特許拒絶査定不服審判
2024-009836
即席めん
- 審判番号
- 2024-009836
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-124026
- 請求日
- 2024年06月12日
- 審決日
- 2026年03月10日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日清食品ホールディングス株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 八木 誠
- 審判官 宮地 匡人
- 審判官 長清 吉範
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-124026「即席めん」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年2月1日出願公開、特開2022-20498〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年7月20日の出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年9月 4日付け:拒絶理由の通知
令和6年1月11日 :意見書及び手続補正書の提出
同年3月 4日付け:拒絶査定(謄本送達日:同月12日)
同年6月12日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明は、令和6年6月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。なお、当該手続補正書は、請求項6を削除するものであって、請求項1は補正されていない。
「【請求項1】
粉末又は液体スープパックが添付された即席袋めん又は即席カップめんにおいて、調理時に喫食者の好みに応じて当該添付粉末又は液体スープの一部を残して調理することが可能である旨及び当該残した粉末又は液体スープの一部について、別途利用することができる旨を明示した即席袋めん又は即席カップめんであって、
添付粉末又は液体スープパックにおいて、調理時に当該スープ使用量を調整するため、収納された粉末又は液体スープが前記パックの内部において複数の区画された領域に分離して収納されている即席袋めん又は即席カップめん。」
第3 原査定における拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2007-15765号公報
第4 当審の判断
原査定の引用文献1に加えて、周知技術を示す文献として以下の文献を追加する。
引用文献2:「ラーメンスープが余ったら…色々レシピに活用して使いきろう」、[オンライン]、2016年6月3日、snapdish[検索日2025年12月23日]、取得先<https://snapdish.jp/books/56628a0cbd707b0c85591403/>
引用文献3:「余りがち"ラーメンスープの素"で「コク旨鍋」ができた」、[オンライン]、2015年12月15日、クックパッドニュース、[検索日2025年12月23日]、取得先<https://news.line.me/detail/oa-cookpadnews/1iv3sxk4c9iyh>
1 引用文献の記載事項及び引用発明
(1) 引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、中に物を入れる容器で、中身を取り出すときに、分量や中身の種類を簡単に調節できる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
固体や液体は、塩化ビニルやプラスチックなどの袋や瓶やケースなどの容器に入れて、利用者に提供されることが多い。例えばインスタントラーメンやカップラーメンやカップスープの粉末スープや液体スープは、塩化ビニルなどでできた袋に入った状態で消費者に提供されることが多い。また、市販されている弁当に添付されている醤油やソースなどの調味料も、袋に入れられて提供されることが多い。これらの容器は、中身の全量を取り出す場合は問題ないが、中身の一部だけを取り出したり、取り出す量を調節したりすることは難しく、不便である。
【0003】
また一般的に、調味料、食品、接着剤、化粧品、薬、石鹸など、多くのものが容器や袋に入れられた状態で消費者に供給されている。消費者はそれらの容器や袋を、切ったり、破ったりして開封して中身を取り出して使うが、しかし、それらの容器や袋は一度開封すると、取り出せる中身の量を調節することが難しい場合が多い。特に、中身が少なくて扱いにくく、また少しの分量の違いで大きく効果が異なるようなもの、例えば、食材に添加する食塩やスープの素やスパイスなどの調味料による味付けなどは、少し量が変わるだけで、大きく味が変わってしまうことがある。このような場合は、容器から取り出せる量を、微妙に調節できることが望ましい。しかし、日常使われている容器や袋は、取り出す中身の量の調節が難しいものが多く、消費者は自分の好みや必要に応じて量を調節することが困難である。
【0004】
