存在することが開示されるに留まっており、静的なアップデート設定情報215に基づいて、アップデータの態様が決定されることによって(段落0024)、課題を解決することが記載されているに留まる。 したがって、引用文献4には、実行タイミングを規定するタイムゾーンの選択については言うまでもなく、そもそもタイムゾーンを選択するという技術的思想について示唆すらされていない。 この結果、引用文献4の記載に基づいて、引用文献1に開示・示唆されていない、処理内容に応じてユーザが動的にタイムゾーンを選択するという技術的思想を着想することが、当業者にとって自明な事項には該当しないことは明らかである。 エ 主張4 拒絶理由通知書によれば、『処理の実行を「同タイミング」にするとは、ある特定のタイムゾーンにおける時刻と同じタイミングで処理の実行を行うことであるから、基準とすべき時刻は、処理の実行を指示する情報処理装置の属する第1タイムゾーンの時刻にするのが自然である。 同様に、処理の実行を「同表示時刻」にするとは、ある特定のタイムゾーンにおける時刻を基準として、他のタイムゾーンにおける同じ表示時刻に処理が実行されることであるから、基準とすべき時刻は、処理を実行する被操作端末の属する第2タイムゾーンの時刻とするのが自然である。 そうすると、「同タイミング」と「同表示時刻」の選択は、タイムゾーンの時刻の選択と関連するから、前記選択操作の形態として「タイムゾーン」の選択に係らしめることは、具体的なユーザインターフェイスを決定するに際しての設計事項にすぎない。』と認定されている。 しかしながら、この認定は、いずれも「自然」、「設計事項」といった用語に依存する認定であり、「自然」であることや、「設計事項」であることを客観的に裏付ける書証は何ら示されていない。 (2) 請求人の主張についての検討 ア 主張1について (ア) 請求人は、引用発明が「タスク実行の基準となるタイムゾーンを選択不要とすることを本質的な特徴として備えている」ものであるから「基準となるタイムゾーンを選択するという着想を得ることは、発明の本質的事項を否定することとな[る]」と主張している。 しかしながら、前記6(1)アにおいて説示したとおり、引用発明の「機器管理システム1」においては、時差を考慮したスケジュール設定の必要がないようなタスクも実行され得ることが自明の前提とされているというべきであって、かかるタスクを実行する場合においては、端的に現地時間を基準にしてタスクが実行される時刻を指定すれば足りるから、引用発明において、「ローカル標準時」を基準にして、指定時刻そのものが現地時間における実行時刻となるような選択肢を設けたとしても、請求人の主張する上記特徴を正面から否定したことにはならない。 (イ) 請求人は「基準となるタイムゾーンを選択する構成の適用を許容するとすれば、課題は解決されず、引用発明は成立しなくな[る]」とも主張するが、前記(ア)を踏まえると、引用発明において、「ローカル標準時」を基準にして、指定時刻そのものが現地時間における実行時刻となるような選択肢を設けたとしても、それによる矛盾抵触は生じない。 (ウ) したがって、前記主張1を採用することはできない。 イ 主張2について 指示における処理と実行時刻とを対応付けて表示する点については、前記6(3)において、前記相違点3に係る構成の容易想到性として説示したとおりである。 ウ 主張3について (ア) 請求人は、引用文献4では「単にアップデートの実行タイミングに関しては、様々な要望(選択肢)が存在することが開示されるに留ま[る]」と主張する。 (イ) しかしながら、引用文献4の段落【0018】には「「即時」、「夜間」、及び「しない」の選択肢がプルダウンメニューとして表示されている様子を表している。ユーザは、このプルダウンメニューの中から、ソフトウェアモジュールをアップデートするタイミングを選択する。」と記載されており、ユーザがプルダウンメニューにより実行タイミングの選択を実施することが明示されている。 (ウ) したがって、請求人の主張3は引用文献4の記載内容に基づくものではなく、これを採用することはできない。 エ 主張4について (ア) 請求人は、当審拒絶理由での認定が「いずれも「自然」、「設計事項」といった用語に依存しる認定であり、「自然」であることや、「設計事項」であることを客観的に裏付ける書証は何ら示されていない。」と主張する。 (イ) しかしながら、引用発明において、ある特定のタイムゾーンにおける時刻と同じタイミングで処理の実行を行う場合、当該「特定のタイムゾーン」として「日本標準時」を指定すれば、「複数のタイムゾーンから」「前記情報処理装置の属する第1タイムゾーン」を「基軸タイムゾーン」として選択したことが導かれることになり、同様に、ある特定のタイムゾーンにおける時刻を基準として、他のタイムゾーンにおける同じ表示時刻に処理が実行される場合には、処理が実行される「タイムゾーン」である「ローカル標準時」を指定すれば、「複数のタイムゾーンから」「前記被操作端末の属する第2タイムゾーン」を「基軸タイムゾーン」として選択したことが導かれることになる。 (ウ) したがって、前記主張4を採用することはできない。 8 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-020958

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