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特許拒絶査定不服審判

2023-008653

シミュレーション装置

審判番号
2023-008653
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-110626外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年05月26日
審決日
2024年09月24日
公報発行日
2024年12月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B25J) / P18 .537-WZ (B25J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-110626「シミュレーション装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月17日出願公開、特開2020-199625〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年6月13日に出願された特願2019-110626号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和 2年 3月 2日:上申書及び手続補正書の提出 令和 5年 1月10日:拒絶理由通知 同 年 2月21日:意見書及び手続補正書の提出 同 年 4月10日:拒絶査定 同 年 5月26日:審判請求書の提出 令和 6年 6月18日:当審による拒絶理由の通知 同 年 7月30日:意見書及び手続補正書の提出(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。) 第2 本願発明 本件補正によって補正がされた特許請求の範囲(請求項1~7)のうち、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「ワークが配置される搬送面を有する供給装置と、前記搬送面上の前記ワークを撮影して前記ワークの位置を算出する画像処理装置と、前記搬送面上の前記ワークを保持するハンドを有し、前記画像処理装置の算出結果に基づいて前記ワークを前記搬送面から取り上げるロボットと、を備えるロボット移載システムの動作を疑似的に確認するシミュレーション装置であって、 前記供給装置及び前記ロボットの三次元モデルを仮想空間に配置するモデル配置部と、 前記ワークの三次元モデルを前記供給装置の三次元モデルにおける搬送面上に配置するワーク供給部と、 前記搬送面上の前記ワークの三次元モデルを取り上げるよう、前記ロボットの三次元モデルを動作させるロボット動作制御部と、 を備え、 前記ワーク供給部は、 設定される条件に従って、新たに配置する前記ワークの位置及び向きを算出する基準位置算出部と、 基準位置に配置された前記ワークが占有するワーク領域を設定するワーク領域設定部と、 前記ワーク領域に隣接する干渉領域を設定する干渉領域設定部と、 前記搬送面に新たに配置する前記ワークの前記ワーク領域が先に前記搬送面に配置された前記ワークの前記ワーク領域及び前記干渉領域と重ならないよう、前記搬送面に新たに配置する前記ワークの相対位置を調整する供給位置調整部と、 を有する、シミュレーション装置。」 第3 当審が通知した拒絶の理由 令和6年6月18日に当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は、次のとおりのものである。 本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2018-140476号公報 引用文献2:特開2018-034242号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載 引用文献1には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、ロボットシステムのシミュレーション装置、シミュレーション方法、およびコンピュータプログラムに関する。」 「【0008】 本開示の一態様によれば、仮想空間に配置するワークモデル同士の干渉領域の発生を防止しつつ、実際の作業に近い形態で搬送装置の動作をシミュレーション可能な装置を提供することができる。」 「【0022】 搬送装置100は、例えばベルトコンベアであって、土台部102と、該土台部102の上に可動に配置された搬送部104とを有する。土台部102は、実空間の作業セルの床の上に固定される。