特許拒絶査定不服審判
2017-004246
遊技機
- 審判番号
- 2017-004246
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-059778
- 請求日
- 2017年03月24日
- 審決日
- 2017年11月07日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】鈴木 均
- 審判長/審判官
- 審判長 服部 和男
- 審判官 樋口 宗彦
- 審判官 後藤 順也
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .571-Z (A63F) / P18 .572-Z (A63F) / P18 .573-Z (A63F) / P18 .574-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-59778号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年6月18日出願公開、特開2015-110152号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、平成22年11月29日に出願した特願2010-265399号の一部を平成25年7月19日に新たな特許出願とし(特願2013-150359号)、さらにその一部を平成27年3月23日に新たな出願としたものであって、平成28年2月8日付けで拒絶理由通知がなされ、同年3月23日付けで手続補正がなされ、同年9月9日付けで拒絶理由通知(最後の拒絶理由通知)がなされ、同年9月27日付けにて手続補正がなされたが、平成29年2月7日付け補正の却下の決定により前記平成28年9月27日付けの手続補正が却下されるとともに同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年3月24日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。
第2.平成29年3月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年3月24日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、平成28年3月23日付けの手続補正書における特許請求の範囲の請求項1における
「遊技盤と、前記遊技盤に配置され開口を有するセンター部材と、前記センター部材の開口をのぞんで配置された図柄表示装置と、前記センター部材の後方に配置される可動盤面部品と、アウト口と、入賞口と、特別遊技状態のときに開成する大入賞口と、を備えた遊技機であって、
前記可動盤面部品は、
前記図柄表示装置の前方を所定の移動経路に沿って第1の表示形態位置と第2の表示形態位置と第3の表示形態位置との間を往復移動する第1装飾体と、
前記第1の表示形態位置と前記第3の表示形態位置との間の第2の表示形態位置まで前記第1装飾体に追従移動する第2装飾体と、を備え、
前記入賞口は、前記遊技盤の略左右中央で且つ前記センター部材の直下且つアウト口の直上に配置され、
前記大入賞口は、前記入賞口より右方で且つ前記図柄表示装置を避けた位置に配置されていることを特徴とする遊技機。」(以下「補正前請求項1」という。)
は、審判請求時に提出された手続補正書(平成29年3月24日付け)における
「遊技盤と、前記遊技盤に配置され開口を有するセンター部材と、前記センター部材の開口をのぞんで配置された図柄表示装置と、前記センター部材の後方に配置される可動盤面部品と、前記可動盤面部品を前記図柄表示装置の一辺側から支持する一の支持機構と、アウト口と、入賞口と、特別遊技状態のときに開成する大入賞口と、を備えた遊技機であって、
前記可動盤面部品は、
前記図柄表示装置の前方であり、且つ前記一の支持機構の前方を所定の移動経路に沿って第1の表示形態位置と第2の表示形態位置と第3の表示形態位置との間を往復移動する第1装飾体と、
前記第1の表示形態位置と前記第3の表示形態位置との間の第2の表示形態位置まで前記第1装飾体に追従移動する第2装飾体と、を備え、
前記第2装飾体は、往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動し、
前記入賞口は、前記遊技盤の略左右中央で且つ前記センター部材の直下且つアウト口の直上に配置され、
前記大入賞口は、前記入賞口より右方で且つ前記図柄表示装置を避けた位置に配置されていることを特徴とする遊技機。」(以下「補正後請求項1」という。)
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。以下同様。)。
2.補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
ア 本件遊技機の備える構成として、補正前請求項1の「遊技盤と、前記遊技盤に配置され開口を有するセンター部材と、前記センター部材の開口をのぞんで配置された図柄表示装置と、前記センター部材の後方に配置される可動盤面部品と、アウト口と、入賞口と、特別遊技状態のときに開成する大入賞口と、を備えた遊技機であって」なる記載を、「遊技盤と、前記遊技盤に配置され開口を有するセンター部材と、前記センター部材の開口をのぞんで配置された図柄表示装置と、前記センター部材の後方に配置される可動盤面部品と、前記可動盤面部品を前記図柄表示装置の一辺側から支持する一の支持機構と、アウト口と、入賞口と、特別遊技状態のときに開成する大入賞口と、を備えた遊技機」とする補正。
イ 第1装飾体の移動経路について、補正前請求項1の「前記図柄表示装置の前方を所定の移動経路に沿って」なる記載を、「前記図柄表示装置の前方であり、且つ前記一の支持機構の前方を所定の移動経路に沿って」とする補正。
ウ 補正前請求項1の「前記第1の表示形態位置と前記第3の表示形態位置との間の第2の表示形態位置まで前記第1装飾体に追従移動する第2装飾体と、を備え、」なる記載を、「補正前請求項1の「前記第1の表示形態位置と前記第3の表示形態位置との間の第2の表示形態位置まで前記第1装飾体に追従移動する第2装飾体と、を備え、 前記第2装飾体は、往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動し、」とする補正。
(2)新規事項の有無についての検討
上記(1)ア~ウの補正事項について、本件出願の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)の記載事項に根拠付けられるものであるのかについて検討する。以下、前記当初明細書等の記載事項を引用する際は、その引用箇所について単に「【0001】」「図3」などという。
ア 上記補正事項(1)アについて
上記補正事項(1)アで加入された「前記可動盤面部品を前記図柄表示装置の一辺側から支持する一の支持機構と、」なる記載事項(以下「加入事項1」という。)について、その前提となる「可動盤面部品」には、【0011】ほかに記載された「可動盤面部品40」が相当するといえ、該可動盤面部品40については、「センター部材に固定される固定ベース31・・・に固定され・・・た固定部材45・・・の前面側に位置し固定部材によって上下方向への進退自在に支持された第1の可動部材70・・・の前面側に位置し第1の可動部材によって上下方向へ進退自在に支持された第2の可動部材80と、を概略備え」(【0014】)、「第2の可動部材80に固定され・・・て昇降する大ヨーヨー本体(・・・第1装飾体)90と、固定部材45によって上下方向スライド自在に支持されて昇降する大ヨーヨーカバー(・・・第2装飾体)95」(【0017】)なる記載があることから、前記可動盤面部品40を構成する前記第1・第2の可動部材(70・80)は前記センター部材に固定される固定ベース31に固定された固定部材45に直接・間接に支持されることが記載されているということができる。
また、【0014】には「可動盤面ユニット30はセンター部材5の上部に固定されており、センター部材に固定される固定ベース31と、固定ベース31によって個別に上下動自在に支持された複数の小ヨーヨー35と、固定ベース31によって夫々上下動自在に支持された大ヨーヨー(装飾体)41を含んだ可動盤面部品40と、を備えている。」とも記載されていることから、前記固定ベース31を含む「可動盤面ユニット30」はセンター部材5の上部に固定されている部材であることが記載されているといえる。
また、図1・2からは、可動盤面ユニット30が図柄表示装置6の上辺側に位置していることを読み取ることができる。
以上から、本件当初明細書等には、「可動盤面部品40を構成する第1・第2の可動部材80・90を支持する、図柄表示装置6の上辺側のセンター部材上部に固定されて固定ベース31及びそれに固定された固定部材45からなる支持機構」が記載されているということができる(以下「明細書等記載事項1」という。)。
該記明細書等載事項1と前記加入事項1とを対比する。
まず、加入事項1の「一辺側から支持」は、明細書等記載事項1における、支持機構が「図柄表示装置6の上辺側のセンター部材上部に固定されて」いることに裏付けられるといえる。
また、支持機構については、前記明細書等記載事項1では、可動盤面部品の最終的な支持対象である「センター部材5」と前記可動盤面部品の各構成要素(第1・第2の可動部材80・90)との間には、少なくとも固定ベース31及び固定部材45の2部材が介在しており、その何れが欠けても前記前記可動盤面部品の各構成要素(第1・第2の可動部材80・90)はセンター部材5に対し支持されない。よって、前記加入事項1における「一の支持機構」なる記載事項には、前記固定ベース31及び固定部材45の2部材を少なくとも含む、各可動盤面部品をセンター部材に対し支持するひとまとまりの要素群全体からなる「機構」が相当するといえ、その意味で該記載事項は本件明細書等の記載に裏付けられているといえる。
イ 上記補正事項(1)イについて
上記アで認定したとおり第1装飾体に相当する「大ヨーヨー本体90」は、上記アで支持機構に相当すると認定した固定ベース31及び固定部材45の前面側に位置し、該前面側にて上下に往復動することが、図3~12及び関連する明細書の記載箇所に記載されているといえ、上記補正事項(1)イは上記当初明細書等の記載事項に裏付けられていることが明らかといえる。
ウ 上記補正事項(1)ウについて
