特許拒絶査定不服審判
2023-017063
遊技機
- 審判番号
- 2023-017063
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-044951外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年10月06日
- 審決日
- 2024年05月28日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .572-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-44951「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和4年5月18日出願公開、特開2022-75855〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年10月11日(以下「出願遡及日」という。)に出願した特願2017-198102号の一部を令和4年3月22日に新たな特許出願としたものであって、同年10月12日に手続補正書が提出され、令和5年1月31日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月7日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年7月3日付け(送達日:同年同月11日)で、拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年10月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年10月6日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和5年4月7日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
(本件補正前の請求項1)
「A 発射手段と、
B 該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域と、
C 該流下領域の所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段と、
D 前記所定の領域の一部に対応して設けられ、対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する遊技球誘導部材と、
E 前記複数の所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、
F 前記遊技価値として遊技球を付与する付与手段と、
G 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記付与手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段と、
H を備える遊技機であって、
前記遊技価値付与手段は、
E1 前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、
E2 当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、
E3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
G1 前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、
G2 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段と、
G3 該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、
G4 前記処理結果情報に対応する情報と遊技状態の変化に対応する情報とを出力する手段と、
G5 前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、
E4 前記遊技価値付与手段は、前記第2参照用情報記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成され、前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものである
ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、
(本件補正後の請求項1)
「A 発射手段と、
B 該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域と、
C 該流下領域の所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段と、
D 前記所定の領域の一部に対応して設けられ、対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する遊技球誘導部材と、
E 前記複数の所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、
F 前記遊技価値として遊技球を付与する付与手段と、
G 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記付与手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段と、
H を備える遊技機であって、
前記遊技価値付与手段は、
E1 前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、
E2 当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、
E3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
G1 前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、
G2 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段と、
G3 該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、
G4 前記処理結果情報に対応する情報と、遊技状態の変化のタイミングが把握可能な情報とを外部に出力し得る手段と、
G5 前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、
I 前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、異なる基板ボックスに収納され、
