特許拒絶査定不服審判
2023-018446
タイムスイッチ、及び、環境センサ
- 審判番号
- 2023-018446
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-135090
- 請求日
- 2023年10月31日
- 審決日
- 2024年12月18日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】新居 広守
- 【請求人代理人】寺谷 英作
- 【請求人代理人】道坂 伸一
- 審判長/審判官
- 審判長 中塚 直樹
- 審判官 谷垣 圭二
- 審判官 素川 慎司
- 分類
- P18 .575-Z (G04G) / P18 .113-Z (G04G) / P18 .121-Z (G04G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-135090「タイムスイッチ、及び、環境センサ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月15日出願公開、特開2021- 18196〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月23日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 3月29日付け:拒絶理由通知書
同年 5月18日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月26日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 8月 1日 :原査定の謄本の送達)
同年10月31日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年10月31日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年10月31日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和5年10月31日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであって、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするスイッチ部と、
ユーザの第一時間帯の設定を受け付ける設定受付部と、
前記第一時間帯、及び、前記負荷の周囲の環境情報が所定の要件を満たす第二時間帯の集合演算により特定される時間帯に前記スイッチ部をオンする制御部を備え、
前記制御部は、前記第一時間帯及び前記第二時間帯の両方の時間帯に前記スイッチ部をオンする
タイムスイッチ。」
(2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするスイッチ部と、
ユーザの第一時間帯の設定を受け付ける設定受付部と、
前記第一時間帯、前記負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす第二時間帯、及び、前記負荷の周囲の、前記第一環境情報と異なる第二環境情報が第二の所定の要件を満たす第三時間帯の集合演算により特定される時間帯に前記スイッチ部をオンする制御部を備え、
前記制御部は、前記第一時間帯、前記第二時間帯、及び、前記第三時間帯のいずれの時間帯にも前記スイッチ部をオンする
タイムスイッチ。」
2 本件補正の目的
(1) 本件補正による請求項1についての補正は、次の補正事項1及び2を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前の「環境情報」を、「第一環境情報」及び「第一環境情報と異なる第二環境情報」からなるものに限定すること。
イ 補正事項2
「制御部」により「スイッチ部をオンする」「時間帯」について、
本件補正前に「第一時間帯、及び、前記負荷の周囲の環境情報が所定の要件を満たす第二時間帯の集合演算により特定される時間帯」であって「前記第一時間帯及び前記第二時間帯の両方の時間帯に」としていたのを、前記補正事項1の補正に伴い、
「第一時間帯、前記負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす第二時間帯、及び、前記負荷の周囲の、前記第一環境情報と異なる第二環境情報が第二の所定の要件を満たす第三時間帯の集合演算により特定される時間帯」であって「前記第一時間帯、前記第二時間帯、及び、前記第三時間帯のいずれの時間帯にも」に限定すること。
(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件についての当審の判断
本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。
(1) 本件補正発明の認定等
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
ここで、本件補正発明の構成を、便宜上、次のように構成A~構成Cと構成Xに分説する。
また、参考図として、本願の【図2】を掲載する。
<本件補正発明の分説>
(構成A) 負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするスイッチ部と、
(構成B) ユーザの第一時間帯の設定を受け付ける設定受付部と、
(構成C) 前記第一時間帯、前記負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす第二時間帯、及び、前記負荷の周囲の、前記第一環境情報と異なる第二環境情報が第二の所定の要件を満たす第三時間帯の集合演算により特定される時間帯に前記スイッチ部をオンする制御部を備え、
