特許拒絶査定不服審判
2023-016227
タイムスイッチ
- 審判番号
- 2023-016227
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-135086
- 請求日
- 2023年09月26日
- 審決日
- 2024年12月25日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】新居 広守
- 【請求人代理人】寺谷 英作
- 【請求人代理人】道坂 伸一
- 審判長/審判官
- 審判長 中塚 直樹
- 審判官 谷垣 圭二
- 審判官 素川 慎司
- 分類
- P18 .121-Z (G04G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-135086「タイムスイッチ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月15日出願公開、特開2021- 18195〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月23日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 1月30日付け:拒絶理由通知書
同年 3月14日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 6月27日 :原査定の謄本の送達)
同年 9月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 本願発明の認定等
1 本願発明の認定
本願の請求項1~9に係る発明は、令和5年9月26日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に示す事項により特定されるとおりである。
ここで、本願発明の構成を、便宜上、次のように構成A~構成Bと構成Xに分説する。
また、参考図として、本願の【図2】を掲載する。
<本願発明>
(構成X-1) ユーザによって設定されたタイムスケジュールにしたがって負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするタイムスイッチであって、
(構成A) 前記タイムスイッチの座標を検知することにより前記タイムスイッチが移動されたことを検知するセンサと、
(構成B) 前記センサの検知結果に基づいて前記タイムスイッチが移動されたことを通知するための通知処理を行う制御部とを備える
(構成X-2) タイムスイッチ。」
<参考図>
「【図2】
[図:0001420961000001.jpg]
」
2 課題・効果に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載においては、発明が解決しようとする課題及び発明の効果について、次のとおり記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによって設定されたタイムスケジュールにしたがって負荷をオン及びオフするタイムスイッチに関する。
…(中略)…
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に流通しているタイムスイッチの機種の多くは手ごろな大きさ及び重量であるため持ち運びが容易であり、盗難される場合がある。タイムスイッチの盗難対策については検討の余地がある。
【0005】
本発明は、盗難対策が施されたタイムスイッチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るタイムスイッチは、ユーザによって設定されたタイムスケジュールにしたがって負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするタイムスイッチであって、前記タイムスイッチが移動されたことを検知するセンサを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、盗難対策が施されたタイムスイッチが実現される。」
「【0023】
センサ20は、タイムスイッチが移動されたことを検知するセンサである。センサ20は、例えば、タイムスイッチ10が振動したこと、または、タイムスイッチ10が傾斜されたことを検知する加速度センサである。センサ20は、GPS(GlobalPositioningSystem)モジュールなど、タイムスイッチ10の座標を検知するセンサであってもよい。また、センサ20は、感震装置などであってもよい。」
「【0030】
[盗難防止モードの動作例1]
タイムスイッチ10は、タイムスイッチ10が移動されたことをトリガとして通知処理を行う盗難防止モードの動作を行うことができる。以下、タイムスイッチ10の盗難防止モードの動作例1について説明する。図4は、タイムスイッチ10の盗難防止モードの動作例1のフローチャートである。
「【図4】
[図:0001420961000002.jpg]
」
「【0031】
まず、ユーザはタイムスイッチ10に負荷及び電源を接続し、オン時刻及びオフ時刻を設定し、タイムスイッチ10を設置する。設置が完了し、タイムスイッチ10を移動させる必要がなくなると、ユーザは、タイムスイッチ10を通常モードから盗難防止モードに遷移させるための操作を受付部13に対して行う。受付部13は、このような操作を受け付ける(S21)。この結果、タイムスイッチ10は、通常モードから盗難防止モードに遷移する。
【0032】
