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特許拒絶査定不服審判

2024-007597

血栓凝血塊の液圧変位および除去、ならびに液圧変位を実施するためのカテーテル

審判番号
2024-007597
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-096694
請求日
2024年05月08日
審決日
2025年09月16日
公報発行日
2026年02月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ミビ・ニューロサイエンス・インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】山尾 憲人
  • 【請求人代理人】岡部 博史
  • 【請求人代理人】中谷 剣一
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 正章
  • 審判官 太田 良隆
  • 審判官 立花 啓
分類
P18 .121-Z (A61M) / P18 .575-Z (A61M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 96694「血栓凝血塊の液圧変位および除去、ならびに液圧変位を実施するためのカテーテル」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月12日出願公開、特開2022-153355〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)10月 5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年10月 6日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2019-517974号の一部を令和 4年 6月15日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和 4年 7月14日 :手続補正書の提出 令和 5年 6月16日付け:拒絶理由通知書 同年 9月26日 :意見書及び手続補正書の提出 同年12月18日付け:拒絶査定 令和 6年 5月 8日 :審判請求書及び手続補正書の提出 第2 令和 6年 5月 8日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 6年 5月 8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 バルーン/注入カテーテルであって、 中央内腔および遠位端を備える管状シャフトと、 近位取付具と、 近位端および内部を有するバルーンであって、前記管状シャフトの前記遠位端にまたはその近くに取り付けられ、前記バルーンの前記内部が前記中央内腔と流体連通している、前記バルーンと、 前記中央内腔を通って延在するワイヤと、 を備え、 前記管状シャフトが、前記バルーンの前記近位端から約5センチメートル以内で前記バルーンに対して近位側に配置された1つまたは複数の注入ポートを備え、 ポリマー製の弁を更に備え、 前記ポリマー製の弁は、一方の縁部に沿って前記管状シャフトの外周に取り付けられた弾性カバーを含み、1つまたは複数の前記注入ポートからの注入を制御し、 前記注入ポートは、前記中央内腔又は前記中央内腔と同心の第2の内腔と流体連通し、 前記ワイヤは前記中央内腔内に閉じ込められるように構成され、又は、前記バルーンの遠位側において流体が前記中央内腔から流出しないように、前記ワイヤは密閉の弁を通って前記中央内腔から延在するように構成されている、 バルーン/注入カテーテル。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和 5年 9月26日にされた手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 バルーン/注入カテーテルであって、 中央内腔および遠位端を備える管状シャフトと、 近位取付具と、 近位端および内部を有するバルーンであって、前記管状シャフトの前記遠位端にまたはその近くに取り付けられ、前記バルーンの前記内部が前記中央内腔と流体連通している、前記バルーンと、 前記中央内腔を通って延在するワイヤと、 を備え、 前記管状シャフトが、前記バルーンの前記近位端から約5センチメートル以内で前記バルーンに対して近位側に1つまたは複数の注入ポートを備え、 ポリマー製の弁を更に備え、 前記ポリマー製の弁は、一方の縁部に沿って前記管状シャフトの外周に取り付けられた弾性カバーを含み、1つまたは複数の前記注入ポートからの注入を制御する、 バルーン/注入カテーテル。