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特許拒絶査定不服審判

2023-007763

遊技機

審判番号
2023-007763
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-095065
請求日
2023年05月12日
審決日
2024年01月09日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
  • 【請求人代理人】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
審判長/審判官
  • 審判長 長井 真一
  • 審判官 小林 俊久
  • 審判官 渋谷 知子
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .571-Z (A63F) / P18 .572-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-95065「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和1年11月21日出願公開、特開2019-198505〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年5月17日に出願した特許出願(特願2018-95065)であって、本願出願後の手続の経緯は、概略、次のとおりである。 令和 3年 9月 8日付け:上申書、手続補正書の提出 令和 4年 3月24日付け:拒絶理由通知書 5月31日 :意見書、手続補正書の提出 9月 2日付け:拒絶理由通知書(最後) 11月 8日 :意見書、手続補正書の提出 令和 5年 2月10日付け:令和4年11月8日にされた手続補正に ついての補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 2月21日 :原査定の謄本の送達 5月12日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年5月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年5月12日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載 令和5年5月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の記載は次のとおり補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審合議体が付した。)。 「【請求項1】 演出を制御可能な演出制御手段を備える遊技機において、 前記演出制御手段は、 実行中の演出における演出状態を1番目の演出状態から所定番目の演出状態まで順番に変化させることが可能であり、 前記演出状態を変化させる度に、特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物を大きくすると共に当該キャラクタ表示物の形状を変化させて表示することで、当選期待度が高くなることを示唆可能であり、 複数のリーチ演出のうち、到達した前記演出状態に応じて、大きさ及び形状が変化された前記キャラクタ表示物が表示されるリーチ演出を実行可能である ことを特徴とする遊技機。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の令和4年5月31日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 演出を制御可能な演出制御手段を備える遊技機において、 前記演出制御手段は、 実行中の演出における演出状態を1番目の演出状態から所定番目の演出状態まで順番に変化させることが可能であり、 前記演出状態を変化させる度に、特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物を大きくすると共に当該キャラクタ表示物の形状を変化させて表示することで、当選期待度が高くなることを示唆可能である ことを特徴とする遊技機。 【請求項2】 演出を制御可能な演出制御手段を備える遊技機において、 前記演出制御手段は、 当たりであるかの結果を示唆する変動演出を実行可能であり、 前記変動演出における背景画像を1番目の背景画像から所定番目の背景画像まで順番に変化させることが可能であり、 前記背景画像を変化させる度に、特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物を大きくすると共に当該キャラクタ表示物の形状を変化させて表示することで、当選期待度が高くなることを示唆可能であることを特徴とする遊技機。」 2 補正の適否 (1) 本件補正 ア 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載の「演出制御手段」が「実行可能である」演出の内容について、「複数のリーチ演出のうち、到達した前記演出状態に応じて、大きさ及び形状が変化された前記キャラクタ表示物が表示されるリーチ演出を実行可能である」ことを特定することにより、「演出制御手段」の機能をさらに限定するものである。 また、当該補正について、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 イ 本件補正は、請求項2を削除するものである。 (2) 補正目的 本件補正のうち請求項1についてする補正は、前記(1)アのとおり、本件補正前の発明特定事項に限定を加えることを含むものであって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 また、本件補正のうち請求項2についてする補正は、前記(1)イのとおりであって、特許法17条の2第5項1号に掲げる「請求項の削除」を目的とする補正に該当する。 (3) 新規事項 本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0106】~【0119】、【図13】~【図19】等の記載からみて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 本件補正発明の独立特許要件についての検討 前記2(2)のとおり、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について以下で検討する。 (1) 本件補正発明の認定 本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-231846号公報(平成24年11月29日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。 ア 記載事項 (ア) 「【0054】 また、リーチ状態となったことに対応して、飾り図柄の変動速度を低下させたり、画像表示装置5の表示領域に飾り図柄とは異なるキャラクタ画像(人物等を模した演出画像)を表示させたり、背景画像の表示態様を変化させたり、飾り図柄とは異なる動画像を再生表示させたり、飾り図柄の変動態様を変化させたりすることで、リーチ状態となる以前とは異なる演出動作が実行される場合がある。このようなキャラクタ画像の表示や背景画像の表示態様の変化、動画像の再生表示、飾り図柄の変動態様の変化といった演出動作を、リーチ演出表示(あるいは単にリーチ演出)という。なお、リーチ演出には、画像表示装置5における表示動作のみならず、スピーカ8L、8Rによる音声出力動作や、遊技効果ランプ9などの発光体における点灯動作(点滅動作)などを、リーチ状態となる以前の動作態様とは異なる動作態様とすることが、含まれていてもよい。リーチ演出における演出動作としては、互いに動作態様(リーチ態様)が異なる複数種類の演出パターン(「リーチパターン」ともいう)が、予め用意されていればよい。そして、それぞれのリーチ態様では「大当り」となる可能性(「信頼度」あるいは「大当り信頼度」ともいう)が異なる。すなわち、複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、可変表示結果が「大当り」となる可能性を異ならせることができる。一例として、この実施の形態では、ノーマルリーチ、スーパーリーチα、スーパーリーチβといったリーチ態様が予め設定されている。そして、スーパーリーチαやスーパーリーチβといったスーパーリーチのリーチ態様が出現した場合には、ノーマルリーチのリーチ態様が出現した場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度)が高くなる。」 (イ) 「【0063】 「ステップアップ表示」の予告演出では、飾り図柄の可変表示中に、例えば画像表示装置5の表示領域にて、予め用意された複数種類の演出画像を所定の順番に従って切り換えて表示させる演出表示により、演出態様が複数段階に変化(ステップアップ)するような演出動作が行われることがある。この実施の形態では、「ステップアップ表示」の予告演出として、第1ステップアップ予告演出と第2ステップアップ予告演出の2種類の予告演出を設けている。また、第1ステップアップ予告演出および第2ステップアップ予告演出のいずれも、最大5段階(5ステップ)まで実行可能に構成されている。ここで、段階(ステップともいう)とは、遊技者により認識可能に演出態様が変化したことをいう。例えば、キャラクタが画面上に登場するステップアップ予告の場合は、キャラクタが登場することにより遊技者が次の段階に演出に変化(発展、ステップアップ)したと認識可能となる。なお、「ステップアップ表示」の予告演出では、予め用意された複数種類の演出画像のうちいずれか1つ(例えば所定の順番において最初に表示される演出画像など)が表示された後、演出画像が切り換えられることなく、予告演出における演出表示を終了させることがあるようにしてもよい。また、演出画像を切り換えて表示させる演出表示に代えて、あるいは、このような演出表示とともに、例えば演出用の可動部材を所定の順番に従って複数種類の動作態様で動作させる演出動作により、演出態様が複数段階に変化(ステップアップ)するような演出動作が行われるようにしてもよい。 【0064】 こうしたステップアップが可能な予告演出は、1回の始動入賞(第1始動入賞口又は第2始動入賞口に1個の遊技球が進入したこと)に対応して実行される特別図柄や飾り図柄の可変表示中に実行される予告演出の一種であり、特に予告の態様(表示、音、ランプ、可動物等による演出内容)が複数段階に変化(ステップアップ)するステップアップ予告演出とも称される。一般的には変化する段階数(ステップ数)が多い程信頼度(可変表示結果が「大当り」となる可能性)が高くなる。