本発明は、取り出す中身の量や質を簡単に調節できる容器を提供するものである。本発明によって、微妙な調節が容易に行えるようになり、有用で便利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記で述べたような容器は、袋を破って中身を出すものが多いが、そのとき、取り出す中身の量を微妙に調節することは難しい。全量を取り出す場合は問題ないが、例えば健康のために塩分を控えている人は、塩分の多い粉末スープの素などの一部だけを袋から取り出したい、と考えても、どの程度の量を取り出せば最もいいのか知るすべはないし、また一部だけを簡単にうまく取り出すことは難しい。また、食する度に同じ味にするために、同じ量を取り出そうとしても、目安になるものがないので難しい。また、うす味を好む人は、「粉末スープや液体スープの一部だけを使って、自分にあった味付けにしたい」と考えても、どの程度の量を取り出せば最も自分にとって美味しいかを知るすべはなく、また、毎回同じ量を取り出して、同じ味にすることはできず、不便である。
【0006】
このような問題は、容器の中身が分割されずにひとつになっているために生じている。また、容器を開封して中身を取り出すときは、全量使い切ることを前提にして、あるいは量の調節はしないものとして容器が作られているために、このような問題が生じる。
【0007】
もちろん、全量使い切りではない容器も数多くあり、そのような容器はキャップやふたなどで開封後も再び容器を閉じることができ、残った中身を次回の使用まで保存するようにできている。しかし、本発明は、そのような容器に関してのものではなく、キャップやふたが無く、口を裂いたり破ったりして中身を出すような、再封入、再密封できない容器についてのものである。
【0008】
たとえば、一回使い切りを前提として作られている容器は、全量を一度に使い切る場合は問題ないが、しかし、全量ではなく中身の一部だけを使いたい場合は、大変不便である。カップラーメンの袋入り粉末スープなどはその一例で、薄味にしたいときなど、取り出す粉末量を少なく調節したいと考えても、目安になるものもなく、また、毎回同じ薄味にするために取り出す量を同じにすることは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明では、複数箇所ある開封部位の内の一箇所開封すると、容器の開封部位に応じて、異なる中身を取り出すことができる袋および容器を提供する。すなわち、内容物を収納する閉じた内空が複数個あって、容器の開封部位に応じて、開封される内空とその数が変わり、その結果、内空から外に取り出すことができる中身の量や種類を変えることができる袋および容器を提供する。本発明により、袋や容器から中身を取り出す際、量を調節することが容易にできるようになる。
【0010】
また、前記の袋および容器において、開封部位が一箇所のみのもので、開封する程度によって開封される内空の数を変えることができる袋および容器も本発明に含まれる。
【0011】
また、前記の袋および容器において、容易に破る、或いは裂く、或いは穴を開けることができる材質で作られたもので、開封する部分は、破る、或いは裂く、或いは穴を開けることが容易にできるように、あらかじめ袋あるいは容器の開封部分に切れ込みや裂け目のガイドとなるミシン目を付けたものも本発明に含まれる。
【0012】
また、前記の袋および容器において、どの部位で開封すると、中身をどれだけ取り出すことができるのかについて、袋あるいは容器に文字や記号で記載されているものも、本発明
に含まれる。
【0013】
また、前記の袋および容器において、開封する部位により、取り出すことができる中身の量や質を変えることができ、その結果生じる効果について、袋あるいは容器に文字や記号で記載されているものも、本発明に含まれる。
【0014】
また、請求項4および請求項5において、容器に記載された文字や記号の位置が、袋および容器の開封後に不要となる部分ではなく、内容物が入っている容器本体側の部位に記載されたものも、本発明に含まれる。
【0015】
以上のような袋および容器を本発明により提供することによって、袋や容器から中身を取り出す際、量を調節することが容易にできるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、容器および袋の中身を取り出す際、容易に、再現性よく取り出す分量や質を調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0000】
本発明は、以下の特徴を有する袋および容器についてのものである。
【0018】
本発明は、一ヶ所開封すると、容器の開封部位に応じて、異なる中身を取り出すことができる袋および容器を提供する。すなわち、内容物を収納する閉じた内空が複数個あって、容器の開封部位に応じて、開封される内空やその数が変わり、その結果、外に取り出すことができる中身の量や種類を変えることができる袋および容器についての発明である。袋および容器が有する内空の数は、2以上30以下であるが、望ましくは2以上7以下である。
【0019】
これらの袋および容器の開封する部分は、容易に破る、或いは裂く、或いは穴を開けることができる材質で作られていていることが望ましい。
また、容易に袋あるいは容器を破る、或いは裂く、或いは穴を開けることができるように、あらかじめ袋あるいは容器に切れ込みや裂くためのガイドとなるミシン目をつけるとさらに便利である。
