審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-012870

粉砕されたタイヤゴム粒子からモノリシック、マクロ構造、相互侵入エラストマーネットワーク形態を再生する方法

審判番号
2023-012870
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-508966外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年08月02日
審決日
2025年06月24日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-Z (C08L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-508966「粉砕されたタイヤゴム粒子からモノリシック、マクロ構造、相互侵入エラストマーネットワーク形態を再生する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月 1日国際公開、WO2018/200340〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)4月20日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年4月25日 米国、同年8月4日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和4年 5月31日付け:拒絶理由通知書 同年12月 7日 :意見書及び手続補正書の提出 令和5年 3月28日付け:拒絶査定 同年 8月 2日 :審判請求書及び手続補正書の提出 同年12月20日付け:前置報告書 令和6年 4月 2日 :上申書の提出 第2 令和5年8月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年8月2日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の概要 令和5年8月2日にされた補正(以下「本件補正」という。)は、(1)に示す本件補正前の請求項1を、(2)に示す本件補正後の請求項1とするものである。下線は補正箇所を示す。 (1)本件補正前の請求項1 「加硫ゴム粒子を含む水性スラリー及び有機金属化合物を、キャビテーションを有する位相空間環境を生成するように構成された電気機械的反応器に導入して、硫化物結合の破壊と調和するように、加硫ゴム粒子のゴムマトリックスのデラミネーションを誘導する改質ゴムを調製する方法。」 (2)本件補正後の請求項1 「加硫ゴム粒子を含む水性スラリー及び有機金属化合物を、電気機械的反応器に導入して、前記加硫ゴム粒子を含む水性スラリーにおけるスルフィド結合を破壊し、加硫ゴム粒子のゴムマトリックスのデラミネーションを誘導することを含む、改質ゴムを調製する方法であって、 前記有機金属化合物が、酢酸銅又は酢酸コバルトであり、 前記電気機械的反応器が、電気機械的反応器環境(EMRE)ローター、圧縮ゲート、前記EMREローターと前記圧縮ゲートの出口の間に位相空間トンネルを有し、前記圧縮ゲートが、調整されたAC電流を導入する電極を有するものであり、これによりキャビテーションを誘発する電気機械的反応器である、方法。」 (3)補正内容 本件補正は、以下の補正事項1を有する。 (補正事項1) 請求項1において、本件補正前の「キャビテーションを有する位相空間環境を生成するように構成された電気機械的反応器」を、本件補正後の「前記電気機械的反応器が、電気機械的反応器環境(EMRE)ローター、圧縮ゲート、前記EMREローターと前記圧縮ゲートの出口の間に位相空間トンネルを有し、前記圧縮ゲートが、調整されたAC電流を導入する電極を有するものであり、これによりキャビテーションを誘発する電気機械的反応器」にする。 3 本件補正についての当審の判断 (1)補正事項1の補正の目的について 補正事項1の補正の目的について検討する。 ア 明瞭でない記載の釈明についての検討 (ア)補正事項1は、明瞭でない記載の釈明を補正の目的とし、原査定の拒絶の理由(理由3(明確性要件違反)の[あ]、[い])を解消しようとしたものと認められるが、以下に述べるとおり、「電気機械的反応器」の不明瞭さを正すものではなく、依然として不明瞭なままであることから、明瞭でない記載の釈明を目的としたものといえない。 (イ)「電気機械的反応器」について 補正事項1の「電気機械的反応器」は、水性スラリー等を導入するものであり、「電気機械的反応器環境(EMRE)ローター」、「圧縮ゲート」を有し、「電気機械的反応器環境(EMRE)ローター」と「圧縮ゲート」の出口の間に「位相空間トンネル」を有すること、「圧縮ゲート」が「調製されたAC電流を導入する電極」を有し、これにより「キャビテーション」が誘発することを特定している。 (ウ)「電気機械的反応器」について、本願明細書、特許請求の範囲及び図面には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 加硫ゴム粒子を含む水性スラリー及び有機金属化合物を、キャビテーションを有する位相空間環境を生成するように構成された電気機械的反応器に導入して、硫化物結合の破壊と調和するように、加硫ゴム粒子のゴムマトリックスのデラミネーションを誘導する改質ゴムを調製する方法。 ・・・ 【請求項 12】 複数のスロットを有するローター、及び ステーターを含み、 混入空気、有機金属化合物及び粉砕タイヤゴム粒子の混合物を、キャビテーション(cavitation)を受ける液体中で生成することによって位相空間環境を作るように構成される、電気機械的反応器。」 「【0015】 第1の態様では、改質ゴムを調製する方法を提供し、この方法は、加硫ゴム粒子を含む水性スラリー及び有機金属化合物を、キャビテーションで位相空間環境を作るように構成された電気機械的反応器に導入して、硫化物の結合の破壊と調和して、加硫ゴム粒子のゴムマトリックスのデラミネーションを誘導する。」 「【0026】 第2の態様において、電気機械的反応器が提供され、複数のスロットを有するローター及びステーターを含み、電気機械的反応器は、混入空気、有機金属化合物及び粉砕タイヤゴム粒子の混合物を、キャビテーション(cavitation)を受ける液体中で生成することによって位相空間環境を作るように構成される。」 「【0051】 【図1】粉砕タイヤゴム粒子(GTRP)スラリーフローパターン104を生成するように協働するローター101、ステーター102、及びスロット/キャビテーションポータル103を含む電気機械的反応器環境(EMRE)を図示する。 【図2】混合タンク201に沈められたEMRE上部(head)202を使用した図1のEMREのGTRPスラリーを調製する方法を図示する。 【図3A】差周期的機械的応力及び立体場分極が適用される「位相空間トンネル」を横断するGTRPの方法を図示する。 【図3B】EMREローター301と圧縮ゲート302の間の位相空間トンネル303を示す。 【図3C】GTRPの急速な圧縮引張減圧の影響を示す。 【図4A】混入空気406、GTRP405、水性有機金属マトリックス407が圧縮ゲートを通過するときに、EMREローター401及び圧縮ゲート203によって生じるキャビテーションのプロセスを示す。 ・・・ 【図8A】平行な連続フローマイクロ合成反応器(Parallel,Continuous-Flow,Micro-synthesis Reactor)(PCMR)を図示する。 【図8B】例えば、PCMRで使用する空間節約型管構造を図示する。」 「【0096】 粉砕されたタイヤゴム粒子からの相互侵入エラストマーネットワークの再生 一実施形態において、粉砕されたタイヤゴム粒子からモノリシック、マクロ構造、相互侵入エラストマーネットワーク形態を再生するために、進行性の要素を使用する。要素1は、電気機械式反応器環境(EMRE)を提供して、GTRPを解き、最後の配合について硫化物架橋鎖を再配列するBoltzman「位相空間」媒介物を支持することを伴う。要素2は、EMRE加工のためのGTRPスラリーを調製することを伴う。要素3は、GTRPを差周期的機械的応力及び立体電子分極化に供することを伴う。要素4は、GTRPスラリーを設計されたキャビテーション誘導熱(cavitation-induced thermal)及び音響衝撃波変動(acoustic shockwave excursion(s))に供することを伴う。要素5は、走化性硫化物架橋テザー効果を発生させることを伴う。要素6は、化学反応産物の生成及びタイムライン(timeline)を伴う。要素7は、再生成されたGTRPを完全統合、モノリシック、マクロ構造エラストマー材料に配合することを伴う。 【0097】 要素1において、電気機械的反応器環境(EMRE)は、効率的な「位相空間」環境を提供して、1)GTRPを解き、加硫前駆体をリセットし、2)次に硫化物架橋の再配列を行い、3)未変性のエラストマー充填剤マトリックスに最小変化する。図1は、EMREの上部である。この上部は、可変先端速度及び最大15,000fpmを有する16インチステンレス鋼101を含む。110個のスロット(キャビテーションポータル)103を有する17インチステンレス鋼ステーター102も使用する。