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「注入ポート」及び「ワイヤ」について、それぞれ「前記注入ポートは、前記中央内腔又は前記中央内腔と同心の第2の内腔と流体連通」すること及び「前記ワイヤは前記中央内腔内に閉じ込められるように構成され、又は、前記バルーンの遠位側において流体が前記中央内腔から流出しないように、前記ワイヤは密閉の弁を通って前記中央内腔から延在するように構成されている」ことを限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明 ア 引用文献1記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特表2014-521462号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) 「【0081】 代替の実施形態では、図33に示されるように、遠位側の灌流カテーテル(遠位灌流カテーテル)3700は閉塞バルーン3705を含んでおり、灌流出口孔3715は、閉塞バルーン3705の遠位側及び/又は近位側に位置決めされている。前の実施形態と同様に、灌流カテーテル3700は、血栓回収デバイス、吸引手段又は血栓溶解剤の動脈内投与などの再開通治療と共に使用されてもよい。カテーテル3700は、閉塞バルーン3705が閉塞10よりも遠位側に位置決めされるように、血管系内に設置される。カテーテル3700は、バルーン3705の遠位側の領域を血液又は等価液で灌流し、バルーン3705の近位側の領域を血栓溶解剤で灌流するように、構成されてもよい。この点で、図34に示されるように、カテーテル3700は、別個の灌流出口孔と通じている別個の灌流管腔3720、3725を含んでいてもよい。代わりに、図35に示すように、遠位側及び近位側の灌流出口孔は、同一の灌流管腔3630と接続しており、閉塞バルーンの遠位側及び近位側の両方の領域とも、血液又は代わりの灌流溶液を注入するのに使用される。図34又は35のいずれにも、閉塞バルーン3705の膨張及び収縮用の別個の管腔は図示されていない。この管腔は、カテーテルの壁部に埋め込まれてもよい。」 「【0083】 灌流カテーテルは、さらに、血栓除去を助ける灌流を供給するかもしれない。図37は、動脈アクセスデバイス2010を介して閉塞の遠位側に展開する近位側の灌流カテーテル(近位灌流カテーテル)3800を示す。近位灌流カテーテル3800は、閉塞バルーンなどの拡張可能な閉塞要素3829を含んでいる。近位灌流カテーテル3800はさらに、閉塞要素3829よりも近位側の位置に、1つ以上の灌流出口孔3820を含んでいる。灌流出口孔3820は、灌流出口孔3820を通って流出する液体の灌流用の灌流カテーテル3800内にある内部灌流管腔と通じている。図37をさらに参照すると、近位灌流カテーテル3800は、灌流カテーテルの閉塞要素3829が血栓10よりも遠位側で配置され拡張され、灌流出口孔3820が閉塞要素3829よりも近位側で且つ血栓10よりも遠位側に配置されるように、動脈アクセスデバイスを介して血管系に展開される。そのような配置は、血栓10の除去を助けるような背圧(back pressure)を提供する。さらに、閉塞要素3829は遠位側の塞栓保護として機能する。様々な灌流流体のいずれが使用されてもよく、そこには、例えば酸素処理した血液、神経保護剤、血栓溶解剤、及び他の流体が含まれており、所望の温度に調節されてもよい。動脈アクセスデバイス2010は、図37に示す配置において、吸引に使用することができる。動脈アクセスデバイス2010は、閉塞バルーン2020と、受動的又は能動的な吸引手段とを有していてもよい。灌流カテーテルは、血栓を、動脈アクセスデバイス2010、血流ライン2025を通って患者の体外に除去するのを容易にする。」 「【0085】 閉塞の遠位側への圧力の付与に加えて、近位灌流カテーテル3800からの灌流流体は、閉塞内又はすぐ近位側を起点とする小さい血管(穿通枝:perforators)に血液を供給することができる。灌流カテーテル3800のシャフトはまた、ステントリーバー又は血栓回収デバイスなどの治療装置を送達するためのレール又は導管として使用されてもよい。」 「【0087】 図39A~39Dは、近位灌流カテーテル3800の典型的な使用方法を示している。図39Aは、脳動脈内の血栓10を横切って位置決めされたガイドワイヤ3912の拡大図を示す。図39Bでは、灌流カテーテル3800の遠位領域は、(ガイドワイヤ3912を介して)血栓10を横切って位置決めされており、未拡張の閉塞要素3829は、血栓10に遠位側に位置決めされている。ガイドワイヤ3912は、灌流カテーテル3800のガイドワイヤ管腔の遠位端から突出する。図39Cでは、ガイドワイヤは、灌流カテーテル3800のガイドワイヤ管腔内に引っ込められたため、図示されていない。ガイドワイヤ管腔が灌流カテーテル3800用の灌流管腔としても機能する場合、矢印Pで図34Cに示すように管腔が今や灌流出口孔3820を介して灌流に使用できるように、ガイドワイヤ/灌流管腔の遠位端にある遠位バルブ3916(ダックビルバルブ(duckbill valve)など)は自動的に閉じる。(図39Cに示すように)閉塞要素3829が拡張していないときは、灌流出口孔3820は、遠位側を灌流するのに使用することができる。