E4 前記遊技価値付与手段は、前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものである
ことを特徴とする遊技機。」
とする補正を含むものである(「A」等は分説のために、下線は補正箇所を示すために合議体が付した。)。
2 補正の適否について
(1)補正の目的について
ア 「G4 前記処理結果情報に対応する情報と、遊技状態の変化のタイミングが把握可能な情報とを外部に出力し得る手段」とする補正について
(ア)本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「遊技状態の変化に対応する情報」を「遊技状態の変化のタイミングが把握可能な情報」とする補正は、「遊技状態の変化に対応する情報」について「タイミングが把握可能な」ものであることを限定するものといえる。
(イ)本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「出力」を「外部に出力」とする補正は、「外部に」として出力の対象を限定するものといえる。
(ウ)本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「出力する手段」を「出力し得る手段」とする補正は、「出力する手段」が必ず出力する手段であり、「出力し得る手段」が条件に応じて出力したり出力しなかったりする手段であると解するのが相当であるから、後者は前者を限定したものとはいえない。
イ 「I 前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、異なる基板ボックスに収納され」とする補正について
請求項1において「前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、異なる基板ボックスに収納され」ることを追加する補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記遊技価値付与手段」と、「前記処理実行手段」とについて、「異なる基板ボックスに収納され」ることを限定するものといえる。
ウ 「E4 前記遊技価値付与手段は、前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものである」とする補正について
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「E4 前記遊技価値付与手段は、前記第2参照用情報記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成され、前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものである」ことから、「前記第2参照用情報記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成され」ることを省く補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものということはできない。
エ 小括
上記ア(ウ)及びウに係る補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものではなく、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものということはではない。
また、上記ア(ウ)及びウに係る補正が、誤記の訂正、又は、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。
(2)新規事項について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0212】、【0228】、【0229】、【0230】、【0241】、【0242】、【0417】、【0419】、【0423】及び【0879】等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記(1)ア(ウ)及びウに係る補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的とするものでもない。
よって、上記(1)ア(ウ)及びウに係る補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3 独立特許要件について
仮に、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1に(本件補正後の請求項1)として記載したとおりのものである。
(2)引用文献及び引用発明
原査定で引用され、本願の出願遡及日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-164457号公報(平成29年9月21日公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図面とともに記載されている(なお、下線は合議体が付した。以下同じ。)。
ア 「【0011】
A.第1実施形態:
A1.遊技機の構造:
図1は、本発明の一実施形態としてのパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」ともいう)の斜視図である。パチンコ機10は・・・
・・・
【0025】
第1始動口33及び第2始動口34は、共に上向きに開放されており、第1始動口33が第2始動口34よりも上方となるように鉛直方向に並んで配置されている。本実施形態では、第1始動口33に遊技球が入賞すると3個の遊技球が賞球として払い出される。第2始動口34には、左右一対の可動片よりなる電動役物34aが設けられている。電動役物34aが閉鎖状態のときには、遊技球は第2始動口34に入賞することはできない。一方、電動役物34aが開放状態のときには、遊技球は第2始動口34に入賞することができる。本実施形態では、第2始動口34に遊技球が入賞すると4個の遊技球が賞球として払い出される。なお、遊技盤30の最下部にはアウト口43が設けられており、各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口43を通って遊技領域PAから排出される。
・・・
【0336】
図31は、音声発光制御装置90及び表示制御装置100の電気的構成を中心として示すブロック図である。なお、電源装置85等の一部の構成は省略されている。音声発光制御装置90に設けられた音声発光制御基板91には、MPU92が搭載されている。MPU92は、ROM93、RAM94、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵された素子である。」