搬送部104は、その上に載置されたワークWを、図2中の矢印Aで示す搬送方向Aへ搬送する。本実施形態においては、ワークWは、直方体状である。」 「【0028】 ステップS1において、CPU12は、搬送装置の構成要素をモデル化した構成要素モデルを仮想空間に配置する。具体的には、CPU12は、オペレータの入力操作に応じて、図5に示すように、仮想空間110において、搬送装置モデル100Mを配置する。」 「【0038】 図5に示すように、CPU12は、搬送装置モデル100Mとともに、搬送装置座標系CCを仮想空間110に設定する。このように、本実施形態においては、CPU12は、搬送装置モデル100Mを仮想空間110に配置するモデル配置部52(図1)の機能を担う。」 「【0067】 ステップS5において、CPU12は、仮想空間110においてワークモデルWMを搬送装置モデル100Mに配置する。このとき、CPU12は、ステップS3で設定したオフセット量xOFF、yOFF、およびθOFFの範囲内で、該オフセット量xOFF、yOFF、およびθOFFをランダムに決定する。」 「【0069】 そして、CPU12は、ワークWMを、決定したオフセット量xOFF、yOFF、およびθOFFだけ基準位置Cからオフセットしたオフセット位置を求め、該ワークWMを、搬送部モデル104Mにおいて該オフセット位置に配置する。 【0070】 このように、本実施形態においては、CPU12は、このステップS5において、基準位置Cと、ステップS3で設定したオフセット量(例えば、xMAX、yMAX、θMAX、xMIN、yMIN、θMIN)だけ基準位置Cからオフセットした位置との間の位置範囲内(例えば、閉区間[xMIN,xMAX]、[yMIN,yMAX]、[θMIN,θMAX])で、ワークWMを搬送部モデル104Mの上に配置する。」 「【0073】 図4に示すように、CPU12は、後述のステップS10でYESと判定するまで、ステップS5~S10をループする。したがって、CPU12は、ステップS5を実行する毎に、ワークモデルWMを搬送装置モデル100Mに連続的に配置する。」 「【0081】 ステップS7において、CPU12は、直近のステップS5で配置したワークモデルと、該ワークモデルの前に配置した他のワークモデルとの間の干渉が検出されたか否かを判定する。 【0082】 例えば、CPU12が第n回目のステップS7を実行している場合、CPU12は、第n回目のステップS5で配置したワークモデルWMnと、第n-1回目のステップS5で配置したワークモデルWMn-1との間の干渉が検出されたか否かを判定する。 【0083】 上述したように、CPU12は、ステップS5において、位置範囲Dn-1と位置範囲Dnとが互いに重なり合うように、ワークモデルWMnを配置する。したがって、CPU12が第n回目のステップS5でワークモデルWMnを位置範囲Dn内でランダムに配置したとき、図13に示すように、該ワークモデルWMnとワークモデルWMn-1との間で干渉領域Fが生じ得る。 【0084】 CPU12は、このステップS7において、仮想空間110に配置されたワークモデルWMnとワークモデルWMn-1のプロファイルデータ等に基づいて、干渉領域Fを検出する。」 「【0086】 ステップS8において、CPU12は、ワークモデルWMnおよびワークモデルWMn-1の少なくとも1つに対し、干渉領域Fが生じなくなる非干渉位置を検索する。このステップS8について、図14を参照して説明する。」 「【0102】 再度、図4を参照して、ステップS9において、CPU12は、ワークモデルWMnおよびWMn-1の少なくとも一方の位置を修正する。具体的には、CPU12は、ワークモデルWMnおよびWMn-1の少なくとも一方の位置を、ステップS8で検索された非干渉位置(すなわち、ステップS12でNOと判定された位置)に決定する。 【0103】 その結果、ワークモデルWMnおよびWMn-1の位置は、ステップS7でYESと判定されたときの位置から、干渉領域Fが生じない非干渉位置に修正されることになる。このように、CPU12は、ワークモデルWMnおよびWMn-1の少なくとも1つの位置を修正するワーク位置修正部62(図1)としての機能を有する。」 「【0142】 シミュレーション装置200は、モデル配置部52、オフセット設定部54、搬送動作実行部56、干渉検出部58、非干渉位置検索部60、ワーク位置修正部62、動作範囲設定部204、および追従動作実行部206を有する。」 「【0145】 以下、図22を参照して、実空間におけるロボットシステム250の一例について説明する。