図39Dでは、拡張可能な閉塞要素3829は、動脈中で拡張されている。その後、図39Dの矢印P1で示すように、灌流出口孔3820は、閉塞要素3829よりも近位側の灌流に使用することができる。」 「【0105】 さらなる実施形態では、システムは、手技中に遠位側の保護及び/又は灌流を提供するために使用される。この実施形態では、灌流カテーテルは、動脈アクセスデバイス2010又は遠位カテーテル2030を通って挿入され、管腔を横切って位置決めされ、そして閉塞よりも遠位側のポイントで膨張される。灌流カテーテルは、注入ポンプに接続されて、灌流カテーテルの遠位開口を介して、酸素処理された血液又は灌流溶液を虚血脳に灌流する。ある実施形態では、灌流カテーテルは、バルーンが先端に付けられたカテーテルである。バルーンは閉塞よりも遠位側の位置で膨張される。このバルーンは、塞栓が、閉塞の除去中又は再開通中に遠位側に前進するのを防ぐように機能する。灌流カテーテルはまた、灌流カテーテルの近位ポートを介して閉塞バルーンの近位側を灌流するために、洗い流し源(flush source)に接続されてもよい。この手技は、本質的には、閉塞に背圧を提供しており、それを除去するのを助けてもよい。」 図37「 [図:0001431676000001.jpg] 」 図39B「 [図:0001431676000002.jpg] 」 イ 引用発明 上記記載事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「灌流カテーテル3800であって、 シャフトと、 近位ポートと、 閉塞バルーンなどの拡張可能な閉塞要素3829と、 灌流カテーテル3800のガイドワイヤ管腔の遠位端から突出するガイドワイヤ3912と、 を備え、 閉塞要素3829よりも近位側の位置に、1つ以上の灌流出口孔3820を含み、 灌流出口孔3820は、灌流出口孔3820を通って流出する液体の灌流用の灌流カテーテル3800内にある内部灌流管腔と通じている、 灌流カテーテル3800。」 ウ 引用文献3記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開2014-076161号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【0012】 以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。 実施の形態1 図1に、この発明の実施の形態1に係る膀胱留置カテーテルの構成を示す。この膀胱留置カテーテルは、カテーテル本体1と、カテーテル本体1の先端部近傍に拡張可能に配置されたバルーン2とを有する。 【0013】 カテーテル本体1は、尿道を介して先端部が膀胱内に挿入されるもので、細長く延びたシャフト3を備え、その先端部近傍の側部には膀胱内に溜まった尿などを排出するための尿排出孔4が形成されている。」 「【0016】 ・・・ さらに、シャフト3には、薬液を外部に放出するための薬液放出口13が先端部近傍の側部に形成されると共に、薬液用ポート7から薬液放出口13まで延びて薬液用ポート7から注入される薬液を薬液放出口13へと送液するための薬液送液路14が内部に形成されている。ここで、薬液放出口13は、外部に放出された薬液が広く拡散しないように、拡張されたバルーン2の凹部9内に位置するように形成されている。なお、薬液放出口13は、膀胱内に溜まった尿が薬液送液路14内に流入するのを抑制する逆流防止機構を備えるのが好ましい。」 「【0029】 実施の形態3 実施の形態1および2において、薬液放出口13は、膀胱内に溜まった尿が薬液送液路14内に流入するのを抑制する逆流防止機構を備えることができる。 例えば、図7(A)および(B)に示すように、実施の形態1の薬液放出口13において、その開口部に外部方向にのみ変形可能な逆止弁31を逆流防止機構として備えることができる。すなわち、薬液送液路14から薬液放出口13に向かって薬液が送液されない時には逆止弁31は閉じられているのに対し、薬液送液路14から薬液放出口13に向かって薬液が送液された時にはその圧力により逆止弁31が外部に向かって変形する。そして、逆止弁31が変形することにより薬液放出口13が開放され、薬液が薬液放出口13から外部に放出される。このように、逆止弁31は、薬液の放出時にのみ外部に向かって開放され、内側には開かないように構成されているため、膀胱B内の尿が薬液送液路14内に流入することを抑制することができる。」 図7「 [図:0001431676000003.jpg] 」 上記記載事項を総合すると、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。 「カテーテルにおいて、カテーテル本体1のシャフト3に、薬液を外部に放出するための薬液放出口13が形成され、薬液放出口13において、その開口部に外部方向にのみ変形可能な逆止弁31を逆流防止機構として備えること。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「灌流カテーテル3800」は、閉塞バルーンなどの拡張可能な閉塞要素3829を有し、灌流を行うためのものであるから、本件補正発明の「バルーン/注入カテーテル」に相当する。 