前記制御部は、前記第一時間帯、前記第二時間帯、及び、前記第三時間帯のいずれの時間帯にも前記スイッチ部をオンする
(構成X) タイムスイッチ。
<参考図>
「【図2】
[図:0001419917000001.jpg]
」
イ 課題・効果に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載においては、発明が解決しようとする課題及び発明の効果について、次のとおり記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによって設定されたタイムスケジュールにしたがって負荷をオン及びオフするタイムスイッチに関する。
…(中略)…
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、負荷の周囲の環境情報に基づいて負荷をオンすることができるタイムスイッチを提供する。」
「【0032】
[環境情報を用いた動作例1]
ところで、タイムスイッチ10の負荷として床下換気扇が用いられる場合がある。床下換気扇により床下の湿気を逃がすことで、ダニ、シロアリ、及び、カビなどの繁殖が抑制される。
…(中略)…
【0033】
そこで、タイムスイッチ10は、ユーザによって設定されたスイッチ部1 2 をオンすべき時間帯と、取得部18aによって取得される環境情報(この場合、湿度情報)に基づいて、スイッチ部12をオンする。
…(中略)…
【0040】
[環境情報を用いた動作例2]
動作例1では、スイッチ部12がオンされる時間帯が第一時間帯及び第二時間帯の積演算によって特定されたが、スイッチ部12がオンされる時間帯は、第一時間帯及び第二時間帯の和演算によって特定されてもよい。以下このような動作例2について説明する。図6は、タイムスイッチ10の環境情報を用いた動作例2のフローチャートである。」
「【図6】
[図:0001419917000002.jpg]
」
「【0041】
まず、設定受付部13は、第一時間帯の設定を受け付ける(S31)。制御部16は、計時部17によって計測される現在の時刻が第一時間帯に属するか否かを判定する(S32)。現在の時刻が第一時間帯に属していると判定された場合には(S32でYes)、スイッチ部12をオンする(S36)。
【0042】
一方、制御部16は、計時部17によって計測される現在の時刻が第一時間帯に属していないと判定すると(S32でNo)、環境センサ20から取得部18aを介して現在の湿度を示す湿度情報を取得し(S33)、表示部14に現在の湿度を表示させる(S34)。また、制御部16は、湿度情報が示す現在の湿度が所定値以上であるか否かを判定する(S35)。つまり、制御部16は、環境情報(具体的には、湿度情報)が所定の要件を満たすか否かを判定する。この所定値は、例えば、ユーザによって設定される。
【0043】
制御部16は、現在の湿度が所定値以上であると判定すると(S35でYes)、スイッチ部12をオンする(S36)。一方、現在の湿度が所定値未満であると判定されると(S35でNo)、スイッチ部12はオフのままとなる。
【0044】
制御部16は、図6の動作を行うことで、第一時間帯及び第二時間帯の両方の時間帯にスイッチ部12をオンする。図7は、動作例2において、スイッチ部12がオンされる時間帯(ハッチングされた時間帯)を示すタイムチャートである。なお、図7のオフ時刻は、実際にスイッチ部12がオフされる時刻ではなく、設定上のオフ時刻(つまり、第一時間帯の終了タイミング)である。」
「【図7】
[図:0001419917000003.jpg]
」
「【0045】
図7に示されるように、動作例2では、第一時間帯、及び、第二時間帯の和演算(集合演算の一例)により特定される時間帯にスイッチ部12がオンされる。上述のように負荷が床下換気扇である場合、湿度が高く換気の必要性が高い時間帯には、ユーザに指示されていない時間帯であっても床下換気扇への電源供給がオンされる。このため、ダニ、シロアリ、及び、カビなどの繁殖が抑制される。」
「【0084】
また、スイッチ部がオンされる時間帯は、第一時間帯、及び、互いに異なる複数の環境情報に基づく複数の第二時間帯の集合演算によって特定されてもよい。例えば、スイッチ部がオンされる時間帯は、第一時間帯、第一環境情報(例えば、温度情報)が所定の要件を満たす第二時間帯、及び、第一環境情報と異なる第二環境情報(例えば、湿度情報)が所定の要件を満たすもう一つの第二時間帯(言い換えれば、第三時間帯)の集合演算により特定されてもよい。」
(2) 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である特開平9-251085号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。下線は当審において付した。以下同様である。
a 段落【0001】~【0005】
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、予め設定されたプログラムに従って負荷の動作日時及び動作状態を制御する電子式のタイムスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】最近の傾向として,会社等は週休2日制が広まりつつあり,土曜日と日曜日は休日としている所が多くなっている。そのため,そこで使用されている電気機器等の負荷も節電のため,例えば自動運転している冷暖房機や自動販売機等は,月曜日から金曜日までは運転し,土曜日と日曜日は休止していることが望ましい。
【0003】従って,負荷を動作させる日時まで指定できるように構成されているタイムスイッチでは,1週間単位でタイムスケジュールを繰り返しパターンとして管理している。しかし,祭日とか振替休日等カレンダー上で特別の日があると,1週間単位でのタイムスケジュール管理では,その都度スケジュールを変えねばならず,自動運転のプログラムを組み換えることとなり,この作業が煩雑であった。