上記アで認定したとおり第2装飾体に相当する「大ヨーヨーカバー95」は、前記第1装飾体に相当する「大ヨーヨー本体90」の前面側に位置し、該前面側にて上下に往復動する部材であることが、図6~8・12及び関連する明細書の記載箇所に記載されているといえ、上記補正事項(1)ウは上記当初明細書等の記載事項に裏付けられていることが明らかといえる。
エ 小括
以上ア、イ、ウのとおりであるから、上記補正事項は何れも当初明細書等の記載事項に基づいており、新規事項を加入するものではない。
(3)補正の目的要件違反についての検討
上記補正事項(1)アは、「支持機構」なる構成要素を追加した上で、それが「前記可動盤面部品を前記図柄表示装置の一辺側から支持する一の」要素である点を特定するものであり、同補正事項(1)イ、ウは、該追加された支持機構について、補正前請求項1が備えていた「第1装飾体」及び「第2装飾体」との位置関係をさらに特定したものである。
ここで、前記追加された「支持機構」について請求人は審判請求書において、【0029】の「第1の可動部材70に搭載されたギヤ群、及び第2の可動部材80に搭載されたギヤ群は、装飾体本体駆動機構(駆動機構)及び装飾体カバー駆動機構(駆動機構)を構成しており、各駆動機構は駆動源としてのモータ60を制御手段が制御することによって制御される。」なる記載における「装飾体本体駆動機構(駆動機構)及び装飾体カバー駆動機構(駆動機構)」が相当する旨主張している。
しかし、上記補正前請求項1には、前記「装飾体本体駆動機構(駆動機構)及び装飾体カバー駆動機構(駆動機構)」に対応する何らかの駆動機構に関する構成も、「支持機構」なる文言に対応する各装飾体を支持するような機構に関する構成も、記載されていない。
また、上記補正前請求項1に係る補正前の発明と上記補正後請求項1に係る補正後の発明とを比較すると、補正後の発明は各装飾体の後方に位置し図柄表示装置の一辺側から支持する「支持機構」を備え、それと各装飾体との位置関係を特定することで、少なくとも【0029】に記載された「大ヨーヨー90が下降位置にある時に、その直上位置に大ヨーヨーカバー95が位置しているため、固定部材45、第1の可動部材70の前面に露出配置された各ギヤ機構が大ヨーヨーカバー95によって隠蔽された状態となる。このため、ギヤ機構が遊技者に視認されることによる興趣の低下を防止することができる。」なる効果を奏し、また、このことから、審判請求書において請求人も主張するとおり、第1装飾体との関係についても、「第1装飾体が一の支持機構の前方を所定の移動経路に沿って往復移動することにより、遊技者に対して、第1装飾体の後方に位置する一の支持機構を前方から視認できなくする効果」を新たに奏し得ることが推認される点で、補正前の発明と補正後の発明とは相違する。
以上のことから、上記(1)ア~ウの補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とする補正には該当しない。
また、上記(1)ア~ウの補正事項は、特許法第17条の2第5項第1・3・4号のいずれにも該当しない。
よって、上記(1)ア~ウの補正事項は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
しかしながら、事案に鑑み、本件補正が特許法第17条の2第5項の規定に違反しないものと仮定して、本件補正により補正された請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討を続けることとする。
3.本件補正発明の独立特許要件についての検討
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)本件補正発明について
本件補正発明は、上記1.の本件補正の概要に示した次のとおりのものである(A~Nは、分説のため当審にて付与した。)
「A 遊技盤と、
B 前記遊技盤に配置され開口を有するセンター部材と、
C 前記センター部材の開口をのぞんで配置された図柄表示装置と、
D 前記センター部材の後方に配置される可動盤面部品と、
E 前記可動盤面部品を前記図柄表示装置の一辺側から支持する一の支持機構と、
F アウト口と、
G 入賞口と、
H 特別遊技状態のときに開成する大入賞口と、を備えた遊技機であって、
I 前記可動盤面部品は、
前記図柄表示装置の前方であり、且つ前記一の支持機構の前方を所定の移動経路に沿って第1の表示形態位置と第2の表示形態位置と第3の表示形態位置との間を往復移動する第1装飾体と、
J 前記第1の表示形態位置と前記第3の表示形態位置との間の第2の表示形態位置まで前記第1装飾体に追従移動する第2装飾体と、を備え、
K 前記第2装飾体は、往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動し、
L 前記入賞口は、前記遊技盤の略左右中央で且つ前記センター部材の直下且つアウト口の直上に配置され、
M 前記大入賞口は、前記入賞口より右方で且つ前記図柄表示装置を避けた位置に配置されている
N ことを特徴とする遊技機。」
(2)刊行物1に記載された発明
ア 原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-194313号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
(ア)「【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10に係る第1実施形態を、図1~図17に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10の遊技板11には、ガイドレール12で囲まれたほぼ円形の遊技領域R1が形成され、その遊技領域R1内に液晶表示画面34(本発明の「表示画面」に相当する)が備えられている。遊技領域R1のうち液晶表示画面34の下方領域のうち左右方向の中央部には、第1及び第2の始動入賞口14A、14B、大入賞口15及びアウト口16が上から順番に並べて設けられ、左右の両側部には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20、21及びサイドランプ22がそれぞれ設けられている。また、第2の始動入賞口14Bの左隣には始動ゲート18Aが設けられ、第2の始動入賞口14Bの右隣には通常ゲート18Bが設けられている。さらに、液晶表示画面34の左側の流下領域には、風車19が設けられている。そして、遊技領域R1全体に亘って、図示しない複数の障害釘が起立している。
【0033】
遊技板11は前側を前面枠10Zにて覆われ、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技領域R1が前方に臨んでいる。前面枠10Zのうちガラス窓10Wの上方には左右に1対のスピーカ25、25が設けられ、ガラス窓10Wより下方には、上皿27A及び下皿27Bが上下2段にして設けられている。そして、下皿27Bの右端部に備えた操作ノブ28を回動操作すると、上皿27Aに収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。なお、上皿27Aに備えたボタン29を押すと上皿27Aに収容されている遊技球が下皿27Bへと移動する。」
(イ)「【0041】
大入賞口15は、横長矩形に形成されて、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。パチンコ遊技機10が「大当たり状態」になると、遊技板11の裏に設けた図示しない大入賞口ソレノイドが駆動され、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒れる。これにより、大入賞口15が開放され、可動扉15Tを案内にして、大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。」
(ウ)「【0044】
さて、遊技領域R1内に液晶表示画面34を設けるために、図3に示すように遊技板11には画像表示窓11Wが貫通形成されている。その画像表示窓11Wには、前面側から装飾枠23が嵌合固定され、画像表示窓11Wの後方側に本発明の「表示装置」に相当する液晶モジュール33(詳細には、TFT-LCDモジュール)が配置されている。液晶モジュール33は、全体が平板状になっており、その横長矩形の前面の略全体が液晶表示画面34になっている。また、液晶モジュール33は、その前面を除いた全体が箱形カバー32によって覆われている。そして、その液晶モジュール33の液晶表示画面34が装飾枠23を通して前方に臨んでおり、これにより、図1に示すように装飾枠23に縁取られた液晶表示画面34が遊技領域R1内に設けられている。
【0045】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、遊技板11と液晶モジュール33との間に扉ユニット40が設けられている。そして、扉ユニット40に備えた第1~第3の扉51~53が、遊技の進行状況に応じて図2に示すように液晶表示画面34を前方から覆うことができる。
【0046】
扉ユニット40は、横長矩形の枠形状をなしたフレーム部材35を備え、そのフレーム部材35は、図5に示すように、枠形ベース41と枠形カバー42とを組み付けてなる。そして、枠形ベース41の後面側に第1の扉51が組み付けられる一方、枠形ベース41の前面側に第2及び第3の扉52、53が組み付けられ、枠形カバー42が枠形ベース41の後方と周囲とを覆っている。
【0047】
図3に示すように枠形カバー42のうち枠形ベース41の周囲を覆う囲壁42Cの前端部は、第2及び第3の扉52、53より前方に位置し、その囲壁42Cから側方に張り出した固定壁42Bが遊技板11の後面に固定されている。また、フレーム部材35の後面からは複数の固定支柱42Kが突出しており、それら固定支柱42Kの先端に箱形カバー32が固定されて、フレーム部材35の内側開口35Aに液晶表示画面34が後方から宛がわれている。」
(エ)「【0062】
・・・次に第1の扉51の構成に関する説明を行う。第1の扉51は、図8に示すように、第2及び第3の扉52、53の間に挟まれた枠形ベース41の中央に配置されている。そして、第1の扉51は、一つの直動プレート71(本発明の「直動部材」、「直動プレート」の両方に相当する)に複数の従動プレート72(本発明の「従動部材」、「従動プレート」の両方に相当する)を連結してなり、上下方向に伸縮可能(開閉可能)な構造をなしている。
【0063】