ロボットシステム250は、搬送装置100、ロボット252、およびセンサ254を備える。 【0146】 ロボット252は、垂直多関節ロボットであって、ロボットベース256、旋回胴258、ロボットアーム260、手首部262、およびロボットハンド264を有する。ロボットベース256は、実空間の作業セルの床に固定される。」 「【0152】 センサ254は、搬送部104の鉛直上方に設置され、搬送部104によって搬送されるワークWを検出することができる。センサ254は、例えば3次元視覚センサであって、ワークWを撮像し、該ワークWの画像を取得する。」 「【0156】 次いで、ロボット252は、センサ254が取得したワークWの検出画像に基づいて、ロボット座標系CRにおけるワークWの位置および姿勢を取得する。そして、ロボット252は、取得した位置および姿勢に基づいて、ツール座標系CTの原点が搬送中のワークWの所定位置(例えばワークWの中心)に継続して配置されるように、ツール座標系CTを設定する。 【0157】 ロボット252は、ツール座標系CTによって規定される位置および姿勢にロボットハンド264を配置するように、旋回胴258、ロボットアーム260、手首部262を動作させる。こうして、ロボット252は、搬送中のワークWにロボットハンド264を追随させる。次いで、ロボット252は、ロボットハンド264によってワークWを保持する。その結果、搬送中のワークWは、ロボットハンド264によって持ち上げられる。 【0158】 本実施形態に係るシミュレーション装置200は、このようなロボットシステム250の動作をシミュレーションする。 【0159】 以下、図23を参照して、シミュレーションシステム190の動作について説明する。なお、図23に示すフローにおいて、図4に示すフローと同様のステップには同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。 【0160】 ステップS1の後、ステップS41において、CPU12は、モデル配置部52として機能して、ロボットモデルを仮想空間に配置する。システムメモリ14は、上述のロボット252を含む、複数種類のロボットのロボットモデルを予め記憶する。」 「【0188】 こうして、ロボットモデル252Mは、仮想空間110において、ロボットハンドモデル264Mを追従動作範囲内でワークモデルWMに追従させる。このように、本実施形態においては、CPU12は、ロボットモデル252Mに追従動作を実行させる追従動作実行部206(図21)としての機能を担う。」 「【図4】 [図:0001417163000001.jpg] 」 「【図13】 [図:0001417163000002.jpg] 」 「【図23】 [図:0001417163000003.jpg] 」 (2)引用文献1の記載から理解できる事項 ア 【0067】、【0069】、【0073】、【0081】~【0084】、【0086】、【0102】~【0103】、図4、図23から、シミュレーション装置200のCPU12は、ステップS5~S9の処理を繰り返し実行することにより、ワークWの三次元モデルを、供給装置の三次元モデルにおける搬送面上に配置するワーク供給部として機能することが理解できる。 イ 【0067】、【0069】、【0070】、図23から、シミュレーション装置200のCPU12は、設定したオフセット量の範囲内で、新たに配置するワークモデルの位置及び向きを算出する基準位置算出部として機能することが理解できる。 ウ 【0081】~【0083】、図13に記載されるように、ワークモデル同士の干渉を検出するにあたり、ワークが占める領域を設定して干渉を検出していることは明らかであるから、シミュレーション装置のCPU12は、ワーク領域設定部として機能することが理解できる。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> ワークWが配置される搬送面を有する搬送部104と、前記搬送面上の前記ワークWを撮影して前記ワークWの位置を算出するセンサ254と、前記搬送面上の前記ワークWを保持するロボットハンド264を有し、前記センサ254の算出結果に基づいて前記ワークWを前記搬送面から取り上げるロボット252と、を備えるロボットシステム250の動作を疑似的に確認するシミュレーション装置200であって、 前記搬送部104及び前記ロボット252の三次元モデルを仮想空間に配置するモデル配置部52と、 前記ワークWの三次元モデルを前記供給装置の三次元モデルにおける搬送面上に配置するワーク供給部と、 前記搬送面上の前記ワークWの三次元モデルを取り上げるよう、前記ロボットの三次元モデルを動作させる追従動作実行部206と、 を備え、 前記ワーク供給部は、 設定したオフセット量に従って、新たに配置する前記ワークWの位置及び向きを算出する基準位置算出部と、 基準位置に配置された前記ワークWが占有するワーク領域を設定するワーク領域設定部と、 前記搬送面に新たに配置する前記ワークWの前記ワーク領域が先に前記搬送面に配置された前記ワークWの前記ワーク領域と重ならないよう、前記搬送面に新たに配置する前記ワークWの相対位置を調整するワーク位置修正部62と、 を有する、シミュレーション装置200。 