【0004】このため,この作業をより楽にしようと1年間単位でタイムスケジュールを立てることが考えられ,例えば特開平4-295793号に開示されている。これは,カードによって1年間のタイムスケジュールをプログラムするものであるが,そのプログラムする過程においてカードを2枚使用し,かつ,そのスケジュールに従ってマークシートを塗りつぶしていかなければならず,その使用が煩わしく,プログラムの作成に多大の時間を要するし,途中での変更も簡単には行かない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は係る点に鑑み,長期間のプログラムの作成を容易化すると共に,長期間に亘る負荷の自動運転を行うことができ,かつ,途中でのプログラムの変更も容易に行われ,そして,電気量の節約の大きいタイムスイッチを提供することにある。」
b 段落【0006】、図1
「【0006】
【課題を解決するための手段】この発明のタイムスイッチの基本構成を,図1のブロック図にて説明する。表示装置11に表される機能画面及び各種設定値を選択又は設定するためのスイッチ装置12があって, そのスイッチ装置12を用い中央演算部である制御装置24にてプログラムを作成する。それに加えて,これらプログラムを記憶しておく記憶装置25と, 現在時刻をカウントし, 制御装置24へ必要な制御信号を送出する時計装置23とがあり,現在時刻, 各種設定画面, タイマー出力状態を表示装置11に表示し,タイムスケジュールを設定すると共に, 記憶装置25に記憶された設定時刻や出力状態が同じく表示装置11に表示されるようになされている。また,記憶装置25に格納されたプログラムに従うか, 又は外部より制御装置24へ取り入れた信号の該信号が入力している時間のみ出力装置15, 16の出力をオン・オフさせる出力開閉装置26があり,これらと制御装置24とで基本構成としている。」
「【図1】
[図:0001419917000004.jpg]
」
c 段落【0020】
「【0020】例えば,スイッチ装置12のスイッチ2の操作による信号はPIOに入り,これによりCPUの処理中のプログラムを一時中断し,スイッチ2の操作により入力された修正されたプログラムによる処理を優先的に行うことができる。」
d 段落【0022】
「【0022】このタイムスイッチ10の外部の負荷の近傍に,負荷の環境状態を感知するための検知器3を付加し,検知部21よりの入力信号をデジタル信号に変換し,制御装置24の内部へ取込み, 前もって設定してある目標値の上限又は下限を超えた場合には,CTCによる割り込み動作がCPUが現在処理中のプログラムを一時中断し,優先的に検知部21よりの信号による動作に従うことになるので,これが出力している間中は,該信号による出力開閉装置26が稼働することになる。従って,検知部21よりの信号の入力がなくなると,中断されていたCPUが処理中であった元のプログラムに従った動作を行うのである。」
e 段落【0028】~【0029】、図6~7
「【0028】プログラムの作成方法は,一日のタイムスケジュールを4パターン作成し,基本パターンとする。最初に平日パターンを設定する。これを図6にて説明する。ここで日間計画表示領域36に示されている「平」の表示の欄は,「平日」のことであり,平日において負荷を何時にオンさせ,何時にオフさせるというスケジュールを表すものである。
【0029】同じように,「★1」,「★2」も特別な日の負荷のオン・オフのスケジュールを表す。「休」の欄は「休日」を表し,通常は終日負荷をオフさせておく。それぞれのオン時刻やオフ時刻の設定は,位置表示マーク38を該当する箇所に合わせ,図2に示すスイッチ2の各キー2-1乃至2-8で設定する。このようにして図6の日間計画表示領域36を設定した一例を図7に示す。
これは,「平日パターン」を8時00分より17時00分までとし,「★1」を8:00~12:00,「★2」を9:00~20:00までとして設定を行ったものである。これらはそれぞれ図7の日間計画表示領域36に示されているようになる。」
「 【図6】
[図:0001419917000005.jpg]
」
「 【図7】
[図:0001419917000006.jpg]
」
f 段落【0037】~【0040】
「【0037】なお,ここで出力開閉装置26は,有接点の電磁リレーや無接点のSSRなどを使用するが,負荷の容量や特性に応じて選択すればよい。
【0038】プロクラム(当合議体注:「プログラム」の誤記。)された時刻に従って,負荷の入力電源をオン・オフさせる制御方式においては,節電のために負荷を使用しない時間は,その入力電源をオフとしておくことが望ましいわけであるが,場合によっては不便なときがある。即ち,負荷を設置しておく場所や季節によっては,負荷の外部近傍の環境条件により,負荷に内在する商品や負荷自体にも影響がある場合もある。
例えば,負荷の外部温度が0℃以下ともなれば,負荷に内在する商品や負荷の内部の構成部品が凍結する虞があるし,逆に夏の暑いときは負荷に内在する商品の劣化も予想される。
【0039】このような場合を考慮して,この発明においては検知器3により負荷周辺の環境条件を検知し,前述のような不便が起こらないように負荷の使用外部環境を設定するようにした。ここでは温度を例にとり説明すると,機能画面表示領域34において「他画面」を位置表示マーク38により選択し,図13を表示させ,温度制御表示領域39の「現在の設定温度」の欄の上限温度及び下限温度の項目を,所望する温度に設定しておく。これにより例えば自動販売機の使用外部環境として,設定した温度を超えるとプログラム運転中でタイムスイッチ10がオフしている時間内であっても, 制御装置24より外部電源開閉装置の出力コネクタ5へ出力を出し,自動販売機を正常な運転に戻すことにより,かかる不都合を取り除くことができる。勿論,検知部21による制御がオフ状態に戻ったときは,プログラムによるタイマー自動運転の状態を保持する。