盗難防止モードの動作中には、制御部16は、センサ20の検知結果(言い換えれば、センサ20の出力信号)を取得し(S22)、取得したセンサ20の検知結果に基づいて、タイムスイッチ10が盗難防止モードに遷移したときの位置(設置位置)から移動されたか否かを判定する(S23)。盗難防止モードの動作中には、タイムスイッチ10が移動されたと判定されない限り(S23でNo)、ステップS22及びステップS23の処理が繰り返される。なお、通常モードの動作中(言い換えれば、盗難防止モードに遷移していないとき)には、ステップS23の判定は行われない。
【0033】
制御部16は、タイムスイッチ10が盗難防止モードに遷移したときの位置から移動されたと判定すると(S23でYes)、スピーカ19に警告音を出力させる(S24)。スピーカ19に警告音を出力させる処理は、タイムスイッチ10が移動されたことを通知するための通知処理の一例である。警告音が出力されている間、制御部16は、受付部13が所定のパスコードの入力操作を受け付けたか否かを判定する(S25)。
【0034】
制御部16は、受付部13が所定のパスコードの入力操作を受け付けたと判定すると(S25でYes)、警告音の出力を停止する(S26)。所定のパスコードは、例えば、上述した初期設定時に設定される警告解除用パスコードである。警告音の出力は、所定のパスコードの入力操作が受け付けられるまで継続される(S25でNo)。
【0035】
なお、所定のパスコードの入力は、通常モードから盗難防止モードに遷移するときの要件とされてもよいし、盗難防止モードを解除する(通常モードに戻す)ときの要件とされてもよい。
【0036】
このようにタイムスイッチ10は、盗難防止モードの動作中に移動されると警告音を出力する。また、この警告音は、タイムスイッチ10を所有している正規のユーザが設定したパスコードが入力されるまで出力され続ける。悪意のある非正規のユーザがタイムスイッチ10の盗難を企画すると、タイムスイッチ10を移動させたタイミングで警告音が出力され、この出力音は止めることができない。したがって、タイムスイッチ10が盗難されてしまうことが抑制される。」
第3 原査定の概要
原査定の本願発明に係る拒絶の理由1の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如)本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術事項、及び、引用文献4、5に例示された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開平10-64389号公報
引用文献2.特開2011-187053号公報
引用文献4.特開2001-290553号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2007-265139号公報(周知技術を示す文献)
第4 当審の判断
1 引用文献の記載事項及び引用発明の認定等
(1) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献1(特開平10-64389号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体において付したものであり、以下同様である。
(ア) 請求項1~2
「【請求項1】現在の日時を計時する時計手段と、負荷を制御する設定日時と負荷の制御内容とを組にしたタイムスケジュールを格納するタイムスケジュール記憶手段と、タイムスケジュール記憶手段に格納された設定日時と時計手段により計時されている現在日時とを比較する比較手段と、比較手段により設定日時と現在日時との一致が検出されるとタイムスケジュールに従って負荷を制御する負荷制御手段と、タイムスケジュール記憶手段に格納されたタイムスケジュールを読み出すためのモニタモードを選択するモニタモード切替手段と、読み出したタイムスケージュールを表示するための表示手段と、モニタモードにおいて当日以降で負荷をオンにするタイムスケジュールを検索するとともにその後のタイムスケジュールの日付と時刻との少なくとも一方を表示手段に順に表示させる検索手段とを備えることを特徴とする電子式タイムスイッチ。
【請求項2】 太陽の位置により日毎に決まる夕方の所定時刻と朝方の所定時刻とを年間を通じて発生するカレンダ手段と、タイムスケジュール記憶手段の設定日時として所望の定時刻が設定可能な定時刻設定手段と、タイムスケジュール記憶手段の設定日時としてカレンダ手段より発生する上記所定時刻を基準にして求めたカレンダ時刻が設定可能なカレンダ時刻設定手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電子式タイムスイッチ。」
(イ) 段落【0001】
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、あらかじめ設定した時刻に負荷をオンまたはオフに制御する電子式タイムスイッチに関するものである。」
(ウ) 段落【0021】~【0023】