【0020】
また、前記の袋および容器において、どの位置で開封すると、中身をどれだけ取り出すことができるか、袋あるいは容器に文字や記号で記載されていると、どの程度中身を取り出せばよいかを知る手がかりとなり便利である。これは即ち、それぞれの内空に、それぞれどれだけの中身が入っているのかを知ることにもなる。
【0021】
また、複数の内空にはそれぞれ別々の内容物を入れてもよく、その場合は、開封部位により、取り出すことができる中身の種類を変えることができる。その結果生じる効果について袋あるいは容器に文字や記号で記載されていると、内容物を取り出した結果を予想することができ、開封する部位を決めるのに役立ち便利である。
【実施例1】
【0022】
本発明によって作成した容器の一例を図1に示した。図1のA、BおよびCは、塩化ビニルなどの、中身を密封することができ、同時に簡単に開封するできる材質で作った容器である。図1のAは袋を正面から見た図であり、図1のBは同じ袋を横から見た図である。
【0023】
実施例1では、内容物を収納する内側の閉じた空間(以下、内空と呼ぶ)が3つ有るものを示した。3つの内空はそれぞれ別々に密封されており、開封前に内容物が互いに混じりあうことはない。内空の数は、通常2以上30以下で、望ましくは、2以上7以下である。図中の番号1は、袋に詰められた内容物を表しており、粉末の固体や液体の場合が多いが、気体である場合もあり、内容物の形状はどのようなものでもよい。番号2,3、および4は、内容物を入れる内空を表している。図1のAでは、内空に入っている中身の量は、どの内空も同量である例を示しているが、内空に含まれる中身の量はそれぞれ異なっていてもよい。
【0024】
たとえば、カップラーメンの粉末スープの素などは、内空番号2には基本的な味付けに足るだけの粉末スープの素を入れておき、内空番号3や4には、基本的な味付けに加えて、さらに微妙に味を調節して濃くするための少量の粉末スープの素を入れてもよい。
【0025】
また、それぞれの内空には、粉末スープの素など同じ種類の中身を入れても良いし、また、内空ごとに含まれる塩分量を変えたりして、味の質が変わるようにしてもよい。
【0026】
さらに他の例をあげると、一つ目の内空(番号2)にはケチャップ、二つ目の内空(番号3)にはソース、さらに三つ目の内空(番号4)にはマスタード、というように種類の異なったものを内空に入れることができる。ケチャップだけ取り出したい場合は、一つ目の内空(番号2)だけを開封する一番上のミシン目に沿って袋を裂けばよい。ケチャップとソースを両方取り出したいときは、それらを両方とも開封する上から2番目のミシン目に沿って袋を裂けばよい。ケチャップ、ソース、マスタード、全てを取り出したいときは、三つの内空全てを開封する一番下のミシン目に沿って袋を裂けばよい。
【0027】
番号5は切れ込みを表しており、袋を裂く始点になる。この切れ込みを始点として番号6で表したミシン目に沿って簡単に袋を裂くことができ、容易に内容物を外に取り出すことができる。
【0028】
実施例1では、番号5のような切れ込みが合計6箇所、ミシン目が合計3本あるものを示したが、これらの数は、内空の数や、内空の形状、容器の形状によって変化する。番号6のミシン目に沿って袋を裂くと、閉じていた内空の一部が開封されて、中身を外に取り出すことができる。
【0029】
実施例1では、袋を一番上のミシン目に沿って裂いた場合は、開封される内空はひとつだけで、取り出される内容物の分量も内空ひとつ分であり、その量は少ない。このとき、他の二つの内空は開封されずに、そのまま内容物は袋内に留まる。しかし、上から二番目のミシン目に沿って袋を裂いた場合は、二つの内空が開封されるので、二つ分の内容物を取り出すことができる。さらに、一番下のミシン目に沿って袋を裂いた場合は、三つの袋が開封され、全ての内容物を取り出すことができる。
【0030】
実施例1では、内空の形がそれぞれ異なっていて、ミシン目も3本あるので、必要に応じて、どのミシン目で裂くかを選び、取り出す内容物の量を簡単に調節することができる。
また、図1のCに示したように、切れ込みやミシン目の近くに印や説明を記載して、どの場所で袋を破れば、どのような効果が得られるかを示すことができる。
【0031】
印や説明は、袋に直接印刷して表示してもよいし、或いは商品の包装紙などの別の場所に記載してもよい。
【0032】
説明は、たとえば、「ここで切れば薄味になります」、「ここで切れば普通の味になります」、「ここで切れば濃い味になります」、などの効果を示した表示もできるし、また、「NaCl 1.0g」、「NaCl 2.0g」、「NaCl 3.0g」などと表示すれば、どのミシン目で切れば、どれだけのNaCl(塩化ナトリウム、あるいは食塩)を取り出すことができるかを正確に表示することもできる。
【0033】
これらの表示があれば、消費者は簡単に自分にあった味付けや、食塩量を選んで、分量を自分で調節することができ、また、同じ商品を別の機会に使う場合でも、毎回同じ量に調節することができる。
【0034】