【0040】検知器3は,負荷周辺の環境条件を検知し,負荷の使用外部環境を設定するものであるので,例えば負荷近傍の温度,明るさなどを検知したいときは,それぞれに応じたセンサーを採用すればよい。」
g 段落【0046】
「【0046】部外者による勝手な操作の防止手段としては,負荷の自動運転中において,本タイムスイッチ10のキーを操作しても,或る特定のキーワードを入れないと, プログラムの変更ができないようにして, 負荷の誤動作を防ぐことができるようにするのである。」
(イ) 従来の技術を踏まえた発明の認定について
前記(ア)aにおいて摘記した事項から、引用文献1に記載された発明が解決しようとする課題は、会社等で使用されている冷暖房機や自動販売機等の自動運転している電気機器等の負荷(【0002】)を動作させる日時まで指定できるように構成されているタイムスイッチにおいて、1週間単位でのタイムスケジュール管理では、その都度スケジュールを変えねばならず、自動運転のプログラムを組み換えることとなり、この作業が煩雑であり(【0003】)、カードによって1年間のタイムスケジュールをプログラムするものについては、そのプログラムする過程においてカードを2枚使用し、かつ、そのスケジュールに従ってマークシートを塗りつぶしていかなければならず、その使用が煩わしく、プログラムの作成に多大の時間を要するし途中での変更も簡単でない(【0004】)ことに対し、長期間のプログラムの作成を容易化すると共に、長期間に亘る負荷の自動運転を行うことができ、かつ、途中でのプログラムの変更も容易に行われ、そして、電気量の節約の大きいタイムスイッチを提供すること(【0005】)であると認められる。
そして、当該課題は特定の負荷を対象にした場合にのみ生じる課題とはいえないから、従来の技術に関する段落【0002】(前記(ア)aを参照)に記載された冷暖房機等の負荷を踏まえて、引用文献1に記載された発明を認定することができるといえる。
(ウ) 引用発明の認定
前記(イ)を踏まえて前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「 予め設定されたプログラムに従って負荷の動作日時及び動作状態を制御する電子式のタイムスイッチであって、(【0001】)
表示装置11に表される機能画面及び各種設定値を選択又は設定するためのスイッチ装置12と、スイッチ装置12を用い中央演算部である制御装置24にてプログラムを作成し、これらプログラムを記憶しておく記憶装置25と、現在時刻をカウントし、制御装置24へ必要な制御信号を送出する時計装置23と、記憶装置25に格納されたプログラムに従うか、又は外部より制御装置24へ取り入れた信号の該信号が入力している時間のみ出力装置15、16の出力をオン・オフさせる出力開閉装置26と、これらと制御装置24とで基本構成とされ、(【0006】)
出力開閉装置26は、有接点の電磁リレーや無接点のSSRなどを使用し、(【0037】)
タイムスイッチは、プログラムされた時刻に従って、負荷の入力電源をオン・オフさせる制御方式のものであり、(【0038】)
負荷は、自動運転している冷暖房機や自動販売機等の電気機器等であり、(【0002】)
オン時刻やオフ時刻の設定は、スイッチ装置12のスイッチ2の各キー2-1乃至2-8で設定し、(【0020】、【0029】)
部外者による勝手な操作の防止手段として、負荷の自動運転中において、本タイムスイッチのキーを操作しても、或る特定のキーワードを入れないと、プログラムの変更ができないようにして、負荷の誤動作を防ぐことができ、(【0046】)
タイムスイッチ10の外部の負荷の近傍に、負荷の環境状態を感知するための検知器3を付加し、検知部21よりの入力信号をデジタル信号に変換し、制御装置24の内部へ取込み、前もって設定してある目標値の上限又は下限を超えた場合には、CPUが現在処理中のプログラムを一時中断し、優先的に検知部21よりの信号による動作に従うことになるので、これが出力している間中は、該信号による出力開閉装置26が稼働することになり、検知部21よりの信号の入力がなくなると、中断されていたCPUが処理中であった元のプログラムに従った動作を行い、(【0022】)
節電のために負荷を使用しない時間は、その入力電源をオフとしておくことが望ましいが、場合によっては不便なときがあり、負荷を設置しておく場所や季節によっては、負荷の外部近傍の環境条件により、負荷に内在する商品や負荷自体にも影響がある場合もあり、例えば、負荷の外部温度が0℃以下ともなれば、負荷に内在する商品や負荷の内部の構成部品が凍結する虞があるし、逆に夏の暑いときは負荷に内在する商品の劣化も予想されるため、このような場合を考慮して、例えば自動販売機の使用外部環境として、設定した温度を超えるとプログラム運転中でタイムスイッチがオフしている時間内であっても、制御装置24より外部電源開閉装置へ出力を出し、自動販売機を正常な運転に戻すことにより、かかる不都合を取り除くことができ、検知器3による制御がオフ状態に戻ったときは、プログラムによるタイマー自動運転の状態を保持し、(【0038】~【0039】)
検知器3は、負荷周辺の環境条件を検知し、負荷の使用外部環境を設定するものであり、例えば負荷近傍の温度、明るさなどを検知したいときは、それぞれに応じたセンサーを採用する、(【0040】)
タイムスイッチ。」
イ 引用文献7及び8に記載された事項並びに引用文献7技術事項及び周知技術1の認定
(ア) 引用文献7に記載された事項
当審において新たに引用する登録実用新案第3217716号公報(以下「引用文献7」という。)には、以下の記載がある。
a 段落【0001】
「【0001】
本考案は、エアコン、加湿器、換気扇のように時間、温度、湿度で動作時間を自動的にコントロールすることが望まれる電気機器又はエアコン、加湿器、換気扇のように時間、温度、湿度で動作時間を自動的にコントロールすることが望まれる電気機器が着脱自在に接続されるコンセントを例とする電気機器に関するものである。」