この部品は、図1に示されるGTRPスラリー流動パターン104を作製する。図1において、線「A」に沿った断面の詳細を提供する。図1に示されるEMREは、有利に使用することができ、その他の機械的プラットフォームは、実施形態の方法、例えば、プログレッシブキャビティポンプ、ねじポンプ、押出し機等に使用される反応器として、構成することができる。 ・・・ 【0099】 要素3では、スラリーのGTRPは、「位相空間トンネル」を横断し、差周期的機械的応力及び立体場分極がGTRPに適用される。本明細書に記載の「位相空間」(トンネルと呼ばれることもある)の概念は、Boltzmanにより「箱」として最初に提示され、箱の「中身」が外部の影響を受ける場合に、分子構造及び速度が時間間隔に対して定量化される。「箱」環境が、短い、時間-振動-間隔で、エントロピー-エンタルピー-エントロピー位相変化で誘導された場合、莫大なエネルギー力(速度)が「箱」の内部に解放される。このプロセスを、直線距離、GTRPジオメトリー、速度、0.000秒~0.0019秒で延長するタイムラインにおいて時間の関数として記述される加速特性と共に図3Aに模式的に示す。時間0.000は、粒子がEMREローター301に衝突する時間である。GTRPは、ステーター(圧縮ゲート302)において圧縮され、ステーターを退出し、再循環パターンに進入する。図3Bに示されるように、EMREローター301と圧縮ゲート302の出口の間の空間は、位相空間トンネル303と呼ばれる。調整されたAC電流を圧縮ゲートに加えて、処理を容易にしてもよい。調整されたAC電流を導入する電極304が提供される。0(又は振動なし)~100Hzの振動を加えることができ、又は周波数制御器を使用することで最大1000Hz以上の振動を加えることができる。最大300V以上の電圧を加えて、スラリー媒体に電流を誘導することができ、極性の急な反転によって、位相空間トンネルのゴム粒子の表面に電子を堆積する効果を有する。ステーターの圧縮のプロセスは、GTRPを歪め、長さに対する幅の比が6:1に増加する。ステータースロットを流れる調整されたAC電流によって補助される急速な圧縮-伸長-減圧の「トランポリン」効果は、図3Cに示されるように、重なりあう電子雲の間の反発作用の立体効果を強め、次に、GTRP結合マトリックスのデラミネーションを加速させる。約1200横断性硫化物架橋を有する600ミクロンの粒子について、ステーターを通過するごとに、60個の転位し、再増強された加硫された前駆体部位を再生成する。要素1に記載されるEMREは、本明細書の他の場所で記載される平行な連続フローマイクロ合成反応器(PCMR)ハードウェアの一実施形態であり、原理的に実施形態の工程を実施するための圧力容器を構築及び証明する必要性を回避する。しかしながら、PCMRは、水から蒸気への曲線に沿った固定温度で作動し、戦略的に配置された機械的に大きい直径の開口部(例えば、調節可能なアイリス弁)にGTRPスラリーを押し通すことによって、図3Aに示される「タイムライン」、「直線距離」、「GTRPジオメトリー」、「速度」及び「加速特性」の5つの量子における要素1のEMRE実施形態と同様のGTRPの「位相空間」粒子の開梱結果を生み出すことができる。蒸気-液体-蒸気周期の、及びその周期から振動を誘導するスラリー温度対圧力について、GTRP開梱の有効性が等価である。それぞれがローターを通過すると、粒径が減少する。200メッシュ(70ミクロン)までサイズ減少すると、架橋結合の約65%が崩壊し、粒子は、薄い、機械的に葉のようにパンケーキの様な構造になり得る(例えば、10ミクロンの膜に「スミアアウト」される)。さらなるサイズ減少は、通常、求められない。5~60ミクロンまで減少すると、カーボンブラックが粒子マトリックスから出現し始める。5ミクロンまで減少すると、炭素の減少が始まる。200メッシュ(70ミクロン)の粒径は、概して、多くの用途、例えば、タイヤ、ルーフィング及び舗装用途に有用であるが、いくつかの実施形態では、10ミクロンまでのサイズ減少が望ましい場合がある。 【0100】 要素4では、キャビテーションを誘発する音響衝撃波をGTRPに適用する。図4Aに示されるように、EMREローター401と圧縮ゲート402との間の位相空間トンネルでは、GTRP405、混入空気406及び水性有機金属化合物マトリックス407の混合物が速度及び容量で存在する。圧縮ゲート402を通過して退出すると、空気泡圧縮及び粒子加速がキャビテーション進行408を発生する。スラリーが退出すると、低圧が空気空洞の内破で、キャビテーションサイクルを完了する。通常、キャビテーションの最中に、バルク相の変化は、スラリーの連続する水相の内部で生じない。