2 引用文献2について (1) 引用文献2の記載 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 この発明は、ロボット制御装置、ロボット、及びロボットシステムに関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、このように記載のトラッキング方法では、把持する対象物に他の対象物が隣接する場合、グリッパが他の対象物に接触し、グリッパや他の対象物が変形してしまう場合があった。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記課題の少なくとも一つを解決するために本発明の一態様は、取得した複数の対象物が撮像された画像に指定された領域であって、受け付けられた第1領域を示す第1領域情報と、前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に応じた第2領域を示す第2領域情報とに基づいて、他の前記対象物の前記第1領域と重ならない前記第2領域が指定された前記対象物をロボットに把持させ、他の前記対象物の前記第1領域と前記第2領域が重なる前記対象物をロボットに把持させないロボット制御装置である。 この構成により、ロボット制御装置は、取得した複数の対象物が撮像された画像に指定された領域であって、受け付けられた第1領域を示す第1領域情報と、第1領域とは異なる領域であって、第1領域に応じた第2領域を示す第2領域情報とに基づいて、他の対象物の第1領域と重ならない第2領域が指定された対象物をロボットに把持させ、他の対象物の第1領域と第2領域が重なる対象物をロボットに把持させない。これにより、ロボット制御装置は、操作者が所望する条件を満たす対象物をロボットに把持させることができる。」 「【0023】 カメラCRは、所定の範囲の画像Gを撮像する撮像装置である。図1の例では、当該所定の範囲は、ベルトコンベアーBCのベルト上においてロボット20が作業可能な範囲よりも手前の範囲であって、ベルトコンベアーBCによって移動する対象物Pのうち、少なくとも1つ以上の対象物Pの輪郭それぞれを含む範囲の全体を撮像することが可能な範囲である。」 「【0045】 <ロボットが行う所定の作業の概要> 図1に示す一例では、ロボット20は、ベルトコンベアーBCに載せられて移動させられる対象物P1~対象物P7を1個ずつ把持し、把持した対象物Pを図示しない給材領域に載置する作業を所定の作業として行う。」 「【0072】 開発用PC601の操作者は、表示装置621に表示される画像G1に基づいて、第1領域が対応付けられた第1対象物に対して、第1領域とは異なる領域である第2領域を指定する。具体的には、操作者は、入力部IPによって、第1対象物の第2領域として領域A21-1及び領域A21-2の位置及び大きさを上述の構成によって指定する。ここで、第1対象物に指定した第2領域は、ロボット20による対象物Pの把持に関する領域である。対象物Pの把持に関する領域は、例えば、ロボット20が備えるエンドエフェクターEの形状に基づく領域である。また、第2領域の位置は、エンドエフェクターEが対象物Pを把持する際のエンドエフェクターEの位置に基づく位置である。」 「【0074】 図8は、画像Gに含まれる対象物P毎に対応付けられる第1領域及び第2領域の一例を示す図である。 対応付部362は、取得部361から取得した第1領域情報が示す第1領域に基づいて、画像G1に含まれる対象物P(この一例では、対象物P1~対象物P7)に対して、第1対象物に対応付けられた第1領域に対応する第1領域を対応付ける。・・・ 【0075】 対応付部362は、取得部361から取得した第2領域情報が示す第2領域に基づいて、画像G1に含まれる対象物P(この一例では、対象物P1~対象物P7)に対して、第1対象物に対応付けられた第2領域に対応する第2領域を対応付ける。・・・」 「【0079】 ロボット制御部364は、対象物P1~対象物P7のそれぞれに対応付けられた第1領域及び第2領域に基づいて、対象物Pをロボット20に把持させる(ステップS140)。 