具体的には、図11及び図12に示すように直動プレート71は、プレート本体71Aにガイドプレート71B(本発明の「直動ガイド部材」、「支持補助部材」に相当する)を固定してなる。プレート本体71Aは、横長矩形の板状をなし、ガイドプレート71Bはそのプレート本体71Aより薄肉細長の帯板状になっている。そして、プレート本体71Aの後側にガイドプレート71Bが重ねられた状態に固定され、ガイドプレート71Bがプレート本体71Aから両側方に延びている。また、図13に示すようにガイドプレート71Bの後面には1対のガイド突条71C、71Cが突出形成されている。これらガイド突条71C、71Cは平行になって左右方向に延びている。
【0064】
図9に示すように、フレーム部材35には、ガイドプレート71Bの両端部と係合可能な1対のガイド溝46、46(本発明の「上下動補助ガイド」に相当する。図9には、一方のガイド溝46のみが示されている)が形成されている。具体的には、フレーム部材35のうち枠形ベース41の内側縁部と枠形カバー42の内側縁部とを前後方向に対向させ、それらの間の隙間がガイド溝46になっている。また、各ガイド溝46の下端部は、枠形ベース41の下辺41Dから上方に離れた位置に配置される一方、ガイド溝46の上端部は枠形ベース41の上辺41Uまで延び、さらに枠形ベース41の上辺41Uと枠形カバー42の上辺とに挟まれた空間に連通している。また、ガイド溝46のうちガイドプレート71Bの後面と対向する部分からは摺接突条46Aが突出形成されて上下方向に延び、枠形ベース41の上辺41Uと枠形カバー42とに挟まれた空間まで連続している。そして、ガイドプレート71Bとガイド溝46との案内により直動プレート71がフレーム部材35に対して上下方向に直動可能になっている。これにより、直動プレート71が前後方向への移動を規制された状態で上下動する。
・・・
【0065】
図12に示すように複数の従動プレート72は、直動プレート71のプレート本体71Aと略同一の横長矩形の板状になし、プレート本体71Aの前側に重ねて配置されている。そして、本発明に係る従動連結機構73X(図14参照)によって隣り合った従動プレート72同士がそれぞれ連結されると共に、最も直動プレート71側に配置された従動プレート72と直動プレート71との間も同じ従動連結機構73Xによって連結されている。
【0066】
図14に示すように、従動連結機構73Xは、互いに前後で重ねられた従動プレート72、72同士又は従動プレート72と直動プレート71(図12参照)とのうち前側の従動プレート72の後面に形成された1対のレール部73A、73Aと、後側の従動プレート72又は直動プレート71の前面に形成された1対のスライド部73B、73Bとからなる。そのレール部73Aは、前側の従動プレート72の後面における両側縁部に沿って上下方向に延びた溝構造になっている。また、レール部73Aは、開口幅より奥側が幅広になっている。
【0067】
一方、スライド部73Bは、図12に示すように、後側の従動プレート72又は直動プレート71の前面における左右両側縁部の上端部に配置され、円柱脚部73Cの先端にそれより大径の係合円板73Dを備えた形状になっている。そして、各スライド部73Bの係合円板73Dがレール部73Aの奥部に受容され、これにより、レール部73Aに対してスライド部73Bが直動可能かつ抜け止め状態に係合している。より詳細には、図15に示すように従動プレート72は、ポリカーボネート(PC)樹脂製の装飾プレート72Aの後面側にポリアセタール(POM)樹脂製(ジュラコン)の機構プレート72Bをビス止めしてなり、これにより、レール部73Aの開口幅より奥側が幅広の構造を実現している。また、機構プレート72Bには、レール部73Aと平行に退避用スリット72Sが形成されている。そして、レール部73Aの開口縁を構成する壁部72Hを退避用スリット72S側に変形させてレール部73Aの開口幅を広げることで、スライド部73Bの係合円板73Dをレール部73Aの奥部に押し込むことができるようになっている。また、図12に示したスライド部73Bのうち円柱脚部73Cは従動プレート72に一体成形されている。そして、雄ネジの一端に円板を有した図示しない金属ネジが円柱脚部73Cの中心にねじ込まれ、その金属ネジの円板が係合円板73Dになっている。
・・・
【0069】
図9に示すように、枠形ベース41の上辺41Uにおける左右方向の中央部には、プレート収納部45が備えられている。プレート収納部45は、下方と後方とに開放しており、後方の開放部が枠形カバー42によって覆われている。また、プレート収納部45の前面壁45Fは、枠形ベース41の上辺41U全体に対して前方に段付き状に膨出している。その前面壁45Fに、第1の扉51のうち直動プレート71から最も離れた側の従動プレート72が後面側から重ねられて従動連結機構73Yにて連結されている。
・・・
【0071】
図9に示すように第1の扉51の駆動源である縦開閉用モータ80(本発明の「回転駆動源」に相当する)は、フレーム部材35の上辺に取り付けられている。そして、その縦開閉用モータ80と第1の扉51における直動プレート71との間が、図11に示した本発明に係る回転直動変換機構80Xによって連結されている。
【0072】
具体的には、図9に示すように、縦開閉用モータ80は、枠形ベース41の回転軸を左右方向に向けた状態にして枠形ベース41の上辺41Uの上方に配置されている。また、その枠形ベース41の回転出力軸には、リール81が固定されている。このリール81は、図16に示すように円筒体81Aの両端部から円板81B、81Bを張りだしたボビン形状をなしている。そして、直動巻回ベルト85の一端部がリール81に固定される一方、直動巻回ベルト85の他端部が直動プレート71に固定され、これらリール81と直動巻回ベルト85から回転直動変換機構80Xが構成されている。
【0073】
直動巻回ベルト85は、例えば、バネ合金製の板金であって、直線状に延びた状態で幅方向において円弧状(図16の断面S1参照)に湾曲した構造になっている。なお、本実施形態の直動巻回ベルト85は、長さを測るためのメジャーに用いられている金属帯材と同じである。
【0074】
直動巻回ベルト85の一端部はリール81(詳細には、円筒体81A)の外周面に接線方向を向けた状態にして固定されている。そして、直動巻回ベルト85は、凹部を内側にしてリール81に巻回される。また、直動巻回ベルト85は、リール81に巻回されると、幅方向において平坦(図16の断面S2参照)になるように弾性変形される。ここで、直動巻回ベルト85の弾性復元力により巻回された直動巻回ベルト85が径方向に広がるように弾発力が作用する。そこで、リール81の周囲がベルト押さえ82に覆われている。そのベルト押さえ82は、円環体の一部を切り欠いた形状をなし、径方向に弾性変形可能になっている。そして、ベルト押さえ82は、切り欠き部分を後方斜め下側に向けた状態にしてフレーム部材35に取り付けられ、リール81の外周面を外側から覆っている。これにより、直動巻回ベルト85の拡径を規制している。また、ベルト押さえ82は、直動巻回ベルト85の巻回量が増すに従ってその直動巻回ベルト85に押されてリール81から離れる側に弾性変形し、直動巻回ベルト85に過剰な負荷が掛からないようになっている。
【0075】
直動巻回ベルト85は、ベルト押さえ82の切り欠き部分を通して、リール81の後方部から外周面の接線方向下方に向かって引き延ばされている。また、枠形ベース41のうちプレート収納部45(図9参照)の上面壁(図示せず)には、図示しないベルト挿通孔が形成され、直動巻回ベルト85はそのベルト挿通孔を通って直動プレート71へと延びている。その直動巻回ベルト85の先端部は、図12に示すように直動プレート71におけるプレート本体71Aとガイドプレート71Bとの間に挟んだ状態にして固定されている。
【0076】
そして、縦開閉用モータ80によりリール81を一方に回転駆動して直動巻回ベルト85を巻き取ると、直動プレート71が上端位置(本発明の「終端位置」に相当する)に移動してプレート収納部45内に収納され(図6参照)、縦開閉用モータ80によりリール81を他方に回転駆動して直動巻回ベルト85をリール81から延ばすと、ガイドプレート71Bとガイド溝46の下端部とが当接する下端位置(本発明の「終端位置」に相当する)まで移動する(図9参照)。
【0077】
ここで、直動プレート71が上下動すると、それに従動して従動プレート72群も上下動する。また、各従動プレート72が自重により下方に付勢されているので、上記した従動連結機構73X(図14参照)のスライド部73Bは、レール部73Aにおける下端部に当接して位置決めされると共に、従動連結機構73Y(図9参照)のスライド部73Jは、レール部73Hのにおける下端部に当接して位置決めされている。そして、図9に示すように隣り合った従動プレート72同士、従動プレート72とプレート収納部45、従動プレート72と直動プレート71とがそれぞれずれた状態に保持され、第1の扉51が、枠形ベース41の上辺41Uから枠形ベース41の下辺41D寄り位置まで延びた状態になる。これにより図2に示すように液晶表示画面34のうち中特別図柄13Bを上下にスクロール表示する中領域34Bの一部が第1の扉51によって前方から覆われた全閉状態になる。
【0078】
第1の扉51が全閉状態で、縦開閉用モータ80にてリール81を一方に回転駆動すると、直動巻回ベルト85がリール81に巻き取とられて直動プレート71が上昇する。このとき、全ての従動プレート72が静止した状態なり、直動プレート71と下端側の従動プレート72との間の従動連結機構73Xにおいて、スライド部73Bがレール部73A内を移動する。そして、図10(A)に示すように、同図の下端側の直動プレート71と直動プレート71とが完全に重なった状態になる。このとき、直動プレート71と従動プレート72との間の従動連結機構73Xにおけるスライド部73Bがレール部73Aの上端部に当接する。この状態でさらに直動プレート71をさらに上昇すると、図10(B)に示すように下端側の従動プレート72と直動プレート71とが一体になって上昇し、やがて下端側2つの従動プレート72、72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる(図示せず)。この状態からさらに直動プレート71を上昇させると、下端側2つの従動プレート72、72と直動プレート71とが一体になって上昇し、3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態になり、さらに上昇してプレート収納部45内に第1の扉51が収納される。