したがって、温度及び圧力の差示的変動が原子スケールで起こる。この工程は、ナノ領域で極端な温度及び圧力差示的エクスカーション、温度102°F~1015°Fのキャビテーションコーン(cone)、60m/秒~180m/秒の音波速度を発生し、これらは全て103秒-1~108秒-1の時間間隔で生じる。EMREローター及び/又はスラリー粘度及び/又はステーターギャップの回転速度を変化することによって、位相空間トンネルのエネルギー「影響(leverage)」の操作を達成することができる。図4Bは、GTRPスラリー及びEMREについてのプロセス制御変数を示す。比例積分微分コントローラー(PIDコントローラー又は3つのコントローラー)は、産業制御システム及び連続して調整される制御を必要とする様々なその他の適用に広く使用される制御ループフィードバック機構であり、温度、開口サイズ、スラリーの容量、及び蒸気と液体の振動を制御するために使用される。例えば、PIDコントローラーによって調節され、反応物質に関係する可能性のあるその他の要因として、水に対するゴムの比、加えられるOMC(量、計量、断続的又は連続的計量の割合)、OMC残渣の量、減少率が挙げられる。装置は、例えば、PIDコントローラーによって調節することができる装置に関連する要因であり、ローター先端速度、EMREと圧縮ゲートとの間のギャップサイズを含む。図4Cは、選択されたGTRPスラリー制御変数のリスト及びそれらの修正結果を含む表を提供する。図4Dは、選択されたEMREプロセス制御変数のリスト及びそれらの修正結果を含む表を提供する。」 「【0121】 平行な連続フローマイクロ合成反応器(PCMR)を使用して、REEPのシングルパス、分子再構築を実施することは、所望のポストリアクター、動的機械分析結果が生じる場合、発生しているポリマー形態内部の還元-置換の有効性をリアルタイムに洞察することに基づくことができる。外部の調節された電界に対する、反応器のフローの薄い、「動作中の」ループ遅延横断面内部のポリマーの双極子モーメントの相互作用は、誘電率と電界、回転勾配偏差(curl gradient deviations)を獲得しながら、上流の投薬点の結果として生じる変化についてのピンポイントの差示的データを提供する。この作用は、また、ポリマーがPCMR進行を完了するときに、どのような追加の電気化学的「入力メニュー」が所望の最終特性を達成するのに必要とされ得るのかについて、本質的な介在指示を提供する。回転勾配増幅(curl gradience amplification)(CGA)技術を使用することによって、PCMR環境の内部で同様の利点を確認することができる。 【0122】 図8Aは、回転勾配増幅によるループ分子集団伝搬(L-MAP)プロセスを使用する一実施形態のPCMRを記載する。本明細書に記載のL-Mapプロセスは、CGA技術を、新規の再設計されたポリマーを作製する無比の能力を有する先進的なモジュールPCMRプラットフォームに統合する。反応器は、測定される成分801を加えたターボインテグレーター802を含む。これらの成分は、モノマー、ホモポリマー、ポリマー及び/又はその他の成分を含むことができる。記載の実施形態において、連結置換されたゴムを、連結置換されたゴムの改変のためのその他の成分と共に、ターボインテグレーターに加えることができ、その他の成分として、例えば、1つ以上のモノマー、オリゴマー又は連結置換されたゴムに繋がれたポリマー、又は連結置換されたゴムを機能化する1つ以上の反応物(例えば、ポリマー鎖のエンドキャッピング、イオン置換等)がある。記載の実施形態において、成分の混合物を180°Fに加熱し、特殊ポンプ803(特殊ポンプ#1)に供給する。記載のポンプは、圧力を100psi以下、温度を360°F以下に操作するように構成されるが、加工される成分の特定の混合物にとって、高圧及び/又は高温が望ましい場合、必要とする圧力及び温度仕様を満たす異なるポンプに交換することができる。その後、混合物はポンプによってパイプ804のバンクに供給される。バンクのフットプリントを最小にするために、パイプは曲がりくねった構造に形成され、全長800インチを有する。記載の実施形態は、直径4インチのステンレス鋼のパイプを含み、10個のループ上パイプセグメントの120インチの長さを有するバンクに構成される。混合物がパイプを通過するとき、混合物の成分が反応し、事前に選択された組成及び特性を有する再設計されたエラストマーポリマーが生じる。パイプの出力は、第2のポンプ805(特殊ポンプ#2)に関し、反応混合物を(例えば205°Fで)液体の回収のために乾燥タンク806に汲み上げる。実施形態に記載の構成は、2つのバンクの組を使用する場合、783gal/時のスラリー807を出力することができる。