「【0021】上述したソーラタイムスイッチは、図3に示すように、マイクロコンピュータよりなる信号処理回路20を中心として構成される。つまり、信号処理回路20はCPU、ROM、RAM、各種ポートを備えるものであり、図1の一点鎖線で囲まれた部分を構成する。各機能を実現するためのプログラムはROMに格納され、タイムスケジュール記憶手段3はRAMにより実現される。また、時計手段1は水晶振動子を備えたクロック発振回路21より信号処理回路10に与えられるクロック信号に基づいて計時を行なっている。負荷制御手段5は負荷6の電源供給路に挿入されるリレー22および信号処理回路20から出力される信号に応じてリレーを駆動するリレー駆動回路23とからなる。リレー22は2回路分設けられており、それぞれc接点を備える。つまり、各リレー22は常閉接点端子、常開接点端子、共通接点端子の3個ずつのリレー端子34bを備える。また、動作パターン選択手段8、カレンダ時刻設定手段9、定時刻設定手段10、モニタモード切替手段52、設定日付設定手段54、選択操作手段56は操作部としての複数個のスイッチS1 ~S12を組合わせて構成されている。スイッチS1 ~S12はキーマトリクス部24に接続され、キーマトリクス部24はどのスイッチS1 ~S12が操作されたかを認識して信号処理回路20にスイッチS1 ~S12の操作情報を与える。信号処理回路20には表示手段13として、各種情報に対応して定位置に配置された文字や図形を表示・非表示とすることで各種情報を示すセグメント形表示の液晶表示器25、通電状態および負荷6の動作状態を示す複数個(ここでは3個)の発光ダイオード261 ~263 、信号処理回路20から出力される信号に基づい電源回路28から発光ダイオード261 ~263 への給電をオン・オフさせて発光ダイオード261 ~263 を点灯・消灯制御するためのLED点灯回路27とからなる。
…(中略)…
【0023】上述したソーラタイムスイッチは、図4のような外観を有する器体35を備える。この器体35は、合成樹脂のような絶縁材料により形成された分電盤協約寸法として規格化された寸法および形状を有するものであり、分電盤内にDINレール(断面がコ字状であってコ字状の各脚片に外向きに保持片が延長された形状のレールであって、分電盤内に配置される取付レール)を用いて取り付けたり、分電盤内にねじを用いて取り付けたりすることができるように構成されている。器体35の上面には、図5のように、複数個のスイッチS1 ~S12が配列されるとともに、表示手段13となる液晶表示器25および発光ダイオード261 ~263 が配置される。また、器体35の一つの側部には端子台36が設けられ、それぞれねじ付きの端子である2個の電源端子34aと3個ずつ2組のリレー端子34bとが設けられる。電源端子34aは商用電源が接続され、リレー端子34bの各組はそれぞれ1回路ずつの負荷6に対応する。」
(エ) 段落【0032】
「【0032】一方、図2(d)の動作パターン4が選択されたときには、「日入」「定時」「定時」「日出」のすべての文字がブリンク表示され、「日入」から「定時」、「定時」から「日出」の各バー16が表示される。この場合もスイッチS8 ~S11を用いることで各時刻の入力が可能になる。つまり、日入時刻、日出時刻は所定時刻の加減を行なうことができ、定時刻は所望の時刻を直接入力することになる。各時刻は設定毎に設定スイッチS12を押操作することで次の時刻を設定する状態に移行する。このように、スイッチS8 ~S11は定時刻設定手段10としても機能する。上述のようにして動作パターンに時刻の割当てを行なうことによってタイムスケジュールが作成されるのである。」
イ 引用発明の認定
前記アの引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「あらかじめ設定した時刻に負荷をオンまたはオフに制御する電子式タイムスイッチであって、(【0001】)
現在の日時を計時する時計手段と、負荷を制御する設定日時と負荷の制御内容とを組にしたタイムスケジュールを格納するタイムスケジュール記憶手段と、タイムスケジュール記憶手段に格納された設定日時と時計手段により計時されている現在日時とを比較する比較手段と、比較手段により設定日時と現在日時との一致が検出されるとタイムスケジュールに従って負荷を制御する負荷制御手段と、タイムスケジュール記憶手段に格納されたタイムスケジュールを読み出すためのモニタモードを選択するモニタモード切替手段と、読み出したタイムスケージュールを表示するための表示手段と、モニタモードにおいて当日以降で負荷をオンにするタイムスケジュールを検索するとともにその後のタイムスケジュールの日付と時刻との少なくとも一方を表示手段に順に表示させる検索手段と、(請求項1)
太陽の位置により日毎に決まる夕方の所定時刻と朝方の所定時刻とを年間を通じて発生するカレンダ手段と、タイムスケジュール記憶手段の設定日時として所望の定時刻が設定可能な定時刻設定手段と、タイムスケジュール記憶手段の設定日時としてカレンダ手段より発生する上記所定時刻を基準にして求めたカレンダ時刻が設定可能なカレンダ時刻設定手段とを備え、(請求項2)
負荷制御手段は負荷の電源供給路に挿入されるリレー22および信号処理回路20から出力される信号に応じてリレーを駆動するリレー駆動回路23とからなり、リレー22は2回路分設けられており、各リレー22は常閉接点端子、常開接点端子、共通接点端子の3個ずつのリレー端子34bを備え、(【0021】)
器体35を備え、この器体35は、合成樹脂のような絶縁材料により形成された分電盤協約寸法として規格化された寸法および形状を有するものであり、分電盤内にDINレール(断面がコ字状であってコ字状の各脚片に外向きに保持片が延長された形状のレールであって、分電盤内に配置される取付レール)を用いて取り付けたり、分電盤内にねじを用いて取り付けたりすることができるように構成され、(【0023】)
器体35の上面には、複数個のスイッチS1 ~S12が配列され、器体35の一つの側部には端子台36が設けられ、それぞれねじ付きの端子である2個の電源端子34aと3個ずつ2組のリレー端子34bとが設けられ、電源端子34aは商用電源が接続され、リレー端子34bの各組はそれぞれ1回路ずつの負荷6に対応するものであり、(【0023】)
