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特許拒絶査定不服審判

2023-013936

負圧を誘発し、腎臓灌流を増加させる、尿管および膀胱カテーテルおよび方法

審判番号
2023-013936
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-511351外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年08月18日
審決日
2024年09月18日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61M) / P18 .575-Z (A61M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-511351「負圧を誘発し、腎臓灌流を増加させる、尿管および膀胱カテーテルおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月28日国際公開、WO2019/038732、令和 2年11月 5日国内公表、特表2020-531157〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2018年(平成30年)8月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年(平成29年)8月25日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は概ね以下のとおりである。

令和2年 4月20日 :翻訳文の提出
令和3年 8月23日 :手続補正書、上申書の提出
令和4年 9月 6日付け:拒絶理由通知
令和5年 1月26日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 4月14日付け:拒絶査定
令和5年 8月18日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 2月 5日 :上申書の提出

第2 令和5年8月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和5年8月18日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1.補正の内容

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すため、当審で付与したものである。)

「尿管カテーテルであって、
排出管腔であって、前記排出管腔は、患者の尿道および/または膀胱の少なくとも一部内に位置付けられるように構成される近位部分と、患者の腎臓または腎盂内に位置付けられるように構成される遠位部分とを備え、前記遠位部分は、前記排出管腔の遠位部分の位置付けを維持するためのコイル状保定部分を備え、前記コイル状保定部分は、第1の直径を有する第1のコイルと、第2の直径を有する第2のコイルとを備え、前記第1の直径は、前記第2の直径未満であり、前記第2のコイルは、前記第1のコイルよりも前記排出管腔の遠位端に近く、前記コイル状保定部分は、前記コイル状保定部分の側壁上に、流体が前記排出管腔の中に流動することを可能にするための少なくとも2つの開口部を備える、排出管腔
を備え、
前記少なくとも2つの開口部のうちの前記第1のコイル内の最近位開口部の総面積は、前記少なくとも2つの開口部のうちの前記最近位開口部以外の前記第2のコイル内のいずれの1つの開口部の総面積よりも小さく、負圧が前記尿管カテーテルを通して印加されるとき、流体が、前記尿管カテーテルの中へ前記少なくとも2つの開口部を通して引き出される、尿管カテーテル。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和5年1月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「尿管カテーテルであって、
排出管腔であって、前記排出管腔は、患者の尿道および/または膀胱の少なくとも一部内に位置付けられるように構成される近位部分と、患者の腎臓または腎盂内に位置付けられるように構成される遠位部分とを備え、前記遠位部分は、前記排出管腔の遠位部分の位置付けを維持するための保定部分を備え、前記保定部分は、前記保定部分の側壁上に、流体が前記排出管腔の中に流動することを可能にするための少なくとも2つの開口部を備える、排出管腔
を備え、
前記少なくとも2つの開口部のうちの最近位開口部の総面積は、前記少なくとも2つの開口部のうちの前記最近位開口部以外のいずれの1つの開口部の総面積よりも小さく、負圧が前記尿管カテーテルを通して印加されるとき、流体が、前記尿管カテーテルの中へ前記少なくとも2つの開口部を通して引き出される、尿管カテーテル。」

2.補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1の「保定部分」が「コイル状保定部分」であって、「前記コイル状保定部分は、第1の直径を有する第1のコイルと、第2の直径を有する第2のコイルとを備え、前記第1の直径は、前記第2の直径未満であり、前記第2のコイルは、前記第1のコイルよりも前記排出管腔の遠位端に近」い点を限定し、「最近位開口部の総面積」を「前記第1のコイル内の最近位開口部の総面積」と限定し、「前記最近位開口部以外のいずれの1つの開口部の総面積」を「前記最近位開口部以外の前記第2のコイル内のいずれの1つの開口部の総面積」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明とは、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。

よって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項で準用する同法126条第7項の規定を満たすかについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項及び引用発明

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ア 引用文献1の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2017/015351号(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に、次の記載がある(以下、翻訳文として特表2018-527061号公報を採用し、その段落番号とともに記載した。また、下線は当審で付した。)。

(ア)[00216] With reference to FIGS. 1, 2A, and 2B, an exemplary ureteral catheter 112 can comprise at least one elongated body or rube 122, the interior of which defines or comprises one or more drainage channel(s) or lumen(s), such as drainage lumen 124.([0217] 図1、2A、および2Bを参照すると、例示的尿管カテーテル112は、少なくとも1つの伸長本体または管122を備えることができ、その内部は、排出管腔124等の1つまたはそれを上回る排出チャネルまたは管腔を画定または構成する。)