反応器の大きさは、任意の適切な構成に定めることができる。例えば、加熱又は冷却能力、加圧又は不活性雰囲気の維持を任意に有する当該技術分野で周知の1つ以上のターボインテグレーター又はその他の混合装置を使用することができる。単純なターボインテグレーターは、1つ以上のバンクを供給することができ、複数のターボインテグレーターは、1つのバンクを供給することができる。1つ以上のポンプは、1つのバンクと連続して、又は1つのバンクと平行して使用することができ、又は1つのポンプは、適切なパイピング又は弁を有する複数のバンクを提供することができる。前述のように、ポンプは汲み上げられる混合物の所望の特性(温度、圧力等)に基づいて選択することができる。特定の実施形態において、バンクからの混合物は、続く構成で直接的に使用され得る(例えば、特殊ポンプ#2及び/又は乾燥タンクの反応器からの脱落)。4インチのステンレス鋼のパイプをバンクに使用して、その他の直径、例えば、0.25以下~6インチ以上の直径を有利に使用することができ、混合物の成分が充分な滞留時間で事前に選択された産物を生成することができる例えば、50インチ以下~2500インチ以上の適切なパイプ長を使用することができる。いくつかの実施形態において、連続構成の複数のバンクを動作させることが望ましく、任意に、バンクの間に設置されるポンプを備えていてもよく、例えば、より長い滞留時間又は減圧下で動作することができるポンプを使用することができる。パイプは、戦略的な静的混合及び化学物質注入点に適合することができ、反応804A(図8A、注1)及び統合された回転勾配増幅(CGA)ポート804B(図8A、注2)を促進することができる。パイプは、また、部分的又は全体的に、制御された熱的空間、例えば、加熱又は冷却ジャケット又は温度制御された浸漬浴を使用することができる。あるいは、パイプを雰囲気条件に曝すことができる。 【0123】 図8Bは、空間節約型管構造を図示する。この構造では、管811はらせん状であり、制御された熱空間810にあり得る。このらせん状の管構造は、入口端811Aから出口端811Bまで軸に沿って伸長することができ、又はらせん状管の曲がりくねった構造にさらに構成されて、バンクのフットプリントをさらに減少させる。 【0124】 実施形態のPCMRは、未使用のゴムが反応し、又は機能化される方法と同様に、本明細書に記載の連結置換される産物を機能化又は反応させることができる。グラフト重合、鎖端機能化等を実施することができる。得られた産物は、アスファルト結合剤、特にゴム製品等に使用するのに適して作製することができる。」 「【図1】 [図:0001429299000001.jpg] 」 「【図3B】 [図:0001429299000002.jpg] 」 「【図4A】 [図:0001429299000003.jpg] 」 「【図8A】 [図:0001429299000004.jpg] 【図8B】 [図:0001429299000005.jpg] 」 (エ)そこで、「電気機械的反応器」が明瞭であるかについて、その各構成要素を順に検討する。 a 「電気機械的反応器環境(EMRE)ローター」について これは「電気機械的反応器」内の「ローター」(回転子)であると解されるから、当該「ローター」が回転して水性スラリー等が流れることは理解できる。 しかしながら、「電気機械的反応器環境(EMRE)ローター」は、当該技術分野における一般的な技術用語であるとは解せないし、「環境」の意味が不明である。 そうすると、当該「ローター」が単なる回転子であるのか、他に形状や機能に技術的特徴を有するものなのか不明である。 b 「圧縮ゲート」について 「圧縮ゲート」は、字義どおりに解釈してもその意味が不明である。 そして、当該反応器において、「圧縮」及び「ゲート」がどのような意味であるのかが不明である。さらにいうと、この「圧縮ゲート」が水性スラリー等をどのように圧縮するか、水性スラリー等をどのように通過させる形状であるのかも不明である。 また、「圧縮ゲート」が当該技術分野において一般的な技術用語であるとは解せない。 ここで、本願明細書には、「GTRPは、ステーター(圧縮ゲート302)において圧縮され、ステーターを退出し、再循環パターンに進入する。」(【0099】)と記載され、図1も参照すると、「圧縮ゲート」は「ステーター」(固定子)であることは理解できる。 しかしながら、上述のように、当該反応器における「圧縮」及び「ゲート」の意味が不明であるし、本願明細書の「圧縮ゲート402を通過して退出すると・・・キャビテーション進行408を発生する。」(【0100】)、「図1は、EMREの上部である。この上部は、可変先端速度及び最大15,000fpmを有する16インチステンレス鋼101を含む。