スイッチS8 ~S11を用いることで各時刻の入力が可能になり、定時刻は所望の時刻を直接入力することになり、このように、スイッチS8 ~S11は定時刻設定手段としても機能する、(【0032】)
電子式タイムスイッチ」
(2) 引用文献2の記載事項と引用文献2技術事項の認定
ア 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献2(特開2011-187053号公報)には、以下の事項が記載されている。
(ア) 段落【0001】~【0006】
「【0001】
本発明は、盗難防止機能を有する電子装置及びその揺動検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコン又はメディアプレーヤーのような電子装置は、便利に携帯することができるので、人々は常に公共場所に持ってきて使う。しかし、使用者がちょっと離れると、持ってきた携帯式電子装置が盗まれる現象が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、前記課題を解決し、盗難防止機能を有する電子装置及びその揺動検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る盗難防止機能を有する電子装置は、警報ユニットと、揺動検出器と、前記警報ユニットと前記揺動検出器との間に接続されるマイクロプロセッサーと、を備え、前記揺動検出器は、本体と、前記本体内に収容される水銀と、前記本体に設置される複数の導線と、を備え、隣り合う2つの前記導線は、前記マイクロプロセッサーの電源端及び接地端にそれぞれ接続され、前記マイクロプロセッサーが盗難防止モードに入ってから、前記電子装置が水平放置される場合、隣り合う2つの前記導線は電気接続しないが、前記電子装置が揺動される場合、前記本体内の水銀が移動して隣り合う2つの前記導線を電気接続することにより、前記マイクロプロセッサーの電源端及び接地端が導通し、前記マイクロプロセッサーは前記警報ユニットをスタートして警告する。
【0005】
本発明に係る揺動検出器は、電子装置内の電子素子の電源端及び接地端を導通するために用いられ、本体と、前記本体内に収容される水銀と、前記本体に設置される複数の導線と、を備え、隣り合う2つの前記導線は、前記電子素子の電源端及び接地端にそれぞれ接続され、前記電子装置が水平放置される場合、隣り合う2つの前記導線は電気接続しないが、前記電子装置が揺動される場合、前記本体内の水銀が移動して隣り合う2つの前記導線を電気接続する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る電子装置において、マイクロプロセッサーが盗難防止モードに入ってから、窃盗者が前記電子装置を窃盗する時、前記電子装置が揺動されて、揺動検出器内の水銀が移動して、前記マイクロプロセッサーの電源端及び接地端を導通すると、前記マイクロプロセッサーは警報ユニットをスタートして、窃盗者に警告する。」
(イ) 段落【0008】~【0015】、図1~2
「【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る盗難防止機能を有する電子装置100は、揺動検出器10と、マイクロプロセッサー20と、警報ユニット30と、電気スイッチ40と、を備える。前記揺動検出器10、前記マイクロプロセッサー20及び前記警報ユニット30は、前記電子装置100の内部に設置され、且つ前記マイクロプロセッサー20は、前記揺動検出器10と前記警報ユニット30との間に接続される。前記電気スイッチ40は、前記電子装置100のハウジングに設置され、且つ前記マイクロプロセッサー20と電源50との間に接続される。前記電気スイッチ40をオンして前記マイクロプロセッサー20を盗難防止モードに入らせるか、又はソフトウェアによって前記マイクロプロセッサー20を盗難防止モードに入らせる。本実施形態において、前記電子装置100は、ノートパソコンである。」
「【図1】
[図:0001420961000003.jpg]
」
「【0010】
ソフトウェアによって前記マイクロプロセッサー20を盗難防止モードに入らせる場合、前記電子装置100が待ち状態又はロック状態になると、前記マイクロプロセッサー20を盗難防止モードに入らせるように設定する。
【0011】
ソフトウェアによって前記マイクロプロセッサー20を盗難防止モードに入らせる場合、前記電気スイッチ40を省略することができる。
【0012】
前記警報ユニット30は、警報ランプ32及びブザー34を備える。前記警報ユニット30がスタートされると、前記警報ランプ32が点滅し、前記ブザー34が警報音を出して警告する。他の実施形態において、前記警報ユニット30は、前記警報ランプ32及び前記ブザー34の中の一方だけを備えることができ、又は他の警報機能付き要素を備えることができる。
【0013】
図2を参照すると、前記揺動検出器10は、積層設置されるベース12及びカバー14からなる本体18、水銀16、複数の電源導線122及び複数の接地導線124を備える。前記本体18は、長方体である。前記ベース12の中心には、前記水銀16を収容するための円錐台状の凹部128が設けられる。複数の前記電源導線122及び複数の前記接地導線124は、前記凹部128の開口の周縁に交互に配列される。前記電源導線122の一端は、前記マイクロプロセッサー20の電源端(図示せず)に接続され、前記電源導線122の他端は、前記ベース12の前記カバー14に対面する表面における前記凹部128の開口の周縁に暴露される。前記接地導線124の一端は、前記マイクロプロセッサー20の接地端(図示せず)に接続され、前記接地導線124の他端は、前記ベース12の前記カバー14に対面する表面における前記凹部128の開口の周縁に暴露される。」