イ 「【1629】
M.第13実施形態:
M1.遊技機の構造:
次に第13実施形態について説明する。以下では、本実施形態と上記実施形態との相違点について説明する。本実施形態において上記各実施形態と異なる点は、主側MPU62に、後述する遊技履歴管理チップ300が設けられている点である。上記実施形態と同一の構成および処理については説明を省略する。
【1630】
図175は、第13施形態におけるパチンコ機の斜視図である。パチンコ機10は・・・
・・・
【1632】
前扉枠14には、遊技球を貯留するための上皿20と下皿21とが設けられている。上皿20は、上面が開放した箱状に形成されており、図示しない貸出機から貸し出された貸出球やパチンコ機本体12から排出された賞球などの遊技球を貯留する。上皿20に貯留された遊技球は、パチンコ機本体12が備える遊技球発射機構に供給される。遊技球発射機構は、遊技者による操作ハンドル25の操作によって駆動し、上皿20から供給された遊技球を遊技盤の前面に発射する。下皿21は、上皿20の下方に配置されており、上面が開放した箱状に形成されている。下皿21は、上皿20で貯留しきれなかった遊技球を貯留する。下皿21の底面には、下皿21に貯留された遊技球を排出するための排出口22が形成されている。排出口22の下方にはレバー23が設けられており、遊技者がレバー23を操作することによって、排出口22の閉状態と開状態とを切り替えることが可能である。遊技者がレバー23を操作して排出口22を開状態にすると、排出口22から遊技球が落下し、遊技球は下皿21から外部に排出される。
・・・
【1637】
第1制御ユニット51は、主制御装置60を備えている。主制御装置60は、遊技の主たる制御を司る機能と電源を監視する機能とを有する主制御基板を有している。主制御基板は、透明樹脂材料からなる基板ボックスに収容されている。この基板ボックスは、開閉の痕跡が残るように構成されている。例えば、開閉可能な箇所に封印シールが貼付されており、基板ボックスを開放すると「開封」といった文字が現れるように構成されている。
・・・
【1641】
図177は、遊技盤30の正面図である。遊技盤30は、合板によって構成されており、その前面には遊技領域PAが形成されている。遊技盤30には、遊技領域PAの外縁の一部を区画するようにして内レール部31aと、外レール部31bとが取り付けられている。内レール部31aと外レール部31bとの間には、遊技球を誘導するための誘導レール31が形成されている。遊技球発射機構から発射された遊技球は、誘導レール31に誘導されて遊技領域PAの上部に放出され、その後、遊技領域PAを流下する。遊技領域PAには、遊技盤30に対して略垂直に複数の釘42が植設されるとともに、風車等の各役物が配設されている。これら釘42や風車は、遊技領域PAを流下する遊技球の落下方向を分散、整理する。
・・・
【1645】
第2始動口34は、遊技球が入球可能な入球口であり、遊技盤30の右側に設けられている。本実施形態では、第2始動口34に遊技球が入球すると、3個の遊技球が賞球として払い出されるとともに、後述する大当たり抽選が実行される。また、第2始動口34には、普通電動役物としての電動役物34aが設けられている。
・・・
【1647】
可変入賞装置36は、遊技盤30の背面側へと通じる大入賞口36aと、当該大入賞口36aを開閉する開閉扉36bとを備えている。開閉扉36bは、通常は遊技球が大入賞口36aに入球できない閉鎖状態となっている。第1始動口33又は第2始動口34に遊技球が入球すると、主制御装置60は、大当たり抽選(内部抽選)を実行する。大当たり抽選の結果、大当たり又は小当たりに当選すると、パチンコ機10は、開閉実行モードに移行する。開閉実行モードとは、可変入賞装置36の開閉扉36bの開閉処理を実行するモードである。具体的には、可変入賞装置36の開閉扉36bは、開閉実行モードに移行すると、遊技球が入球できない閉鎖状態から遊技球が入球可能な開放状態に遷移するとともに、所定の条件が満たされた後に、再び、閉鎖状態に遷移する。本実施形態では、可変入賞装置36の大入賞口36aに遊技球が入球すると、払出装置71によって15個の遊技球が賞球として払い出される。
・・・
【1668】
主制御装置60は、遊技の主たる制御を司る主制御基板61を備えている。主制御基板61は、複数の機能を有する素子によって構成されるMPU62を備えている。MPU62は、各種制御プログラムを実行するCPU62xと、各種制御プログラムや固定値データを記録したROM63と、ROM63内に記録されているプログラムをCPU62xが実行する際に各種データ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64と、入出力ポート62aとを備えている。MPU62は、さらに、遊技履歴管理チップ300と、検査用端子65とを備えている。
・・・
【1672】
また、MPU62の入力側には、各入球口に設けられた入球検知センサーが接続されている。具体的には、大入賞口36aに入球した遊技球を検知する大入賞口検知センサー44aと、第1始動口33に入球した遊技球を検知する第1始動口検知センサー44bと、第2始動口34に入球した遊技球を検知する第2始動口検知センサー44cと、第1入賞口32aに入球した遊技球を検知する第1入賞口検知センサー44dと、第2入賞口32bに入球した遊技球を検知する第2入賞口検知センサー44eと、第3入賞口32cに入球した遊技球を検知する第3入賞口検知センサー44fと、スルーゲート35を通過した遊技球を検知するスルーゲート検知センサー44gと、上述した排出通路を通過した遊技球を検知する排出通路検知センサー44hとが接続されている。MPU62は、これらの検知センサーからの信号に基づいて、遊技領域PAを流下する遊技球が始動口や入賞口に入球したか否かの判定や、遊技球がスルーゲートや排出通路を通過したか否かの判定を行う。さらに、MPU62は、第1始動口33、第2始動口34への遊技球の入球に基づいて大当たり抽選を実行する。
・・・
【1675】
また、MPU62の送信側には、払出制御装置70と、音声発光制御装置90とが接続されている。払出制御装置70には、例えば、主制御装置60から入球判定結果に基づいて賞球コマンドが送信される。主制御装置60が賞球コマンドを送信する際には、主制御基板61のMPU62は、ROM63のコマンド情報記憶エリア63fを参照する。具体的には、一般入賞口32への遊技球の入球を特定した場合には10個の遊技球の払い出しに対応した賞球コマンドが主制御装置60から送信され、第1始動口33への遊技球の入球を特定した場合には3個の遊技球の払い出しに対応した賞球コマンドが主制御装置60から送信され、第2始動口34への遊技球の入球を特定した場合には1個の遊技球の払い出しに対応した賞球コマンドが主制御装置60から送信される。払出制御装置70は、主制御装置60から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置71を制御して賞球の払出を行う。