110個のスロット(キャビテーションポータル)103を有する17インチステンレス鋼ステーター102も使用する。この部品は、図1に示されるGTRPスラリー流動パターン104を作製する。」(【0097】)との記載を参酌しても、本願発明1の「圧縮ゲート」が、図1のステーター102を意味すると直ちに解釈することはできない。 そうすると、「圧縮ゲート」はその意味が判然としない。 c 「位相空間トンネル」について 「位相空間トンネル」は、上記「ローター」と上記「圧縮ゲート」の間に存在するものであるが、「ローター」と「圧縮ゲート」の形状や互いの配置が不明であるから、当該「位相空間トンネル」の位置も不明である。 そして、ここでいう「位相空間」や「トンネル」がどのような意味であるのか不明であり、単なる水性スラリー等が通過する空間であるのか、他に機能や技術的特徴を有するものなのか不明である。 ここで、本願明細書には、「位相空間」の概念について、「Boltzmanにより「箱」として最初に提示され、箱の「中身」が外部の影響を受ける場合に、分子構造及び速度が時間間隔に対して定量化される。」ことが記載されているが(【0099】)、これを見ても「位相空間トンネル」の意味は不明である。 d 「前記圧縮ゲートが、調整されたAC電流を導入する電極を有するもの」であり「これによりキャビテーションを誘発する」ことについて 本件補正により、「圧縮ゲート」が調整されたAC電流を導入する電極を有することが特定され、「電気機械的反応器」が、「電気機械的反応器環境(EMRE)ローター」、「圧縮ゲート」、「位相空間トンネル」、「電極」を有するものであり、「これによりキャビテーションを誘発する」ことが特定されたが、当該「反応器」のどのような構造に起因して「キャビテーションを誘発する」のかが不明である。 ここで、本願明細書には、「図3Bに示されるように・・・調整されたAC電流を導入する電極304が提供される。0(又は振動なし)~100Hzの振動を加えることができ、又は周波数制御器を使用することで最大1000Hz以上の振動を加えることができる。最大300V以上の電圧を加えて、スラリー媒体に電流を誘導することができ、極性の急な反転によって、位相空間トンネルのゴム粒子の表面に電子を堆積する効果を有する。・・・ステータースロットを流れる調整されたAC電流によって補助される急速な圧縮-伸長-減圧の「トランポリン」効果は・・・重なりあう電子雲の間の反発作用の立体効果を強め、次に、GTRP結合マトリックスのデラミネーションを加速させる。」(【0099】)と記載されているが、この記載から、請求項1の上記「電極」が、図3Bの「電極」を意味すると直ちに解釈することはできない。 そして、上記「電気機械的反応器」により、「前記圧縮ゲートが、調整されたAC電流を導入する電極を有する」としても、この「圧縮ゲート」がどのようにスルフィド結合を破壊して、「デラミネーション」を誘導するのか判然としない。 さらに、「前記圧縮ゲートが、調整されたAC電流を導入する電極を有する」ことにより、「キャビテーション」をどのように誘発するのか判然としない。 e 小括 以上から、「電気機械的反応器」は、本願明細書及び図面を参酌したとしても、どのような反応器であるのか理解できないものであり、明瞭でない。 したがって、本件補正によっても、「電気機械的反応器」がどのようなものであるのか依然として不明であるため、本件補正による補正事項1は明瞭でない記載の釈明を目的とするものとはいえない。 イ 特許請求の範囲の減縮及び独立特許要件についての検討 本件補正の補正事項1において、「電気機械的反応器」は「電気機械的反応器環境(EMRE)ローター」、「圧縮ゲート」、「位相空間トンネル」等を有することが特定されたことにより、限定された「電気機械的反応器」を構成要素として含むことで、請求項1に係る「改質ゴムを調整する方法」が減縮されたものであると一応解することもできる。 この場合、形式的に特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるといえるので、本件補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許受けることができるか否かを検討すると、上記アに示したとおり、本件補正後の請求項1に係る発明は、「電気機械的反応器」が依然として不明瞭であって、明確であるとはいえない。 したがって、本件補正による補正事項1は、特許法第36条第6項第2号の規定に適合しないものであるから、本件補正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許受けることができないものである。 