さらに図1のCについて詳細に説明する。図1Cは中身の食塩量(NaCl量)を袋に直接印字した例である。一番上のミシン目で切れば、ひとつの内空の中身だけを取り出すことができ、そのときの食塩量は1.0グラムであることがわかる。上から二番目のミシン目で切った場合は、内空二つ分を外に取り出すことができ、そのときの食塩総量は2.0グラム、また、一番下のミシン目で切ったときは、内空3つ分で食塩総量は3.0グラムになることがわかる。このように表示すれば、消費者は簡単に取り出す分量を調節することができ、また、毎回同じ量を簡単に取り出すことも可能で、容易に微妙な調節をすることができる。」
「【図1】
[図:0001434672000001.jpg]
」
イ 引用文献1から認定できる事項
(ア) 上記アの【0024】の「カップラーメンの粉末スープの素」が入った袋は、商品である「カップラーメン」に添付されていることが技術常識である。そして、【0031】に袋とは別に「商品の包装紙」と記載されており、この「商品」とは、【0024】の「カップラーメンの粉末スープの素」の例でいうと、「カップラーメン」を指すことが明らかである。そうすると、【0024】の「カップラーメンの粉末スープの素」の袋は、商品である「カップラーメン」に添付されているものと認められる。
(イ) 上記アの【図1】には、一番目の内空2、二番目の内空3及び三番目の内空4のそれぞれに、内容物1が封入された袋が記載されており、【0024】の「カップラーメンの粉末スープの素」に適用した例では、この内容物1が粉末スープの素であることが理解できる。
ウ 引用発明
上記ア及びイから、引用文献1には、特に、実施例1においてカップラーメンの粉末スープの素に適用した例に着目すると、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は特に参照すべき箇所である。)。
「カップラーメンの粉末スープの素の袋が添付されたカップラーメンにおいて(【0024】、上記イ(ア))、
消費者が簡単に自分にあった味付けや、食塩量を選んで、分量を自分で調節するための表示であって、「ここで切れば薄味になります」などの効果を示した表示が包装紙にされたカップラーメンであって(【0031】~【0033】)、
カップラーメンの粉末スープの素の袋は、粉末スープの素を収容する内側の閉じた空間である内空が3つ有り、3つの内空はそれぞれ別々に密封されており(【0023】、【図1】)、味を調節するため、3つの内空である一番目の内空2、二番目の内空3及び三番目の内空4のそれぞれに、粉末スープの素が封入されている(【0024】、【図1】、上記イ(イ))、
カップラーメン。」
(2) 周知技術について
ア 引用文献2
引用文献2には以下の記載がある。
「
[図:0001434672000002.jpg]
・・・
[図:0001434672000003.jpg]
・・・
[図:0001434672000004.jpg]
[図:0001434672000005.jpg]
・・・
[図:0001434672000006.jpg]
・・・ 」
イ 引用文献3
引用文献3には以下の記載がある。
「
[図:0001434672000007.jpg]
[図:0001434672000008.jpg]
[図:0001434672000009.jpg]
[図:0001434672000010.jpg]
・・・ 」
ウ 周知技術
上記ア、イから、以下の事項は、当業者にとって従来から周知の技術的事項(以下「周知技術」という。)である。
「余ったラーメンスープを別の料理に活用すること。」
2 対比
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(1) 引用発明の「カップラーメンの粉末スープの素」は、本願発明の「粉末スープ」に相当し、「粉末又は液体スープ」という条件を充足する。引用発明の「袋」は本願発明の「パック」に相当する。また、引用発明の「カップラーメン」は、本願発明の「即席カップめん」に相当し、本願発明の「即席袋めん又は即席カップめん」という条件を充足する。
そうすると、引用発明における「カップラーメンの粉末スープの素の袋が添付されたカップラーメン」は、本願発明における「粉末又は液体スープパックが添付された即席袋めん又は即席カップめん」に相当する。
(2) 引用発明の「消費者」は、本願発明の「喫食者」に相当し、引用発明の「自分で調節する」ことは、スープの使用する事項が調理といえることを踏まえると、本願発明の「調理時に喫食者の好みに応じて」「調理すること」に相当する。そして、引用発明の「「ここで切れば薄味になります」などの効果を示した表示」は、消費者が粉末スープの一部を残す手段を説明するものであるから、本願発明の当該添付粉末又は液体スープの一部を残して調理することが可能である旨の明示に相当する。
そうすると、引用発明における「消費者が簡単に自分にあった味付けや、食塩量を選んで、分量を自分で調節するための表示であって、「ここで切れば薄味になります」などの効果を示した表示が包装紙にされたカップラーメン」は、本願発明における「調理時に喫食者の好みに応じて当該添付粉末又は液体スープの一部を残して調理することが可能である旨及び当該残した粉末又は液体スープの一部について、別途利用することができる旨を明示した即席袋めん又は即席カップめん」と、「調理時に喫食者の好みに応じて当該添付粉末又は液体スープの一部を残して調理することが可能である旨を明示した即席袋めん又は即席カップめん」に限り一致する。