(イ)[00218] In some examples, the tube 122 can comprise: a distal portion 118 (e.g., a portion of the tube 122 configured to be positioned in the ureter 6, 8 and renal pelvis 20, 21); a middle portion 126 (e.g., a portion of the tube 122 configured to extend from the distal portion through the ureteral openings 16 into the patient's bladder 10 and urethra 12); and a proximal portion 128 (e.g., a portion of the tube 122 extending from the urethra 12 to an external fluid collection container and/or pump assembly).([0219]いくつかの実施例では、管122は、遠位部分118(例えば、尿管6、8および腎盂20、21内に位置付けられるように構成される管122の一部分)と、中央部分126(例えば、遠位部分から尿管開口部16を通して患者の膀胱10および尿道12の中に延在するように構成される、管122の一部分)と、近位部分128(例えば、尿道12から外部流体収集容器および/またはポンプアセンブリに延在する管122の一部分)とを備えることができる。)

(ウ) [00219] With continued reference to FIGS. 1, 2A, and 2B, the distal portion 118 of the ureteral catheter 112 comprises a retention portion 130 for maintaining the distal end 120 of the catheter 112 at a desired fluid collection position proximate to or within the renal pelvis 20, 21 of the kidney 2, 4. In some examples, the retention portion 130 is configured to be flexible and bendable to permit positioning of the retention portion 130 in the ureter and/or renal pelvis. The retention portion 130 is desirably sufficiently bendable to absorb forces exerted on the catheter 112 and to prevent such forces from being translated to the ureters. ([0220] 図1、2A、および2Bを継続して参照すると、尿管カテーテル112の遠位部分118は、カテーテル112の遠位端120を腎臓2、4の腎盂20、21に近接して、またはその中の所望の流体収集位置に維持するための保定部分130を備える。いくつかの実施例では、保定部分130は、保定部分130を尿管および/または腎盂内に位置付けることを可能にするために可撓性かつ屈曲可能であるように構成される。保定部分130は、望ましくは、カテーテル112上に付与される力を吸収し、そのような力が尿管に伝達されることを防止するために十分に屈曲可能である。)

(エ) [00226] For example, for a retention portion 130 having three coils (as shown, for example, in FIGS. 3A and 3B) an outer diameter D3 of a proximal -most coil or first coil 183 can be about 6 mm to 18 mm, an outer diameter D2 of a middle coil or second coil 185 can be about 8 mm to about 24 mm, and an outer diameter Dl of a distal-most or third coil 187 can be between about 10 mm and about 30 mm.([0227]例えば、3つのコイルを有する保定部分130(例えば、図3Aおよび3Bに示されるように)に関して、最近位コイルまたは第1のコイル183の外径D3は、約6mm~18mmであることができ、中央コイルまたは第2のコイル185の外径D2は、約8mm~約24mmであることができ、最遠位または第3のコイル187の外径D1は、約10mm~約30mmであることができる。)。

(オ)[00228] In some examples, as shown, in FIG. 3 A, the drainage ports 132 are located around the entire periphery of the sidewall of the catheter tube 122 to increase an amount of fluid that can be drawn into the drainage lumen 124 (shown in FIGS. 1, 2A, and 2B). In other examples, as shown in FIGS. 3B-3F, the drainage ports 132 can be disposed essentially only or only on the radially inwardly facing side of the coils 184 to prevent occlusion or blockage of the drainage ports 132, and the outwardly facing side of the coils may be essentially free of drainage ports 132 or free of drainage ports 132. For example, when negative pressure is induced in the ureter and/or renal pelvis, mucosal tissue of the ureter and/or kidney may be drawn against the retention portion 130 and may occlude some drainage ports 132 on the outer periphery of the retention portion 130. Drainage ports 132 located on the radially inward side of the retention structure would not be appreciably occluded when such tissues contact the outer periphery of the retention portion 130. Further, risk of injury to the tissues from pinching or contact with the drainage ports 132 can be reduced or ameliorated. ([0229]いくつかの実施例では、図3Aに示されるように、排出ポート132は、カテーテル管122の側壁の周縁全体の周囲に位置し、排出管腔124の中に引き出され得る流体の量を増加させる(図1、2A、および2Bに示される)。他の実施例では、図3B-3Eに示されるように、排出ポート132は、本質的にコイル184の半径方向内向きに面する側のみにまたはその側のみに配置され、排出ポート132の閉塞または妨害を防止することができ、コイルの外向きに面する側は、本質的に排出ポート132がない、または排出ポート132がなくてもよい。例えば、負圧が尿管および/または腎盂内で誘発されるとき、尿管および/または腎臓の粘膜組織は、保定部分130に対して牽引され得、保定部分130の外側周縁上のいくつかの排出ポート132を閉塞し得る。貯留構造の半径方向内向き側上に位置する排出ポート132は、そのような組織が保定部分130の外側周縁に接触するとき、著しく閉塞されないであろう。さらに、排出ポート132との噛込または接触からの組織への傷害のリスクは、低減または改善されることができる。)