ウ 請求項の削除、誤記の訂正についての検討 補正事項1は、本件補正前の請求項1に、本願明細書の段落【0099】に記載された事項を追加したものであるから、請求項の削除を目的とするものではない。 そして、本件補正前の請求項1には、補正事項1が、本来その意であることが本願明細書等から明らかな誤記をその意味内容に正したものと解することもできないから、誤記の訂正を目的とするものではない。 エ まとめ 以上より、補正事項1を含む請求項1についての補正は、明瞭でない記載の釈明、請求項の削除、誤記の訂正を目的とするものでなく、そして特許請求の範囲の減縮を目的としたものであるとしても独立特許要件を満たさないものであるから、特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項の何れかを目的とするものであるとは認められず、同条同項の規定に違反する補正、いわゆる目的外補正であると認められる。 (2)審判請求人の令和5年8月2日に提出した審判請求書における主張について 審判請求人は、令和5年8月2日に提出した審判請求書において、本件補正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、発明の特別な技術的特徴を変更するものでもなく、請求項の削除、特許請求の範囲の限定的減縮、誤記の訂正及び不明瞭な記載の釈明を目的とするものであり、独立特許要件を満たすため、特許法第17条の2第3項~第6項の要件を満たすものであること、理由3(特許法第36条第6項第2号)については、補正により解消した旨意見する。 そこで検討するも、上記(1)に示したとおり、本件補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の限定的減縮、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明のいずれを目的とするものではないから、目的外補正であるので適法な補正でなく、上記主張は採用できない。 (3)本件補正の適否のまとめ 本件補正は、上記(1)において検討したとおり、特許法第17条の2第5項の規定に適合しないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 したがって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2において示したとおり却下したので、本願の請求項1~34に係る発明は、令和4年12月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記第2 1(1)の本件補正前の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に係る拒絶の理由3(特許法第36条第6項第2号)の概略は、次のとおりである。 ●理由3(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由の概要は以下のとおり。 [あ]請求項1において、「電気機械的反応器」を特定するための、「キャビテーションを有する位相空間環境を生成するように構成された」という規定が、「電気機械的反応器」を明確に特定できる程度の規定であるとは言えない。 [い]請求項1において、「硫化物結合の破壊と調和するように、加硫ゴム粒子のゴムマトリックスのデラミネーションを誘導する」という規定自体が意味不明である。 3 検討 (1)理由3[あ]について 「キャビテーションを有する位相空間環境を生成するように構成され」は、その記載自体の意味が不明であるし、そのように構成される「電気機械的反応器」も、どのようなタイプ又は構造の反応器であるのか不明である。 本願明細書には、「電気機械的反応器」について、複数のスロットを有するローター及びステーターを含み、混入空気、有機金属化合物及び粉砕タイヤゴム粒子の混合物を、「キャビテーション」を受ける液体中で生成することによって「位相空間環境」を作るように構成されること(【0026】)、「位相空間」(トンネルと呼ばれることもある)の概念は、Boltzmanにより「箱」として最初に提示され、箱の「中身」が外部の影響を受ける場合に、分子構造及び速度が時間間隔に対して定量化されること(【0099】)が記載されている。 しかしながら、これらの記載を参考にしても、本願発明における「電気機械的反応器」が、「キャビテーションを有する位相空間環境を生成するように構成された」ことを理解することができないし、本願優先日時点の技術常識を参酌しても判然としない。 (2)理由3[い]について 上記「硫化物結合の破壊と調和する」及び「加硫ゴム粒子のゴムマトリックスのデラミネーションを誘導する」は、その記載自体の意味が不明である。 