「【図2】
[図:0001420961000004.jpg]
」
「【0014】
ソフトウェアによって前記マイクロプロセッサー20を盗難防止モードに入らせる場合、使用者は離れる前に前記電子装置100を待ち状態又はロック状態に設定すると、前記ソフトウェアによって前記マイクロプロセッサー20が盗難防止モードに入る。正常情況で前記電子装置100は水平放置状態になって、前記水銀16は前記凹部128の底部に留まり、前記凹部128の開口の周縁に暴露されている前記電源導線122及び前記接地導線124に接触しない。窃盗者が前記電子装置100を窃盗する時、前記電子装置100が遥動されて、前記水銀16は前記凹部128の底部から前記凹部128の開口の周縁に移動して隣り合う前記電源導線122及び前記接地導線124に接触する。前記水銀16の導電性によって、前記電源導線122及び前記接地導線124が電気接続して、前記マイクロプロセッサー20の電源端及び接地端が導通し、前記マイクロプロセッサー20は前記警報ユニット30をスタートして、前記警報ランプ32が点滅し且つ前記ブザー34が警報音を出して窃盗者に警告する。
【0015】
使用者が帰って前記電子装置100を作動状態又はロック解除状態に設定すると、前記マイクロプロセッサー20は盗難防止モードから退出する。」
イ 引用文献2技術事項の認定
前記アに摘記した事項から、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献2技術事項」という)。
<引用文献2技術事項>
「電子装置において、盗難防止機能として、
警報ユニットと、揺動検出器と、前記警報ユニットと前記揺動検出器との間に接続されるマイクロプロセッサーと、を備え、
窃盗者が前記電子装置を窃盗する時、前記電子装置が揺動されて、前記マイクロプロセッサーは前記警報ユニットをスタートして警告し、警報ユニットがスタートされると、警報ランプが点滅し、ブザーが警報音を出して警告すること。」
(3) 引用文献4、5の記載事項と周知技術1の認定
ア 引用文献4に記載された事項
原査定において周知技術を示す文献として引用された前記引用文献4(特開2001-290553号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、盗難等の事態に対してGPS等の位置検出手段を用いることにより、備え付けの電子機器等のシステムをロックして、盗難、盗用に対してセキュリティを維持することが可能な情報処理装置およびその盗難防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機やファクシミリ装置等のように、特定の場所に備え付けられている機器に対して盗難を防止するシステムとしては、例えば、特開平5-35355号公報に記載のポータブルコンピュータ(従来技術Aと呼ぶ)がある。このシステムによれば、携行の容易なポータブルコンピュータ本体の設置状態を常時監視し、設置状態の変化を検出したとき、システム電源の一部又は全部を遮断する手段を備えおく。すなわち、コンピュータ本体を許可無く定位置から持ち運ぼうとした際には、これを検出して、直ちにシステム電源を遮断し、ハードウェア的にキーロックする構成としている。これにより、コンピュータ本体を許可無く定位置から持ち運ぼうとした際には、その不当な携行に対して本体の使用を不能化し、これによって内部情報も保護されることから、結果的にコンピュータ本体の盗難、盗用を防止することができる。この装置では、電源装置の制御プロセッサに、パラレルI/Oを介してセンサを設け、I/Oドライバを介して上記検知出力によりシステム電源の出力を禁止するスイッチ回路を備えた電源回路を設けた構成を有している。
【0003】また、他の防止システムとしては、例えば特開平9-319662号公報に記載の情報処理装置(従来技術Bと呼ぶ)がある。この装置は、盗聴や盗難に対して情報を保護できる能力が高く、ユーザがアクセスする際の負荷が少なくてすむ。すなわち、GPS測量によって自己の現在地情報を取得し、日記ファイルをオープンする際は、現在地情報と日記ファイルの自宅の所在地情報と照合し、合致している場合にのみ日記データが入出力部に表示される。このシステムにより、自宅以外では日記データにアクセスすることができなくなり、盗難や盗聴に対し日記データを保護することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、情報処理装置において、装置内に記憶されている情報には資産価値が高く、かつ重要で有意な情報を蓄積していることが多い。また、このような情報は一括管理されていて、特定の限られたグループ内において情報を共有することで、便利であるだけでなく、共有することにおける相乗効果により、新規で付加価値が一層高められた情報を生み出す基にもなっている。このような情報の限定された共有化はソフトウエアによってセキュリティの保護がなされている。しかし、一括管理されている情報処理装置そのものが盗難され、装置内に記憶された情報が盗み出され、盗用されることに対しては無防備な状態にある。過去の情報処理装置では、装置自体に対するセキュリティの保護はほとんどなく、ソフトウエアによるパスワード保護がほとんどであった。