イ 引用発明の灌流カテーテル3800のシャフトが管状であり内腔と遠位端を備えることは明らかであるから、引用発明の「シャフト」と本件補正発明の「中央内腔および遠位端を備える管状シャフト」とは、内腔および遠位端を備える管状シャフトの限りで一致する。 ウ 本件補正発明の「近位取付具」は、段落【0027】及び図3等からみて、近位にあり、液体源に連結されるものであるところ、引用発明の「近位ポート」は、近位にあり、段落【0105】より灌流カテーテルを洗い流し源に接続するためのものであるから、本件補正発明の「近位取付具」に相当する。 エ 引用発明の「閉塞バルーンなどの拡張可能な閉塞要素3829」は、近位端及び内部を有することが明らかであり、図37より灌流カテーテル3800のシャフトの遠位端又はその近くに取り付けられていることが看て取れ、段落【0081】の「閉塞バルーン3705の膨張及び収縮用の別個の管腔」との記載から、内部が膨張及び収縮用の内腔と流体連通していることが明らかであるから、引用発明の「閉塞バルーンなどの拡張可能な閉塞要素3829」と本件補正発明の「近位端および内部を有するバルーンであって、前記管状シャフトの前記遠位端にまたはその近くに取り付けられ、前記バルーンの前記内部が前記中央内腔と流体連通している、前記バルーン」とは、近位端および内部を有するバルーンであって、前記管状シャフトの前記遠位端にまたはその近くに取り付けられ、前記バルーンの前記内部が内腔と流体連通している、前記バルーンの限りで一致する。 オ 引用発明の「灌流カテーテル3800のガイドワイヤ管腔の遠位端から突出するガイドワイヤ3912」と本件補正発明の「前記中央内腔を通って延在するワイヤ」とは、ガイドワイヤ管腔を通って延在するワイヤの限りで一致する。 カ 引用発明の「1つ以上の灌流出口孔3820」は、本件補正発明の「1つまたは複数の注入ポート」に相当する。そして、引用発明の「1つ以上の灌流出口孔3820」は、灌流カテーテル3800のシャフトに設けられていることが明らかであるから、引用発明の「閉塞要素3829よりも近位側の位置に、1つ以上の灌流出口孔3820を含」むことと本件補正発明の「前記管状シャフトが、前記バルーンの前記近位端から約5センチメートル以内で前記バルーンに対して近位側に配置された1つまたは複数の注入ポートを備え」ることとは、前記管状シャフトが、前記バルーンに対して近位側に配置された1つまたは複数の注入ポートを備えることの限りで一致する。 キ 引用発明の「灌流出口孔3820は、灌流出口孔3820を通って流出する液体の灌流用の灌流カテーテル3800内にある内部灌流管腔と通じている」ことと本件補正発明の「前記注入ポートは、前記中央内腔又は前記中央内腔と同心の第2の内腔と流体連通し」ていることとは、前記注入ポートは、内腔と流体連通していることの限りで一致する。 したがって、両者は、 「バルーン/注入カテーテルであって、 内腔および遠位端を備える管状シャフトと、 近位取付具と、 近位端および内部を有するバルーンであって、前記管状シャフトの前記遠位端にまたはその近くに取り付けられ、前記バルーンの前記内部が内腔と流体連通している、前記バルーンと、 ガイドワイヤ管腔を通って延在するワイヤと、 を備え、 前記管状シャフトが、前記バルーンに対して近位側に配置された1つまたは複数の注入ポートを備え、 前記注入ポートは、内腔と流体連通する、 バルーン/注入カテーテル。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本件補正発明は、管状シャフトが「中央内腔」を備え、前記バルーンの前記内部が「前記中央内腔」と流体連通しており、ワイヤが「前記中央内腔」を通って延在しており、前記注入ポートは、「前記中央内腔又は前記中央内腔と同心の第2の内腔」と流体連通しており、「前記ワイヤは前記中央内腔内に閉じ込められるように構成され、又は、前記バルーンの遠位側において流体が前記中央内腔から流出しないように、前記ワイヤは密閉の弁を通って前記中央内腔から延在するように構成されている」のに対し、引用発明は、シャフト、閉塞要素3829、灌流出口孔3820、ガイドワイヤ3912について、そのように特定されていない点。 [相違点2] 本件補正発明は、1つまたは複数の注入ポートが「前記バルーンの前記近位端から約5センチメートル以内」に配置されているのに対し、引用発明は、灌流出口孔3820がそのように特定されていない点。 [相違点3] 本件補正発明は、「ポリマー製の弁を更に備え、前記ポリマー製の弁は、一方の縁部に沿って前記管状シャフトの外周に取り付けられた弾性カバーを含み、1つまたは複数の前記注入ポートからの注入を制御」するのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 [相違点1] カテーテルにおいて、管状シャフトが中央内腔を備え、バルーンの内部が中央内腔と流体連通しており、ワイヤが中央内腔を通って延在し、バルーンの遠位側において流体が中央内腔から流出しないように、密閉の弁を通って中央内腔から延在することは、周知技術であり(例えば、原査定で引用された米国特許第04813934号明細書の第8欄第18-47行、第9欄第47-62行、図8、当審で新たに引用する特表2000-500366号公報の第22ページ第6行-第23ページ第14行、図14を参照。)