(3) 引用発明の「味を調節するため」は本願発明の「調理時に当該スープ使用量を調整するため」に相当し、引用発明の「袋」に「3つ有」る「内容物を収容する内側の閉じた空間である内空」は本願発明の「前記パックの内部において複数の区画された領域」に相当する。また、引用発明の「3つの内空である一番目の内空2、二番目の内空3及び三番目の内空4のそれぞれに、粉末スープの素が封入されている」事項は、本願発明の「収納された粉末又は液体スープが」「複数の区画された領域に分離して収納されている」事項に相当する。
そうすると、引用発明における「カップラーメンの粉末スープの素の袋は、内容物を収容する内側の閉じた空間である内空が3つ有り、3つの内空はそれぞれ別々に密封されており、味を調節するため、3つの内空である一番目の内空2、二番目の内空3及び三番目の内空4のそれぞれに、粉末スープの素が封入されている」事項は、本願発明における「添付粉末又は液体スープパックにおいて、調理時に当該スープ使用量を調整するため、収納された粉末又は液体スープが前記パックの内部において複数の区画された領域に分離して収納されている」事項に相当する。
(4) 総合すると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「粉末又は液体スープパックが添付された即席袋めん又は即席カップめんにおいて、調理時に喫食者の好みに応じて当該添付粉末又は液体スープの一部を残して調理することが可能である旨を明示した即席袋めん又は即席カップめんであって、
添付粉末又は液体スープパックにおいて、調理時に当該スープ使用量を調整するため、収納された粉末又は液体スープが前記パックの内部において複数の区画された領域に分離して収納されている即席袋めん又は即席カップめん。」
<相違点>
本願発明1は「当該残した粉末又は液体スープの一部について、別途利用することができる旨」についても明示されているのに対し、引用発明はそのような事項は特定されていない点。
3 判断
(1) 相違点について
以下、上記相違点について検討する。
上記相違点に係る本願発明の構成は、情報の単なる提示(提示される情報の内容にのみ特徴を有するものであって、情報の提示を主たる目的とするもの)であるところ、引用発明において表示される情報の内容をどのようにするかは、当業者が適宜設定すべき事項にすぎない。
また、その情報の内容についても、上記周知技術のとおり、余ったラーメンスープを別の料理に活用することは、従来から行われている事項にすぎず、商品において、レシピ等、その利用方法を記載することは、例示するまでもなく、従来から行われている事項であるから、引用発明における表示においても、余ったラーメンスープを別の料理に活用できる旨記載し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願発明の効果は、当業者が引用発明及び周知技術のそれぞれが奏する効果の総和を超えるものではないから、当業者が予測可能な範囲内のものであって、格別顕著なものとはいえない。
(2) 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の【請求の理由】4.「(3)補正後の請求項1に記載の発明と引用発明の対比」において、「本発明らはこのような背景に鑑み、需要者(消費者)が即席袋めんや即席カップめんに使用するスープ量を自由に選択できることに気づくように、積極的に当該商品に明示することを見出したものです。
さらに、補正後の請求項1に記載の発明におきましたは、上記の記載に加えまして、当該残した粉末又は液体スープの一部について、別途利用することができる旨を明示しております。
需要者(消費者)側の心理と致しましては、減塩のために添付した添付粉末又は液体スープの一部を残して調理した場合、当該残した粉末又は液体スープを捨てることに抵抗を感じる場合も多くあります。
すなわち、減塩しようと思っても、残した粉末又は液体スープを捨てることの抵抗感から全量を入れてしまう場合も多くありました。
一方、補正後の請求項1に記載の発明のように、“当該残した粉末又は液体スープの一部について、別途利用することができること、”すなわち、本願明細書の段落[0045]、[0046]に記載しておりますように、当該残した粉末又は液体スープの一部について、別途即席袋めん又は即席カップ麺、その他の料理に使用することができる内容を明示することによって、消費者が残した粉末又は液体スープを捨てることの抵抗感を払拭することが可能となります。」とし、「このような点を積極的に明示することが、本願発明の大きな技術的特徴になっているものと確信致します。このように補正後の請求項1につきましては、引用文献1には無い特別な技術的特徴を有します。」と主張する。
しかしながら、その他の料理に使用することができる内容を明示すること自体は、上記(1)のとおり、当業者が容易に想到し得たものであり、請求人の主張する特徴はその際に必然的に備わる事項にすぎない。
してみると、請求人の主張は採用できない。
4 小括
したがって、本願発明は引用発明及び上記周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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