b 段落【0009】~【0017】、図1
「【0009】
以下、本考案の実施の形態を図1に基づいて詳述すると、セットボックス1内には時間でオンオフを制御する第一のスイッチ手段2と、湿度でオンオフを制御する第二のスイッチ手段3と、温度でオンオフを制御する第三のスイッチ手段4とが内蔵されている。」
「【図1】
[図:0001419917000007.jpg]
」
「【0010】
第一のスイッチ手段2と第二のスイッチ手段3と第三のスイッチ手段4はコンセント5とプラグ6との間に配設されている。
【0011】
第一のスイッチ手段2のオン又はオフを決定する時間の決定手段と、第二のスイッチ手段3のオン又はオフを決定する湿度の決定手段と、第三のスイッチ手段4のオン又はオフを決定する湿度の決定手段とがセットボックス1に設けられている。
【0012】
第一のスイッチ手段2と第二のスイッチ手段3と第三のスイッチ手段4には、常にオンにするエバーオンスイッチがそれぞれ設けられている。
【0013】
第一のスイッチ手段2は、一般に知られている24時間タイマーであり、現在時刻でオン状態になっている電気機器は次の設定された時間でオフ状態になるものであり、更に次の設定された時間でオン状態になるものであり、複数の設定が可能であるものである。
【0014】
第二のスイッチ手段3は、一般に知られている湿度スイッチであり、設定した湿度よりも雰囲気の湿度が高いと電気機器がオン状態になるとともに、設定した湿度よりも雰囲気の湿度が低いと電気機器がオフ状態になるようになっている。
【0015】
第三のスイッチ手段4は、一般に知られている温度スイッチであり、設定した温度よりも雰囲気の温度が高いと電気機器がオン状態になるとともに、設定した温度よりも雰囲気の温度が低いと電気機器がオフ状態になるようになっている。
【0016】
第一のスイッチ手段2、第二のスイッチ手段3、第三のスイッチ手段4の全てがオン状態になっていると、電気機器がオン状態になるようになっており、第一のスイッチ手段2、第二のスイッチ手段3、第三のスイッチ手段4の全てがオフ状態になっていると、電気機器がオフ状態になるようになっている。第一のスイッチ手段2、第二のスイッチ手段3、第三のスイッチ手段4のどれかがオン状態になっていると、電気機器がオン状態になるようになっている。第一のスイッチ手段2と第二のスイッチ手段3と第三のスイッチ手段4にそれぞれ設けられたエバーオンスイッチをオンにすることにより、電気機器を常にオンにすることができる。
【0017】
実施例は、テーブルタップ状のものに、第一のスイッチ手段2、第二のスイッチ手段3、第三のスイッチ手段4を設けたものであるが、エアコン、加湿器、換気扇のような電気機器にこれらを設けても構わないものである。」
(イ) 引用文献8に記載された事項
当審において新たに引用する実願昭52-168090号(実開昭54-92653号)のマイクロフィルム(以下「引用文献8」という。)には、以下の記載がある。
a 1ページ4行~11行
「2〔実用新案登録請求の範囲〕
室内温度を感知して設定値以上でオンし、同設定値以下でオフするスイッチと、これに並列に設けられ室内湿度を感知して設定値以上でオンし、同設定値以下でオフするスイッチとを配置し、上記スイッチのいずれかがオンのとき圧縮機は運転され、双方がオフのとき圧縮機が停止されるようにしたことを特徴とする冷房機。」
b 3ページ1行~17行
「電源7にサーモスタツト5と圧縮機1が接続されている。予め定められた室内の設定温度において、その設定温度より若干高い室内温度になると、サーモスタツト5がスイツチオンして圧縮機1を運転し、設定湿度より若干低くなるとスイツチオフして、圧縮機1への通電を断つ。さらにまた上記サーモスタツト5のスイツチと並列に湿度スイツチ6が接続されており、同湿度スイツチ6も予め定められた室内の設定湿度において、その設定湿度より若干高い室内湿度でスイツチオンして圧縮機1を運転し、また設定湿度より若干低い湿度になれば、スイツチオフして圧縮機1への通電を断つようになつている。なお、上記サーモスタツト5と湿度スイツチ6は、室内空気流4に対し夫々感知部分が置かれてあつて、夫々感知した温度、湿度により夫々スイツチをオン、オフするものである。」
(ウ) 引用文献7技術事項の認定
前記(ア)に摘記した事項から、引用文献7には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献7技術事項」という)。
<引用文献7技術事項>
「 エアコン、加湿器、換気扇のように時間、温度、湿度で動作時間を自動的にコントロールすることが望まれる電気機器が着脱自在に接続されるコンセントとプラグとの間に配設されて、(【0001】、【0010】)
設定された時間で電子機器をオフ状態にし、設定された時間でオン状態にする第一のスイッチ手段2と、設定した湿度よりも雰囲気の湿度が高いと電気機器がオン状態になり低いとオフ状態になるようにした第二のスイッチ手段3と、設定した温度よりも雰囲気の温度が高いと電気機器がオン状態になり低いとオフ状態になるようにした第三のスイッチ手段4とが内蔵されているセットボックス1において、(段落【0009】、【0013】~【0015】)
第一のスイッチ手段2、第二のスイッチ手段3、第三のスイッチ手段4のどれかがオン状態になっていると、電気機器がオン状態になるようにすること。(【0016】)」
(エ) 周知技術1の認定
前記(ア)及び(イ)において引用文献7、8の記載を摘記して例示したように、次の技術事項は、周知技術(以下「周知技術1」という。)であったと認められる。
<周知技術1>
「冷房機において、環境の温度が設定値以上の時間帯及び湿度が設定値以上の時間帯の和集合となる時間帯に冷房機が動作するように制御すること。」
(3) 対比・判断
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点