ロボット制御部364は、画像Gに含まれる複数の対象物Pのうち、他の対象物Pに対応付けられた第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pであって、他の対象物Pに対応付けられた第2領域が第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pをロボット20に把持させる。図8に示す通り、この一例では、対象物P1に対応付けられた第1領域を示す領域A31は、他の対象物Pである対象物P2~対象物P7に対応付けられた第1領域(すなわち、領域A32~領域A37)と重ならない。また、図8に示す通り、この一例では、対象物P2~対象物P7に対応付けられた第1領域を示す領域A32~領域A37は、他の対象物Pの第1領域と重なる。したがって、図9に示す通り、画像G1に含まれる複数の対象物Pのうち、他の対象物Pに対応付けられた第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pは、対象物P1である。図9は、ロボット制御装置30がロボット20に把持させる対象物Pの一例を示す表である。また、図8に示す通り、この一例では、対象物P1に対応付けられた第2領域を示す領域A41-1及び領域A41-2は、他の対象物Pである対象物P2~対象物P7に対応付けられた第1領域(すなわち、領域A32~領域A37)と重ならない。また、図8に示す通り、この一例では、対象物P2~対象物P7に対応付けられた第2領域を示す領域A42-1、領域A42-2、…、領域A47-2は、他の対象物Pの第1領域に重なる。したがって、図9に示す通り、画像G1に含まれる複数の対象物Pのうち、他の対象物Pに対応付けられた第2領域が第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pは、対象物P1である。 これにより、ロボット制御部364は、対象物P1~対象物P7のうち、対象物P1をロボット20に把持させる。なお、ロボット制御部364は、他の対象物Pに対応付けられた第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pと、他の対象物Pに対応付けられた第2領域が第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pとのうち、少なくとも一方を満たす対象物Pをロボット20に把持させる構成であってもよい。」 「【0085】 <変形例3:第1領域の形状の一例> 以下、図を参照して本実施形態に係る変形例3について説明する。 図14は、第1対象物に対して指定される第1領域の具体例4の図である。 上述したように開発用PC601の操作者は、表示装置621に表示される画像G1に基づいて、画像G1に含まれる対象物Pのうち、第1対象物(この一例では、対象物P1)に対して第1領域を指定する。図14に示す通り、この一例では、第1領域は、第1対象物が内接する凸包である。・・・」 「【図8】 [図:0001417163000004.jpg] 」 (当審注: 引用文献2の【0079】には、 「ロボット制御部364は、画像Gに含まれる複数の対象物Pのうち、他の対象物Pに対応付けられた第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pであって、他の対象物Pに対応付けられた第2領域が第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pをロボット20に把持させる。」(なお、下線部は当審で付した。以下同様。)、 「したがって、図9に示す通り、画像G1に含まれる複数の対象物Pのうち、他の対象物Pに対応付けられた第2領域が第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pは、対象物P1である。」 と記載されているが、これらの記載は、同段落における、 「この一例では、対象物P1に対応付けられた第2領域を示す領域A41-1及び領域A41-2は、他の対象物Pである対象物P2~対象物P7に対応付けられた第1領域(すなわち、領域A32~領域A37)と重ならない。」 との記載や、【0006】における 「他の前記対象物の前記第1領域と重ならない前記第2領域が指定された前記対象物をロボットに把持させ」 との記載、及び、【0005】に記載された課題(グリッパと他の対象物との干渉)を参酌すると、 「ロボット制御部364は、画像Gに含まれる複数の対象物Pのうち、他の対象物Pに対応付けられた第1領域と重なりのない第1領域に対応付けられた対象物Pであって、他の対象物Pに対応付けられた第1領域が第2領域と重なりのない第2領域に対応付けられた対象物Pをロボット20に把持させる。」