・・・
【1677】
音声発光制御装置90は、主制御装置60から送信された各種コマンドを受信し、受信した各種コマンドに対応した処理を実行する。具体的には、音声発光制御装置90は、主制御装置60から受信した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に配置されたLEDなどの発光手段からなる各種ランプ47の駆動制御や、スピーカー46の駆動制御を行うとともに、表示制御装置100の制御を行う。また、音声発光制御装置90には、演出操作ボタン24が接続されており、所定のタイミングで遊技者によって演出操作ボタン24が操作された場合には、当該操作を反映した遊技演出を行うように各種ランプ47、スピーカー46、表示制御装置100等の制御を行う。
・・・
【1680】
主側MPU62の主側ROM63には、賞球数データ記憶エリアと、演算実行条件記憶エリアとが設けられている。
・・・
【1682】
主側MPU62は、主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを参照することによって、遊技球が各入球部に入球した場合に賞球として払い出す遊技球の個数を決定する。
・・・
【1697】
・・・本実施形態では、CPU308は、レジスタ304に記憶された排出通路通過個数・・・の値が500個に達する毎に、遊技履歴情報として下記の値を算出する。
【1698】
・役物比率
=役物作動によって賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数
・・・
・連続役物比率
=連続役物作動によって賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数
・・・
【1699】
なお、上記の値の算出根拠は以下の通りである。
・役物作動によって賞球として払い出された遊技球の個数
=普通電動役物としての電動役物34a及び特別電動役物としての可変入賞装置36が作動することによって賞球として払い出された遊技球の個数
=第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数」
・・・
・連続役物作動によって賞球として払い出された遊技球の個数
=特別電動役物としての可変入賞装置36が作動することによって賞球として払い出された遊技球の個数
=大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数
・・・
【1701】
・・・
・前扉枠開放中入球率
=前扉枠14が開放中に各入球口に入球した遊技球の個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数
・エラー中入球率
=エラー中に各入球口に入球した遊技球の個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数
・・・
【1705】
検査機320は、接続ケーブル329が検査用端子65に接続されたことを検出すると、遊技履歴情報の送信を要求する送信要求コマンドを遊技履歴管理チップ300に送信する。遊技履歴管理チップ300のCPU308は、検査機320から送信要求コマンドを受信すると、検査用端子65を介して演算結果記憶用メモリ309に記憶された遊技履歴情報を検査機320に送信する。これにより、検査機320は、演算結果記憶用メモリ309に記憶されている遊技履歴情報を取得するとともに、取得した遊技履歴情報を表示部328に表示させる。
・・・
【1788】
さらに、本実施形態では、遊技履歴管理チップ300及び主側CPU62xは、共に主側MPU62に搭載されており・・・」
ウ 「【1797】
M4.第13実施形態の他の態様:
・・・
【1831】
<態様7>
上記第13実施形態では、遊技履歴管理チップ300が役物比率等の遊技履歴情報を算出する構成としたが、バッファにおける入球情報をそのまま記憶し、当該入球情報に基づいて検査機320が遊技履歴情報を算出する構成としてもよい。このような構成によれば、遊技履歴管理チップ300の処理負荷を低減することができる。以下、態様7の詳細について、上記第13実施形態との相違点を中心に説明する。
・・・
【1842】
入球情報記憶用メモリ309bは、バッファ302に記憶された入球情報及び遊技球が入球した際の遊技状態に関する情報を順次記憶するメモリであり、本実施形態では、電源の供給が絶たれても記憶を保持することが可能な不揮発性のメモリによって構成されている。さらに、本実施形態では、入球情報及び遊技状態に関する情報が記憶される際に、遊技球が各入球口に入球した日時情報が付加されて記憶される。また、入球情報記憶用メモリ309bには、入球情報等が書き込まれた順番に関する情報も記憶されており、CPU308は、入球情報等を書き込むための空きエリアがない場合には、入球情報等を、書き込まれた順番が最も古い入球情報等が記憶されているエリアに記憶させる。すなわち、入球情報記憶用メモリ309bは、最も古い入球情報等から順番に上書きされるように構成(ファーストイン・ファーストアウト方式)されており、常に直近の入球情報等が記憶されている状態となる。
・・・
【1844】
検査機320は、上述したように、接続ケーブル329が検査用端子65に接続されたことを検出すると、入球情報等及び賞球数データの送信を要求する送信要求コマンドを遊技履歴管理チップ300に送信する。遊技履歴管理チップ300のCPU308は、検査機320から送信要求コマンドを受信すると、検査用端子65を介して入球情報記憶用メモリ309bに記憶された入球情報、遊技状態に関する情報及び日時情報と、賞球数データ記憶用メモリ306に記憶された賞球数データとを検査機320に送信する。そして、検査機320は、受信したこれらの情報に基づいて遊技履歴情報を算出し、算出した遊技履歴情報を表示部328に表示させる。
・・・
【1850】
また、態様7では、遊技履歴情報を算出するための演算を検査機320のCPU321が実行する構成としたが、当該演算の一部又は全部を遊技履歴管理チップ300のCPU308が実行し、当該演算の結果である遊技履歴情報を検査機320に送信する構成としてもよい。
・・・
【1912】
<態様21>
上記第13実施形態及び上記の他の態様において、音声発光制御装置90が遊技履歴情報を算出する構成としてもよい。具体的には、例えば、主制御装置60の主側CPU62xが初期設定処理において主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信する構成とし、音声発光制御装置90は、取得した賞球数データと、主制御装置60から送信される遊技球の入球情報とに基づいて遊技履歴情報を算出し、当該算出した遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させる構成としてもよい。