【0005】また、従来技術Aでは、特定された携帯される装置に対しての盗難を防止するものであって、設置傾斜量、設置圧変化、設置距離変化を検知する検出器を備え、ポータブルコンピュータにおける微量な変化を検出することでセキュリティを保持しようとするものであった。そのため検出方式が困難かつ複雑になり、ポータブルコンピュータのソフトウエアやハードウエアだけでなく、メカニカル的な機構にまでも微調整が要求されるものになってしまっている。さらに、従来技術Bでは、GPS等で位置情報を取得し、その位置情報をパスワードもしくはキー情報として複合化することによって、情報の照合や情報の暗号化をしてセキュリティの保護をしようとしたものであるが、これもソフトによるパスワード保護と同じことであり、情報処理装置そのものが盗難され内部情報が盗み出されてしまうことに対しては無力である。
【0006】そこで、本発明の目的は、これら従来の課題を解決し、場所が特定されている情報処理装置の盗難に対して、内部に記憶されている情報が盗み出されてしまうことに対処することが可能な情報処理装置およびその盗難防止方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の情報処理装置は、<1>(当審注:<1>は、丸に数字の1。以下同様。)装置の位置情報を取得する位置取得手段と、位置取得手段による装置の位置の状態変化を監視する手段と、位置変化を検出したとき、または位置変化を検出しなくても、移動した痕跡を検出したとき、システムへ供給する電源の一部または全部を停止もしくは遮断する手段とを有することを特徴としている。
<2>また、装置の位置情報を取得する位置取得手段と、位置取得手段による装置の位置の状態変化を監視する手段と、位置変化を検出したとき、または位置変化を検出しなくても、移動した痕跡を検出したとき、システムの起動を禁止、もしくはシステムの動作を停止する手段とを有することも特徴としている。
<3>また、前記システムの起動またはシステムへの電源の出力が禁止された状態にあるとき、特定の情報入力を可能にし、同入力情報の内容から正当性を判断してシステムの禁止状態を解除もしくは位置情報の再設定の手段を有することも特徴としている。
<4>また、前記位置取得手段は、複数の衛星より受信したデータに基づき装置の位置情報を取得可能な手段であることも特徴としている。
【0008】また、本発明による情報処理装置の盗難防止方法は、<5>情報処理装置の内部に記憶される情報の盗難を防止する方法において、位置情報を取得するステップと、取得された現在の位置情報と記憶されている位置情報とを比較するステップと、比較の結果、位置情報が異なる時には、認証が求めるステップと、認証の確認が行われたならば、情報処理装置の位置確定を行うステップと、認証の確認が行われなかったならば、該情報処理装置の稼働を禁止するステップとを有することを特徴としている。さらに、<6>該情報処理装置の位置情報を取得するステップと、該位置情報により該情報処理装置の位置の状態変化を監視するステップと、位置変化を検出したとき、または位置変化を検出しなくても、移動した痕跡を検出したとき、リセット信号やHALT信号を送出して該情報処理装置を強制停止させるか、あるいは割り込み要求による一時停止信号、あるいはパスワード入力を求めるソフト的な信号を送出して該情報処理装置に規制を行うステップとを有することも特徴としている。」
イ 引用文献5に記載された事項
原査定において周知技術を示す文献として引用された前記引用文献5(特開2007-265139号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、特にセキュリティ技術に関する。」
「【0011】
図3は本発明の実施形態に係る情報処理装置のセキュリティ動作を示すフローチャートである。GPS15による位置検出や、3Dセンサ22による移動量の検出により、情報処理装置1の移動が検出される(ステップ1-1)。情報処理装置1があらかじめ設定された距離以上に移動した場合、あらかじめ設定された領域外に移動した場合、無線通信による異常応答の状況を検出した場合等に、盗難の可能性があると判断する(ステップ1-2のYes)。具体的には、GPS15による位置検出、3Dセンサ22による基準量以上の移動量の検出、無線通信におけるアクセスポイントの変化や、無線接続の切断等により盗難かどうかを判断する。3Dセンサ22により検出する移動量の基準値はEC/KBC20に接続された専用のメモリ(図示せず)に記憶されている。主電源スイッチ7により本体2の電源を入れていない時も、EC/KBC20の部分は専用のサブバッテリ26で駆動しているため、3Dセンサ22により情報処理装置1の移動を検出することができる。情報処理装置1の移動量があらかじめ設定された距離以下である場合や、あらかじめ設定された領域内での移動である場合は盗難ではないと判断し(ステップ1-2のNo)、特別な処理は行わない。」
「【図3】
[図:0001420961000005.jpg]
」
「【0012】
情報処理装置1の盗難の可能性があると判断すると(ステップ1-2のYes)、アラーム回路23によりアラームを発生させる(ステップ1-3)。本体2の電源を入れていない時も、EC/KBC20の部分は専用のサブバッテリ26で駆動しているため、アラーム回路23によりアラームを鳴らすことは可能である。本体2の電源を入れていない状態でアラームを鳴らした場合、アラームを鳴らしたことを契機として、EC/KBC20によって本体2の電源を入れるようにしても良い。アラームを発生させたら、ユーザにパスワードの入力を要求する(ステップ1-4)。本体2の電源が入っていない場合は、パスワードの入力を要求する時にEC/KBC20によってディスプレイユニット4やキーボード7等のパスワード入力に必要なユニットを使用できるようにする。アラームが発生した後に入力したパスワードが正しい場合は(ステップ1-5のYes)、アラームをオフにする(ステップ1-6)。情報処理装置1があらかじめ設定された距離以上移動した場合や、あらかじめ設定された領域外へ移動した場合でも、正規のユーザによる場合は、キーボード7によりパスワードを入力することでアラームを解除することができる。