また、ステップアップ予告演出におけるステップ数、あるいは、各ステップにおける演出態様に応じて、「15R確変大当り」や「2R確変大当り」となること、特定のリーチ演出が実行されること、「15R非確変大当り」から「15R確変大当り」へと昇格することのうち、少なくともいずれか1つを予告するものであってもよい。さらに変化する回数(ステップ数)によって予告する対象も変化するものでもよい。例えば第2ステップまで行くと「リーチ確定」、第3ステップまで行くと「スーパーリーチ確定」、第4ステップまで行くと「大当り確定」となるようなものでもよい。予告の態様の変化(ステップアップ)としては、異なるキャラクタ画像が順番に表示されるものであってもよいし、1つのキャラクタにおける形状や色等が変化することでステップアップするようなものであってもよい。すなわち、遊技者からみて予告する手段(表示、音、ランプ、可動物等)の状態が段階的に変化したと認識可能なものであればよい。」 (ウ) 「【0084】 パチンコ遊技機1には、例えば図3に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤2などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。 (中略) 【0086】 演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、画像表示装置5、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部又は一部、遊技効果ランプ9などにおける点灯/消灯動作の全部又は一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。」 (エ) 「【0479】 図58は、第2ステップアップ予告演出が実行されるときの画像表示装置における表示動作例などを示す図である。第2ステップアップ予告も、5つの演出(su1?su5)で構成されている。図58に示すように、左中右の演出図柄5L,5C,5Rの変動が開始されてから所定時間経過すると、画像表示装置5の表示画面の中央からウインドウ(小さな画面)600が徐々に拡大表示され、所定の大きさで拡大表示が停止する。このウインドウ600を表示する演出が第1ステップの演出である。なお、図58に示す例ではウインドウの中に女の子のキャラクタが表示されている。そして、所定時間が経過すると、再度、ウインドウが徐々に拡大表示され、所定の大きさで拡大表示が停止する。このウインドウ601を表示する演出が第2ステップの演出である。さらに、所定時間が経過すると、再度、ウインドウが徐々に拡大表示され、所定の大きさで拡大表示が停止する。このウインドウ602を表示する演出が第3ステップの演出である。 【0480】 第2ステップアップ予告では、第3ステップの演出中に左図柄5Lが停止し、第3ステップの演出が終了するタイミングで右図柄5Rが停止する。図58に示す例では、左右の図柄として同一図柄「7」が停止し、リーチ状態に発展している。この実施の形態では、リーチ状態になった後に第4ステップの演出および第5ステップの演出に発展可能に構成されている。第4ステップの演出は、再度、ウインドウが徐々に拡大表示され、所定の大きさのウインドウ603まで拡大表示が停止する演出である。また、第5ステップの演出は、再度、ウインドウが徐々に拡大表示され、所定の大きさのウインドウ604まで拡大表示が停止する演出である。なお、図58に示す例では、第2ステップアップ予告が開始された後は、飾り図柄が画面の右下で小さく変動表示されるようにしているが、図57に示す場合と同様に、飾り図柄が画面の中央で変動表示するように構成されていてもよい。この場合、第2ステップアップ予告の演出内容が見えにくくなるのを防止するために、飾り図柄を半透明にする制御を実行することが望ましい。さらに、ウインドウの拡大表示とともに、ウインドウの中に表示されているキャラクタの種類を変更していくようにしてもよい。」 (オ) 【図58】 「 [図:0001407665000001.jpg] 」 イ 認定事項 前記ア(エ)に摘記した【0479】~【0480】の記載を踏まえると、前記ア(オ)の【図58】には、「ウインドウの中に表示される女の子のキャラクタを、ウインドウの拡大表示に合わせて拡大表示する」ことが記載されていると認められる(認定事項1)。 ウ 引用発明、引用文献1記載事項 前記アの記載事項及び前記イの認定事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)及び以下の技術事項(以下「引用文献1記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 (引用発明) 「画像表示装置5における表示動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えた演出制御基板12が搭載されたパチンコ遊技機1において(【0084】、【0086】)、 画像表示装置5の表示領域にて、飾り図柄の可変表示中に、複数種類の演出画像を所定の順番に従って切り換えて表示させる演出表示により、演出態様が最大5段階(5ステップ)に変化するような演出動作が行われる「ステップアップ表示」の予告演出では(【0063】)、変化する段階数(ステップ数)が多い程、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなるが(【0064】)、予め用意された複数種類の演出画像のうちいずれか1つが表示された後、演出画像が切り換えられることなく、予告演出における演出表示を終了させたり(【0063】)、第2ステップまで行くと「リーチ確定」、第3ステップまで行くと「スーパーリーチ確定」となるようにしてもよく(【0064】)、 