・・・
【1917】
<態様25>
上記第13実施形態及び上記の態様1から態様24に含まれる1又は複数の構成を適宜差し替えたり組み合わせた構成を採用してもよい。・・・これにより、その差し替えたり組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。また、上記第13実施形態及び上記の態様1から態様24に含まれる1又は複数の構成と第13実施形態以外の実施形態に含まれる1又は複数の構成とを組み合わせてもよい。また、上記第13実施形態及び上記の態様1から態様24に含まれる構成のうち、必須でない構成は、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜省略することが可能である。」
上記ア~ウからみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(a等は本願補正発明の構成A等に概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。)
「a 遊技者による操作ハンドル25の操作によって駆動し、上皿20から供給された遊技球を遊技盤の前面に発射する遊技球発射機構と(【1632】)、
b 遊技盤30の前面に形成され、遊技球発射機構から発射された遊技球が流下する遊技領域PAと(【1641】)、
c 遊技領域PAを流下する遊技球が始動口や入賞口に入球したか否かの判定を行うための検知センサーであって、大入賞口36aに入球した遊技球を検知する大入賞口検知センサー44aと、第1始動口33に入球した遊技球を検知する第1始動口検知センサー44bと、第2始動口34に入球した遊技球を検知する第2始動口検知センサー44cと、第1入賞口32aに入球した遊技球を検知する第1入賞口検知センサー44dと、第2入賞口32bに入球した遊技球を検知する第2入賞口検知センサー44eと、第3入賞口32cに入球した遊技球を検知する第3入賞口検知センサー44fと(【1672】)、
d 第2始動口34に設けられ、左右一対の可動片よりなり、閉鎖状態のときに遊技球は第2始動口34に入賞することはできず、開放状態のときに遊技球は第2始動口34に入賞することができることとなる(【0025】)電動役物34a(【1645】)、及び、大入賞口36aを開閉するように備えられ、通常は遊技球が大入賞口36aに入球できない閉鎖状態となっており、開閉実行モードに移行すると遊技球が入球できない閉鎖状態から遊技球が入球可能な開放状態に遷移することとなる開閉扉36b(【1647】)と、
e 入力側に大入賞口検知センサー44a、第1始動口検知センサー44b、第2始動口検知センサー44c、第1入賞口検知センサー44d、第2入賞口検知センサー44e及び第3入賞口検知センサー44fが接続され、これらの検知センサーからの信号に基づいて、遊技領域PAを流下する遊技球が始動口や入賞口に入球したか否かの判定を行い(【1672】)、賞球コマンドを払出制御装置70に送信する(【1675】)主制御装置60が備える主制御基板61が備えるMPU62(【1668】)と、
f MPU62の送信側に接続され、主制御装置60から受信した賞球コマンドに基づいて払出装置71を制御して賞球の払出を行う払出制御装置70と(【1675】)、
g MPU62の送信側に接続され(【1675】)、主制御装置60から受信した各種コマンドに基づいて、各種ランプ47の駆動制御や、スピーカー46の駆動制御や、表示制御装置100の制御を行うとともに(【1677】)、『役物比率=(【1698】)第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数(【1699】)/賞球として払い出された遊技球の合計個数(【1698】)』、『連続役物比率=(【1698】)大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数(【1699】)/賞球として払い出された遊技球の合計個数(【1698】)』、『前扉枠開放中入球率=前扉枠14が開放中に各入球口に入球した遊技球の個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数』、『エラー中入球率=エラー中に各入球口に入球した遊技球の個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数』(【1701】)等の遊技履歴情報(【1697】)を算出する音声発光制御装置90(【1912】)と、
h を備えるパチンコ機10であって(【1630】)、
MPU62は、
e1 遊技球が各入球部に入球した場合に賞球として払い出す遊技球の個数を決定するために参照する賞球数データを記憶する(【1682】)賞球数データ記憶エリアが設けられるROM63(【1680】)と、
e2、e4 搭載されているCPU62x(【1788】)が初期設定処理においてROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信する構成を備え(【1912】)、
e3 主制御装置60は、遊技球の入球情報を音声発光制御装置90に送信する構成を備え(【1912】)、
音声発光制御装置90は、
g1、g2 主制御装置60から送信される遊技球の入球情報と、初期設定処理において取得した賞球数データとに基づいて遊技履歴情報を算出する(【1912】)演算の一部又は全部を実行する構成(【1850】)と、
g3、g4 検査機320が接続されると(【1705】、【1844】)、入球情報、遊技球が入球した際の遊技状態に関する情報及び日時情報と、賞球数データと(【1842】、【1844】)、算出した一部又は全部の遊技履歴情報を(【1850】、【1912】)検査機320に送信する構成と(【1705】、【1844】)、
g5 当該算出した遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させる構成と(【1912】)、を備え
i 主制御装置60は主制御基板を有し、主制御基板は、透明樹脂材料からなり、開閉の痕跡が残るように構成される基板ボックスに収容され(【1637】)、音声発光制御装置90には音声発光制御基板91が設けられる(【0336】)
パチンコ機10。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「a 遊技者による操作ハンドル25の操作によって駆動し、上皿20から供給された遊技球を遊技盤の前面に発射する遊技球発射機構」は、本願補正発明の「A 発射手段」に相当する。