、 「したがって、図9に示す通り、画像G1に含まれる複数の対象物Pのうち、他の対象物Pに対応付けられた第1領域が第2領域と重なりのない第2領域に対応付けられた対象物Pは、対象物P1である。」 の誤記であると認める。) (2) 引用文献2に記載された技術的事項 上記(1)をふまえると、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。なお、括弧内には、対応する本願発明の構成を示した。 「対象物(ワーク)が配置される搬送面を有するベルトコンベアーBC(供給装置)と、前記搬送面上の前記対象物を撮影して前記対象物の位置を算出するカメラCR(画像処理装置)と、前記搬送面上の前記対象物を保持するエンドエフェクターE(ハンド)を有し、前記カメラCRの算出結果に基づいて前記対象物を前記搬送面から取り上げるロボット20(ロボット)と、を備えるロボットシステム1(ロボット移載システム)において、 前記対象物が占有する第1領域(ワーク領域)を設定する設定部(ワーク領域設定部)と、 前記第1領域に隣接する第2領域(干渉領域)を設定する設定部(干渉領域設定部)と、 を備え、 前記対象物の前記第1領域(ワーク領域)が他の前記対象物の前記第1領域(ワーク領域)と重ならず、かつ、前記対象物の前記第2領域(干渉領域)が他の対象物の前記第1領域(ワーク領域)と重ならない対象物を、ロボット20に把持させる、 ロボットシステム1。」 第5 対比 引用発明における「ワークW」は、本願発明における「ワーク」に相当し、以下同様に、「搬送部104」は「供給装置」に、「センサ254」は「画像処理装置」に、「ロボットハンド264」は「ハンド」に、「ロボットシステム250」は「ロボット移載システム」に、「シミュレーション装置200」は「シミュレーション装置」に、「モデル配置部52」は「モデル配置部」に、「追従動作実行部206」は「ロボット動作制御部」に、それぞれ相当する。 また、引用発明において、「設定したオフセット量に従」うことは、本願発明において「設定した条件に従」うことに相当する。 更に、引用発明における「前記搬送面に新たに配置する前記ワークの前記ワーク領域が先に前記搬送面に配置された前記ワークの前記ワーク領域と重ならないよう、前記搬送面に新たに配置する前記ワークの相対位置を調整するワーク位置修正部62」は、本願発明における「前記搬送面に新たに配置する前記ワークの前記ワーク領域が先に前記搬送面に配置された前記ワークの前記ワーク領域及び前記干渉領域と重ならないよう、前記搬送面に新たに配置する前記ワークの相対位置を調整する供給位置調整部」と、「前記搬送面に新たに配置する前記ワークの前記ワーク領域が先に前記搬送面に配置された前記ワークの前記ワーク領域と重ならないよう、前記搬送面に新たに配置する前記ワークの相対位置を調整する供給位置調整部」である限りにおいて一致する。 以上をふまえると、本願発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 <一致点> ワークが配置される搬送面を有する供給装置と、前記搬送面上の前記ワークを撮影して前記ワークの位置を算出する画像処理装置と、前記搬送面上の前記ワークを保持するハンドを有し、前記画像処理装置の算出結果に基づいて前記ワークを前記搬送面から取り上げるロボットと、を備えるロボット移載システムの動作を疑似的に確認するシミュレーション装置であって、 前記供給装置及び前記ロボットの三次元モデルを仮想空間に配置するモデル配置部と、 前記ワークの三次元モデルを前記供給装置の三次元モデルにおける搬送面上に配置するワーク供給部と、 前記搬送面上の前記ワークの三次元モデルを取り上げるよう、前記ロボットの三次元モデルを動作させるロボット動作制御部と、 を備え、 前記ワーク供給部は、 設定される条件に従って、新たに配置する前記ワークの位置及び向きを算出する基準位置算出部と、 基準位置に配置された前記ワークが占有するワーク領域を設定するワーク領域設定部と、 前記搬送面に新たに配置する前記ワークの前記ワーク領域が先に前記搬送面に配置された前記ワークの前記ワーク領域と重ならないよう、前記搬送面に新たに配置する前記ワークの相対位置を調整する供給位置調整部と、 を有する、シミュレーション装置。 <相違点> 本願発明は、「ワーク領域に隣接する干渉領域を設定する干渉領域設定部」を有し、供給位置調整部は、「前記搬送面に新たに配置する前記ワークの前記ワーク領域が先に前記搬送面に配置された前記ワークの前記ワーク領域及び前記干渉領域と重ならないよう、前記搬送面に新たに配置する前記ワークの相対位置を調整する」のに対して、引用発明は、干渉領域設定部を有しておらず、搬送面に新たに配置するワークの相対位置を調整するにあたり、搬送面に新たに配置するワークのワーク領域と、先に搬送面に配置されたワークの干渉領域との重なりを考慮していない点。 第6 相違点に対する当審の判断 引用発明と引用文献2記載の技術的事項は、ワークを掴んで搬送するロボットシステムに関して、ワーク領域同士の干渉を判定する点で共通するものである。 また、引用文献1の段落【0008】に記載されるとおり、引用文献1に記載されたシミュレーション装置は、実際の作業に近い形態で搬送装置の動作をシミュレーション可能とするものであるところ、実際の作業において不具合が生じる条件を避けてシミュレーションを行うことは、当業者が自然に想定し得ることである。 そして、引用文献2には、対象物を把持して搬送する実際のロボットの作業環境において、ロボットが把持する対象物と他の対象物が隣接する場合に、ロボットのエンドエフェクターと他の対象物との干渉により不具合が生じることが記載されている(段落【0005】)。 そうすると、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に接した当業者が、前者に後者を適用する動機付けは十分にあるといえ、引用発明のシミュレーション装置において、実際のロボットの作業環境を考慮して新たに配置するワークモデルの配置位置を調整するに際し、ワーク領域同士の干渉を考慮することに加えて、引用文献2に開示される実際の作業における不具合が生じないよう、エフェクターを考慮した干渉領域とワーク領域との重なりも考慮するものとして、新たに配置するワークのワーク領域が、先に配置したワークのワーク領域及び干渉領域と重ならないように相対位置を調整し、前記相違点に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第7 請求人の主張 1 主張の概要 請求人は本件補正と同日に提出した意見書において、概ね以下の主張をしている。 (1)本願発明は、例えば、新たに導入するロボットが低速なモデルのロボットで足りるのか、高速なモデルのロボットが必要なのかを、比較的正確に判断できるといった特段の効果を奏する。 (2)新たなワークを配置する度に先に配置したワークの位置を考慮して新たなワークの配置位置を定める構成は、搬送面を撮影するカメラが必要となったり、演算負荷による遅延を補うためにより高速なロボットを採用する必要が生じたりするという不都合があり、現実的な構成ではない。 (3)供給装置の搬送面上にランダムにワークが供給される場合、各種のガイド、速度差のあるコンベアの乗り継ぎ等の比較的安価な装置構成によって、搬送面上にワークが互いに離間された状態で供給されるようにすることができるので、ワーク同士の間隔が大きくなるよう調整されると考えられる。 (4)供給装置の搬送面上にワークを配置する技術と、搬送面上のワークをロボットによりピックアップする技術とは、まったく異なる技術であるから、引用文献2のようにワークの取り出しに際してワーク領域と干渉領域を設定してワークを保持するエフェクターと他のワークとの干渉を防止する技術を、引用文献1のロボットシミュレーション装置のシミュレーション条件の設定に採用することには動機付けがない。 2 請求人の主張についての検討 上記1(1)の主張については、本願発明には、シミュレーション装置により、新たに導入するロボットが低速なモデルのロボットで足りるのか、高速なモデルのロボットが必要なのかを判断するようなことは記載も示唆もされておらず、当該主張は本願発明に基づく主張とは認められない。 上記1(2)及び(3)は、実際のロボットシステムに関する主張であるが、本願の特許請求の範囲において特定されているのはシミュレーション装置に関するものであるから、上記主張は請求項の記載に基づく主張ではない。 上記1(4)の主張については、上記第6において説示したとおり、引用発明に引用文献2記載の技術的事項を適用する動機付けは十分にあるといえる。 したがって、請求人の主張は採用できない。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をされるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-008653

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