引用発明の「タイムスイッチ」は本件補正発明の「タイムスイッチ」に相当するから、本件補正発明と引用発明は、「タイムスイッチ」の発明である点で一致する。
(イ) 構成Aの観点
a 引用発明は、「負荷の入力電源をオン・オフさせる制御方式のものであ[る]」から、引用発明の「出力開閉装置26」が「出力装置15、16の出力をオン・オフさせる」ことにより「負荷の入力電源をオン・オフ」させている、すなわち、負荷と入力電源の電気的な接続をオン・オフさせていることは明らかである。
b そのため、引用発明の「有接点の電磁リレーや無接点のSSRなどを使用し[て]」「出力装置15,16の出力をオン・オフさせる出力開閉装置26」は、本件補正発明の「負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするスイッチ部」に相当するといえる。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするスイッチ部」を備える点。
(ウ) 構成Bの観点
a 引用発明は、「プロクラムされた時刻に従って、負荷の入力電源をオン・オフさせる」ものであり、「プログラム」は「スイッチ装置12を用い[て]」「作成」され、「オン時刻やオフ時刻の設定は、スイッチ装置12のスイッチ2の各キー2-1乃至2-8で設定」される。
b そのため、引用発明では、「スイッチ装置12のスイッチ2の各キー2-1乃至2-8」により、「オン時刻やオフ時刻の設定」がされることで、「負荷の入力電源をオン」「させる」時間帯が設定されるといえる。
c また、引用発明において、「部外者による勝手な操作の防止手段として、負荷の自動運転中において、本タイムスイッチのキーを操作しても、或る特定のキーワードを入れないと、プログラムの変更ができないようにして[いる]」ことを踏まえると、「スイッチ装置12のスイッチ2の各キー2-1乃至2-8」による「設定」が「部外者」ではないユーザの操作によりなされることは明らかである。
d そのため、前記bも踏まえると、「スイッチ装置12のスイッチ2の各キー2-1乃至2-8」は、「部外者」ではないユーザによる「負荷の入力電源をオン「させる」時間帯の「設定」を受け付けるものといえ、ここで、当該時間帯は、本件補正発明の「第一時間帯」に相当する。
e 前記dから、引用発明の「スイッチ装置12のスイッチ2の各キー2-1乃至2-8」は、本件補正発明の「ユーザの第一時間帯の設定を受け付ける設定受付部」に相当するといえる。
f したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「ユーザの第一時間帯の設定を受け付ける設定受付部」を備える点。
(エ) 構成Cの観点
a 「集合演算により特定される時間帯」の解釈
(a) 本願明細書の発明の詳細な説明の記載
「集合演算により特定される時間帯」について、本願明細書の発明の詳細な説明には次の記載がある。下線は合議体が付した。
「【0040】
[環境情報を用いた動作例2]
動作例1では、スイッチ部12がオンされる時間帯が第一時間帯及び第二時間帯の積演算によって特定されたが、スイッチ部12がオンされる時間帯は、第一時間帯及び第二時間帯の和演算によって特定されてもよい。以下このような動作例2について説明する。図6は、タイムスイッチ10の環境情報を用いた動作例2のフローチャートである。」
「【図6】
[図:0001419917000008.jpg]
」
「【0041】
まず、設定受付部13は、第一時間帯の設定を受け付ける(S31)。制御部16は、計時部17によって計測される現在の時刻が第一時間帯に属するか否かを判定する(S32)。現在の時刻が第一時間帯に属していると判定された場合には(S32でYes)、スイッチ部12をオンする(S36)。
【0042】
一方、制御部16は、計時部17によって計測される現在の時刻が第一時間帯に属していないと判定すると(S32でNo)、環境センサ20から取得部18aを介して現在の湿度を示す湿度情報を取得し(S33)、表示部14に現在の湿度を表示させる(S34)。また、制御部16は、湿度情報が示す現在の湿度が所定値以上であるか否かを判定する(S35)。つまり、制御部16は、環境情報(具体的には、湿度情報)が所定の要件を満たすか否かを判定する。この所定値は、例えば、ユーザによって設定される。
【0043】
制御部16は、現在の湿度が所定値以上であると判定すると(S35でYes)、スイッチ部12をオンする(S36)。一方、現在の湿度が所定値未満であると判定されると(S35でNo)、スイッチ部12はオフのままとなる。
【0044】
制御部16は、図6の動作を行うことで、第一時間帯及び第二時間帯の両方の時間帯にスイッチ部12をオンする。図7は、動作例2において、スイッチ部12がオンされる時間帯(ハッチングされた時間帯)を示すタイムチャートである。なお、図7のオフ時刻は、実際にスイッチ部12がオフされる時刻ではなく、設定上のオフ時刻(つまり、第一時間帯の終了タイミング)である。
【0045】
図7に示されるように、動作例2では、第一時間帯、及び、第二時間帯の和演算(集合演算の一例)により特定される時間帯にスイッチ部12がオンされる。上述のように負荷が床下換気扇である場合、湿度が高く換気の必要性が高い時間帯には、ユーザに指示されていない時間帯であっても床下換気扇への電源供給がオンされる。このため、ダニ、シロアリ、及び、カビなどの繁殖が抑制される。」
「【図7】
[図:0001419917000009.jpg]
」
(b) 本願明細書の発明の詳細な説明の記載に基づく解釈
前記(a)に摘記した事項から、本件補正発明における「集合演算により特定される時間帯に前記スイッチ部をオンする制御部」とは、制御部において実際に集合演算を行って特定の時間帯を算出するような構成を指すものではなく、集合演算を行ったとした場合に特定される時間帯においてスイッチ部をオンする構成であればよいと解するのが相当である。
b 対比分析