イ 引用発明の「b 遊技盤30の前面に形成され、遊技球発射機構から発射された遊技球が流下する遊技領域PA」は、本願補正発明の「B 該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域」に相当する。
ウ 引用発明の「c 遊技領域PAを流下する遊技球が始動口や入賞口に入球したか否かの判定を行うための検知センサーであって、大入賞口36aに入球した遊技球を検知する大入賞口検知センサー44aと、第1始動口33に入球した遊技球を検知する第1始動口検知センサー44bと、第2始動口34に入球した遊技球を検知する第2始動口検知センサー44cと、第1入賞口32aに入球した遊技球を検知する第1入賞口検知センサー44dと、第2入賞口32bに入球した遊技球を検知する第2入賞口検知センサー44eと、第3入賞口32cに入球した遊技球を検知する第3入賞口検知センサー44f」は、遊技領域PAの大入賞口36a、第1始動口33、第2始動口34、第1入賞口32a、第2入賞口32b、第3入賞口32cといった所定の領域を通過した遊技球を検知する大入賞口検知センサー44a、第1始動口検知センサー44b、第2始動口検知センサー44c、第1入賞口検知センサー44d、第2入賞口検知センサー44e、第3入賞口検知センサー44fといった複数の検知手段といえるから、本願補正発明の「C 該流下領域の所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段」に相当する。
エ 引用発明の「d 第2始動口34に設けられ、左右一対の可動片よりなり、閉鎖状態のときに遊技球は第2始動口34に入賞することはできず、開放状態のときに遊技球は第2始動口34に入賞することができることとなる電動役物34a、及び、大入賞口36aを開閉するように備えられ、通常は遊技球が大入賞口36aに入球できない閉鎖状態となっており、開閉実行モードに移行すると遊技球が入球できない閉鎖状態から遊技球が入球可能な開放状態に遷移することとなる開閉扉36b」は、閉鎖状態のとき遊技球が入球できず遊技球の通過を制限するといえるから、本願補正発明の「D 前記所定の領域の一部に対応して設けられ、対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する遊技球誘導部材」に相当する。
オ 引用発明の「e 入力側に大入賞口検知センサー44a、第1始動口検知センサー44b、第2始動口検知センサー44c、第1入賞口検知センサー44d、第2入賞口検知センサー44e及び第3入賞口検知センサー44fが接続され、これらの検知センサーからの信号に基づいて、遊技領域PAを流下する遊技球が始動口や入賞口に入球したか否かの判定を行い、賞球コマンドを払出制御装置70に送信する主制御装置60が備える主制御基板61が備えるMPU62」は、本願補正発明の「E 前記複数の所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段」に相当する。
カ 引用発明の「f MPU62の送信側に接続され、主制御装置60から受信した賞球コマンドに基づいて払出装置71を制御して賞球の払出を行う払出制御装置70」は、本願補正発明の「F 前記遊技価値として遊技球を付与する付与手段」に相当する。
キ 引用発明の「g MPU62の送信側に接続され、」「『役物比率=第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数』」「の遊技履歴情報を算出する音声発光制御装置90」は、払出制御装置70と同様にMPU62の送信側に接続されることから(f参照)、音声発光制御装置90と払出制御装置70との間でコマンド等の制御信号の送受信を行うことがないことは明らかであり、また、遊技球誘導部材に係る上記エの検討を踏まえれば、本願補正発明の「G 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記付与手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段」に相当する。
ク 引用発明の構成hの「パチンコ機10」は、本願補正発明の構成Hの「遊技機」に相当する。
ケ 引用発明の「MPU62は、e1 遊技球が各入球部に入球した場合に賞球として払い出す遊技球の個数を決定するために参照する賞球数データを記憶する賞球数データ記憶エリアが設けられるROM63」「を備え」ることは、本願補正発明の「前記遊技価値付与手段は、E1 前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段」「を備え」ることに相当する。
コ 引用発明の「MPU62は、」「e2、e4 搭載されているCPU62xが初期設定処理においてROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信する構成を備え」ることは、パチンコ遊技機において初期設定処理の後に遊技処理の実行を開始するという技術常識に鑑みれば、本願補正発明の「前記遊技価値付与手段は、」「E2 当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段」に相当する。
サ 引用発明の「e3 主制御装置60は、遊技球の入球情報を音声発光制御装置90に送信する構成を備え」ることは、本願補正発明の「前記遊技価値付与手段は、」「E3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段を備え」ることに相当する。
シ 引用発明の「音声発光制御装置90は、g1、g2 主制御装置60から送信される遊技球の入球情報と、初期設定処理において取得した賞球数データとに基づいて遊技履歴情報を算出する演算の一部又は全部を実行する構成」「を備え」ることは、パチンコ遊技機において初期設定処理の実行後に遊技処理の実行を開始して遊技球が入球することとなるという技術常識に鑑みれば、初期設定処理において取得した賞球数データに基づく演算を実行するために、賞球数データを記憶する記憶手段を備える必要があることは明らかであるから、引用発明は、本願補正発明の「前記処理実行手段は、G1 前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段」「を備え」ることに相当する構成を備えるといえる。
ス 引用発明の「音声発光制御装置90は、g1、g2 主制御装置60から送信される遊技球の入球情報と、初期設定処理において取得した賞球数データとに基づいて遊技履歴情報を算出する演算の一部又は全部を実行する構成」「を備え」ることは、上記シの記憶手段に係る検討を踏まえれば、本願補正発明の「前記処理実行手段は、」「G2 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段」に相当する。