左中右の演出図柄5L,5C,5Rの変動が開始されてから所定時間経過すると、第1ステップの演出で、画像表示装置5の表示画面の中央からウインドウ600が徐々に拡大表示され、所定の大きさで拡大表示が停止し、ウインドウの中に女の子のキャラクタが表示され、第2ステップの演出で、再度、ウインドウが徐々に拡大表示され、所定の大きさで拡大表示が停止し、第3ステップの演出で、再度、ウインドウが徐々に拡大表示され、所定の大きさで拡大表示が停止し(【0479】)、第3ステップの演出中に左図柄5Lが停止し、第3ステップの演出が終了するタイミングで右図柄5Rが停止してリーチ状態に発展し、リーチ状態になった後に、再度、ウインドウが徐々に拡大表示され、所定の大きさのウインドウ603まで拡大表示が停止する第4ステップの演出と、再度、ウインドウが徐々に拡大表示され、所定の大きさのウインドウ604まで拡大表示が停止する第5ステップの演出に発展可能に構成されており(【0480】)、ウインドウの中に表示される女の子のキャラクタを、ウインドウの拡大表示に合わせて拡大表示する(認定事項1) パチンコ遊技機1(【0084】)。」 (引用文献1記載事項) 「変化する段階数(ステップ数)が多い程、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなる(【0064】)「ステップアップ表示」の予告演出(【0063】)における予告の態様の変化(ステップアップ)として、1つのキャラクタにおける形状を変化させること(【0064】)。」 (3) 引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明の対比 引用発明の「画像表示装置5における表示動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えた演出制御基板12」が「搭載された」「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「演出を制御可能な演出制御手段」を「備える」「遊技機」に相当する。 次に、引用発明の「飾り図柄の可変表示中」の「演出表示」における「5段階(5ステップ)」ある「演出態様」の各「段階」は、本件補正発明の「実行中の演出」における「演出状態」に相当し、引用発明における「「ステップアップ表示」の予告演出で」、「演出態様が最大5段階(5ステップ)まで変化するような演出動作が行われる」ことは、1段階(1番目の演出状態)から最大5段階のうちのいずれかの段階(所定番目の演出状態)まで順番に変化することを意味するから、本件補正発明の「1番目の演出状態から所定番目の演出状態まで順番に変化させることが可能であ」ることに相当する。 続いて、引用発明の、「女の子のキャラクタ」は、本件補正発明の「特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物」に相当し、引用発明において、「最大5段階(5ステップ)に変化する」「演出態様」(演出状態)の「第1ステップの演出」~「第5ステップの演出」で「女の子のキャラクタ」(特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物)を「ウインドウの拡大表示に合わせて拡大表示する」ことは、本件補正発明において、「前記演出状態を変化させる度に、特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物を大きくする」ことに相当する。そして、引用発明は、「変化する段階数(ステップ数)が多い程、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなる」ものであるところ、上で検討したように、引用発明で、「女の子のキャラクタ」(特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物)を「拡大表示する」(大きくする)ことは、「第1ステップの演出」~「第5ステップの演出」を通じての「ウインドウの拡大表示に合わせて」なされるから、引用発明が、本件補正発明の「前記演出状態を変化させる度に、特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物を大きくすると共に当該キャラクタ表示物の形状を変化させて表示することで、当選期待度が高くなることを示唆可能であ」ることと、「前記演出状態を変化させる度に、特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物を大きくすることで、当選期待度が高くなることを示唆可能であ」る点で共通する構成を備えることは明らかである。 また、引用発明は、「リーチ状態になった後に」「発展可能」な「第4ステップの演出」及び「第5ステップの演出」の各ステップにおいて、「ウインドウが徐々に拡大表示され」、「ウインドウの中に表示される女の子のキャラクタを、ウインドウの拡大表示に合わせて拡大表示する」演出がなされるから、引用発明は、本件補正発明の「複数のリーチ演出のうち、到達した前記演出状態に応じて、大きさ及び形状が変化された前記キャラクタ表示物が表示されるリーチ演出を実行可能である」ことと、「大きさが変化された前記キャラクタ表示物が表示されるリーチ演出を実行可能である」点で共通する構成を備える。 