、引用発明に具体的に当該周知技術を適用し、シャフトが中央内腔を備え、閉塞要素3829の内部が中央内腔と流体連通しており、ガイドワイヤ3912が中央内腔を通って延在しており、閉塞要素3829の遠位側において流体が中央内腔から流出しないように、ガイドワイヤ3912が密閉の弁を通って中央内腔から延在するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。また、カテーテルにおいて、中央内腔や中央内腔と同心の内腔を用いることは、慣用手段であるから、引用発明において、灌流出口孔3820と通じている内部灌流管腔を、中央内腔と同心とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 [相違点2] 引用発明において、灌流出口孔3820は、段落【0083】にあるように閉塞要素3829よりも近位側で且つ血栓10よりも遠位側に配置され、血栓10の除去を助けるような背圧を提供するためのものであって、閉塞要素3829に近い位置に設けるものであるから、閉塞要素3829の近位端から約5センチメートル以内とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 [相違点3] カテーテルから液体を流出させる際、液体の逆流を防止することは、当業者が通常考慮する課題(引用文献3記載事項参照。)であり、引用発明において、灌流出口孔3820からの液体の逆流を防止するため、灌流出口孔3820に逆流防止機構を設けることは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、カテーテルにおける逆流防止機構の具体的な構成として、弾性カバーを一方の縁部に沿って管状シャフトの外周に取り付ける構成とすることは、周知技術であり(例えば、原査定で引用された特表平10-502267号公報の第34ページ第12行-第35ページ第8行、図13A-Bを参照。)、さらに、弾性カバーをポリマー製とすることも周知慣用技術であるから、引用発明において、灌流出口孔3820の逆流防止機構として、ポリマー製である弾性カバーを一方の縁部に沿って管状シャフトの外周に取り付ける構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本件補正発明の効果についてみても、引用発明、引用文献3記載事項及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものということはできない。 (5)小括 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献3記載事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 むすび 本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~13に係る発明は、令和 5年 9月26日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。 (進歩性)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1に記載された発明、上記引用文献3に記載された事項及び周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記注入ポートは、前記中央内腔又は前記中央内腔と同心の第2の内腔と流体連通」すること及び「前記ワイヤは前記中央内腔内に閉じ込められるように構成され、又は、前記バルーンの遠位側において流体が前記中央内腔から流出しないように、前記ワイヤは密閉の弁を通って前記中央内腔から延在するように構成されている」ことという限定を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献3記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、同様の理由で、引用発明、引用文献3記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-007597

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  • 2024-015685拒絶査定不服審判 / 2025-10-20 / 請求不成立ガス放出装置
    共通の審決分類: 121・A61M、575・A61M
  • 2024-004888拒絶査定不服審判 / 2025-07-17 / 請求不成立セルフ・フラッシング・コネクタ
    共通の審決分類: 121・A61M、575・A61M

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