(カ)[00269] As a result of the applied negative pressure, as shown at box 628, urine is drawn into the catheter at the plurality of drainage ports at the distal end thereof, through the drainage lumen of the catheter, and to a fluid collection container for disposal.([0270]印加される負圧の結果、ボックス628に示されるように、尿が、その遠位端の複数の排出ポートにおけるカテーテルの中に、そこからカテーテルの排出管腔を通して、廃棄のための流体収集容器に引き出される。)

(キ)図1

[図:0001418796000001.jpg]

(ク)図2A、2B

[図:0001418796000002.jpg]

(ケ)図3A

[図:0001418796000003.jpg]

(コ)上記(エ)から、第1のコイル183の外径D3は、約6mm~18mmであり、第2のコイル185の外径D2は、約8mm~約24mmであり、第3のコイル187の外径D1は、約10mm~約30mmであるところ、上記(ケ)の図面から、第1のコイル183の外径D3は、第2のコイル185の外径D2及び第3のコイル187の外径D1未満であること、第2のコイル185及び第3のコイル187は、第1のコイル183よりも管122の遠位端に近いことが看取できる。

イ 引用発明

上記(ア)~(カ)の特に下線部、(キ)~(ケ)の図面、及び(コ)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「尿管カテーテル112であって、
管122を備えることができ、その内部は、排出管腔124等の1つまたはそれを上回る排出チャネルまたは管腔を画定または構成し、前記管122は、尿道12から外部流体収集容器および/またはポンプアセンブリに延在する近位部分128と、尿管6、8及び腎盂20、21内に位置付けられるように構成される遠位部分118とを備え、前記遠位部分118は、カテーテル112の遠位端120を腎臓2、4の腎盂20、21に近接して、またはその中の所望の流体収集位置に維持するための保定部分130を備え、前記保定部分130は3つのコイルを有し、第1のコイル183の外径D3は、第2のコイル185の外径D2及び第3のコイル187の外径D1未満であり、第2のコイル185及び第3のコイル187は、第1のコイル183よりも管122の遠位端に近く、排出ポート132は、カテーテル管122の側壁の周縁全体の周囲に位置し、排出管腔124の中に引き出され得る流体の量を増加させ、
印加される負圧の結果、尿が、その遠位端の複数の排出ポートにおけるカテーテルの中に、そこからカテーテルの排出管腔を通して、廃棄のための流体収集容器に引き出される、尿管カテーテル112。」

ウ 引用文献2の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2010-5282号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載がある。

(ア)【0004】

しかしながら、図2、3いずれのドレーンチューブも体内留置部からの排液の吸引量は、チューブ基端部から先端部にかけて一定ではなく、基端部から多く、先端部から十分な体液の吸引ができないことがあった。

・・・・

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明の目的は、体内留置部先端側からも十分な体液排出が可能であり、かつ治癒後のドレーンチューブ抜去時に患者に苦痛を与えることなく、容易に抜去できる医療用ドレーンチューブを提供することにある。

(イ)【0012】

本発明のドレーンチューブは、上記体内留置部(3)における側孔の総面積が先端部(4)>中央部(5)>基端部(6)であることを特徴とする。ここで、図1(a)に示すように、側孔の大きさは全て同じとし、上記体内留置部(3)の3等分された部分の側孔(7)の数量を先端部(4)>中央部(5)>基端部(6)としてもいいし、図1(b)に示すように、側孔(7)の数量は3等分された部分で同じとし、側孔(7)の大きさを先端部(4)>中央部(5)>基端部(6)としてもかまわない。又、上記2つの側孔の作成方法を併せたものでもかまわない。いずれにしても、体内留置部(3)における側孔(7)の総面積が先端部(4)>中央部(5)>基端部(6)の条件を満たしていれば良く、こうすることで従来のドレーンチューブと違って先端部に設けられた側孔からも十分なドレナージを行うことができる。

(オ)図1

[図:0001418796000004.jpg]

(カ)図2

[図:0001418796000005.jpg]