(a) 引用発明の「制御装置24」は、本件補正発明の「制御部」に相当する。
(b) 前記(ウ)a、b及びdで検討したとおり、引用発明における「オン時刻やオフ時刻の設定」により設定される「負荷の入力電源をオン」「させる」時間帯(以下「オン設定時間帯」という。)は、本件補正発明の「第一時間帯」に相当する。
(c)i 引用発明において「負荷の環境状態」は、これを「感知するための検知器3」が「負荷の近傍に」「付加[される]」ことを踏まえると、負荷の周囲の環境状態といえるから、本件補正発明の「負荷の周囲の第一環境情報」に相当する。
ii 引用発明において、「負荷の近傍に、負荷の環境状態を感知するための検知器3を付加し、検知部21よりの入力信号をデジタル信号に変換し、制御装置24の内部へ取込み、前もって設定してある目標値の上限又は下限を超えた場合には、CPUが現在処理中のプログラムを一時中断し、優先的に検知部21よりの信号による動作に従うことになるので、これが出力している間中は、該信号による出力開閉装置26が稼働することになり、検知部21よりの信号の入力がなくなると、中断されていたCPUが処理中であった元のプログラムに従った動作を行[う]」とは、「温度」などの「負荷の環境状態」が「目標値の上限又は下限を超えた場合」に「時刻に従って、負荷の入力電源をオン・オフさせる」「プログラム」を「一時中断」して、「負荷の入力電源をオン」させることを含むものである。このことは、引用発明中で例示されている自動販売機の構成として、「設定した温度を超えるとプログラム運転中でタイムスイッチがオフしている時間内であっても、制御装置24より外部電源開閉装置へ出力を出し、自動販売機を正常な運転に戻すこと」が示されていることからも明らかといえる。
そして、前記iも踏まえると、前記「温度」などの「負荷の環境状態」が「目標値の上限又は下限を超えた場合」は、本件補正発明の「負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす」ことに相当する。
iii 引用発明において、「目標値の上限又は下限を超えた場合」、「優先的に検知部21よりの信号による動作に従うことにな[り]」「これが出力している間中は、該信号による出力開閉装置26が稼働する」ところ、当該「出力している間」すなわち「目標値の上限又は下限を超えた場合」の時間帯は、前記iiも踏まえると、本件補正発明の「負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす第二時間帯」に相当する。
(d)i 引用発明の「検知部21よりの信号の入力がなくなると、中断されていたCPUが処理中であった元のプログラムに従った動作を行[う]」ことについて、「元のプログラムに従った動作を行[う]」とは、「時刻に従って、負荷の入力電源をオン・オフさせる」「プログラム」に従うことであるから、引用発明では、前記オン設定時間帯及び「負荷の環境状態」が「目標値の上限又は下限を超えた場合」の時間帯のいずれの時間帯にもタイムスイッチがオンされることになる。
ii そのため、前記(b)及び(c)も踏まえると、引用発明の「制御装置24」は、本件補正発明の「前記第一時間帯、前記第二時間帯、及び、前記第三時間帯のいずれの時間帯にも前記スイッチ部をオンする」点と、「前記第一時間帯、前記第二時間帯のいずれの時間帯にも前記スイッチ部をオンする」点で共通する。
iii また、前記オン設定時間帯及び「負荷の環境状態」が「目標値の上限又は下限を超えた場合」の時間帯のいずれの時間帯にも、とは、両時間帯の和集合を特定する集合演算を行った場合に特定される時間帯にほかならないから、前記a(b)の解釈を踏まえると、引用発明の「制御装置24」は、本件補正発明の「前記第一時間帯、前記負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす第二時間帯、及び、前記負荷の周囲の、前記第一環境情報と異なる第二環境情報が第二の所定の要件を満たす第三時間帯の集合演算により特定される時間帯に前記スイッチ部をオンする」点と、「前記第一時間帯、前記負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす第二時間帯の集合演算により特定される時間帯に前記スイッチ部をオンする」点で共通する。
(e) したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記第一時間帯、前記負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす第二時間の集合演算により特定される時間帯に前記スイッチ部をオンする制御部を備え、前記制御部は、前記第一時間帯、前記第二時間帯のいずれの時間帯にも前記スイッチ部をオンする」点。
イ 一致点及び相違点の認定
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違する。
(ア) 一致点
「 負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするスイッチ部と、
ユーザの第一時間帯の設定を受け付ける設定受付部と、
前記第一時間帯、前記負荷の周囲の第一環境情報が第一の所定の要件を満たす第二時間の集合演算により特定される時間帯に前記スイッチ部をオンする制御部を備え、
前記制御部は、前記第一時間帯、前記第二時間帯のいずれの時間帯にも前記スイッチ部をオンする
タイムスイッチ」である点。
(イ) 相違点
本件補正発明では、スイッチ部をオンする時間帯を特定するための集合演算の対象に、「第一環境情報と異なる第二環境情報が第二の所定の要件を満たす第三時間帯」の集合が含まれ、制御部がスイッチ部をオンする時間帯が、「前記第一時間帯、前記第二時間帯、及び、前記第三時間帯のいずれの時間帯にも」であるのに対して、