セ 引用発明の「音声発光制御装置90は、」「g3、g4 検査機320が接続されると、」「算出した一部又は全部の遊技履歴情報を検査機320に送信する構成」は、音声発光制御装置90が、検査機320が接続されるまで、算出した遊技履歴情報を記憶する記憶手段を備える必要があることは明らかであるから、引用発明は、本願補正発明の「前記処理実行手段は、」「G3 該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段」「を備え」ることに相当する構成を備えるといえる。
ソ 引用発明の「音声発光制御装置90は、」「g3、g4 検査機320が接続されると、」「入球情報、遊技球が入球した際の遊技状態に関する情報及び日時情報」「を検査機320に送信する構成」は、「遊技球が入球した際の遊技状態に関する情報及び日時情報」があれば、各入球口へ入球した際の遊技状態をたどることにより、どの入球とどの入球との間で遊技状態が変化したかがわかり、また、通常の遊技者は遊技状態に応じて特定の入球口を狙って遊技球を打つという技術常識に鑑みれば、遊技状態の変化のタイミングが把握可能といえるから、本願補正発明の「前記処理実行手段は、」「G4 前記処理結果情報に対応する情報と、遊技状態の変化のタイミングが把握可能な情報とを外部に出力し得る手段」に相当する。
タ 引用発明の「音声発光制御装置90は、」「g5 当該算出した遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させる構成」は、遊技履歴情報に基づいて図柄表示装置41を制御するといえるから、本願補正発明の「前記処理実行手段は、」「G5 前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段」に相当する。
チ 本願補正発明の「I 前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、異なる基板ボックスに収納され」ることと、引用発明の「i 主制御装置60は、透明樹脂材料からなり、開閉の痕跡が残るように構成される基板ボックスに収容され、音声発光制御装置90には音声発光制御基板91が設けられ」ることとは、「I’前記遊技価値付与手段は、基板ボックスに収納され」る点で共通する。
上記ア~チからみて、本願補正発明と引用発明とは
「A 発射手段と、
B 該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域と、
C 該流下領域の所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段と、
D 前記所定の領域の一部に対応して設けられ、対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する遊技球誘導部材と、
E 前記複数の所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、
F 前記遊技価値として遊技球を付与する付与手段と、
G 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記付与手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段と、
H を備える遊技機であって、
前記遊技価値付与手段は、
E1 前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、
E2 当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、
E3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
G1 前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、
G2 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段と、
G3 該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、
G4 前記処理結果情報に対応する情報と、遊技状態の変化のタイミングが把握可能な情報とを外部に出力し得る手段と、
G5 前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、
I’前記遊技価値付与手段は、基板ボックスに収納される
遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>(構成I)
本願補正発明は、「前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、異なる基板ボックスに収納され」るのに対し、引用発明は、主制御装置60が基板ボックスに収容されるものの、音声発光制御基板91が設けられる音声発光制御装置90が主制御装置60と異なる基板ボックスに収容されるかどうか明らかでない点。
<相違点2>(構成E4)
本願補正発明は、「前記遊技価値付与手段は、前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものである」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
(4)判断
<相違点1について>
遊技機において、主制御装置と演出のための制御装置とを異なる基板ボックスに収容することは、例えば、特開2009-50504号公報(主制御基板や演出画像の表示制御や、可動装飾体の可動制御等を行う周辺制御基板が、別々の主制御ボックスや周辺制御ボックスに収納される、【0004】)や、特開2002-102500号公報(主制御基板を収納した基板ボックス80、音制御基板を収納した基板ボックス86、表示器制御基板を収納した基板ボックス88、【0022】)に示されているように周知技術であり、引用発明において、音声発光制御基板91が設けられる音声発光制御装置90を保護するために、この周知技術を適用して、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
<相違点2について>