【0013】
入力したパスワードが誤っている場合は(ステップ1-5のNo)、正規のユーザによる持ち出しではなく第三者による盗難であると判断する。正しいパスワードが入力されない場合は、繰り返しパスワード入力を要求し、アラームは鳴り続ける。この時、所定の回数以上パスワード入力に失敗した場合は、以後のパスワード入力を受け付けないようにしても良い。正しいパスワードが入力されない場合は、アラームは鳴り続けるが一定時間経過すると(ステップ1-7)、アラームをオフする(ステップ1-8)。アラームをオフした後に情報処理装置1を通常の動作モード(第1のモード)とは異なる盗難用のモード(第2のモード)に切り替える(ステップ1-9)。第2のモードへの切り替えは自動的に行う。
【0014】
盗難用の第2のモードでは、無線通信モジュール14、GPS15、3Dセンサ22等の限られたユニットのみオンとし、ディスプレイユニット4による表示動作やキーボード7によるキー入力動作は禁止する。第2のモード中は必要なユニットのみを動作させ、使用しないユニットをオフにすることで消費電力を低減することができる。第2のモードに移行する時はアラーム等を鳴らさず、情報処理装置1を持ち出した者に気付かれないように移行する。
【0015】
GPS15や3Dセンサ22により盗難の可能性があると判断された時は、盗難防止や不正操作防止のために、アラームを発生させ、パスワードの入力を要求することが望ましい。情報処理装置1の盗難を検知して第2のモードに切り替えるためには、アラームの発生やパスワードの入力要求は必ずしも必要ではなく、これらの動作を行わずに第2のモードに移行するようにしても良い。また、アラームをオフせずにアラームを鳴らしたまま第2のモードに移行しても良い。」
ウ 周知技術1の認定
前記ア及びイにおいて引用文献4、5の記載を摘記して例示したように、次の技術事項は、本願出願以前に周知技術(以下「周知技術1」という。)であったと認められる。
<周知技術1>
「GPS測量によって機器の座標を取得し、機器の座標に所定の変化があった場合に、機器が盗難された可能性があると判断すること。」
(4) 引用文献7の記載事項と技術常識1の認定
ア 引用文献7に記載された事項
当審において新たに引用する次の文献(以下「引用文献7」という。)には、以下の事項が記載されている。
スズデン株式会社 もの造りサポーティングサイト FA Ubon、「年間式(JIS協約型)タイムスイッチ TB24101K TB24201」、[online]、2012年11月9日アーカイブ、[令和6年12月2日検索]、インターネット<https://web.archive.org/web/20121109203223/http://fa-ubon.jp/product/category_tb24101_pana.html>
「
[図:0001420961000006.jpg]
」
イ 技術常識1の認定
前記アにおいて引用文献7の記載を摘記して例示したように、次の事項は、本願出願以前に技術常識(以下「技術常識1」という。)であったと認められる。
<技術常識1>
「タイムスイッチが相応の販売価格で販売されていること。」
2 対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 構成X-1及びX-2の観点
(ア) 引用発明の「電子式タイムスイッチ」は、本願発明の「タイムスイッチ」に相当する。
(イ)a 引用発明は、「タイムスケジュールを格納するタイムスケジュール記憶手段」「の設定日時として所望の定時刻が設定可能な定時刻設定手段」を備える。
b そして、引用発明において、「定時刻設定手段としても機能する」「スイッチS8 ~S11を用いることで各時刻の入力が可能になり、定時刻は所望の時刻を直接入力することにな[る]」ところ、「所望の時刻」が設定入力者(ユーザ)の所望する時刻であることは明らかである。
c そのため、引用発明の「タイムスケジュール」は、設定入力者(ユーザ)の所望する時刻を入力して設定したものといえるから、本願発明の「ユーザによって設定されたタイムスケジュール」に相当する。
(ウ)a 引用発明は「あらかじめ設定した時刻に負荷をオンまたはオフに制御する電子式タイムスイッチ」であり、ここで「あらかじめ設定した時刻」が前記タイムスケジュールとして設定された時刻であることは明らかである。
b また、引用発明の備える「負荷制御手段は負荷の電源供給路に挿入されるリレー22および信号処理回路20から出力される信号に応じてリレーを駆動するリレー駆動回路23とからな[る]」ものであるから、「負荷制御手段」の「リレー駆動回路23」が「リレーを駆動する」ことにより、「負荷」及び「電源」の電気的な接続がオン及びオフされることは明らかである。
c したがって、前記(イ)を踏まえると、引用発明において、「負荷制御手段」の「リレー駆動回路23」が「リレーを駆動する」ことは、本願発明において、「ユーザによって設定されたタイムスケジュールにしたがって負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフする」ことに相当する。