イ 引用発明との一致点及び相違点 前記アにおける検討を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、 <一致点> 「演出を制御可能な演出制御手段を備える遊技機において、 前記演出制御手段は、 実行中の演出における演出状態を1番目の演出状態から所定番目の演出状態まで順番に変化させることが可能であり、 前記演出状態を変化させる度に、特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物を大きくして表示することで、当選期待度が高くなることを示唆可能であり、 大きさが変化された前記キャラクタ表示物が表示されるリーチ演出を実行可能である 遊技機。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 演出状態を変化させる度に表示する、特定のキャラクタを示すキャラクタ表示物について、本件補正発明では、「大きさ及び形状」が変化されるのに対し、引用発明では、ウインドウの中に表示される女の子のキャラクタの「大きさ」が変化される点。 <相違点2> キャラクタ表示物が表示されるリーチ演出が、本件補正発明では、「複数のリーチ演出のうち、到達した前記演出状態に応じて」実行可能であるのに対し、引用発明では、「複数のリーチ演出のうち、到達した前記演出状態に応じて」実行可能である、とは特定されていない点。 (4) 当審合議体の判断 以下、相違点1及び2は関連するのでまとめて検討する。 ア 前記(2)ウで述べたように、引用文献1には、「変化する段階数(ステップ数)が多い程、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなる「ステップアップ表示」の予告演出における予告の態様の変化(ステップアップ)として、1つのキャラクタにおける形状を変化させること。」(引用文献1記載事項)が記載されているから、引用発明において、キャラクタの表示態様をより多様なものとすることで興趣を向上させる観点から、ウインドウの中に表示される女の子のキャラクタの「大きさ」に加えて「形状」も変化させるようにすることは、当業者が適宜になし得ることである。 イ そして、引用発明は、「演出態様」の「変化」が「最大5段階(5ステップ)」変化可能であるところ、「予め用意された複数種類の演出画像のうちいずれか1つが表示された後、演出画像が切り換えられることなく、予告演出における演出表示を終了させることがあるようにしてもよ」いものであることを踏まえると、「リーチ状態になった後に」「第4ステップの演出」まで「発展」するものと「第5ステップの演出」まで「発展」する2種類のリーチ演出(本件補正発明の「複数のリーチ演出」に相当)を備えるものといえ、また、引用発明における「リーチ状態になった後に」「発展可能」な「第4ステップの演出」及びこれに続く「第5ステップの演出」(リーチ演出)は、それらの前の段階(ステップ)の「第3ステップの演出」(本件補正発明の「到達した演出状態」に相当)から「発展」するものであり、このことは、本件補正発明における「リーチ演出」が「到達した演出状態に応じて」実行可能であることに相当する。 ウ 上記イ以外にも、引用発明は、第2ステップまで行くと「リーチ確定」、第3ステップまで行くと「スーパーリーチ確定」(本件補正発明の「複数のリーチ演出」に相当)としてもよいことを踏まえると、後者について、引用発明における最大5段階(5ステップ)変化する演出と同様、第3ステップの演出まで到達してスーパーリーチが確定し、リーチ状態になった後のステップの演出でウインドウの中に表示される女の子のキャラクタをウインドウの拡大表示に合わせて拡大し、形状を変化させて表示するようにし、前者について、第2ステップの演出まで到達してリーチが確定し、リーチ状態となった後のステップの演出でウインドウの中に表示される女の子のキャラクタを、ウインドウの拡大表示に合わせて拡大し、形状を変化させて表示するようにすること(本件補正発明における「リーチ演出」が「到達した演出状態に応じて」実行可能であることに相当)は、当業者が適宜になし得ることである。 エ 以上から、引用発明及び引用文献1記載事項に基づいて、上記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本件補正発明が奏する効果は、引用発明及び引用文献1記載事項から予測される程度のものに過ぎず、予測困難かつ格別顕著な効果を認めることはできない。 (5) 請求人の主張について 請求人は審判請求書において、次の主張をしている。 「(前略) 3.進歩性 本願発明では、上記した構成(C)により、演出状態(幼少状態、高校状態、プロ状態)が変化する度に、特定のキャラクタ(本パチンコ遊技機PY1の主人公キャラ)を示すキャラクタ表示物が大きくなると共に、当該キャラクタ表示物の形状が変化して表示されることで、当選期待度が高くなることが示唆されます(図13参照)。そして、上記した構成(D)により、複数のリーチ演出(幼少SPリーチ、高校SPリーチ、プロSPリーチ)のうち、到達した演出状態(幼少状態、高校状態、プロ状態)に応じて、大きさ及び形状が変化されたキャラクタ表示物(幼少時代の主人公キャラ、高校時代の主人公キャラ、プロ時代の主人公キャラ)が表示されるリーチ演出が実行されます。こうして、本願発明では、演出状態の種類とリーチ演出の種類とが紐づいていて、到達した演出状態に応じて、リーチ演出で表示されるキャラクタ表示物の大きさ及び形状が異なります。 