【0079】
第1の扉51がプレート収納部45に収納された状態で縦開閉用モータ80にてリール81を他方に回転駆動すると、上記動作と逆の動作を行い、従動プレート72群と直動プレート71とが徐々に展開されて行き、図9に示した閉鎖状態に戻る。ここで、直動プレート71を下方に移動する際に、例えば、従動連結機構73X、73Yに引っ掛かりが生じた場合に、リール81と直動プレート71との間で直動巻回ベルト85が突っ張り状態になる。これに対し、直動巻回ベルト85は、直前状態で幅方向において円弧状をなし、座屈強度が高くなっているので、従動連結機構73X、73Y等の引っ掛かりに抗して直動プレート71を押し下げることができる。」
(オ)「【図面の簡単な説明】
【0086】
・・・
【図9】扉ユニットの第1の扉を全閉した状態の斜視図
【図10】扉ユニットの第1の扉を半開きにした状態の斜視図」
イ 刊行物1の図面には以下の事項が記載されている。
(ア)図2から、遊技板11の略左右中央で、装飾枠23の直下かつ大入賞口15及びアウト口16の直上に第1及び第2の始動入賞口14A、14Bが設けられることがみてとれる。
(イ)図9には、上記【0077】の「図9に示すように・・・液晶表示画面34のうち中特別図柄13Bを上下にスクロール表示する中領域34Bの一部が第1の扉51によって前方から覆われた全閉状態になる。」との記載、及び上記【0086】の「扉ユニットの第1の扉を全閉した状態の斜視図」なる記載によれば、全閉状態における第1の扉51の状態が記載されている。該図から、この状態で最も下端にある従動プレート72は、直動プレート71(のプレート本体71A)に隣接して前面側に位置する従動プレート72であることを読み取ることができる。
(ウ)図9~12には、第1の扉51を構成する従動プレート72及び直動プレート71のプレート本体71Aの前面側に装飾が施されていることが記載されている。
ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。
(あ)上記【0032】には「本実施形態のパチンコ遊技機10の遊技板11には、ガイドレール12で囲まれたほぼ円形の遊技領域R1が形成され、その遊技領域R1内に液晶表示画面34(本発明の「表示画面」に相当する)が備えられている。」と記載され、上記【0044】には「遊技領域R1内に液晶表示画面34を設けるために、図3に示すように遊技板11には画像表示窓11Wが貫通形成されている。その画像表示窓11Wには、前面側から装飾枠23が嵌合固定され、画像表示窓11Wの後方側に本発明の「表示装置」に相当する液晶モジュール33・・・が配置されている。液晶モジュール33は・・・その横長矩形の前面の略全体が液晶表示画面34になっている。・・・そして、その液晶モジュール33の液晶表示画面34が装飾枠23を通して前方に臨んでおり、これにより、図1に示すように装飾枠23に縁取られた液晶表示画面34が遊技領域R1内に設けられている。」と記載されている。
これらから、刊行物1には、遊技板11と、該遊技板11の遊技領域R1に貫通形成された画像表示窓11Wに嵌合固定された装飾枠23と、該装飾枠23を通して前方に臨む液晶表示画面34と、を備えるパチンコ遊技機10、が記載されているといえる。
(い)上記【0045】には「本実施形態のパチンコ遊技機10では、遊技板11と液晶モジュール33との間に扉ユニット40が設けられている。そして、扉ユニット40に備えた第1~第3の扉51~53が、遊技の進行状況に応じて図2に示すように液晶表示画面34を前方から覆うことができる」と記載されている。
ここで、「液晶モジュール33は・・・その横長矩形の前面の略全体が液晶表示画面34になっている」(【0044】)のであるから、刊行物1には、パチンコ遊技機10がさらに、遊技板11と液晶表示画面34との間に配置される扉ユニット40の第1の扉51を備えること、が記載されているといえる。
(う)上記【0046】には「扉ユニット40は横長矩形の枠形状をなしたフレーム部材35を備え、そのフレーム部材35は・・・枠形ベース41と枠形カバー42とを組み付けてなる。そして、枠形ベース41の後面側に第1の扉51が組み付けられる」と記載され、上記【0047】には「枠形カバー42の・・・囲壁42C・・・から側方に張り出した固定壁42Bが遊技板11の後面に固定されている。・・・フレーム部材35の内側開口35Aに液晶表示画面34が後方から宛がわれている。」と記載されている。(以下「記載事項う1」という。)
該記載事項う1から、刊行物1には、フレーム部材35を構成する枠形カバー42の固定壁42Bが遊技板11の後面に固定されている、すなわち、フレーム部材35は遊技板11の後面に固定されていること、が記載されているといえる。
また、刊行物1には、横長矩形の枠形状をなしたフレーム部材35の内側開口35Aに液晶表示画面34が後方から宛がわれている、すなわち、フレーム部材35及びそれを構成する枠形ベース41と枠形カバー42の矩形枠に囲まれた内側開口35Aの後方に液晶表示画面34が設けられていること、逆に言えば、液晶表示画面34の上下左右はフレーム部材35及びそれを構成する枠形ベース41と枠形カバー42の矩形枠に囲まれていること、が記載されているといえる。(以下「認定事項う1」という。)
また、上記【0062】~【0069】には、「第1の扉51は、一つの直動プレート71・・・に複数の従動プレート72・・・を連結してなり、上下方向に伸縮可能(開閉可能)な構造をなしている。・・・従動連結機構73X(図14参照)によって隣り合った従動プレート72同士がそれぞれ連結されると共に、最も直動プレート71側に配置された従動プレート72と直動プレート71との間も同じ従動連結機構73Xによって連結されている。・・・従動連結機構73Xは、互いに前後で重ねられた従動プレート72、72同士又は従動プレート72と直動プレート71(図12参照)とのうち前側の従動プレート72の後面に形成された1対のレール部73A、73Aと、後側の従動プレート72又は直動プレート71の前面に形成された1対のスライド部73B、73Bとからなる。・・・スライド部73Bは・・・後側の従動プレート72又は直動プレート71の前面における左右両側縁部の上端部に配置され、円柱脚部73Cの先端にそれより大径の係合円板73Dを備えた形状になっている。・・・各スライド部73Bの係合円板73Dがレール部73Aの奥部に受容され、これにより、レール部73Aに対してスライド部73Bが直動可能かつ抜け止め状態に係合している。・・・枠形ベース41の上辺41Uにおける左右方向の中央部には、プレート収納部45が備えられている。」と記載されている。(以下「記載事項う2」という。)
また、上記【0072】~【0076】には、「縦開閉用モータ80は、枠形ベース41の回転軸を左右方向に向けた状態にして枠形ベース41の上辺41Uの上方に配置されている。また、その枠形ベース41の回転出力軸には、リール81が固定されている。・・・そして、直動巻回ベルト85の一端部がリール81に固定される一方、直動巻回ベルト85の他端部が直動プレート71に固定され、これらリール81と直動巻回ベルト85から回転直動変換機構80Xが構成されている。・・・縦開閉用モータ80によりリール81を一方に回転駆動して直動巻回ベルト85を巻き取ると、直動プレート71が上端位置・・・に移動してプレート収納部45内に収納され(図6参照)、縦開閉用モータ80によりリール81を他方に回転駆動して直動巻回ベルト85をリール81から延ばすと、ガイドプレート71Bとガイド溝46の下端部とが当接する下端位置・・・まで移動する」と記載されている。(以下「記載事項う3」という。)
上記記載事項う2・う3から、刊行物1には、「第1の扉51は一枚の直動プレート71と複数の従動プレート72を連結してなり」、「枠形ベース41の上辺41Uの上方に配置されている」「縦開閉用モータ80により」回転駆動されるリール81に一端部が固定される「直動卷回ベルト85の他端部が前記直動プレート71に固定され」、「最も直動プレート71側に配置された従動プレート72と直動プレート71との間」及び「隣り合った従動プレート72同士がそれぞれ」、「互いに前後で重ねられた従動プレート72、72同士又は従動プレート72と直動プレート71」「とのうち前側の従動プレート72の後面に形成された1対のレール部73A、73Aと、後側の従動プレート72又は直動プレート71の前面に形成された1対の」、「円柱脚部73Cの先端にそれより大径の係合円板73Dを備えた形状」の「スライド部73B、73Bとからなる」「従動連結機構73Xによって連結されている。」ことが記載されているといえる。(以下「認定事項う2」という。)
該認定事項う2から、一枚の直動プレート71と複数の従動プレート72からなる第1の扉51を支持しているのは、枠形ベース41の上辺41Uの上方に配置されている縦開閉用モータ80と、該縦開閉用モータ80により回転駆動されるリール81に一端部が固定され、他端部を直動プレート71に固定した直動卷回ベルト85、第1の扉51のうち直動プレート71から最も離れた側の従動プレート72の前面に形成された1対のスライド部73J、73Jとプレート収納部45の前面壁45Fに貫通形成された1対のレール部73H、73Hとからなる従動連結機構73Y、からなる相互に固定されたひとまとまりの機構であるということができる。(以下「認定事項う3」という。)
また、上記認定事項う1から、矩形ベース41の矩形枠は液晶表示画面34の上下左右を囲むものであるので、前記認定事項う2の、前記縦開閉用モータ80およびリール81が固定される「枠形ベース41の上辺41U」は液晶表示画面34の上側に位置するといえる。(以下「認定事項う4」という。)
よって、前記認定事項う3・う4から、刊行物1には、液晶表示画面34の上側に位置する枠形ベース41の上辺41Uに固定された縦開閉用モータ80およびリール81、該リール81に一端部が固定された直動卷回ベルト85からなる、相互に固定されたひとまとまりの、第1の扉51を支持する機構、が記載されているといえる。