(3)対比

本件補正発明と引用発明を対比する。

ア 引用発明の「尿管カテーテル112」は、その機能及び構成からみて、本件補正発明の「尿管カテーテル」に相当する。

イ 引用発明の「排出管腔124」は、その機能及び構成からみて、本件補正発明の「排出管腔」に相当する。そして、引用発明は、「管122を備えることができ、その内部は、排出管腔124等の1つまたはそれを上回る排出チャネルまたは管腔を画定または構成」するから、引用発明の「管122を備えること」は、本件補正発明の「排出管腔」「を備え」ることに相当する。

ウ 引用発明の「尿道12から外部流体収集容器および/またはポンプアセンブリに延在する近位部分128」及び「尿管6、8及び腎盂20、21内に位置付けられるように構成される遠位部分118」は、本件補正発明の「患者の尿道および/または膀胱の少なくとも一部内に位置付けられるように構成される近位部分」及び「患者の腎臓または腎盂内に位置付けられるように構成される遠位部分」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「前記管122は」「近位部分128と」「遠位部分118とを備え」ることは、本件補正発明の「前記排出管腔は」「近位部分と」「遠位部分とを備え」ることに相当する。

エ 引用発明の「前記遠位部分118は、カテーテル112の遠位端120を腎臓2、4の腎盂20、21に近接して、またはその中の所望の流体収集位置に維持するための保定部分130を備え」ることは、「保定部分130は3つのコイルを有」するから、本件補正発明の「前記遠位部分は、前記排出管腔の遠位部分の位置付けを維持するためのコイル状保定部分を備え」ることに相当する。

オ 引用発明の「第1のコイル183」は、本件補正発明の「第1のコイル」に相当する。そして、引用発明の「第2のコイル185」及び「第3のコイル187」からなるコイルは、「第2のコイル」と表現できるから、引用発明の「前記保定部分130は3つのコイルを有」することは、本件補正発明の「前記コイル状保定部分は、第1の直径を有する第1のコイルと、第2の直径を有する第2のコイルとを備え」ることに相当する。また、引用発明の「第1のコイル183の外径D3は、第2のコイル185の外径D2及び第3のコイル187の外径D1未満であ」ることは、本件補正発明の第1のコイルの「前記第1の直径は、」第2のコイルの「前記第2の直径未満であ」ることに相当する。また、引用発明の「第2のコイル185及び第3のコイル187は、第1のコイル183よりも管122の遠位端に近」いことは、本件補正発明の「前記第2のコイルは、前記第1のコイルよりも前記排出管腔の遠位端に近」いことに相当する。

カ 引用発明の「排出ポート132」は、その機能及び構成からみて、本件補正発明の「少なくとも2つの開口部」に相当する。また、引用発明の「排出ポート132」は、図3Aを参照すると、保定部分130の側壁に位置しているから、引用発明の「排出ポート132は、カテーテル管122の側壁の周縁全体の周囲に位置し、排出管腔124の中に引き出され得る流体の量を増加させ」ることは、本件補正発明の「前記コイル状保定部分の側壁上に、流体が前記排出管腔の中に流動することを可能にするための少なくとも2つの開口部を備える」ことに相当する。

キ 引用発明の「尿」は、本件補正発明の「流体」に相当するから、引用発明の「印加される負圧の結果、尿が、その遠位端の複数の排出ポートにおけるカテーテルの中に、そこからカテーテルの排出管腔を通して、廃棄のための流体収集容器に引き出される」ことは、本件補正発明の「負圧が前記尿管カテーテルを通して印加されるとき、流体が、前記尿管カテーテルの中へ前記少なくとも2つの開口部を通して引き出される」ことに相当する。

そうすると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

尿管カテーテルであって、

排出管腔であって、前記排出管腔は、患者の尿道および/または膀胱の少なくとも一部内に位置付けられるように構成される近位部分と、患者の腎臓または腎盂内に位置付けられるように構成される遠位部分とを備え、前記遠位部分は、前記排出管腔の遠位部分の位置付けを維持するためのコイル状保定部分を備え、前記コイル状保定部分は、第1の直径を有する第1のコイルと、第2の直径を有する第2のコイルとを備え、前記第1の直径は、前記第2の直径未満であり、前記第2のコイルは、前記第1のコイルよりも前記排出管腔の遠位端に近く、前記コイル状保定部分は、前記コイル状保定部分の側壁上に、流体が前記排出管腔の中に流動することを可能にするための少なくとも2つの開口部を備える、排出管腔

を備え、

負圧が前記尿管カテーテルを通して印加されるとき、流体が、前記尿管カテーテルの中へ前記少なくとも2つの開口部を通して引き出される、尿管カテーテル。

【相違点】

本件補正発明は、排出管腔の「前記少なくとも2つの開口部のうちの前記第1のコイル内の最近位開口部の総面積は、前記少なくとも2つの開口部のうちの前記最近位開口部以外の前記第2のコイル内のいずれの1つの開口部の総面積よりも小さ」いのに対し、引用発明は、そのようになっていない点。