引用発明では、時間帯を特定するための集合演算の対象に第三時間帯に相当する時間帯の集合が含まれておらず、また、制御部がスイッチ部をオンする時間帯に、第三時間帯に相当する時間帯に基づく時間帯が含まれていない点。
ウ 判断
(ア) 引用文献7技術事項に基づく判断
a 引用文献7技術事項
引用文献7技術事項は、「第一のスイッチ手段2、第二のスイッチ手段3、第三のスイッチ手段4のどれかがオン状態になっていると、電気機器がオン状態になるようにすること」によって、下記のいずれの時間帯にも「エアコン」などの「電気機器がオン状態になるようにする」ものである。
「設定された時間」の間の時間帯
「設定した湿度よりも雰囲気の湿度が高い」時間帯
「設定した温度よりも雰囲気の温度が高い」時間帯
b 引用発明に引用文献7技術事項を適用する動機
(a) 引用発明の「タイムスイッチ」は、「出力開閉装置26」により「プロクラムされた時刻に従って、負荷の入力電源をオン・オフさせる」ものであり、引用文献7技術事項の「セットボックス1」は、「コンセントとプラグとの間に配設され」、「第一のスイッチ手段2」により「設定された時間で電子機器をオフ状態にし、設定された時間でオン状態にする」ものであるから、いずれも設定された時間に負荷の入力電源をオン・オフさせるタイムスイッチ技術に関する点で技術分野が共通している。
(b) そして、引用発明の「タイムスイッチ」は、適用される「負荷」に「冷暖房機」が含まれ、引用文献7技術の「セットボックス1」は、適用される負荷に「エアコン」が含まれることから、いずれも冷房機への適用を想定しており、適用対象についても共通している。
(c) また、引用発明において、「検知器3は、負荷周辺の環境条件を検知し、負荷の使用外部環境を設定するものであり、例えば負荷近傍の温度、明るさなどを検知したいときは、それぞれに応じたセンサーを採用する」から、引用発明は、温度以外の環境条件による制御も想定している。
c まとめ
前記bで検討した事項から、引用発明と引用文献7技術事項とは、適用対象も含めて技術分野が共通しており、引用発明において、引用文献7技術事項に倣い、設定した湿度よりも雰囲気の湿度が高い間にも「電気機器」の電源をオンするようにして、前記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 周知技術1に基づく判断
a 冷房機において、環境の温度が設定値以上の時間帯及び湿度が設定値以上の時間帯の和集合となる時間帯に冷房機が動作するように制御することは、周知の技術事項である(前記周知技術1を参照)。
b ここで、引用発明においては、オン設定時間帯及び「負荷の環境状態」が「目標値の上限又は下限を超えた場合」の時間帯のいずれの時間帯にもタイムスイッチがオンするようにしているところ(前記ア(エ)b(d)iを参照)、引用発明において、前記周知技術1を適用し、「負荷の環境状態」が「目標値の上限又は下限を超えた場合」の時間帯として、環境の温度が設定値以上の時間帯及び湿度が設定値以上の時間帯の和集合となる時間帯を採用して、前記相違点に係る本件補正の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 総合評価
前記ウの検討結果を総合的に勘案しても、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本件補正発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献7技術事項、又は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、引用文献1には、本件補正発明の「前記制御部は、前記第一時間帯、前記第二時間帯、及び、前記第三時間帯のいずれの時間帯にも前記スイッチ部をオンする」構成について記載も示唆もされていない旨の主張をしている。
しかしながら、当該主張は前記相違点に係る構成についてのものであるところ、前記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、前記(3)ウ(ア)及び(イ)において説示したとおり、引用発明及び引用文献7技術事項、又は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(5) 小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~10に係る発明は、令和5年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。
2 拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に係る拒絶の理由1及び理由2の概要は、次のとおりで ある。
理由1.本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明と差違が無いから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開平9-251085号公報
3 引用文献に記載された事項
前記引用文献1には、前記第2の3(2)ア(ウ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明における前記第2の2(1)ア及びイの限定を省いたものである。
そうすると、前記第2の3(3)アの検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明に相違点はない。仮に、相違点があったとしても、当業者が容易に想到できたものであるといえる。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるか、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、又は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-018446