ところで、上記【0063】には「直動プレート71は、プレート本体71Aにガイドプレート71B・・・を固定してなる。プレート本体71Aは、横長矩形の板状をなし、ガイドプレート71Bはそのプレート本体71Aより薄肉細長の帯板状になっている。そして、プレート本体71Aの後側にガイドプレート71Bが重ねられた状態に固定され、ガイドプレート71Bがプレート本体71Aから両側方に延びている。」と記載されていることから、刊行物1には、前記第1の扉51の直動プレート71のプレート本体71Aの後方には、上記「縦開閉用モータ80およびリール81、該リール81に一端部が固定された直動卷回ベルト85」のうちの直動卷回ベルト85以外に、「薄肉細長の帯板状」で「プレート本体71Aから両側方に延びている」ガイドプレート71Bが固定されること、が記載されているといえる。(以下「認定事項う5」という。)
また、上記【0064】には、「フレーム部材35には、ガイドプレート71Bの両端部と係合可能な1対のガイド溝46、46・・・が形成されている。・・・ガイドプレート71Bとガイド溝46との案内により直動プレート71がフレーム部材35に対して上下方向に直動可能になっている。これにより、直動プレート71が前後方向への移動を規制された状態で上下動する。」と記載されている。
この記載事項から、前記認定事項う5の「ガイドプレート71B」は、フレーム部材35の一対のガイド溝46、46の案内により、直動プレート71が上下動する際に、該直動プレート71を案内し、該直動プレート71が前後方向への移動を規制するための部材であるといえる。
(え)上記【0032】には「パチンコ遊技機10の遊技板11には、ガイドレール12で囲まれたほぼ円形の遊技領域R1が形成され・・・遊技領域R1のうち液晶表示画面34の下方領域のうち左右方向の中央部には、第1及び第2の始動入賞口14A、14B、大入賞口15及びアウト口16が上から順番に並べて設けられ」と記載されている。
また、【0041】には、「大入賞口15は・・・常には、可動扉15Tにて閉塞されている。パチンコ遊技機10が「大当たり状態」になると・・・可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒れる。これにより、大入賞口15が開放され、可動扉15Tを案内にして、大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。」と記載されている。
よって、刊行物1には、パチンコ遊技機10がアウト口16、第1及び第2の始動入賞口14A・14B、大当たり状態になると可動扉15Tが開放される大入賞口15、を備えること、および、該大入賞口15が第1及び第2の始動入賞口14A、14Bの直下に設けられること、が記載されているといえる。
(お)上記【0045】には「扉ユニット40に備えた第1~第3の扉51~53が、遊技の進行状況に応じて図2に示すように液晶表示画面34を前方から覆うことができる」と記載されている。
よって、刊行物1には、第1の扉51が液晶表示画面34の前方に位置することが記載されているといえる。(以下「認定事項お1」という。)
また、上記【0062】には「第1の扉51は、一つの直動プレート71・・・に複数の従動プレート72・・・を連結してなり」と、【0065】には「複数の従動プレート72は、直動プレート71のプレート本体71Aと略同一の横長矩形の板状になし、プレート本体71Aの前側に重ねて配置されている。」と記載され、【0063】には「直動プレート71は、プレート本体71Aにガイドプレート71B・・・を固定してなる。・・・プレート本体71Aの後側にガイドプレート71Bが重ねられた状態に固定され」と、【0075】には「枠形ベース41のうちプレート収納部45(図9参照)の上面壁(図示せず)には、図示しないベルト挿通孔が形成され、直動巻回ベルト85はそのベルト挿通孔を通って直動プレート71へと延びている。その直動巻回ベルト85の先端部は、図12に示すように直動プレート71におけるプレート本体71Aとガイドプレート71Bとの間に挟んだ状態にして固定されている。」と、それぞれ記載されている。
これら記載から、刊行物1には、第1の扉51の各プレートと直動卷回ベルト85との関係について、第1の扉51を構成する直動プレート71と複数の従動プレート72とは、直動プレート71を最も後ろ側として、その前側に複数の従動プレート72が重ねて配置される関係にあり(【0062】【0065】)、そのうち最も後ろ側にある直動プレート71はプレート本体71Aと、その後側に重ねられたガイドプレート71Bとからなり(【0063】【0065】)、直動巻回ベルト85は直動プレート71へと延び、その先端部がプレート本体71Aとガイドプレート71Bとの間に挟んだ状態にして固定されている(【0075】)、ことが記載されているといえ、この関係は該各プレート(71、72)の上下動を通じて変わらないことが明らかであるから、ここからさらに、上記(う)で「第1の扉51を支持する機構」に含まれるとした「直動卷回ベルト85」の前側に、上下動を通じて、第1の扉51を構成する各従動プレート72及び直動プレート71のプレート本体71Aとが位置していることが記載されているといえる。(以下「認定事項お2」という。)
また、上記【0077】には、「直動プレート71が上下動すると、それに従動して従動プレート72群も上下動する。・・・図9に示すように隣り合った従動プレート72同士、従動プレート72とプレート収納部45、従動プレート72と直動プレート71とがそれぞれずれた状態に保持され、第1の扉51が、枠形ベース41の上辺41Uから枠形ベース41の下辺41D寄り位置まで延びた状態になる。これにより図2に示すように液晶表示画面34のうち中特別図柄13Bを上下にスクロール表示する中領域34Bの一部が第1の扉51によって前方から覆われた全閉状態になる。」と(以下「記載事項お1」という。)、上記【0078】には、「第1の扉51が全閉状態で、縦開閉用モータ80にてリール81を一方に回転駆動すると、直動巻回ベルト85がリール81に巻き取とられて直動プレート71が上昇する。このとき、全ての従動プレート72が静止した状態なり、直動プレート71と下端側の従動プレート72との間の従動連結機構73Xにおいて、スライド部73Bがレール部73A内を移動する。そして、図10(A)に示すように、同図の下端側の直動プレート71と直動プレート71とが完全に重なった状態になる。」(以下「記載事項お2」という。)、「この状態でさらに直動プレート71をさらに上昇すると、図10(B)に示すように下端側の従動プレート72と直動プレート71とが一体になって上昇し、やがて下端側2つの従動プレート72、72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる(図示せず)。この状態からさらに直動プレート71を上昇させると、下端側2つの従動プレート72、72と直動プレート71とが一体になって上昇し、3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態になり、さらに上昇してプレート収納部45内に第1の扉51が収納される。」(以下「記載事項お3」という。)と、それぞれ記載されている。
また、上記【0079】には「第1の扉51がプレート収納部45に収納された状態で縦開閉用モータ80にてリール81を他方に回転駆動すると、上記動作と逆の動作を行い、従動プレート72群と直動プレート71とが徐々に展開されて行き、図9に示した閉鎖状態に戻る。」と記載されている(以下「記載事項お4」という。)。
ここで、前記記載事項お2において、「図10(A)に示すように、同図の下端側の直動プレート71と直動プレート71とが完全に重なった状態になる。」なる記載事項は、一枚しか存在しない同一の「直動プレート71」どうしが「完全に重なった状態になる」ということが起こり得ないことから誤記を含むことが明白であり、続く前記記載事項お3の「下端側の従動プレート72と直動プレート71とが一体になって上昇し、やがて下端側2つの従動プレート72、72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる」なる記載との対比から、正しくは「図10(A)に示すように、同図の下端側の従動プレート72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる。」と下線部のとおり記載すべきところを誤記したものと認められる。よって、当審においては前記記載事項お2の当該記載事項について、前記誤記を訂正した、
「第1の扉51が全閉状態で、縦開閉用モータ80にてリール81を一方に回転駆動すると、直動巻回ベルト85がリール81に巻き取とられて直動プレート71が上昇する。このとき、全ての従動プレート72が静止した状態なり、直動プレート71と下端側の従動プレート72との間の従動連結機構73Xにおいて、スライド部73Bがレール部73A内を移動する。そして、図10(A)に示すように、同図の下端側の従動プレート72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる。」(以下「記載事項お2’」という。)
のとおりに認定する。
前記各記載事項お1、お2’、お3において、直動プレート71の動きに着目すると、刊行物1には、前記記載事項お1における、「従動プレート72とプレート収納部45、従動プレート72と直動プレート71とがそれぞれずれ」、「液晶表示画面34のうち中特別図柄13Bを上下にスクロール表示する中領域34Bの一部が第1の扉51によって前方から覆われた全閉状態」に対応する、いわば最も下方に下がった位置と、前記記載事項お2’に対応する、前記「最も下方に下がった位置」から直動プレート71が上昇し、「下端側の従動プレート72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる」位置と、前記記載事項お3に対応する、「3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態」との、3つの状態をとりつつ上下動する(記載事項お1)ことが記載されているといえる。(以下「認定事項お3」という。)
また、該各記載事項お1、お2’、お3、お4において、従動プレート72のうち、直動プレート71(のプレート本体71A)に隣接して前面側にある従動プレート72(上記イの図9記載事項参照)の動きに着目すると、次のとおりである。
まず、前記記載事項お2’における「下端側の従動プレート72」が当該「直動プレート71(のプレート本体71A)に隣接して前面側にある従動プレート72」に対応する。