本願明細書には、デラミネーションが加硫ゴム粒子の剛直な硫化物架橋部分に結合し、元のアリルカルボカチオンに係留されたまま、元のメチルカルボカチオンに結合しなくなること(【0144】)、スラリーのGTRPは、「位相空間トンネル」を横断し、差周期的機械的応力及び立体場分極がGTRPに適用され、ステータースロットを流れる調整されたAC電流によって補助される急速な圧縮-伸長-減圧の「トランポリン」効果は、図3Cに示されるように、重なりあう電子雲の間の反発作用の立体効果を強め、次に、GTRP結合マトリックスのデラミネーションを加速させること(【0099】)が記載されている。 しかしながら、これらの記載を参考にしても、「硫化物結合の破壊と調和する」及び「加硫ゴム粒子のゴムマトリックスのデラミネーションを誘導する」がどのようなことを意味しているのか理解できないし、本願優先日時点の技術常識を参酌しても判然としない。 (3)小括 以上から、本願発明は、本願出願時の技術常識に照らしても、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。 第4 むすび 上記第3に示したように、本願の請求項1の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合しない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-012870

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決1件(コー,ウィリアム,ビー.)
  • 2023-005135拒絶査定不服審判 / 2025-10-07 / 請求不成立粉砕されたタイヤゴム粒子に由来する相互侵入エラストマーネットワーク
    同じ当事者: コー,ウィリアム,ビー.
同じ根拠条文の審決705件(特許法36条6項2号)
  • 2020-014138拒絶査定不服審判 / 2023-01-11 / 請求不成立界面活性剤フリーシリコーンエマルジョン
    共通の条文: 特許法36条6項2号
  • 2018-008737拒絶査定不服審判 / 2019-02-20 / 請求不成立難燃性樹脂組成物、難燃性マスターバッチ、成形体およびそれらの製造方法
    共通の条文: 特許法36条6項2号
  • 2015-003865拒絶査定不服審判 / 2016-10-11 / 請求不成立低粘性を特徴とする耐酸素プラズマ組成物およびそれに関連する方法
    共通の条文: 特許法36条6項2号
  • 2024-700834異議申立 / 2025-08-27 / 訂正認容ポリマー粒子及びその用途
    共通の条文: 特許法36条6項2号
  • 2023-700665異議申立 / 2025-08-20 / 訂正認容硬化性樹脂組成物、仮固定材、及び、電子部品の製造方法
    共通の条文: 特許法36条6項2号
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,007件(537・C08L)
  • 2024-018812拒絶査定不服審判 / 2026-08-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)フッ素フリーの撥油コーティング、その製造方法、及びその使用
    共通の審決分類: 537・C08L
  • 2025-001508拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)耐熱添加剤を含む架橋性シリコーンエラストマー組成物
    共通の審決分類: 537・C08L
  • 2024-019148拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)プロピレン系重合体組成物、二軸延伸フィルム、および包装袋
    共通の審決分類: 537・C08L
  • 2024-017207拒絶査定不服審判 / 2026-07-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)繊維状物質分散液、及び繊維強化樹脂組成物
    共通の審決分類: 537・C08L
  • 2024-011484拒絶査定不服審判 / 2026-07-07 / 原査定取消(特許/登録すべき)ポリシロキサンを含むフラッディング組成物
    共通の審決分類: 537・C08L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存