これにより、実行されたリーチ演出がどのくらいの当選期待度であるのかが把握し難くなるのを防ぐことができます(段落[0119]参照)。 これに対して、引用文献1には、ステップアップ演出のステップ数(演出状態)が上がるにつれて大当り期待度が高くなるとともに1つのキャラクタにおける形状や色等が変化して、形状や色等の変化の一例として、1つのキャラクタにおける大きさが変化することが記載されています。そして、図58に示す演出例では、リーチ演出が開始される前に、第1ステップから第3ステップまで到達して、キャラクタが徐々に大きく表示されていき、リーチ演出が開始された後に、第4ステップから第5ステップに到達して、キャラクタが更に大きく表示されることが示されています。しかしながら、図58に示す演出例では、1つのリーチ演出が示されているだけであって、複数のリーチ演出と、到達したステップ数に応じたキャラクタの表示との関係性について、何ら示されていません。即ち、引用文献1には、複数のリーチ演出のうち、到達したステップ数(演出状態)に応じて、対応するキャラクタが表示されるリーチ演出が実行されることについて、記載も示唆もなされていません。従って、引用文献1には、上記した構成(D)を導く動機付けがないと思料致します。 一方、引用文献2には、ステップアップ演出のステップ数が上がるにつれて背景画像が変化することが記載されています。しかしながら、複数のリーチ演出と、到達したステップ数に応じたキャラクタの表示との関係性について、何ら示されていません。従って、引用文献1には、上記した構成(D)を導く動機付けがないと思料致します。 以上、ステップ数に応じてキャラクタにおける形状や色等が変化する引用文献1と、ステップ数に応じて背景画像が変化する引用文献2とを組合わせても、到達した演出状態に応じて、実行されるリーチ演出が異なると共に、そのリーチ演出で表示されるキャラクタ表示物の大きさ及び形状が異なることで、実行されたリーチ演出での当選期待度が把握し易いという本願発明の作用効果を容易に想像することができないと思料致します。従って、当業者が引用文献1、2に係る発明に基づいて、本願発明の構成(特に上記した構成(D))を容易に導き出すことはできず、本願発明に容易に想到することの論理付けは困難であると考えます。よって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定には該当せず、進歩性を有するものと思料致します (後略)」 しかし、引用発明において、ウインドウの中に表示される女の子のキャラクタの「大きさ」に加えて「形状」も変化されるようにすることは当業者が適宜なし得ることにすぎない。そして、引用発明は、第3ステップの演出が終了し、リーチ状態になった後に、第4ステップの演出まで発展するものや、さらに発展して第5ステップの演出まで発展するものとしたり、第2ステップに到達して「リーチ確定」、第3ステップに到達して「スーパーリーチ確定」となるものとしてよいものであり、かかるものとした場合、キャラクタ表示物が表示されるリーチ演出について、本件補正発明が特定するように「複数のリーチ演出のうち、到達した前記演出状態に応じて」実行可能なものといえることは、上記(4)で検討したとおりである。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 (6) まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年5月31日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1の記載は前記第2[理由]1(2)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含んでいる。 「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 ●理由1(進歩性)について ・請求項 1 ・引用文献等 1 <引用文献等一覧> 1.特開2012-231846号公報」 3 引用文献 (1)引用文献1の記載事項と認定事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の3(2)アに示したとおりである。 また、上記引用文献の認定事項は、前記第2の3(2)イに示したとおりである。 (2)引用発明、引用文献1記載事項 前記(1)の記載事項及び認定事項から認定される引用発明、及び、前記(1)の記載事項から認定される引用文献1記載事項は、前記第2の3(2)ウに示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2で検討した本件補正発明の、「複数のリーチ演出のうち、到達した前記演出状態に応じて、大きさ及び形状が変化された前記キャラクタ表示物が表示されるリーチ演出を実行可能である」とした限定を削除し、これに伴い、「当選期待度が高くなることを示唆可能であり、」を、「当選期待度が高くなることを示唆可能である」と表現を戻したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(6)で述べたとおり、引用発明及び引用文献1記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献1記載事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-007763

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