また、前記記載事項お3において、前記直動プレート71が「最も下方に下がった位置」から「下端側の従動プレート72と直動プレート71とが完全に重なった状態」にまで上昇する間、該「下端側の従動プレート72」は静止していることが明らかであり、その後「この状態でさらに直動プレート71をさらに上昇すると・・・下端側の従動プレート72と直動プレート71とが一体になって上昇し、やがて下端側2つの従動プレート72、72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる(図示せず)。この状態からさらに直動プレート71を上昇させると、下端側2つの従動プレート72、72と直動プレート71とが一体になって上昇し、3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態にな」(記載事項お3)るまでの間、前記下端側の従動プレート72と直動プレート71とは常に一体に上昇することが明らかといえる。
また、上記記載事項お1、お2’、お3は、可動プレート71と従動プレート72とが上昇する場合の動きを記述したものであるが、上記記載事項お4には、「プレート収納部45に収納された状態で縦開閉用モータ80にてリール81を他方に回転駆動すると」、すなわち、リールを上記記載事項お1、お2’、お3の各プレートを上昇させる場合に対し「他方」つまり逆に回転させて該各プレートを下降させる場合には、「上記動作と逆の動作を行い」すなわち、上記記載事項お1、お2’、お3の動きを逆に辿る動作を行うことが記載されているといえるから、プレートの下降時には、前記「前記下端側の従動プレート72」と直動プレート71とは、前記「3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態」から、前記「下端側の従動プレート72と直動プレート71とが完全に重なった状態」までの間、「一体になって」下降するといえる。
よって、前記「下端側の従動プレート72」は、上下動何れにおいても、前記「3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態」から、前記「下端側の従動プレート72と直動プレート71とが完全に重なった状態」までの間、「一体になって」移動するといえる。(以下「認定事項お4」という。)
よって、刊行物1には、前記記載事項お2’に対応する「下端側の従動プレート72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる」位置と、前記記載事項お3に対応する、「3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態」との、2つの状態の間で、直動プレート71と一体となって上下動する(記載事項お1)ことが記載されているといえる。(以下「認定事項お5」という。)
また、上記イのとおり図9~12には、第1の扉51を構成する従動プレート72及び直動プレート71のプレート本体71Aの前面側に装飾が施されていることが記載されている。(以下「認定事項お6」という。)
以上の認定事項お1~6によると、刊行物1には、
液晶表示画面34の前方(認定事項お1)、かつ、上下動を通じて第1の扉51を支持する機構(う)を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し(認定事項お2)、「液晶表示画面34のうち中特別図柄13Bを上下にスクロール表示する中領域34Bの一部が第1の扉51によって前方から覆われた全閉状態」に対応する、いわば最も下方に下がった第1の位置と、前記「最も下方に下がった位置」から直動プレート71が上昇し、前記第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち直動プレート71(のプレート本体71A)に隣接して前面側にある「下端側の従動プレート72と直動プレート71とが完全に重なった状態になる」第2の位置と、「3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態」にあたる第3の位置との、3つの位置の間を上下動する(認定事項お3)、第1の扉51を構成する直動プレート71の(認定事項お2)、装飾が施された(認定事項お5)プレート本体71Aと、
上下動を通じて第1の扉51を支持する機構(う)を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し(認定事項お2)、前記第2の位置と、前記第1の位置との、2つの位置の間を、直動プレート71と一体となって上下動する(認定事項お3、お4)、第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち直動プレート71(のプレート本体71A)に隣接して前面側にある(認定事項お5)、装飾が施された(認定事項お6)従動プレート72と、
を備えることが記載されているといえる。
(か)上記【0032】には「遊技領域R1のうち液晶表示画面34の下方領域のうち左右方向の中央部には、第1及び第2の始動入賞口14A、14B、大入賞口15及びアウト口16が上から順番に並べて設けられ」と記載され、上記イのとおり図2には、遊技板11の略左右中央で、装飾枠23の直下かつ大入賞口15及びアウト口16の直上に第1及び第2の始動入賞口14A、14Bが設けられることが記載されているといえる。
よって、刊行物1には、第1及び第2の始動入賞口14A、14Bが、遊技板の略左右中央で装飾枠23の直下かつアウト口の直上に設けられることが記載されているといえる。
エ 上記アの各記載事項、上記イ・ウの認定事項から、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(a~nは、本件補正発明のA~Nに対応させて付与した。)。
「a 遊技板11と、(あ)
b 前記遊技板11の遊技領域R1に貫通形成された画像表示窓11Wに嵌合固定された装飾枠23と、(あ)
c 前記装飾枠23を通して前方に臨む液晶表示画面34と、(あ)
d 前記遊技板11と前記液晶表示画面34との間に配置される扉ユニット40の第1の扉51と、(い)
e 液晶表示画面34の上側に位置する枠形ベース41の上辺41Uに固定された縦開閉用モータ80およびリール81、該リール81に一端部が固定された直動卷回ベルト85からなる、相互に固定されたひとまとまりの、第1の扉51を支持する機構と、(う)
f アウト口16と、(え)
g 第1及び第2の始動入賞口14A・14Bと、(え)
h 大当たり状態になると可動扉15Tが開放される大入賞口15を備えたパチンコ遊技機10であって、(あ、え)
i 第1の扉51は、
前記液晶表示画面34の前方、かつ、上下動を通じて前記第1の扉51を支持する機構を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し、
前記液晶表示画面34のうち中特別図柄13Bを上下にスクロール表示する中領域34Bの一部が前記第1の扉51によって前方から覆われた全閉状態に対応する、最も下方に下がった第3の位置と、該最も下方に下がった位置から前記第1の扉51の直動プレート71が上昇し、前記第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち前記直動プレート71に隣接して前面側にある下端側の従動プレート72と前記直動プレート71とが完全に重なった状態になる第2の位置と、3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態にあたる第1の位置との、3つの位置の間を上下動する、前記直動プレート71の、装飾が施されたプレート本体71Aと、(お)
j 前記第2の位置と、前記第1の位置との、2つの位置の間を、直動プレート71と一体となって上下動する、第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち直動プレート71のプレート本体71Aに隣接して前面側にある、装飾が施された従動プレート72と、を備え、(お)
k 前記第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち直動プレート71に隣接して前面側にある、装飾が施された従動プレート72は、上下動を通じて前記第1の扉51を支持する機構を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し、(お)
l 第1及び第2の始動入賞口14A、14Bが、遊技板の略左右中央で装飾枠23の直下かつアウト口の直上に設けられ、(か)
m 大入賞口15が第1及び第2の始動入賞口14A、14Bの直下に設けられる、(え)
n パチンコ遊技機。(あ)」
(3)刊行物2に記載された技術事項
ア 原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-119730号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
(ア)「【0011】
前記透明板22には、裏ユニット30に配設された図柄表示装置17の表示面17aに対応して前後に開口する図示しない装着口(表示部開口)が形成されており、該装着口に対して枠状装飾体70が配設される。透明板22の前面には、図2に示す如く、枠状装飾体70より下方位置に、遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞装置25や特別入賞装置26が配設されており、始動入賞装置25の始動入賞口25aにパチンコ球が入賞することで、図柄表示装置17の表示面17aで図柄変動が開始されるようになっている。また、特別入賞装置26は、入賞口が開閉扉26aで常には閉鎖されており、図柄表示装置17での図柄変動の結果、図柄表示装置17に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生し、これにより開閉扉26aが開放して入賞口への入賞により多数の賞球を獲得し得るようになっている。更に、透明板22の前面には、遊技領域20aの入賞口を臨ませて普通入賞装置27が枠状装飾体70の外側に配設されている。
・・・
【0014】
図4に示すように、前記裏ユニット30の前側には、略矩形状に開設された裏ユニット開口部30aの開口縁四辺に対応して複数の内周装飾部40、50、60、60が配設されている。また、複数の内周装飾部40、50、60、60は、遊技盤20における遊技領域20aの中央部において、図柄表示装置17の表示面17aにおける図柄変動ゲームが表示される領域(図柄変動領域)としての表示部20bを画成している。なお前述した透明板22の装着口は、表示部20bに重なる部位に設けられる。」