(エ) 前記(ア)~(ウ)の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、「ユーザによって設定されたタイムスケジュールにしたがって負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするタイムスイッチ」の発明である点で一致する。
イ 構成A及び構成Bの観点
構成A及び構成Bの観点において、本願発明と引用発明は相違する。
(2) 一致点及び相違点の認定
上記(1)の対比分析の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違する。
ア 一致点
「ユーザによって設定されたタイムスケジュールにしたがって負荷及び電源の電気的な接続をオン及びオフするタイムスイッチ」である点。
イ 相違点
本願発明が、「前記タイムスイッチの座標を検知することにより前記タイムスイッチが移動されたことを検知するセンサと、前記センサの検知結果に基づいて前記タイムスイッチが移動されたことを通知するための通知処理を行う制御部とを備える」のに対して、
引用発明では、電子タイムスイッチの座標を検知するセンサを備えておらず、そのため、電子タイムスイッチが移動されたことを通知するための通知処理を行う制御部も備えていない点。
3 判断
前記相違点について検討する。
(1) 引用文献2技術事項は、前記1(2)イにおいて認定したとおり、「電子装置において、盗難防止機能として、警報ユニットと、揺動検出器と、前記警報ユニットと前記揺動検出器との間に接続されるマイクロプロセッサーと、を備え、窃盗者が前記電子装置を窃盗する時、前記電子装置が揺動されて、前記マイクロプロセッサーは前記警報ユニットをスタートして警告し、警報ユニットがスタートされると、警報ランプが点滅し、ブザーが警報音を出して警告すること。」である。
そして、引用文献2技術事項の「揺動検出器」は、本願発明の「タイムスイッチの座標を検知することにより前記タイムスイッチが移動されたことを検知するセンサ」と、「機器が窃盗されたことを検知するセンサ」である点で共通する。
また、本願特許請求の範囲の請求項4に「前記通知処理として、前記スピーカに警告音を出力させる処理を行う」と記載されていることから、本願発明の「通知処理」が警告音の出力処理を含むものであることは明らかであり、これを踏まえると、引用文献2技術事項の「窃盗者が前記電子装置を窃盗する時、前記電子装置が揺動されて」「前記警報ユニットをスタートして警告し、警報ユニットがスタートされると、警報ランプが点滅し、ブザーが警報音を出して警告する」「マイクロプロセッサー」は、本願発明の「センサの検知結果に基づいて前記タイムスイッチが移動されたことを通知するための通知処理を行う制御部」と、「機器が窃盗されたことを通知するための通知処理を行う制御部」である点で共通する。
(2) ここで、引用文献2技術事項に係る盗難防止という課題は、適用される機器自体の機能に依存するものではないから、引用発明の電子式タイムスイッチにおいても共通するものであるといえる。
特に、引用発明の「タイムスイッチ」は、本願出願前より、相応の価格をもって販売されており(前記技術常識1を参照。)、金銭的価値を有するものである(盗難の対象となるおそれがある)ことは当業者の技術常識である。
(3) したがって、引用発明において、引用文献2技術事項を適用することは、当業者であれば容易に想到し得たことであり、その際、機器が窃盗されたことを判断するためにどのようなセンサを設けるかは当業者が適宜決定すべき事項にすぎないところ、「GPS測量によって機器の座標を取得し、機器の座標に所定の変化があった場合に、機器が盗難された可能性があると判断すること」が周知技術であること(前記周知技術1を参照。)を踏まえると、引用発明に引用文献2技術事項を適用する際にGPSを採用して、引用発明の「電子式タイムスイッチ」の座標を検知することにより、その移動を検知して通知するように構成し、前記相違点に係る本願発明の構成とすることは、技術の具体的適用に伴って当業者が適宜なすべき設計変更にすぎない。
(4) 総合評価
前記(1)~(3)において検討したとおり、前記相違点に係る本願発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著なものを認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2技術事項、技術常識1及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 請求人の主張について
ア 請求人の主張内容
審判請求書において、請求人は、おおよそ次のような主張をしている。
電子式タイムスイッチは、ノートパソコンやファクシミリ装置のように認知度の高い装置ではなく、一見しただけでは使用方法が分からず、また、価格も不明であることから、盗難される可能性が低い装置であるところ、いずれの引用文献にも電子式タイムスイッチに盗難防止機能を付加する動機となる記載がないため、引用発明に引用文献2技術事項、周知技術1を組み合わせて本願発明に想到することができるという論理は成り立たない。
イ 請求人の主張についての検討
引用文献1、2、4及び5において、電子式タイムスイッチに盗難防止機能を付加する動機に関する直接的な記載がないとしても、前記(2)において検討したとおり、当業者が引用発明において盗難防止機能を付加する動機は存在するといえるから、前記主張は採用できない。
第5 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-016227