(4)判断

上記相違点について検討する。

引用文献2には、体内から流体収集するドレーンチューブにおいて、体内留置部からの排液の吸引量がチューブ基端部から先端部にかけて一定ではなく、基端部から多く、先端部から十分な体液の吸引ができないことがあるとの課題を解決するために、体内留置部の基端部から先端部にかけて排液の吸引量を一定にするべく、体内留置部における側孔の総面積を先端部>中央部>基端部とすること(以下、[引用文献2記載の事項]という。)が記載されている(上記(2)ウ参照。)。

そして、引用発明の尿管カテーテル112は体内から流体収集するドレーンチューブの一種であって、物理法則上、同様に先端部から十分な体液の吸引ができないことがあるとの課題を有することは明らかであるから、その排出ポート132を、先端部からも十分な体液排出が可能となるよう、引用文献2記載の体内留置部における側孔の総面積を先端部>中央部>基端部とする上記構成を採用して、排出ポート132のうちの第1のコイル183内の最近位開口部の総面積を、排出ポート132のうちの前記最近位開口部以外の第2のコイル185及び第3のコイル187内のいずれの1つの総面積よりも小さくすることは、当業者が容易に想到できたことである。

そして、本件補正発明の効果は、引用発明及び引用文献2記載の事項から容易に導き出せるものであり、格別顕著なものではない。

(5)小括

したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3.本件補正についてのむすび

以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項又は同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定によって却下すべきものである。

よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1.本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~38に係る発明は、令和5年1月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~38に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1.(2)に記載したとおりのものと認められる。

2.原査定の拒絶の理由

原査定は、拒絶の理由として概ね次の理由を含むものである。

この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった前記第2の[理由]2.(2)の引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.引用文献の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項は、前記第2の[理由]2.(2)に記載したとおりである。

4.対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、「コイル状保定部分」の「コイル状」との特定、「前記コイル状保定部分は、第1の直径を有する第1のコイルと、第2の直径を有する第2のコイルとを備え、前記第1の直径は、前記第2の直径未満であり、前記第2のコイルは、前記第1のコイルよりも前記排出管腔の遠位端に近く、」との特定、「前記第1コイル内の最近位開口部」の「前記第1のコイル内の」との特定、及び「前記最近位開口部以外の前記第2コイル内」の「前記第2のコイル内の」との特定を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2.(3)、(4)のとおり、引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、同じ理由で引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。また、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2023-013936

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  • 2024-008351拒絶査定不服審判 / 2026-03-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)ポンプアセンブリならびに患者の尿管および/または腎臓に負圧治療を提供するためのシ…
    同じ当事者: ロイヴィオス リミテッド
  • 2023-013548拒絶査定不服審判 / 2024-08-19 / 請求不成立負圧を誘発し、腎臓灌流を増加させる、尿管および膀胱カテーテルおよび方法
    同じ当事者: ロイヴィオス リミテッド
  • 2021-016260拒絶査定不服審判 / 2023-03-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)腎灌流を増加させるために負圧を誘発させるための尿管および膀胱カテーテルおよび方法
    同じ当事者: ロイヴィオス リミテッド
  • 2022-003493拒絶査定不服審判 / 2023-03-07 / 原査定取消(特許/登録すべき)腎灌流を増加させるために負圧を誘発させるための尿管および膀胱カテーテルおよび方法
    同じ当事者: ロイヴィオス リミテッド
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2024-014874拒絶査定不服審判 / 2025-11-17 / 請求不成立喉頭内視鏡と内視鏡ガイドコアを組み合わせた二重可視、二重位置決め気管挿管セット
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-015685拒絶査定不服審判 / 2025-10-20 / 請求不成立ガス放出装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-007597拒絶査定不服審判 / 2025-09-16 / 請求不成立血栓凝血塊の液圧変位および除去、ならびに液圧変位を実施するためのカテーテル
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-004888拒絶査定不服審判 / 2025-07-17 / 請求不成立セルフ・フラッシング・コネクタ
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-003318拒絶査定不服審判 / 2025-06-04 / 請求不成立バルーンカテーテル
    共通の条文: 特許法29条2項
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    共通の審決分類: 121・A61M、575・A61M
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    共通の審決分類: 121・A61M、575・A61M
  • 2024-007597拒絶査定不服審判 / 2025-09-16 / 請求不成立血栓凝血塊の液圧変位および除去、ならびに液圧変位を実施するためのカテーテル
    共通の審決分類: 121・A61M、575・A61M

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