イ 刊行物2の図面には以下の事項が記載されている。
(ア)図1からは、遊技盤上の各種装置の配置関係として、図柄表示装置17の表示部20b(【0014】)の略左右中央部直下に始動入賞装置25の始動入賞口25a(【0011】)が設けられるとともに、その右方でかつ図柄表示装置17の表示部20bに重ならない位置に、特別入賞装置26を設けることを読み取ることができる。
ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。
(あ)上記【0011】に「特別入賞装置26は、入賞口が開閉扉26aで常には閉鎖されており、図柄表示装置17での図柄変動の結果、図柄表示装置17に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生し、これにより開閉扉26aが開放して入賞口への入賞により多数の賞球を獲得し得るようになっている。」なる記載があることから、該「特別入賞装置26」は、常時は閉成され、「大当たり」の際に開成される入賞口であるといえる。
よって、このことと上記イ(ア)の認定事項とから、刊行物2には、常時は閉成され、「大当たり」の際に開成される入賞口である「特別入賞装置26」が、図柄表示装置17の表示部20bの略左右中央部直下に設けられた始動入賞装置25の始動入賞口25aの右方でかつ図柄表示装置17の表示部20bに重ならない位置に設けられること、が記載されているといえる。
(4)対比
本件補正発明と刊行物1発明とを、分説に従い対比する。(以下、刊行物1発明の各構成については単に「構成a」などといい、本件補正発明の各構成は単に「構成A」などということがある。また、請求項の記載事項を引用する際などに、改行を「/」に置き換えることがある。)
ア 刊行物1発明における構成aの「遊技板11」は本件補正発明の構成Aの「遊技盤」に相当することが明らかである。
イ 刊行物1発明における構成bの「前記遊技板11の遊技領域R1に貫通形成された画像表示窓11Wに嵌合固定された」は、本件補正発明の構成Bの「前記遊技盤に配置され」に相当する。
また、前記構成bの「装飾枠23」は「前記遊技板11の遊技領域R1に貫通形成された画像表示窓11Wに嵌合固定された」「枠」であるとともに、同構成cによれば「液晶表示画面34」が前記「装飾枠23を通して前方に臨む」ものであるから、該「装飾枠23」が開口を有する部材であることは明らかである。
よって、前記構成bの「前記遊技板11の遊技領域R1に貫通形成された画像表示窓11Wに嵌合固定された装飾枠23」は、本件補正発明の構成Bの「前記遊技盤に配置され開口を有するセンター部材」に相当する。
ウ 刊行物1発明における構成cの「前記装飾枠23を通して前方に臨む液晶表示画面34」は、本件補正発明の構成Cの「前記センター部材の開口をのぞんで配置された図柄表示装置」に相当する。
エ 刊行物1発明における構成dにおける「扉ユニット40の第1の扉51」は本件補正発明の構成Dの「可動盤面部品」に相当する。
また、液晶表示画面34が前記構成cにおいて、遊技板11に貫通形成された画像表示窓11Wに嵌合固定された装飾枠23を通して前方に臨むものである、すなわち装飾枠23の後方に位置するものであるから、前記構成dで前記「扉ユニット40の第1の扉51」が「前記遊技板11と前記液晶表示画面34との間に配置される」ことは、該「扉ユニット40の第1の扉51」が遊技板11およびそれに嵌合された装飾枠23の後方に配置されることである。
よって、前記構成dの「前記遊技板11と前記液晶表示画面34との間に配置される」は、本件補正発明の構成Dの「前記センター部材の後方に配置される」に相当する。
したがって、前記構成dの「前記遊技板11と前記液晶表示画面34との間に配置される扉ユニット40の第1の扉51」は、本件補正発明の構成Dの「前記センター部材の後方に配置される可動盤面部品」に相当する。
オ 刊行物1発明の構成eの「液晶表示画面34の上側に位置する枠形ベース41の上辺41Uに固定された縦開閉用モータ80およびリール81、該リール81に一端部が固定された直動卷回ベルト85からなる、第1の扉51を支持する機構」を構成する要素のうち、「縦開閉用モータ80およびリール81」は「液晶表示画面34の上側に位置する枠形ベース41の上辺41Uに固定された」要素であり、「直動卷回ベルト85」は前記「縦開閉用モータ80およびリール81」に「一端部が固定」されているのであるから、これもまた、前記縦開閉用モータ80およびリール81なる各要素とともに「液晶表示画面34の上側に位置する枠形ベース41の上辺41Uに固定された」要素であるといえる。
一方、「液晶表示画面34の上側に位置する枠形ベース41の上辺41U」が位置する「液晶表示画面34の上側」は本件補正発明の「前記図柄表示装置の一辺側」に含まれるから、前記構成eの「液晶表示画面34の上側に位置する枠形ベース41の上辺41Uに固定された縦開閉用モータ80およびリール81、該リール81に一端部が固定された直動卷回ベルト85」は、「液晶表示画面34の上側」に固定されて「第1の扉51を支持」している、すなわち、「第1の扉51」を「液晶表示画面34の上側」から支持するものであるといえる。
また、前記構成eの「相互に固定されたひとまとまりの」は、前記構成Eの「一の」に相当する。
よって、前記構成eの「液晶表示画面34の上側に位置する枠形ベース41の上辺41Uに固定された縦開閉用モータ80およびリール81、該リール81に一端部が固定された直動卷回ベルト85からなる、第1の扉51を支持する機構」は、本件補正発明の構成Eの「前記可動盤面部品を前記図柄表示装置の一辺側から支持する一の支持機構」に対応する。
カ 刊行物1発明の構成fの「アウト口16」は本件補正発明の構成Fの「アウト口」に相当する。
キ 刊行物1発明の構成gの「第1及び第2の始動入賞口14A・14B」は本件補正発明の構成Gの「入賞口」に相当する。
ク 刊行物1発明の構成hの「大当たり状態になると可動扉15Tが開放される大入賞口15」、「パチンコ遊技機」はそれぞれ本件補正発明の構成Hの「特別遊技状態のときに開成する大入賞口」、「遊技機」に相当する。
ケ 刊行物1発明の構成iの「上下動を通じて前記第1の扉51を支持する機構を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し」は、本件補正発明の「一の支持機構の前方・・・を往復移動する」に相当する。
また、同構成iの「前記液晶表示画面34のうち中特別図柄13Bを上下にスクロール表示する中領域34Bの一部が前記第1の扉51によって前方から覆われた全閉状態に対応する、最も下方に下がった第3の位置」、「該最も下方に下がった位置から前記第1の扉51の直動プレート71が上昇し、前記第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち前記直動プレート71に隣接して前面側にある下端側の従動プレート72と前記直動プレート71とが完全に重なった状態になる第2の位置」、「3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態にあたる第1の位置」、「上下動」、「装飾が施されたプレート本体71A」は、それぞれ本件補正発明の「第3の表示形態位置」、「第2の表示形態位置」、「第1の表示形態位置」、「往復移動」、「第1装飾体」に相当する。
よって、前記構成iの「第1の扉51は、/ 前記液晶表示画面34の前方、かつ、前記第1の扉51を支持する機構を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し、/ 前記液晶表示画面34のうち中特別図柄13Bを上下にスクロール表示する中領域34Bの一部が前記第1の扉51によって前方から覆われた全閉状態に対応する、最も下方に下がった第3の位置と、該最も下方に下がった位置から前記第1の扉51の直動プレート71が上昇し、前記第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち前記直動プレート71に隣接して前面側にある下端側の従動プレート72と前記直動プレート71とが完全に重なった状態になる第2の位置と、3つの従動プレート72全てと直動プレート71とが完全に重なった状態にあたる第1の位置との、3つの位置の間を上下動する、前記直動プレート71の、装飾が施されたプレート本体71Aと」は、本件補正発明の構成Iの「前記可動盤面部品は、/ 前記図柄表示装置の前方であり、且つ前記一の支持機構の前方を所定の移動経路に沿って第1の表示形態位置と第2の表示形態位置と第3の表示形態位置との間を往復移動する第1装飾体と」に相当する。
コ 刊行物1発明の構成jの「直動プレート71と一体となって上下動する」は、上記構成iのとおり「装飾が施されたプレート本体71A」が直動プレート71の一要素であることから、本件補正発明の「第1装飾体に追従移動する」ことに相当する。
また、前記構成jの「第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち直動プレート71のプレート本体71Aに隣接して前面側にある、装飾が施された従動プレート72」は前記構成Jの「第2装飾体」に相当する。
よって、刊行物1発明の構成jの「前記第2の位置と、前記第1の位置との、2つの位置の間を、直動プレート71と一体となって上下動する(認定事項お3、お4)、第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち直動プレート71(のプレート本体71A)に隣接して前面側にある(認定事項お5)、装飾が施された(認定事項お6)従動プレート72」は、本件補正発明の構成Jの「前記第1の表示形態位置と前記第3の表示形態位置との間の第2の表示形態位置まで前記第1装飾体に追従移動する第2装飾体」に相当する。
サ 刊行物1発明の構成kの「上下動を通じて第1の扉51を支持する機構を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し」は、本件補正発明の構成Kの「往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動し」に相当する。
よって、前記構成kの「上下動を通じて前記第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち直動プレート71に隣接して前面側にある、装飾が施された従動プレート72は、前記第1の扉51を支持する機構を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し」は、前記構成Kの「往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動し」に相当する。