引用発明において、「MPU62は、」「e2、e4 搭載されているCPU62xが初期設定処理においてROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信する構成を備え」るものであり、構成gの「音声発光制御装置90」が「MPU62の送信側に接続され」ていることからすれば、MPU62は、音声発光制御装置90からの信号を受けることはできず、初期設定処理において賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信した後、音声発光制御装置90において賞球数データが記憶されたかどうかを確認する術はなく、音声発光制御装置90において賞球数データが記憶されたかどうかにかかわらず、その後の遊技処理の実行を開始するようにすることが自然であり、そのようにして、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
<本願補正発明の作用効果について>
本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(5)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、本願補正発明は、「前記処理結果情報に対応する情報と、遊技状態の変化のタイミングが把握可能な情報とを外部に出力し得る手段」という特徴的構成(以下「構成1」という。)を有しているのに対し、引用文献1には、「遊技状態の変化のタイミングが把握可能な情報を外部に」出力することについて記載も示唆もない旨主張する。
しかしながら、請求人が主張する構成1は、上記(3)ソで検討したとおり、引用発明の構成g3、g4がこれに相当し、引用文献1に記載されているものである。
なお、請求人は、令和5年4月7日提出の意見書において、引用文献1の第13実施形態の態様7には、出力される入球情報として、遊技球が入球した際の遊技状態も含まれることが記載されているが、あくまで遊技球が入球した際の遊技状態を示すものであって(引用文献1の段落1842参照)、遊技状態の変化に対応する情報を出力するものではない(本件補正前の請求項1)旨主張するところ、上記(3)ソで検討したとおり、引用発明において「遊技球が入球した際の遊技状態に関する情報及び日時情報」があれば、各入球口へ入球した際の遊技状態をたどることにより、どの入球とどの入球との間で遊技状態が変化したかがわかり、また、通常の遊技者は遊技状態に応じて特定の入球口を狙って遊技球を打つという技術常識に鑑みれば、遊技状態の変化のタイミングが把握可能といえる。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(6)小括
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。
4 むすび
本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
仮に、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、本願補正発明は、上記3のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年4月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に(本件補正前の請求項1)として記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概ね、次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
特開2017-164457号公報(引用文献1)
3 引用文献及び引用発明
引用文献1及び引用発明は、上記第2の3(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
(1)本願発明と本願補正発明とは、構成G4、I及びE4において相違し、その余の点で一致し、構成Iは本願発明は備えていないことから、本願発明と引用発明を対比すると、上記第2[理由]3(3)での検討を踏まえると、構成G4及びE4を除いて一致する。
(2)本願発明の構成G4について
引用発明の「音声発光制御装置90は、」「g3、g4 検査機320が接続されると、入球情報、遊技球が入球した際の遊技状態に関する情報及び日時情報と、」「算出した一部又は全部の遊技履歴情報を検査機320に送信する構成」「を備え」ることは、構成gを参照すれば、遊技履歴情報のうちの『役物比率=第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数』が算出という処理の結果情報に対応する情報といえ、また、遊技履歴情報のうちの『連続役物比率=大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数』、『前扉枠開放中入球率=前扉枠14が開放中に各入球口に入球した遊技球の個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数』、『エラー中入球率=エラー中に各入球口に入球した遊技球の個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数』が、それぞれ、開閉実行モード(d参照)、前扉枠開放中、エラー中という遊技状態の変化に対応する情報といえ、さらに、「遊技球が入球した際の遊技状態に関する情報及び日時情報」も、各入球口へ入球した際の遊技状態をたどることにより、どの入球とどの入球との間で遊技状態が変化したかがわかり、遊技状態の変化に対応する情報といえるから、本願発明の「前記処理実行手段は、」「G4 前記処理結果情報に対応する情報と遊技状態の変化に対応する情報とを出力する手段」「を備え」ることに相当する。
(3)本願発明の構成E4について
上記第2[理由]3(4)<相違点2について>で検討したのと同様に、引用発明から、本願発明の構成E4のうちの「前記遊技価値付与手段は、」「前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものである」とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、上記第2[理由]3(3)シで検討したように、引用発明において、「音声発光制御装置90」が「賞球数データ」を記憶する記憶手段を備えることは明らかであり、この記憶手段は音声発光制御装置90に備えられるのであるから、賞球数データを記憶手段に設定するのは音声発光制御装置90であって、主制御装置60が当該記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成されていることも明らかであるから、引用発明は、本願発明の構成E4のうちの「前記遊技価値付与手段は、前記第2参照用情報記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成され」ているとの構成を備えるものといえる。
(4)まとめ
そうすると、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-017063