よって、前記構成kの「前記第1の扉51を構成する複数の従動プレート72のうち直動プレート71に隣接して前面側にある、装飾が施された従動プレート72は、上下動を通じて前記第1の扉51を支持する機構を構成する直動卷回ベルト85の前側に位置し」は前記構成Kの「前記第2装飾体は、往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動し」に相当する。
シ 刊行物1発明の構成lの「第1及び第2の始動入賞口14A、14Bが、遊技板の略左右中央で装飾枠23の直下かつアウト口の直上に設けられ」は、本件補正発明の構成Lの「前記入賞口は、前記遊技盤の略左右中央で且つ前記センター部材の直下且つアウト口の直上に配置され」に相当する。
ス 上記ア~シによれば、本件補正発明と刊行物1発明は、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の点で相違する。
(ア)一致点
「A 遊技盤と、
B 前記遊技盤に配置され開口を有するセンター部材と、
C 前記センター部材の開口をのぞんで配置された図柄表示装置と、
D 前記センター部材の後方に配置される可動盤面部品と、
E 前記可動盤面部品を前記図柄表示装置の一辺側から支持する一の支持機構と、
F アウト口と、
G 入賞口と、
H 特別遊技状態のときに開成する大入賞口と、を備えた遊技機であって、
I 前記可動盤面部品は、
前記図柄表示装置の前方であり、且つ前記一の支持機構の前方を所定の移動経路に沿って第1の表示形態位置と第2の表示形態位置と第3の表示形態位置との間を往復移動する第1装飾体と、
J 前記第1の表示形態位置と前記第3の表示形態位置との間の第2の表示形態位置まで前記第1装飾体に追従移動する第2装飾体と、を備え、
K 前記第2装飾体は、往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動し、
L 前記入賞口は、前記遊技盤の略左右中央で且つ前記センター部材の直下且つアウト口の直上に配置される、
N ことを特徴とする遊技機。」
(イ)相違点1
本件補正発明では、大入賞口は、入賞口より右方で且つ前記図柄表示装置を避けた位置に配置されているのに対し、刊行物1発明では、大入賞口15が第1及び第2の始動入賞口14A、14Bの直下に設けられる点。(構成M)
(5)当審の判断
ア 上記相違点1について検討する。
パチンコ遊技機において、右打ち・左打ちに関わらず入賞・入球できるように図柄表示装置の左右中央部の直下に第1・第2始動入賞口を設け、その直下にアウト口を設けるとともに、大入賞口については、いわゆる「右打ち」モードとなった場合にのみ入賞できるように、図柄表示装置の右下方に設けるようにする盤面配置は、周知である。このことは、例えば上記(3)ウで認定したとおり、刊行物2には、本件補正発明の「大入賞口」に対応する、常時は閉成され、「大当たり」の際に開成される入賞口である「特別入賞装置26」が、図柄表示装置17の表示部20bの略左右中央部直下に設けられた、本件補正発明の「入賞口」に対応する始動入賞装置25の始動入賞口25aの右方でかつ図柄表示装置17の表示部20bに重ならない位置に設けられること、が記載されていることにより裏付けられる。
よって、刊行物1発明において、図柄表示装置、入賞口、大入賞口、アウト口の配置に関し、前記周知の技術を採用し、前記相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、それにより奏される効果は、当業者が、刊行物1発明及び周知の技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。
イ 審判請求書における請求人の主張について
(ア)請求人は審判請求書において、理由1・2として、おおむね以下の(a)(b)の点を主張している。
(a)理由1
「引用文献2に記載された遊技機には上部可動体の下限位置を拡張させたいという要請に基づいて、特別入賞装置26を始動入賞装置25の右側であって図柄表示装置を避けた位置に設ける必要性と、動機付けがありません。仮にそのような必要性があったとしても、単一部品である上部可動体の出没機構では実現は不可能です。また、そのような課題、動機付けについて引用文献2には言及さえありません。」
(b)理由2
「一般に図柄表示装置の前面を移動する可動盤面部品を長い距離(例えば、図柄表示装置の上辺側から下辺側に至る長い距離)に亘って昇降させようとすると、それを支持して駆動するための支持機構を遊技者から視認され易い図柄表示装置17の前方に配置する必要があり(このことは引用文献1において露出配置されたガイドプレート71Bの構成からも明かです)、この支持機構が遊技者によって視認されると、見栄えが低下して興趣が低下するという問題が発生します。このような不具合を解消するために本願発明では「前記第2装飾体は、往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動し、」というように第2装飾体により支持機構を前方から視認不能とする構成を採用しています。これに対して引用文献2では可動盤面部品としての上部可動体220を昇降させる機構は上部ベース部202内に収納されて前方から視認できないので(遊技者により視認される図柄表示装置の前方に露出されていないので)、そもそも支持機構を上部可動体などによって隠蔽させる構成を工夫する必要性がありません。」
(イ)理由1について
請求人は、本件補正発明が上記相違点1に係る構成を採用した理由について、上記(ア)(a)のように、図柄表示装置前面設けた上部可動体の下限動作位置を拡大することを挙げている。しかし、上記(5)アで説示したとおり、大入賞口を遊技領域の左右中央に対し右側に偏在させ、遊技状態がいわゆる大当たり(特別遊技状態)となった際に、遊技者にいわゆる「右打ち」を促して、該大入賞口へ優先的に入球させるようにする態様のパチンコ遊技機は周知であり、遊技球が通過し、各種入賞口が配置される遊技領域を図柄表示装置を避けた領域に設定することもまた周知であることに鑑みれば、上記説示のとおり、当業者であれば、単に遊技機の周知の態様の一つとして、前記周知技術を採用して上記相違点1の構成とすることも容易に想到し得たものといえるのであり、本件補正発明が仮に請求人が主張するような課題や動機により上記相違点1の構成を採用したものであるとしても、結果的に前記容易想到である構成を採用することにより当該課題を解決することができたのであるから、請求人の上記理由1に係る主張は採用できない。
(ウ)理由2について
請求人は本件補正発明が「第2装飾体により支持機構を前方から視認不能とする構成を採用してい」る旨主張するが、支持機構と各装飾体との関係について本件補正発明で特定されているのは、第1装飾体については「一の支持機構の前方を所定の移動経路に沿って・・・往復移動」(構成I)する点、第2装飾体については「往復移動する過程で前記一の支持機構の前方に位置するように移動」する点のみ、すなわち、各装飾体の移動範囲が支持機構の前方である点のみである。
一般に、視線に対して手前側の第1物体が奥側の第2物体を視認不能、即ち完全に隠蔽するためには、該前記第1物体が視線方向において前記第2物体の手前側にあること以外に、両者の形状・大きさの関係や、両者の視線方向の距離(間隔)についての条件も必要となることは幾何学上自明であるが、本件補正発明は前記のとおり各装飾体と支持機構との前後関係を特定するのみで、形状・大きさの関係や間隔に関する特定事項を備えていないから、請求人が主張する前記「視認不能」に関する効果は、本件補正発明の構成により必ず奏するものとはいえない。
よって、仮に刊行物1発明の「ガイドプレート71B」も本件補正発明の支持機構に相当するとしても、該理由2に係る請求人の主張は、本件補正発明の構成に基づくものではなく、採用することができない。
(エ)理由2に関連し、刊行物1発明における「支持機構」について
上記刊行物1発明の認定では、本件補正発明の「一の支持機構」に相当する構成を「縦開閉用モータ80およびリール81、該リール81に一端部が固定された直動卷回ベルト85からなる、相互に固定されたひとまとまりの、第1の扉51を支持する機構」としたが、刊行物1には、これらのほかに、前記請求人が主張し、上記3.(2)ウ(う)で挙げた「ガイドプレート71B」およびそれを案内するガイド溝46、46からなる機構も存在する。しかし、これは、第1の扉51の各プレートの上下動を支持する前記「縦開閉用モータ80およびリール81、該リール81に一端部が固定された直動卷回ベルト85」とは少なくともガイド溝46、46が別体で「ひとまとまり」の機構とはいえず、また、上記3.(2)ウ(う)で説示したとおり、直動プレート71が上下動する際に、該直動プレート71を案内し、該直動プレート71が前後方向への移動を規制するための部材であって、請求人が審判請求書で補正根拠として主張する本件補正発明の「支持機構」に対応する具体的手段である「装飾体本体駆動機構(駆動機構)及び装飾体カバー駆動機構(駆動機構)」なる、各装飾体を上下動するための駆動機構にもあたらない。
ウ 小括
したがって、上記ア、イにおいて検討したように、本件補正発明は、刊行物1発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年3月23日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。
2.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。
3.対比・判断
本願発明は、本件補正発明の発明特定事項から、上記第2の1.の下線部の構成を省いたものである。
上記第2の3.(3)で検討したとおり、本件補正発明と刊行物1発明との相違点は、本件補正により加除の対象となっていない事項についてのみであるから、そうすると、本願発明及び本件補正発明と、刊行物1発明との相違点は、本件補正の前後において共通する。
そして、当該相違点については、上記第2.3.(5)において説示したとおりである。
したがって、本願発明は、刊行物1発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-004246